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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】坑内作業台車
(51)【国際特許分類】
   E21F 17/00 20060101AFI20220908BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20220908BHJP
   E21D 11/38 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
E21F17/00
E21D11/10 Z
E21D11/38 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019222810
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092064
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博文
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-102891(JP,A)
【文献】特開平06-280382(JP,A)
【文献】実開昭53-115495(JP,U)
【文献】特開2014-148796(JP,A)
【文献】特許第5016736(JP,B1)
【文献】特開2005-048382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 17/00
E21D 11/10
E21D 11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル工事に使用する坑内作業台車であって、
支持フレームと、
前記支持フレーム上に階層状に構築した作業架台と、を備え、
前記支持フレームは、略平行に立設した2本の支柱と、前記2本の支柱の上部を剛結した梁材と、前記2本の支柱の両側に延出した2本の支持材と、を有する複数の支持枠を、前記支柱の延在方向及び前記梁材の延在方向と直交する方向に、複数の桁材で連結してなり、
前記作業架台は少なくとも、建地、横架材、及び足場板の組み合わせからなり、トンネル坑内において作業員の人力で構築可能であり、
前記作業架台が、前記支持材上に支持される側部架台と、前記梁材上に支持される頂部架台と、を有し、
前記側部架台における前記足場板が、前記頂部架台に向かって高くなる階段状の配置を有することを特徴とする、
坑内作業台車。
【請求項2】
前記支持材の上部から上方に立設した柱状の複数のジョイント材を有し、前記ジョイント材に外挿又は内挿した前記建地を介して、前記支持フレームと前記作業架台を結合したことを特徴とする、請求項1に記載の坑内作業台車。
【請求項3】
前記建地が係合部を有し、前記横架材が前記係合部に係合可能な楔状部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の坑内作業台車。
【請求項4】
前記係合部が、前記建地に環設した鍔状体であり、前記鍔状体が前記楔状部を挿通可能な係合孔を有することを特徴とする、請求項3に記載の坑内作業台車。
【請求項5】
前記支持フレームが、前記支柱の下部を前記支柱の延在方向及び前記梁材の延在方向と直交する方向に連結する複数の基台と、前記基台の下部に付設した複数の車輪を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の坑内作業台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業台車に係り、特にトンネル内周面への施工や補修・点検等に使用する坑内作業台車に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事等において、形鋼を門型に組んでなる走行架台と、走行架台の頂部及び側部に一体に連結した作業デッキからなる、作業台車が使用される。
作業台車は、トンネル延長方向に敷設したレールに沿って施工位置まで移動し、作業員が作業デッキ上からトンネルの内周面へ向けて防水シートの固定や、鉄筋の配筋等を行う。
特許文献1には、門型の走行架台の頂部に支柱とホイストを設けた作業台車が開示されている。また特許文献2には、門型の走行架台の外側に半弧状のガイドレールを付設し、作業員の搭乗するゴンドラをガイドレールに沿って移動可能に設置した作業台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-35098号公報
【文献】特開昭61-183600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下の問題点がある。
<1>作業デッキ上で作業員がトンネル内周面に向けて作業するため、作業デッキはトンネルの内周面に沿って内周面に近接した位置に配置する必要がある。しかし、トンネルの断面形状は個別に異なるため、トンネルの設計断面に応じて作業台車を個別に設計・製作する、個別受注生産品となる。このため、既設の作業台車を他現場へ転用することができず、調達コストが嵩む。
<2>駐車帯等の断面拡幅部においてトンネル断面が拡大すると、トンネル内周面と作業デッキとの距離が開き、施工が困難になる。
<3>切羽から坑外まで換気用の風管を設置することがある。風管は坑内の距離に応じてトンネル断面上の配置が変化するが、従来の作業台車は作業デッキの高さや幅を変更することができないため、風管と干渉するおそれがある。
<4>走行架台と作業デッキが結合した大型一体構造からなるため、工場での製作後、現場の坑内へ搬入するために多大な労力と輸送コストがかかる。
<5>個別受注生産となる一方、大型の製造施設やノウハウを持つ事業者は少数に限られるため、全国で工事が集中した場合、製品の納期と現場への搬送期間から調達が間に合わず、工程に遅延をもたらすおそれがある。
<6>山岳トンネルの坑口付近には鉄筋を配筋する場合がある。鉄筋工の施工間隔は1スパン10.5mである一方、シート台車は防水シートの幅に合わせて奥行き7m程度の設計である。このため、鉄筋工にシート台車を転用する場合、シート台車を移動させ、1スパンを二分割して施工する必要があり、施工効率が悪い。一方、トンネル全長に比較して僅かな配筋区間のために10m超のシート台車を製作したり、専用の鉄筋台車を導入するのは不経済である。
<7>鉄筋工にシート台車を転用する場合、鉄筋は防水シート面の内側に配筋するため、作業デッキ上の作業空間が狭くなり、窮屈な姿勢での施工を強いられる。このため、作業員の肉体的負担が大きい。
【0005】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決可能な坑内作業台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の坑内作業台車は、支持フレームと、支持フレーム上に階層状に構築した作業架台と、を備え、支持フレームは、略平行に立設した2本の支柱と、2本の支柱の上部を剛結した梁材と、2本の支柱の両側に延出した2本の支持材と、を有する複数の支持枠を、支柱の延在方向及び梁材の延在方向と直交する方向に、複数の桁材で連結してなり、作業架台は少なくとも、建地、横架材、及び足場板の組み合わせからなり、トンネル坑内において作業員の人力で構築可能なことを特徴とする。
【0007】
本発明の坑内作業台車は、支持材の上部から上方に立設した柱状の複数のジョイント材を有し、ジョイント材に外挿又は内挿した建地を介して、支持フレームと作業架台を結合してもよい。
【0008】
本発明の坑内作業台車は、建地が係合部を有し、横架材が係合部に係合可能な楔状部を有していてもよい。
【0009】
本発明の坑内作業台車は、係合孔が、建地に環設した鍔状体であり、鍔状体が楔状部を挿通可能な係合孔を有していてもよい。
【0010】
本発明の坑内作業台車は、支持フレームが、支柱の下部を支柱の延在方向及び梁材の延在方向と直交する方向に連結する複数の基台と、基台の下部に付設した複数の車輪を有していてもよい。
【0011】
本発明の坑内作業台車は、作業架台が、支持材上に支持される側部架台と、梁材上に支持される頂部架台と、を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成より、本発明の坑内作業台車は次の効果の少なくともひとつを備える。
<1>単一の規格の支持フレームを設計の異なる複数のトンネルで兼用でき、作業架台の材料には全国のリース業者が保有する仮設資材を流用できる。このため、構成部材の汎用性が高く、調達コストを節減することができる。
<2>作業架台部分を、種類の豊富な既存の仮設資材の組み合わせによって構築することができるため、設計の柔軟性多が高く、様々な設計断面のトンネルに対応できる。
<3>断面拡幅部では、作業架台を上方及び側方に延長することで、トンネル内周面との距離を縮めて施工性を維持することができる。また、延長部を解体することで、すぐに通常断面仕様に戻すことができる。
<4>風管のトンネル断面上の位置にあわせて作業架台を組み替えることで、風管との干渉を回避することができる。また、作業架台の内部にトンネル長手方向に連続する収容空間を構成することで、収容空間内に風管を保持したまま移動することができる(図5)。
<5>工場製作となるのは支持フレームのみであり、作業架台は現場の仮設資材を転用できるため、輸送コストを低減させることができる。
<6>構成部材の汎用性が高いため、全国の工事量に関わらず安定して供給/調達できる。
<7>作業架台を支持フレームの前後方向に張り出させることで、作業長を延長し、シート台車のサイズでありながら、移動せずに配筋区間の1スパンを一度で施工できる。このため施工性が非常に高い。また、シート台車を鉄筋台車に転用できるため、経済性が高い。
<8>鉄筋工にシート台車を転用する場合、鉄筋の位置にあわせて作業架台を縮小して組み直すことで、作業に最適な空間を確保することができる。
<9>受注生産品ではなく、リース扱いで調達できるので、調達コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の坑内作業台車の説明図。
図2】支持フレームの説明図。
図3】坑内作業架台の組立方法の説明図。
図4】坑内作業架台の組立方法の説明図。
図5】風管との取り合い状況の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の坑内作業台車について詳細に説明する。
なお、坑内作業台車の説明における「上下」「左右」「前後」等の各方位は、坑内作業台車を坑内に配置した状態において、坑口側から切羽側へ正面視した(図5)各方向を意味する。また、「高さ方向」は上下方向を、「幅方向」は左右方向を、「奥行き方向」は前後方向を意味する。
【実施例1】
【0015】
[坑内作業台車]
<1>全体の構成(図1)。
本発明の坑内作業台車1は、トンネルの坑内作業に使用する台車である。
具体的には、吹付けコンクリート面への防水シート敷設に使用するシート台車、覆工コンクリートの鉄筋工に使用する鉄筋台車、供用後のトンネルにおいて覆工コンクリートの補修・点検に使用する作業台車等、トンネル内周面との近接作業に用いる台車に適用可能である。
坑内作業台車1は、枠状の支持フレーム10と、支持フレーム10上に階層状に構築した作業架台20と、を少なくとも備える。
本例では、支持フレーム10と作業架台20とを、支持フレーム10上に固定した複数のジョイント材30を介して結合する。
本例の坑内作業台車1は、坑内の路面上にトンネル延長方向に沿って連続配置したレール上に設置され、工事車両によって牽引されることで坑内を移動する。
ただしこれに限らず、坑内作業台車1が動力を備え、坑内を自走可能であってもよい。
本発明の坑内作業台車1は、工場製作による一体構造の支持フレーム10上に、仮設資材の組み合わせからなる作業架台20を、作業員の人力で組立可能な点に特徴を有する。
【0016】
<2>支持フレーム(図2)。
支持フレーム10は、作業架台20を支持する枠状体である。
支持フレーム10は、幅方向に延在する略門型形状の複数の支持枠11を、複数の桁材12で奥行き方向に連結してなる。
本例では、複数の支持枠11の下部を2本の基台13で奥行き方向に連結し、基台13の下部に移動用の複数の車輪14を付設する。
支持フレーム10の内、支持枠11、桁材12、及び基台13には形鋼を採用し、これらを溶接又はボルト連結等によって剛結することで、支持フレーム10全体が堅固なラーメン構造を構成する。
【0017】
<2.1>支持枠。
支持枠11は、略平行に立設した2本の支柱11bと、2本の支柱11bの上部を剛結した梁材11aと、2本の支柱11bの両側に略水平に延出した2本の支持材11cと、を少なくとも備える。
梁材11a、支柱11b、及び支持材11cには形鋼を採用し、相互に溶接又はボルト連結で剛結して支持枠11を組む。なお、本例では、2本の支柱11bの上部と梁材11aとを、肩部の桁材12を介して剛結している。
また、本例では、支持枠11の内側に、梁材11aと支柱11bとの間に掛け渡すように、補強用の頬杖を付設する。
梁材11aの上部、及び支持材11cの上部には、所定の間隔で複数の30を付設する。
【0018】
<3>作業架台(図3)。
作業架台20は、作業員の高所作業用の架台である。
作業架台20は、少なくとも建地21、横架材22、及び足場板23を含む仮設資材の組み合わせからなる。
建地21、横架材22、及び足場板23は、作業員が人力で組立可能な構造を有する。
ここで「人力で組立可能」とは、建地21、横架材22、及び足場板23が、人力で取り扱い(運搬・据え付け)できる程度の重量であり、嵌合、ボルト締結、クランプ締結、クサビ係合等の手段によって、手作業で相互に連結して、作業架台20を構築できることを意味する。本例では、建地21の係合部21aと、横架材22の楔状部22aとのクサビ係合によって組み立て可能な、クサビ緊結構造を採用する。
建地21、横架材22、及び足場板23の長さや幅は、作業架台20の設計に応じて、既存の仮設資材の多様なラインナップの中から適宜選択することができる。
作業架台20は、上記の他、必要に応じて、頂部架台20bへの昇降用の階段24、足場板23の外側へ張り出し用のブラケット、補強用のブレース(斜材)、足場板23上からの部材の落下防止するための幅木等を備えていてもよい。
【0019】
<3.1>側部架台、頂部架台。
作業架台20は、支持フレーム10の側方に位置する側部架台20aと、支持フレーム10の上部に位置する頂部架台20bと、に分類できる。
側部架台20aは、ジョイント材30を介して支持フレーム10の支持材11c上に支持される。
頂部架台20bは、ジョイント材30を介して支持フレーム10の梁材11a上に支持される。
側部架台20aと頂部架台20bとは、側部架台20a上段の横架材22を介して相互に連結する。
【0020】
<3.2>建地。
建地21は、作業架台20を構成する柱部材である。
本例では建地21として、中間に係合部21aを付設した円形鋼管を採用する。
建地21の下部は、下段の建地21の上部、及び後述するジョイント材30の柱状部31と長手方向に連結可能な構造を有する。本例では、建地21の下部の内径を、建地21上部、及び柱状部31の上部に外挿可能な径とする。
係合部21aは、横架材22との連結要素であって、建地21の任意の高さに任意の数、付設する。
本例では、係合部21aとして、建地21に環設した鍔状の部材を採用し、係合部21aには、後述する横架材22の楔状部22aを係合可能な係合孔21bを上下に連通する。本例では、建地21を中心に、放射状に4つの係合孔21bを設ける。
なお、係合部21aの構造は上記に限らず、例えば、建地21の外周に付設したボックス状の部材に、上方から、鉤状に曲げた横架材22の先端を落とし込んで係合する、ポケットタイプを採用してもよい。
【0021】
<3.3>横架材。
横架材22は、作業架台20を構成する棒状部材である。
本例では横架材22として、両端に楔状部22aを付設した円形鋼管を採用する。
楔状部22aは、横架材22の端部を外径方向に連通して両側に突起しており、楔状部22aの片側を建地21の係合孔21bに掛けた状態で、楔状部22aの反対側をハンマー等で打撃することで、楔状部22aが飛び出して係合孔21b内を貫通してクサビ係合する(図3)。
【0022】
<3.4>足場板。
足場板23は、作業架台20を構成する面状部材である。
本例では足場板23として、アルミ製の床付き布枠を採用する。
足場板23の長手方向両端部には、横架材22と連結するための鉤状の掴み金具を設ける。
【0023】
<4>ジョイント材。
ジョイント材30は、支持フレーム10と作業架台20を結合するための部材である。
ジョイント材30は、支持フレーム10の支持材11cの上部、及び梁材11aの上部に付設する。
本例のジョイント材30は、面状の基部32と、基部32から上方に立設する柱状部31と、からなる。
柱状部31の上部は、建地21の下部と長手方向に連結可能な構造を有する。
本例では、柱状部31の外径を、建地21の内径より小径とし、建地21の下部を柱状部31に外挿して連結可能な構造とする。
ただしジョイント材30と建地21の連結構造は上記に限らず、例えば、建地21の下部を柱状部31内に内挿して連結する構造、両者をネジ連結する構造等であってもよい。
柱状部31には、基部32と平行する向きに鍔状の係合部31aを環節する。係合部31aには、横架材22の楔状部22aを嵌合可能な係合孔31bを設ける。本例では、柱状部31を中心に、放射状に4つの係合孔31bを設ける。
基部32は、ボルト連結又は溶接等の手段によって支持材11c等の上面に固定する。
【0024】
<5>作業架台の組立方法。
坑内作業台車1は、作業架台20部分を、坑内において作業員の手作業で組立可能な点に特徴を有する。
作業架台20の組立方法は、仮設足場の構造によって異なるが、本例のクサビ緊結構造の場合は以下の手順で組み立てる。
【0025】
<5.1>側部架台の構築。
支持フレーム10の支持材11c上に側部架台20aを構築する。
詳細には、支持材11c上のジョイント材30の柱状部31に、上方から建地21の下端部を外挿して側方からボルト締結し、支持材11c上に所定の数の建地21を林立させる。
続いて、隣り合う2つのジョイント材30の係合部31a上に横架材22を掛け渡し、横架材22の楔状部22aを、係合部31aの係合孔31b内に掛け、楔状部22aの反対側をハンマーで打撃することで、横架材22とジョイント材30とをクサビ係合する。
同様に、隣り合う2本の建地21間に横架材22を掛け渡し、横架材22の楔状部22aをハンマーで打撃して、横架材22と建地21とをクサビ係合する(図3)。
隣り合う横架材22の間に、足場板23を掛け渡して固定する。
以上の作業を、下段から上段に向けて所定の高さまで繰り返し、側部架台20aを階層状に構築する(図4)。
【0026】
<5.2>頂部架台の構築。
支持フレーム10の梁材11a上に頂部架台20bを構築する。
詳細には、側部架台20aの足場板23を足場にして、梁材11a上のジョイント材30に建地21を外挿して側方からボルト締結し、梁材11a上に所定の数の建地21を林立させる。
続いて、側部架台20aと同様の手順によって、横架材22とジョイント材30、横架材22と建地21、をそれぞれクサビ係合する。
隣り合う横架材22の間に、足場板23を掛け渡し、固定する。
固定した足場板23を足場にして、同様の作業を梁材11aの両側から中央に向けて繰り返し、頂部架台20bを構築する。
【0027】
<6>坑内作業台車の使用方法。
坑内作業台車1は、レールに沿って坑内を移動させ、施工位置に据え付けて使用する。
詳細には、坑内作業台車1を工事車両で施工位置まで牽引し、施工位置で車輪止め等の逸走防止措置を取る。続いて、作業員が階段24等を利用して、側部架台20aや頂部架台20b上に移動し、シート防水工等の作業を行う。
作業架台20の足場板23は、階層状に配置されているため、作業員は作業に応じて足場板23上を昇降して施工する。
所定長の施工が完了したら、坑内作業台車1を次の施工位置まで移動させて、同様の作業を繰り返す。
【0028】
<7>風管との取り合い(図5)。
本発明の坑内作業台車1は、風管Wのトンネル断面上の位置にあわせて作業架台20を組み替えることで、作業架台20の内部に風管Wを通過させることができる。
また、坑内の距離に応じて風管Wの配置が変化する場合であっても、作業架台20を組み替え、風管W位置の移動に対応して収容空間の位置を変更することで、風管Wとの干渉を回避しつつ移動することができる。
【実施例2】
【0029】
[作業架台のその他の構造]
実施例1では、作業架台20として、建地21の係合部21aと、横架材22の楔状部22aとの嵌合によって組み立て可能な、クサビ緊結構造を採用したが、作業架台20の構造はこれに限られない。
作業架台20は、例えば略門型の建枠を連結してなる枠組足場、円形鋼管とクランプの組み合わせによる単管足場等であってもよい。要は、坑内において作業員が人力で組立可能な構造であればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 坑内作業台車
10 支持フレーム
11 支持枠
11a 梁材
11b 支柱
11c 支持材
12 桁材
13 基台
14 車輪
20 作業架台
20a 側部架台
20b 頂部架台
21 建地
21a 係合部
21b 係合孔
22 横架材
22a 楔状部
23 足場板
24 階段
30 ジョイント材
31 柱状部
31a 係合部
31b 係合孔
32 基部
W 風管
図1
図2
図3
図4
図5