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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】浴室カウンター
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A47K4/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018112065
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019213666
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】副島 嵩生
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-138504(JP,A)
【文献】特開2017-023557(JP,A)
【文献】特開2018-035566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0083440(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンター本体と、
前記カウンター本体の上に設けられる天板と、
を備え、
前記天板は、上面及び下面を有し、
前記天板の前記上面の中央部は、一端から他端に向けて下方に傾斜しており、
前記天板の前記上面の端部は、外側方向に向けて下方に傾斜しており、
前記天板の前記下面の端部と前記カウンター本体との間には、前記天板の前記上面の端部に付着した水滴を捕集するための捕集部が設けられており、
前記捕集部は、前記天板の前記下面の端部と前記カウンター本体との間の全周に設けられていることを特徴とする浴室カウンター。
【請求項2】
前記カウンター本体と前記天板との間に設けられる介在部をさらに備え、
前記捕集部は、前記カウンター本体と、前記天板の前記下面の端部と、前記介在部と、により、内側方向へ凹状に形成された捕集溝部であることを特徴とする請求項1記載の浴室カウンター。
【請求項3】
前記捕集溝部は、前記捕集溝部に捕集された水が前記他端側に集まるように、前記一端から前記他端に向かう方向において下方に傾斜していることを特徴とする請求項2記載の浴室カウンター。
【請求項4】
前記カウンター本体は、前記捕集溝部から下方へ延出するように形成された排出溝部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の浴室カウンター。
【請求項5】
前記捕集溝部の下面の端部は、前記捕集溝部の上面の端部よりも、外側に位置することを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の浴室カウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室カウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に設置される洗面カウンターや水栓カウンター等の浴室カウンターにおいては、例えば、シャワー装置から吐出された水などによって、上面に水滴が付着する場合がある。そこで、特許文献1では、カウンター上面に傾斜勾配を設けることで、カウンター上面に吐出された水を洗い場床へ排出する浴室カウンターが提案されている。しかし、このような浴室カウンターにおいても、カウンター上面の端部に流れた水滴は、端部との表面張力によってカウンター側面へ流れ落ちにくい。カウンター上面に水滴が残っていると、例えばカウンター上面に物品を置いた際に、該物品が使用者の意図せずに濡れてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-67340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、カウンターの上面に水滴が残ることを抑制できる浴室カウンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、カウンター本体と、前記カウンター本体の上に設けられる天板と、を備え、前記天板は、上面及び下面を有し、前記天板の前記上面の中央部は、一端から他端に向けて下方に傾斜しており、前記天板の前記上面の端部は、外側方向に向けて下方に傾斜しており、前記天板の前記下面の端部と前記カウンター本体との間には、前記天板の前記上面の端部に付着した水滴を捕集するための捕集部が設けられていることを特徴とする浴室カウンターである。
【0006】
この浴室カウンターによれば、天板の上面の端部に付着した水滴を、捕集部によって捕集することで、小さな水滴であっても、この水滴同士を結合させることができる。そして、このように結合して流れ落ちやすくなった水滴を、カウンター本体側へ排出させることができる。このため、傾斜した天板の上面を流れた水滴が天板の上面の端部に残ってしまうことを抑制できる。これにより、例えば、天板の上面に物品を置いた際に、該物品が使用者の意図せずに濡れてしまう可能性を低減できる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記カウンター本体と前記天板との間に設けられる介在部をさらに備え、前記捕集部は、前記カウンター本体と、前記天板の前記下面の端部と、前記介在部と、により、内側方向へ凹状に形成された捕集溝部であることを特徴とする浴室カウンターである。
【0008】
この浴室カウンターによれば、天板の上面の端部に付着した水滴を、捕集溝部に予め溜まった水と結合させ、捕集溝部に溜まった水の表面張力によって、捕集溝部内に引き込むことができる。これにより、傾斜した天板の上面を流れた水滴が天板の上面の端部に残ってしまうことを、より確実に抑制できる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記捕集溝部は、前記捕集溝部に捕集された水が前記他端側に集まるように、前記一端から前記他端に向かう方向において下方に傾斜していることを特徴とする浴室カウンターである。
【0010】
この浴室カウンターによれば、捕集溝部内に引き込まれ結合した水滴が、捕集溝部の傾斜の下部に集まりやすくなる。これにより、捕集溝部内に引き込まれた水滴を浴室カウンター外に排出しやすくなる。
【0011】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記カウンター本体は、前記捕集溝部から下方へ延出するように形成された排出溝部を有することを特徴とする浴室カウンターである。
【0012】
この浴室カウンターによれば、捕集溝部内に引き込まれ結合した水滴が、排出溝部によって下方へさらに引き込まれる。これにより、捕集溝部内に引き込まれた水滴を浴室カウンター外に排出しやすくなる。
【0013】
第5の発明は、第2~第4のいずれか1つの発明において、前記捕集溝部の下面の端部は、前記捕集溝部の上面の端部よりも、外側に位置することを特徴とする浴室カウンターである。
【0014】
この浴室カウンターによれば、捕集溝部に予め溜まった水が、捕集溝部の上面の端部よりも外側に位置しやすくなるため、天板の上面の端部に付着した水滴と捕集溝部に予め溜まった水とがより結合しやすくなる。これにより、天板の上面の端部に付着した水滴をより確実に捕集溝部内に引き込むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の態様によれば、カウンターの上面に水滴が残ることを抑制できる浴室カウンターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る浴室カウンターが設けられた浴室を模式的に表す斜視図である。
図2】実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す斜視図である。
図3】実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す正面図である。
図4】実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す平面図である。
図5】実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す側面図である。
図6】実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す側断面図である。
図7】実施形態に係る浴室カウンターの捕集部を模式的に表す側面図である。
図8図8(a)~図8(d)は、実施形態に係る浴室カウンターの捕集部を模式的に表す側面図である。
図9】実施形態に係る浴室カウンターの捕集部を模式的に表す側面図である。
図10】実施形態に係る浴室カウンターの排出溝部を模式的に表す斜視図である。
図11】実施形態に係る浴室カウンターの変形例の一部を模式的に表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0018】
図1は、実施形態に係る浴室カウンターが設けられた浴室を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、浴室100は、浴槽90と、水栓カウンター11と、洗面カウンター12と、を備える。
【0019】
浴室100は、第1~第3の壁面110~130を含む複数の壁面(側壁)と、床面と、天井面と、を有する。各壁面と床面と天井面とは、浴室空間BSを形成する。浴室空間BSは、各壁面と床面と天井面とで囲まれた空間である。浴槽90は、浴室空間BS内に設けられる。浴槽90は、浴室空間BSの床面に設けられる。浴室空間BSの床面には、浴槽90と並べて洗い場150が設けられる。
【0020】
第1の壁面110は、浴槽90側に設けられた第2の壁面120と、浴槽90とは反対側に設けられた第3の壁面130との間に設けられている。第1の壁面110は、浴槽90、洗い場150、第2の壁面120、及び第3の壁面130と接続されている。第2の壁面120は、浴槽90及び第1の壁面110と接続されている。第3の壁面130は、洗い場150及び第1の壁面110と接続されている。
【0021】
水栓カウンター11及び洗面カウンター12は、浴室100の第1の壁面110の洗い場150側(第3の壁面130側)に取り付けられている。
【0022】
水栓カウンター11は、洗面カウンター12よりも高い位置に設けられている。水栓カウンター11は、洗面カウンター12に向けて水を吐出する。浴室100では、例えば、シャンプーボトルや洗面器などの物品を洗面カウンター12の上に置くことにより、体を洗う作業を楽にすることができる。また、水栓カウンター11の上に、シャンプーボトルなどの物品を置くこともできる。
【0023】
なお、本願明細書において、水栓カウンター11と、洗面カウンター12と、を合わせて、浴室カウンター10と称する。以下、浴室カウンター10として、水栓カウンター11を例に挙げて説明するが、浴室カウンター10は、水栓カウンター11に限定されない。例えば、洗面カウンター12の構成は、後述の水栓部を設けないこと以外は、水栓カウンター11と同様の構成とすることができる。
【0024】
図2は、実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す斜視図である。
図3は、実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す正面図である。
図4は、実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す平面図である。
図5は、実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す側面図である。
図6は、実施形態に係る浴室カウンターを模式的に表す側断面図である。
【0025】
図2図6に表したように、浴室カウンター10は、カウンター本体20と、カウンター本体20の上に設けられる天板30と、を有する。
【0026】
なお、本願明細書では、浴室カウンター10と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0027】
カウンター本体20は、カバー部22と、支持部24と、水栓部26と、を有する。カバー部22は、例えば、左右方向に延びた略直方体の箱状である。支持部24は、カバー部22の後方(または下方)に設けられ、カバー部22を支持する。水栓部26の一部(例えば、内蔵部)は、カバー部22の内部に収納される。水栓部26の別の一部(例えば、吐水部及び操作部)は、カバー部22から露出する。
【0028】
カバー部22は、上面部220と、下面部222と、側面部224と、を有する。上面部220、下面部222、及び側面部224により形成された空間の内部に、水栓部26の一部(例えば、内蔵部)が収納される。換言すれば、カバー部22は、水栓部26の一部を覆う。
【0029】
カバー部22の上面部220は、カバー部22の上部に設けられ、カウンター本体20の上端を構成する。カバー部22の上面部220は、天板30と対向する部分である。換言すれば、カバー部22の上面部220は、カウンター本体20と天板30との貼り合わせ面である。この例では、カバー部22の上面部220には、カバー部22の上部の略全体を覆う板状の部材が設けられている。カバー部22の上面部220には、カバー部22の上部の一部(例えば、周端部)を覆う板状の部材が設けられていてもよい。換言すれば、カバー部22の上面部220は、全面が覆われていなくてもよい。
【0030】
カバー部22の下面部222は、カバー部22の下部に設けられ、カウンター本体20の下端を構成する。この例では、カバー部22の下面部222には、カバー部22の下部の略全体を覆う板状の部材が設けられている。カバー部22の下面部222は、前方から後方に向かって下方に傾斜しており、正面視及び側面視において、カバー部22の下面部222から水栓部26の一部(吐水部)が露出している。また、カバー部22の下面部222は、右側端部から中央部に向かって下方に傾斜しており、左側端部から中央部に向かって下方に傾斜している。
【0031】
カバー部22の側面部224は、カバー部22の前後及び左右の側部に設けられ、カウンター本体20の前端、後端、及び左右の側端を構成する。カバー部22の側面部224は、上面部220の各端部と下面部222の各端部との間の面である。この例では、カバー部22の側面部224には、カバー部22の前方及び左右の側部の全体、並びに、後方の側部の一部を覆う板状の部材が設けられている。カバー部22の後方側の側面部224は、支持部24に接続されている。また、カバー部22の前方側の側面部224から水栓部26の一部(操作部)が露出している。
【0032】
この例では、カバー部22は、第1の壁面110から前方に離間した位置に設けられている。カバー部22を第1の壁面110から離間した位置に設けることで、カバー部22の後方側の側面部224と第1の壁面110との間に隙間を設けることができるため、清掃性を向上させることができる。
【0033】
カバー部22は、支持部24により支持されている。支持部24の一端は、第1の壁面110に固定されている。支持部24の他端は、カバー部22の後方側の側面部224に固定され、カバー部22の後方側の側面部224を支持している。支持部24は、カバー部22の下面部222及び後方側の側面部224に固定され、カバー部22の下面部222及び後方側の側面部224を支持していてもよい。支持部24は、カバー部22の下面部222及び後方側の側面部224の少なくともいずれかを支持する。また、支持部24は、水栓部26の一部(例えば、内蔵部)を覆っている。
【0034】
支持部24は、必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、カバー部22が第1の壁面110に当接する位置に設けられる場合、支持部24は省略される。
【0035】
水栓部26は、吐水部260と、操作部262と、内蔵部264と、を有する。使用者は、操作部262を操作することで、吐水部260及びシャワー装置(図示せず)から水を吐出させることができる。なお、本願明細書において、「水」には、冷水のみならず、加温されたお湯が含まれる。
【0036】
吐水部260は、いわゆるスパウトである。吐水部260は、カバー部22の下面部222から露出しており、下方に向けて水を吐出可能である。吐水部260は、例えば、浴室カウンター10の左右方向の中央付近に設けられる。また、吐水部260は、例えば、上面視において、天板30と重なる位置に設けられる。吐水部260は、内蔵部264に接続されている。吐水部260は、例えば、内蔵部264を介して、第1の壁面110に設けられた給水源(図示せず)と接続されている。
【0037】
操作部262は、例えば、使用者が吐水部260及びシャワー装置から吐出される水の温度や水の流量を調整するための操作部である。また、操作部262は、例えば、使用者が吐水部260及びシャワー装置の吐水及び止水の切り替えを行うための操作部である。この例では、操作部262は、カバー部22の前方側の側面部224に設けられている。操作部262は、例えば、カバー部22の右側方側の側面部224または左側方側の側面部224に設けられてもよい。操作部262は、内蔵部264に接続されている。
【0038】
この例では、操作部262として、操作部262a~262dが設けられている。操作部262aは、吐水部260及びシャワー装置から吐出される水の流量を調整するための回動式の操作部である。操作部262bは、吐水部260及びシャワー装置から吐出される水の温度を調整するための回動式の操作部である。操作部262cは、吐水部260の吐水及び止水の切り替えを行うための押しボタン式の操作部である。操作部262dは、シャワー装置の吐水及び止水の切り替えを行うための押しボタン式の操作部である。
【0039】
内蔵部264は、カバー部22の内部に収納されている。内蔵部264は、例えば、第1の壁面110に設けられた給水源、吐水部260、及び操作部262と接続されており、使用者による操作部262の操作に基づいて、給水源から供給された水を吐水部260及びシャワー装置に供給する。内蔵部264は、例えば、温度調整ユニット(図示せず)や流量調整ユニット(図示せず)などを有し、使用者による操作部262の操作に基づいて、吐出する水の温度や水の流量を調整する。
【0040】
なお、浴室カウンター10において、水栓部26は、必要に応じて設けられ、省略可能である。浴室カウンター10が、例えば、水栓カウンター11である場合、水栓部26が設けられる。一方、浴室カウンター10が、例えば、洗面カウンター12である場合、水栓部26は省略される。
【0041】
天板30は、カウンター本体20の上に設けられる。天板30は、例えば、カウンター本体20の上に載置される。天板30は、例えば、カウンター本体20のカバー部22の上面部220の上に設けられる。この例では、天板30は、略長方形の板状である。
【0042】
天板30は、上面32と、下面34と、を有する。天板30の上面32は、略平坦な面であり、天板30の上面32の上には、シャンプーボトルなどの物品を載置可能である。天板30の下面34は、カウンター本体20の上面部220と対向する面である。換言すれば、天板30の下面34は、カウンター本体20と天板30との貼り合わせ面である。この例では、天板30の下面34は、カウンター本体20の上面部220に対して略平行である。
【0043】
天板30の上面32は、中央部320と、中央部320を囲む端部(周端部)322と、を有する。天板30の上面32の中央部320は、一端から他端に向けて下方に傾斜している。この例では、天板30の上面32の中央部320は、後方(後端)から前方(前端)に向けて下方に傾斜している。換言すれば、上面32の中央部320の高さは、後方から前方に向かって低くなる。これにより、浴室カウンター10では、天板30の上面32の中央部320の上の水を前方に流し、洗い場150(床面)に落下させることができる。従って、浴室カウンター10では、天板30の上面32の中央部320の上に水が溜まってしまうことを抑制することができる。
【0044】
上面32の中央部320の傾斜角度は、上面32の中央部320に著しく残水しない排水勾配であり、かつ上面32の中央部320の上の載置物(シャンプーボトルなど)が滑り落ちない角度に設定される。上面32の中央部320と水平面HSとの成す角度ωは、好ましくは、1.15°以上1.91°以下である。
【0045】
なお、天板30の上面32の中央部320は、例えば、前方(前端)から後方(後端)に向けて下方に傾斜していてもよい。この場合、天板30の上面32の中央部320の上の水を後方に流し、洗い場150(床面)に落下させることができる。つまり、この場合にも、天板30の上面32の中央部320の上に水が溜まってしまうことを抑制することができる。
【0046】
天板30の上面32の端部322は、外側方向に向けて下方に傾斜している。換言すれば、天板30の上面32の端部322は、中央部320から端部322に向かう方向において、下方に傾斜している。例えば、天板30の上面32の前方側の端部322は、前方に向けて下方に傾斜している。天板30の上面32の後方側の端部322は、後方に向けて下方に傾斜している。天板30の上面32の右側方側の端部322は、右側方に向けて下方に傾斜している。天板30の上面32の左側方側の端部322は、左側方に向けて下方に傾斜している。
【0047】
天板30の上面32の端部322にこのような傾斜を設けることで、上面32の端部322の水滴が、上面32の外側に排出されやすくなる。
【0048】
なお、上面32の端部322の傾斜は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。この例では、上面32の端部322の傾斜は、曲面状である。
【0049】
天板30の下面34は、中央部340と、中央部320を囲む端部(周端部)342とを有する。天板30の下面34の中央部340と端部342とは、例えば、同一平面状に位置する。この例では、天板30の下面34は、後方から前方に向かって下方に傾斜している。また、この例では、天板30の上面32と下面34とは、実質的に平行である。換言すれば、天板30の下面34は、例えば、水平面HSに対して傾斜角度ω(上面32の中央部320と水平面HSとの成す角度ωと同じ角度)で傾斜している。
【0050】
天板30の下面34は、これに限定されない。例えば、天板30の下面34は、水平面HSに対して上面32とは異なる角度で傾斜していてもよい。また、天板30の下面34は、水平面HSと実質的に平行であってもよい。すなわち、例えば、天板30の前方側の厚さと天板30の後方側の厚さは異なっていてもよい。例えば、天板30の前方側の厚さは、天板30の後方側の厚さよりも薄くてもよい。
【0051】
図6に表したように、この例では、浴室カウンター10は、カウンター本体20と天板30との間に設けられる介在部40を有する。介在部40は、例えば、カウンター本体20と天板30とを接着する接着剤である。介在部40は、例えば、カウンター本体20のカバー部22の上面部220の中央部220aと、天板30の下面34の中央部340と、の間に設けられる。介在部40は、例えば、カウンター本体20のカバー部22の上面部220の端部220bと、天板30の下面34の端部342と、の間には、設けられない。このように、端部に接着しない部分を設けることで、カウンター本体20と天板30とを接着する際に位置がずれても、接着剤が露出することを抑制できる。また、このように、端部に接着しない部分を設けることで、後述の捕集部50(捕集溝部52)を容易に形成することができる。なお、介在部40は、粘着剤(両面テープ)等でも良い。
【0052】
介在部40は、例えば、カウンター本体20の一部であってもよい。例えば、カウンター本体20のカバー部22の上面部220の中央部220aが、端部220bから上方に向かって凸状の構造を有する場合、この中央部220aの凸部を介在部40とみなすことができる。
【0053】
介在部40は、例えば、天板30の一部であってもよい。例えば、天板30の下面34の中央部340が、端部342から下方に向かって凸状の構造を有する場合、この中央部340の凸部を介在部40とみなすことができる。
【0054】
実施形態において、天板30の下面34の端部342とカウンター本体20との間には、捕集部50が設けられる。捕集部50は、天板30の上面32の端部322に付着した水滴を捕集する。これにより、小さな水滴であっても、この水滴同士を結合させることができる。そして、このように結合して流れ落ちやすくなった水滴を、カウンター本体20側へ排出させることができる。このため、傾斜した天板30の上面32を流れた水滴が天板30の上面32の端部322に残ってしまうことを抑制できる。例えば、天板30の上面32に物品を置いた際に、該物品が使用者の意図せずに濡れてしまう可能性を低減できる。
【0055】
捕集部50は、少なくとも、天板30の上面32に付着した水滴が流れてくる位置に設けられる。より具体的には、捕集部50は、少なくとも、天板30の上面32の中央部320の傾斜の下部側(この例では、前方側)の、カウンター本体20と天板30の下面34の端部342との間に設けられる。この例では、捕集部50は、天板30の下面34の端部342とカウンター本体20との間の全周に設けられている。
【0056】
図6に表したように、この例では、カバー部22の前方側の側面部224の上部に、側面部224の上部から後方へ延びる後延部224aが設けられている。このような後延部224aを設けることで、捕集部50からカウンター本体20の内部が見えることを抑制できる。後延部224aは、例えば、カバー部22の上面部220の端部220bを構成する。換言すれば、後延部224aの上面は、捕集部50の一部(後述の捕集溝部52の下面520)を構成する。
【0057】
以下、捕集部50について、さらに詳しく説明する。
図7は、実施形態に係る浴室カウンターの捕集部を模式的に表す側面図である。
図7に表したように、捕集部50は、例えば、カウンター本体20と、天板30の下面34の端部342と、介在部40と、により、内側方向へ凹状に形成された捕集溝部52である。この例では、カウンター本体20のカバー部22の上面部220の端部220bにより、捕集溝部52の下面520が形成されている。また、天板30の下面34の端部342により、捕集溝部52の上面522が形成されている。また、介在部40の側端部42により、捕集溝部52の側面524が形成されている。
【0058】
この例では、捕集溝部52の下面520の端部520aは、捕集溝部52の上面522の端部522aよりも、外側に位置する。例えば、捕集溝部52の下面520を形成しているカウンター本体20(カバー部22)の上面部220の端部220bの一部は、捕集溝部52の上面522を形成している天板30の下面34の端部342よりも、外側に位置する。
【0059】
捕集溝部52の側面524から捕集溝部52の下面520の端部520aまでの長さL1は、例えば、0.5mm以上5mm以下(例えば、3mm程度)である。捕集溝部52の側面524における、捕集溝部52の下面520から捕集溝部52の上面522までの長さL2は、例えば、0.1mm以上0.6mm以下(例えば、0.2mm程度)である。捕集溝部52の下面520の端部520aから捕集溝部52の上面522の端部522aまでの傾斜方向の長さL3は、例えば、0.3mm以上1.0mm以下(例えば、0.5mm程度)である。
【0060】
捕集溝部52に溜まった水は、捕集溝部52の下面520の上に位置する。従って、捕集溝部52の下面520の端部520aが、捕集溝部52の上面522の端部522aよりも外側に位置すると、捕集溝部52に溜まった水が、捕集溝部52の上面522の端部522aよりも外側に位置しやすくなる。これにより、天板30の上面32の端部322に付着した水滴と捕集溝部52に溜まった水とがより結合しやすくなる。従って、より確実に天板30の上面32の端部322に付着した水滴を捕集溝部52内に引き込むことができる。
【0061】
また、図7に表したように、この例では、カバー部22の上面部220の端部220bと、カバー部の前方側の側面部224と、の間に、面取り部226が設けられている。このような面取り部226を設けることで、捕集溝部52に溜まった水は、カバー部22の上面部220の端部220b(すなわち、捕集溝部52の下面520)から下方に落ちやすくなる。これにより、捕集溝部52に溜まった水を排出しやすくなる。
【0062】
図8(a)~図8(d)は、実施形態に係る浴室カウンターの捕集部を模式的に表す側面図である。
図8(a)に表したように、例えば、浴室を使用すると、捕集溝部52に水WTが溜まる。天板30の上面32に付着した水滴DP1は、天板30の上面32の中央部320の傾斜により、天板30の上面32の中央部320から端部322に向かって流れる。そして、水滴DP1は、天板30の上面32の端部322の傾斜により、天板30の外側に向かって流れる。
【0063】
天板30の上面32の端部322を外側に向かって流れた水滴DP1は、図8(b)に表したように、捕集溝部52に溜まった水WTに結合(合流)する。水WTは、捕集溝部52の下面520、上面522、及び側面524の三面と接しており、天板30の上面32のみに接している水滴DP1と比べて、表面張力が大きい。これにより、図8(c)に表したように、水滴DP1は、捕集溝部52に溜まった水WTの表面張力によって、捕集溝部52に引き込まれる(捕集される)。
【0064】
図8(c)に表したように、捕集溝部52に溜まった水WTの量が多くなると、図8(d)に表したように、水WTの一部が水滴DP2として、カウンター本体20の下方に流れて、排出される。
【0065】
このように、実施形態においては、捕集部50(捕集溝部52)を設けることで、傾斜した天板30の上面32を流れた水滴DP1を、捕集溝部52に溜まった水WTに結合させることができる。これにより、天板30の上面32の端部322に残ってしまうことをより確実に抑制できる。
【0066】
図9は、実施形態に係る浴室カウンターの捕集部を模式的に表す側面図である。
図9に表したように、捕集溝部52は、浴室カウンター10の側面部にも設けられている。側面部に設けられた捕集溝部52は、上記の天板30の上面32の中央部320の一端から他端に向かう方向において、下方に傾斜している。換言すれば、捕集溝部52は、天板30の上面32の中央部320と同じ方向に傾斜している。この例では、捕集溝部52は、後方から前方に向けて下方に傾斜している。捕集溝部52の下面520と、天板30の上面32の中央部320とは、実質的に平行である。また、この例では、捕集溝部52の下面520と、捕集溝部52の上面522とは、実質的に平行である。
【0067】
このように、捕集溝部52が傾斜していることで、捕集溝部52内に引き込まれ、結合した水滴DP1が、捕集溝部52内の傾斜の下部(この例では、前方側)に集まりやすくなる。これにより、捕集溝部52内に引き込まれた水滴DP1を浴室カウンター10の外に排出しやすくなる。
【0068】
図10は、実施形態に係る浴室カウンターの排出溝部を模式的に表す斜視図である。
図10に表すように、カウンター本体20は、捕集溝部52から下方へ延出するように形成された排出溝部60を有する。排出溝部60は、上下方向に延びる縦溝である。排出溝部60は、捕集溝部52からカバー部22の上面部220(または面取り部226)に沿ってカバー部22の側面部224まで延びる溝部を有していてもよい。排出溝部60は、2つの側面と1つの後面の3面で囲まれているが、必ずしも3面で囲まれている必要なく、2つの側面のみで囲まれた溝も、「排出溝部」である。
【0069】
この例では、排出溝部60は、カバー部22の側面部224同士の角部付近に設けられている。例えば、カバー部22の前方側の側面部224と、右側方側の側面部224と、により形成される角部付近においては、前方側の側面部224の右側端部付近、及び、右側方側の側面部224の前端部付近、に排出溝部60が設けられている。排出溝部60を設ける位置は、任意の位置とすることができる。排出溝部60を設ける数は、任意の数とすることができる。排出溝部60は、例えば、カバー部22の側面部224同士の四隅の角部付近に設けられる。
【0070】
このように、排出溝部60を設けることで、捕集溝部52内に引き込まれた水滴が、排出溝部60によって下方へさらに引き込まれる。これにより、捕集溝部52内に引き込まれた水滴を浴室カウンター10の外に排出しやすくなる。
【0071】
図11は、実施形態に係る浴室カウンターの変形例の一部を模式的に表す側面図である。
図11に表したように、この変形例では、カバー部22の上面部220の端部220bと、カバー部の前方側の側面部224と、の間に、面取り部226が設けられていない。このように、面取り部226を設けない場合には、捕集溝部52に溜まった水は、カバー部22の上面部220の端部220b(すなわち、捕集溝部52の下面520)から下方に落ちにくくなる。これにより、水を捕集溝部52に溜めやすくなる。つまり、天板30の上面32の端部322に付着した水滴と捕集溝部52に溜まった水とがより結合しやすくなる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室カウンター10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0073】
10 浴室カウンター、 11 水栓カウンター、 12 洗面カウンター、 20 カウンター本体、 22 カバー部、 24 支持部、 26 水栓部、 30 天板、 32 上面、 34 下面、 40 介在部、 42 側端部、 50 捕集部、 52 捕集溝部、 60 排出溝部、 90 浴槽、 100 浴室、 110、120、130 第1、第2、第3の壁面、 150 洗い場、 220 上面部、 220a 中央部、 220b 端部、 222 下面部、 224 側面部、 224a 後延部、 226 面取り部、 260 吐水部、 262、262a~262d 操作部、 264 内蔵部、 320 中央部、 322 端部、 340 中央部、 342 端部、 520 下面、 520a 端部、 522 上面、 522a 端部、 524 側面、 BS 浴室空間、 DP1、DP2 水滴、 HS 水平面、 L1~L3 長さ、 WT 水、 ω 角度
図1
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