(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】原子力施設の解体方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20220907BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20220907BHJP
G21C 11/02 20060101ALI20220907BHJP
G21C 13/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G21F9/30 535C
E04G23/08 J
G21C11/02 100
G21C13/00 100
G21F9/30 535F
(21)【出願番号】P 2021550027
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2020003107
(87)【国際公開番号】W WO2020184897
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0027065
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヨン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ソク-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミ-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョン-ウ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/009476(WO,A1)
【文献】特開昭60-093399(JP,A)
【文献】特開平10-120359(JP,A)
【文献】特開2006-098165(JP,A)
【文献】特開平11-248888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0004498(US,A1)
【文献】特開2005-308626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
E04G 23/08
G21C 11/02
G21C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半球の形態の下部、およびフラット(flat)な上部を含む原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器が配置されるキャビティ、及び前記キャビティと隣り合う箇所の上部面を含む生体保護コンクリートと、を含む原子力施設の解体方法において、
前記原子炉圧力容器を前記キャビティ上にフローティング(floating)させる段階と、
前記原子炉圧力容器の上部が下部に比べて前記生体保護コンクリートと近接するように前記原子炉圧力容器を回転させる段階と、
前記生体保護コンクリートにおける前記隣り合う箇所の上部面に前記原子炉圧力容器の上部を据え付ける段階と、
前記隣り合う箇所の上部面に据え付けられた前記原子炉圧力容器を切断および解体する段階と、を含む、原子力施設の解体方法。
【請求項2】
前記原子力施設は、前記生体保護コンクリート上に配置される第1クレーン(crane)をさらに含み、
前記原子炉圧力容器を前記キャビティ上にフローティング(floating)させる段階は前記第1クレーンを用いて行う、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項3】
前記原子炉圧力容器を前記キャビティ上にフローティング(floating)させる段階は、
前記原子炉圧力容器の上部に前記第1クレーンを連結する段階と、
前記第1クレーンを用いて前記原子炉圧力容器を前記生体保護コンクリートから引き上げる段階と、を含む、請求項2に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項4】
前記原子力施設は、前記生体保護コンクリート上に配置されて、前記第1クレーンと隣り合う第2クレーンをさらに含み、
前記原子炉圧力容器を回転させる段階は、前記第1クレーンおよび前記第2クレーンを用いて行う、請求項2に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項5】
前記原子炉圧力容器を回転させる段階は、
前記原子炉圧力容器の下部に前記第2クレーンを連結する段階、および
前記第1クレーンを用いて前記原子炉圧力容器の上部を前記生体保護コンクリートにおける前記隣り合う箇所の上部面の上に配置させる段階、
前記第2クレーンを用いて前記原子炉圧力容器の下部を引き上げる段階、および
前記第2クレーンを用いて前記原子炉圧力容器の下部を前記生体保護コンクリートにおける前記隣り合う箇所の上部面の上に配置させる段階を含む、請求項4に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項6】
前記原子炉圧力容器を回転させる段階は、前記原子炉圧力容器を180度回転させて行う、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項7】
前記原子力施設は、前記原子炉圧力容器に直接連結された複数の配管をさらに含み、
前記キャビティを形成している前記生体保護コンクリートの内壁を拡張する段階と、
前記複数の配管を前記原子炉圧力容器から分離する段階と、をさらに含む、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力施設の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力発電に用いられる原子力施設のうちで、加圧軽水炉型原子力発電所は原子炉圧力容器、および、原子炉圧力容器を包み込む生体保護(遮蔽)コンクリートを含む。
【0003】
原子力施設の解体の際、原子炉圧力容器を生体保護コンクリートから分離して、原子炉圧力容器を切断および解体する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、生体保護コンクリートから分離された原子炉圧力容器を、容易に切断および解体する原子力施設の解体方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一側面は、半球の形態の下部、およびフラット(flat)な上部を含む原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器が配置されるキャビティ、および前記キャビティと隣り合う上部面を含む生体保護コンクリートとを含む原子力施設を解体する方法において、前記原子炉圧力容器を前記キャビティ上にフローティング(floating)させる段階と、
前記原子炉圧力容器の上部が下部に比べて前記生体保護コンクリートに近接するように前記原子炉圧力容器を回転させる段階と、前記生体保護コンクリートの前記隣り合う上部面に前記原子炉圧力容器の上部を据え付ける段階と、前記隣り合う上部面に据え付けられた前記原子炉圧力容器を切断および解体する段階と、を含む原子力施設の解体方法を提供する。
【0006】
前記原子力施設は、前記生体保護コンクリート上に配置される第1クレーン(crane)をさらに含み、前記原子炉圧力容器を前記キャビティ上にフローティング(floating)させる段階は前記第1クレーンを用いて行ってもよい。
【0007】
前記原子炉圧力容器を前記キャビティ上にフローティング(floating)させる段階は、前記原子炉圧力容器の上部に前記第1クレーンを連結する段階と、前記第1クレーンを用いて前記原子炉圧力容器を前記生体保護コンクリートから引き上げる段階と、を含む。
【0008】
前記原子力施設は、前記生体保護コンクリート上に配置され、前記第1クレーンと隣り合う第2クレーンとをさらに含み、前記原子炉圧力容器を回転させる段階は、前記第1クレーンおよび前記第2クレーンを用いて行ってもよい。
【0009】
前記原子炉圧力容器を回転させる段階は、前記原子炉圧力容器の下部に前記第2クレーンを連結する段階、前記第1クレーンを用いて前記原子炉圧力容器の上部を前記生体保護コンクリートの前記隣り合う上部面上に配置させる段階、前記第2クレーンを用いて前記原子炉圧力容器の下部を引き上げる段階、および前記第2クレーンを用いて前記原子炉圧力容器の下部を前記生体保護コンクリートの前記隣り合う上部面上に配置させる段階を含む。
【0010】
前記原子炉圧力容器を回転させる段階は、前記原子炉圧力容器を180度回転させて行われる。
【0011】
前記原子力施設は、前記原子炉圧力容器と直接連結された複数の配管をさらに含み、前記キャビティを設ける前記生体保護コンクリートの内壁を拡張する段階と、前記複数の配管を前記原子炉圧力容器から分離する段階と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、生体保護コンクリートから分離された原子炉圧力容器を容易に切断および解体する原子力施設の解体方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(1)である。
【
図3】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(2)である。
【
図4】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(3)である。
【
図5】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(4)である。
【
図6】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(5)である。
【
図7】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(6)である。
【
図8】本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図(7)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0015】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
以下、
図1~
図8を参照して本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明する。
【0017】
以下、原子力施設として加圧軽水炉型(PWR)原子力発電所を一例として説明するが、これに限定されず、原子力施設は沸騰軽水炉型(BWR)原子力発電所であってもよい。
【0018】
加圧軽水炉型原子力発電所では、冷却材及び減速材として軽水を使用し、核燃料はウラン235を約2%~4%に濃縮して使用する。加圧軽水炉型原子力発電所は、原子炉の中で核分裂により発生する熱を蒸気発生器に送って熱交換させる原子炉系統関連施設と、蒸気発生器にて発生した蒸気でもってタービンを回した後、復水器を経て水に還元させた後に、再び蒸気発生器へと循環させるタービンおよび発電機の系統の関連施設とに分けられる。
【0019】
一般に、原子炉系統熱伝達媒体である冷却材(軽水)は、原子炉にて約320度まで加熱され、沸騰しないよう約153気圧に加圧される。系統を構成する機器としては、一定のエンタルピーを維持するために圧力を調整する加圧器、および、原子炉と蒸気発生器との間にて冷却材を循環させる冷却材ポンプがある。蒸気発生器で発生した蒸気がタービンを回してタービン軸に連結された発電機で電力を生産する系統は、火力発電所の原理と同様である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を示すフローチャートである。
【0021】
図2~
図8は、本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図である。
【0022】
まず、
図1~
図3を参照すると、生体保護(遮蔽)コンクリート300の内壁301を拡張する(S100)。
【0023】
【0024】
具体的には、
図2を参照すると、原子力施設は、原子炉圧力容器100と、原子炉圧力容器100と直接連結された複数の配管200と、原子炉圧力容器100および配管200を包み込み、原子炉圧力容器100を支持する生体保護(遮蔽)コンクリート300と、第1クレーン500と、第2クレーン600と、を含む。原子力施設は、
図2に示す構成に加えて、公知となっている多様な構成をさらに含みうる。
【0025】
原子炉圧力容器10は、加圧軽水炉型であってもよいが、これに限定されない。一例として、原子炉圧力容器10は沸騰軽水炉型であってもよい。
【0026】
原子炉圧力容器100は、半球の形態の下部110、およびフラット(flat)な上部120を含む。
【0027】
原子炉圧力容器100の下部110には、ICIノズル(In Core Instrumentation Nozzle)などの炉心内計測装置が挿入可能な公知の多様な形態のノズル貫通ホールが設けられうる。
【0028】
原子炉圧力容器100の上部120には、原子炉圧力容器100を覆う圧力容器ヘッドが装着されうるように、スタッドボルト(stud bolt)などの締結手段が挿入される公知の多様な形態のボルト貫通ホールが設けられうる。
【0029】
複数の配管200は、公知の多様な形態の蒸気発生器に連結される。配管200のうちの一配管には温水が通ることができ、他の配管には冷水が通ることができるが、これに限定されない。
【0030】
生体保護コンクリート300は、原子炉圧力容器100が配置されるキャビティ310と、キャビティ310を設けて原子炉圧力容器100と対向する内壁301と、キャビティ310と隣り合う上部面320と、を含む。生体保護コンクリート300の隣り合う上部面320は、キャビティ310と隣り合う生体保護コンクリート300の公知の多様な形態の上部表面であり得る。
【0031】
第1クレーン500は、生体保護コンクリート300上に配置される。第1クレーン500は、最初の原子力施設の設置時に用いられたクレーンであってもよいが、これに限定されず、さらに設けられたクレーンであってもよい。
【0032】
第2クレーン600は、生体保護コンクリート300上に配置される。第2クレーン600は第1クレーン500と隣り合う。第2クレーン600は、最初の原子力施設の設置時に用いられたクレーンであってもよいが、これに限定されず、さらに設けられたクレーンであってもよい。
【0033】
図3は、
図2の原子力施設にて、生体保護コンクリートの内壁を拡張し、配管を原子炉圧力容器から分離した状態を示す図である。
【0034】
図2および
図3を参照すると、ワイヤーソー(saw)または円形ソー(丸鋸)などの切断装置を用いて、キャビティ310を形成する生体保護コンクリート300の内壁301を、切断(cutting)して拡張する。
図3では、配管200と隣り合う、内壁301の一部分を拡張したが、これに限定されず、原子炉圧力容器100に対応する、内壁301の他の部分を拡張することができる。
【0035】
生体保護コンクリート300の内壁301を拡張することによって、配管200が上方へと露出する。
【0036】
一方、生体保護コンクリート300の内壁301を拡張する前に、原子炉圧力容器100を取り囲んでいるインシュレーション(insulation)を除去することができる。
【0037】
次に、配管200を原子炉圧力容器100から分離する(S200)。
【0038】
具体的には、生体保護コンクリート300における拡張された内壁301によって露出された配管200を、配管200の直径方向に切断し、配管200を原子炉圧力容器100から分離する。
【0039】
配管200の切断はワイヤーソーを用いて行われるが、これに限定されず、円形ソーなど他の切断装置を使用してもよい。
【0040】
配管200が、拡張された内壁301を通して完全に露出された状態であるので、切断装置を用い、拡張された内壁301を通して容易に配管200を切断することができる。
【0041】
図4は、
図3の原子力施設にて、原子炉圧力容器をキャビティ(cavity)上にフローティングさせた図である。
【0042】
次に、
図4を参照すると、原子炉圧力容器100をキャビティ310上にフローティング(floating)させる(S30)。
【0043】
具体的には、生体保護コンクリート300の拡張された内壁301を通して配管が切断された、原子炉圧力容器100を、第1クレーン500を用いて生体保護コンクリート300から引き上げて、原子炉圧力容器100を生体保護コンクリート300のキャビティ310上にフローティングさせる。
【0044】
この際、原子炉圧力容器100の上部120に第1クレーン500を連結する。一例として、第1クレーン500を、原子炉圧力容器100の上部120に形成された、スタッドボルトが挿入可能なボルト貫通ホールに連結して、原子炉圧力容器100の上部120に第1クレーン500を連結することができるが、これに限定されない。
【0045】
そして、第1クレーン500を用いて原子炉圧力容器100を生体保護コンクリート300から引き上げて、原子炉圧力容器100を生体保護コンクリート300のキャビティ310上にフローティングさせる。
【0046】
原子炉圧力容器100と連結された配管が、拡張された内壁301を通して、切断および分離がされた状態であるので、生体保護コンクリート300と配管との干渉なしに、生体保護コンクリート300から、原子炉圧力容器100を容易に引き上げることができる。
【0047】
図5は、
図4の原子力施設にて、原子炉圧力容器を時計方向に90度回転させた図である。
【0048】
図6は、
図5の原子力施設にて、90度回転した原子炉圧力容器を再び時計方向に90度回転させた図である。
【0049】
次に、
図4~
図6を参照すると、原子炉圧力容器100を回転させる(S400)。
【0050】
具体的には、第1クレーン500および第2クレーン600を用いて、原子炉圧力容器100の上部120が、原子炉圧力容器100の下部110に比べて、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320に近接するように原子炉圧力容器100を時計方向に180度回転させる。
【0051】
まず、
図4を参照すると、原子炉圧力容器100の下部110に第2クレーン600を連結する。
【0052】
一例として、第2クレーン600を、原子炉圧力容器100の下部110に形成された、ICIノズルが挿入されうるノズル貫通ホールに連結して、原子炉圧力容器100の下部110に第2クレーン600を連結することができるが、これに限定されない。
【0053】
次に、
図5を参照すると、第1クレーン500を用いて、原子炉圧力容器100の上部120を、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320上に配置させる。
【0054】
一例として、第1クレーン500を、キャビティ310上から、隣り合う箇所の上部面320上に移動させて、第1クレーン500に連結された原子炉圧力容器100の上部120を、キャビティ310上から、隣り合う箇所の上部面320上に移動させることができる。
【0055】
次に、第2クレーン600は、原子炉圧力容器100の下部110を引き上げる。一例として、上部120が、隣り合う箇所の上部面320上に移動した原子炉圧力容器100の下部110を、第2クレーン600を用いてキャビティ310上から上側方向へと移動させて、原子炉圧力容器100を時計方向に90度回転させることができる。
【0056】
次に、
図6を参照すると、第2クレーン600を用いて、原子炉圧力容器100の下部110を、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320上に配置させる。
【0057】
一例として、第2クレーン600をキャビティ310上から隣り合う箇所の上部面320上に移動させて、第2クレーン600に連結された原子炉圧力容器100の下部110を、キャビティ310上から隣り合う箇所の上部面320上に移動させて、時計方向に90度回転した原子炉圧力容器100を、再び時計方向に90度回転させることができる。
【0058】
この際、第2クレーン600を用いて原子炉圧力容器100の下部110を、隣り合う箇所の上部面320の上から上側方向へと移動させ、第1クレーン500を用いて原子炉圧力容器100の上部120を、隣り合う箇所の上部面320の上から下側方向へと移動させることができる。
【0059】
すなわち、第1クレーン500および第2クレーン600を用いて、キャビティ310上にフローティングされた原子炉圧力容器100を、時計方向に180度回転させて、隣り合う箇所の上部面320の上に、逆さに配置する。
【0060】
図7は、
図6の原子力施設にて、隣り合う箇所の上部面に、原子炉圧力容器を逆さに据え付けた図である。
【0061】
次に、
図7を参照すると、生体保護コンクリート300に原子炉圧力容器100の上部120を据え付ける(S500)。
【0062】
具体的には、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320の上に、ひっくり返して配置された原子炉圧力容器100を、第2クレーン600を用いて隣り合う箇所の上部面320上に、逆さに据え付ける。
【0063】
この際、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320に、原子炉圧力容器100のフラットな上部120が安定な状態に据え置かれる。第1クレーン500は、原子炉圧力容器100の上部120から分離されうるが、これに限定されず、原子炉圧力容器100の上部120に連結された状態を維持することができる。
【0064】
原子炉圧力容器100におけるフラットな上部120が、隣り合う箇所の上部面320に据え置かれることによって、原子炉圧力容器100が動かず、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320上に支持される。
【0065】
図8は、
図7の原子力施設にて、隣り合う箇所の上部面にひっくり返して据え付けられた原子炉圧力容器について、切断装置を用いて一部を切断および解体した図である。
【0066】
次に、
図8を参照すると、原子炉圧力容器100を切断および解体する(S600)。
【0067】
具体的には、生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320に据え付けられた原子炉圧力容器100を、切断および解体する。
【0068】
生体保護コンクリート300における隣り合う箇所の上部面320にひっくり返して据え付けられた原子炉圧力容器100を、生体保護コンクリート300上に設置された切断装置10を用いて、逆さに据え付けられた原子炉圧力容器100の上側部分から下側部分へと、切断および解体することで、原子炉圧力容器100を切断および解体することができる。
【0069】
切断装置10は、レーザ切断機などのカッティング(cutting)手段と、グリッパー(gripper)などのグリップ(grip)手段を含むエンドエフェクタ(end effector)を含みうる。
【0070】
切断装置10は、原子炉圧力容器100から切断および解体された圧力容器の小片101を規格サイズの包装容器20に収納することができる。圧力容器の小片101が収納された包装容器20は、密封されて原子力設備の外部に搬出することができる。
【0071】
切断装置10を用いた原子炉圧力容器100の切断および解体は、第1クレーン500および第2クレーン600が、原子炉圧力容器100から分離された状態で行うことができるが、これに限定されず、第1クレーン500および第2クレーン600が原子炉圧力容器100に連結された状態で行うこともできる。
【0072】
次に、原子炉圧力容器100を切断および解体した後、生体保護コンクリート300を切断および解体することができる。
【0073】
公知の多様な切断装置を用いて、生体保護コンクリート300を切断および解体することができる。
【0074】
以上のように、本発明の一実施形態による原子力施設の解体方法は、原子炉圧力容器100を生体保護コンクリート300のキャビティ310から分離した後、別の場所に移動させて原子炉圧力容器100を切断および解体するのではなく、原子炉圧力容器100を180度回転させて原子炉圧力容器100のフラットな上部120を、隣り合う箇所の上部面320に据え付けた後、原子炉圧力容器100を切断および解体することにより、原子炉圧力容器100を切断および解体する空間の活用が容易になる。これは、全体的な原子力施設の解体時間および解体費用を節減する要因として作用する。
【0075】
すなわち、生体保護コンクリート300から分離された原子炉圧力容器100を、容易に切断および解体する原子力施設の解体方法が提供される。
【0076】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0077】
100 原子炉圧力容器
300 生体保護コンクリート
310 キャビティ
320 隣り合う箇所の上部面
500 第1クレーン
600 第2クレーン