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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】スクリーン製造方法とスクリーン
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/14 20060101AFI20220908BHJP
   B01D 29/48 20060101ALI20220908BHJP
   B21F 27/18 20060101ALI20220908BHJP
   B01D 39/10 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B01D39/14 D
B01D29/48 Z
B21F27/18 Z
B01D39/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018098397
(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2019202263
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】517028410
【氏名又は名称】アクセプタンスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】勝又 拓海
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147230(JP,A)
【文献】特開2002-306914(JP,A)
【文献】特開2000-353635(JP,A)
【文献】米国特許第04914514(US,A)
【文献】特開昭62-156381(JP,A)
【文献】特開2003-314184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08、
39/00-41/04、46/00-46/54
B21F 1/00-99/00
B21D 37/00-37/20
B21B 1/00-11/00;47/00-99/00
H01F 41/06-41/079;41/082-41/098
B22C 5/00-9/30
C02F 1/00,1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面の外径を減ずることが可能な金型の外周にワイヤを巻回するワイヤ巻回工程と、
次に、上記巻回されたワイヤの外周に上記金型を残したままの状態でロッドを固定するロッド固定工程と、
次に、上記金型の外径を減ずることにより上記巻回されたワイヤの内側から撤去する金型撤去工程と、
を具備したことを特徴とするスクリーン製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のスクリーン製造方法において、
上記金型は分解可能に構成されていることを特徴とするスクリーン製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のスクリーン製造方法において、
上記ワイヤ巻回工程は上記ワイヤに張力を付与した状態で上記金型を回転させることにより行うものであることを特徴とするスクリーン製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の円筒型スクリーン製造方法において、
上記金型の回転に合わせて上記ワイヤ側を上記金型の軸方向に移動させながら行うものであることを特徴とするスクリーン製造方法。
【請求項5】
請求項2記載のスクリーン製造方法において、
上記金型は複数個の縦割要素を組み合わされて構成され、それら複数個の縦割要素の内少なくとも1個は円筒の外周面に露出しない状態で楔状に設けられていることを特徴とするスクリーン製造方法。
【請求項6】
円筒状に巻回されたワイヤと、
上記ワイヤの外周に固定されたロッドと、
を具備し、
上記ワイヤはその横断面形状が徐々に鋭利になるように形成されていて、その頂点が外周側に面していて、
上記ロッドはその横断面形状が徐々に鋭利になるように形成されていて、その頂点が内周側に面していて上記ワイヤの頂点に当接されていて、
上記ロッドの頂点の両側の傾斜面が内側に向かって凹の円弧形状になっていることを特徴とするスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン製造方法とスクリーンに係り、特に、螺旋状に巻回されたワイヤの外周に複数本のロッドを取り付けたものにおいて真円度を高めることができるとともに、製造を容易にしてコストの低減を図ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン、例えば、円筒型スクリーンの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、等がある。ここに開示されている円筒型スクリーンは、原水中に含まれている固形物を除去する濾過装置として使用されるものであり、円筒状に配置された複数本のサポートロッドの外周にウェッジワイヤーを巻回した構成になっている。この場合には、原水が円筒型スクリーンの外側から内側に向かって流通し、その外周面に固形物が除去される。
【0003】
又、特許文献2に開示されている円筒型スクリーンは、円筒状に配置された複数本のサポートロッドの外周に螺旋状ワイヤを巻回し、その外周に複数本のスキッドロッドを配置した構成になっている。この場合も、原水が円筒型スクリーンの外側から内側に向かって流通し、その外周面に固形物が除去される。
【0004】
これらとは別に、螺旋状に巻回されたワイヤの外周に複数本のロッドを取り付けた構成の円筒型スクリーンもある。この場合には、原水が円筒型スクリーンの内側から外側に向かって流通し、その内周面に固形物が除去される。
【0005】
螺旋状に巻回されたワイヤの外周に複数本のロッドが取り付けられた構成の円筒型スクリーンは、次のような工程を経て製造される。
まず、複数本のロッドを円筒状に配置し、その外周にワイヤを所定のピッチで螺旋状に巻き回しながら、溶着する。
次に、円周状の一箇所を軸方向に切断して裏返す。
次に、裏返したものを円筒状に曲げて両端を溶着・固定する。
これによって、螺旋状に巻回されたワイヤの外周に複数本のロッドが取り付けられた構成の円筒型スクリーンを得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-321893号公報
【文献】特開2003-314184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、最終的に得られた円筒型スクリーンの真円度が決して高くないという問題があった。螺旋状に巻回されたワイヤの外周に複数本のロッドが取り付けられた構成の円筒型スクリーンの場合には、内周面に固形物が捕集されることになり、それら捕集された固形物は別途用意されたスクレーパ装置によって掻き出されるが、その際、円筒型スクリーンの真円度が低いと、上記スクレーパ装置の円滑な掻き出し動作が損なわれてしまうという問題があった。
又、切断、裏返し、溶着、といった作業が必要になるので、製造が面倒であるとともにコストが上昇してしまうという問題があった。
尚、スクリーンの形状としては円筒以外にも円錐台等様々な形状のものもあり、上記問題はそれらについても同様にいえる。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、螺旋状に巻回されたワイヤの外周に複数本のロッドを取り付けたものにおいて、真円度を高めることができるとともに、製造を容易にしてコストの低減を図ることを可能にするスクリーン製造方法とスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるスクリーン製造方法は、外周面の外径を減ずることが可能な金型の外周にワイヤを巻回するワイヤ巻回工程と、次に、上記巻回されたワイヤの外周に上記金型を残したままの状態でロッドを固定するロッド固定工程と、次に、上記金型の外径を減ずることにより上記巻回されたワイヤの内側から撤去する金型撤去工程と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2によるスクリーン製造方法は、請求項1記載のスクリーン製造方法において、上記金型は分解可能に構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるスクリーン製造方法は、請求項1又は請求項2記載のスクリーン製造方法において、上記ワイヤ巻回工程は上記ワイヤに張力を付与した状態で上記金型を回転させることにより行うものであることを特徴とするものである。
又、請求項4によるスクリーン製造方法は、請求項3記載の円筒型スクリーン製造方法において、上記金型の回転に合わせて上記ワイヤ側を上記金型の軸方向に移動させながら行うものであることを特徴とするものである。
又、請求項5によるスクリーン製造方法は、請求項2記載のスクリーン製造方法において、上記金型は複数個の縦割要素を組み合わされて構成され、それら複数個の縦割要素の内少なくとも1個は円筒の外周面に露出しない状態で楔状に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるスクリーンは、円筒状に巻回されたワイヤと、上記ワイヤの外周に固定されたロッドと、を具備し、上記ワイヤはその横断面形状が徐々に鋭利になるように形成されていて、その頂点が外周側に面していて、上記ロッドはその横断面形状が徐々に鋭利になるように形成されていて、その頂点が内周側に面していて上記ワイヤの頂点に当接されていて、上記ロッドの頂点の両側の傾斜面が内側に向かって凹の円弧形状になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように本願発明の請求項1によるスクリーン製造方法によると、外周面の外径を減ずることが可能な金型の外周にワイヤを巻回するワイヤ巻回工程と、上記巻回されたワイヤの外周にロッドを固定するロッド固定工程と、上記金型を分解して上記巻回されたワイヤの内側から撤去する金型撤去工程と、を具備した構成になっているので、真円度の高いスクリーンを得ることができるとともに、スクリーンの製造を容易にしてコストの低減を図ることができる。
又、請求項2によるスクリーン製造方法によると、請求項1記載のスクリーン製造方法において、上記金型は分解可能に構成されているので、金型撤去工程時に金型を分解することにより容易に撤去して上記効果を確実に得ることができる。
又、請求項3によるスクリーン製造方法によると、請求項1又は請求項2記載のスクリーン製造方法において、上記ワイヤ巻回工程は上記ワイヤに張力を付与した状態で上記金型を回転させることにより行うものであるので、金型の外周側に金型に密着した状態でワイヤを巻回することができ、それによって、高い真円度とスロット精度を得る効果をより高めることができる。
又、請求項4によるスクリーン製造方法によると、請求項3記載のスクリーン製造方法において、上記金型の回転に合わせて上記ワイヤ側を上記金型の軸方向に移動させながら行うものであるので、ワイヤを所望のピッチで精度良く巻回することができる。
又、請求項5によるスクリーン製造方法によると、請求項2記載のスクリーンにおいて、上記金型は複数個の縦割要素を組み合わされて構成され、それら複数個の縦割要素の内少なくとも1個は円筒の外周面に露出しない状態で楔状に設けられているので、まずはその1個を引き抜けば金型を容易に撤去することができる。
又、請求項6によるスクリーンによると、請求項1~請求項5の何れかに記載のスクリーン製造方法により製造されたものであるので、その真円度も高く、内側に捕集・堆積された固形物をスクレーパによって掻き出す作業も容易なものとなる。
又、請求項7によるスクリーンによると、請求項6記載のスクリーンにおいて、上記ロッドはその横断面形状が上記ワイヤ方向に向かって徐々に鋭利になるようなに形状になっているので、例えば、溶着・固定する場合も好都合である。
又、請求項8によるスクリーンによると、請求項5又は請求項6記載のスクリーンにおいて、上記ワイヤはその横断面形状が上記ロッド方向に向かって徐々に鋭利になるような形状になっているので、濾過、再生を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、円筒型スクリーンの構成を一部切り欠いて示す正面図である。
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、図1のII-II矢視図である。
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、図1のIII部の拡大図である。
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、図3のIV-IV断面図である。
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の外周にワイヤを巻回する様子を示す図である。
図6】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤの外周にロッドを溶着・固定する様子を示す正面図である。
図7】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤの外周にロッドを溶着・固定する様子を示す平面図である。
図8】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の構成を一部切り欠いて示す正面図である。
図9】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の構成を一部切り欠いて示す平面図である。
図10】本発明の一実施の形態を示す図で、図8においてフランジを撤去した状態のX-X矢視図である。
図11】本発明の一実施の形態を示す図で、図8においてフランジを撤去した状態のXI-XI矢視図である。
図12】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の分解斜視図である。
図13】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の縦割り要素の斜視図である。
図14】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の縦割り要素の斜視図である。
図15】本発明の一実施の形態を示す図で、金型の縦割り要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図15を参照して本発明の一実施の形態を説明する。この一実施の形態は本願発明を円筒型スクリーン1に適用した例を示すものである。
尚、スクリーンの形状としては、円筒型に限定されるものではなく、円錐台型、その他様々な形状か想定される。
まず、本実施の形態による円筒型スクリーン1の構成について説明する。上記円筒型スクリーン1は、螺旋状に巻回転されたワイヤ3と、このワイヤ3の外周に溶着・固定された複数本(この実施の形態の場合には8本)のロッド5と、から構成されている。
上記ワイヤ3の横断面形状は、図3に示すように、二等辺三角形になっていて、その底辺3aが内周側に面していて、頂点3bが外周側に面している。そして、内周側の隙間(L)に対して外周側の隙間(L)が大きくなっている。
尚、ワイヤ3の横断面形状は二等辺三角形に限らず、例えば、五角形、等でもよく、
要は、上記ロッド5方向に向かって徐々に鋭利になるような形状であれば良い。
濾過対象の原水は内周側から外周側に流通していき、その際、原水中に含まれている固形物が内周面に捕集・堆積される。
【0013】
又、上記ロッド5は、図2に示すように、周方向等間隔で8本設置されている。 又、上記ロッド5の横断面形状は、図4に示すように、略野球ベース形状になっていて、幅広部5aが外周側に位置するとともに頂点5bが内周側に位置している。上記ロッド5は上記ワイヤ3に対して溶着・固定されていて、ロッド5の頂点5bがワイヤ3の頂点3bに相互に一部溶融した状態で取り付けられている。
上記ロッド5の頂点5bの両側の傾斜面5c、5dは円弧形状をなしていて、上記頂点5bをより急激に鋭利にしている。
尚、本実施の形態においては、上記ワイヤ3とロッド5は何れもステンレス製である。又、上記ロッド5の横断面形状は図示したものに限定されず、本数も8本に限定されるものではない。
【0014】
次に、上記構成をなす円筒型スクリーン1の製造方法について説明する。円筒型スクリーン製造方法は、ワイヤ巻回工程と、ロッド固定工程と、金型撤去工程と、から構成されている。以下、順次説明する。
まず、ワイヤ巻回工程であるが、図5に示すようなワイヤ巻回装置11によって行う。このワイヤ巻回装置11は次のような構成になっている。まず、金型回転駆動手段13があり、この金型回転駆動手段13は駆動モータ15を備えていて、この駆動モータ15はインバータ17によって制御される。上記駆動モータ15の出力軸15aにはプーリ19が固着されている。上記プーリ19に対して別のプーリ21が対向・配置されていて、これらプーリ19、21にはベルト23が巻回されている。
このような構成をなす金型回転駆動手段13によって金型31を回転させる。
【0015】
又、上記金型31にワイヤ3を送給するワイヤ送給手段41が設置されている。このワイヤ送給手段41は、ドラム43と、張力付与装置45と、から構成されている。上記ドラム43にはワイヤ3が巻回されている。上記ワイヤ3は上記ドラム43から繰り出され、その際、上記張力付与装置45によって任意の張力が付与される。
【0016】
上記ワイヤ送給手段41から供給されるワイヤ3はワイヤガイドユニット53を介して上記金型31に供給される。上記ワイヤガイドユニット53は、ユニット本体55と、ガイド部材57、等から構成されている。
【0017】
又、ワイヤガイドユニット駆動手段71が設置されていて、このワイヤガイドユニット駆動手段71は、サーボモータ73と、このサーボモータ73の出力軸に連結されたボールネジ75と、このボールネジ75に移動可能に螺合し上記ユニット本体55に固着された図示しないボールナットと、ガイドレール77と、このガイドレール77に移動可能に係合し上記ユニット本体55に固着された図示しないガイドと、から構成されている。
【0018】
そして、上記金型回転駆動手段13の駆動モータ15を回転させることにより金型31を図中矢印aで示す方向に回転させ、それによって、ドラム43に巻回されているワイヤ3が繰り出される。繰り出されたワイヤ3はワイヤガイドユニット53を介して金型31の外周に螺旋状に巻回されていく。その際、ワイヤガイドユニット駆動手段71によって上記ワイヤガイドユニット53が金型31の軸方向に所定のスピードで移動される。
【0019】
次に、ロッド固定工程について説明する。ロッド固定工程は、図6図7に示すロッド固定手段81によって行われる。上記ロッド固定手段81は次のような構成になっている。
まず、溶接機に接続された電極ユニット83があり、この電極ユニット83は、電流制御器85と、加圧機構87と、電極89と、から構成されている。
又、溶接機駆動機構91が設置されていて、この溶接機駆動機構91は、サーボモータ93と、このサーボモータ93の出力軸に連結されたボールネジ95と、このボールネジ95に移動可能に螺合・配置された図示しないボールナットと、このボールナットに固着されたガイドユニット97と、から構成されている。
【0020】
上記ガイドユニット97からは第1アーム99が張り出されていて、既に説明した電極ユニット83はこの第1アーム99の先端に設置されている。又、上記ガイドユニット97からは別の第2アーム101が張り出されていて、この第2アーム101の先端にはロッドガイド103が固着されている。このロッドガイド103によってロッド5を保持・ガイドする。又、上記ロッドガイド103には冷却水チューブ105が取り付けられていて、この冷却水チューブ105の先端から冷却水が噴射される。
【0021】
そして、上記溶接機駆動機構91によって電極ユニット83を金型31の軸方向に移動させながら、ロッド5をワイヤ3の外周面の所定位置に溶着・固定していく。
尚、ロッド固定工程時には、上記金型31の両端に固定用フランジ107、109が取り付けられる。
又、前述したように、8本のロッド5がワイヤ3の周方向所定位置に溶着・固定されることになるが、周方向の位置出しは駆動モータ110を回転位置制御することにより行われる。
【0022】
次に、金型撤去工程について説明する。まず、金型31の構成であるが、図8乃至図15に示すように、5個の縦割り要素111、113、115、117、119から構成されている。
上記縦割り要素111は、横断面において中心に位置していて、図8中右端から左端に向かって徐々に縮径される楔状に形成されている。又、図8中右端は、図11に示すように、長方形になっている。一方、図8中左端は、図10に示すように、小さな正方形になっている。又、上記縦割り要素111は金型31の外周面に露出しない状態で設けられており、つまり、外周に巻回されるワイヤ3に対して非接触の状態で設けられている。
尚、金型31を分解した状態を図12の分解斜視図に示すとともに、上記縦割り要素111の全体の形状を図13の斜視図に示す。図13に示すように、上記縦割り要素111は、図中右端の長方形の端面、図中左端の正方形の端面、それらの間の4個の傾斜面、から構成されている。勿論、図示した形状はあくまで一例であり、様々な形状が想定される。
【0023】
上記縦割り要素113、115は同じ形状をなしていて、図8中右端から左端に向かって拡径されるように楔状に形成されている。まず、図8中右端は、図11に示すように、小さな円弧形状をなしている。一方、図8中左端は、図10に示すように、大きな円弧形状になっている。又、上記縦割り要素113、115は金型31の外周面に露出する状態で設けられており、つまり、外周に巻回されるワイヤ3に対して接触する状態で設けられている。
尚、上記縦割り要素113、115の全体の形状を図14の斜視図に示す。図14に示すように、上記縦割り要素113、115は、図中右端の小さな円弧形状の端面、図中左端の大きな円弧形状の端面、それらの間の1個の傾斜面、1個の部分円筒面、から構成されている。勿論、図示した形状はあくまで一例であり、様々な形状が想定される。
【0024】
上記縦割り要素117、119も同じ形状をなしていて、図8中右端から左端に向かって縮径されるように楔状に形成されている。まず、図8中右端は、図11に示すように、大きな蒲鉾形状をなしている。一方、図8中左端は、図10に示すように、小さな長方形になっている。又、上記縦割り要素117、119も金型31の外周面に露出する状態で設けられており、つまり、外周に巻回されるワイヤ3に対して接触する状態で設けられている。
尚、上記縦割り要素117、119の全体の形状を図15の斜視図に示す。図15に示すように、上記縦割り要素117、119は、図中右端の蒲鉾形状の端面、図中左端の小さな長方形の端面、それらの間の3個の傾斜面、1個の部分円筒面、から構成されている。
【0025】
そして、金型31を撤去する場合には、縦割り要素111を、図8中左側から右側に押し出す。それによって、金型31全体がバラバラになり、残りの縦割り要素113、115、117、119も撤去されることになる。
尚、本実施の形態における上記金型31もステンレス製である。
【0026】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、図5に示すように、金型31を組み立てた状態でセットし、その外周にワイヤ3を螺旋状に巻回する。すなわち、金型回転駆動手段13の駆動モータ15を回転させることにより金型31が回転され、それによって、ドラム43に巻回されているワイヤ3が少しずつ繰り出されていく。その際、張力付与手段45によって一定の張力が付与される。
【0027】
繰り出されたワイヤ3はワイヤガイドユニット53を介して、金型31の外周に螺旋状に巻回されていく。
尚、ワイヤガイドユニット53はワイヤガイドユニット駆動手段71によって金型31の軸方向に所定の速度で送られる。
【0028】
次に、図6図7に示すように、金型31の外周に巻回されたワイヤ3の外周の所定位置にロッド5を溶着・固定する。すなわち、金型31の両端にフランジ107、109を取り付けてセットする。そして、駆動手段91によって溶接機83とロッドガイド103を移動させながら、ワイヤ3の外周の所定位置にロッド5を溶着・固定する。
【0029】
次に、金型31を撤去する。すなわち、金型31の両端に取り付けられているフランジ107、109を外し、金型31の縦割り要素111を押し出す。それによって、金31がバラバラになり、ワイヤ3の内側から撤去される。
以上の工程を経て円筒型スクリーン1を得る。
【0030】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、円筒型スクリーン1の真円度を高めることができる。これは、高精度で製造され円筒状に組み立てられた金型1の外周にワイヤ3を巻回し、その後、金型31を撤去することにより、円筒型スクリーン1を得るようにしたからである。
又、金型31を回転させるとともに張力付与手段45によって所定の張力を付与しながらワイヤ3を巻回するようにしているので、巻回時にワイヤ3が弛むようなこともなく、上記真円度も高い。
又、ワイヤガイドユニット53を所定の送り速度で金型31の軸方向に送りながら巻回するようにしているので、ワイヤ3を所定のピッチで精度よく巻回することができる。
又、金型31は複数個の楔形状の縦割り要素111、113、115、117、119から構成されていて、特に、縦割り要素111は、円筒の外周面に露出しない状態、すなわち、ワイヤ3に対して非接触で配置されているので、容易に押し出すことができ、金型撤去作業の容易化を図ることができる。
又、本実施の形態による円筒型スクリーン1はその真円度が高いので、図示しないスクレーパ装置を内周面に挿入して、捕集・堆積された固形物を掻き出す作業も容易なものとなる。
又、ロッド5のワイヤ3側は頂点5bと鋭利な形状になっており、同様に、ワイヤ3側も頂点3bとして鋭利な形状になっているので、高品質の溶着・固定部を得ることができる。
又、ワイヤ3はその横断面形状が上記ロッド5方向に向かって徐々に鋭利になるような形状になっているので、濾過、再生を効率良く行うことができる。
【0031】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態の場合には、金型を複数個の縦割り要素により構成したが、その分割数、縦割り要素の形状、等についてこれを特に限定するものではない。
又、前記一実施の形態の場合には、金型を分解・組立自在に構成し、分解することにより撤去するようにしたが、それに限定されるものではなく、例えば、加圧・減圧によりその外径を減ずることができるように構成したもの、も考えられ、要は、
何等かの手段によりその外径を減ずることができるものであればよい。
その他、金型回転駆動手段、ワイヤ送給手段、ワイヤガイドユニット、ワイヤガイドユニット段駆動手段、ワイヤ溶着・固定手段、溶接機駆動手段、等、各部の構成は図示したものに限定されるものではない。
又、前記一実施の形態では、ワイヤ、ロッド、金型をステンレス製としたが、それに限定されるものではない。
又、繰り返しになるが、ワイヤ、ロッドの横断面形状、ロッドの本数、等については図示したものに限定されない。
又、前記一実施の形態では、円筒型のスクリーンを例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、円錐台型、外径が段階的或いは連続的に変化するもの、等、様々な形状が想定される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、スクリーン製造方法とスクリーンに係り、特に、螺旋状に巻回されたワイヤの外周側に複数本のロッドを取り付けたものにおいて、真円度を高めることができるとともに、製造を容易にしてコストの低減を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、上水、下水、各種廃水処理に使用される濾過装置の円筒型スクリーンに好適である。
【符号の説明】
【0033】
1 円筒型スクリーン(スクリーン)
3 ワイヤ
5 ロッド
13 金型回転駆動手段
31 金型
41 ワイヤ送給手段
53 ワイヤガイドユニット
71 ワイヤガイドユニット駆動手段
81 ワイヤ溶着・固定手段
83 電極ユニット
91 溶接機駆動手段
111 縦割り要素
113 縦割り要素
115 縦割り要素
117 縦割り要素
119 縦割り要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15