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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20220907BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220907BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20220907BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L21/88 Z
H01L23/12 501P
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021128912
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 伸治
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
(72)【発明者】
【氏名】廣石 尭之
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-186366(JP,A)
【文献】特開2012-119444(JP,A)
【文献】特開2008-112776(JP,A)
【文献】特開2011-114133(JP,A)
【文献】特開2019-102522(JP,A)
【文献】特開2001-156209(JP,A)
【文献】特開2016-219655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上面に第1パッド電極および複数の第2パッド電極を有する半導体ウェハと、
前記第1パッド電極および前記複数の第2パッド電極を覆う絶縁膜と、
前記第1パッド電極の上面に達するように、前記絶縁膜中に形成された第1開口部と、
前記複数の第2パッド電極の上面に達するように、前記絶縁膜中に形成された複数の第2開口部と、
前記第1開口部の内部および前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1パッド電極に電気的に接続された第1再配線と、
前記第1再配線上に形成され、且つ、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第1柱状電極と、
前記第1柱状電極上に形成され、且つ、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第2柱状電極と、
前記複数の第2開口部の内部および前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記複数の第2パッド電極に電気的に接続された第2再配線と、
前記第2再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第3再配線と、
前記第3再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する複数の第3柱状電極と、
前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面を露出させるように、前記第1再配線、前記第1柱状電極、前記第2柱状電極、前記第2再配線、前記第3再配線および前記複数の第3柱状電極を封止する封止樹脂と、
前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面上に形成された複数の外部接続用端子と、
を備え、
前記第1再配線は、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極を設けるための幅広領域と、前記第1開口部から前記幅広領域へ向かって延在し、且つ、前記第1パッド電極および前記幅広領域を接続する幅狭領域とを有し、
平面視において、前記幅狭領域の幅は、前記幅広領域の幅よりも狭い、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極は、前記第1開口部と異なる領域に位置し、
平面視において、前記複数の第3柱状電極は、前記複数の第2開口部と異なる領域に位置する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
平面視における前記幅狭領域の幅は、5μm以上、50μm以下であり、
前記第1再配線および前記第2再配線の各々の厚さは、1μm以上、10μm以下であり、
前記第1柱状電極および前記第2再配線の各々の厚さは、10μm以上、50μm以下であり、
前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の厚さは、30μm以上、50μm以下である、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
少なくとも2組の前記第1パッド電極、前記第1開口部、前記第1再配線、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極を備え、
一方の前記第1再配線の前記幅狭領域と、他方の前記第1再配線の前記幅狭領域とは、5μm以上、50μm以下の範囲内で隣接している、半導体装置。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体装置において、
平面視において、前記幅広領域の外周は、前記第1柱状電極の外周を内包し、前記第1柱状電極の外周は、前記第2柱状電極の外周を内包し、前記第2再配線の外周は、前記第3再配線の外周を内包し、前記第3再配線の外周は、前記複数の第3柱状電極の外周を内包する、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
平面視における前記第2柱状電極および前記第3柱状電極の各々の幅は、80μm以上、300μm以下である、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2柱状電極、前記複数の第3柱状電極および前記封止樹脂の各々の上面は、面一になっている、半導体装置。
【請求項8】
(a)その上面に第1パッド電極および複数の第2パッド電極を有する半導体ウェハを用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1パッド電極および前記複数の第2パッド電極を覆う絶縁膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記絶縁膜中に、前記第1パッド電極の上面に達する第1開口部と、前記複数の第2パッド電極の上面に達する複数の第2開口部とを形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1開口部の内部および前記絶縁膜上に、前記第1パッド電極に電気的に接続される第1再配線を形成し、前記複数の第2開口部の内部および前記絶縁膜上に、前記複数の第2パッド電極に電気的に接続される第2再配線を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1再配線上に、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第1柱状電極を形成し、前記第2再配線上に、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第3再配線を形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1柱状電極上に、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第2柱状電極を形成し、前記第3再配線上に、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する複数の第3柱状電極を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面を覆うように、前記絶縁膜上において、前記第1再配線、前記第1柱状電極、前記第2柱状電極、前記第2再配線、前記第3再配線および前記複数の第3柱状電極を封止樹脂によって封止する工程、
(h)前記(g)工程後、前記封止樹脂を研磨することで、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面を前記封止樹脂から露出させる工程、
(i)前記(h)工程後、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面上に、複数の外部接続用端子を形成する工程、
を備え、
前記第1再配線は、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極を設けるための幅広領域と、前記第1開口部から前記幅広領域へ向かって延在し、且つ、前記第1パッド電極および前記幅広領域を接続する幅狭領域とを有し、
平面視において、前記幅狭領域の幅は、前記幅広領域の幅よりも狭い、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程は、
(d1)前記絶縁膜上に、少なくとも前記第1開口部および前記複数の第2開口部を開口するパターンを有する第1レジストパターンを形成する工程、
(d2)前記(d1)工程後、前記第1レジストパターンから露出している前記第1開口部の内部および前記絶縁膜上に前記第1再配線を形成し、前記第1レジストパターンから露出している前記複数の第2開口部の内部および前記絶縁膜上に前記第2再配線を形成する工程、
を有し、
前記(e)工程は、
(e1)前記(d2)工程後、前記第1レジストパターン、前記第1再配線および前記第2再配線の各々の上面上に、少なくとも前記第1再配線および前記第2再配線の各々の一部を開口するパターンを有する第2レジストパターンを形成する工程、
(e2)前記(e1)工程後、前記第2レジストパターンから露出している前記第1再配線上に前記第1柱状電極を形成し、前記第2レジストパターンから露出している前記第2再配線上に前記第3再配線を形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e2)工程と前記(f)工程との間に、前記第2レジストパターンおよび前記第1レジストパターンを除去する工程、を更に備え、
前記(f)工程は、
(f1)前記絶縁膜、前記第1柱状電極および前記第3再配線の各々の上面上に、少なくとも前記第1柱状電極および前記第3再配線の各々の一部を開口するパターンを有する第3レジストパターンを形成する工程、
(f2)前記(f1)工程後、前記第3レジストパターンから露出している前記第1柱状電極上に前記第2柱状電極を形成し、前記第3レジストパターンから露出している前記第3再配線上に前記複数の第3柱状電極を形成する工程、
(f3)前記(f2)工程後、前記第3レジストパターンを除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1レジストパターンおよび前記第2レジストパターンの各々は、塗布法によって第1レジスト膜を形成し、前記第1レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、前記第1レジスト膜をパターニングすることで形成され、
前記第3レジストパターンは、ラミネート法によって第2レジスト膜を形成し、前記第2レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、前記第2レジスト膜をパターニングすることで形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程は、
(f4)前記第2レジストパターン、前記第1柱状電極および前記第3再配線の各々の上面上に、少なくとも前記第1柱状電極および前記第3再配線の各々の一部を開口するパターンを有する第3レジストパターンを形成する工程、
(f5)前記(f4)工程後、前記第3レジストパターンから露出している前記第1柱状電極上に前記第2柱状電極を形成し、前記第3レジストパターンから露出している前記第3再配線上に前記複数の第3柱状電極を形成する工程、
(f6)前記(f5)工程後、前記第3レジストパターン、前記第2レジストパターンおよび前記第1レジストパターンを除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1レジストパターン、前記第2レジストパターンおよび前記第3レジストパターンの各々は、塗布法によって第1レジスト膜を形成し、前記第1レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、前記第1レジスト膜をパターニングすることで形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
平面視において、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極は、前記第1開口部と異なる領域に位置し、
平面視において、前記複数の第3柱状電極は、前記複数の第2開口部と異なる領域に位置する、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
平面視における前記幅狭領域の幅は、5μm以上、50μm以下であり、
前記第1再配線および前記第2再配線の各々の厚さは、1μm以上、10μm以下であり、
前記第1柱状電極および前記第2再配線の各々の厚さは、10μm以上、50μm以下であり、
前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の厚さは、30μm以上、50μm以下である、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
少なくとも2つの前記第1パッド電極、前記第1開口部、前記第1再配線、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極を備え、
一方の前記第1再配線の前記幅狭領域と、他方の前記第1再配線の前記幅狭領域とは、5μm以上、50μm以下の範囲内で隣接している、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第3柱状電極、前記第3再配線、前記第2再配線および前記複数の第2パッド電極には、1A以上、10A以下の電流が流される、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
平面視において、前記幅広領域の外周は、前記第1柱状電極の外周を内包し、前記第1柱状電極の外周は、前記第2柱状電極の外周を内包し、前記第2再配線の外周は、前記第3再配線の外周を内包し、前記第3再配線の外周は、前記複数の第3柱状電極の外周を内包する、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
平面視における前記第2柱状電極および前記第3柱状電極の各々の幅は、80μm以上、300μm以下である、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、再配線を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の動作の高速化および小型化などの要求から、半導体基板上の多層配線層の最上層の配線の一部であるパッド電極上に、再配線と呼ばれる配線を形成する技術が開発されている。再配線は、その配線抵抗を低くするために、銅を主体とする材料からなり、例えばメッキ法によって形成される。再配線の上面の一部には、例えばバンプ電極や半田ボールのような外部接続用端子が形成される。再配線を採用した半導体装置では、再配線を引き回すことで、パッド電極と異なる領域に外部接続用端子を配置することができる。
【0003】
特許文献1には、WLCSP(Wafer Level Chip Size Package)と称される半導体装置が開示されている。特許文献1では、パッド電極上に再配線が形成され、再配線上に半田からなるボール電極が形成され、再配線は樹脂膜によって封止されている。
【0004】
特許文献2では、パッド電極上に再配線が形成され、再配線上に複数の柱状電極が形成され、複数の柱状電極上に半田ボールが形成され、再配線および複数の柱状電極は樹脂からなる封止膜によって封止されている。
【0005】
特許文献3では、多層に形成された配線層のうち最上層の配線が、薄い下層パターンと厚い上層パターンとで構成されている。最上層の配線は絶縁膜によって覆われ、最上層の配線のパッド電極となる領域において、絶縁膜に開口部が形成されている。そして、開口部から露出しているパッド電極上に、バンプ電極が形成されている。大電流を必要とする最上層の配線では、下層パターンより一回り小さい平面形状の上層パターンが採用され、微細化を図ろうとする最上層の配線では、バンプ電極とほぼ同じ平面形状の上層パターンが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-188313号公報
【文献】特許第3540729号公報
【文献】特許第4232576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近、再配線を採用した半導体装置では、電源電圧用またはグランド電圧用の再配線に、より大きな電流を流したいという要求がある。そのような大電流は、例えば1~10Aである。ここで、WLCSPにおける一般的な再配線の幅は10~50μmであるが、再配線の厚さが5~10μmであると、許容電流は、1~3A程度に制限される。
【0008】
特許文献1では、再配線の厚さは0.01~8μmとされている。再配線の幅を10~50μmとし、上述の厚さで再配線を形成し、再配線に1~10Aの電流を流した場合、許容温度を超える発熱、エレクトロマイグレーションの加速、および、溶断による断線などの不具合が懸念される。許容電流を増やすために、再配線の厚さを8μm以上にすると、再配線間ピッチも狭くなり易いので、製造時に再配線間でのショート不良が発生する。それ故、再配線の微細化が困難になる。一方で、許容電流を増やすために、再配線間ピッチを広くすると、必要な再配線を形成するための領域が不足する。
【0009】
特許文献2では、1つの再配線に複数の柱状電極を設けることで、柱状電極部の総抵抗値が低減し、端子部の許容電流を増やすことができる。しかし、特許文献2は端子部のみに柱状電極を形成する技術であるので、大電流を流す再配線では、許容電流が不足する。
【0010】
特許文献3は、具体的な寸法、材料および製造方法の説明が記載されていないが、この特許文献3に開示されている技術をWLCSPに応用した場合を考察する。
【0011】
最上層の配線を覆う絶縁膜に、WLCSPで一般的に使用されている感光性ポリイミドが用いられているが、その場合、感光性ポリイミドの物性上の粘度または積層性などにより、被覆する再配線の厚さの影響を強く受けるので、再配線の厚さが厚いと絶縁膜表面に大きな段差が生じる。そのため、再配線層を完全に被覆することが困難になる。よって、一般的な塗布法では、感光性ポリイミド膜を適用できる再配線の厚さは、10μm程度が限度であり、20~30μmの厚さを有する再配線を被覆することはできない。言い換えれば、10μmより薄い厚さを有する再配線に対してのみ、このような絶縁膜を適用できる。
【0012】
一方で、上記絶縁膜に、エポキシ樹脂などの封止樹脂を適用する場合、再配線を封止樹脂で覆った後、封止樹脂に、外部接続用端子と再配線とを接続するための開口部を形成する必要がある。しかし、封止樹脂は非感光性であるので、上記開口部を形成するためには、レーザ加工などが必要になる。従って、レーザ加工用の装置が必要になり、高価な製造工程が必要になる。また、レーザ加工によって残膜(スミア)が生じる恐れがあり、その残膜を除去するための薬液と、エッチング処理とが必要となる。すなわち、特許文献3に開示された技術にエポキシ樹脂などの封止樹脂を適用すると、製造コストが大幅に増加するという問題が発生する。
【0013】
本願の主な目的は、大電流を許容できる再配線構造を提供すると共に、大電流を必要としない再配線では、微細な再配線間ピッチを実現できる技術を提供することにある。すなわち、本願の主な目的は、半導体装置の性能を向上させると共に、半導体装置の微細化を図ることにある。
【0014】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
一実施の形態における半導体装置は、その上面に第1パッド電極および複数の第2パッド電極を有する半導体ウェハと、前記第1パッド電極および前記複数の第2パッド電極を覆う絶縁膜と、前記第1パッド電極の上面に達するように、前記絶縁膜中に形成された第1開口部と、前記複数の第2パッド電極の上面に達するように、前記絶縁膜中に形成された複数の第2開口部と、前記第1開口部の内部および前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1パッド電極に電気的に接続された第1再配線と、前記第1再配線上に形成され、且つ、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第1柱状電極と、前記第1柱状電極上に形成され、且つ、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第2柱状電極と、前記複数の第2開口部の内部および前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記複数の第2パッド電極に電気的に接続された第2再配線と、前記第2再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第3再配線と、前記第3再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する複数の第3柱状電極と、前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面を露出させるように、前記第1再配線、前記第1柱状電極、前記第2柱状電極、前記第2再配線、前記第3再配線および前記複数の第3柱状電極を封止する封止樹脂と、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面上に形成された複数の外部接続用端子と、を備える。ここで、前記第1再配線は、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極を設けるための幅広領域と、前記第1開口部から前記幅広領域へ向かって延在し、且つ、前記第1パッド電極および前記幅広領域を接続する幅狭領域とを有し、平面視において、前記幅狭領域の幅は、前記幅広領域の幅よりも狭い。
【0017】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)その上面に第1パッド電極および複数の第2パッド電極を有する半導体ウェハを用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記第1パッド電極および前記複数の第2パッド電極を覆う絶縁膜を形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記絶縁膜中に、前記第1パッド電極の上面に達する第1開口部と、前記複数の第2パッド電極の上面に達する複数の第2開口部とを形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記第1開口部の内部および前記絶縁膜上に、前記第1パッド電極に電気的に接続される第1再配線を形成し、前記複数の第2開口部の内部および前記絶縁膜上に、前記複数の第2パッド電極に電気的に接続される第2再配線を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記第1再配線上に、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第1柱状電極を形成し、前記第2再配線上に、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第3再配線を形成する工程、(f)前記(e)工程後、前記第1柱状電極上に、前記第1再配線の厚さよりも厚い厚さを有する第2柱状電極を形成し、前記第3再配線上に、前記第2再配線の厚さよりも厚い厚さを有する複数の第3柱状電極を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面を覆うように、前記絶縁膜上において、前記第1再配線、前記第1柱状電極、前記第2柱状電極、前記第2再配線、前記第3再配線および前記複数の第3柱状電極を封止樹脂によって封止する工程、(h)前記(g)工程後、前記封止樹脂を研磨することで、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面を前記封止樹脂から露出させる工程、(i)前記(h)工程後、前記第2柱状電極および前記複数の第3柱状電極の各々の上面上に、複数の外部接続用端子を形成する工程、を備える。ここで、前記第1再配線は、前記第1柱状電極および前記第2柱状電極を設けるための幅広領域と、前記第1開口部から前記幅広領域へ向かって延在し、且つ、前記第1パッド電極および前記幅広領域を接続する幅狭領域とを有し、平面視において、前記幅狭領域の幅は、前記幅広領域の幅よりも狭い。
【発明の効果】
【0018】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できると共に、半導体装置の微細化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図4図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図5図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図18】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図19図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図20図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0021】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0022】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に図1および図2を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。半導体装置100は、半導体ウェハ10の上方に再配線RW1~RW3および柱状電極PE1~PE3を備えた半導体チップである。図1は、半導体装置100の一部を示す平面図であり、図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。なお、A-A線に沿った断面図では、本来、開口部OP2およびパッド電極PD2は図示されないが、図2では、各構成の接続関係を判り易くするために、敢えてこれらを図示している。
【0023】
半導体ウェハ10には、シリコンなどの半導体基板に形成された複数のトランジスタと、上記半導体基板上に形成された多層配線層とから構成される集積回路が含まれている。また、半導体ウェハ10は、その上面に複数のパッド電極PD1および複数のパッド電極PD2を有する。複数のパッド電極PD1および複数のパッド電極PD2は、上記多層配線層の最上層に形成された配線の一部である。複数のパッド電極PD1および複数のパッド電極PD2は、アルミニウムを主体とする導電性膜を含み、例えば300~1000nmの厚さを有する。
【0024】
図1および図2に示されるように、絶縁膜IFは、複数のパッド電極PD1および複数のパッド電極PD2を覆っている。絶縁膜IFは、例えば感光性ポリイミド膜であり、例えば3~10μmの厚さを有する。絶縁膜IFには、複数のパッド電極PD1の上面に達するように、複数の開口部OP1が形成されている。また、絶縁膜IFには、複数のパッド電極PD2の上面に達するように、複数の開口部OP2が形成されている。なお、絶縁膜IFと、半導体ウェハ10の上面(パッド電極PD1、パッド電極PD2)との間には、半導体ウェハ10の内部に水分などが侵入することを防ぐために、窒化シリコン膜のような保護膜が形成されていてもよい。
【0025】
再配線RW1は、開口部OP1の内部および絶縁膜IF上に形成され、且つ、パッド電極PD1に電気的に接続されている。半導体装置100には、複数の再配線RW1が設けられているが、ここでは、1つのパッド電極PD1に対して1つの再配線RW1が接続されている。再配線RW2は、複数の開口部OP2の内部および絶縁膜IF上に形成され、且つ、複数のパッド電極PD2に電気的に接続されている。ここでは、複数のパッド電極PD2に対して1つの再配線RW2が接続されている。再配線RW1および再配線RW2は、同層に形成され、同じ厚さを有し、例えば1μm以上、10μm以下の厚さを有する。
【0026】
再配線RW1上には、再配線RW1の厚さよりも厚い厚さを有する柱状電極PE1が形成されている。再配線RW2上には、再配線RW2の厚さよりも厚い厚さを有する再配線RW3が形成されている。柱状電極PE1および再配線RW3は、同層に形成され、同じ厚さを有し、例えば10μm以上、50μm以下の厚さを有する。
【0027】
柱状電極PE1上には、再配線RW1の厚さよりも厚い厚さを有する柱状電極PE2が形成されている。再配線RW3上には、再配線RW2の厚さよりも厚い厚さを有する複数の柱状電極PE3が形成されている。柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3は、同層に形成され、同じ厚さを有し、例えば30μm以上、50μm以下の厚さを有する。
【0028】
なお、再配線RW1~RW3および柱状電極PE1~PE3は、パッド電極PD1、PD2を構成する材料よりも低いシート抵抗値を有する材料からなり、例えば銅を主成分とする材料からなる。
【0029】
絶縁膜IF上には、柱状電極PE2および複数の第3柱状電極PE3の各々の上面を露出させるように、再配線RW1~RW3および柱状電極PE1~PE3を封止する封止樹脂MRが形成されている。封止樹脂MRは、例えば非感光性のエポキシ樹脂である。封止樹脂MRの上面には、研磨処理が施されている。このため、柱状電極PE2、複数の柱状電極PE3および封止樹脂MRの各々の上面は、平坦化され、面一になっている。
【0030】
柱状電極PE2および複数の第3柱状電極PE3の各々の上面上には、複数の外部接続用端子ETが形成されている。外部接続用端子ETは、半導体装置100と異なる半導体チップまたは配線基板などに電気的に接続させるために設けられ、例えば半田ボールのような導電性材料からなる。
【0031】
平面視において、柱状電極PE1および柱状電極PE2は、開口部OP1と異なる領域に位置し、複数の柱状電極PE3は、複数の開口部OP2と異なる領域に位置する。再配線RW1および再配線PW2によって引き回すことで、パッド電極PD1およびパッド電極PD2と異なる位置に、外部接続用端子ETを設けることができる。
【0032】
また、複数の柱状電極PE3、再配線RW3、再配線RW2および複数のパッド電極PD2は、電源電圧用またはグランド電圧用として設けられ、例えば1A以上、10A以下のような大電流が流される。このため、再配線RW3および再配線RW2のサイズは、複数のパッド電極PD2を纏めて接続させる程に大きい。そして、再配線RW3の厚さが、再配線RW2の厚さよりも厚くなっている。従って、再配線RW3および再配線RW2に上述のような大電流を流した場合でも、許容温度を超える発熱、エレクトロマイグレーションの加速、および、溶断による断線などのような、従来技術で発生していた不具合が解消される。
【0033】
一方で、柱状電極PE1、柱状電極PE2、再配線RW1およびパッド電極PD1は、電源電圧またはグランド電圧以外の用途に用いられ、例えばデジタル信号またはアナログ信号の伝達に用いられる。これらの用途では、上述のような大電流に対する対策を講じる必要は無いが、多数の再配線RW1を引き回して効率的なレイアウトを実現するために、再配線RW1は、できるだけ再配線におけるファインピッチで構成されていることが好ましい。
【0034】
しかしながら、再配線RW1および再配線RW2を単純に厚く形成しようとすると、製造時に使用するレジスト膜をファインピッチに加工することが難しくなるので、ピッチを大きくする必要がある。そうすると、再配線RW1のレイアウトが制限されると共に、半導体装置100の微細化が困難となる。
【0035】
また、実施の形態1のように、再配線を積層させる思想を基にして、再配線RW1上に再配線RW3と同層の導電層(2層目の導電層)を形成しようとすると、2層目の導電層もファインピッチで形成する必要がある。それ故、2層目の導電層を形成するためのレジスト膜の材料および露光技術に制約が生じる。
【0036】
以上を考慮して、実施の形態1における再配線RW1は、幅狭領域RW1aおよび幅広領域RW1bを有している。平面視において、幅狭領域RW1aの幅L1は、幅広領域RW1bの幅L2よりも狭くなっている。幅広領域RW1bは、柱状電極PE1および柱状電極PE2を設けるための領域である。幅狭領域RW1aは、開口部OP1から幅広領域RW1bへ向かって延在し、且つ、パッド電極PD1および幅広領域RW1bを接続する。
【0037】
外部接続用端子ETに接続するための領域のみを幅広領域RW1bとし、幅狭領域RW1aをファインピッチとすることで、効率的なレイアウトを実現できる。なお、平面視における幅狭領域RW1aの幅L1は、5μm以上、50μm以下である。また、2組の再配線RW1が隣接している場合、一方の再配線RW1の幅狭領域RW1aと、他方の再配線RW1の幅狭領域RW1aとは、5μm以上、50μm以下の範囲内で隣接している。すなわち、図1の距離L3は5μm以上、50μm以下である。
【0038】
なお、図1では、再配線RW1は再配線RW2から離れた場所に位置しているが、再配線RW1の配置は、これに限られない。例えば、再配線RW1の幅狭領域RW1aが、再配線RW2に隣接して延在しているような場合もあり得る。何れの場合でも、幅狭領域RW1aと、他の再配線とは、距離L3と同じ距離または距離L3以上の距離を確保しながら配置される。
【0039】
平面視における柱状電極PE2および柱状電極PE3の各々の幅は、80μm以上、300μm以下である。また、平面視において、柱状電極PE1の外周は、柱状電極PE2の外周を内包し、柱状電極PE1の外周と柱状電極PE2の外周との間の距離は、5μm~10μmとなっている。また、平面視において、幅広領域RW1bの外周は、柱状電極PE1の外周を内包し、幅広領域RW1bの外周と柱状電極PE1の外周との間の距離は、5μm~10μmとなっている。従って、幅広領域RW1bの幅L2は、100μm以上、500μm以下である。
【0040】
なお、幅広領域RW1bおよび柱状電極PE1~PE3の各々の幅とは、幅狭領域RW1aが幅広領域RW1bに接続されている箇所において、幅狭領域RW1aの延在方向に対して垂直な方向の幅である。また、ここでは、幅広領域RW1bおよび柱状電極PE1~PE3が円柱状を成しているが、この場合の幅広領域RW1bおよび柱状電極PE1~PE3の各々の幅とは、これらの直径を意味する。言い換えれば、幅広領域RW1bおよび柱状電極PE1~PE3は、必ずしも円柱状である必要は無く、四角柱状などの多角柱状であってもよい。
【0041】
このように、複数の柱状電極PE3、再配線RW3および再配線RW2を用いて大電流を流すための領域を確保できると共に、再配線RW1(幅狭領域RW1a)をファインピッチで配置することができる。従って、半導体装置100の性能を向上できると共に、半導体装置100の微細化を促進できる。
【0042】
なお、平面視において、再配線RW2の外周は、再配線RW3の外周を内包し、再配線RW2の外周と再配線RW3の外周との間の距離は、5μm~10μmとなっている。また、平面視において、再配線RW3の外周は、複数の柱状電極PE3の外周を内包する。すなわち、1層目の再配線層(幅広領域RW1b、再配線RW2)の外周は、2層目の再配線層(柱状電極PE1、再配線RW3)の外周を内包し、2層目の再配線層の外周は、3層目の再配線層(柱状電極PE2、柱状電極PE3)の外周を内包する。このため、上層へ向かうに連れて、オーバーハングになっている箇所が無い。これにより、封止樹脂MRを形成する際に、封止樹脂MRの埋め込み性を向上させることができる。
【0043】
<半導体装置の製造方法について>
以下に図3図17を用いて、実施の形態1における半導体装置の製造方法について説明する。
まず、図3に示されるように、その上面にパッド電極PD1および複数のパッド電極PD2を備えた半導体ウェハ10を用意する。次に、パッド電極PD1および複数のパッド電極PD2を覆う絶縁膜IFを形成する。絶縁膜IFは、例えば感光性のポリイミド膜であり、例えば塗布法によって形成できる。
【0044】
次に、図4に示されるように、絶縁膜IFに対して選択的に露光処理を行うことで、絶縁膜IFをパターニングする。これにより、絶縁膜IF中に、パッド電極PD1の上面に達する開口部OP1と、複数のパッド電極PD2の上面に達する複数の開口部OP2とを形成する。その後、絶縁膜IFに対して熱処理を施すことで、絶縁膜IFを硬化させる。
【0045】
次に、図5に示されるように、開口部OP1の内部、複数の開口部OP2の内部および絶縁膜IF上に、スパッタリング法を用いて、シード層SDを形成する。シード層SDは、例えばチタン膜のようなバリアメタル膜と、銅膜とからなる。なお、シード層SDの膜厚は200~800nm程度である。
【0046】
次に、図6に示されるように、絶縁膜IF上に、少なくとも開口部OP1および複数の開口部OP2を開口するパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。レジストパターンRP1は、塗布法によって第1レジスト膜を形成し、上記第1レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記第1レジスト膜をパターニングすることで形成される。
【0047】
次に、図7に示されるように、開口部OP1の内部および絶縁膜IF上に、パッド電極PD1に電気的に接続される再配線RW1を形成し、複数の開口部OP2の内部および絶縁膜IF上に、複数のパッド電極PD2に電気的に接続される再配線RW2を形成する。具体的には、電解メッキ法によって、レジストパターンRP1から露出している開口部OP1の内部および絶縁膜IF上に、シード層SDを介して再配線RW1を形成し、レジストパターンRP1から露出している複数の開口部OP2の内部および絶縁膜IF上に、シード層SDを介して再配線RW2を形成する。
【0048】
なお、以降の説明では、再配線RW1および再配線RW2に覆われているシード層SDは、再配線RW1および再配線RW2の一部として説明し、その図示を省略する。
【0049】
次に、図8に示されるように、レジストパターンRP1、再配線RW1および再配線RW2の各々の上面上に、少なくとも再配線RW1および再配線RW2の各々の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。レジストパターンRP2は、塗布法によって第1レジスト膜を形成し、上記第1レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記第1レジスト膜をパターニングすることで形成される。なお、ここで説明している第1レジスト膜は、レジストパターンRP1の形成に用いたものと同じ材料からなる。
【0050】
次に、図9に示されるように、再配線RW1上に、再配線RW1の厚さよりも厚い厚さを有する柱状電極PE1を形成し、再配線RW2上に、再配線RW2の厚さよりも厚い厚さを有する再配線RW3を形成する。具体的には、電解メッキ法によって、レジストパターンRP2から露出している再配線RW1上に柱状電極PE1を形成し、レジストパターンRP2から露出している再配線RW2上に再配線RW3を形成する。
【0051】
次に、図10に示されるように、例えば剥離液による溶解によって、レジストパターンRP2およびレジストパターンRP1を順次除去する。レジストパターンRP2およびレジストパターンRP1を同一の工程によって除去することで、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0052】
なお、レジストパターンRP2およびレジストパターンRP1を別々の工程によって除去してもよい。すなわち、レジストパターンRP2を除去した後、レジストパターンRP1を除去してもよい。再配線のピッチまたは再配線の厚さによっては、レジストパターンRP2またはレジストパターンRP1の残渣が生じる場合があるが、個別に除去する方法を用いることで、残渣をより減らすことができる。
【0053】
また、個別に除去する方法を用いる場合、レジストパターンRP2となるレジスト膜は、第1レジスト膜と異なる材料からなる第2レジスト膜であってもよい。上記第2レジスト膜は、例えばドライフィルムタイプの材料からなり、ラミネート工法によって形成できる。
【0054】
次に、図11に示されるように、絶縁膜IF、柱状電極PE1および再配線RW3の各々の上面上に、少なくとも柱状電極PE1および再配線RW3の各々の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。レジストパターンRP3は、ラミネート法によって上記第2レジスト膜を形成し、上記第2レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記第2レジスト膜をパターニングすることで形成される。
【0055】
次に、図12に示されるように、柱状電極PE1上に、再配線RW1の厚さよりも厚い厚さを有する柱状電極PE2を形成し、再配線RW3上に、再配線RW2の厚さよりも厚い厚さを有する複数の柱状電極PE3を形成する。具体的には、電解メッキ法によって、レジストパターンRP3から露出している柱状電極PE1上に柱状電極PE2を形成し、レジストパターンRP3から露出している再配線RW3上に複数の柱状電極PE3を形成する。
【0056】
次に、図13に示されるように、例えば剥離液による溶解によって、レジストパターンRP3を除去する。
【0057】
次に、図14に示されるように、絶縁膜IF上に残されているシード層SDに対してウェットエッチング処理を施す。これにより、再配線RW1および再配線RW2から露出しているシード層SDが除去される。
【0058】
次に、図15に示されるように、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の上面を覆うように、絶縁膜IF上において、再配線RW1、柱状電極PE1、柱状電極PE2、再配線RW2、再配線RW3および複数の柱状電極PE3を、封止樹脂MRによって封止する。封止樹脂MRは、例えばスクリーン印刷法によって形成される。また、封止樹脂MRは、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の上面から50~100μm程度の位置まで形成される。
【0059】
次に、図16に示されるように、封止樹脂MRを研磨することで、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の上面を封止樹脂MRから露出させる。これにより、柱状電極PE2、複数の柱状電極PE3および封止樹脂MRの各々の上面は、平坦化され、面一になる。
【0060】
なお、この研磨工程後、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の厚さは、例えば30μm以上、50μm以下になる。ここで、研磨工程によって、封止樹脂MRだけでなく、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3も研磨される場合がある。そのような場合を想定して、図11において、レジストパターンRP3の厚さを調整し、図12において、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の厚さを、例えば50μm以上、90μm以下に設定しておいてもよい。
【0061】
従来技術では、厚い再配線を感光性ポリイミドによって被覆することが困難であったが、実施の形態1では、スクリーン印刷法によって封止樹脂MRを形成しているので、再配線RW1~RW3および柱状電極PE1~PE3の厚さが厚くなっても、これらを完全に被覆することが可能となる。
【0062】
また、従来技術では、柱状電極との接続を確保するために、封止樹脂に開口部を形成する必要があり、レーザ加工などが必要になっていた。それ故、製造コストが大幅に増加するという問題があった。実施の形態1では、研磨工程によって封止樹脂MRを研磨することで、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の上面が露出されるので、これらの上面に外部接続用端子ETを容易に形成でき、製造コストの増加を抑制することができる。
【0063】
次に、図17に示されるように、柱状電極PE2および複数の柱状電極PE3の各々の上面上に、複数の外部接続用端子ETを形成する。外部接続用端子ETは、例えば半田ボールのような導電性材料からなり、例えば、半田ペーストを印刷した後、リフロー処理を行うことで形成できる。その後、ダイシングラインDLに沿ってダイシングを行うことで、半導体ウェハ10が個片化され、図2に示される半導体装置100が、複数個取得される。
【0064】
以上により、実施の形態1における半導体装置100が製造される。
【0065】
(実施の形態2)
以下に図18図20を用いて、実施の形態2における半導体装置100の製造方法について説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0066】
実施の形態2の製造方法は、図9までは実施の形態1と同様である。図18は、図9に続く製造工程を示している。
【0067】
図18に示されるように、レジストパターンRP2、柱状電極PE1および再配線RW3の各々の上面上に、少なくとも柱状電極PE1および再配線RW3の各々の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。レジストパターンRP3は、塗布法によって第1レジスト膜を形成し、前記第1レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、前記第1レジスト膜をパターニングすることで形成される。なお、ここで説明している第1レジスト膜は、レジストパターンRP1およびレジストパターンRP2の形成に用いたものと同じ材料からなる。
【0068】
次に、図19に示されるように、電解メッキ法によって、レジストパターンRP3から露出している柱状電極PE1上に柱状電極PE2を形成し、レジストパターンRP3から露出している再配線RW3上に複数の柱状電極PE3を形成する。
【0069】
次に、図20に示されるように、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP3、レジストパターンRP2およびレジストパターンRP1を順次除去する。レジストパターンRP3、レジストパターンRP2およびレジストパターンRP1を同一の工程によって除去することで、実施の形態1と比較して、更に製造工程の簡略化を図ることができる。
【0070】
その後の工程は、図14以降の工程と同様である。
【0071】
以上、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 半導体装置
10 半導体ウェハ
DL ダイシングライン
ET 外部接続用端子
IF 絶縁膜
MR 封止樹脂
OP1、OP2 開口部
PD1、PD2 パッド電極
PE1~PE3 柱状電極
PR1~RP3 レジストパターン
RW1~RW3 再配線
RW1a 幅狭領域
RW1b 幅広領域
SD シード層
【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させると共に、半導体装置の微細化を図る。
【解決手段】半導体ウェハ10は、その上面にパッド電極PD1および複数のパッド電極PD2を有する。パッド電極PD1および複数のパッド電極PD2を覆う絶縁膜IF中には、開口部OP1および複数の開口部OP2が形成されている。パッド電極PD1は、開口部OP1の内部で再配線PW1に電気的に接続され、複数のパッド電極PD2は、複数の開口部OP2の内部で再配線PW2に電気的に接続されている。再配線PW1は、幅狭領域RW1bおよび幅広領域RW1aを有し、幅広領域RW1a上には、柱状電極PE1が形成され、柱状電極PE1上には、柱状電極PE2が形成されている。再配線PW2上には、再配線RW3が形成され、再配線RW3上には、複数の柱状電極PE3が形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20