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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】攪拌乳化装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20220907BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20220907BHJP
   C02F 1/24 20060101ALI20220907BHJP
   B01F 23/41 20220101ALI20220907BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
B08B3/08 Z
C02F1/24 C
B01F23/41
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022009529
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】名木 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】雨森 大治
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-159886(JP,A)
【文献】特開2010-155435(JP,A)
【文献】特開2017-160481(JP,A)
【文献】特開2001-089879(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111286921(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46-1/48
B08B 3/08
C02F 1/24
B01F 23/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる乳化槽と、
前記乳化槽を洗浄する洗浄装置とを含む、攪拌乳化装置であって、
前記洗浄装置は、
微細気泡を含む洗浄水を生成する洗浄水生成装置と、
前記洗浄水生成装置で生成された前記洗浄水を前記乳化槽に供給する洗浄水供給路とを含み、
前記洗浄水生成装置は、
水を電気分解することにより、電解水を生成する電解槽と、
前記電解槽から取り出された前記電解水を前記電解槽に戻すための第1循環水路と
含み、
前記電解槽は、陽極給電体が配された陽極室と陰極給電体が配された陰極室とが隔膜によって区分され、
前記陰極室と前記第1循環水路との間で前記電解水を循環させながら前記電解槽で電解を継続し、前記電解水に含まれる水素の前記微細気泡の粒子数を増大させて、前記洗浄水を生成し、
前記洗浄水供給路は、前記第1循環水路の少なくとも一部を構成する、
攪拌乳化装置
【請求項2】
第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる乳化槽と、
前記乳化槽を洗浄する洗浄装置とを含む、攪拌乳化装置であって、
前記洗浄装置は、
微細気泡を含む洗浄水を生成する洗浄水生成装置と、
前記洗浄水を前記乳化槽に供給する洗浄水供給路とを含み、
前記洗浄水生成装置は、
水を電気分解することにより、電解水を生成する電解槽と、
前記電解槽から取り出された前記電解水を前記電解槽に戻すための第1循環水路とを含み、
前記電解槽は、陽極給電体が配された陽極室と陰極給電体が配された陰極室とが隔膜によって区分され、
前記陰極室と前記第1循環水路との間で前記電解水を循環させながら前記電解槽で電解を継続し、前記電解水に含まれる水素の前記微細気泡の粒子数を増大させて、前記洗浄水を生成し、
前記第1循環水路内に、前記洗浄水を貯めるためのタンクを備え、
前記洗浄水供給路は、前記タンクに貯えられた前記洗浄水を前記乳化槽に供給する、
攪拌乳化装置
【請求項3】
第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる乳化槽と、
前記乳化槽を洗浄する洗浄装置と、
前記第1原料を貯える第1原料槽と、前記第2原料を貯える第2原料槽とを含む、攪拌乳化装置であって、
前記洗浄装置は、
微細気泡を含む洗浄水を生成する洗浄水生成装置と、
前記洗浄水を前記乳化槽に供給する洗浄水供給路とを含み、
前記洗浄水生成装置は、
水を電気分解することにより、電解水を生成する電解槽と、
前記電解槽から取り出された前記電解水を前記電解槽に戻すための第1循環水路とを含み、
前記電解槽は、陽極給電体が配された陽極室と陰極給電体が配された陰極室とが隔膜によって区分され、
前記陰極室と前記第1循環水路との間で前記電解水を循環させながら前記電解槽で電解を継続し、前記電解水に含まれる水素の前記微細気泡の粒子数を増大させて、前記洗浄水を生成し、
前記第1循環水路内に、前記洗浄水を貯めるためのタンクを備え、
前記洗浄水供給路は、前記タンクに貯えられた前記洗浄水を前記乳化槽に供給し、
前記第2原料槽が前記タンクとして機能する
攪拌乳化装置
【請求項4】
前記隔膜は、固体高分子膜である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の攪拌乳化装置
【請求項5】
前記洗浄水生成装置は、前記電解槽内の前記電解水を加熱するための第1加熱装置をさらに備える、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の攪拌乳化装置
【請求項6】
前記洗浄水生成装置は、前記タンク内の前記洗浄水を加熱するための第2加熱装置をさらに備える、請求項2または3に記載の攪拌乳化装置
【請求項7】
前記洗浄装置は、
前記乳化槽を洗浄した後の前記洗浄水から汚れ成分を分離して、前記洗浄水を浄化する分離装置と、
前記陰極室、前記乳化槽及び前記分離装置の間で前記洗浄水を循環させるための第2循環水路を含み、
前記分離装置及び前記電解槽によって、前記洗浄水を再生する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の攪拌乳化装置
【請求項8】
前記分離装置は、前記汚れ成分を前記微細気泡に付着させて浮上分離する、請求項7に記載の攪拌乳化装置
【請求項9】
前記第1原料を貯える第1原料槽と、前記第2原料を貯える第2原料槽とを含む、請求項1または2に記載の攪拌乳化装置
【請求項10】
前記第1原料は油であり、前記第2原料は水である、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の攪拌乳化装置。
【請求項11】
前記乳化槽内の前記洗浄水を加熱するための第3加熱装置をさらに備える、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の攪拌乳化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化槽等の洗浄対象物の洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳化槽等の洗浄対象物に付着した油成分の除去には、微細気泡を含む洗浄液が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-5681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された洗浄装置を用いても、洗浄力が不足する場合もあり、別の技術が要望されている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、優れた洗浄力を有する洗浄水生成装置等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄水生成装置は、微細気泡を含む洗浄水を生成する装置であって、水を電気分解することにより、電解水を生成する電解槽と、前記電解槽から取り出された前記電解水を前記電解槽に戻すための第1循環水路と含み、前記電解槽は、陽極給電体が配された陽極室と陰極給電体が配された陰極室とが隔膜によって区分され、前記陰極室と前記第1循環水路との間で前記電解水を循環させながら前記電解槽で電解を継続し、前記電解水に含まれる水素の前記微細気泡の粒子数を増大させて、前記洗浄水を生成する。
【0007】
本発明に係る前記洗浄水生成装置において、前記隔膜は、固体高分子膜である、ことが望ましい。
【0008】
本発明に係る前記洗浄水生成装置において、前記電解槽内の前記電解水を加熱するための第1加熱装置をさらに備える、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記洗浄水生成装置において、前記第1循環水路内に、前記洗浄水を貯めるためのタンクを備える、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記洗浄水生成装置において、前記タンク内の前記洗浄水を加熱するための第2加熱装置をさらに備える、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記洗浄装置は、前記洗浄水生成装置と、前記洗浄水生成装置で生成された前記洗浄水を洗浄対象物に供給する洗浄水供給路とを含み、前記洗浄水供給路は、前記第1循環水路の少なくとも一部を構成する。
【0012】
本発明に係る前記洗浄装置は、前記洗浄水生成装置と、前記タンクに貯えられた前記洗浄水を洗浄対象物に供給する洗浄水供給路とを含む。
【0013】
本発明に係る前記洗浄装置において、前記洗浄対象物を洗浄した後の前記洗浄水から汚れ成分を分離して、前記洗浄水を浄化する分離装置と、前記陰極室、前記洗浄対象物及び前記分離装置の間で前記洗浄水を循環させるための第2循環水路を含み、前記分離装置及び前記電解槽によって、前記洗浄水を再生する、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記洗浄装置において、前記分離装置は、前記汚れ成分を前記微細気泡に付着させて浮上分離する、ことが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記攪拌乳化洗浄装置は、第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる乳化槽と、前記洗浄装置とを含み、前記洗浄対象物は、前記乳化槽である。
【0016】
本発明に係る前記攪拌乳化装置において、前記第1原料を貯える第1原料槽と、前記第2原料を貯える第2原料槽とを含む、ことが望ましい。
【0017】
本発明に係る前記攪拌乳化洗浄装置は、第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる乳化槽と、前記洗浄装置と、前記第1原料を貯える第1原料槽と、前記第2原料を貯える第2原料槽とを含み、前記洗浄対象物は、前記乳化槽であり、前記第2原料槽が前記タンクとして機能する。
【0018】
本発明に係る前記攪拌乳化装置において、前記第1原料は油であり、前記第2原料は水である、ことが望ましい。
【0019】
本発明に係る前記攪拌乳化装置において、前記乳化槽内の前記洗浄水を加熱するための第3加熱装置をさらに備える、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の前記洗浄水生成装置は、前記電解槽で生成された前記電解水を用いて前記洗浄水を生成する。前記電解槽にて前記水を電気分解することにより生成された前記電解水は前記水素の前記気泡が含まれる。前記水素の前記気泡は粒子径が小さく、前記洗浄対象物と汚れ成分との間に浸入しやすくなり、前記洗浄水の洗浄力が高められる。また、前記洗浄水生成装置は、前記陰極室と前記第1循環水路との間で前記電解水を循環させながら前記電解槽で電解を継続するので、前記電解水に含まれる前記微細気泡の前記粒子数が増大する。これにより、前記洗浄水の洗浄力が一層高められる。
【0021】
本発明の洗浄装置は、前記洗浄水生成装置によって生成された洗浄水を用いて、優れた洗浄性能が得られる。
【0022】
本発明の攪拌乳化装置は、前記洗浄水生成装置によって生成された洗浄水を用いる前記洗浄装置を含むので、前記洗浄対象物である前記乳化槽が隅々まで綺麗に洗浄される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の洗浄水生成装置の概略構成を示す図である。
図2図1の洗浄水生成装置の変形例を示す図である。
図3図1の洗浄水生成装置を含む洗浄装置の概略構成を示す図である。
図4図3の洗浄装置の変形例を示す図である。
図5図3の洗浄装置の別の変形例を示す図である。
図6図4の洗浄装置の変形例を示す図である。
図7図5の洗浄装置を含む攪拌乳化装置の概略構成を示す図である。
図8図7の攪拌乳化装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の洗浄水生成装置1の概略構成を示している。洗浄水生成装置1は、微細気泡を含む洗浄水を生成する装置である。
【0025】
洗浄水生成装置1は、水を電気分解することにより、洗浄水を生成する電解槽4と、電解槽4から取り出された電解水を電解槽4に戻すための第1循環水路2と含んでいる。
【0026】
電解槽4には、陽極室40aと陰極室40bとが設けられている。陽極室40aには陽極給電体41が配され、陰極室40bには陰極給電体42が配されている。陽極室40aと陰極室40bとは、隔膜43によって区分されている。陽極室40a及び陰極室40bに水が供給された状態で陽極給電体41及び陰極給電体42に直流電圧が印加されると、陽極室40a及び陰極室40bの水が電気分解される。
【0027】
電気分解によって、陽極室40aでは酸素ガスが生成され、陰極室40bでは、水素ガスが生成される。陽極室40aで生成された陽極電解水には微細な酸素の気泡が含まれ、陰極室40bで生成された陰極電解水には微細な水素の気泡が含まれる。
【0028】
陽極室40aには、水路21が接続されている。水路21は、陽極室40aで生成された陽極電解水及び酸素を陽極室40aから排出する。水路21には、陽極電解水から酸素を分離して水路21の外部に排出するためのガス抜き弁35が設けられていてもよい。
【0029】
陰極室40bには、第1循環水路2が接続されている。本実施形態の第1循環水路2は、水路22、23、24、25を含んでいる。第1循環水路2には、必要に応じて水を駆動し循環させるためのポンプ(図示せず)等が配されている。
【0030】
水路22は、陰極室40bに接続され、陰極室40bで生成された陰極電解水及び水素を陰極室40bから取り出す。水路23は、一端が水路22と接続され、他端で水路24及び25に分岐する。水路22及び水路23は、一体に形成されていてもよい。水路23の他端には、必要に応じて水路25への水流を制御する弁(図示せず)が設けられていてもよい。また、水路23には、洗浄水生成装置1の外部から洗浄水生成装置1の内部に洗浄に用いるための水(原水)を供給するための供給路が接続されていてもよい。
【0031】
水路24は、陽極室40aに接続されている。ガス抜き弁35からの酸素ガスの排出に伴い減少した陽極室40a及び水路21内の水は、水路24から補充される。
【0032】
水路25は、陰極室40bに接続されている。水路22、23、25によって、陰極室40bから取り出された陰極電解水を陰極室40bに戻すための循環水路が構成される。
【0033】
洗浄水生成装置1は、電解槽4で水を電気分解することにより生成された電解水を用いて洗浄水を生成する。本実施形態では、陰極室40bで生成された電解水が用いられる。なお、洗浄水には、必要に応じてノニオン、カチオンの界面活性剤等の洗剤成分が混合されてもよい。この場合、上記洗剤成分を含む液体や粉末を供給するための供給路が、例えば、水路23に接続されていてもよい。
【0034】
陰極室40bで生成された電解水には、水素の気泡が含まれる。水素の気泡は粒子径が極めて小さいので、洗浄対象物と汚れ成分との間に浸入しやすく、洗浄水の洗浄力が高められる。また、洗浄水生成装置1は、陰極室40bと第1循環水路2との間で電解水を循環させながら電解槽4で電解を継続するので、電解水に含まれる微細気泡の粒子数が増大する。これにより、洗浄水の洗浄力が一層高められる。
【0035】
本出願では、洗浄水として水素の気泡が含まれた陰極電解水を用いる形態について説明するが、給電体の極性を反転させることにより、洗浄水として酸素の気泡が含まれた陽極電解水を用いることも可能である。
【0036】
隔膜43には、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂からなる固体高分子膜が適用される、のが望ましい。上記固体高分子膜が適用された電解槽4では中性の電解水が生成される。中性の電解水を洗浄水として用いることにより、洗浄対象物の表面等に影響を及ぼすことなく、汚れを落とすことができる。
【0037】
隔膜43には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)親水膜が用いられてもよい。このような親水膜を用いることにより、酸性の陽極電解水及びアルカリ性の陰極電解水が生成される。酸性の陽極電解水はアルカリ性の頑固な汚れに対して、アルカリ性の陰極電解水は酸性の頑固な汚れに対して、それぞれ有効である。
【0038】
洗浄水生成装置1は、電解槽4内の電解水を加熱するための第1加熱装置31をさらに備える、のが望ましい。第1加熱装置31によって電解水が加熱されることにより、高温の洗浄水が生成され、その洗浄力を高めることが可能になる。
【0039】
第1加熱装置31は、電解槽4の内部若しくは周辺又は第1循環水路2の内部若しくは周辺に配することができる。第1加熱装置31は、図1に示されるように、電解槽4の近傍に電解槽4とは別体で設けられる形態の他、例えば、電解槽4と一体的に構成されていてもよい。加熱の手法は、電熱(ジュール熱)によるものの他、例えば、高温の蒸気を熱媒として用いた熱交換によるものであってもよい。後者の場合、電解槽4の外壁に蒸気が流入する流路が形成されていてもよい。なお、隔膜43として適用される上記固体高分子膜は、優れた耐熱性を備えるので、より洗浄性に優れた高温の電解水を生成することが可能となる。
【0040】
図2は、図1の洗浄水生成装置1の変形例である洗浄水生成装置1Aを示している。洗浄水生成装置1Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した洗浄水生成装置1の構成が採用されうる。
【0041】
洗浄水生成装置1Aでは、第1循環水路2内に、洗浄水を貯めるためのタンク5を備える。タンク5は、水路22と水路23との間に配されている。陰極室40bで生成された陰極電解水は、水路22を介してタンク5に移動して、洗浄水として貯蔵される。洗浄水生成装置1Aによれば、大量の洗浄水を生成し、タンク5に貯め置きすることが可能となる。
【0042】
タンク5内の洗浄水は、水路23、水路25を介して陰極室40bに戻される。陰極室40b内の水が、陰極室40b、水路22、タンク5、水路23、水路25内を順次循環しながら、陰極室40bにて電解されることにより、陰極電解水に含まれる水素の微細気泡の粒子数が増大する。
【0043】
本実施形態のタンク5には、洗浄水生成装置1Aの外部から洗浄水生成装置1Aの内部に洗浄に用いるための水を供給するための供給路51が接続されている。供給路51から供給された水は、電解槽4で電解されて洗浄水としてタンク5に貯えられる。
【0044】
洗浄水生成装置1Aでは、タンク5内の洗浄水を加熱するための第2加熱装置32をさらに備える、のが望ましい。第2加熱装置32は、図2に示されるように、タンク5の近傍にタンク5とは別体で設けられる形態の他、例えば、タンク5と一体的に構成されていてもよい。加熱の手法は、第1加熱装置31と同様である。従って、タンク5の外壁に蒸気が流入する流路が形成されていてもよい。第2加熱装置32によって洗浄水が加熱されることにより、その洗浄力を高めることが可能になる。
【0045】
図3は、図1の洗浄水生成装置1を含む洗浄装置10の概略構成を示している。洗浄水生成装置1は、微細気泡を含む洗浄水を用いて洗浄対象物6を洗浄する装置である。
【0046】
洗浄装置10は、洗浄水生成装置1と、洗浄水生成装置1で生成された洗浄水を洗浄対象物6に供給する洗浄水供給路26とを含んでいる。洗浄水供給路26は、第1循環水路2の少なくとも一部を構成している。本実施形態では、洗浄対象物6の入口及び出口に接続された水路23が洗浄水供給路26に相当する。
【0047】
洗浄装置10では、洗浄水生成装置1によって生成された洗浄水を用いて、優れた洗浄性能が得られる。
【0048】
また、第1循環水路2によって陰極室40bに戻された水は、陰極室40bで電気分解され、洗浄水として洗浄対象物6に供給される。これにより、水の有効利用が図られる。
【0049】
また、後述する洗浄装置10Aと同様に、水路23は、洗浄対象物6から独立して配されていてもよい。この場合、洗浄水供給路26は、水路22から分岐して配される。
【0050】
図4は、図3の洗浄装置10の変形例である洗浄装置10Aを示している。洗浄装置10Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した洗浄装置10の構成が採用されうる。
【0051】
洗浄装置10Aは、洗浄水生成装置1Aと、洗浄水生成装置1Aで生成された洗浄水を洗浄対象物6に供給する洗浄水供給路27とを含んでいる。洗浄装置10Aにおいて、洗浄水供給路27は、タンク5に貯えられた洗浄水を洗浄対象物6に供給する。洗浄対象物6には、洗浄対象物6を洗浄した後の洗浄水を排出するための排水路(図示せず)が接続されている
【0052】
本実施形態では、洗浄水供給路27の一端がタンク5と、他端が洗浄対象物6とにそれぞれ接続されている。洗浄水供給路26の一端が水路23から分岐する構成であってもよい。この場合、洗浄水供給路26が分岐する分岐部には、洗浄水の生成時と洗浄対象物6の洗浄時とで、三方弁等が設けられるのが望ましい。
【0053】
洗浄装置10Aによれば、タンク5に貯えられた大量の洗浄水を用いて洗浄対象物6を洗浄できる。従って、大型の洗浄対象物6を容易に洗浄できる。
【0054】
なお、洗浄装置10Aにおいては、第1加熱装置31又は第2加熱装置32の一方が省かれていてもよい。
【0055】
図5は、図3の洗浄装置10の別の変形例である洗浄装置10Bを示している。洗浄装置10Bのうち、以下で説明されてない部分については、上述した洗浄装置10の構成が採用されうる。
【0056】
洗浄装置10Bは、洗浄装置10の構成に対して、分離装置7及び第2循環水路8を追加して構成される。
【0057】
分離装置7は、洗浄対象物6を洗浄した後の洗浄水から汚れ成分を分離する。より具体的には、本実施形態の分離装置7は、洗浄液中に分散した汚れ成分の固体粒子に気泡を付着させて液表面まで上昇させ、上部に生ずる泡まつ層を液体と分離し回収する。分離装置7によって、洗浄対象物6を洗浄した後の洗浄水が浄化される。また、浮上分離の手法を用いることにより、洗浄対象物6を洗浄した後の洗浄水内に残存する電解槽4で生成された微細気泡が、洗浄水の浄化に有効に利用される。
【0058】
第2循環水路8は、陰極室40b、洗浄対象物6及び分離装置7の間で洗浄水を循環させる。本実施形態では、第2循環水路8は、水路22、23、25を含んでいる。この場合、水路23は、水路22から洗浄対象物6の入口、洗浄対象物6の出口から分離装置7の入口及び分離装置7の出口から水路25に亘って配されている。
【0059】
第2循環水路8によって陰極室40bに戻された水は、陰極室40bで電気分解され、洗浄水として洗浄対象物6に供給される。これにより、水の有効利用が図られる。
【0060】
洗浄装置10Bでは、洗浄対象物6を洗浄し、分離装置7によって浄化された後の水は、微細気泡が消費された状態にある。しかしながら、分離装置7を通過した水は、第2循環水路8によって陰極室40bに導かれ、陰極室40b内で電気分解される。これにより、洗浄水が再生される。
【0061】
図6は、図4の洗浄装置10Aの変形例である洗浄装置10Cを示している。洗浄装置10Cのうち、以下で説明されてない部分については、上述した洗浄装置10ないし10Bの構成が採用されうる。
【0062】
洗浄装置10Cは、洗浄装置10Aの構成に対して、分離装置7及び第2循環水路8を追加して構成される。本実施形態では、第2循環水路8は、水路22、洗浄水供給路27、水路28、29、23(の一部)、25を含んでいる。水路28は、洗浄対象物6の出口から分離装置7の入口に亘って配されている。水路29は、分離装置7の出口から水路23に亘って配されている。水路29が水路23に接続される接続部には、洗浄水の生成時と洗浄対象物6の洗浄時とで、水路を切り替えるための三方弁等が設けられるのが望ましい。
【0063】
なお、水路28は、分離装置7と陰極室40bとを直接的に接続するように配されていてもよい。
【0064】
第2循環水路8には、必要に応じて水を駆動し循環させるためのポンプ等が配されている。
【0065】
分離装置7を通過した水は、第2循環水路8によって陰極室40bに導かれ、陰極室40b内で電気分解される。これにより、洗浄水が再生される。
【0066】
図7は、図5の洗浄装置10Bを含む攪拌乳化装置100の概略構成を示している。攪拌乳化装置100は、第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる装置である。
【0067】
第1原料の例としては、油が挙げられ、第2原料の例としては、水(純水)が挙げられる。油の由来は、特に限定されず、例えば、動植物由来の油、石油、天然ガス、石炭等地下資源由来の鉱油の他、人工的、又は工業的に合成された化学物質由来の化学合成油が用いられる。油の形態も、特に限定されず、常温で液体のものの他、常温で固体のもの(脂)が用いられる。油の用途も、特に限定されず、例えば、食用、化粧品用の他、機械部品の潤滑用であってもよい。第1原料として脂を含む油が用いられる攪拌乳化装置100は、例えば、化粧品(乳液)の製造に好適に用いられる。
【0068】
攪拌乳化装置100は、洗浄装置10Bと、乳化槽61とを含んでいる。洗浄装置10Bに替えて洗浄装置10、10A、10Cのいずれかが適用されていてもよい。
【0069】
本実施形態の乳化槽61は、第1原料と第2原料とが投入される本体62と、本体62に対して回転可能に支持された回転体63とを含んでいる。
【0070】
本体62は、駆動装置(図示せず)によって回転駆動される。本体62の内側には、固定羽根64が形成されている。回転体63には、回転羽根65が形成されている。固定羽根64と回転羽根65とは、互いに対向するように配置されている。回転体63の回転により、固定羽根64と回転羽根65に挟まれた第1原料及び第2原料が剪断され、攪拌されることにより、乳化する。
【0071】
第1原料と第2原料の混合・剪断に伴う摩擦により、乳化槽61内の温度が上昇する。このため、乳化槽61の本体62には、乳化槽61内の温度を一定に保つために冷却水を循環させるための冷却水路(図示せず)が形成されている、のが望ましい。
【0072】
乳化槽61には、原料の混合・乳化により生成された成果物を送り出すための送出路66が設けられている。本実施形態の送出路66は、乳化槽61から分離装置7にのびる水路23から分岐している。その分岐部23aには、必要に応じて流路を切り替えるための弁(図示せず)が設けられている。なお、送出路66は、水路23から独立して設けられていてもよい。
【0073】
攪拌乳化装置100において、洗浄装置10Bは、乳化槽61の内部を洗浄する。すなわち、洗浄装置10Bの洗浄対象物6は、乳化槽61である。
【0074】
攪拌乳化装置100では、洗浄水生成装置1によって生成された洗浄水を用いて乳化槽61の内部が隅々まで綺麗に洗浄される。なお、乳化槽61の洗浄時には、駆動装置が回転体63及び回転羽根65を駆動するように構成されていてもよい。回転体63等の回転により、乳化槽61の内部の洗浄水が攪拌され、同洗浄水の流れが速くかつ複雑になり、それにより洗浄効果が一層高められる。また、回転体63等は、第2循環水路8内の洗浄水の循環と同時に回転するように構成されていてもよい。これにより、洗浄効果が一層高められる。
【0075】
乳化槽61には、乳化槽61を洗浄した後の洗浄水を攪拌乳化装置100から排出するための排水路67が設けられている。本実施形態の送出路67は、水路23の分岐部23aから分岐している。排水路67は、水路23から独立して設けられていてもよい。
【0076】
攪拌乳化装置100は、第1原料を貯える第1原料槽91と、第2原料を貯える第2原料槽92とを含んで構成されているのが望ましい。本実施形態の第1原料槽91及び第2原料槽92は、例えば、乳化槽61の上方に配され、原料供給路93を介して乳化槽61と接続される。
【0077】
図8は、図7の攪拌乳化装置100の変形例である攪拌乳化装置100Aの概略構成を示している。攪拌乳化装置100Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した攪拌乳化装置100の構成が採用されうる。
【0078】
攪拌乳化装置100Aは、洗浄装置10Cと、乳化槽61と、第1原料槽91と、第2原料槽92とを含んでいる。第2原料槽92がタンク5としても機能する。
【0079】
攪拌乳化装置100Aでは、乳化槽61にて第1原料と第2原料とを混合し乳化している間又はその後に、供給路51からタンク5に洗浄に用いられる水が供給され、洗浄水が生成される。すなわち、タンク5に供給された水は、第1循環水路2内を循環しながら、電解槽4で電解され、洗浄水が生成される。原料の混合と洗浄水の生成を同時に進行させることにより、成果物を送り出した直後に、乳化槽61の洗浄を開始することが可能となる。これにより、容易かつ短時間で乳化槽61の洗浄を完了させることが可能となる。
【0080】
攪拌乳化装置100Aにおいて、水路22は、第2原料槽92に接続される。水路23は、第2原料槽92に接続された原料供給路93から分岐している。すなわち、第1循環水路2は、水路22、原料供給路93の一部、水路23、25を含んでいる。なお、水路23は、原料供給路93から独立して設けられていてもよい。
【0081】
攪拌乳化装置100Aにおいて、水路22は、第1原料槽91にも接続されていてもよい。この場合、洗浄水によって第1原料槽91も洗浄される。
【0082】
攪拌乳化装置100Aでは、送出路66及び排水路67は、水路28の分岐点28aから分岐している。送出路66及び排水路67は、水路28から独立して設けられていてもよい。
【0083】
図7、8に示されるように、攪拌乳化装置100、100Aは、乳化槽61内の洗浄水を加熱するための第3加熱装置33をさらに備える、のが望ましい。第3加熱装置33は、図7、8に示されるように、乳化槽61の本体62の近傍に本体62とは別体で設けられる形態の他、例えば、本体62と一体的に構成されていてもよい。加熱の手法は、第1加熱装置31等と同様である。従って、本体62の外壁に蒸気が流入する流路が形成されていてもよい。また、本体62に形成されている上記冷却水路に蒸気が供給される形態であってもよい。この場合、冷却水又は蒸気の供給を切り替えるための弁が設けられるのが望ましい。これにより、簡素な構成で乳化槽61の洗浄効果が高められる。第3加熱装置33によって洗浄水が加熱されることにより、その洗浄力を高めることが可能になる。
【0084】
攪拌乳化装置100、100Aは、第2原料槽92内の洗浄水を加熱するための加熱装置(図示せず)をさらに備えていてもよい。この加熱装置は、第2原料槽92の近傍に第2原料槽92とは別体で設けられる形態の他、例えば、第2原料槽92と一体的に構成されていてもよい。加熱の手法は、第1加熱装置31等と同様である。従って、第2原料槽92の外壁に蒸気が流入する流路が形成されていてもよい。
【0085】
また、水路22が第1原料槽91にも接続される形態にあっては、第1原料槽91内の洗浄水を加熱するための加熱装置(図示せず)をさらに備えていてもよい。当該加熱装置の構成は、第2原料槽92に設けられる加熱装置と同様である。
【0086】
なお、攪拌乳化装置100、100Aにおいては、第1加熱装置31、第2加熱装置32、第3加熱装置33は、必要に応じて設けられていればよく、洗浄水生成装置1等によって生成された洗浄水で十分な洗浄力が得られる場合は、省かれていてもよい。
【0087】
(実施例)
図2の洗浄水生成装置1Aによって生成された洗浄水の性能が検証された。実施例1の洗浄水は、純水を電解槽4で電気分解することにより生成された60℃の電解水素水である。比較例1の洗浄液は、60℃の純水である。比較例2の洗浄水は、気液混合せん断方式の気泡発生装置(Ligaric社製のBUVITAS)を用いて発生させた大気の気泡を含む60℃の純水である。
【0088】
500mLの容器(ビーカー)に2%濃度の洗剤が添加された各洗浄水が注がれ、その中に洗浄対象物となるサンプル片が吊り下げられた。サンプル片の表面には、バルクとして毛髪のコーティングに用いられるコンディショナー(アミノ変性シリコーンを含むコンディショナー)が付着され、その塗布及び焼付が3回繰り返された。各洗浄液をスターラーによって30分間攪拌することにより、サンプル片が洗浄された。その後、サンプル片に残留したバルクが溶剤によって抽出され、溶剤中の油分濃度が測定された。そして、上記油分濃度に基づいて、洗浄率が計算された。表1はその結果を示している。
【0089】
【表1】
【0090】
表1において、上記油分濃度が小さいほど各洗浄液の洗浄性能は高く、上記洗浄率が大きいほど各洗浄液の洗浄性能は高いことを示している。表1から明らかなように、本発明の洗浄水生成装置1Aによって生成された電解水素水の洗浄性能が、比較例の洗浄水の洗浄性能と比べて優れていることが確認された。
【0091】
以上、本発明の洗浄水生成装置、洗浄装置、攪拌乳化装置が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【0092】
すなわち、本発明の洗浄水生成装置1は、微細気泡を含む洗浄水を生成する装置であって、水を電気分解することにより、電解水を生成する電解槽4と、電解槽4から取り出された電解水を電解槽4に戻すための第1循環水路2と含み、電解槽4は、陽極給電体41が配された陽極室40aと陰極給電体42が配された陰極室40bとが隔膜43によって区分され、陰極室40bと第1循環水路2との間で電解水を循環させながら電解槽4で電解を継続し、電解水に含まれる水素の微細気泡の粒子数を増大させて、洗浄水を生成するように構成されていればよい。
【0093】
また、本発明の洗浄装置10は、洗浄水生成装置1と、洗浄水生成装置1で生成された洗浄水を洗浄対象物6に供給する洗浄水供給路26とを含み、洗浄水供給路26は、第1循環水路2の少なくとも一部を構成していればよい。
【0094】
本発明の攪拌乳化装置は、第1原料と第2原料と混合し、攪拌により乳化させる乳化槽61と、洗浄装置10とを含み、洗浄対象物6は、乳化槽61であればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 :洗浄水生成装置
1A :洗浄水生成装置
2 :第1循環水路
4 :電解槽
5 :タンク
6 :洗浄対象物
7 :分離装置
8 :第2循環水路
10 :洗浄装置
10A :洗浄装置
10B :洗浄装置
10C :洗浄装置
21 :水路
22 :水路
23 :水路
24 :水路
25 :水路
26 :洗浄水供給路
27 :洗浄水供給路
28 :水路
29 :水路
31 :第1加熱装置
32 :第2加熱装置
33 :第3加熱装置
40a :陽極室
40b :陰極室
41 :陽極給電体
42 :陰極給電体
43 :隔膜
51 :供給路
61 :乳化槽
91 :第1原料槽
92 :第2原料槽
100 :攪拌乳化装置
100A :攪拌乳化装置
【要約】
【課題】優れた洗浄力を有する洗浄水生成装置等を提供する。
【解決手段】洗浄水生成装置1は、水を電気分解することにより、電解水を生成する電解槽4と、電解槽4から取り出された電解水を電解槽4に戻すための第1循環水路2と含む。電解槽4は、陽極給電体41が配された陽極室40aと陰極給電体42が配された陰極室40bとが隔膜43によって区分され、陰極室40bと第1循環水路2との間で電解水を循環させながら電解槽4で電解を継続し、電解水に含まれる水素の微細気泡の粒子数を増大させて、洗浄水を生成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8