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特許7137733toll様受容体アゴニストとしてのイミダゾ[4,5-C]ピリジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】toll様受容体アゴニストとしてのイミダゾ[4,5-C]ピリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220907BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
A61K31/437
A61P35/00
C07D471/04 CSP
C07D471/04 107E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022502193
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 IB2020056605
(87)【国際公開番号】W WO2021009676
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】62/875,465
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/961,288
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】オマー アーマッド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー フェンサム
(72)【発明者】
【氏名】イーサン ローレンス フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】エリック アルフィー ラチャペル
(72)【発明者】
【氏名】ラヨマンド ジェイ.アンワラ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】レイ ザン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513883(JP,A)
【文献】特表2019-500360(JP,A)
【文献】特表2017-537158(JP,A)
【文献】The Journal of Immunology,2005年,Vol.174,p.1259-1268
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/437
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
およびRは独立に、C1~3アルキルであるか、または
およびRは一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環は、飽和または不飽和であってよく、
は、
【化2】
であり、
は、C1~6アルキル、または(CHO(CHCHであり、C1~6アルキルまたは(CHO(CHCH基の任意の炭素は、原子価が許容するとおり0~3個のハロゲンで置換されており、
は、C1~3アルキル、またはOC1~3アルキルであり、C1~3アルキルは、0~3個のFにより置換されており、
は、H、またはC1~3アルキルであり、C1~3アルキルは、0~3個のFで置換されており、
mは、0~2であり、
nは、1~3である]。
【請求項2】
およびRは独立に、C1~2アルキルであるか、または
およびRは一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環は、飽和または不飽和であってよく、
は、
【化4】
であり、
は、C3~5アルキル、または(CHO(CHCHであり、
は、C1~2アルキルであり、
は、Hであり、
mは、1であり、
nは、1である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
およびRは独立に、C1~3アルキルであるか、または
およびRは一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環は、飽和または不飽和であってよく、
は、
【化6】
であり、
は、C1~6アルキル、または(CHO(CHCHであり、前記C1~6アルキルまたは(CHO(CHCH基の任意の炭素は、原子価が許容するとおり、0~3個のハロゲンで置換されており、ハロゲンは、Fであり、
は、C1~3アルキル、またはOC1~3アルキルであり、C1~3アルキルは、0~3個のFにより置換されており、
は、H、またはC1~3アルキルであり、C1~3アルキルは、0~3個のFで置換されており、
mは、0~2であり、
nは、1~3である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
およびRが独立に、C1~2アルキルであるか、または
およびRが一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環が飽和または不飽和であってよく、
が、
【化7】
であり、
が、C1~3アルキル、またはOC1~3アルキルであり、C1~3アルキルが、0~2個のFにより置換されており、
が、Hである、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール;
(R)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール;
(S)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール;
2-((4-アミノ-6,7-ジメチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-エチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;および
2-((4-アミノ-2-ペンチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
から選択される請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールである請求項5に記載の化合物;またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-ブチル-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;および
2-((4-アミノ-2-プロピル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
から選択される請求項1に記載の化合物;またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項10】
がんを処置するために用いられる、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の追加の治療薬と組合わせて用いられる、請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
toll様受容体(TLR)は、病原体関連分子パターン(PAMPS)と称される、病原体に由来し、かつそれに特有の構造的に保存された分子を認識する膜貫通タンパク質のファミリーである。したがって、TLRは、哺乳類免疫系において病原体関連分子パターンの最前線のセンサーとして機能して、侵襲性病原体の存在を検出する(TakeuchiおよびAkira 2010 Cell 140:805~820)。センチネル免疫細胞におけるTLRエンゲージメントは、選択されたサイトカイン(例えば、I型インターフェロン)の生合成、共刺激分子の誘導、および抗原提示能の増大を引き起こす。これらは、自然および適応免疫応答を活性化する重要な分子機構である。したがって、TLRのアゴニストおよびアンタゴニストは、免疫応答の調節において使用されている。TLRアゴニストは典型的には、免疫応答を刺激するために用いられる一方で、TLRアンタゴニストは典型的には、免疫応答を阻害するために用いられる(Gosuら、2012.Molecules 17:13503~13529)。
【0003】
ヒトゲノムは、10の既知のTLRを含有し、これらのうち、TLR3、TLR7、TLR8、およびTLR9が核酸およびそれらの分解産物を認識する。TLR7、TLR8、およびTLR9の分布は、細胞のエンドソーム区画に制限され、免疫系の細胞で優先的に発現される。活性化された二量体受容体配置では、TLR7およびTLR8は、一方のリガンド結合部位で一本鎖RNAを、そして第2のリガンド結合部位でリボヌクレオシド分解産物グアノシンおよびウリジン(さらには、関連構造モチーフを有する低分子リガンド)をそれぞれ認識する(Zhangら、2016 Immunity 45(4);737~748:Tanjiら、2015 Nat Struct Mol Biol 22:109~115)。
【0004】
いくつかの低分子TLR7またはTLR8アゴニストが同定されている。それらのアゴニストは、7-チア-8-オキソグアノシン(TOG、イサトリビン)などのプリン様分子またはイミキモドなどのイミダゾキノリン-ベースの化合物にグループ分けすることができる。イミキモドが今のところ、唯一承認されたTLR7アゴニストであり、5%クリーム(アルダラ)として市販されている。これは、全世界で最も一般的ながんである表在型基底細胞癌のおよそ80%5年クリアランスをもたらし、したがって、がん免疫治療におけるTLR7アゴニストの重要性を実証している。TLR7の機能発現は、特異的な免疫細胞に制限されていると考えられる。形質細胞様樹状細胞におけるTLR7のエンゲージメントは、適応免疫応答の制御において必須の機能を果たすインターフェロンα/βの誘導をもたらす(BaoおよびLiu 2013 Protein Cell 4:40~5)。
【0005】
骨髄樹状細胞、単球および単球由来樹状細胞におけるTLR8のエンゲージメントは、腫瘍壊死因子-α、インターロイキン-12、およびIL-18の産生の増加により特徴づけられる顕著な炎症誘発性サイトカインプロファイルを誘導する(Eigenbrodら、J Immunol、2015、195、1092~1099)。
【0006】
低分子TLRアゴニストはまた、ワクチンアジュバントとして使用するために調査されている(Dowling、ImmunoHorizons 2018、2(6)185~197)。
【0007】
したがって、事実上はすべての主な型の単球および樹状細胞がTLR7およびTLR8のアゴニストにより活性化されて、高度に有効な抗原提示細胞となり、それにより、有効な自然および適応免疫応答を促進し得る。多くの抗原提示細胞型は、これら2種の受容体の一方のみを発現し、したがって、TLR7およびTLR8受容体の両方に対して効力のあるアゴニスト活性を有する低分子は、TLR7アゴニスト単独よりも潜在的に有効な免疫アジュバントである。
【0008】
そのため、二重生体活性を有するTLR7/TLR8(TLR7/8)低分子アゴニストは、より選択的なTLR7アゴニストを上回るさらなる利点を提供し得て、形質球様および骨髄樹状細胞、単球、ならびにB細胞を含む、より幅広い範囲の抗原提示細胞および他の重要な免疫細胞型において自然免疫応答を引き起こすであろう(van Harenら、2016 J Immunol 197:4413~4424;Ganapathiら、2015 Plos One 10(8).e0134640)。そのような効力のある二重TLR7/8アゴニストはまた、がんにおける有効な抗腫瘍応答の刺激において有効であり得る(Singhら、2014 J.Immunol 193 4722~4731:Sabadoら、2015 Cancer Immunol Res 3 278~287、Spinettiら、2016 Oncoimmunol 9;5(11):e1230578:Patilら、2016 Mini Rev Med Chem 16:309~322)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
表在型基底細胞癌の処置におけるイミキモド(アルデラ)の成功にもかかわらず、より効力のあるTLR7アゴニストだけでなく、様々ながんについて患者のための処置選択肢を拡大するために、均衡のとれた、効力のあるTLR7/8アゴニストも依然として必要とされている。これらの処置選択肢は、全身性副作用を限定しながら薬物を腫瘍に直接送達する局所投与であり得るであろう。別法では、全身投与されたTLR7アゴニストまたはTLR7/8アゴニストは、全身循環を介して、投与することが困難な腫瘍、さらには複数の腫瘍に届けることができるという利点を有するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一部では、式(Ia)および(Ib)を含む式(I)の化合物、まとめて、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。そのような化合物は、ヒトTLR7(hTLR7)を活性化し、ヒトTLR8(hTLR8)も活性化し、それにより、生物学的機能に影響を及ぼす。一部の実施形態では、本発明は、TLR7およびTLR8の両方について選択的である二重アゴニスト(TLR7/8アゴニスト)である化合物を提供する。別の実施形態では、本発明は、TLR7について選択的であるアゴニストである化合物を提供する。別の実施形態は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を単独で、または追加の抗がん治療薬との組み合わせで含む医薬組成物および医薬品を提供する。
【0011】
本発明は一部では、本発明の化合物、薬学的に許容できる塩および組成物を調製するための方法、ならびにそれらを単独で、または追加の抗がん治療薬との組み合わせで使用する方法も提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物:
【0013】
【化1】
またはその薬学的に許容できる塩を提供する
[式中、
およびRは独立に、C1~3アルキルであるか、または
およびRは一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環は、飽和または不飽和であってよく、
は、
【0014】
【化2】
であり、
は、C1~6アルキル、または(CHO(CHCHであり、前記C1~6アルキルまたは前記(CHO(CHCH基の任意の炭素は、原子価が許容するとおり0~3個のハロゲンで置換されており、
は、C1~3アルキル、またはOC1~3アルキルであり、前記C1~3アルキルは、0~3個のFにより置換されており、
は、H、またはC1~3アルキルであり、前記C1~3アルキルは、0~3個のFで置換されており、
mは、0~2であり、
nは、1~3である]。
【0015】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の式のいずれかによる本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、前記医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、治療方法および使用も提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、対象に、治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、それを必要とする対象において異常な細胞増殖、特に、がんを処置するための方法を提供する。本発明の化合物は、単一の薬剤として投与することもできるし、またはがんの特定の型に適切な標準治療薬を含む他の抗がん治療薬と組み合わせて投与することもできる。これは、それを必要とする対象において異常な細胞増殖、特に、がんを処置するための医薬品の製造における、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の使用も含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、医薬品、特に、がんなどの異常な細胞増殖を処置するための医薬品として使用するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0019】
また別の態様では、本発明は、対象においてがんなどの異常な細胞増殖を処置するための医薬品を製造するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、その範囲内に、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩を含む。したがって、「またはその薬学的に許容できる塩」という語句は、明確に反対に指示されていない限り、本明細書に記載の化合物のすべての説明において暗示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
提示のとおり、本発明は、上に提示のとおりの式(I)の化合物に関する。
【0022】
本発明は、本発明の追加の実施形態および本明細書に含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、さらに容易に理解され得る。本明細書において使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明することを目的として提供されているにすぎず、限定的であることを意図されたものではないことは理解されるべきである。さらに、本明細書において特に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語は、関連分野において公知のとおりのその従来の意味を与えられていることは理解されるべきである。
【0023】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。例えば、「a」置換基には、1個または複数の置換基が含まれる。「約」という用語は、当業者が判断した場合に、平均の許容される標準誤差の範囲内に該当する値を有することを意味する。
【0024】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、式-C(2n+1)の直鎖または分枝鎖一価炭化水素基を意味する。非限定的例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-プロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。
【0025】
一部の場合では、炭化水素基(例えば、アルキル)中の炭素原子の数が、接頭辞「C~C」または「Cx~y」により示されており、その際、xは、その基中の炭素原子の最小数であり、yは、最大数である。したがって、例えば、「(C~C)アルキル」または「C1~6アルキル」は、1~6個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0026】
「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、フルオリド、クロリド、ブロミド、またはヨージドを指す。
【0027】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1個のハロゲン置換基で置換されているアルキル基を指す。1個よりも多い水素原子がハロゲン原子で置き換えられている場合、それらのハロゲンは同じでも、または異なってもよい。非限定的例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび2,2,2-トリフルオロエチルが含まれる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「バイオ治療薬」は、腫瘍の維持および/または増殖を支持するか、または抗腫瘍免疫応答を抑制する何らかの生物学的経路においてリガンド/受容体シグナル伝達をブロックする抗体または融合タンパク質などの生物学的分子を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「化学治療薬」は、がんの処置において有用な化学化合物である。本発明の処置方法において有用な化学治療薬には、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性薬物が含まれる。化学治療薬には、その薬剤自体またはその任意の薬学的に許容できる塩、共結晶、もしくは溶媒和物が含まれる。化学治療薬を本明細書においてさらに記載する。
【0030】
本明細書で使用される場合、次の用語は互換的に使用され、がんの処置において使用されるか、または使用され得る本発明の化合物以外の任意の1種または複数の治療薬を意味する:「追加の抗がん治療薬」または「追加の化学治療薬」または「追加の治療薬」。
【0031】
バイオ治療薬および化学治療薬は両方とも、追加の抗がん治療薬の例である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性薬物」は、細胞に対して細胞傷害性および/または細胞増殖抑制性作用を有する薬剤を指し、「細胞増殖抑制性作用」は、細胞増殖の阻害を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「細胞増殖抑制薬」は、細胞に対して細胞増殖抑制性作用を有し、それにより、特異的な細胞のサブセット(すなわち、腫瘍細胞)の増殖および/または拡大を阻害する薬剤を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「免疫調節薬」は、サイトカインおよび/または抗体の産生および/またはT細胞機能の調節を介して免疫応答を刺激し、それにより、直接的に、または別の薬剤をより有効にすることにより間接的に細胞のサブセット(すなわち、腫瘍細胞)の増殖を阻害する、または低減させる薬剤を指す。
【0035】
「から本質的になる(consists essentially of)」および「から本質的になる(consist essentially of)」または「から本質的になること(consisting essentially of)」などの変化形は、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される場合、任意の列挙された要素または要素の群の包含、および指定の投与計画、方法、または組成物の基本的または新規の特性を物質的に変化させない列挙された要素と同様か、または異なる性質の他の要素の任意選択の包含を示す。非限定的例として、列挙されたアミノ酸配列から本質的になるOX40アゴニストは、結合化合物の特性に物質的に影響を及ぼさない1個または複数のアミノ酸残基の置換を含む、1つまたは複数のアミノ酸を含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、薬物、化合物または医薬組成物の「有効な投薬量」または「有効量」は、疾患、その合併症および疾患の発生中に現れる中間病理学的表現型の任意の1つまたは複数の有利か、または所望の、生化学的、組織学的および/または行動を含む症状に影響を及ぼすために十分な量である。治療的使用では、「治療有効量」は、処置される障害の症状の1つまたは複数をある程度は軽減するはずの、投与される化合物の量を指す。がんの処置に関して、治療有効量は、(1)腫瘍のサイズを縮小する、(2)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止する)、(3)腫瘍増殖または腫瘍侵襲性をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止する)、(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候または症状をある程度軽減する(または、好ましくは、除去する、(5)疾患を処置するために必要とされる他の薬物の用量を減少させる、および/または(6)別の薬物の作用を増強する、および/または(7)患者における疾患の進行を遅延させる作用を有する量を指す。
【0037】
有効な投薬量を1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効な投薬量は、直接的または間接的に予防または治療処置を達成するために十分な量である。臨床の状況において理解されるとおり、薬物、化合物または医薬組成物の有効な投薬量は、別の薬物、化合物または医薬組成物と併せて達成されてもよいし、または達成されなくてもよい。
【0038】
「医薬組成物」は、活性成分としての本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1種または複数と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または賦形剤との混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。他の実施形態では、医薬組成物はさらに、少なくとも1つの追加の抗がん治療薬を含む。
【0039】
一態様では、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。
【0040】
一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、少なくとも1種の追加の抗がん治療薬を含む。一部のそのような実施形態では、その組合せは、相加的、相加的を超える、または相乗的抗がん作用をもたらす。
【0041】
がんを有すると診断されているか、または有することが疑われる対象に適用される場合の「腫瘍」は、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体領域を含有しない組織の異常な増殖または塊である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は一般に、固形腫瘍を形成しない(米国国立がん研究所、Dictionary of Cancer Terms)。
【0042】
「腫瘍量」または「腫瘍細胞量」は、全身に分布している腫瘍物質の全量を指す。腫瘍量は、リンパ節および骨髄を含む全身のがん細胞の総数または腫瘍の全体サイズを指す。腫瘍量は、例えば、キャリパーを使用する、または体内にある間に撮像技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影法(CT)、もしくは磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを使用するなどの当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0043】
「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定され得る腫瘍の全体サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば、対象から除去した際に腫瘍の寸法を、例えば、キャリパーを使用して測定する、または体内にある間に、撮像技術、例えば、骨スキャン、超音波、CRまたはMRIスキャンを使用するなどの当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物対象を指す。対象がヒトである場合、対象は、「患者」と称されることもある。
【0045】
がんを「処置する」または「処置すること」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を、がんを有するか、またはがんと診断されている対象に投与して、例えば、がん細胞の数の低減、腫瘍サイズの縮小、周辺臓器へのがん細胞浸潤の速度の低減、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖の速度の低減、その用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害または状態の1つもしくは複数の症状の進行の逆転、緩和、阻害、またはその予防などの少なくとも1つのプラスの治療効果を達成することを意味する。「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、「処置すること」が直前に定義されているとおり、処置することの行為を指す。「処置すること」という用語はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置を含む。
【0046】
本発明の目的では、有利または所望の臨床結果には、これらに限定されないが、次の1つまたは複数が含まれる:新生物またはがん細胞の増殖の低減(またはその破壊);転移または新生細胞の阻害;腫瘍のサイズの縮小または減少;がんの緩解;がんに起因する症状の減少;がんに罹患している者の生活の質の向上;がんを処置するために必要とされる他の薬物の用量の減少;がんの進行の遅延;がんの治癒;がんの1つまたは複数の耐性機構の克服;および/またはがん患者の生存期間の延長。がんにおけるプラスの治療効果は、複数の方法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50 Suppl.1:1S~10S(2009)を参照されたい)。例えば、腫瘍増殖阻害(T/C)に関して、米国国立癌研究所(NCI)標準によれば、42%以下のT/Cが、抗腫瘍活性の最低レベルである。T/C<10%が、高い抗腫瘍活性レベルと判断され、その際、T/C(%)=処置されたものの中央腫瘍体積/対照の中央腫瘍体積×100である。
【0047】
一部の実施形態では、本発明の化合物により達成される処置は、次のいずれかへの言及により定義される:部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、全体応答(OR)、無増悪生存(PFS)、無病生存(DFS)および全生存期間(OS)。「無憎悪期間」とも称されるPFSは、がんが増殖していない処置中およびその後の時間の長さを示し、患者がCRまたはPRを経験している時間量、さらには患者が安定している疾患(SD)を経験している時間量を含む。DFSは、患者が無病を維持している処置中およびその後の時間の長さを指す。OSは、ナイーブまたは未処置対象または患者と比較した場合の平均余命の延長を指す。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する応答は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)1.1奏功基準を使用して評価されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのいずれかである。
【0048】
「相加的」という用語は、2種の化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの結果が各化合物、構成成分または標的薬剤のそれぞれの合計を上回らないことを意味するために使用される。
【0049】
「相乗作用」または「相乗的」という用語は、2種の化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの結果が各化合物、構成成分または標的薬剤のそれぞれの合計を上回ることを意味するために使用される。処置されている疾患、状態または障害におけるこの改善は、「相乗」作用である。「相乗的量」は、「相乗的」が本明細書において定義されるとおりの、相乗作用をもたらす2種の化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの量である。
【0050】
1または2種の構成成分との間での相乗的相互作用の決定では、その作用に最適な範囲および作用のための各構成成分の絶対用量範囲は、種々の用量範囲、および/または用量比にわたって構成成分を、処置を必要とする患者に投与することにより最終的に測定することができる。しかしながら、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察で、ヒトおよび他の種における作用を予測することができ、in vitroモデルまたはin vivoモデルが、本明細書に記載のとおり、相乗作用を測定するために存在する。そのような研究の結果を使用して、薬物動態および/または薬力学的方法の適用などにより、ヒトおよび他の種において必要とされる有効な用量および血漿中濃度比範囲ならびに絶対用量および血漿中濃度を予測することもできる。
【0051】
がん患者を処置するために有効である本発明の化合物のための処置レジメンは、患者の病態、年齢、および体重、ならびに対象において抗がん応答を誘発する治療の能力などの因子に応じて変化し得る。本発明の態様の任意の一実施形態が、プラスの治療効果の達成において、どの対象でも有効であり得るということはないが、スチューデントのt検定、chi2検定、マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ウォリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定およびウィルコンon検定(Wilcon on-test)などの当技術分野で公知の任意の統計学的検定により決定した場合に、統計学的に有意な数の対象において有効であるべきである。
【0052】
「処置レジメン」、「投薬プロトコル」および「投薬レジメン」という用語は、単独か、または別の治療薬との組み合わせでの本発明の各化合物の用量および投与時期を指すために互換的に使用される。
【0053】
「寛解すること」は、本明細書に記載の組合せで処置した際の、その組合せを投与していない場合と比較しての1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。「寛解すること」はまた、症状の持続期間の短縮または低減を含む。
【0054】
「異常な細胞増殖」は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、正常な制御機構から独立している(例えば、接触阻害を喪失している)細胞増殖を指す。異常な細胞増殖は、良性(非がん性)でも、または悪性(がん性)でもよい。
【0055】
「がん」または「がん性」という用語は、異常な細胞増殖に起因する任意の悪性および/または侵襲性増殖または腫瘍を指す。がんには、身体の特異的な部位で始まる原発性がん、始まった場所から身体の他の部位へと伝播した転移性がん、緩解後の元の原発性がんからの再発、および第2の原発性がんとは異なる型の先行がんの履歴を有する患者における新たな原発性がんである第2の原発性がんが含まれる。がんには、それを形成する細胞型で名付けられる固形腫瘍、血液、骨髄、またはリンパ系のがんが含まれる。固形腫瘍の例には、肉腫および癌腫が含まれる。血液のがんには、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれる。がんの追加の例には、芽細胞腫および紫外線角化症が含まれる。がんには、口腔、消化系、呼吸器系、皮膚、乳房、生殖系、尿路系、眼系、神経系、内分泌系、およびリンパ腫からなる群から選択される部位の原発性がんまたは転移も含まれる。
【0056】
別段に示されていない限り、本発明の化合物に対する本明細書における言及はすべて、その多形体、立体異性体、および同位体標識されたバージョンを含めて、その塩、溶媒和物、水和物および複合体、ならびにその塩の溶媒和物、水和物および複合体に対する言及を含む。
【0057】
本発明の化合物は、例えば、本明細書において提供される式の1つの化合物の酸付加塩および塩基付加塩などの薬学的に許容できる塩の形態で存在し得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる塩」という用語は、親化合物の生物学的有効性および特性を維持している塩を指す。「薬学的に許容できる塩」という語句は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、本明細書に開示の式の化合物中に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。
【0058】
例えば、もともと塩基性である本発明の化合物は、様々な無機および有機酸と共に広範囲の様々な塩を形成することができる。そのような塩は、動物に投与するために薬学的に許容できなければならないが、実際問題として、反応混合物から本発明の化合物を初めは薬学的に許容できない塩として単離し、次いで、それを、アルカリ試薬で処理することにより遊離塩基化合物へ単純に戻し変換し、続いて、その遊離塩基を薬学的に許容できる酸付加塩に変換することが多くの場合に望ましい。水性溶媒媒体中、またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中で、塩基化合物を実質的に当量の選択された無機酸または有機酸で処理することにより、本発明の塩基化合物の酸付加塩を調製することができる。溶媒を蒸発させると、所望の固体塩が得られる。また、適切な無機酸または有機酸を溶液に加えることにより、有機溶媒中の遊離塩基の溶液から、所望の酸塩を沈殿させることもできる。
【0059】
そのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩など、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含有する塩を形成するものである。
【0060】
塩の例には、これらだけに限定されないが、酢酸塩、アクリル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩(クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、およびメトキシ安息香酸塩など)、炭酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、ブチン-1,4-二酸塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、デカン酸塩、二塩酸塩、二水素リン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edislyate)、エストル酸塩、エシル酸塩、エチルコハク酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘプタン酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタリン酸塩、メタン-スルホン酸塩、メチル硫酸塩、一水素リン酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フタル酸塩、リン酸塩(phospate)/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、プロピオール酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩および吉草酸塩が含まれる。
【0061】
適切な塩の実例には、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級、および第三級アミン、ならびにピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの環式アミンから誘導される有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が含まれる。
【0062】
アミノ基などの塩基性部分を含む本発明の化合物は、前述の酸に加えて、様々なアミノ酸と共に薬学的に許容できる塩を形成し得る。
【0063】
別法では、もともと酸性である有用な化合物は、様々な薬理学的に許容できるカチオンと共に塩基塩を形成し得る。そのような塩の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。これらの塩はすべて、従来の技術により調製される。本発明の薬学的に許容できる塩基塩を調製するための試薬として使用される化学塩基は、本明細書の酸性化合物と非毒性の塩基塩を形成するものである。任意の適切な方法により、例えば、遊離酸をアミン(第一級、第二級、または第三級)、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ土類金属水酸化物などの無機または有機塩基で処理することにより、これらの塩を調製することができる。また、対応する酸性化合物を、所望の薬理学的に許容できるカチオンを含有する水溶液で処理し、次いで、生じた溶液を好ましくは、減圧下で蒸発乾固させることにより、これらの塩を調製することができる。別法では、酸性化合物の低級アルカノール溶液および所望のアルカリ金属アルコキシドを一緒に混合し、次いで、上記と同じ手法で、生じた溶液を蒸発乾固させることにより、これらを調製することもできる。いずれの場合も、好ましくは、化学量論的量の試薬を使用して、反応の完了および所望の最終生成物の最大収率を確実にする。
【0064】
もともと酸性である本発明の化合物の薬学的に許容できる塩基塩を調製するために試薬として使用することができる化学的塩基は、そのような化合物と共に非毒性塩基塩を形成するものである。そのような非毒性塩基塩には、これらだけに限定されないが、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)など、そのような薬理学的に許容できるカチオンから誘導されるもの、N-メチルグルカミン-(メグルミン)、および低級アルカノールアンモニウムなどのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、ならびに薬学的に許容できる有機アミンの他の塩基塩が含まれる。
【0065】
酸および塩基の半塩、例えば、半硫酸塩および半カルシウム塩も、形成され得る。
【0066】
適切な塩の総説については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,2002)を参照されたい。本発明の化合物の薬学的に許容できる塩、ならびに相互変換塩および遊離塩基形態を作製するための方法は、当業者に公知である。
【0067】
本発明の塩は、当業者に公知の方法により調製することができる。本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、化合物の溶液および所望の酸または塩基を適切に一緒に混合することにより容易に調製することができる。塩を溶液から沈殿させ、濾取してもよいし、または溶媒の蒸発により回収してもよい。塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで様々であってよい。
【0068】
化学量論的過剰の適切な酸で処理することにより、塩基性官能基を有する遊離塩基の形態の本発明の化合物を酸付加塩に変換することができることは、当業者に理解されるであろう。典型的には水性溶媒の存在下で、約0℃~100℃の温度で化学量論的過剰の炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムなどの適切な塩基で処理することにより、本発明の化合物の酸付加塩を、対応する遊離塩基に再変換することができる。有機溶媒での抽出などの慣用の手段で、遊離塩基の形態を単離することができる。加えて、本発明の化合物の酸付加塩を、塩の差次的溶解度、揮発性もしくは酸の酸性度を利用することにより、または適切に装填されたイオン交換樹脂で処理することにより相互変換することができる。例えば、本発明の化合物の塩を、やや化学量論的過剰の、出発塩の酸性成分よりも低いpKの酸と反応させることにより、相互変換に影響を及ぼすことができる。この変換を典型的には、約0℃から、手順のための媒体として使用される溶媒の沸点の温度までの間で実施する。塩基付加塩を用いる、典型的には、遊離塩基の形態の中間体を介する、同様の変換が可能である。
【0069】
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方で存在し得る。溶媒または水が緊密に結合していると、複合体は、湿度とは独立に、十分に定義される化学量論組成を有するはずである。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物においてのように、溶媒または水の結合が弱い場合、水/溶媒含有率は、湿度および乾燥状態に左右される。そのようなケースでは、非化学量論組成が標準となる。「溶媒和物」という用語は本明細書では、本発明の化合物と、1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えば、エタノールとを含む分子複合体を記載するために使用される。「水和物」という用語は、溶媒が水である場合に使用される。本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよい(例えば、DO、d-アセトン、d-DMSOである)水和物および溶媒和物が含まれる。
【0070】
前述の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストが化学量論的または非化学量論的量で存在するクラスレート、薬物-ホスト包接錯体などの複合体も、本発明の範囲内に含まれる。化学量論的または非化学量論的量で存在してよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の複合体も包含される。生じた複合体は、イオン化、部分イオン化、または非イオン化していてもよい。そのような複合体の総説については、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるJ Pharm Sci、64(8)、1269~1288、Haleblian(1975年8月)を参照されたい。
【0071】
本発明はまた、本明細書において提供される式の化合物のプロドラッグに関する。したがって、それ自体は薬理活性をほとんど有さないか、または有さなくてもよい本発明の化合物のある特定の誘導体は、患者に投与されると、例えば加水分解による切断により変換されて、本発明の化合物になり得る。そのような誘導体は、「プロドラッグ」と称される。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、それらの開示が全体で参照により本明細書に援用される「Pro-drugs as Novel Delivery Systems、Vol.14、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella);「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)、およびGuarino,V.R;Stella,V.J.:Biotech Pharm.Aspects 2007 5(Pt2) 133~187において見出され得る。
【0072】
例えば、本発明の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるH Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているとおりの「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分に置き換えることにより、本発明によるプロドラッグを生成することができる。
【0073】
本発明によるプロドラッグのいくつかの非限定的例には:
(i)化合物がカルボン酸官能基(COOH)を含有する場合、そのエステル、例えば、(C~C)アルキルでの水素の置き換え;
(ii)化合物がアルコール官能基(OH)を含有する場合、そのエーテル、例えば、(C~C)アルカノイルオキシメチルでの、またはホスファートエーテル基での水素の置き換え;および
(iii)化合物が第一級または第二級アミノ官能基(NH2またはNHR、ここで、R≠H)を含有する場合、そのアミド、例えば、アミド、カルバマート、尿素、ホスホナート、スルホナートなどの適切に代謝不安定性な基での一方または両方の水素の置き換え
が含まれる。
【0074】
前述の例による置換基のさらなる例および他のプロドラッグ種の例は、前述の参照文献において見い出すことができる。
【0075】
最後に、ある特定の本発明の化合物は、それ自体が、本発明の化合物の他のもののプロドラッグとして作用し得る。
【0076】
本明細書に記載の式の化合物の代謝産物、すなわち、薬物を投与するとin vivoで形成される化合物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0077】
本明細書において提供される式の化合物は、不斉炭素原子を有することがある。本発明の化合物の炭素-炭素結合は、本明細書において、実線
【0078】
【化3】
、中実のくさび型
【0079】
【化4】
、または破線のくさび型
【0080】
【化5】
を使用して示すことができる。不斉炭素原子への結合を示すための実線の使用は、その炭素原子で可能な立体異性体(例えば、特定の鏡像異性体、ラセミ混合物など)のすべてが含まれることを示すこととする。不斉炭素原子への結合を示すための中実または破線くさび型の使用は、示されている立体異性体のみが含まれることを意味することを示すこととする。本発明の化合物は、1個を超える不斉炭素原子を含有することも可能である。それらの化合物では、不斉炭素原子への結合を示すための実線の使用は、可能な立体異性体のすべてが含まれること、および結合立体中心を意味することを示すこととする。例えば、別段に述べられていない限り、本発明の化合物は、鏡像異性体およびジアステレオ異性体として、またはラセミ体およびそれらの混合物として存在し得ることが意図されている。本発明の化合物中の1個または複数の不斉炭素原子への結合を示すための実線の使用ならびに同じ化合物中の他の不斉炭素原子への結合を示すための中実または破線くさび型の使用は、ジアステレオ異性体の混合物が存在することを示すこととする。
【0081】
キラル中心を有する本発明の化合物は、ラセミ体、鏡像異性体、またはジアステレオ異性体などの立体異性体として存在し得る。
【0082】
本明細書に記載の式の化合物の立体異性体には、1種超の異性を示す化合物を含む、本発明の化合物のシスおよびトランス異性体、(R)および(S)鏡像異性体などの光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、回転異性体、アトロプ異性体、配座異性体、および互変異性体;ならびにそれらの混合物(ラセミ体およびジアステレオ異性対など)が含まれ得る。
【0083】
対イオンが光学的に活性である酸付加塩または塩基付加塩、例えば、d-乳酸塩もしくはl-リシン、またはラセミ体、例えば、dl酒石酸塩もしくはdlアルギニンも含まれる。
【0084】
任意のラセミ体が結晶化すると、2つの異なる種類の結晶が可能である。第1の種類は、等モル量で両方の鏡像異性体を含有する1種の均一な形態の結晶が生じる上で言及したラセミ化合物(真のラセミ化合物)である。第2の種類は、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2種の形態の結晶が等モル量で生じるラセミ混合物または集合体である。
【0085】
本発明の化合物は、互変異性および構造異性の現象を示し得る。例えば、化合物は、エノールおよびイミンの形態や、ケトおよびエナミンの形態を含む複数の互変異性型ならびに幾何異性体、ならびにそれらの混合物で存在し得る。そのような互変異性型のすべてが、本発明の化合物の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中では互変異性セットの混合物として存在する。固体形態では、通常、1種の互変異性体が優勢である。1種の互変異性体が記載されていることがあるとしても、本発明は、提示されている式の化合物の互変異性体のすべてを含む。
【0086】
加えて、本発明の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)を形成し得る。アトロプ異性体は、分子の他の部分との立体的相互作用の結果として、分子中で単結合の周囲の回転が阻止されるか、または著しく減速され、かつその単結合の両端にある置換基が非対称である場合に起こる立体配座異性体である。アトロプ異性体の相互変換は、所定の条件下での分離および単離を可能にするのに十分にゆっくりである。熱的ラセミ化に対するエネルギー障壁は、キラル軸を形成する1つまたは複数の結合の自由回転に対する立体障害により決定され得る。
【0087】
本発明の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が可能である。シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化により分離することができる。
【0088】
個々の鏡像異性体を調製/単離するための従来の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)または超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用してのラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0089】
別法では、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を適切な光学的に活性な化合物、例えば、アルコールと、または化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合には、酒石酸もしくは1-フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応させることができる。生じたジアステレオ異性体の混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化により分離し、そのジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者に周知の手段により、対応する純粋な鏡像異性体に変換することもできる。
【0090】
クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを不斉樹脂上で、炭化水素、典型的には、イソプロパノール0~50%、典型的にはアルキルアミン2~20%および0~5%、典型的にはジエチルアミン0.1%を含有するヘプタンまたはヘキサンからなる移動相と共に使用して、本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)を鏡像異性的に濃縮された形態で得ることができる。溶離液を濃縮すると、濃縮混合物が得られる。
【0091】
立体異性体の集合体は、当業者に公知の従来の技術により分離することができる;例えば、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるE.L.Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、New York、1994)を参照されたい。
【0092】
本明細書に記載の化合物のエナンチオマ純度は、鏡像異性体過剰率(ee)の点において記載することができ、これは、試料が一方の鏡像異性体を他方よりも多量に含有する程度を示している。ラセミ混合物は0%のeeを有するが、単一の完全に純粋な鏡像異性体は、100%のeeを有する。同様に、ジアステレオ異性体純度は、ジアステレオ異性体過剰率(de)の点において記載することができる。
【0093】
本発明は、提供されている式の1つにおいて列挙されたものと同一であるが、1個または複数の原子が、天然に通常見い出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているという事実のある同位体標識化合物も含む。
【0094】
本発明の同位体標識化合物は一般に、当業者に公知の従来の技術により、または本明細書に記載のプロセスと類似のプロセスにより、そうでなければ使用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して調製することができる。
【0095】
本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、これらだけに限定されないが、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、32P、35S、18Fおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体が含まれる。ある特定の同位体標識された本発明の化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、H、および炭素14、すなわち、14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性において特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわち、H、などの重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、例えば、in vivo半減期の延長または投薬量要求の低減から生じるある特定の治療上の利点をもたらし得、したがって、一部の状況においては好ましいことがある。一般的に、同位体標識試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いて、以下のスキームならびに/または実施例および調製例に開示の手順を実施することにより、同位体標識された本発明の化合物を調製することができる。
【0096】
医薬的使用のために意図されている本発明の化合物は、結晶性もしくは非結晶性生成物、またはその混合物として投与することができる。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ、粉末、またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、式(Ia)の化合物
【0098】
【化6】
またはその薬学的に許容できる塩を提供する
[式中、
およびRは独立に、C1~2アルキルであるか、または
およびRは一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環は、飽和または不飽和であってよく、
は、
【0099】
【化7】
であり、
は、C3~5アルキル、または(CHO(CHCHであり、
は、C1~2アルキルであり、
mは、1であり、
nは、1である]。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、RおよびRが独立に、C1~2アルキルである式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、RおよびRが一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環が飽和または不飽和であってよい式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0102】
別の実施形態では、本発明は、
およびRが一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環が飽和であってよく、
が、(CHO(CHCHである、
式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、上記炭素環式環がシクロペンチルである式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、上記炭素環式環がシクロヘキシルである式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0105】
別の実施形態では、本発明は、
およびRが一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環が不飽和であってよく
が、C3~5アルキルである、
式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、上記炭素環式環がフェニルである式(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0107】
別の実施形態では、本発明は、式(Ib)の化合物
【0108】
【化8】
またはその薬学的に許容できる塩を提供する
[式中、
およびRは独立に、C1~3アルキルであるか、または
およびRは一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環は、飽和または不飽和であってよく、
は、
【0109】
【化9】
であり、
は、C1~6アルキル、または(CHO(CHCHであり、前記C1~6アルキルまたは(CHO(CHCH基の任意の炭素は、原子価が許容するとおり、0~3個のハロゲンで置換されており、ハロゲンは、Fであり、
は、C1~3アルキル、またはOC1~3アルキルであり、前記C1~3アルキルは、0~3個のFにより置換されており、
は、H、またはC1~3アルキルであり、前記C1~3アルキルは、0~3個のFで置換されており、
mは、0~2であり、
nは、1~3である]。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、
およびRが独立に、C1~2アルキルであるか、または
およびRが一緒になって、5~7員炭素環式環を形成しており、前記炭素環式環が飽和または不飽和であってよく、
が、
【0111】
【化10】
であり、
が、C1~3アルキル、またはOC1~3アルキルであり、前記C1~3アルキルが、0~2個のFにより置換されており、
が、Hである、
式(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0112】
別の実施形態では、本発明は、Rが、C1~2アルキルである式(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、Rが、n-プロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである式(I)、(Ia)、(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、Rが、-CH-O-CHCHである式(I)、(Ia)、(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0115】
別の実施形態では、本発明は、Rが、メチルまたはエチルである式(I)、(Ia)、(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0116】
別の実施形態では、本発明は、Rが、Hである式(I)、(Ia)、(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0117】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の各実施例の1つまたは複数であり、それには、これらに限定されないが、
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール;
(R)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール;
(S)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール;
2-((4-アミノ-6,7-ジメチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-エチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;および
2-((4-アミノ-2-ペンチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
またはその薬学的に許容できる塩
から選択される化合物が含まれる。
【0118】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の各実施例の1つまたは複数であり、それには、これらに限定されないが、
2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-ブチル-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
2-((4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;および
2-((4-アミノ-2-プロピル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール;
またはその薬学的に許容できる塩
から選択される化合物が含まれる。
【0119】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物およびその任意の実施形態、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0120】
本発明の別の実施形態は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物およびその任意の実施形態、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、それを必要とする対象においてがんを処置するための方法を提供する。
【0121】
処置されるがんには、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、骨髄腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、胃腸(管)がん、腎臓がん、卵巣がん、肝臓がん、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、結腸直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、黒色腫、軟骨肉腫、神経芽細胞腫、膵臓がん、多形性神経膠芽腫、子宮頸がん、脳腫瘍、胃がん、子宮がん、非筋肉侵襲性膀胱がんを含む膀胱がん、肝細胞癌、乳がん、および頭頚部がんが含まれる。
【0122】
処置されるがんのさらに特定の例には、基底細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、結腸直腸がん、腎臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、黒色腫、膵臓がん、膀胱がん(非筋肉侵襲性膀胱がん)、肝細胞癌、乳がん、および頭頚部がんが含まれる。
【0123】
本発明の別の実施形態は、基底細胞癌、卵巣がん、黒色腫、非筋肉侵襲性膀胱がん、乳がん、および頭頚部がんから選択されるがんの処置に関する。
【0124】
本発明の別の実施形態は、黒色腫、胃腸(管)がん、乳がん、卵巣がん、および頭頚部がんの処置に関する。
【0125】
本発明の別の実施形態は、消化管がんの処置に関する。そのような胃腸がんには、口腔、食道、胃、胆汁系、膵臓、小腸、大腸、直腸、および肛門のがんが含まれる。
【0126】
本発明の別の実施形態は、非筋肉侵襲性膀胱がんの処置に関する。
【0127】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする対象におけるがんの処置において使用するための式(I)の化合物およびその任意の実施形態、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0128】
本発明の別の実施形態は、がんの処置において使用するための式(I)の化合物およびその任意の実施形態、またはその薬学的に許容できる塩に関し、その際、前記処置は、追加の治療薬の投与を含む。
【0129】
別の態様では、本発明は、対象に本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、細胞増殖を阻害するために有効な量で投与することを含む、対象においてがん細胞増殖を阻害する方法を提供する。
【0130】
別の態様では、本発明は、対象に本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、細胞侵襲性を阻害するために有効な量で投与することを含む、対象においてがん細胞侵襲性を阻害する方法を提供する。
【0131】
別の態様では、本発明は、対象に本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、アポトーシスを誘導するために有効な量で投与することを含む、対象においてがん細胞におけるアポトーシスを誘導する方法を提供する。
【0132】
別の態様では、本発明は、対象に本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、細胞転移を阻害するために有効な量で投与することを含む、対象においてがん細胞転移を阻害する方法を提供する。
【0133】
別の態様では、本発明は、対象に本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、血管新生を阻害するために有効な量で投与することを含む、対象において血管新生を阻害する方法を提供する。
【0134】
別の態様では、本発明は、対象に治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、それを必要とする対象においてがんを処置するための方法を提供する。前記方法はまた、本発明の化合物を少なくとも1種の追加の治療薬と共に投与することを含む。
【0135】
本発明はまた、医薬組成物を、対象において感染症を予防するために十分な量で投与することを含む、それを必要とする前記対象において感染症を予防する方法を提供する。すなわち、一部の実施形態では、本開示は、予防ワクチンを提供する。一部の実施形態では、哺乳類対象は、感染因子への暴露のリスクがある。感染症を「予防すること」は、対象が感染症を発症することから保護することを意味する。一部の実施形態では、感染症を予防することはさらに、対象が感染因子に感染することから保護すること(例えば、対象が急性または慢性感染症を発症することから保護すること)を含む。加えて、本開示は、医薬組成物を、前記対象において感染症の症状を寛解するために十分な量で投与することを含む、それを必要とする哺乳類対象において感染症の症状を寛解する方法を提供する。すなわち、一部の実施形態では、本開示は、治療用ワクチンを提供する。一部の実施形態では、対象は、感染因子に急性または慢性に感染している。感染症は、ウイルス性(例えば、肝炎、ヘルペスまたはヒトパピローマウイルス)、細菌性、真菌性、または寄生虫疾患であってよい。一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、ウイルス性、細菌性、真菌性、または寄生虫抗原を含む。感染症の症状を「寛解すること」は、症状を改善すること、好ましくは、疾患の程度を減少させることを意味する。
【0136】
治療方法および使用
本発明はさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を単独で、または他の治療薬もしくは緩和薬(palliative agent)と組み合わせて投与することを含む、治療方法および使用を提供する。
【0137】
一態様では、本発明は、対象に、治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、それを必要とする対象において異常な細胞増殖を処置するための方法を提供する。
【0138】
別の態様では、本発明は、対象に、ある量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、ある量の追加の治療薬(例えば、抗がん治療薬)と組み合わせて投与することを含み、それらの量が一緒に、異常な細胞増殖の処置において有効である、それを必要とする対象において異常な細胞増殖を処置するための方法を提供する。
【0139】
別の態様では、本発明は、対象における異常な細胞増殖の処置において使用するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0140】
さらなる一態様では、本発明は、対象において異常な細胞増殖を処置するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0141】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体または賦形剤を含む、それを必要とする対象における異常な細胞増殖の処置において使用するための医薬組成物を提供する。
【0142】
別の態様では、本発明は、医薬品、特に、異常な細胞増殖を処置するための医薬品として使用するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0143】
また別の態様では、本発明は、対象において異常な細胞増殖を処置するための医薬品を製造するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0144】
本明細書において提供される方法の多くの実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。本発明の化合物を、単一の薬剤として投与することもできるし、または他の抗がん治療薬と組み合わせて、特に、特定のがんに適切な標準治療薬と共に投与してもよい。
【0145】
一部の実施形態では、提供される方法は、次の作用の1つまたは複数をもたらす:(1)がん細胞増殖の阻害;(2)がん細胞侵襲性の阻害;(3)がん細胞のアポトーシスの誘導;(4)がん細胞転移の阻害;または(5)血管新生の阻害。
【0146】
一部の実施形態では、本発明の化合物を、第1選択治療として投与する。他の実施形態では、本発明の化合物を第2(またはそれ以降の)選択治療として投与する。
【0147】
剤形およびレジメン
本発明の化合物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法により行うことができる。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または注入を含む)、局所、および直腸投与が含まれる。
【0148】
投与レジメンは、最適な所望の応答を得るために調節することができる。例えば、単一ボーラス剤を投与することもできるし、複数の分割用量を経時的に投与することもできるし、または用量を治療状況の緊急性により示されるとおり、比例して低減または増加させることができる。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。投薬単位形態は、本明細書で使用される場合、処置される哺乳類対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、その際、各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果が生じるように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)化学治療薬の特有の特徴および達成されるべき特定の治療または予防効果、ならびに(b)そのような活性化合物を配合して個体の感受性を処置する分野に固有の制約により決定され、それらに直接依存する。
【0149】
したがって、当業者は、本明細書において提供される開示に基づき、用量および投与レジメンが治療分野で周知の方法に従って調節されることを認めるであろう。すなわち、最大許容用量を容易に確立することができ、各薬剤を投与して患者に検出可能な治療効果を与えるための一時的な要求であり得るように、患者に検出可能な治療効果を与える有効量を決定することもできる。したがって、ある特定の用量および投与レジメンを本明細書において例示するが、これらの例は、本発明を実施する際に対象に提供され得る用量および投与レジメンを何ら限定するものではない。
【0150】
緩和されるべき状態の種類および重症度と共に投薬量の値は変動し得て、単回または複数の用量を含み得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象について、具体的な投与レジメンを、個々の必要性、および組成物を投与するか、またはその投与を管理する人の専門的判断に従って経時的に調節すべきであること、ならびに本明細書において記載される投薬量範囲は例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲および実行を制限することを意図したものではないことは理解されるべきである。例えば、用量を、毒性作用および/または臨床検査値などの臨床効果を含み得る薬物動態または薬力学的パラメーターに基づき調節することができる。したがって、本発明は、当業者により決定されるとおりの患者内用量漸増を包含する。化学治療薬を投与するための適切な投薬量およびレジメンの決定は、関連分野において周知であり、本明細書に開示の教示をいったん提供されれば、当業者により達成されることが理解されるであろう。
【0151】
投与される本発明の化合物の量は、処置される対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質および処方医の裁量に依存することとなる。しかしながら、有効な投薬量は、単回または分割用量で1日あたり体重1kgあたり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.05~約7g/日、好ましくは約0.1~約2.5g/日になるであろう。一部の場合には、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルでも十分すぎる一方で、他の場合には、何らかの有害な副作用を引き起こすことなく、より多い用量を用いることもできるが、ただし、そのような多い用量は初めは、日中を通じて投与するために複数回の少ない用量に分割されることを条件とする。
【0152】
製剤および投与経路
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」は、生体に対して有意な刺激をもたらさず、かつ投与される化合物の生物学的活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
【0153】
薬学的に許容できる担体は、任意の従来の薬学的担体または賦形剤を含み得る。担体および/または賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する担体または賦形剤の作用、ならびに剤形の性質などの因子に大きく依存することとなる。
【0154】
適切な薬学的担体には、不活性な希釈剤または増量剤、水および様々な有機溶媒(水和物および溶媒和物など)が含まれる。医薬組成物は、所望の場合には、香味剤、結合剤、賦形剤などの追加の成分を含有し得る。したがって、経口投与では、クエン酸などの様々な賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸およびある特定の複雑ケイ酸塩などの様々な崩壊剤と、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの結合剤と一緒に使用することができる。限定ではないが、賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン種、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤が多くの場合に、製錠の目的のために有用である。同様の種類の固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において使用することもできる。したがって、物質の非限定的例には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が望ましい場合、その中の活性化合物を、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または色素および、所望の場合には、乳化剤または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組合せなどの希釈剤と一緒に組み合わせることができる。
【0155】
医薬組成物は、例えば、経口投与では錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤、懸濁剤として、非経口注射では滅菌溶液、懸濁剤もしくは乳剤として、局所投与では軟膏剤もしくはクリーム剤として、または直腸投与では坐剤として適した形態であり得る。
【0156】
例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。そのような剤形を、所望の場合には適切に緩衝してもよい。
【0157】
医薬組成物は、正確な投薬量の単回投与に適した単位剤形であってよい。
【0158】
本発明の化合物を送達するために適切な医薬組成物、およびそれらを調製する方法は、当業者には容易に分かるであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、その開示が全体で参照により本明細書に援用される「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見い出すことができる。
【0159】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、上記化合物が消化管に入るような嚥下を伴ってもよいし、または上記化合物が口から直接、血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用してもよい。
【0160】
経口投与に適切な製剤には、錠剤などの固体製剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、チューイング剤、マルチ微粒子およびナノ微粒子、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤(粘膜粘着剤を含む)、卵形剤、噴霧剤ならびに液体製剤が含まれる。
【0161】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質または硬質カプセル剤中の充填剤として使用することもでき、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切なオイル、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体の再構成により、例えばサシェから調製することもできる。
【0162】
本発明の化合物はまた、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986、LiangおよびChen(2001)に記載されているものなどの急速溶解、急速分解剤形で使用することができる。
【0163】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%~80重量%、より典型的には剤形の5重量%~60重量%を構成していてよい。薬物に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%~25重量%、好ましくは5重量%~20重量%を構成することとなる。
【0164】
結合剤を一般に使用して、錠剤製剤に粘着性を付与する。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有してよい。
【0165】
錠剤は任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を包含してもよい。存在する場合には、界面活性剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~5重量%の量であり、流動促進剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~1重量%の量である。
【0166】
錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で存在する。
【0167】
他の従来の成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤、および矯味剤が含まれる。
【0168】
例示的な錠剤は、薬物約80重量%まで、結合剤約10重量%~約90重量%、希釈剤約0重量%~約85重量%、崩壊剤約2重量%~約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%~約10重量%を含有する。
【0169】
錠剤ブレンドを、直接か、ローラーにより圧縮して、錠剤を形成することができる。別法では、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿式、乾式、もしくは溶融造粒するか、溶融凝固させるか、または押し出し、その後に錠剤化することができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていてもよいし、もしくはコーティングされていなくてもよく;またはカプセル封入されていてもよい。
【0170】
錠剤の製剤化は、その開示が全体で参照により本明細書に援用される「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol. 1」、H. LiebermanおよびL. Lachman、Marcel Dekker,N.Y.、N.Y.1980(ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられている。
【0171】
経口投与するための固体製剤を、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0172】
適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液および浸透性コーティングされた粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On line、25(2)、1~14(2001)において見出すことができる。制御放出を達成するためにチューインガムを使用することは、WO00/35298に記載されている。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に援用される。
【0173】
本発明の化合物を、血流、筋肉、または内臓に直接投与してもよい。非経口投与に適切な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿管内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与に適切なデバイスには、針(微細針を包含する)注射器、無針注射器、および点滴技術が含まれる。
【0174】
非経口製剤は典型的には、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくは3~9のpHに)などの賦形剤を含有してよい水溶液であるが、いくつかの用途では、これらをより適切に、滅菌非水溶液として、または発熱物質不含の滅菌水などの適切なビヒクルと共に使用される乾燥形態として製剤化することができる。
【0175】
例えば、凍結乾燥による滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術を使用して容易に達成することができる。
【0176】
非経口溶液の調製において使用される本発明の化合物の溶解性は、溶解性増強剤を組み込むなどの適切な製剤技術を使用することにより増大させることができる。
【0177】
非経口投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。したがって本発明の化合物を、活性化合物の調節放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、またはチキソトロピー液として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物コーティングされたステントおよびPGLA微小球が含まれる。
【0178】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所で、すなわち、皮膚に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚貼付剤、ウェハ剤、インプラント剤、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルション剤が含まれる。リポソームを使用することもできる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。透過促進剤を組み込むこともできる。例えば、FinninおよびMorganによるJ.Pharm.Sci、88(10)、955~958(1999年10月)を参照されたい。局所投与の他の手段には、電気穿孔法、イオン泳動法、音波泳動法、ソノフォレーシス、および微細針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に援用される。
【0179】
局所投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0180】
本発明の化合物は、鼻腔内で、または吸入により、典型的には乾燥粉末の形態(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドで、または混合成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合して)で、乾燥粉末吸入器から、またはエアロゾル噴霧剤として、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電磁流体力学を用いて微細な霧を生成する噴霧器)、またはネブライザから、1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、もしくは使用せずに投与することもできる。鼻腔内での使用では、散剤は、生体用粘着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0181】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザは、例えば、エタノール、エタノール水溶液、または活性物質の分散、可溶化、もしくはその放出の延長に適切な代替薬剤、溶媒としての噴射剤、およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0182】
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、薬物製品を、吸入による送達に適切なサイズ(典型的には5ミクロン未満)まで超微粉砕する。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための臨界流体加工、高圧均一化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により達成することができる。
【0183】
吸入器または注入器で使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジを、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水であってもよいし、または一水和物の形態であってもよいが、後者が好ましい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0184】
電磁流体力学を用いて微細な霧を生成する噴霧器で使用するために適切な溶液製剤は、動作1回当たり本発明の化合物1μg~20mgを含有してよく、その動作体積は、1μl~100μlまで変動してよい。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0185】
メントールおよびレボメントールなどの適切な香味剤、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を意図されている本発明の製剤に加えることができる。
【0186】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、例えば、ポリ(DL-乳酸-コグリコール酸(PGLA)を使用して、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0187】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投薬単位は、計測量を送達するバルブにより決定される。本発明による単位は典型的には、所望の量の本発明の化合物を含有する計測用量または「パフ」を投与するように設計される。全一日用量を単回用量で、またはより通常は、一日を通して分割用量として投与することができる。
【0188】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐剤、または浣腸剤の形態で直腸または膣投与することができる。カカオバターが慣用的な坐剤基剤であるが、様々な代替物を適宜使用することができる。
【0189】
直腸/膣投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0190】
本発明の化合物は、典型的には等張性pH調節滅菌生理食塩水中の超微粉砕された懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適切な他の製剤には、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、ウェハ、レンズ、ならびに微粒子またはニオソームもしくはリポソームなどの小胞系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランゴムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に組み込むことができる。そのような製剤をイオン泳動法により送達することもできる。
【0191】
眼/耳投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0192】
他の技術
前述の投与方式のいずれかでの使用について、それらの溶解性、溶解速度、矯味、生物学的利用能および/または安定性を向上させるために、本発明の化合物を、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体などの溶解性高分子成分またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組み合わせることができる。
【0193】
薬物-シクロデキストリン複合体は例えば、ほとんどの剤形および投与経路に一般に有用であることが分かっている。包接および非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接的な複合体形成の代わりに、シクロデキストリンを補助的添加剤、すなわち、担体、希釈剤、または溶解剤として使用することができる。これらの目的のために最も一般に使用されるのは、アルファ-、ベータ-、およびガンマ-シクロデキストリンであり、その例は、それらの開示が全体で参照により本明細書に援用されるPCT公報WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148において見出すことができる。
【0194】
投与される活性化合物の量は、処置を受ける対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の素質、および処方する処方医の裁量に依存するはずである。しかしながら、有効な投薬量は典型的には、単回用量または分割用量で1日あたり体重1kgあたり約0.001~約100mg、多くは約0.01~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.07mg/日~約7000mg/日、さらに一般的には、約10mg/日~約1000mg/日の量になるであろう。ときには、投薬量は、約10、20、30、40、50、60、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、750、800、900または1000mg/日である。ときには、投薬量は、約10mg/日~約1000mg/日、約10mg/日~約750mg/日、約10mg/日~約600mg/日、約10mg/日~約300mg/日、約10mg/日~約150mg/日、約20mg/日~約750mg/日、約20mg/日~約600mg/日、約20mg/日~約300mg/日、約20mg/日~約150mg/日、約50mg/日~約750mg/日、約50mg/日~約600mg/日、約50mg/日~約300mg/日、約50mg/日~約150mg/日、約75mg/日~約750mg/日、約75mg/日~約600mg/日、約75mg/日~約300mg/日、または約75mg/日~約150mg/日である。
【0195】
一部の場合には、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルでも十分すぎる一方で、他の場合には、何らかの有害な副作用を引き起こすことなく、より多い用量を用いることもできるが、ただし、そのような多い用量は典型的には、日中を通して投与するために複数回の少ない用量に分割される。
【0196】
パーツキット
例えば、特定の疾患または状態を処置する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望まれ得る限りは、そのうちの少なくとも1種が本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、それらの組成物の同時投与に適したキットの形態で好都合に組み合わせることができることは本発明の範囲内である。したがって、本発明のキットは、そのうちの少なくとも1種が本発明の化合物を含有する2種以上の別個の医薬組成物、および前記組成物を別々に保持するための容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装のために使用される熟知されているブリスターパックである。
【0197】
本発明のキットは、異なる剤形を例えば経口および非経口で投与するために、異なる投与間隔で別個の組成物を投与するために、または相互に別個の組成物を用量決定するために特に適している。服薬遵守を助けるために、キットは典型的には、投与指示書を含み、メモリーエイドを装備していてよい。
【0198】
併用治療
本明細書で使用される場合、「併用治療」という用語は、本発明の化合物を少なくとも1種の追加の医薬または薬剤(例えば、抗がん治療薬)と一緒に連続的に、または同時に投与することを指す。
【0199】
本明細書において述べたとおり、本発明の化合物は、1種または複数の追加の抗がん治療薬と組み合わせて使用することができる。他の承認されているか、または実験的ながん治療、例えば、放射線、外科手術、化学治療薬、標的治療、腫瘍において調節不全になっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、およびPD1またはPDL1アンタゴニストなどの他の免疫増強薬と組み合わせることにより、ある特定の腫瘍における本発明の化合物の有効性を増強することができる。
【0200】
併用治療を用いる場合、1種または複数の追加の抗がん治療薬を本発明の化合物と連続的に、または同時に投与することができる。一実施形態では、追加の抗がん治療薬を、本発明の化合物の投与前に哺乳類(例えば、ヒト)に投与する。別の実施形態では、追加の抗がん治療薬を、本発明の化合物の投与後に哺乳類に投与する。別の実施形態では、追加の抗がん治療薬を、本発明の化合物の投与と同時に哺乳類(例えば、ヒト)に投与する。
【0201】
本発明はまた、ある量の上記で定義したとおりの本発明の化合物(前記化合物の水和物、溶媒和物および多形体またはその薬学的に許容できる塩を含む)を、1種または複数(好ましくは、1~3種)の追加の抗がん治療薬との組み合わせで含む、ヒトを含む哺乳類において異常な細胞増殖を処置するための医薬組成物に関する。
【0202】
本発明の化合物と組み合わせて投与することができる追加の化学治療薬の群には、これらに限定されないが:アルキル化薬、代謝拮抗薬、キナーゼ阻害薬、紡錘体阻害植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬、光増感薬、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、抗プロゲステロン、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD)、エストロゲン受容体アンタゴニスト、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト;IL-2受容体アゴニスト(組み換えサイトカインまたはサイトカイン受容体のためのアゴニスト);ならびに異常な細胞増殖または腫瘍増殖に関与する遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体が含まれる。
【0203】
他の追加の化学治療薬には、タキサンまたは白金製剤だけではなく、HER2標的薬、例えば、トラスツズマブも含まれる。
【0204】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、次の群から誘導される化合物:有糸分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、抗血管新生薬、トポイソメラーゼIおよびII阻害薬、植物アルカロイド、紡錘体阻害植物アルカロイド、KRAS阻害薬;MCT4阻害薬;MAT2a阻害薬;alk/c-Met/ROS阻害薬(クリゾチニブまたはロルラチニブを含む);mTOR阻害薬(テムシロリムスまたはゲダトリシブを含む);src/abl阻害薬(ボスチニブを含む);サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害薬(パルボシクリブ、PF-06873600を含む);erb阻害薬(ダコミチニブを含む);PARP阻害薬(タラゾパリブを含む);SMO阻害薬(グラスデギブを含む);EGFR T790M阻害薬;PRMT5阻害薬;TGFβR1阻害薬;成長因子阻害薬;細胞周期阻害薬、生体応答修飾物質;酵素阻害薬;ならびに細胞傷害薬が含まれる。
【0205】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、例えば、チロシンキナーゼ/血管内皮成長因子(VEGF)受容体(VEGFR)阻害薬を含む抗血管新生薬(スニチニブ、アキシチニブ、ソラフェニブ、およびチボザニブを含む)、TIE-2阻害薬、PDGFR阻害薬、アンギオポエチン阻害薬、PKCβ阻害薬、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害薬、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害薬、およびMMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害薬から誘導される化合物が含まれる。好ましい抗血管新生薬には、スニチニブ(Sutent(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、アキシチニブ(Inlyta(商標))、SU14813(Pfizer)、およびAG13958(Pfizer)が含まれる。追加の抗血管新生薬には、バタラニブ(CGP79787)、ペガプタニブオクタナトリウム(Macugen(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、PF-0337210(Pfizer)、SU14843(Pfizer)、AZD2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(Lucentis(商標))、Neovastat(商標)(AE941)、テトラチオモリブダータ(tetrathiomolybdata(Coprexa(商標))、AMG706(Amgen)、VEGF Trap(AVE0005)、CEP7055(Sanofi-Aventis)、XL880(Exelixis)、テラチニブ(BAY57-9352)、およびCP-868,596(Pfizer)が含まれる。他の抗血管新生薬には、エンザスタウリン(LY317615)、ミドスタウリン(CGP41251)、ペリホシン(KRX0401)、テプレノン(Selbex(商標))およびUCN 01(Kyowa Hakko)が含まれる。抗血管新生薬の他の例には、セレコキシブ(Celebrex(商標))、パレコキシブ(Dynastat(商標))、デラコキシブ(SC59046)、ルミラコキシブ(Preige(商標))、バルデコキシブ(Bextra(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、イグラチモド(Careram(商標))、IP751(Invedus)、SC-58125(Pharmacia)およびエトリコキシブ(Arcoxia(商標))が含まれる。まださらなる抗血管新生薬には、エキシスリンド(Aptosyn(商標))、サルサラート(Amigesic(商標))、ジフルニサル(Dolobid(商標))、イブプロフェン(Motrin(商標))、ケトプロフェン(Orudis(商標))、ナブメトン(Relafen(商標))、ピロキシカム(Feldene(商標))、ナプロキセン(Aleve(商標)、Naprosyn(商標))、ジクロフェナク(Voltaren(商標))、インドメタシン(Indocin(商標))、スリンダク(Clinoril(商標))、トルメチン(Tolectin(商標))、エトドラク(Lodine(商標))、ケトロラック(Toradol(商標))、およびオキサプロジン(Daypro(商標))が含まれる。まださらなる抗血管新生薬には、ABT510(Abbott)、アプラタスタット(TMI005)、AZD8955(AstraZeneca)、インサイクリニド(Metastat(商標))、およびPCK3145(Procyon)が含まれる。まださらなる抗血管新生薬には、アシトレチン(Neotigason(商標))、プリチデプシン(aplidine(商標))、シレングチド(EMD121974)、コンブレスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4HPR)、ハロフギノン(Tempostatin(商標))、Panzem(商標)(2-メトキシエストラジオール)、PF-03446962(Pfizer)、レビマスタット(BMS275291)、カツマキソマブ(Removab(商標))、レナリドマイド(Revlimid(商標))、スクアラミン(EVIZON(商標))、サリドマイド(Thalomid(商標))、Ukrain(商標)(NSC631570)、Vitaxin(商標)(MEDI522)、およびゾレドロン酸(Zometa(商標))が含まれる。
【0206】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、ホルモン薬およびアンタゴニストから誘導される化合物が含まれる。例には、抗ホルモン薬が腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する場合、例えば、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、ならびに選択的エストロゲン受容体デグレーダー(SERD)が含まれ、それには、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、トレミフェン(Fareston)、およびフルベストラントが含まれる。例には、副腎においてエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害薬も含まれ、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、メゲストロール酢酸塩、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、およびアナストロゾール;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、フルリジル、アパルタミド、エンザルタミド、シメチジンおよびゴセレリンなどの抗アンドロゲンなどの化合物が含まれる。
【0207】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼの阻害薬などのシグナル伝達阻害薬:シグナル伝達阻害薬(例えば、細胞内で伝達される細胞増殖、分化、および生存の基本的なプロセスを調節分子がそれにより支配する手段を阻害)から誘導される化合物が含まれる。シグナル伝達阻害薬には、低分子、抗体、およびアンチセンス分子が含まれる。シグナル伝達阻害薬には、例えば、キナーゼ阻害薬(例えば、チロシンキナーゼ阻害薬またはセリン/トレオニンキナーゼ阻害薬)および細胞周期阻害薬が含まれる。より具体的には、シグナル伝達阻害薬には、例えば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、EGF阻害薬、ErbB-1(EGFR)、ErbB-2、pan erb、IGF1R阻害薬、MEK(ビニメチニブ(Mektovi(商標))を含む)、c-Kit阻害薬、FLT-3阻害薬、K-Ras阻害薬、PI3キナーゼ阻害薬、JAK阻害薬、STAT阻害薬、Rafキナーゼ阻害薬、BRAF(エンコラフェニブ(Braftovi(商標))を含む)、Akt阻害薬、mTOR阻害薬、P70S6キナーゼ阻害薬、WNT経路の阻害薬および多標的キナーゼ阻害薬が含まれる。
【0208】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、ドセタキセル、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カペシタビン、ゲムシタビンまたはビノレルビンが含まれる。
【0209】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、エピジェネティックモジュレーターから誘導される化合物が含まれ、その際、例には、EZH2(PF-06821497を含む)、SMARCA4、PBRM1、ARID1A、ARID2、ARID1B、DNMT3A、TET2、MLL1/2/3、NSD1/2、SETD2、BRD4、DOT1L、HKMTsanti、PRMT1-9、LSD1、UTX、IDH1/2またはBCL6の阻害薬が含まれる。
【0210】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、免疫調節薬を含むがん免疫薬である化合物が含まれる。
【0211】
別の実施形態では、パターン認識受容体(PRR)との組合せが企図される。PRRは、免疫系の細胞により発現されて、病原体および/または細胞損傷もしくは死と関連する様々な分子を認識する受容体である。PRRは、自然免疫応答および適応免疫応答の両方に関与している。PRRアゴニストを使用して、対象において免疫応答を刺激することができる。toll様受容体(TLR)、RIG-I様受容体(RLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体(NLR)、C型レクチン受容体(CLR)、およびインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)タンパク質を含む複数の群のPRR分子が存在する。
【0212】
STINGタンパク質は、1型インターフェロンシグナル伝達においてサイトゾルDNAセンサーおよびアダプタータンパク質の両方として機能する。「STING」および「インターフェロン遺伝子刺激因子」という用語は、STINGタンパク質の任意の形態、さらには、STINGの活性の少なくとも一部を維持しているバリアント、アイソフォーム、および種ホモログを指す。ヒトSTINGへの具体的な言及などにより別に示されていない限り、STINGには、天然配列STINGのすべての哺乳類種が含まれ、例えば、ヒト、サル、およびマウスSTINGも、-TMEM173として公知である。
【0213】
本明細書で使用される場合の「STINGアゴニスト」は、STINGに結合すると(1)STINGを刺激する、もしくは活性化する、(2)STINGの活性、機能、もしくは存在を増強する、増大させる、促進する、誘導する、もしくは延長する、または(3)STINGの発現を増強する、増加させる、促進する、もしくは誘導する任意の分子を意味する。本発明の処置方法、医薬品および使用のいずれかにおいて有用なSTINGアゴニストには、例えば、STINGに結合する核酸リガンドが含まれる。
【0214】
本発明の処置方法、医薬品および使用において有用なSTINGアゴニストの例には、合成二本鎖DNAなどの様々な免疫賦活性核酸、環式ジ-GMP、環式-GMP-AMP(cGAMP)、MK-1454およびADU-S100(MIW815)などの合成環式ジヌクレオチド(CDN)、ならびにWO2019027858、WO20180093964、WO2017175156、WO2017175147などの低分子が含まれる。
【0215】
治療用抗体は、様々な異なる抗原に対して特異性を有し得る。例えば、治療用抗体は腫瘍関連抗原を指向することができ、その抗体の抗原への結合が、抗原を発現している細胞の死滅を促進する。他の例では、治療用抗体は免疫細胞上の抗原を指向することができ、その抗体の結合が、抗原を発現している細胞の活性の下方制御を予防する(そしてそれにより、抗原を発現している細胞の活性を促進する)。一部の状況では、治療用抗体は、複数の異なる機構を介して機能し得る(例えば、i)抗原を発現している細胞の死滅を促進すること、およびii)抗原が、抗原を発現している細胞と接触している免疫細胞の活性の下方制御を引き起こすことを妨げることの両方が可能である)。
【0216】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、標的において遮断性または阻害性であろう抗体が含まれる:CTLA-4(イピリムマブまたはトレメリムマブを含む)、PD-1またはPD-L1(アテゾリズマブ、アベルマブ、セミプリマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、またはペムブロリズマブを含む)、LAG-3、TIM-3、またはTIGIT。
【0217】
別の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、4-1BB、OX40、GITR、ICOS、またはCD40のアゴニストである抗体が含まれる。
【0218】
別の実施形態では、抗がん治療は、CAR-T-細胞治療であってもよい。
【0219】
治療用抗体の例には、抗OX40抗体、抗4-1BB抗体、抗HER2抗体(抗HER2抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を含む)、二重特異性抗CD47/抗PD-L1抗体、および二重特異性抗P-カドヘリン/抗CD3抗体が含まれる。ADCに組み込むことができる細胞傷害性薬物の例には、アンスラサイクリン、オーリスタチン、ドラスタチン、コンブレスタチン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノ-ベンゾジアゼピン二量体、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、カンプトテシン、ツブリシン、ヘミアスタリン、スプリセオスタチン、プラジエノライド、およびその立体異性体、同配体、類似体、または誘導体が含まれる。ADCに組み込むことができる例示的な免疫調節薬には、ガンシクロビル(gancyclovier)、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロフォスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート(methotrextrate)、グルココルチコイドおよびその類似体、サイトカイン、幹細胞成長因子、リンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、およびIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン-アルファ、-ベータおよび-ガンマ)、「S1因子」と呼ばれている幹細胞成長因子、エリスロポイエチンおよびトロンボポイエチン、またはそれらの組合せが含まれる。
【0220】
治療用抗体の追加の例は、次の抗原を含むことができ、その際、その抗原を指向する例示的な抗体も下には(抗原の後ろの括弧(brackets)/(parenthesis)内に)含まれる。次の抗原は、本明細書において「標的抗原」などと称されることもある。本明細書における治療用抗体のための標的抗原には、例えば:4-1BB(例えば、ウトミルマブ);5T4;A33;アルファ-葉酸受容体1(例えば、ミルベツキシマブ・ソラブタンシン);Alk-1;BCMA[例えば、米国特許第9969809号を参照されたい];BTN1A1(例えば、WO2018222689を参照されたい);CA-125(例えば、アバゴモマブ);カルボアンヒドラーゼIX;CCR2;CCR4(例えば、モガムリズマブ);CCR5(例えば、レロンリマブ);CCR8;CD3[例えば、ブリナツモマブ(CD3/CD19二重特異性)、CD3/P-カドヘリン二重特異性、CD3/BCMA二重特異性]CD19(例えば、ブリナツモマブ、MOR208);CD20(例えば、イブリツモマブ・チウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ウブリツキシマブ);CD22(イノツズマブ・オゾガマイシン、モキセツモマブ・パスドトックス);CD25;CD28;CD30(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン);CD33(例えば、ゲムツズマブ・オゾガマイシン);CD38(例えば、ダラツムマブ、イサツキシマブ)、CD40;CD-40L;CD44v6;CD47(例えば、Hu5F9-G4、CC-90002、SRF231、B6H12);CD52(例えば、アレムツズマブ);CD56;CD63;CD79(例えば、ポラツズマブベドチン);CD80;CD123;CD276/B7-H3(例えば、オムブルタマブ);CDH17;CEA;ClhCG;CTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)、CXCR4;デスモグレイン4;DLL3(例えば、ロバルピツズマブ・テシリン);DLL4;E-カドヘリン;EDA;EDB;EFNA4;EGFR(例えば、セツキシマブ、デパツキシズマブ
マホドチン、ネシツムマブ、パニツムマブ);EGFRvIII;エンドシアリン;EpCAM(例えば、オポルツズマブ・モナトクス);FAP;胎児アセチルコリン受容体;FLT3(例えば、WO2018/220584を参照されたい);GD2(例えば、ジヌツキシマブ、3F8);GD3;GITR;GloboH;GM1;GM2;HER2/neu[例えば、マルゲツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ;ado-トラスツズマブ・エムタンシン、トラスツズマブ・デュオカルマジン、[米国特許第8828401号を参照されたい];HER3;HER4;ICOS;IL-10;ITG-AvB6;LAG-3(例えば、レラトリマブ);ルイス-Y;LG;Ly-6;M-CSF[米国特許第7326414号を参照されたい];MCSP;メソテリン;MUC1;MUC2;MUC3;MUC4;MUC5AC;MUC5B;MUC7;MUC16;Notch1;Notch3;ネクチン-4(例えば、エンフォルツマブ・ベドチン);OX40[米国特許第7960515号を参照されたい];P-カドヘリン[WO2016/001810を参照されたい];PCDHB2;PDGFRA(例えば、オララツマブ);形質細胞抗原;ポリSA;PSCA;PSMA;PTK7[米国特許第9409995号を参照されたい];Ror1;SAS;SCRx6;SLAMF7(例えば、エロツズマブ);SHH;SIRPa(例えば、ED9、Effi-DEM);STEAP;TGF-ベータ;TIGIT;TIM-3;TMPRSS3;TNF-アルファ前駆体;TROP-2(例えば、サシツズマブ・ゴビテカン);TSPAN8;VEGF(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ);VEGFR1(例えば、ラニビズマブ);VEGFR2(例えば、ラムシルマブ、ラニビズマブ);Wue-1が含まれる。
【0221】
ADCに含まれてもよい例示的なイメージング剤には、フルオレセイン、ローダミン、ランタニド蛍光体、およびそれらの誘導体、またはキレート薬に結合している放射性同位体が含まれる。フルオロフォアの例には、これらに限定されないが、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)(例えば、5-FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば、5-FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5,-TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)が含まれる。キレート薬の例には、これらに限定されないが、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N”’-テトラ酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン、1-グルタル酸-4,7-酢酸(デフェロキサミン)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、および1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸)(BAPTA)が含まれる。
【0222】
ADCに含まれてもよい例示的な治療用タンパク質には、毒素、ホルモン、酵素、および成長因子が含まれる。
【0223】
ADCに組み込まれてもよい例示的な生体適合性ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体などの水溶性ポリマー、および双性イオン含有生体適合性ポリマー(例えば、ホスホリルコリン含有ポリマー)が含まれる。
【0224】
ADCに組み込まれてもよい例示的な生体適合性ポリマーには、アンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0225】
本発明はまた、本明細書において投与される抗がん治療薬と組み合わせての放射線の使用に関する。より具体的には、本発明の化合物を、放射線治療および/または化学治療などの追加の治療と組み合わせて投与することができる。
【0226】
化学合成
次のスキームおよび文章による説明は、本発明の化合物の調製に関する一般的な詳細を示すものである。
【0227】
本発明の化合物は、類似の構造の化合物を調製するために当技術分野で公知の任意の方法により調製することができる。特に、本発明の化合物は、以下のスキームを参照して記載する手順により、または実施例に記載の具体的な方法により、またはいずれかに類似のプロセスにより調製することができる。
【0228】
当業者であれば、以下のスキームに記載の実験条件は、示されている変換を行うために適切な条件の実例であり、式(I)の化合物、および式(I)に該当する化合物、例えば、式(I)、(Ia)または(Ib)などの化合物を調製するために用いられる正確な条件を変えることが必要であるか、または望ましいことがあることは分かるであろう。
【0229】
加えて、当業者であれば、本発明の化合物を合成する任意の段階で、1個または複数の不安定な基を保護して、望ましくない副反応を防ぐことが必要であるか、望ましいことがあることは分かるであろう。特に、アミノまたはアルコール基を保護することが必要であるか、望ましいことがある。本発明の化合物の調製において使用される保護基(PG)は、従来の手法で使用することができる。例えば、参照により本明細書に援用されるTheodora W GreeneおよびPeter G M Wutsによる「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(John Wiley and Sons、1999)、特に第7章(「Protection for the Amino Group」)および第2章(「Protection for the Hydroxyl Group, Including 1,2- and 1,3-Diols」)に記載の方法(そのような基を脱離するための方法も記載されている)を参照されたい。
【0230】
式(I)の誘導体はすべて、下に示されている一般方法に記載の手順により、またはそのルーチン的な変更により調製することができる。本発明はまた、本明細書において用いられる任意の新規の中間体に加えて、式(I)の誘導体を調製するためのこれらのプロセスの任意の1つまたは複数を包含する。当業者であれば、次の反応を熱により、マイクロ波照射下で、またはフローケミストリー条件下で加熱することできることは分かるであろう。
【0231】
さらに、スキームに記載の順序とは異なる順序で変換を実施すること、または所望の本発明の化合物を得るために、変換の1つもしくは複数を変更することが必要であるか、または望ましいことがあることは分かるであろう。
【0232】
第1のプロセスによれば、式(I)の化合物は、スキーム1により図示されるとおりの中間体(i)の化合物から調製することができる。
【0233】
【化11】
【0234】
可能なPGには、4-メトキシベンジル、N,N-ビス-(4-メトキシベンジル)、tert-オクチルまたは他の適切なアミン保護基が含まれ;式(I)の化合物ではN,N-ビス-(4-メトキシベンジル)が最も頻繁に使用されている。
【0235】
中間体(i)、(iv)、(vi)、(ix)、(x)は市販されているか、または当業者であれば文献または本明細書に記載の調製例に従って合成することができる。本明細書において論述されているスキームでは、式(I)の化合物がキラル中心を有する場合、それぞれの鏡像異性体を、必要に応じてラセミ体のキラル分離により分離することができる。また、Rがケタールまたはシリルなどの保護基を含有する場合、ジクロロメタン/メタノール/水中のメタンスルホン酸などの適切な脱保護条件を必要に応じて使用することができる。
【0236】
中間体(ii)は、中間体(i)から、ステップ(a)、ニトロ化反応により調製することができる。典型的な方法は、適切なニトロ化剤および適切な有機または無機溶媒を用いる。好ましい条件は、硫酸中で10℃での硝酸の使用を含む。
【0237】
中間体(iii)は、中間体(ii)から、ステップ(b)、トリフラート形成反応により調製することができる。典型的な方法は、適切な有機溶媒中で、低温下で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を適切な有機または無機塩基と共に用いる。好ましい条件は、ジクロロエタン中で0℃でのトリエチルアミンの使用を含む。
【0238】
中間体(v)は、中間体(iii)から、ステップ(c)、中間体(iv)との求核性芳香族置換反応により調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で、適切な有機または無機塩基を用いる。好ましい条件は、ジクロロエタン中のトリエチルアミンの使用を含む。
【0239】
中間体(vii)は、中間体(v)から、ステップ(d)、中間体(vi)との求核性芳香族置換反応により調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で、適切な有機または無機塩基を用いる。例えば、熱により加熱された50℃のジクロロエタン中でビス(4-メトキシベンジル)アミンをトリエチルアミンと共に使用するか、または75℃のトルエン中でtert-オクチルアミンをトリエチルアミンと共に使用する。
【0240】
中間体(viii)は、中間体(vii)から、ステップ(e)、ニトロ還元ステップにより調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で、適切な水素供給源および適切な水素化触媒を用いる水素化条件、または適切な有機溶媒中で適切な金属および適切な水素またはプロトンドナーを用いる。好ましい条件は、メタノール中での亜鉛ダストおよびギ酸アンモニウムの使用を含む。
【0241】
中間体(xi)は、中間体(viii)から、ステップ(f)、中間体(ix)または(x)とのアミド結合形成ステップにより調製することができる。典型的な方法は、適切な有機溶媒中で中間体(ix)を適切な有機または無機塩基と共に用いるか、または適切な有機溶媒中で中間体(x)を適切なアミドカップリング試薬および適切な有機または無機塩基と共に用いる。典型的な条件は、中間体(ix)を使用する場合には、トリエチルアミンおよびジクロロメタンを使用する。典型的な条件は、中間体(x)を使用する場合には、酢酸エチル、トリエチルアミンおよび酢酸エチル中50重量%プロピルホスホン酸無水物溶液を使用する。
【0242】
中間体(xii)は、中間体(xi)から、ステップ(g)、イミダゾール環形成により調製することができる。典型的な方法は、熱により、マイクロ波照射、またはフローケミストリー条件下で高められた温度で適切な有機または無機塩基を用いる塩基性条件を;別法では、熱により、マイクロ波照射、またはフローケミストリー条件下で高められた温度で適切な有機または無機酸を用いる酸性条件を用いる。別法では、熱により、マイクロ波照射、またはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中の適切な脱水剤。好ましい条件は、熱により加熱された80℃のエタノール中の水酸化ナトリウム、または熱により加熱された80℃の四塩化炭素中のトリフェニルホスフィンおよびトリエチルアミンの使用を含む。
【0243】
式(I)の化合物は、中間体(xii)から、ステップ(h)、存在する場合にはPGおよびR中に含有されるもの、例えば、シリルまたはケタールの除去により調製することができる。典型的な脱保護方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中の適切な有機または無機酸を含む。好ましい条件は、熱により加熱された45℃のジクロロメタン中のメタンスルホン酸、続く、メタノールおよび水の添加を含む。
【0244】
別法では、式(I)の化合物は、スキーム2に図示されているとおり、中間体(iii)から調製することができる。
【0245】
【化12】
【0246】
可能なアミノPGには、4-メトキシベンジル、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)、tert-オクチルが含まれ、この際、実施例では、tert-オクチルが最も頻繁に使用される。
【0247】
脱離基(LG)は、特異的な反応を援助する官能基であり、それには、OH、Cl、Br、I、OM、OT、およびOTfが含まれ、この際、実施例では、OHが最も頻繁に使用される。
【0248】
中間体(ix)、(x)、(xiii)、(xv)は、市販されているか、または当業者であれば文献または本明細書に記載の調製例に従って合成することができる。
【0249】
中間体(xiv)は、中間体(iii)から、ステップ(i)、中間体(xiii)との求核性芳香族置換反応により調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で、適切な有機または無機塩基を用いる。好ましい条件は、ジクロロエタン中のトリエチルアミンの使用を含む。
【0250】
中間体(xvi)は、中間体(xiv)から、ステップ(j)、中間体(xv)との求核性芳香族置換反応により調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で、適切な有機または無機塩基を用いる。好ましい条件は、熱により加熱された50℃のジクロロエタン中でビス(4-メトキシベンジル)アミンをトリエチルアミンと共に使用すること、または75℃のトルエン中でtert-オクチルアミンをトリエチルアミンと共に使用することを含む。
【0251】
中間体(xvii)は、中間体(xvi)から、ステップ(k)、タンデム型ニトロ還元および脱ベンジル化ステップにより調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で、水素化条件を適切な水素供給源および適切な水素化触媒と共に用いる。好ましい条件は、55℃のエタノール中でのギ酸アンモニウムおよび炭素上の30%パラジウムの使用を含む。
【0252】
中間体(xviii)は、中間体(xvii)から、ステップ(l)、中間体(ix)または(x)とのアミド結合形成ステップにより調製することができる。典型的な方法は、適切な有機溶媒中で中間体(ix)を適切な有機もしくは無機塩基と共に、または適切な有機溶媒中で中間体(x)を適切なアミドカップリング試薬および適切な有機もしくは無機塩基と共に用いる。好ましい条件は、0℃で中間体(ix)をトリエチルアミンおよびジクロロメタンと共に使用することを含む。
【0253】
中間体(xix)は、中間体(xviii)から、ステップ(m)、イミダゾール環形成により調製することができる。典型的な方法は、熱により、マイクロ波照射、またはフローケミストリー条件下で高められた温度で適切な有機または無機塩基を用いる塩基性条件か;熱により、マイクロ波照射、またはフローケミストリー条件下で高められた温度で適切な有機または無機酸を用いる酸性条件か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中で適切な脱水剤かを用いる。好ましい条件は、熱により加熱された75℃のエタノール中の水酸化ナトリウムの使用を含む。
【0254】
中間体(xxi)は、中間体(xix)から、ステップ(n)、中間体(xx)との求核性置換反応または光延反応により調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中の適切な有機または無機塩基を含む。別法では、LGがヒドロキシル基である場合は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中の適切なホスフィンおよび適切なアゾジカルボキシラート(または単一の試薬中で両方の組合せ)で処理することによる。LGがヒドロキシル基である場合、好ましい条件は、熱により加熱された90℃または100℃のトルエン中のシアノメチレントリブチルホスホランの使用を含む。
【0255】
式(I)の化合物は、中間体(xxi)から、ステップ(o)、PGおよび存在する場合にはR中に含有される任意のPG、例えば、ケタールまたはシランの除去により調製することができる。典型的な方法は、室温か、または熱により、マイクロ波照射、もしくはフローケミストリー条件下で高められた温度の適切な有機溶媒中の適切な有機または無機酸を含む。好ましい条件は、ヘキサフルオロイソプロパノール中のメタンスルホン酸またはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸、続く、メタノールの添加を含む。
【0256】
本発明の化合物の合成を実行する際、当業者は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフィー/質量分析(LCMS)、および核磁気共鳴(NMR)を含む一般的な方法で反応をモニターすることとなる。
【0257】
当業者は、本発明の化合物をジアステレオ異性体または幾何異性体(例えば、シクロアルカン環でのcisおよびtrans置換)の混合物として調製することができることも認めるであろう。これらの異性体は、シリカゲル上での順相クロマトグラフィー、逆相分取高圧液体クロマトグラフィーまたは超臨界流体クロマトグラフィーなどの標準的なクロマトグラフィー技術により分離することができる。当業者はまた、一部の本発明の化合物はキラルであり、したがって、鏡像異性体のラセミまたはスケールミック混合物として調製することもできることを認めるであろう。鏡像異性体の分離について、いくつかの方法が利用可能であり、当業者に周知である。
【実施例
【0258】
別段に特記しない限り、反応を窒素の雰囲気下で実行した。シリカゲル上でのクロマトグラフィーを、250~400メッシュシリカゲルを使用し、溶媒をカラムに通すために加圧窒素(約10~15psi)を使用して実施した(「フラッシュクロマトグラフィー」)。示されている場合、溶液および反応混合物を回転蒸発により真空下で濃縮した。
【0259】
Hおよび19F核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべてのケースで、提案された構造と一致した。特徴的な化学シフト(δ)は、(H-NMRで)テトラメチルシランから低磁場に百万分率で、主なピークを指定するための従来の略語:例えば、s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、ブロードを使用して示されている。一般的な溶媒について、以下の略語が使用されている:CDCl、重水素化クロロホルム;d-DMSO、ジューテロジメチルスルホキシド;およびCDOD、ジューテロメタノール。適切な場合には、互変異性体をNMRデータ内に記録していることがあり;一部の交換可能なプロトンが観察できないこともある。
【0260】
質量スペクトル、MS(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)または大気圧化学イオン化(APCI)のいずれかを使用して記録した。関連する場合には、別段に述べられていない限り、提供されているm/zデータは、同位体19F、35Cl、79Brおよび127Iについてである。
【0261】
命名は、Perkin Elmers Chemdraw 18.0内で生成させてIUPAC(国際純正・応用化学連合)により記載されたとおりに記されている。
【0262】
本明細書において提示される非限定的例および調製例では、次の略語を適用する:
AcOHは、酢酸であり;
aqは、水性であり;
Bnは、ベンジルであり
brは、ブロードであり;
tBuは、tert-ブチルであり;
℃は、摂氏温度であり;
COは、二酸化炭素であり;
CMBPは、シアノメチレントリブチルホスホランであり;
CsCOは、炭酸セシウムであり;
DCEは、ジクロロエタンであり;
DCMは、ジクロロメタン;塩化メチレンであり;
DIPEA/DIEAは、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンであり;
DMAは、ジメチルアセトアミドであり;
DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドであり;
DMSOは、ジメチルスルホキシドであり;
eeは、鏡像異性体過剰率であり;
EtOAcは、酢酸エチルであり;
EtOHは、エタノールであり;
EtNは、トリエチルアミンであり;
gは、グラムであり;
HCONHは、ギ酸アンモニウムであり;
HClは、塩酸であり;
HFIPは、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールであり;
HNOは、硝酸であり;
HPLCは、高圧液体クロマトグラフィーであり;
Oは、水であり;
SOは、硫酸であり;
Hrまたはhrは、時であり;
IPA/iPrOHは、イソプロパノールであり;
Lは、リットルであり;
LCMSは、液体クロマトグラフィー質量分析法であり;
LiAlHは、水素化アルミニウムリチウムであり;
LiOHは、水酸化リチウムであり;
Mは、モルであり;
MeCNは、アセトニトリルであり;
MeIは、ヨウ化メチルであり;
MeOHは、メタノールであり;
mgは、ミリグラムであり;
MgSOは、硫酸マグネシウムであり;
MHzは、メガヘルツであり;
minは、分であり;
mLは、ミリリットルであり;
mmolは、ミリモルであり;
molは、モルであり;
MS m/zは、質量スペクトルピークであり;
MsOHは、メタンスルホン酸であり;
NaHは、水素化ナトリウムであり;
NaHCOは、炭酸水素ナトリウムであり;
NaOHは、水酸化ナトリウムであり;
NaSOは、硫酸ナトリウムであり;
NHは、アンモニアであり;
NHOHは、水酸化アンモニウムであり;
NH(PMB)は、ビス(4-メトキシベンジル)アミンであり;
NMRは、核磁気共鳴であり;
Pd/Cは、炭素上のパラジウムであり;
pHは、水素イオン指数であり;
ppmは、百万分率であり;
psiは、ポンド毎平方インチであり;
Rtは、保持時間であり;
RTは、室温であり;
TBDMSは、tertブチルジメチルシリルであり;
TBSClは、tertブチルメチルシリルクロリドであり;
TBME/MTBEは、tert-ブチルジメチルエーテルであり;
TEAは、トリエチルアミンであり;
TfOは、トリフルオロメタンスルホン酸無水物であり;
TFAは、トリフルオロ酢酸であり;
TFAAは、トリフルオロ無水酢酸であり;
THFは、テトラヒドロフランであり;
TLCは、薄層クロマトグラフィーであり;
TsOHは、p-トルエンスルホン酸であり;
Znは、亜鉛であり;
μLは、マイクロリットルであり;
μmolは、マイクロモルである。
【0263】
本発明の化合物の調製中に、一部の中間体の鏡像異性体を分離するために、キラル分離を用いた。そのような分離を行う場合、分離された鏡像異性体を、それらの溶離の順序に従って、ENT-1またはENT-2と指定した。2つのキラル中心を有する化合物では、それぞれの立体中心で立体異性体を異なる時間に分離した。中間体または実施例のENT-1またはENT-2の指定は、そのステップで行われた分離についてのキラル中心に関する。2つ以上の中心を有する化合物において、キラル中心で立体異性体が分離される場合、それらの分離された鏡像異性体は相互にジアステレオ異性体であることは認められる。ENT-1またはENT-2の指定は、一貫性のために本明細書において用いられ、分離されたキラル中心に関する。限定ではなく例として、実施例6および7は1つのキラル中心を有する。鏡像異性体を最後のステップとして分離した。キラル中心を2つの可能性として描出しているが、どちらの実施例がどちらの鏡像異性体であるかは未知である。したがって、(R)および(S)の指定は、実施例6または7のいずれとも関係がない。これらの調製例において中間体で分離を行う場合、混合物を分離手順に掛けた後、キラル中心をその中心付近の「abs」で特定するが、これは、分離された鏡像異性体は鏡像異性的に純粋でなくともよく、かつ鏡像異性体を確認しなかったので、その結合の特異的配向を描出しないことを了解してのことである。典型的には、各キラル中心において富化された鏡像異性体は、単離物質>90%である。中心でのエナンチオマ純度を混合物に対して>98%、さらには>99%であるように富化する努力も行う。
【0264】
鏡像異性体の旋光性は、旋光計を使用して測定することができる。その観察された回転データ(またはその特異的回転データ)に従って、時計回りの回転を伴う鏡像異性体を(+)-鏡像異性体と指定し、反時計回りの回転を伴う鏡像異性体を(-)-鏡像異性体と指定した。ラセミ化合物は、描出もしくは記載の立体化学が存在しないことにより、または構造に隣接して(+/-)が存在することにより示され;後者の場合には、示されている立体化学は、化合物の置換基の相対(絶対ではなく)配置を表している。
【0265】
分取TLCまたはシリカゲルクロマトグラフィーを使用している場合、当業者は、所望の化合物を精製するために任意の組合せの溶媒を選択することができる。
【0266】
(実施例1)
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)プロパン-1,3-ジオールトリフルオロ酢酸塩
【0267】
【化13】
ステップ1:4-(ベンジルアミノ)-5,6-ジメチル-3-ニトロピリジン-2-イルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0268】
【化14】
丸底フラスコに、窒素下で、ジクロロメタン(300ml)中の5,6-ジメチル-3-ニトロピリジン-2,4-ジオール(7.56g、41.05mmol)を添加した。これに、トリエチルアミン(12.5g、123mmol、17.2ml)を添加し、反応物を0℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(23.2g、82.1mmol、13.8ml)を8分かけて滴下添加した。反応物を0℃で1.5時間撹拌した。これに、ベンジルアミン(4.84g、45.2mmol、4.93ml)を添加し、反応物を室温に加温し、3時間撹拌した。反応混合物を水(2×100ml)およびブライン(1×100ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル0~50%勾配)により精製して、標題化合物を得た。収量:12.4g、30.5mmol、74.3%。LCMS m/z 406.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
CDCl3) δ 7.34-7.44 (m, 3H), 7.28-7.31 (m,
2H), 5.24 (br. s., 1H), 4.31 (d, J=5.07 Hz, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.12-2.20 (m,
3H).
【0269】
ステップ2:N4-ベンジル-5,6-ジメチル-3-ニトロ-N2-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)ピリジン-2,4-ジアミンの合成
【0270】
【化15】
丸底フラスコに、添加された4-(ベンジルアミノ)-5,6-ジメチル-3-ニトロピリジン-2-イルトリフルオロメタンスルホナート(12.4g、30.5mmol)およびトルエン(100ml)を装入した。トリエチルアミン(4.63g、45.7mmol、6.38ml)を、続いて、tert-オクチルアミン(5.91g、45.7mmol、7.34ml)を添加した。反応物を16時間、75℃で加熱した。tert-オクチルアミン(5.91g、45.7mmol、7.34ml)を添加し、反応物を48時間、75℃で加熱した。溶液をCelite(登録商標)で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル0~50%勾配)により精製して、標題化合物を赤色の油状物として得た。収量:8.93g、23.2mmol、76.2%。LCMS m/z386.4[M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 8.76 (s, 1H), 8.38 (br. s., 1H), 7.32-7.39 (m, 2H),
7.27-7.31 (m, J=3.12, 3.12 Hz, 3H), 4.46 (d, J=4.29 Hz, 2H), 2.33 (s, 3H), 2.14
(s, 3H), 1.99 (s, 2H), 1.56 (s, 6H), 0.98 (s, 9H).
【0271】
ステップ3:5,6-ジメチル-N2-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)ピリジン-2,3,4-トリアミンの合成
【0272】
【化16】
N4-ベンジル-5,6-ジメチル-3-ニトロ-N2-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)ピリジン-2,4-ジアミン(8.90g、23.2mmol)およびエタノール(150ml)を含む丸底フラスコに、ギ酸アンモニウム(14.6g、231mmol)を添加した。炭素上のパラジウム(200mg、30%Pd)を添加し、反応物を55℃で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチル中で1時間撹拌し、次いで、固体を、Celite(登録商標)を通す濾過により除去した。濾液を濃縮して、標題化合物を橙色のゴム状物として得た。収量:5.6g、21.2mmol、91.5%。LCMS m/z 265.3 [M+H]+. 1H NMR (600
MHz, CDCl3) δ 8.62 (s, 1H), 2.40 (s, 3H),
1.98 (s, 3H), 1.66 (s, 2H), 1.29 (s, 6H), 1.05 (s, 9H).
【0273】
ステップ4:2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミンの合成
【0274】
【化17】
5,6-ジメチル-N2-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)ピリジン-2,3,4-トリアミン(5.60g、21.2mmol)およびジクロロメタン(100ml)の溶液を0℃に冷却した。これに、2-エトキシアセチルクロリド(2.73g、22.2mmol、2.44ml)を、続いて、トリエチルアミン(3.21g、31.8mmol、4.43ml)を添加した。反応物を0℃で1.5時間撹拌した。反応物をジクロロメタン(100ml)で希釈し、有機層を水(2×50ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をエタノール(100ml)で希釈し、水酸化ナトリウム(5.08g、127mmol、8.47ml、15N)を添加した。反応混合物を16時間、75℃で加熱した。反応物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水(2×)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチルで洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル、0~100%勾配)により精製して、標題化合物を得た。収量:1.40g、4.21mmol、19.8%。LCMS m/z 333.1 [M+H]+. 1H NMR (400
MHz, CDCl3) δ 9.10 (br. s., 1H), 4.96 (br.
s., 1H), 4.73 (s, 2H), 3.65 (q, J=7.02 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.25 (s, 3H),
2.07 (s, 2H), 1.59 (s, 6H), 1.29 (t, J=7.02 Hz, 3H), 0.99 (s, 9H).
【0275】
ステップ5:1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミンの合成
【0276】
【化18】
トルエン(2ml)中の2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(125mg、0.376mmol)、(2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール(68.7mg、0.470mmol)の溶液に、シアノメチレントリブチルホスホラン(136mg、0.564mmol、0.564ml、トルエン中1M)を添加し、反応物を1.5時間、90℃で加熱し、次いで、室温に冷却し、16時間撹拌した。シアノメチレントリブチルホスホラン(136mg、0.564mmol、0.564ml、トルエン中1M)を添加し、反応物を90℃で1.5時間撹拌した。反応混合物をシリカゲル上で吸収し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル0~100%勾配)により精製して、標題化合物を得た。収量:72mg、0.156mmol、42%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400
MHz, CDCl3) δ 5.13 (s, 1H), 4.79 (s, 2H),
4.62 (d, J=7.81 Hz, 2H), 4.02 (dd, J=2.93, 12.29 Hz, 2H), 3.60 (q, J=7.02 Hz,
2H), 3.51 (d, J=10.93 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.38 (s, 3H), 2.06 (s, 2H),
1.90-1.98 (m, 1H), 1.58 (s, 6H), 1.47 (s, 6H), 1.24 (t, J=7.02 Hz, 3H), 0.99
(s, 9H).
【0277】
ステップ6:実施例1:2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)プロパン-1,3-ジオールトリフルオロ酢酸塩の合成
【0278】
【化19】
ジクロロメタン:トリフルオロ酢酸の4:1混合物(5ml)中の1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(72mg、0.16mmol)の溶液を室温で30分間撹拌した。メタノール(10ml)を添加し、反応物を室温で1.5時間撹拌した。反応物を濃縮し、残渣をジメチルスルホキシド(1ml)に溶解し、逆相HPLC(カラム:Waters Sunfire C18 19×100、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);勾配:HO95.0%/アセトニトリル5.0%で1.0分間保持、9.0分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%を直線的にHO0%/アセトニトリル100%へ、10分までHO0%/アセトニトリル100%に保持。流速:25mL/分)により精製した。収量:18.1mg、0.043mmol、27%、HPLC保持時間:1.17分(カラム:Waters Atlantis(登録商標)dc18 4.6×50、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);勾配:4.0分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%から直線的にHO5%/アセトニトリル95%へ、5.0分までHO5%/アセトニトリル95%で保持。流速:2mL/分);HPLC m/z 309.4 [M+H]+.
【0279】
(実施例2)
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0280】
【化20】
ステップ1:5,6-ジメチル-3-ニトロピリジン-2,4-ジオールの合成
【0281】
【化21】
5,6-ジメチルピリジン-2,4-ジオール(40.0g、287mmol)(Org.Lett.、2003、5(25)、pp4779~4782)に18℃で、濃硫酸(174ml)を添加した。反応物を0℃に冷却し、その時点で、硝酸(68~70%、45.8ml)を1.5時間かけて添加し、その際、内部温度を10℃未満に維持した。添加が完了した後に、反応物を10℃で30分間撹拌した。この反応物を5,6-ジメチルピリジン-2,4-ジオール40gからの第2の反応物と合わせた。合わせた反応混合物を氷水(2L)に注ぎ入れた。黄色の沈澱物を濾取し、水(5×200ml)およびMTBE(5×100ml)で洗浄した。収集した固体を真空下で乾燥して、標題化合物を黄色の固体として得た。合計収量:50g、271.7mmol、出発ピリジン80gに対して収率47%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
12.34 (br s, 1H), 11.90 (br s, 1H), 2.21 (s, 3H), 1.90 (s, 3H).
【0282】
ステップ2:N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-5,6-ジメチル-3-ニトロ-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)ピリジン-2,4-ジアミンの合成
【0283】
【化22】
0℃に冷却したジクロロエタン(1.4L)中の5,6-ジメチル-3-ニトロピリジン-2,4-ジオール(70.0g、380.1mmol)の溶液に、トリエチルアミン(80.8g、798mmol)を添加した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(220g、779mmol)を30分かけて0℃で添加した。反応物を0℃で1.5時間撹拌した。トリエチルアミン(42.3g、418mmol)を添加し、続いて、(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタンアミン(72.6g、456mmol)(Organic & Biomolecular Chemistry、14(2)、483~494;2016から調製)を少しずつ添加した。反応物を0℃で20分間撹拌し、次いで、15℃で18時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、その時点で、トリエチルアミン(115g、1.14mol)を、続いて、ビス(4-メトキシベンジル)アミン(127g、494mmol)を添加した。次いで、反応物を50℃で12時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル勾配0~10%)により精製した。生成物画分を収集し、体積10%まで蒸発させた。固体を濾取し、濾過ケーキを石油エーテル(3×50ml)で洗浄した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル勾配0~10%)により精製した。生成物画分を収集し、体積10%まで蒸発させた。固体を濾取し、濾過ケーキを石油エーテル(3×20ml)で洗浄して、標題化合物を黄色の固体として得た。収量:98g、173.6mmol、45.7%。LCMS m/z 564.9 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
CDCl3) δ 7.05 (d, J=8.78 Hz, 4H), 6.80 (d,
J=8.78 Hz, 4H), 6.47 (t, J=6.15 Hz, 1H), 4.34 (s, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.54-3.67
(m, 4H), 3.42 (d, J=6.02 Hz, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.43 (s, 3H),
1.41 (s, 3H), 0.83 (s, 3H).
【0284】
ステップ3:N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-5,6-ジメチル-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)ピリジン-2,3,4-トリアミンの合成
【0285】
【化23】
メタノール(673ml)中のN2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-5,6-ジメチル-3-ニトロ-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)ピリジン-2,4-ジアミン(57.0g、100.9mmol)の溶液に、ギ酸アンモニウム(63.7g、1.01mol)を、次いで、亜鉛ダスト(66.0g、1.01mol)を添加した。反応物を10分間、15℃で撹拌した。反応混合物を、Celite(登録商標)を通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水をゆっくり添加して、白色の沈澱物を形成した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物を茶色の油状物として得た。さらに精製せずに使用した。収量:50.0g、96.4mmol、95.5%。LCMS m/z 535.0 [M+H]+.
【0286】
ステップ4:N-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5,6-ジメチル-4-(((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-2-エトキシアセトアミドの合成
【0287】
【化24】
ジクロロメタン(1L)中のN2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-5,6-ジメチル-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)ピリジン-2,3,4-トリアミン(100g、192.8mmol)の溶液に、トリエチルアミン(97.5g、964mmol、134ml)を添加した。反応物を0℃に冷却し、その時点で、2-エトキシアセチルクロリド(37.8g、308mmol)を滴下添加した。氷浴を取り外し、反応物を25℃で16時間撹拌した。溶媒を除去し、生成物をさらに精製せずに使用した。収量:150g、192.8mmol、定量的と推定。
【0288】
ステップ5:2-(エトキシメチル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-6,7-ジメチル-1-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミンの合成
【0289】
【化25】
エタノール(3.45L、0℃に冷却)中の、上の反応からの粗製のN-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5,6-ジメチル-4-(((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-2-エトキシアセトアミドの溶液に、水酸化ナトリウム(64.4ml、15N水溶液)を添加した。添加の後に、反応物を16時間、加熱還流した。反応物を15℃に冷却し、その時点で、白色の沈澱物が形成した。固体を濾過し、濾過ケーキを水およびMTBEで洗浄した。白色の固体を酢酸エチル(1L)に溶解し、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル勾配0~45%)により精製して、生成物を得た。この物質を別のバッチからの追加の7.2gの生成物と合わせ、石油エーテル:MTBEの2:1溶液中で20分間撹拌した。固体を濾過し、真空で乾燥して、標題化合物を白色の固体として得た。合計収量:94.52g、157mmol、収率76%。LCMS m/z 603.0 [M+H]+. 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6)
δ 7.16 (d, J=8.22 Hz, 4H), 6.83 (d, J=8.80 Hz, 4H),
4.82-5.27 (m, 6H), 4.36-4.80 (m, 4H), 3.70 (s, 6H), 3.51-3.68 (m, 2H),
3.40-3.46 (m, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 1.39 (s, 3H), 1.34 (s, 3H), 1.07
(t, J=7.04 Hz, 3H), 0.56 (s, 3H).
【0290】
ステップ6:実施例(2):2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールの合成
【0291】
【化26】
バイアル内の2-(エトキシメチル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-6,7-ジメチル-1-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(477mg、0.791mmol)およびジクロロメタン(3ml)の溶液に、濃塩酸(7.91mmol、0.66ml)を滴下添加した。バイアルのキャップを締め、反応物を室温で2時間撹拌し、次いで、1時間、50℃で加熱した。追加の濃塩酸(4.8mmol、0.40ml)を添加し、反応物を50℃で30分間加熱し続けた。次いで、反応物を室温に冷却し、16時間撹拌した。水(2ml)を添加し、水層をジクロロメタン(2×3ml)で洗浄した。水層を、固体の炭酸ナトリウムを用いてpH9にした。次いで、反応物を加熱還流し、4℃に冷却した。固体を濾過し、水(5ml)およびエーテル(5ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、標題化合物を白色の固体として得た。収量194mg、0.602mmol、76.0%。LCMS m/z 323.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
DMSO-d6) δ 5.76 (s, 2H), 4.91-5.09 (m, 1H),
4.69-4.90 (m, 2H), 4.27-4.59 (m, 3H), 3.39-3.56 (m, 2H), 3.29-3.37 (m, 1H, 推定, H2Oにより一部不明確), 3.14-3.29 (m,
2H), 2.95-3.13 (m, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), 1.06-1.14 (m, 3H), 0.48 (s,
3H).
【0292】
(実施例3)
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0293】
【化27】
キノリン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製した。18.5mgを調製した。LCMS m/z 345.4 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
DMSO-d6) δ ppm 0.58 (s, 3 H) 1.15 (t, J=7.02
Hz, 3 H) 3.07 - 3.77 (m, 7 H) 4.58 - 5.26 (m, 5 H) 7.52 (t, J=8.0 Hz, 1 H) 7.71
(t, J=8.0 Hz, 1 H) 7.79 (d, J=8.0 Hz, 1 H) 8.74 (d, J=8.0 Hz, 1 H) 9.19 (br s,
1 H)
【0294】
(実施例4)
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0295】
【化28】
6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製し、60mgを調製した。LCMS保持時間:0.715分(カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 50×2.1mm、1.7um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:HO100%で0.10分間保持、0.90分でHO100%からHO0%/アセトニトリル100%へ、HO0%/アセトニトリル100%で0.2分間保持。流速:1.0mL/分)。LCMS m/z 335.3 [M+H]+. 1H NMR (CDCl3,
400 MHz), 特徴的ピーク: δ 5.1-5.3 (m,
2H), 4.8-5.0 (m, 2H), 4.1-4.8 (m, 3H), 3.5-3.8 (m, 6H), 3.1-3.3 (m, 2H),
2.9-3.0 (m, 2H), 2.1-2.2 (m, 2H), 1.26 (t, 3H, J=7.0 Hz), 0.65 (s, 3H).
【0296】
(実施例5)
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールギ酸塩
【0297】
【化29】
6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製し、34mgを調製した。LCMS保持時間:0.621分(カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 50×2.1mm、1.7um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:1分かけてHO95%/アセトニトリル5%からHO0%/アセトニトリル100%へ、HO0%/アセトニトリル100%で0.2分間保持。流速:1.0mL/分)。LCMS m/z 349.2 [M+H]+. 1H NMR (メタノール-d4, 400 MHz), 特徴的ピーク: δ 8.4-8.6 (m, 1H), 4.63 (s, 2H), 3.59-3.68 (m, 2H ), 3.1-3.6 (m, 5H, 推定, 溶媒により一部不明確), 2.8-3.0 (m, 3H), 1.72-2.06
(m, 4H), 1.22 (t, 3H, J=7.0 Hz), 0.60 (s, 3H).
【0298】
(実施例6および7)
(R)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オールおよび(S)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール
【0299】
【化30】
ステップ1:(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノールの合成
【0300】
【化31】
2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール(50.0g、416.2mmol)および2,2-ジメトキシプロパン(65.0g、624.0mmol)の撹拌溶液に、アセトン(46ml)およびp-トルエンスルホン酸(3.96g、20.8mmol)を添加した。反応混合物を12時間、30℃で加熱した。反応物を室温に冷却し、水(400ml)中の炭酸水素ナトリウム(12g)の溶液を添加した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物を白色の固体として得た。収量:52.9g、330.2mmol、79.3%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 4.58 (t, J=5.40 Hz, 1H), 3.53-3.57 (m, 2H), 3.41-3.45 (m, 2H),
3.33-3.36 (m, 2H, 溶媒により一部不明確), 1.32 (s, 3H), 1.26 (s,
3H), 0.74 (s, 3H).
【0301】
ステップ2:5-(メトキシメチル)-2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサンの合成
【0302】
【化32】
0℃に冷却したトルエン(1.35L)中の水素化ナトリウム(33.8g、844mmol、鉱油中60%分散液)の懸濁液に、(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール(67.6g、421.9mmol)を添加し、反応物を0℃で10分間撹拌し、次いで、40℃まで18時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、ヨウ化メチル(135g、951.1mmol)を添加し、反応物を15℃で60時間撹拌した。反応混合物を水(300ml)で希釈し、水層を石油エーテル(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、標題化合物を黄色の油状物として得た。収量:60.0g、344.4mmol、81.6%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 3.51-3.57 (m, 2H), 3.43-3.49 (m, 2H), 3.28 (s, 2H), 3.25 (s, 3H),
1.33 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 0.79 (s, 3H).
【0303】
ステップ3:2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールの合成
【0304】
【化33】
0℃に冷却したメタノール(316ml)中の5-(メトキシメチル)-2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン(55.0g、315.7mmol)の懸濁液に、塩酸(31.6ml、3M水溶液)を添加した。反応混合物を25℃で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣に水(100ml)を添加した。水層を石油エーテル(3×200ml)で抽出し、次いで、凍結乾燥して、標題化合物を黄色の油状物として得た。収量:32.2g、239.8mmol、75.9%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.65-3.69 (m, 2H), 3.62 (s, 2H), 3.54-3.58 (m, 2H), 3.37 (s, 2H),
3.34 (s, 3H), 0.81 (s, 3H).
【0305】
ステップ4:3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オールの合成
【0306】
【化34】
0℃に冷却したテトラヒドロフラン(25ml)中の2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール(515mg、3.84mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(144mg、3.61mmol、鉱油中60%分散液)を添加した。反応物を0℃で15分間撹拌した。テトラヒドロフラン(5ml)中のtert-ブチルジメチルシリルクロリド(579mg、3.84mmol)を滴下添加した。反応混合物を0℃で30分間、および室温で3時間撹拌した。次いで、反応物をメタノール(1ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)および水(15ml)で希釈した。水層をジクロロメタン(2×40ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル、勾配0~60%)により精製して、標題化合物、収量:446mg、1.80mmol、46.8%を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.55-3.64 (m, 4H), 3.37 (d, J=3.90 Hz, 2H), 3.35 (s, 3H), 0.90-0.91
(s, 9H), 0.82 (s, 3H), 0.05-0.08 (s, 6H).
【0307】
ステップ5:1-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロピル)-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミンの合成
【0308】
【化35】
トルエン(1ml)中の2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(69mg、0.21mmol)および3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オール(111mg、0.42mmol)の溶液に、シアノメチレントリブチルホスホラン(125mg、0.519mmol、0.519ml、アセトニトリル中1.0M)を添加した。反応物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物をシリカゲル上で吸収し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル、勾配0~60%)により精製して、標題化合物を得た。収量:69mg、0.12mmol、59%。LCMS m/z 563.7 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
MeOD) δ 4.38-4.78 (m, 4H), 3.44-3.65 (m, 4H), 3.02-3.22
(m, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 2.08 (br. s., 2H), 1.56 (s, 6H), 1.25-1.35
(m, 4H), 1.19 (t, J=6.83 Hz, 3H), 0.94 (s, 9H), 0.92 (s, 9H), 0.69 (s, 3H),
0.07 (s, 6H).
【0309】
ステップ6:実施例(6)および(7)(R)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-オールおよび(S)-3-(4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロパン-1-の合成
【0310】
【化36】
ヘキサフルオロイソプロパノール(5.0ml)中の1-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロピル)-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-N-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(69mg、0.12mmol)の溶液に、メタンスルホン酸(70.7mg、0.735mmol、0.048ml)を添加した。反応物を5時間、室温で撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチル(1×)およびジクロロメタン(1×)で洗浄した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール、0~30%勾配)により精製した。生成物を収集し、濃縮し、ナイロンディスクを通して濾過した。溶媒を除去して、ラセミ体41mgを得た。次いで、ラセミ体をエタノール1mlに溶解し、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose 4 5um 21×250mm);移動相A:0.2%水酸化アンモニウムを含むメタノール(v/v);移動相B:CO(v/v);勾配:5分かけてCO70.0%/0.2%水酸化アンモニウムを含むメタノール30.0%、定組成。流速:75mL/分。背圧:120バール)により精製して、実施例(6)としてのEnt1:13.8mg、0.041mmol、33.6%、99%ee、および実施例(7)としてのEnt2:13.1mg、0.039mmol、31.9%、99%eeを得た。SFC保持時間、実施例(6)としてのEnt1:3.04分、m/z 337.5 [M+H]+、SFC保持時間、実施例(7)としてのEnt2:4.15分、m/z 337.5 [M+H]+(カラム:Phenomenex Lux Cellulose 4 5um 4.6×100mm;移動相A:0.2%水酸化アンモニウムを含むメタノール(v/v);移動相B:CO(v/v);勾配:5分かけてCO60.0%/0.2%水酸化アンモニウムを含むメタノール40.0%、定組成。流速:1.5mL/分。背圧:120バール)。実施例(6)および実施例(7)の具体的な立体化学は指定していないが、各鏡像異性体は、上で提示したとおり99%eeである。
【0311】
(実施例8)
2-((4-アミノ-6,7-ジメチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールトリフルオロ酢酸塩
【0312】
【化37】
ステップ1:N-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5,6-ジメチル-4-(((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-3,3,3-トリフルオロプロパンアミドの合成
【0313】
【化38】
3,3,3-トリフルオロプロピオン酸(15.1mg、0.118mmol、0.0104ml)の溶液に、N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-5,6-ジメチル-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)ピリジン-2,3,4-トリアミン(60mg、0.11mmol)およびトリエチルアミン(22.7mg、0.224mmol、0.031ml)を添加した。プロピルホスホン酸無水物(143mg、0.224mmol、0.101ml、酢酸エチル中50%)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。水を添加し、水層を酢酸エチルで2回洗浄した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製の化合物をさらに精製または分析せずに、その後のステップで使用した。収量:60mg、0.093mmol、83%。
【0314】
ステップ2:N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-6,7-ジメチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミンの合成
【0315】
【化39】
N-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5,6-ジメチル-4-(((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-3,3,3-トリフルオロプロパンアミド(40mg、0.062mmol)の溶液に、四塩化炭素(1ml)を添加した。これに、トリエチルアミン(18.8mg、0.186mmol、0.026ml)およびトリフェニルホスフィン(48.8mg、0.186mmol)を添加した。反応物を16時間、80℃で加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル、勾配0~30%)により精製して、標題化合物を得た。収量:10mg、0.016mmol、26%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.27-7.30 (m, 4H, 推定, 残存CHCl3により一部不明確), 6.82 (d, J=8.59
Hz, 4H), 5.25-5.37 (m, 2H), 4.83-5.01 (m, 3H), 4.33-4.58 (m, 2H), 3.79 (s, 6H),
3.76-3.84 (m, 1H, 推定, 3.79ppmのピークにより一部不明確), 3.60-3.74 (m, 2H), 3.48-3.56 (m, 1H), 3.19-3.27 (m, 1H), 2.45 (s,
3H), 2.44 (s, 3H), 1.50 (s, 3H), 1.48 (s, 3H), 0.63 (s, 3H). LCMS m/z 627.5
[M+H]+.
【0316】
ステップ3:実施例(8):2-((4-アミノ-6,7-ジメチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールトリフルオロ酢酸塩の合成
【0317】
【化40】
ヘキサフルオロイソプロパノール(0.5ml)中のN,N-ビス(4-メトキシベンジル)-6,7-ジメチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(10mg、0.016mmol)の溶液に、メタンスルホン酸(2滴)を添加した。反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応物を濃縮し、残渣をジメチルスルホキシド1mlで希釈し、逆相HPLC(カラム:Waters Sunfire C18 19×100、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);勾配:8.5分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%から直線的にHO70%/アセトニトリル30%へ、9.0分までにHO0%/MeCN100%へ、9.0~10.0分までHO0%/アセトニトリル100%で保持。流速:25mL/分)により精製して、標題化合物を得た。収量:5.5mg、0.012、75%;HPLC保持時間:1.31分。(カラム:Waters Atlantis(登録商標)dc18 4.6×50、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);4.0分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%を直線的にHO5%/アセトニトリル95%へ、5.0分までHO5%/アセトニトリル95%で保持。流速:2mL/分)。HPLC m/z 347.5 [M+H]+.
【0318】
(実施例9)
2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-エチルプロパン-1,3-ジオールトリフルオロ酢酸塩
【0319】
【化41】
ステップ5で(5-エチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール(Polymer Chemistry、8(3)、592~604;2017)を利用することにより、実施例(2)と同様の手法で調製した。生成物を逆相HPLC(カラム:Waters Sunfire C18 19×100、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);勾配:8.5分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%から直線的にHO45%/アセトニトリル55%へ、9.0分までにHO0%/MeCN100%へ、9.0から10.0分までにHO0%/アセトニトリル100%で保持。流速:25mL/分)により単離して、標題化合物、収量:25.2mg、0.056mmol、46.7%を得た;HPLC保持時間:1.35分(カラム:Waters Atlantis(登録商標)dc18 4.6×50、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);4.0分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%を直線的にHO5%/アセトニトリル95%へ、5.0分までHO5%/アセトニトリル95%で保持。流速:2mL/分);HPLC m/z 337.5 [M+H]+.
【0320】
(実施例10)
2-((4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0321】
【化42】
ステップ1においてキノリン-2,4-ジオールから出発し、ステップ4において塩化バレロイルを利用して、実施例(1)2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製し、37.8mgを調製した。HPLC保持時間:1.69分(カラム:Waters Atlantis(登録商標)dc18 4.6×50、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);勾配:4.0分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%を直線的にHO5%/アセトニトリル95%へ、5.0分までHO5%/アセトニトリル95%で保持。流速:2mL/分)。HPLC m/z 343.5 [M+H]+.
【0322】
(実施例11)
2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0323】
【化43】
実施例1、ステップ4において塩化バレロイルを利用して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製し、260mgを調製した。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 5.56 (s, 2H), 4.8-5.0 (m, 2H), 4.3-4.5 (m, 1H), 4.1-4.3 (m, 1H),
3.1-3.3 (m, 3H), 3.0-3.1 (m, 1H), 2.8-3.0 (m, 2H), 2.40 (s, 3H), 2.28 (s, 3H),
1.6-1.7 (m, 2H), 1.3-1.4 (m, 2H), 0.91 (t, 3H, J=7.2 Hz), 0.45 (s, 3H).
LCMS m/z 321.2 [M+H]+.
【0324】
(実施例12)
2-((4-アミノ-2-ペンチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0325】
【化44】
ステップ1においてキノリン-2,4-ジオールから出発して、ステップ4において塩化ヘキサノイルを利用して、実施例(1)2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製し、31.2mgを調製した。HPLC保持時間:1.88分(カラム:Waters Atlantis(登録商標)dc18 4.6×50、5u;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%TFA(v/v);勾配:4.0分でHO95.0%/アセトニトリル5.0%から直線的にHO5%/アセトニトリル95%へ、5.0分までHO5%/アセトニトリル95%で保持。流速:2mL/分)。HPLC m/z 357.5 [M+H]+.
【0326】
(実施例13)
2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールギ酸塩
【0327】
【化45】
ステップ1:3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2,4-ジオールの合成
【0328】
【化46】
2Lフラスコに、硫酸(275ml)を添加した。反応物を氷浴内で冷却し、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2,4-ジオール(65g、390mmol)を15分かけて少量ずつ添加した。反応物をさらに10分間撹拌した。硝酸(39.6ml、885mmol)を、内部反応温度を30℃未満に維持する速度で少量ずつ添加した。反応物を室温でさらに2時間撹拌した。反応物を氷(2L)にゆっくり注ぎ入れ、固体を濾過し、水で洗浄した。固体を真空下で50℃で乾燥した。収量:52.2g、390mmol、63%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.25 (br s, 1 H), 11.75 (br s, 1 H), 2.48 (m, 2 H), 2.34 (m, 2
H), 1.66 (m, 4 H). LCMS m/z 211.2 [M+H].
【0329】
ステップ2:2,4-ジクロロ-3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリンの合成
【0330】
【化47】
500mlフラスコに、3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2,4-ジオール(13.1g、53.0mmol)、ジクロロエタン(70.0mL)、オキシ塩化リン(V)(65.1g、425mmol、40.0ml)を添加した。反応物を16時間、80℃で加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、蒸発させ、続いて、トルエンから蒸発させた(2×)。残渣を、ジクロロメタンでシリカプラグを通して濾過し、溶離液を蒸発させて、茶色/橙色のろう状の固体を得た。収量:9.2g、37.2mmol、70%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.92-3.02 (m, 2H), 2.77-2.85 (m, 2H), 1.85-1.95 (m, 4H). GCMS m/z
246.0。同様の条件を用いて、追加の物質を調製した。
【0331】
ステップ3:2-クロロ-3-ニトロ-N-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-4-アミンの合成
【0332】
【化48】
2,4-ジクロロ-3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン(10.9g、44.5mmol)およびジメチルアセトアミド(55mL、水20%含有)に、トリエチルアミン(9g、89.0mmol、12.4mL)を、次いで、(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタンアミン(12.7g、80.1mmol)を添加し、反応物を16時間、35℃で加熱した。反応物を0℃に冷却し、水(70mL)を添加し、反応物を45分間撹拌した。固体を濾過し、水で洗浄して、標題化合物を橙色の固体として得た。収量:14.78g、39.96mmol、89.8%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.57 (br. s., 1H), 3.67-3.78 (m, 4H), 3.21 (d, J=4.68 Hz, 2H), 2.83
(t, J=5.66 Hz, 2H), 2.48 (t, J=5.66 Hz, 2H), 1.78-1.92 (m, 4H), 1.47 (d, J=5.85
Hz, 6H), 0.87 (s, 3H). LCMS m/z 370.4 [M+H].
【0333】
ステップ4:N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-3-ニトロ-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2,4-ジアミンの合成
【0334】
【化49】
2-クロロ-3-ニトロ-N-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-4-アミン(12.98g、35.09mmol)に、ビス(4-メトキシベンジル)アミン(27.1g、105mmol)およびイソプロパノール(65mL)を添加した。反応物を51時間還流し、次いで、室温で16時間撹拌した。反応物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過した。固体をジクロロメタン(50mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、エタノール(40mL)で希釈し、室温で16時間撹拌した。固体を濾過し、フラスコをエタノール(60mL)で洗浄した。固体をエタノール(30mL)で洗浄し、真空下で乾燥して、黄色の固体を得た。収量:14.5g、24.6mmol、70.0%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.07-7.12 (m, 4H), 6.76-6.84 (m, 4H), 6.39 (t, J=5.66 Hz, 1H), 4.30
(s, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.55-3.67 (m, 4H), 3.45 (d, J=5.85 Hz, 2H), 2.73 (t,
J=6.44 Hz, 2H), 2.66 (t, J=5.85 Hz, 2H), 1.72-1.86 (m, 4H), 1.44 (s, 3H), 1.41
(s, 3H), 0.82-0.88 (m, 3H). LCMS m/z 591.4 [M+H].
【0335】
ステップ5:N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2,3,4-トリアミン
【0336】
【化50】
N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-3-ニトロ-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2,4-ジアミン(7.2g、12.2mmol)に、メタノール(40.6mL)、ギ酸アンモニウム(3.84g、60.9mmol)、および亜鉛ダスト(3.99g、60.9mmol)を添加した。反応物を25分間撹拌した。反応物を、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、ブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。反応物を濾過し、濃縮して、標題化合物を得た。収量:6.83g、12.19mmol、100%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.21 (d, J=8.59 Hz, 4 H), 6.81 (d,
J=8.59 Hz, 4 H), 4.15 (s, 4 H), 3.99 (s, 2 H), 3.76 - 3.83 (m, 8 H), 3.63 -
3.70 (m, 2 H), 3.21 (br s, 2 H), 2.74 (br t, J=5.66 Hz, 2 H), 2.55 (br t,
J=5.46 Hz, 2 H), 1.74 - 1.87 (m, 4 H), 1.48 (s, 3 H), 1.46 (s, 3 H), 0.93 (s, 3
H) LCMS m/z 561.5 [M+H].
【0337】
ステップ6:N-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-(((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)アミノ)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-3-イル)ペンタンアミドの合成
【0338】
【化51】
N2,N2-ビス(4-メトキシベンジル)-N4-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラ-ヒドロキノリン-2,3,4-トリアミン(6.84g、12.19mmol)に、ジクロロメタン(60.9mL)、水(30.5mL)および炭酸水素ナトリウム(2.56g、30.5mmol)を添加した。塩化バレリル(1.62g、13.4mmol、1.59mL)を1分かけて滴下添加し、次いで、55分間撹拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで洗浄した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物を得、これをさらに精製せずに使用した。収量:7.86g、12.19mmol。LCMS m/z 645.7 [M+H].
【0339】
ステップ7:2-ブチル-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-1-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミンの合成
【0340】
【化52】
N-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-(((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)アミノ)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-3-イル)ペンタンアミド(7.86g、12.19mmol)に、エタノール(122mL)および水酸化ナトリウム(4.88g、60.9mmol、3.22mL、水中50%wt溶液)を添加した。反応物を48時間、100℃で加熱した。反応物を室温に冷却し、固体を濾過し、エタノールで洗浄し、乾燥して、標題化合物を得た。収量:6.7g、10.7mmol、87.7%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.26 (d, J=8.59 Hz, 4 H), 6.81 (d,
J=8.59 Hz, 4 H), 4.96 - 5.40 (m, 4 H), 4.39 - 4.72 (m, 2 H), 3.79 (s, 6 H),
3.41 - 3.69 (m, 4 H), 2.63 - 3.13 (m, 6 H), 1.84 (br s, 4 H), 1.69 (五重線, J=7.51 Hz, 2 H), 1.57 (br s, 4 H), 1.46 (s, 6 H), 1.35 (dq,
J=14.83, 7.41 Hz, 2 H), 0.89 (t, J=7.41 Hz, 3 H), 0.57 (s, 3 H). LCMS m/z
627.7 [M+H].
【0341】
ステップ8:2-((4-アミノ-2-ブチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールの合成
【0342】
【化53】
2-ブチル-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-1-((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン(6.70g、10.69mmol)に、トルエン(32.4mL)および濃塩酸(21mL)を添加した。反応物を3.25時間、60℃で加熱した。水層をトルエンで洗浄し、60℃に加熱し、固体の炭酸カリウムでpH10にした。次いで、反応物を60℃で1時間40分撹拌し、続いて、室温に冷却した。固体を濾過し、水ですすぎ、真空下で40℃で乾燥して、実施例(13)を得た。収量:2.44g、7.04mmol、収率65.9%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 5.67 (br s, 2 H), 4.78 (br s, 2 H), 4.07 - 4.45 (m, 2 H), 2.71
- 3.30 (m, 8 H), 2.66 (br s, 2 H), 1.53 - 1.93 (m, 6 H), 1.35 (m, J=7.34, 7.34,
7.34, 7.34, 7.34 Hz, 2 H), 0.91 (t, J=7.41 Hz, 3 H), 0.43 (s, 3 H). LCMS
m/z 347.3 [M+H].
【0343】
(実施例14)
2-((4-アミノ-2-ブチル-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0344】
【化54】
6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-2,4-ジオールから出発して、実施例13と同様の手法で調製した。336mgを調製した(収率42.5%)。HPLC(カラム:Welch Xtimate 75×40mm×3um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:10分でA80%からA40%/B60%、HO0%/アセトニトリル100%で4分間保持。流速:25mL/分)により精製した。LCMS m/z 333.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 5.72 (s, 2H), 4.80 (br. s., 2H), 4.14 (s, 2H), 3.25 (br. s., 3H),
2.99-3.34 (m, 3H), 2.88 (br. s., 2H), 2.62-2.78 (m, 2H), 2.02 (見かけ上五重線, J=7.34 Hz, 2H), 1.64-1.75 (m, 2H), 1.35 (見かけ上qd, J=7.47, 14.74 Hz, 2H), 0.91 (t, J=7.28 Hz, 3H), 0.50 (s, 3H).
【0345】
(実施例15)
2-((4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0346】
【化55】
キノリン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製した。301mgを調製した。HPLC(カラム:Phenomenex Gemini NX-C18 150×30mm×5um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:7分でA95%からA55%/B45%、HO0%/アセトニトリル100%で2分間保持。流速:30mL/分)により精製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) d 8.51
(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.58 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.38 (t, J=7.5 Hz, 1H), 7.18 (t,
J=7.4 Hz, 1H), 6.43 (s, 2H), 4.98 (br s, 2H), 4.78 (br s, 1H), 4.45 (br s, 1H),
3.19 (br s, 4H), 3.02 (q, J=7.4 Hz, 2H), 1.34 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.55 (s,
3H). LCMS m/z 315.1 [M+H]+.
【0347】
(実施例16)
2-((4-アミノ-2-プロピル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0348】
【化56】
キノリン-2,4-ジオールから出発して、実施例13と同様の手法で調製した。15.8mgを調製した。HPLC(カラム:Waters XBridge C18 19×100、5um;移動相A:水中0.03%NHOH(v/v);移動相B:0.03%NHOH アセトニトリル;勾配:8.5分でA95%からA50%/B50%へ、HO0%/アセトニトリル100%で1分間保持。流速:25mL/分)により精製した。HPLC QC(カラム:Waters Atlantis dC18 4.6×50、5um;移動相A:水中0.05%TFA(v/v);移動相B:0.05%TFA アセトニトリル;勾配:4.0分でA95%からA5%/B95%へ、HO5%/アセトニトリル95%で1分間保持。流速:2mL/分;保持時間:1.38分)。LCMS m/z 329.5 [M+H]+.
【0349】
(実施例17)
2-((4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-7,8-ジヒドロシクロペンタ[b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1(6H)-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0350】
【化57】
実施例17を、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製した。70mgを調製した。HPLC(カラム:Phenomenex Gemini NX-C18 75×30mm×3um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:7分でA100%からA70%/B30%へ、HO0%/アセトニトリル100%で2分間保持。流速:30mL/分)により精製した。LCMS m/z 335.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 5.87 (br. s., 2H), 4.81 (br. s., 2H), 4.17 (br. s., 2H), 3.71 (見かけ上t, J=6.72 Hz, 2H), 3.30 (br. s., 3H), 3.20-3.28 (m, 4H), 3.23 (s,
3H), 2.68-2.79 (m, 2H), 2.03 (五重線, J=7.27 Hz, 2H), 0.50
(s, 3H). 1つのプロトンが認められず (不明確).
【0351】
(実施例18)
2-((4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0352】
【化58】
実施例(18)を、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製した。68mgを調製した。HPLC(カラム:Phenomenex Gemini NX-C18 75×30mm×3um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:7分でA100%からA60%/B40%、HO0%/アセトニトリル100%で2分間保持。流速:30mL/分)により精製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 5.70 (s, 2H), 4.82 (br s, 2H), 4.29 (br s, 2H), 3.69 (br s, 2H),
3.30 - 2.72 (m, 11H), 2.66 (br s, 2H), 1.74 (br s, 4H), 0.43 (s,3H). LCMS
m/z 349.2 [M+H]+.
【0353】
(実施例19)
2-((4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール
【0354】
【化59】
実施例(19)を、キノリン-2,4-ジオールから出発して、2-((4-アミノ-2-(エトキシメチル)-6,7-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオールと同様の手法で調製した。108mgを調製した。HPLC(カラム:Phenomenex Gemini NX-C18 75×30mm×3um;移動相A:水中0.05%NHOH(v/v);移動相B:アセトニトリル;勾配:7分でA97%からA57%/B43%へ、HO0%/アセトニトリル100%で2分間保持。流速:25mL/分)により精製した。LCMS m/z 345.3 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 8.52 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.58 (dd, J=1.1, 8.3 Hz,
1H), 7.43 - 7.34 (m, 1H), 7.23 - 7.14 (m, 1H), 6.45 (s, 2H), 5.00 (t, J=4.8 Hz,
2H), 4.76 (br s, 1H), 4.53 (br s, 1H), 3.79 (br s, 2H), 3.43 (br d, J=5.8 Hz,
3H), 3.30 - 3.24 (m, 4H), 3.19 (br s, 2H), 0.55 (s, 3H).
【0355】
生物学的試験
機能性細胞アッセイにおいて、ヒトTLR7またはTLR8を安定的に過剰発現するHEK293細胞を使用して、記載した実施例を生物学的活性について試験した。このアッセイでは、ヒト初代血液単核細胞(PBMC)においてインターフェロンアルファ(IFNα)の分泌を刺激する各実施例の能力を試験した。
【0356】
hTLR7およびhTLR8細胞機能アッセイ
ヒトtoll様受容体7(hTLR7)またはヒトtoll様受容体8(hTLR8)を活性化する各実施例の能力を決定するために、細胞ベースのレポーターシステムを利用した。5つのNF-κBおよびAP-1結合部位に融合しているIFN-b最小プロモーターの制御下で、最適化された分泌型胚性アルカリホスファターゼ遺伝子(SEAP)を含有するレポーター遺伝子と共にhTLR7またはhTLR8のいずれかを安定的に過剰発現するHEK293細胞を、Invivogenから得た(HEK-Blue(商標)hTLR7、カタログ番号Hkb-htlr7;HEK-Blue(商標)hTLR8、カタログ番号Hkb-htlr8)。これらの細胞におけるhTLR7またはhTLR8の刺激はNF-κBおよびAP-1を活性化して、アルカリホスファターゼ検出試薬を使用して定量化することができるSEAPの産生を誘導する。
【0357】
細胞をダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(ウシ胎児血清(FBS)熱不活性化(10%)、グルタマックス(2mM)、ペニシリン/ストレプトマイシン、ブラストサイジン(10μg/ml)、ゼオシン(100μg/ml)およびノルモシン(100μg/ml)を含有)中で維持した。アッセイ1日目に、実施例を、11ポイント半対数系列希釈法を使用して10mM DMSOストック溶液から調製し、50nlを384ウェルViewplate(PerkinElmer、カタログ番号6007480)にスポットした。陽性対照TLR7/8アゴニストおよび陰性対照(DMSO、実施例ではない)も、アッセイプレート内にスポットし、分析プロセス中に作用パーセントを決定するために使用した。FBS熱不活性化(10%)、グルタマックス(2mM)およびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEMアッセイ培地に再懸濁した後に、10,000細胞/20μl/ウェルを、予め調製しておいたプレートに添加した。プレートを終夜(16~20時間)、37℃で、5%CO環境下でインキュベートした。予め加湿しておいたMicroclime蓋(Labcyte、LLS-0310)を使用して蒸発を防止した。アッセイ2日目に、QUANTI-Blue(商標)検出試薬を、QUANTI-Blue(商標)粉末(InvivoGen、Rep-qb1)を滅菌水100mlで再構成することにより調製し、15分間、37℃に平衡化させた。QUANTI-Blue(商標)検出試薬20μlを各ウェルに添加し、プレートを室温で180分間インキュベートした。インキュベーションの終了後に、プレートをEnvision(Perkin Elmer)プレートリーダーで、650nmでの吸光度を捕捉して読み取った。
【0358】
陽性(TLR7/8アゴニスト)および陰性(DMSO)対照を使用し、次の式を使用して、作用パーセント(%)を各実施例について計算した:
作用%=100-[100×{(実施例-陽性対照)/(陰性対照-陽性対照)}]
【0359】
ABaseソフトウェアスーツ(IBDS)を利用して、各実施例の各濃度での作用%を計算したが、それは、各アッセイプレート内に含有される陽性および陰性対照ウェルで産生されたSEAPの量に関連した。各実施例での濃度および作用%値を、ABaseの4パラメーターロジスティックモデルを用いてフィットさせ、50%応答(EC50)を生成した各実施例の濃度を計算した。
【0360】
末梢血単核細胞(PBMC)からのINFαアッセイ
新たに単離された末梢血単核細胞(PBMC)からのインターフェロンアルファ(IFNα)の放出を誘導する各実施例の能力を決定するために、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを利用した。Shulman施設内審査委員会により承認されたPfizerプロトコル(プロトコルNo.GOHW RDP-01)に従って、静脈穿刺を介して健康なドナーからヒト全血を採血した。個々のドナーからのヒト静脈血試料50mlを、714単位のHeparin Sodium Injection MDV(Fresenius Kabi、cat番号70041)を含有するコニカルチューブに添加し、続いて、そのチューブを複数回、穏やかに反転させることによりヘパリン処理した。次いで、血液をフラスコに移し、コニカルチューブを、2mM EDTA(PBS-EDTA)を含有するPBS40mlですすぎ、すすぎ液を穏やかに混合しながら血液フラスコに添加した。希釈血液30mlを3つの別々のヒストパックチューブ(Sigma、cat番号A0561)に添加し、そのままフリットに施与した。次いで、ヒストパックチューブを15分間、1000×gで、テーブルトップ型遠心分離器内で回転させた。密度分離の後に、血漿の過剰な上相を中間相の上約5ml以内まで吸引し、残りの血漿を、PBMCを含有する濁った中間相と共に、新たなコニカルチューブに穏やかにデカンテーションした。PBS-EDTA15mlをヒストパックチューブに添加し、穏やかに撹拌して、チューブの壁に接着している残りのPBMCを除去し、この洗浄液をチューブ内の既存のPBMCに添加した。チューブの体積をPBS-EDTAで40mlにし、チューブを250×gで12分間、室温で回転させた。上清を吸引した後に、ペレットをPBS-EDTA10mlで穏やかに再懸濁し、250×gで12分間再び遠心した。生じた上清をデカンテーションし、ペレットをACK溶解緩衝液20ml(ThermoFisher、cat番号A10492-01)に再懸濁し、続いて、室温で5分間インキュベートした。各チューブの体積をPBS-EDTAの添加で50mlにし、チューブを177×gで12分間、室温で回転させた。PBMCペレットを、EDTAを含有しないPBS10mlに再び再懸濁し、チューブを最後に、177×gで10分間回転させた。上清をデカンテーションし、PBMCをアッセイ培地(10%FBS熱不活性化、2mMグルタマックスおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI基礎培地)に再懸濁した。
【0361】
11ポイント半対数系列希釈法を使用して、2.5mM DMSOストック溶液から各実施例をアッセイのために調製し、400nlを384ウェルViewplate(Perkin Elmer、カタログ番号6007480)にスポットした。陽性および陰性対照(既に記載)も、アッセイプレート内にスポットし、分析プロセス中に作用パーセントを決定するために使用した。PBMCをカウントし、100,000細胞/100μl/ウェルの密度でプレートし;プレートを、予め加湿しておいたMicroclime蓋でカバーして蒸発を防止し、24時間、37℃で、5%CO雰囲気下でインキュベートした。インキュベーションの終了時に、Microclime蓋を取り外し、プレートを1000rpmで5分間回転させた。細胞プレートからの馴化培地16μlを別の384ウェル低容積プレート(Greiner One、784080)に移した。IFNαレベルを、製造者指示に従ってHTRF(登録商標)キット(Cisbio、cat番号62HIFNAPEG)を使用して定量化した。このキットは、一方はD2(アクセプター)で標識されており、他方はクリプタート(ドナー)で標識されている2つの異なる特異的抗体、および検出緩衝液を供給するものである。抗体ストックを検出緩衝液中で1:20で希釈した。1枚の384ウェルプレートについて、D2抗体ストック62.5μlおよびクリプタート抗体ストック62.5μlを検出緩衝液2.375mlに添加し、十分に混合した。抗体ミックス4μlを、Viewplateの対応するウェルから得られた馴化培地を含有する各ウェルに添加した。低体積プレートを密閉し、24時間、室温でインキュベートした。HTRFシグナルをEnvisionマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer)で、330nmの励起ならびに615nmおよび665nmの発光を使用して読み取った。結果を(665nm/615nM比)×10,000として計算し、生データを、サイトカイン標準曲線を用いてIFNαの濃度(pg/ml)に変換した。上記で検討したとおり、陽性(TLR7/8アゴニスト)および陰性(DMSO)対照を使用し、次の式を用いて、各実施例についての作用パーセント(%)を計算した:
作用%=100-[100×{(実施例-陽性対照)/(陰性対照-陽性対照)}]
【0362】
ABaseソフトウェアスーツ(IBDS)を利用して、各実施例の各濃度での作用%を計算したが、それは、各アッセイプレート内に含有される陽性および陰性対照ウェルで産生されたIFNαの量に関連した。各実施例での濃度および作用%値を、ABaseの4パラメーターロジスティックモデルを用いてフィットさせ、50%応答(EC50)を生成した実施例の濃度を計算し、実施例が1回よりも多く試験された場合には相乗平均EC50として表1に示した。表1中の空欄は、その特異的アッセイのその実施例でデータが得られなかったことを示している。
【0363】
【表1-1】
【0364】
【表1-2】
【0365】
本明細書において言及された刊行物および特許出願はすべて、それらの全体で参照により本明細書に援用される。添付の特許請求の意図または範囲から逸脱することなく、多少の変化および変更をそれに加えることができることは、当業者には明白であろう。