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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ケーブル固定金具
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/02 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
H02G15/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2016229004
(22)【出願日】2016-11-25
(65)【公開番号】P2018085887
(43)【公開日】2018-05-31
【審査請求日】2019-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501267793
【氏名又は名称】セフテック電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雅詳
(72)【発明者】
【氏名】尾田 隆幸
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-327131(JP,A)
【文献】実公平6-2298(JP,Y2)
【文献】特開2000-200651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/02
H02G 15/013
F16L 9/02
H05K 7/00
H01R 13/52
H01R 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル固定金具内に収容されてケーブルを保持する肉厚部と肉薄部とを備えた二段パッキンであるシリンダーパッキンを、その収容する収容空間を防爆機器へ取り付けるためにケーブル固定金具の長手方向一端に防爆機器のネジ孔へねじ込むために設けられた先端ネジ部分の径方向内側にまで同一寸法の径幅で形成するとともにその強度を維持するために拡径された先端ネジ部分の内側に肉厚部を、反先端ネジ部分側の内側に肉薄部を配置するとともに、肉薄部とその肉薄部から肉厚部へとつながるテーパー部を覆うように配置されており、肉薄部の外側方向への膨らみを阻止し内側方向への膨らみを誘導するガイドリングと、肉薄部の配置された内側に設けられたネジ部と螺合してシリンダーパッキンを先端ネジ部分側へ押圧することで、シリンダーパッキンの内周面が全体として軸方向へ幅広に膨らんでケーブルを締め付けることのできるグランドと、を備えたことを特徴とするケーブル固定金具。
【請求項2】
ケーブル固定金具がクランプレス式であることを特徴とする請求項1記載のケーブル固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ケーブル固定金具に関するものであり、特に防爆機器等に取り付けるケーブル固定金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブル固定金具に関しては、これまでに種々のものが研究・開発されてきた。本願出願人のものとしては特許文献1及び2などがあり、本願出願人以外のものでは特許文献3乃至6などがある。
【0003】
近年、このケーブル固定金具はその用途が広がり、産業用ロボットなどにも利用されるようになってきた。それに伴い、ケーブル固定金具の小型化(コンパクト化)が要求されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-200651号公報
【文献】特開2003-202383号公報
【文献】特開2014-003128号公報
【文献】特開2014-003789号公報
【文献】実開平7-36545号公報
【文献】実用新案登録第3014875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本願出願人の特許文献1にあるようにケーブル固定金具の小型化(コンパクト化)はすでに以前より研究・開発されてきており、これ以上の小型化(コンパクト化)は無理であると思われていた。
【0006】
例えば、ケーブルを保持するためにケーブル固定金具内に収容されるシリンダーパッキンをこれまでよりも短くすれば、当然にケーブル固定金具も短くできる(=小型化)。
しかし、シリンダーパッキンを短くするとケーブルとの当接面積が減り、その結果ケーブルの保持力(引留力)は弱くなる。シリンダーパッキンのケーブルの保持力(引留力)はそのまま維持した上で、ケーブル固定金具の小型化(コンパクト化)を実現しなければならないので、単純にシリンダーパッキンを短くすればよい訳ではない。また、そもそもパッキンのの長さは、防爆指針で規定されているので、決められた長さ以下にすることはできない。
【0007】
従って、本願発明者は、これまでとは全く異なる発想・アプローチでこの課題を解決すべく、鋭意試験・研究を行い、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の第1の発明は、ケーブル固定金具内に収容されてケーブルを保持するシリンダーパッキンを、防爆機器などの被取付物へ取り付けるために設けられた先端ネジ部分の内側に配置したことを特徴としたケーブル固定金具である。
第2の発明は、シリンダーパッキンが肉厚部と肉薄部とを備えた二段パッキンであることを特徴とした同ケーブル固定金具である。
第3の発明は、ケーブル固定金具がクランプレス式又はクランプ式であることを特徴とした同ケーブル固定金具である。
【発明の効果】
【0009】
上記した本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)本願発明は、これまで配置されることのなかった防爆機器などの被取付物へ取り付けるために設けられた先端ネジ部分の内側にシリンダーパッキンを配置することで、同じ長さのシリンダーパッキンを使用しながら(=保持力を維持したまま)、ケーブル固定金具の全長を短くできた(=小型化できた)。
(2)また、本願発明は、シリンダーパッキンの配置位置を先端ネジ部分側へ移動しただけなので、これまでのケーブル固定金具の構造を大きく変更するものではなく、基本構造は同一のままケーブル固定金具の全長を短くできることも大きな効果である。
(3)なお、シリンダーパッキンの配置位置を先端ネジ部分の内側へ移動したことにより、先端ネジ部分の強度を維持するために先端ネジ部分の径を従来よりも大きくする必要がある。しかし、逆を言えば、先端ネジ部分と接続する被取付物のネジ孔をそれに適合する寸法に設計すればよいだけのことであって、シリンダーパッキンの配置位置を先端ネジ部分側へ移動することによるデメリットはほとんど発生しない。
(4)ケーブル固定金具のコンパクト化により、材料及び重量を低減し、コストパフォーマンスに優れる。近年、機器のデザインもコンパクト化・スリム化により洗練されたものとなってきたが、そこにケーブル固定金具のみが突出せずに、バランスのとれたデザイン構成を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明の第1実施形態を示す説明図。
図2】従来の同式を示す説明図。
図3】本願発明の第2実施形態を示す説明図。
図4】従来の同式を示す説明図。
図5】本願発明の第3実施形態を示す説明図。
図6】従来の同式を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1は、本願発明(ケーブル固定金具)の第1実施形態を示す説明図である。第1実施形態は、クランプレス式で、保護管接続式(ユニオンタイプ)のケーブル固定金具を例に説明をする。図2は、これと比較するための従来の同式のケーブル固定金具を示す説明図である。
なお、同じ部材については、同一の符号を付けている。
また、シリンダーパッキンは、肉厚部と肉薄部とを備えた二段パッキンを用いた。
【0012】
図1に図示するように、ケーブル固定金具の本体10は、防爆機器などの被取付物(図示省略)へ取り付けるために設けられた先端ネジ部分11を備える。そして、ケーブル50を保持するためにケーブル固定金具内に収容されたシリンダーパッキン12をこの先端ネジ部分11の内側に配置している。
これに対して、図2(従来例)では、シリンダーパッキン12を先端ネジ部分11よりも後方に配置している。これによって、明らかに図1に図示するケーブル固定金具の方がその全長を短くし(約1/5程度短くなっている)、小型化(コンパクト化)している。
【0013】
なお、符号13はOリングであり、シール効果を果たすものである。
符号14はロックナットであり、被取付物(図示省略)のネジ孔へねじ込んだ先端ネジ部分11の緩み止めをするものである。
符号15はガイドリングであり、シリンダーパッキン12である二段パッキンの肉薄部とその肉薄部から肉厚部へとつながるテーパー部を覆うように配置されており、肉薄部の外側方向への膨らみを阻止し内側方向への膨らみを誘導するものである。
符号16はシートパッキンであり、シール効果を果たすものである。
符号17はカバーであり、本体10とカップリング19をシートパッキン16にしっかり押し付け固定し、シール性能を維持するものである。
符号18はグランドであり、シリンダーパッキン12を先端ネジ部分11側へ押圧することで、シリンダーパッキン12の内周面が全体として軸方向へ幅広に膨らんでケーブル50を締め付ける(保持する)ことができる。
符号19はカップリングであり、保護管(図示省略)を接続するためのネジを有する。保護管を接続するために、このカップリング19のみを回すことができる。
【0014】
次に、図3は、本願発明(ケーブル固定金具)の第2実施形態を示す説明図である。第2実施形態は、同じクランプレス式で、保護管を接続しない移動式(ベルマウスタイプ)のケーブル固定金具を例に説明をする。図4は、これと比較するための従来の同式のケーブル固定金具を示す説明図である。
なお、同じ部材については、同一の符号を付けている。
また、シリンダーパッキンは、肉厚部と肉薄部とを備えた二段パッキンを用いた。
【0015】
図3に図示するように、ケーブル固定金具の本体20は、防爆機器などの被取付物(図示省略)へ取り付けるために設けられた先端ネジ部分21を備える。そして、ケーブルを保持するためにケーブル固定金具内に収容されたシリンダーパッキン22をこの先端ネジ部分21の内側に配置している。
これに対して、図4(従来例)では、シリンダーパッキン22を先端ネジ部分21よりも後方に配置している。これによって、明らかに図3に図示するケーブル固定金具の方がその全長を短くし(約1/4程度短くなっている)、小型化(コンパクト化)している。
【0016】
なお、符号23はガイドリングであり、符号15のガイドリングと同様に、シリンダーパッキン12である二段パッキンの肉薄部とその肉薄部から肉厚部へとつながるテーパー部を覆うように配置されており、肉薄部の外側方向への膨らみを阻止し内側方向への膨らみを誘導するものである。
符号24はB-グランドであり、シリンダーパッキン22を先端ネジ部分21側へ押圧し、ケーブルを締め付ける。保護管(図示省略)は取り付けないタイプで、ケーブル引込み部が大きくアール形(ベルマウス)で、ケーブルに角が当たらない形状になっている。
【0017】
更に、図5は、本願発明(ケーブル固定金具)の第3実施形態を示す説明図である。第3実施形態は、クランプ式のケーブル固定金具を例に説明をする。図6は、これと比較するための従来の同式のケーブル固定金具を示す説明図である。
なお、同じ部材については、同一の符号を付けている。
【0018】
図5に図示するように、ケーブル固定金具の本体30は、防爆機器などの被取付物(図示省略)へ取り付けるために設けられた先端ネジ部分31を備える。そして、ケーブルを保持するためにケーブル固定金具内に収容されたシリンダーパッキン32をこの先端ネジ部分31の内側に配置している。
これに対して、図6(従来例)では、シリンダーパッキン32を先端ネジ部分31よりも後方に配置している。これによって、明らかに図5に図示するケーブル固定金具の方がその全長を短くし(約1/4程度短くなっている)、小型化(コンパクト化)している。
【0019】
なお、符号33はワッシャーである。
符号34はグランドであり、シリンダーパッキン32を先端ネジ部分31側へ押圧することで、シリンダーパッキン32の内周面が全体として軸方向へ幅広に膨らんでケーブルを締め付ける(保持する)ことができる。
符号35はクランプであり、符号36はスクリューである。
【0020】
本願発明の特徴は、シリンダーパッキンを先端ネジ部分の内側に配置したことにある。しかし、これまでそのような構造によってケーブル固定金具の小型化(コンパクト化)を図ったものは存在していなかった。その理由は、先端ネジ部分の径が変わってしまうからである。設計段階において、ケーブル固定金具を取り付ける被取付物(防爆機器)のネジ孔はある特定の寸法にするという固定観念があるために、先端ネジ部分にシリンダーパッキンをもってくるという発想・アプローチが出てこないのである。本願発明は、この固定観念を打ち破ったことに最大の価値があり、本願発明によって既に限界と思われていたケーブル固定金具の小型化(コンパクト化)を実現できた。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本願発明に係るケーブル固定金具は、耐圧防爆構造のケーブル固定金具として広く利用でき、特に小型化が要求される産業用ロボット用や計装機器用などの利用に供するものである。
【符号の説明】
【0022】
10 本体
11 先端ネジ部分
12 シリンダーパッキン
50 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6