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特許7137693結合装置、表面波結合方法及び裸線表面波無線カバレッジシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】結合装置、表面波結合方法及び裸線表面波無線カバレッジシステム
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/08 20060101AFI20220907BHJP
   H01P 3/10 20060101ALI20220907BHJP
   H01Q 1/16 20060101ALI20220907BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H01P5/08 G
H01P3/10
H01Q1/16
H04B3/54
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021512752
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2019082282
(87)【国際公開番号】W WO2020048131
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】201811033366.3
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510020354
【氏名又は名称】中▲興▼通▲訊▼股▲ふぇん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan District Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】高華
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0047633(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/08
H01P 3/10
H01Q 1/16
H04B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッターからの第1電磁波を結合して、プリセット高次導波モードで伝搬する第2電磁波を形成するように設置される高次モード直接結合モジュールと、
前記第2電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第3電磁波に変換するように設置されるモード変換フィルタリングモジュールであって、前記複数の導波モードは、プリセット低次導波モード及び少なくとも1つの高次導波モードを含み、前記第3電磁波における高次導波モードをフィルタリングして、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第4電磁波を取得するモード変換フィルタリングモジュールと、
前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換するように設置されるモードマッチングモジュールとを備える結合装置。
【請求項2】
前記高次モード直接結合モジュールは、互いに近接又は密着する柱状導波管及び第1同軸導波管を含み、そのうち、前記柱状導波管は前記第1同軸導波管と平行であり、前記柱状導波管の2つの端面はそれぞれ前記第1同軸導波管の2つの端面と位置合わせされ、前記第1同軸導波管は前記裸線を包んでいる請求項1に記載の結合装置。
【請求項3】
前記モード変換フィルタリングモジュールは、電磁性能パラメータが角度方向において周期的に分布しているリンググリッド及び第2同軸導波管を含み、前記リンググリッドは、前記第1同軸導波管と前記第2同軸導波管との間に位置し、そのうち、前記リンググリッドの端面の大きさは、前記第1同軸導波管の端面の大きさと同じであり、前記第2同軸導波管の端面の大きさは前記第1同軸導波管の端面の大きさと同じであり、前記リンググリッドの軸心は、第1同軸導波管及び第2同軸導波管の軸心と一致しており、前記リンググリッドと前記第2同軸導波管とは、前記裸線を包んでおり、前記リンググリッドの端面は、前記第2同軸導波管の端面に近接又は密着し、前記リンググリッドの端面は、前記第1同軸導波管の端面に近接又は密着する請求項2に記載の結合装置。
【請求項4】
前記リンググリッドのサイクル数は、前記目標導波モードに従って決定される請求項3に記載の結合装置。
【請求項5】
前記電磁性能パラメータは、透過率と位相差の少なくとも1つを含む請求項3に記載の結合装置。
【請求項6】
前記柱状導波管の表面は、絶縁層又は金属層であり、前記第1同軸導波管の表面は、絶縁層又は金属層であり、前記第2同軸導波管の表面は金属層である請求項3に記載の結合装置。
【請求項7】
前記モードマッチングモジュールが前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換することは、前記モードマッチングモジュールが前記第4電磁波を前記裸線に平行な方向に伝搬する第5電磁波に変換することを含む請求項1に記載の結合装置。
【請求項8】
前記モードマッチングモジュールは、角度方向において対称的であるレンズを含み、前記レンズは、前記裸線を収容するための円柱状の孔を含み、前記レンズの軸心、前記円柱状の孔の軸心は前記第2同軸導波管の軸心と一致しており、前記レンズは、前記第2同軸導波管に近くて、前記リンググリッドから離れており、前記第2同軸導波管の前記リンググリッドから離れた端面は前記レンズの焦点面に位置し、前記レンズの第2同軸導波管に近い端面の大きさは前記第2同軸導波管の端面の大きさと同じである請求項3に記載の結合装置。
【請求項9】
前記レンズは、前記第2同軸導波管から離れた端面が突起したレンズであり、又はフレネルレンズであり、又はフレネルゾーンプレートである請求項8に記載の結合装置。
【請求項10】
前記第1電磁波は、マイクロ波又はミリ波信号である請求項1~9のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項11】
裸線の表面を目標導波モードで伝搬する第6電磁波を、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第7電磁波に変換するように設置されるモードマッチングモジュールと、
前記第7電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第8電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット高次導波モードを含み、且つ、前記モードマッチングモジュールに反射された高次導波モードをフィルタリングするように設置されるモード変換フィルタリングモジュールと、
前記第8電磁波のうちの、プリセット高次導波モードで伝搬する成分を、受信機に接続された導波管に結合するように設置される高次モード直接結合モジュールとを備える結合装置。
【請求項12】
エミッターからの第1電磁波を結合して、プリセット高次導波モードで伝搬する第2電磁波を形成することと、
前記第2電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第3電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット低次導波モード及び少なくとも1つの高次導波モードを含み、前記第3電磁波における高次導波モードをフィルタリングして、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第4電磁波を取得することと
前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換することと、を含む表面波結合方法。

【請求項13】
前記目標導波モードは、ゾンマーフェルト波、横方向磁気TM00モード又はHE10モードである請求項12に記載の表面波結合方法。
【請求項14】
裸線の表面を目標導波モードで伝搬する第6電磁波を、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第7電磁波に変換することと、
前記第7電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第8電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット高次導波モードを含み、且つ、前記モードマッチングモジュールに反射された高次導波モードをフィルタリングすることと、
前記第8電磁波のうちの、プリセット高次導波モードで伝搬する成分を、受信機に接続された導波管に結合することと、を含む表面波結合方法。
【請求項15】
少なくとも1つのマイクロ基地局及び複数の請求項1~10のいずれか一項に記載の結合装置を含み、前記マイクロ基地局は、導波管を介して少なくとも1つの前記結合装置に接続されており、そのうち、
前記マイクロ基地局は、導波管を介して情報を搬送した電磁波を前記マイクロ基地局に接続された結合装置に送信し、且つ、前記マイクロ基地局に接続された結合装置から情報を搬送した電磁波を取得するように設置され、
前記結合装置は、前記結合装置に接続されたマイクロ基地局から送信された情報を搬送した電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬するように前記裸線に結合し、且つ、前記裸線の表面に沿って伝搬する情報を搬送した電磁波を、前記結合装置に接続されたマイクロ基地局に結合するように設置される裸線表面波無線カバレッジシステム。
【請求項16】
前記マイクロ基地局は、さらに、端末との接続を確立し、前記マイクロ基地局に接続された前記結合装置から取得した情報を搬送した電磁波から情報を抽出して前記端末に配信し、且つ、前記端末からアップロードされた情報を受信して電磁波にロードして、前記マイクロ基地局に接続された結合装置に送信するように設置される請求項15に記載の裸線表面波無線カバレッジシステム。
【請求項17】
前記裸線表面波無線カバレッジシステムは、主基地局をさらに含み、前記主基地局は導波管を介して少なくとも1つの前記結合装置に接続されており、又は、前記主基地局は、前記マイクロ基地局と通信可能に接続されており、
前記主基地局は、
情報を電磁波にロードして、導波管を介して前記主基地局に接続された結合装置に送信し、且つ、前記主基地局に接続された前記結合装置からの、情報を搬送した電磁波を受信し、
又は、前記マイクロ基地局に情報を送信したり、前記マイクロ基地局から情報を受信したりするように設置される請求項15又は16に記載の裸線表面波無線カバレッジシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、結合装置、表面波結合方法及び裸線表面波無線カバレッジシステムに関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
より高品質、より高解像度、より高速な応答速度のコンテンツに対する需要が高まるにつれて、第5世代(5th-Generation、5G)通信技術が登場し、それは、新しい技術を多く含み、そのうち、多入力・多出力(Multiple Input Multiple Output、MIMO)、ビームフォーミング(Beam forming)、ミリ波通信等の重要な技術を含む。そのうち、ミリ波通信技術とは、主に、波長の単位がミリである電磁波(周波数30GHz~300GHz)を基地局がネットワークにアクセスするためのキャリアとして利用する通信技術であり、当該技術は、主に高主周波数による高帯域幅のリソースを利用してデータの伝送速度を向上させる。
【0003】
関連技術には、裸線を使用して信号伝送を行う方式が提供されており、そのうち、電力線等を含む架空ケーブルは裸線(Open wire)と呼ばれる。電力線等の表面を伝送する表面波(即ち、裸線表面波)を利用して信号を携帯する方式は裸線表面波無線カバレッジ方式と呼ばれる。裸線表面波無線カバレッジ方式の核となるものは、マイクロ基地局から裸線弱拘束表面波へのマイクロ波及びミリ波信号の結合である。しかし、裸線の断面サイズが比較的大きい場合(例えば、直径D>λ、ここで、λは設計波長である)、裸線の表面波モードが縮退されやすくなり、且つ導波モードとこれらのモードの間の結合作用が極めて弱く、誘電体材料の電気的性能パラメータの加工差が結合係数に近くなるため、その結果、導波管による直接結合の方法及び幾何光学による端面結合の方法を利用しても、これらのモードを効果的に結合することは困難になる。裸線に指定された弱拘束表面波モードを効果的に結合できない場合、1)エネルギーの効果的な伝送を低下させてしまい(裸金属線を結合する場合)、2)エネルギーの効果的な伝送を低下させ、複数のモードの存在によってクロストークが生じてしまう(グーボー線路(Goubau line)を結合する場合)。殆どの架空裸線では、断面径がミリ波の波長よりも大きいため、マイクロ波、特にミリ波の周波数帯域にある電磁波に対して、エネルギーの効果的な伝送を向上させ、クロストークを低減するソリューションを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の少なくとも1つの実施例は、エネルギーの効果的な伝送を向上させ、クロストークを低減する結合装置、表面波結合方法及び裸線表面波無線カバレッジシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例には、結合装置が提供され、
エミッターからの第1電磁波を結合して、プリセット高次導波モードで伝搬する第2電磁波を形成するように設置される高次モード直接結合モジュールと、
前記第2電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第3電磁波に変換するように設置されるモード変換フィルタリングモジュールであって、前記複数の導波モードは、プリセット低次導波モード及び少なくとも1つの高次導波モードを含み、前記第3電磁波における高次導波モードをフィルタリングして、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第4電磁波を取得するモード変換フィルタリングモジュールと、
前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換するように設置されるモードマッチングモジュールとを備える。
【0006】
本発明の一実施例には、結合装置が提供され、
目標導波モードで伝搬する第6電磁波を、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第7電磁波に変換するように設置されるモードマッチングモジュールと、
前記第7電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第8電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット高次導波モードを含み、且つ、前記モードマッチングモジュールに反射された高次導波モードをフィルタリングするように設置されるモード変換フィルタリングモジュールと、
前記第8電磁波のうちの、プリセット高次導波モードで伝搬する成分を、受信機に接続された導波管に結合するように設置される高次モード直接結合モジュールとを備える。
【0007】
本発明の一実施例には、表面波結合方法が提供され、
エミッターからの第1電磁波を結合して、プリセット高次導波モードで伝搬する第2電磁波を形成することと、
前記第2電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第3電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット低次導波モード及び少なくとも1つの高次導波モードを含み、前記第3電磁波における高次導波モードをフィルタリングして、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第4電磁波を取得することと
前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換することと、を含む。
【0008】
本発明の一実施例には、表面波結合方法が提供され、
裸線の表面を目標導波モードで伝搬する第6電磁波を、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第7電磁波に変換することと、
前記第7電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第8電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット高次導波モードを含み、且つ、前記モードマッチングモジュールに反射された高次導波モードをフィルタリングすることと、
前記第8電磁波のうちの、プリセット高次導波モードで伝搬する成分を、受信機に接続された導波管に結合することと、を含む。
【0009】
本発明の一実施例には、裸線表面波無線カバレッジシステムが提供され、少なくとも1つのマイクロ基地局及び複数の上記のいずれかに記載の結合装置を含み、前記マイクロ基地局は、導波管を介して少なくとも1つの前記結合装置に接続されており、そのうち、
前記マイクロ基地局は、導波管を介して情報を搬送した電磁波を前記マイクロ基地局に接続された結合装置に送信し、且つ、前記マイクロ基地局に接続された結合装置から情報を搬送した電磁波を取得するように設置され、
前記結合装置は、前記結合装置に接続されたマイクロ基地局から送信された情報を搬送した電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬するように前記裸線に結合し、且つ、前記裸線の表面に沿って伝搬する情報を搬送した電磁波を、前記結合装置に接続されたマイクロ基地局に結合するように設置される。
【発明の効果】
【0010】
関連技術と比べて、本発明の少なくとも1つの実施例において、プリセット高次モードに結合されてから、プリセット低次モード及び複数の高次モードの重畳に変換され、フィルタリングによりプリセット低次モードを取得することで、モードの純度が高く、エネルギーの効果的な伝送が向上し、クロストークが少なくなる。また、プリセット高次モードに結合された場合、導波管の加工誤差は、関連技術の直接結合又は端面結合の方法よりも結合効果に与える影響が少ない。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以降の明細書で説明され、その一部は、本明細書から明らかになるか、又は本発明を実施して理解することができる。本発明の目的及びその他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び添付の図面に特に記載された構造によって実現且つ取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明の技術考案に対する更なる理解を容易にするために使用され、明細書の一部を構成し、本出願の実施例と共に本発明の技術考案を説明するためのものであり、本発明の技術考案を限定するものではない。
【0013】
図1A図1Aは、裸線表面波無線カバレッジシステムにおけるバックホール方法及び伝送環境の模式図である。
図1B図1Bは、裸線表面波無線カバレッジシステムにおけるバックホール方法及び伝送環境の模式図である。
図2A図2Aは、裸線における幾つかの一般的な表面波モードのうちの1つの模式図である。
図2B図2Bは、裸線における幾つかの一般的な表面波モードのうちの1つの模式図である。
図2C図2Cは、裸線における幾つかの一般的な表面波モードのうちの1つの模式図である。
図3A図3Aは、従来の2つの表面波結合装置の1つである。
図3B図3Bは、従来の2つの表面波結合装置のもう1つである。
図3C図3Cは、クロストーク現象の模式図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施例に提供された結合装置の模式図である(送信)。
図4B図4Bは、本発明の一実施例に提供された結合装置の模式図である。
図4C図4Cは、本発明の一実施例に提供された結合装置の模式図である(受信)。
図5A図5Aは、本発明の一実施例に提供された表面波結合方法のフローチャートである。
図5B図5Bは、本発明の別の実施例に提供された表面波結合方法のフローチャートである。
図6A図6Aは、本発明の応用実施例に使用される幾つかの結合装置のうちの1つの模式図である。
図6B図6Bは、本発明の応用実施例に使用される幾つかの結合装置のうちの1つの模式図である。
図6C図6Cは、本発明の応用実施例に使用される幾つかの結合装置のうちの1つの模式図である。
図6D図6Dは、本発明の応用実施例に使用される幾つかの結合装置のうちの1つの模式図である。
図7図7は、本発明の1つの応用実施例に使用される裸線表面波無線カバレッジシステムの模式図である。
図8図8は、本発明の1つの応用実施例に使用される鉄道裸線表面波無線カバレッジシステムの模式図である。
図9図9は、本発明の一実施例に提供された裸線表面波無線カバレッジシステムのブロック図である。
図10図10は、本発明の別の実施例に提供された裸線表面波無線カバレッジシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、技術考案及び利点をより明確にするために、以下、添付の図面を合わせて本発明の実施例を詳細に説明する。なお、矛盾しない場合、本出願の実施例及び実施例における特徴は、互いに任意に組み合わせることができる。
【0015】
なお、平行という用語は、通常、実際のシステムにおいて常に確実に実現できない幾何学的構造である。従って、本出願に開示された実施例を説明するために使用される場合、本出願における平行という用語は確実な配置ではなく、近似を表し、即ち、本出願に記載の平行は精確な平行及び近似平行を含む。
【0016】
次に、図面を参照しながら1つ又は複数の実施例を説明する。図面において、同一の符号は常に同一の要素を指すために使用される。以下の説明では、各実施例に対する徹底的な理解を提供するために、多くの具体的な細部が記載されている。
【0017】
基地局のバックホール通信の分野において、従来の電力供給システムが使用されており、マイクロ基地局を電柱に配置し、隣接する電柱における基地局はそれらの間の電力線又は電話回線等の他のケーブルを介してバックホールを行う。リターン信号のキャリアは電力線(又は他のケーブル)の表面を伝送するミリメートル波帯域の表面波であり、当該表面波は、低損失、低分散及び高帯域幅の特徴を有するため、経済的で効果的なミリ波マイクロ基地局配置方式である。実際には、電力線だけでなく、外層が絶縁体又は空気であるケーブルの表面は、幾つかの周波数帯域でいずれも低損失、低分散の表面波が存在し、このような「オープン」ケーブルを裸線(Open wire)と呼ぶことができ、このようなケーブルにおける表面波を裸線表面波と呼ぶことができる。本明細書では、裸線表面波を用いたバックホール方式を裸線表面波無線カバレッジ方式と呼ぶ。このようなカバレッジ方式は、高帯域幅、広カバレッジ、容易な配置等の優位性を有し、比較的競争力があるミリ波配置方式の1つである。
【0018】
裸線における弱拘束表面波モード、例えば裸金属線にとっては、ゾンマーフェルト波が挙げられ、又は、絶縁層を備えたグーボー線路にとっては、周波数がカットオフ周波数に近いTM01、EH11、TE01及びHE11等の低次モードが挙げられ、これらは、低損失の特性を有し、特にマイクロ基地局間の接続を確立することに適用されることができる。これは、裸線表面波無線カバレッジ方式を実現可能な基礎である。
【0019】
関連技術において、主な実現方法は、導波管結合、及び幾何光学の原理を利用した端面結合という2つの方法が挙げられる。導波管結合とは、互いに近接する2つの導波管におけるモードの結合作用を利用して電磁波を1つの導波管におけるモードからもう1つの導波管におけるモードに結合させることである。端面結合とは、直接に電磁波を導波管の端面に照射して、当該電磁波を端面における合わせた指定のモードに結合することである。
【0020】
ここで、図1を参照して、図1には、裸線表面波無線カバレッジ方式におけるマイクロ波及びミリ波信号のバックホール方法100及び伝送環境110、120の非限定的な実施例が記載されている。
【0021】
まず、図1Aを参照して、100は、裸線表面波無線カバレッジ方式におけるマイクロ波及びミリ波信号のバックホール方法の非限定的な実施例を示している。変調情報を搬送したマイクロ波及びミリ波信号は、指定された弱拘束表面波モード104で裸線101を伝搬し、結合装置102を介してマイクロ基地局103に結合される。マイクロ基地局103は、裸線101の支持柱105(例えば、電柱)に取り付けられ、その機能は102からのマイクロ波及びミリ波信号を処理することであり、処理方法は、増幅、フィルタリング、復調、干渉補正等を含む。そして、結合装置102を介して、マイクロ基地局103は、処理されたマイクロ波及びミリ波信号を次段の裸線101に結合する。類似するプロセスにより、マイクロ波及びミリ波信号は裸線に沿って伝送され、且つ支持柱をノードとして無線カバレッジを提供することができる。
【0022】
次に、図1Bを参照して、110、120は、マイクロ波及びミリ波の伝送環境、即ち裸線の一般的な2つの非限定的な実施例を示している。裸線断面110は、裸金属線の場合を指す。このようなケーブルは、裸金属線111と金属の外側の空気からなっている。ケーブル断面構造120は、外層に絶縁層を備える場合、即ちグーボー線路(Goubau line)を指す。このような構造は、裸金属線121と空気との間に絶縁材料122を設置して、漏電を防止し且つ放射エネルギーの損失を低減する。上述した2つのケーブル110、120はそれぞれ異なるシナリオに適用され、これらの2つのケーブルについて、最適な伝送モードが異なるため、異なる使用シナリオにおけるケーブルの具体的な形態を考慮して適切な伝送モードを選択する必要がある。
【0023】
ここで、図2を参照して、図2には、裸金属線及びグーボー線路におけるモードが示されている。
【0024】
図2Aにおける210は、裸線が裸金属線である場合、リード線の横断面における低損失拘束表面波モードの横方向電界の強度及び方向分布を示し、ここで、矢印の長さは強度を表す。当該モードについては、角度方向において対称的である特性を有し、且つ横断面における電界の方向は径方向に沿って金属表面に垂直であり、その強度は、径方向に沿って金属線に近い領域で1/rの形で減衰し、金属線から離れた領域で指数関数的に減衰する。当該モードは、最初にArnold Sommerfeldによって提出されているため、ゾンマーフェルト波(Sommerfeld wave)とも呼ばれる。金属線の近くにおいて径方向に沿って1/rの形で減衰する特性を有するため、ゾンマーフェルト波は、TEMモードと類似し、準TEMモードとも呼ばれる。ゾンマーフェルト波の等価屈折率は1より大きいが1に非常に近く、即ち、伝搬波数ベクトルは真空波数ベクトルk0よりも大きいが真空波数ベクトルk0に非常に近く、ゾンマーフェルト波の横断面における減衰が遅いため、モードフィールドは大きく、伝送損失は非常に小さい。1つの例として、金属線は銅製で半径が1cmの場合、10GHzと100GHzの間のゾンマーフェルト波のオーム損は-30dB/kmを超えなく、電柱の間の距離が通常25mであることを考慮すると、当該損失は無視できる。
【0025】
裸金属線における他のモード(例えば、HE10モード)の等価屈折率は1未満であり、放射モードに該当し、これは、これらのモードが裸線に沿って伝送する過程において放射が発生して損失を引き起こしてしまうことを意味する。このような状況は、電磁波が自由空間を伝搬することと類似し、これらの放射モードの送受信過程はアンテナを介して送受信する過程と似ており、その損失は空間パス損失及びアンテナ利得に依存する。
【0026】
ここで、電力線はグーボー線路120である場合を考慮する。このような絶縁層を備えた金属ケーブルはGeorge J.E. Goubauによって最初に金属線におけるマイクロ波信号の伝送を改良するために使用されるため、グーボー線路と呼ばれる。
【0027】
図2Bは、TM00モード220の電界強度と方向分布を示し、ここで、矢印の長さは強度を表す。TM00モード220は、裸線におけるゾンマーフェルト波210の分布と類似しており、角度方向において対称的である特性を有し、且つ電界の方向が径方向に沿って金属表面に垂直である。
【0028】
図2Cは、HE10モード230の電界強度と方向分布を示し、ここで、矢印の長さは強度を表す。HE10モード230とTM00モード220との相違点は、フィールド分布が角度方向に沿って1サイクルの振動を有する点にある。これ以外に、HE10モード230の分布特性はTM00モード220とほぼ同じであり、電界は基本的に径方向に沿って分布し、且つ金属表面に垂直である。
【0029】
上記の2つのモードに加えて、グーボー線路には他のモードがあるが、ここで再び説明しない。
【0030】
グーボー線路の外側の絶縁層は一般的に損失が発生し、絶縁材料の誘電損失はマイクロ波及びミリ波の周波数帯域で比較的に大きい。1つの非限定的な実施例として、裸線は電力線であり、電柱の間隔は25mであり、電力線によく使用される絶縁層の材料であるポリエチレンの誘電率及び損失正接はそれぞれ2と0.001である。30GHzでは、当該材料自体の誘電損失は3.86dB/mである。25mの損失は-100dBに近い。絶縁層が厚くて波長が短い場合、グーボー線路におけるモード損失はこの値に近くなる。しかし、キャリア波周波数がグーボー線路の特定のモードのカットオフ周波数に近い場合、モードフィールドは徐々に誘電体層から分離して、空気中に大量に分布するようになり(ゾンマーフェルト波210と類似するモード拡散特性を有し)、この時、このカットオフモードに近づく伝送に対する誘電損失の影響は小さくなる。このような表面波を弱拘束表面波と呼ぶ。このような周波数がカットオフ周波数に近い弱拘束表面波は、損失が小さく、裸線における信号のリターンに用いられることができる。たとえば、金属の半径が1cmで、ポリエチレン絶縁層の厚さが5mmである場合、周波数が17~20GHzにある際のTE01モード又は周波数が31~33GHzにある際のTM01モードは、このような弱拘束及び低損失の特性を有する。
【0031】
多層絶縁層を有する裸線におけるモードは、単層絶縁層を有するグーボー線路におけるモードと類似しており、カットオフ周波数に近い場合、弱拘束表面波が存在する。これらの弱拘束表面波モードの伝送周波数及びフィールド分布には、不確実性がある。ケーブルごとに、異なる種類の弱拘束表面波が存在する。従って、マイクロ波及びミリ波信号をマイクロ基地局から電力線に結合する結合装置は、特定の裸線における特定の弱拘束表面波を励起する必要があり、即ち、結合装置は結合しようとするモードに対する広範な適用性を有する必要がある。
【0032】
一般的に、マイクロ基地局間のバックホールに使用される弱拘束表面波は、低次モードであり、例えば、裸金属線におけるゾンマーフェルト波210及びグーボー線路におけるTM00モード220又はHE10モード230である。これらの低次の弱拘束表面波モードを結合しようとすると、1つの避けられない問題は、特に電力線の寸法が大きい場合(例えば、半径D>λ)におけるこれらのモード間のモード縮退効果である。裸線におけるモード縮退とは、複数の固有電磁モードの固有値が対応する伝送定数に非常に近いことであり、従来の直接結合法を利用して励起する場合、これらの固有モードを同時に励起して混合モードを形成し、指定された固有モードを励起することができない。図3A及び図3Bに示された2つの従来の表面波結合方法はこのような効果を反映する。
【0033】
図3Aの模式図に示される結合器300は、導波管直接結合方法を採用している。導波管直接結合とは、互いに近接した2つの導波管におけるモードの結合作用を利用して電磁波を1つの導波管におけるモードから別の導波管におけるモードに結合させることである。図3Aにおいて、主基地局又はマイクロ基地局からのマイクロ波又はミリ波信号311が誘電体導波管302を介して裸線302における複数のモードと直接に結合された結果、混合モード312が励起されている。この混合モード312は非対称分布の特性を有することが分かる。実際には、混合モード312は、当該裸線の固有モードではなく、複数の固有表面波モードを含む。これは、これらの低次固有モードの固有値が近くて縮退しているからである。特定の周波数帯域では、特定のモードのみが低損失伝送の特性を有するため、混合モード312の存在は、必然的に伝送エネルギーの無駄に繋がっている。
【0034】
図3Bの模式図に示される結合器320は、幾何光学を用いた端面結合の方法を採用している。端面結合とは、直接に電磁波を導波管の端面に照射して、当該電磁波を端面における合わせた指定のモードに結合することである。図3Bにおいて、主基地局又はマイクロ基地局からのマイクロ波又はミリ波信号311は、誘電体導波管321及び誘電体レンズ322を介して、裸線に対して45°で配置されたレフレクター323の中心付近に収束され、レフレクター323の反射によって、マイクロ波及びミリ波信号は裸線302における複数の表面波モードと端面結合されて混合モード332を形成する。同様に、混合モード332には、複数の表面波固有モードが含まれ、これは、これらの低次固有モードの縮退によるものである。特定の周波数帯域では、特定のモードのみが低損失伝送の特性を有するため、混合モード312の存在は、必然的に伝送エネルギーの無駄に繋がっている。
【0035】
複数の表面波固有モードが含まれているため、このような混合モード312及び混合モード332が裸線を伝搬する際に、ある場合にクロストーク現象が発生してしまう。このようなクロストーク現象を生じさせた原因は、混合モード312及び混合モード332における複数の表面波固有モードの固有値が伝搬定数と非常に近いが、完全に等しいものではないことである。従って、これらの固有モードは、数千波長の伝送の後に位相差が変化し、それによって、非対称混合モード312と混合モード332の分布に影響を及ぼす。このようなクロストーク現象は受信側の信号品質に影響を及ぼしてしまう。
【0036】
図3Cの模式図は、クロストーク現象の非限定的な実施例である。裸線302はグーボー線路であり、混合モード351は主に裸線302の開始端の上方に集中しており、2つの固有モード352、353の同相重畳として表すことができる。固有モード352、353の伝搬定数にわずかな違いがあるため、数千波長の伝送の後、開始端の2つの固有モード352、353は、それぞれ終端の固有モード355、356に変換され、この時、固有モード355、356はその位相が逆であり、混合モード354として重畳されており、当該混合モード354は主に裸線の下方に集中している。この現象は即ちクロストーク現象である。表面波直接結合装置300が裸線の開始端と終端のいずれにおいても裸線の上方に位置すると仮定すると、終端の混合モード354は終端の直接結合装置に結合されることは困難になると考えられる。
【0037】
勿論、裸線の下方にある混合モード354は、一定の距離で伝送した後、類似するプロセスを経て裸線の上方に移行できるが、各固有モードの伝送定数が不明であるため、混合モード351、354の裸線に沿った分布を予測することは困難になる。従って、裸線302にクロストークが発生してしまうと、それによって齎された影響を解消することは困難になる。
【0038】
図3Cに示される欠点に加えて、低次弱拘束表面波モードに対する直接結合及び端面結合にも、弱い結合効果及びそれによるエンジニアリング上の非効果的な結合が存在する。グーボー線路の例として、金属線の材料が銅で、半径が1cmで、絶縁層がポリエチレンで、厚さが5mmで、周波数が20GHzである場合、TE01モードとHE11モードの伝搬定数は約1%異なる。屈折率がその両者の等価屈折率に近い発泡材料を直接使用して誘電体導波管を構成して結合する場合、この発泡材料を大量に加工する必要があり、その屈折率の誤差は1%未満である必要があり、そうでなければ、元々TE01モードを結合するように設計された発泡材導波管はHE11モードを結合してしまい、伝送特性に影響を及ぼしてしまう。
【0039】
図4Aに示されるように、本発明の一実施例には、結合装置が提供され、
エミッターからの第1電磁波を結合して、プリセット高次導波モードで伝搬する第2電磁波を形成するように設置される高次モード直接結合モジュール410と、
前記第2電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第3電磁波に変換するように設置されるモード変換フィルタリングモジュールであって、前記複数の導波モードは、プリセット低次導波モード及び少なくとも1つの高次導波モードを含み、前記第3電磁波における高次導波モードをフィルタリングして、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第4電磁波を取得するモード変換フィルタリングモジュール420と、
前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換するように設置されるモードマッチングモジュール430とを備える。
【0040】
本発明の実施例に提供された結合装置は、プリセット高次導波モードに結合されてから、プリセット低次導波モード及び複数の高次導波モードの重畳に変換され、フィルタリングによりプリセット低次導波モードを取得した後に、裸線表面波に結合される。モードの純度が高いため、結合時のエネルギーの効果的な伝送が向上し、クロストークが少なくなる。また、高次モード直接結合モジュール410で結合されるのは、プリセット高次導波モードであり、当該プリセット高次導波モードのモード独立性が強い(当該プリセット高次導波モードの伝搬定数又は固有値がその近傍にあるモードの伝搬定数又は固有値と明らかに異なっている)。導波管結合は、共振条件を達成するように、結合に関与する導波管のそれぞれのモードの伝搬定数が一致することを必要とする。縮退状態での目標導波モードを直接結合することと比較して、当該プリセット高次導波モードを結合する際に、結合作用に関与する導波管の加工誤差(材料誤差及び寸法誤差を含む)による伝送定数偏差がプリセット高次モードとその付近にあるモードとの伝送定数偏差の間の偏差を超えにくくなり、プリセット高次モードのモード純度を確保することができる。従って、プリセット高次導波モードに結合された場合、導波管の加工誤差は、関連技術の結合方法よりも結合効果に与える影響が少ない。
【0041】
そのうち、目標導波モードは、弱拘束表面波モードであり、ゾンマーフェルト波、TM01モード、EH11モード、TE01モード、HE11モード等を含むが、これらに限定されなく、必要に応じて目標導波モードを設定することができる。
【0042】
そのうち、プリセット高次導波モードは必要に応じて設定されることができ、例えば角度方向高次モードが挙げられ、金属同軸導波管(表面で金属層が被覆されている)にとっては、TEmn及びTMmnにおける角度方向波数指標mの値が大きいモードであり、表面で絶縁層が被覆されている同軸導波管にとっては、HEmn及びEHmnにおける角度方向波数指標mの値が大きいモードである。
【0043】
そのうち、プリセット低次導波モードは目標導波モードに応じて設定されることができ、例えば角度方向低次モードが挙げられ、金属同軸導波管にとっては、TEmn及びTMmnにおける角度方向波数指標mの値が小さいモードであり、TEMモードを含み、表面で絶縁層が被覆されている金属導波管にとっては、HEmn及びEHmnにおける角度方向波数指標mの値が小さい場合であり、TM0nモード及びTE0nモードを含む。
【0044】
そのうち、プリセット高次導波モードは、例えば、角度方向高次伝導モードであり、複数の導波モードは、例えば、角度方向低次伝導モード及び角度方向高次カットオフモードの重畳である。モード変換フィルタリングモジュール420は、角度方向高次カットオフモードを減衰且つ反射し、角度方向低次伝導モードをフィルタリングにより取得する。伝導モードとは、導波管の伝搬方向において伝送特性を有する非カットオフモードであり、カットオフモードとは、導波管の伝搬方向において指数関数的に減衰するモードである。
【0045】
一実施例では、前記高次モード直接結合モジュール410は、互いに近接又は密着する柱状導波管及び第1同軸導波管を含み、そのうち、前記柱状導波管は前記第1同軸導波管と平行であり、前記柱状導波管の2つの端面はそれぞれ前記第1同軸導波管の2つの端面と位置合わせされ、前記第1同軸導波管は前記裸線を包んでいる。エミッターは1つの導波管(例えば、誘電体導波管)を介して柱状導波管に接続され、エミッターから送信された電磁波は、導波管を介して柱状導波管(その伝搬モードは通常電磁波基本モード、例えばTE11モードである)に伝送され、第1同軸導波管に直接結合方法により結合されてプリセット高次導波モードで伝搬される。導波管における導波モードは導波管の形状と材質に依存するため、第1同軸導波管の寸法と材質は、プリセット高次導波モードに基づいて決定することができる。
【0046】
一実施例では、前記モード変換フィルタリングモジュールは、電磁性能パラメータが角度方向に周期的に分布しているリンググリッドと第2同軸導波管を含み、前記リンググリッドは、前記第1同軸導波管と前記第2同軸導波管との間に位置し、そのうち、前記リンググリッドの端面の大きさは、前記第1同軸導波管の端面の大きさと同じであり、前記第2同軸導波管の端面の大きさは前記第1同軸導波管の端面の大きさと同じであり、前記リンググリッドの軸心は、第1同軸導波管及び第2同軸導波管の軸心と一致しており、前記リンググリッドと前記第2同軸導波管とは、前記裸線を包んでおり、前記リンググリッドの端面は、前記第2同軸導波管の端面に近接又は密着し、前記リンググリッドの端面は、前記第1同軸導波管の端面に近接又は密着する。なお、リンググリッドの端面は、第1同軸導波管の端面よりも大きくなってもよい。前記第2同軸導波管の寸法と材質は、除外する必要のある高次導波モードに従って決定される。前記リンググリッドは、例えば、角度方向に周期的に分布する扇形の銅箔で構成される金属格子であり、前記第2同軸導波管は、例えば、その比誘電率が第1同軸導波管に充填された誘電体材料の比誘電率よりもできるだけ小さく且つ真空の比誘電率1にできるだけ近い材料(空気、発泡体等)で充填され、これによって、プリセット低次導波モード以外の高次モードを可及的に遮断して、モードフィルタリング効果を実現する。
【0047】
一実施例では、前記リンググリッドのサイクル数は、前記プリセット高次導波モード及び前記目標導波モードに従って決定される。例えば、リンググリッドのサイクル数は、前記プリセット高次導波モードの角度方向指標数値から、前記目標導波モードの角度方向指標数値を差し引くことによって決定できる。
【0048】
一実施例では、前記電磁性能パラメータは、透過率と位相差の少なくとも1つを含む。例えば、リンググリッドの透明度は4サイクルで変化し、若しくは、リンググリッドにおける隣接する2つの領域の位相は逆である。
【0049】
一実施例では、前記柱状導波管の表面は、絶縁層又は金属層であり、即ち、誘電体からなる誘電体導波管、又は内部が誘電体であって、表面に金属層が覆われている中空導波管である。前記第1同軸導波管の表面は、絶縁層又は金属層であり、即ち、内面は金属層であり、中間は誘電体層であり、外面は金属層であるか、又は内面の金属層と誘電体層のみがある。前記第2同軸導波管の表面は金属層であり、即ち、内面は金属層であり、中間は誘電体層であり、外面は金属層である。なお、柱状導波管の表面が金属層であり、第1同軸導波管の表面が金属層である場合、柱状導波管と第1同軸導波管とが互いに近接した領域には、スロットが存在する。
【0050】
上記の実施例では、柱状導波管、第1同軸導波管、リンググリッド及び第2同軸導波管の金属層は、銅箔、アルミニウム箔、金箔、銀箔等であってもよく、誘電体層は、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テフロン(登録商標)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンーテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)及びセラミック等のマイクロ波及びミリ波周波数帯域でよく使用される誘電体材料である。そのうち、第2同軸導波管における誘電体層材料の誘電率は、第1同軸導波管における誘電体層材料よりも小さく且つできるだけ1に近く、発泡体及び空気であってもよい。
【0051】
一実施例では、前記モードマッチングモジュールが前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換することは、前記モードマッチングモジュールが前記第4電磁波を前記裸線に平行な方向に伝搬する第5電磁波に変換することを含む。即ち、第4電磁波を裸線に平行なビームに変換し、モードマッチングモジュールは第4電磁波の伝搬方向のみを変更するため、プリセット低次導波モードと目標導波モードの間には一定の相関関係があり、例えば、目標導波モードがゾンマーフェルト波又はTM00モードである場合、プリセット低次導波モードはTEMモードであり、又は、例えば、目標導波モードがHE10モードである場合、プリセット低次導波モードはTE10モードであり、又は、例えば、目標導波モードがHE20モードである場合、プリセット低次導波モードはTE20モード等である。
【0052】
一実施例では、前記モードマッチングモジュールは角度方向において対称的であるレンズを含み、前記レンズは、前記裸線を収容するための円柱状の孔を含み、前記レンズの軸心、前記円柱状の孔の軸心は第2同軸導波管の軸心と一致しており、前記レンズは、第2同軸導波管に近くて、前記リンググリッドから離れており、前記第2同軸導波管の前記リンググリッドから離れた端面は前記レンズの焦点面に位置し、前記レンズの第2同軸導波管に近い端面の大きさは前記第2同軸導波管の端面の大きさと同じである。なお、前記レンズの端面は、前記第2同軸導波管の端面よりも大きくされてもよく、且つ前記第2同軸導波管の端面への正投影が前記第2同軸導波管の端面を完全に覆う。
【0053】
一実施例では、前記レンズは、前記第2同軸導波管から離れた端面が突起したレンズであり、又はフレネルレンズであり、又はフレネルゾーンプレートである。レンズ及びフレネルレンズは、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テフロン(登録商標)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンーテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、セラミック及び発泡体等のマイクロ波及びミリ波周波数帯域でよく使用される誘電体材料を用いることができる。フレネルゾーンプレートは、銅箔、アルミニウム箔、金箔、銀箔等を含む金属層から構成されることができる。なお、上記の第1同軸導波管、第2同軸導波管、リンググリッド、レンズの内径は、それらが包んだ裸線の外径と一致するか、又は上記の裸線よりも僅かに大きい。
【0054】
一実施例では、前記第1電磁波は、マイクロ波又はミリ波信号である。
【0055】
また、当該結合装置は、当該結合装置の各モジュールの位置を固定するように設置される固定モジュールを含んでもよく、固定モジュールは、例えば、上記の各モジュールの外面で覆われている発泡層である。
【0056】
図4Bは、本発明の一実施例に提供された結合装置の模式図であり、図4Bに示されるように、
一定の誘電率を有する誘電体で充填された柱状導波管411と、一定の誘電率を有する誘電体で充填されて、裸線を包む第1同軸導波管412とからなる高次モード直接結合モジュール410を含む。そのうち、柱状導波管411と第1同軸導波管412とは平行であり、両者の長さが同じであり、柱状導波管411と第1同軸導波管412の2つの端面はそれぞれ位置合わせされている。第1同軸導波管の材料及び寸法は、プリセット高次導波モードに従って決定される。高次モード直接結合モジュール410は、前記柱状導波管における電磁波の基本モードを前記同軸導波管又はグーボー線路における角度方向高次導波モード(即ち、プリセット高次導波モード)に結合する機能を果たす。別の実施例では、柱状導波管411及び第1同軸導波管412の長さも異なっていてもよい。なお、図4Bに示される柱状導波管411は円形であるが、他の実施例では、柱状導波管411は他の形状(例えば、四角形等)であってもよい。
角度方向に周期的に分布したリンググリッド421及びその直後のモードローパスフィルタリング導波管422(即ち、第2同軸導波管)からなるモード変換フィルタリングモジュール420を含む。上記の角度方向に周期的に分布したリンググリッド421の電磁性能パラメータ(例えば、透過率と位相差)は、角度方向において周期的に分布しており、リンググリッド421のサイクル数(又はトポロジー電荷とも呼ばれる)は、目標導波モードに従って決定される。リンググリッド421は、電磁性能パラメータの角度方向における周期的分布により、前記高次モード直接結合モジュール410に励起された角度方向の高次導波モードに対して振幅及び位相の角度方向における周期的変調を行い、それによって、角度方向の低次導波モードと角度方向の高次カットオフモードの重畳に変換され、その直後のモードローパスフィルタリング導波管422は角度方向の高次カットオフモードを減衰且つ反射し、角度方向の低次導波モードをフィルタリングにより取得する。
径方向空間変調構造431をモードマッチングモジュール430として機能する。径方向空間変調構造431は、例えば、誘電率が角度方向に対称的で、径方向に変化する材料であり、又は、寸法が角度方向に対称的で、径方向に変化する「半球形類似」構造であり、又は、角度方向に対称的で、径方向が周期的に配列された格子構造である。上記の径方向空間変調構造431はモード変換フィルタリングモジュール420によってフィルタリングされた上記の角度方向の低次導波モードを目標導波モードに変換する。
【0057】
なお、図4Bは、結合装置の一例に過ぎず、例えば、一実施例では、第1同軸導波管412、リンググリッド421、モードローパスフィルタリング導波管422は、裸線を包むことなく、裸線の外に配置されてもよく、モードマッチングモジュール430は、図4Bに示されるレンズではなく、図3Bに示される構造を参照して、モードローパスフィルタリング導波管422からの電磁波を収束した後に、ミラーを介して裸線表面440に送信してもよい。
【0058】
また、本実施例では、第1同軸導波管412、リンググリッド421、モードローパスフィルタリング導波管422の隣接する端面は、いずれもその形状、大きさが同じであり、別の実施例では、端面の形状、大きさが異なっていてもよい。
【0059】
モード変換フィルタリングモジュールがプリセット低次導波モード以外の高次モードを効果的にフィルタリングして、最終的に純粋な導波モードを得ることができるため、当該結合装置は、目標導波モードに対する効率的な励起を実現できると考えられる。
【0060】
パッシブデバイスの相互性に応じて、上記の結合装置は電磁波を受信し、裸線における電磁波を受信機に結合することにも用いられることができる。図4Cに示されるように、本発明の一実施例には、結合装置が提供され、
目標導波モードで伝搬する第6電磁波を、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第7電磁波に変換するように設置されるモードマッチングモジュール440と、
前記第7電磁波を、プリセット高次導波モードの複数の重畳を含む導波モードで伝搬する第8電磁波に変換し、且つ、前記モードマッチングモジュールに反射された高次導波モードをフィルタリングするように設置されるモード変換フィルタリングモジュール450と、
前記第8電磁波のうちの、プリセット高次導波モードで伝搬する成分を、受信機に接続された導波管に結合するように設置される高次モード直接結合モジュール460とを備える。
電磁波は導波管を介して受信機に送信される。上記の送信機と受信機は、例えばマイクロ基地局等の、送受信可能な同じデバイスに配置されることができる。
【0061】
モードマッチングモジュール440、モード変換フィルタリングモジュール450及び高次モード直接結合モジュール460の構成について、前述した実施例におけるモードマッチングモジュール430、モード変換フィルタリングモジュール420及び高次モード直接結合モジュール410をそれぞれ参照することができるため、ここで再び説明しない。
【0062】
なお、電磁波を送信するための結合装置と電磁波を受信するための結合装置とは異なっていてもよい。
【0063】
図5Aに示されるように、本発明の一実施例には、表面波結合方法が提供され、
エミッターからの第1電磁波を結合して、プリセット高次導波モードで伝搬する第2電磁波を形成するステップ501Aと、
前記第2電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第3電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット低次導波モード及び少なくとも1つの高次導波モードを含み、前記第3電磁波における高次導波モードをフィルタリングして、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第4電磁波を取得するステップ502Aと、
前記第4電磁波を、裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬する第5電磁波に変換するステップ503Aと、を含む。
【0064】
本発明の実施例に提供された結合方法は、電磁波を変換且つフィルタリングして、比較的純粋な導波モードを取得してから、裸線に結合し、これにより、エネルギーの効果的な伝送を向上させ、クロストークを低減する。
【0065】
パッシブデバイス及びシステムの相互性を利用して、図4Aに示される結合装置は受信に利用し、裸線に指定された表面波モードを受信機に結合することができる。ここで使用される方法は、図5Aに示される方法の逆のプロセスである。図5Bに示されるように、本発明の一実施例には、表面波結合方法が提供され、
裸線の表面を目標導波モードで伝搬する第6電磁波を、前記プリセット低次導波モードで伝搬する第7電磁波に変換するステップ501Bと、
前記第7電磁波を、重畳された複数の導波モードで伝搬する第8電磁波に変換し、前記複数の導波モードは、プリセット高次導波モードを含み、且つ、前記モードマッチングモジュールに反射された高次導波モードをフィルタリングするステップ502Bと、
前記第8電磁波のうちの、プリセット高次導波モードで伝搬する成分を、受信機に接続された導波管に結合するステップ503Bと、を含む。
【0066】
以下、本発明の実施例を応用実施例により説明する。
【0067】
応用実施例1
図6Aは、本発明に提供された結合装置の1つの応用実施例である。目標導波モードは裸金属線におけるゾンマーフェルト波210又はグーボー線路におけるTM00モード220であると仮定すると、結合装置は次の部分から構成できる:ポリエチレンで充填された金属中空導波管6101(即ち、前述した実施例における柱状導波管411)、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6102(即ち、第1同軸導波管)、金属(例えば、銅箔)から構成される、透明度が角度方向において4サイクルで変化するリンググリッド6103、空気で充填されたリンググリッド6103の直後の金属同軸導波管6104(即ち、第2同軸導波管)、ポリエチレン材料で加工される角度方向において対称的であるレンズ6105及び裸線6106。そのうち、ポリエチレンで充填された金属中空導波管6101とポリエチレンで充填された金属同軸導波管6102は高次モード直接結合モジュール410を構成し、リンググリッド6103と空気で充填されたリンググリッド6103の直後の金属同軸導波管6104はモード変換フィルタリングモジュール420を構成し、ポリエチレン材料で加工される角度方向において対称的であるレンズ6105はモードマッチングモジュール430を構成する。基地局又はマイクロ基地局からのマイクロ波及びミリ波は、当該結合装置において次のプロセスを経る。
【0068】
高次モード直接結合モジュール410において、マイクロ波及びミリ波は、誘電体導波管(基地局又はマイクロ基地局に接続される)を介してポリエチレンで充填された金属中空導波管6101におけるメインモードであるTE11モード6111に結合され、直接にモードで結合することにより、金属中空導波管6101におけるTE11モード6111は、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6102におけるTE40モード6112に変換される。当該TE40モード6112は高次モードであり、モードの独立性が強いため、当該モードを結合することにより、優れたモード純度を得ることができ、充填材であるポリエチレンの電気的性能パラメータ及び導波管構造の加工誤差の結合効果に対する影響が少ない。
【0069】
モード変換フィルタリングモジュール420において、同軸導波管6102におけるTE40モード6112は、透明度が4サイクルで変化するリンググリッド6103を経た後、角度方向において対称的であるTEMモード及び角度方向におけるサイクル数が4の整数倍である高次モード、例えばTE40、TE80等に変換される。TEMモードを除いて、他のモードは、いずれも空気で充填された同軸金属導波管6104におけるカットオフモードに設計されるため、ポリエチレンで充填された同軸金属導波管6102まで戻るように反射される。その結果、空気で充填された同軸金属導波管6104の出口では、角度方向において対称的である純粋なTEMモード6113が得られる。
【0070】
モードマッチングモジュール430において、空間的フィルタリング後の角度方向における対称的なTEMモード6113は、空気で充填された同軸金属導波管6104を離れた後、回折により径方向に発散する。同軸金属導波管6104の出口をポリエチレン材料で加工される角度方向において対称的であるレンズ6105の焦点面に配置することにより、レンズ6105の収束反射プロセスを経て、TEMモード6113の径方向発散ビームは径方向平行ビーム6114に変換される。最後に、端面結合を経て、当該径方向平行ビーム6114は、裸線6106における指定されたゾンマーフェルト波210(裸線)又はTM00モード220(グーボー線路)に結合される。
【0071】
応用実施例2
図6Bは、本発明に提供された結合装置の別の応用実施例である。目標導波モードは依然として裸金属線におけるゾンマーフェルト波210又はグーボー線路におけるTM00モード220であると仮定すると、結合装置は次の部分から構成できる:ポリエチレンで充填された金属中空導波管6201、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6202、銅箔から構成される、透明度が角度方向において4サイクルで変化するリンググリッド6203、空気で充填されたリンググリッド6203の直後の金属同軸導波管6204、ポリエチレン支持材料を含み且つ角度方向において対称的であるフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6205及び裸線6206。そのうち、ポリエチレンで充填された金属中空導波管6201とポリエチレンで充填された金属同軸導波管6202は高次モード直接結合モジュール410を構成し、リンググリッド6203と空気で充填されたリンググリッド6203の直後の金属同軸導波管6204はモード変換フィルタリングモジュール420を構成し、ポリエチレン支持材料を含むフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレートからなるモジュール6205はモードマッチングモジュール430を構成する。基地局又はマイクロ基地局からのマイクロ波及びミリ波は、当該結合装置において次のプロセスを経る。
【0072】
高次モード直接結合モジュール410において、マイクロ波及びミリ波は、誘電体導波管を介してポリエチレンで充填された金属中空導波管6201におけるメインモードであるTE11モード6211に結合され、直接にモードで結合することにより、金属中空導波管6201におけるTE11モード6211は、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6202におけるTE40モード6212に変換される。当該TE40モード6212は高次モードであり、モードの独立性が強いため、当該モードを結合することにより、優れたモード純度を得ることができ、充填材であるポリエチレンの電気的性能パラメータ及び導波管構造の加工誤差の結合効果に対する影響が少ない。
【0073】
モード変換フィルタリングモジュール420において、同軸導波管6202におけるTE40モード6212は、透明度が4サイクルで変化するリンググリッド6203を経た後、角度方向において対称的であるTEMモード及び角度方向におけるサイクル数が4の整数倍である高次モード、例えばTE40、TE80等に変換される。TEMモードを除いて、他のモードは、いずれも空気で充填された同軸金属導波管6204におけるカットオフモードに設計されるため、ポリエチレンで充填された同軸金属導波管6202まで戻るように反射される。その結果、空気で充填された同軸金属導波管6204の出口では、角度方向において対称的である純粋なTEMモード6213が得られる。
【0074】
モードマッチングモジュール430において、空間的フィルタリング後の角度方向における対称的なTEMモード6213は、空気で充填された同軸金属導波管6204を離れた後、回折により径方向に発散する。同軸金属導波管6204の出口をポリエチレン支持材料を含むフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6205の焦点に配置することにより、フレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6205の収束反射プロセスを利用して、TEMモード6213の径方向発散ビームは径方向平行ビーム6214に変換される。最後に、端面結合を経て、当該径方向平行ビーム6214は、裸線6206におけるゾンマーフェルト波210(裸線6206が裸線である場合)又はTM00モード220(裸線6206がグーボー線路である場合)に結合される。
【0075】
応用実施例3
図6Cは、本発明に係る結合装置の別の応用実施例である。目標導波モードはグーボー線路におけるHE10モード230であると仮定すると、結合装置は次の部分から構成できる:ポリエチレンで充填された金属中空導波管6301、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6302、銅箔から構成される、透明度が角度方向において5サイクルで変化するリンググリッド6303、空気で充填されたリンググリッド6303の直後の金属同軸導波管6304、ポリエチレン材料で加工される角度方向において対称的であるレンズ6305及び裸線6306。そのうち、ポリエチレンで充填された金属中空導波管6301とポリエチレンで充填された金属同軸導波管6302は高次モード直接結合モジュール410を構成し、リンググリッド6303と空気で充填されたリンググリッド6303の直後の金属同軸導波管6304はモード変換フィルタリングモジュール420を構成し、ポリエチレン材料で加工される角度方向において対称的であるレンズ6305はモードマッチングモジュール430を構成する。基地局又はマイクロ基地局からのマイクロ波及びミリ波は、当該結合装置において次のプロセスを経る。
【0076】
高次モード直接結合モジュール410において、マイクロ波及びミリ波は、誘電体導波管を介してポリエチレンで充填された金属中空導波管6301におけるメインモードであるTE11モード6311に結合され、直接にモードで結合することにより、金属中空導波管6301におけるTE11モード6311は、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6302におけるTE40モード6312に変換される。当該TE40モード6312は高次モードであり、モードの独立性が強いため、当該モードを結合することにより、優れたモード純度を得ることができ、充填材であるポリエチレンの電気的性能パラメータ及び導波管構造の加工誤差の結合効果に対する影響が少ない。
【0077】
モード変換フィルタリングモジュール420において、同軸導波管6302におけるTE40モード6312は、透明度が5サイクルで変化するリンググリッド6303を経た後、TE10、TE40及びTE60等のモードの重畳に変換される。TE10モードを除いて、他のモードは、いずれも空気で充填された同軸金属導波管6304におけるカットオフモードに設計されるため、ポリエチレンで充填された同軸金属導波管6302まで戻るように反射される。その結果、空気で充填された同軸金属導波管6304の出口では、純粋なTE10モード6313が得られる。
【0078】
モードマッチングモジュール430において、空間的フィルタリング後のTE10モード6313は、空気で充填された同軸金属導波管6304を離れた後、回折により径方向に発散する。同軸金属導波管6304の出口をポリエチレン材料で加工される角度方向において対称的であるレンズ6305の焦点に配置することにより、レンズ6305の収束反射プロセスを利用して、TE10モード6313の径方向発散ビームは径方向平行ビーム6314に変換される。最後に、端面結合を経て、当該径方向平行ビーム6314は、裸線6306における指定されたHE10モードに結合される。
【0079】
応用実施例4
図6Dは、本発明に提供された結合装置の別の応用実施例である。目標導波モードはグーボー線路におけるHE10モード230であると仮定すると、結合装置は次の部分から構成できる:ポリエチレンで充填された金属中空導波管6401、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6402、銅箔から構成される、透明度が角度方向において5サイクルで変化するリンググリッド6403、空気で充填されたリンググリッド6403の直後の金属同軸導波管6404、ポリエチレン支持材料を含み且つ角度方向において対称的であるフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6405及び裸線6406。そのうち、ポリエチレンで充填された金属中空導波管6401とポリエチレンで充填された金属同軸導波管6402は高次モード直接結合モジュール410を構成し、リンググリッド6403と空気で充填されたリンググリッド6403の直後の金属同軸導波管6404はモード変換フィルタリングモジュール420を構成し、ポリエチレン支持材料を含み且つ角度方向において対称的であるフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6405はモードマッチングモジュール430を構成する。基地局又はマイクロ基地局からのマイクロ波及びミリ波は、当該結合装置において次のプロセスを経る。
【0080】
高次モード直接結合モジュール410において、マイクロ波及びミリ波は、誘電体導波管を介してポリエチレンで充填された金属中空導波管6401におけるメインモードであるTE11モード6411に結合され、直接にモードで結合することにより、金属中空導波管6401におけるTE11モード6411は、ポリエチレンで充填された金属同軸導波管6402におけるTE40モード6412に変換される。当該TE40モード6412は高次モードであり、モードの独立性が強いため、当該モードを結合することにより、優れたモード純度を得ることができ、充填材であるポリエチレンの電気的性能パラメータ及び導波管構造の加工誤差の結合効果に対する影響が少ない。
【0081】
モード変換フィルタリングモジュール420において、同軸導波管6402におけるTE40モード6412は、透明度が5サイクルで変化するリンググリッド6403を経た後、TE10、TE40及びTE60等のモードの重畳に変換される。TE10モードを除いて、他のモードは、いずれも空気で充填された同軸金属導波管6404におけるカットオフモードに設計されるため、ポリエチレンで充填された同軸金属導波管6402まで戻るように反射される。その結果、空気で充填された同軸金属導波管6404の出口では、純粋なTE10モード6413が得られる。
【0082】
モードマッチングモジュール430において、空間的フィルタリング後のTE10モード6413は、空気で充填された同軸金属導波管6404を離れた後、回折により径方向に発散する。同軸金属導波管6404の出口をフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6405の焦点に配置することにより、上記のフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレート6405の収束反射プロセスを利用して、TE10モード6413の径方向発散ビームは径方向平行ビーム6414に変換される。最後に、端面結合を経て、当該径方向平行ビーム6414は、裸線6406における指定されたHE10モードに結合される。
【0083】
以上の4つの応用実施例は、当該結合装置の幾つかの例示的な開示に過ぎず、このタイプの装置を限定するものではない。示されている結合装置はいずれも類似する方法で裸線における他の指定された表面波モードを効率的な励起することが可能である。高次モード直接結合モジュールにおける中空導波管6101、6201、6301、6401、金属同軸導波管6102、6202、6302、6402、並びにそれらを伝送するTE11モード及びTEm0モードは、このタイプの装置を限定するものではない。一実施例では、中空導波管6101、6201、6301、6401は誘電体導波管であってもよく、別の実施例では、金属同軸導波管6102、6202、6302、6402は、金属内壁及び誘電体からなる同軸導波管であってもよい。
【0084】
高次導波モードは、空気で充填された金属同軸導波管6104、6204、6304及び6404でカットオフされて反射し、最終的に金属同軸導波管6104、6204、6304及び6404にリターンロスが生じてしまう。同軸導波管6102、6202、6302、6402及び金属導波管6101、6201、6301、6401は、プローブ励起型同軸-導波管変換構造におけるバックキャビティと類似し、それらの長さを調整することで、リターンロスを低減することができる。勿論、例えば複数段の伝送線路又は整合回路の他の回路により、リターンロスを低減する機能も果たせる。
【0085】
概して、まず、高次導波モードに結合され、当該高次導波モードを変換且つフィルタリングすることにより、裸線における目標導波モード(弱拘束表面波モード)を結合することができ、この結合方法は弱拘束表面波モードの縮退効果による直接結合方法における非効果的な結合を解消することができる。このような結合方法は、電力線の直径が大きい(D>λ)場合に特に適している。実際の電力線は一般的に大きな半径を有することを考慮すると、本出願に提供された結合装置及び結合方法は、高い実用性を有する。
【0086】
パッシブデバイス及びシステムの相互性を利用して、上記の4つの実施例に示される結合装置は受信に利用し、裸線における目標導波モードを受信機に結合することができる。関連するステップは、以上の4つの実施例に記載されたプロセスの逆であるため、ここで再び説明しない。
【0087】
マイクロ波及びミリ波信号を基地局及びマイクロ基地局から電力線に結合する問題を解決しており、裸線を伝送する低損失の表面波モードを利用して、マイクロ波及びミリ波信号のマイクロ基地局間のバックホールを実現することができる。これに基づいて、裸線表面波無線ネットワークカバレッジシステムを構築することができる。従来のマクロ基地局カバレッジ方式と比較して、裸線表面波無線ネットワークカバレッジ方式は、データレートが高く、有効的なカバレッジが広く、設置が容易である等の特徴を有し、5G通信技術の開発と5G基地局の設置を推進することに対して積極的な役割を果たす。
【0088】
応用実施例5
図7は、裸線表面波無線ネットワークカバレッジ方式の1つの応用実施例を示す。そのうち、本実施例では、裸線は電力線である。この場合、裸線表面波無線ネットワークカバレッジ方式は電力線無線ネットワークカバレッジ方式とも呼ばれる。図7に示されるように、このシステムは、1つの主基地局、複数のマイクロ基地局及び複数の結合装置を含む。まず、単一の電力線を利用してバックホールを行う場合を考えると、主要幹線道路電柱715上の主基地局710は、セルラネットワークがある団地又はインターネットの1つのサイトに通信可能に結合されており、その中の信号は、変調によりマイクロ波及びミリ波信号にロードされ、主基地局710が導波管を介して結合装置711に接続されているため、信号は、結合装置711を介して電力線にける指定された弱拘束表面波モード713(即ち、目標導波モード)に結合され、そして、結合装置721を介して脇道電柱727における二次マイクロ基地局720に結合され(マイクロ基地局720と結合装置721との間は導波管により接続され、後続のマイクロ基地局と結合装置との間はいずれも導波管により接続されるため、以下で説明を省略する)、マイクロ基地局720は、信号を処理し、そこから抽出された情報の一部をマイクロ波又はミリ波信号728(例えば、WIFI信号)に変換して、当該マイクロ基地局720の近傍にあるユーザ装置729に転送する。マイクロ基地局720によって抽出された残りの信号は、マイクロ波及びミリ波信号に変換され、結合装置723を介して指定された弱拘束表面波モード725に結合され、その後、結合装置731を介して脇道内の別の二次マイクロ基地局730に転送される。同様に、マイクロ基地局730も、信号を処理且つ抽出し、マイクロ波及びミリ波信号738(例えば、WIFI信号)に変換するように情報を近傍にあるユーザ装置739に転送する。マイクロ基地局730によって抽出された残りの情報は、再びマイクロ波及びミリ波信号に変換され、結合装置733を介して電力線における指定された弱拘束表面波モード735に結合されて次のマイクロ基地局に伝送される。このように繰り返し往復すると、マイクロ波及びミリ波信号は、電力線に沿って広範囲なカバレッジを実現することができる。電力線の配置は、通常、建物を迂回するため、マイクロ波及びミリ波の信号が電力線に沿って伝送される際に妨害されることがほとんどないため、マイクロ波及びミリ波マクロ基地局のカバレッジにあたって遭遇する建物、山、森、トンネル等の大きな障害物により妨害される問題を解消する。一方、電力線自体は、主基地局710及び二次マイクロ基地局720、730等に電力を供給することができ、電柱は既に配備されているため、これは、マイクロ波及びミリ波基地局の設置の難易度を低下されることに有利である。
【0089】
図7の713、714、725、726、735及び736は、実際の表面波モードフィールドの分布と方向ではなく、弱拘束表面波を表す。これらの弱拘束表面波モードは、例えば図2に示されるように、ゾンマーフェルト波(裸金属線)及び周波数がカットオフ周波数に近い表面波モード(グーボー線路)のいずれかであってもよい。
【0090】
別の実施例では、主基地局710は、結合装置に接続されることなく、電柱715上に1つのマイクロ基地局を設置し、主基地局とマイクロ基地局との間に通信接続(有線又は無線)を確立してもよい。
【0091】
図7に示される電力線無線カバレッジ方式は、マクロカバレッジ基地局と同様の広範囲なカバレッジの役割を果たすことができ、相違点は、そのアクセスアンテナが基地局側に集中するのではなく、電柱に分布されていることにある。従って、このようなカバレッジ方式は、電力線分布型アンテナカバレッジ方式とも呼ばれる。
【0092】
AT&Tによって提出された電力線無線ネットワークカバレッジ方式と比較して、上記の実施例に提供された裸線表面波無線カバレッジ方式は、指定された純粋な表面波モードを利用して、基地局間のバックホールを行うため、効率及び制御性がより高くなり、コストの削減に一層有利である。ミリ波マクロ基地局カバレッジシステムと比較して、このシステムは、カバレッジが広く、設置が容易である等の優位性を有し、ローカルエリアネットワーク、特に経済発展途上の地域のローカルエリアネットワークの速度の向上に積極的な役割を果たす。
【0093】
応用実施例6
単一の電力線における複数種類の弱拘束表面波モード及び複数の電力線における弱拘束表面波モードを利用する場合、基地局及びマイクロ基地局におけるマイクロ波及びミリ波信号の多入力・多出力(即ち、MIMO)を実現し、それによって、データ伝送容量を拡張することができる。
【0094】
2本の電力線を例として挙げると、主要幹線道路電柱715上の主基地局710は、セルラネットワークがある団地又はインターネットの1つのサイトに通信可能に接続されており、その中の信号は、変調により2組のマイクロ波及びミリ波信号にロードされ、結合装置711、712を介してそれぞれ電力線に指定された弱拘束表面波モード713、714に結合され、そして、それぞれ結合装置721、722を介して脇道電柱727における二次マイクロ基地局720に結合される。この際、MIMOベクトル復調アルゴリズムを組み合わせて、マイクロ基地局720は、2組の信号を抽出し、マイクロ波又はミリ波信号728(例えば、WIFI信号)に変換して当該基地局の近傍にあるユーザ装置729まで転送する。マイクロ基地局720によって抽出された残りの信号は、MIMOベクトル変調アルゴリズムにより2組のマイクロ波及びミリ波信号に変換され、結合装置723、724を介してそれぞれ指定された弱拘束表面波モード725、726に結合され、その後、結合装置731、732を介して脇道内の別の二次マイクロ基地局730に転送される。同様に、MIMOベクトル復調アルゴリズムを組み合わせて、マイクロ基地局730も、2組の信号を処理且つ抽出し、マイクロ波及びミリ波信号738(例えば、WIFI信号)に変換するように情報を近傍にあるユーザ装置739に転送する。マイクロ基地局730によって抽出された残りの情報は、再び2組のマイクロ波及びミリ波信号に変換され、結合装置733、734を介して電力線における弱拘束表面波モード735、736にそれぞれ結合され、次のマイクロ基地局に伝送される。この結合方式は、MIMOベクトル変調及び復調アルゴリズムの有効性を確保するように、2本の電力線における弱拘束表面波モード間の比較的高い遮蔽を必要とする。一般的な電柱の間隔では、隣接する電力線における弱拘束表面波モード間の遮蔽は、殆どの場合、MIMOベクトル変調及び復調アルゴリズムの要求を満足することができる。
【0095】
前の段落では、2本の電力線における弱拘束表面波モードを利用して、2組のマイクロ波及びミリ波信号のバックホールを実現する実施例を示している。自然に認識できるように、複数本の電力線及び電力線における複数の直交モードを利用することで、より多くのチャネルの入出力が可能になり、データのバックホールの伝送速度をさらに向上させる。
【0096】
応用実施例7
図8は、裸線表面波無線ネットワークカバレッジの別の応用実施例の模式図である。この実施例では、裸線表面波無線ネットワークカバレッジシステムは鉄道線路に設置されている。線路において高速鉄道、高速列車、地下鉄等に電力を供給する様々なケーブルを介して、このシステムは、車両内の乗客に高速なネットワークサービスを提供することができる。図8に示されるように、鉄道裸線表面波無線ネットワークカバレッジシステム800は、駅810に通信可能に接続されたインターネット、並びに回線交換ネットワークのノードである主基地局820及び複数の二次マイクロ基地局830、840からなっている。主基地局820は、駅810のインターネット及び回線交換ネットワークのノードからベースバンドデータを取得して、送受信リンクを介してマイクロ波及びミリ波信号に変換する。続いて、第1の二次マイクロ基地局830は、当該マイクロ波及びミリ波信号を部分的に無線信号834(同様にマイクロ波及びミリ波帯域にある)に変換し、結合装置832を介して裸線に指定された弱拘束表面波モード833に部分的に結合する。この弱拘束面波モード833は、結合装置841を介して信号を第2の二次マイクロ基地局840に結合し、増幅された後、マイクロ波及びミリ波帯域の無線信号844に部分的に変換する。残りの部分は、再び結合装置842を介して指定された弱拘束表面波モード843に結合される。このように繰り返し往復すると、マイクロ波及びミリ波信号の2つのサイト間の鉄道線路にわたるカバレッジを実現することができる。列車850に搭載されたカスタマ構内設備851(Customer Premise Equipment、CPEと略称する)は、マイクロ基地局から送信されたマイクロ波及びミリ波無線信号834、844等を受信した後に、例えばWIFI信号の無線信号に変換し、ユーザ装置を接続するために当該無線信号を列車内に分散させる。

【0097】
電柱付近のエリアを団地の単位とすると、列車は短時間内で複数の団地の有効通信範囲を通過し、頻繁に団地間を乗り越えて、ネットワークのパフォーマンスを大幅に低下させてしまうので、これらの団地を併合し、「スーパー団地」を形成してより大きなエリアをネットワークでカバーする必要がある。
【0098】
2つの駅間の鉄道全体をこの「スーパー団地」のカバレッジと見なすことができ、即ち、2つの駅間の鉄道全体にわたって、マイクロ基地局830、840等によって送信される無線信号834、844等、及び電力線を伝送する弱拘束表面波信号833、843はいずれも同じ周波数帯域にある同じ種類の信号であり、当該信号は、即ち主基地局820によって送信されるマイクロ波及びミリ波信号である。マイクロ基地局830、840等は、リピーターに相当し、このマイクロ波及びミリ波信号に対して増幅やパワー分配という簡単な処理のみを行い、一部は無線信号834、844等によって鉄道沿線までカバーされ、残りは、電力線に結合されて次段のカバレッジに用いられる。この場合、高速列車850上のカスタマ構内設備(CPE)851の送受信周波数範囲は主基地局820によって送信されるマイクロ波及びミリ波の周波数範囲にも対応する。マイクロ波信号及びミリ波信号を中継する機能のみを果たすため、マイクロ基地局の製造コストが大幅に削減され、ネットワーク全体の設置コストを削減することに寄与する。
【0099】
図7に示される一般的な電力線無線カバレッジ方式と同様に、鉄道裸線表面波無線カバレッジ方式は、複数本の電力線を利用して、弱拘束表面波リターン信号の多入力・多出力(MIMO)を実現することができ、これはマイクロ基地局830、マイクロ基地局840等にチャネル及びMIMOを達成するモジュールを追加する必要がある。
【0100】
本実施例は、鉄道における裸線を利用して、列車に対する高速なネットワークカバレッジを実現し、このような方式は、高速鉄道、高速列車及び地下鉄の車両内のユーザーのインターネット体験を効果的に向上させる。
【0101】
図7及び図8に示される裸線表面波無線カバレッジ方式の複信モードは、時分割複信(Time Division Duplexing、TDD)であってもよいし、周波数分割複信(Frequency Division Duplexing、FDD)であってもよい。特に、電力線上の伝送環境が比較的安定しているため、全二重通信(Full-Duplex)をマイクロ基地局の表面波のリータンの複信モードとして選択することができ、リターンされたデータの伝送速度をさらに向上させる。
【0102】
図9に示されるように、上記の結合装置に基づいて、本発明の実施例には、裸線表面波無線カバレッジシステムが提供され、少なくとも1つのマイクロ基地局910及び複数の上記のいずれかの実施例に記載の結合装置920を含み、上記のマイクロ基地局910は、導波管を介して少なくとも1つの上記の結合装置920に接続されており、そのうち、
上記のマイクロ基地局910は、導波管を介して情報を搬送した電磁波を上記のマイクロ基地局910に接続された結合装置920に送信し、且つ、上記のマイクロ基地局910に接続された結合装置920から情報を搬送した電磁波を取得するように設置され、
上記の結合装置920は、上記の結合装置に接続されたマイクロ基地局から送信された情報を搬送した電磁波を、上記の裸線の表面に沿って目標導波モードで伝搬するように上記の裸線に結合し、且つ、上記の裸線の表面に沿って伝搬する情報を搬送した電磁波を、前記結合装置に接続されたマイクロ基地局に結合するように設置される。
【0103】
一実施例では、上記のマイクロ基地局910は、さらに、端末との接続を確立し、上記のマイクロ基地局に接続された上記の結合装置から取得した情報を搬送した電磁波から情報を抽出して上記の端末に配信し、且つ、上記の端末からアップロードされた情報を受信して電磁波にロードして、上記のマイクロ基地局に接続された結合装置に送信することにも用いられる。即ち、端末をネットワークにアクセスして、情報をアップロード又はダウンロードする。
【0104】
一実施例では、上記の裸線表面波無線カバレッジシステムは、主基地局930をさらに含み、上記の主基地局930は導波管を介して少なくとも1つの上記の結合装置920に接続されており(図9に示される)、又は、上記の主基地局930は、マイクロ基地局910と通信可能に接続されている(図10に示される)。
【0105】
上記の主基地局930は、情報を電磁波にロードして導波管を介して上記の主基地局に接続された結合装置920に送信し、且つ、上記の主基地局に接続された上記の結合装置からの、情報を搬送した電磁波を受信し、又は、マイクロ基地局910に情報を送信したり、上記のマイクロ基地局910から情報を受信したりすることに用いられる。
【0106】
一実施例では、上記のマイクロ基地局910は、中継局であり、即ち、受信した信号に対し中継伝送を行う(基本的な電力増幅、電力分配等の処理を行う)だけであり、マイクロ基地局910は、端末がネットワークにアクセスするための中継装置に相当し、主基地局930により端末に対し無線アクセスの制御及び管理を行う。
【0107】
従来の電力線表面波無線カバレッジ方式と比較して、本発明の実施例に提供された裸線表面波無線カバレッジ方式は、リターンされる表面波モードに用いる場合、より高い制御性を有し、モード間干渉による受信電力劣化の問題を緩和することができ、結合装置が目標導波モードのみを励起するため、励起効率が高くなり、裸線に励起された表面波モードの性能の向上は、最終的に基地局間のリターン信号の品質の向上に繋がっている。
【0108】
以上、本発明を詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されない、当業者は、本発明の原理によって種々の修正を行うことができる。従って、本発明の原理に従って行われた全ての修正は、本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。
【0109】
当業者が理解できるように、上記開示された方法の全て又は一部のステップ、システム、装置における機能モジュール/ユニットは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実施することが可能である。ハードウェアの実施形態では、上記の記載に言及された機能モジュール/ユニットの区分は、必ずしも物理コンポーネントの区分に対応するわけではなく、例えば、1つの物理コンポーネントは複数の機能を持っていてもよく、又は1つの機能又はステップは複数の物理コンポーネントで連携して実行することができる。一部又は全てのコンポーネントは、プロセッサ、例えばデジタル信号プロセッサ若しくはマイクロプロセッサ等によって運行されるソフトウェアとして実施することができ、又は、ハードウェアとして、又は集積回路、例えば特定用途向け集積回路として実施することができる。このようなソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な媒体上で配布されることができ、コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的な媒体)及び通信媒体(又は一時的な媒体)を含むことができる。当業者が周知するように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ)を格納するための任意の方法、又は技術で実施される揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read-Only Memory、読み取り専用メモリ)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable read only memory、電気的に消去可能、プログラム可能な読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory、読み取り専用のコンパクトディスク)、デジタルビデオディスク(Digital Video Disc、DVD)又は他のコンパクトディスクメモリ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクメモリ又は他の磁気記憶装置、又は、所望の情報を記憶するために使用されてコンピュータによってアクセスされることが可能な他の任意の媒体が含まれるが、これらに限らない。なお、当業者が周知するように、通信媒体は、一般的にコンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波又は他の伝送メカニズム等の変調データ信号における他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含むことができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10