(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】カードケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/18 20060101AFI20220908BHJP
A45C 1/02 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A45C11/18 Z
A45C1/02 Z
(21)【出願番号】P 2018188447
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2021-08-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼掲載年月日 平成30年9月17日 掲載ウェブサイトのアドレス https://www.instagram.com/p/BnOtVaGg_YI/?taken-by=keisukeyokobari https://www.instagram.com/p/BnOADrNgJj5/?taken-by=keisukeyokobari▲2▼掲載年月日 平成30年9月9日 掲載ウェブサイトのアドレス https://www.instagram.com/p/BnfCgm-AUMc/?taken-by=keisukeyokobari▲3▼掲載年月日 平成30年7月16日 掲載ウェブサイトのアドレス https://www.instagram.com/p/BlSrVLsHEOF/?taken-by=nu_leather▲4▼掲載年月日 平成30年9月17日 掲載ウェブサイトのアドレス https:/www.instagram.com/p/Bnz_KTRAK7p/?taken-by=nu_leather
(73)【特許権者】
【識別番号】518352905
【氏名又は名称】横張 圭祐
(74)【代理人】
【識別番号】100151183
【氏名又は名称】前田 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】横張 圭祐
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221200(JP,A)
【文献】特開2017-127456(JP,A)
【文献】米国特許第3483909(US,A)
【文献】特開2010-142400(JP,A)
【文献】米国特許第1634450(US,A)
【文献】特開2012-245579(JP,A)
【文献】登録実用新案第3205124(JP,U)
【文献】特開2005-111244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00- 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折曲げ可能な屈曲部により開閉可能な基台部材を備え、前記基台部材を折曲げて閉状態となり、前記基台部材を折曲げ解除して開状態となるカードケースであって、
1以上の山折部と1以上の谷折部とを備えた帯状の部材であって、前記山折部と前記谷折部との間又は端部と山折部若しくは谷折部との間に形成される平面部に帯全体の切断には至らない切込部を備えた帯部材の二枚一対が、一方の帯部材の山折部が他方の帯部材の谷折部に対向し、一方の帯部材の谷折部が他方の帯部材の山折部に対向するように、一方の帯部材の切込部が他方の帯部材の切込部に差込まれることで互いに組み合うとともに、一方の帯部材の山折部と他方の帯部材の谷折部との間、又は一方の帯部材の谷折部と他方の帯部材の山折部との間に生じた空間の下方の一部が閉鎖されることで、この空間からなるカード収容部を備えた蛇腹収容体が形成され、
前記屈曲部に沿う方向を縦方向と呼び、前記縦方向に対して直交する方向を横方向と呼ぶとき、
二枚の前記帯部材のそれぞれについて、その両端が前記基台部材の辺のうち横方向に沿った一辺に沿って前記屈曲部を挟む状態で並んで接合されることで、前記蛇腹収容体が前記屈曲部を横断するように前記基台部材に結合されることを特徴とするカードケース。
【請求項2】
前記基台部材を完全に伸長した開状態としたときに、前記収容部の縦方向内側寸法が、収容対象物の長さ方向の寸法に対して1~3mm小さいことを特徴とする請求項1記載のカードケース。
【請求項3】
前記基台部材の背面側に外側部材を備え、前記基台部材と前記外側部材との間に紙幣を収容することが可能なことを特徴とする請求項1又は2記載のカードケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの者が、クレジットカード、銀行キャッシュカード、ポイントカード、会員カード、診察券等の各種カード類を財布等に収納して持ち歩いている現状がある。これらのカード類には、必要な情報が印刷や手書きにより記録されているものもあるが、近年では様々な会員認証処理が電子化されていることもあり、磁気カードやICカード等といった電子利用可能な媒体が数多く発行され、この種のカード類は増加する一方である。このため、十枚以上のカードを持ち歩くに至り、商店のレジや、受付の窓口等において、多数のカードの中から必要なカードを探して手間取る経験をする者も多い。
【0003】
また、携帯時には折りたたむことができ、カードを取り出すときに開くことで大きな開口部が現れるタイプのカードケースも市販されている。このタイプのカードケースならば、多数のカードの中から必要なカードを探し出すのは容易になる。しかし、このタイプのカードケースの場合、不注意により、収納されているカードが大きな開口部からこぼれ落ちてしまうこともある。
【0004】
このような状況の中、例えば特許文献1に開示されるように、略矩形状の前面部、背面部及び折り返し部が一体化した素材からなる長財布型の外形を有したカードケース本体と、当該カードケース本体の前面部と背面部の内側の折り曲げ部を底辺とした扇型状に取り付けられた複数の菱形収納体を備え、この菱形収納体が、矩形袋状の容器を複数重ね、ひとつの矩形袋状の容器は2ヶ所の収納袋を持ち、隣接する矩形袋状の容器が長辺のそれぞれの端から四分の一の箇所を接着した複数の矩形袋状の容器を接合することにより形成されるカードケースが提案されている。このカードケースは、矩形袋状の開口部長辺の中間付近を、別の矩形袋状の開口部長辺の中間付近と連結させることで、カードケースを開いたときに矩形袋状のカード収容部も一緒に開くよう工夫がされている。このとき、矩形袋状のカード収容部は菱形形状に開口し、その菱形形状の対角線上に存在するカードを押圧してカードの脱落を抑制する。また、これに類似する構造を備えたカードケースが特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-221200号公報
【文献】特開2017-127456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載されたカードケースを用いることにより、目的のカードを探すのが容易となり、かつカードが開口部からこぼれ落ちるのを抑制できる。しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されたカードケースは、カード収容部となる袋体同士を結合させる等、その製造に手間がかかるものである。また、カードケースを開く度に袋体同士の結合部には袋体を開くための引張力が加わることになり、この結合部が破損しやすいという問題もある。
【0007】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、目的のカードを探しやすく、不注意でカードが脱落することを抑制でき、かつ製造の容易なカードケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、折曲げ可能な屈曲部により開閉可能な基台部材を備え、上記基台部材を折曲げて閉状態となり、上記基台部材を折曲げ解除して開状態となるカードケースであって、1以上の山折部と1以上の谷折部とを備えた帯状の部材であって、上記山折部と上記谷折部との間又は端部と山折部若しくは谷折部との間に形成される平面部に帯全体の切断には至らない切込部を備えた帯部材の二枚一対が、一方の帯部材の山折部が他方の帯部材の谷折部に対向し、一方の帯部材の谷折部が他方の帯部材の山折部に対向するように、一方の帯部材の切込部が他方の帯部材の切込部に差込まれることで互いに組み合うとともに、一方の帯部材の山折部と他方の帯部材の谷折部との間、又は一方の帯部材の谷折部と他方の帯部材の山折部との間に生じた空間の下方の一部が閉鎖されることで、この空間からなるカード収容部を備えた蛇腹収容体が形成され、二枚の上記帯部材のそれぞれについて、その両端が上記基台部材の辺のうち横方向に沿った一辺に沿って上記屈曲部を挟む状態で並んで接合されることで、上記蛇腹収容体が上記屈曲部を横断するように前記基台部材に結合される構成を備えたカードケースとすることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明のカードケースでは、カード収容部となる蛇腹収容体にて接合が必要な箇所は、基本的には、蛇腹収容体とカードケース本体を構成する基台部材との間と、蛇腹収容体に含まれるカード収容部の底部のみなので、製造が容易であるだけでなく、特許文献1や2に記載されたカードケースのように袋体同士の接合部が破損することもない。また、このカードケースに何らかの破損が生じた場合であっても、構成部材が少なく単純な構造なので、修理も容易である。さらに、上記のように、本発明のカードケースでは、蛇腹収容体を構成する2枚の帯部材のそれぞれの両端が、上記基台部材の辺のうち横方向に沿った一辺に沿って屈曲部を挟む状態で並んで接合されることにより、カードケースを開いたときに上記蛇腹収容体が所謂「飛び出す絵本」のように立ち上がって、カード収容部が大きく開口するとともに、収容されたカードの長さ方向には2枚の帯部材からの押圧力が加わり、カードの脱落が抑制される。本発明のカードケースは、以上のような特徴と備える。具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0010】
本発明は、折曲げ可能な屈曲部により開閉可能な基台部材を備え、上記基台部材を折曲げて閉状態となり、上記基台部材を折曲げ解除して開状態となるカードケースであって、1以上の山折部と1以上の谷折部とを備えた帯状の部材であって、上記山折部と上記谷折部との間又は端部と山折部若しくは谷折部との間に形成される平面部に帯全体の切断には至らない切込部を備えた帯部材の二枚一対が、一方の帯部材の山折部が他方の帯部材の谷折部に対向し、一方の帯部材の谷折部が他方の帯部材の山折部に対向するように、一方の帯部材の切込部が他方の帯部材の切込部に差込まれることで互いに組み合うとともに、一方の帯部材の山折部と他方の帯部材の谷折部との間、又は一方の帯部材の谷折部と他方の帯部材の山折部との間に生じた空間の下方の一部が閉鎖されることで、この空間からなるカード収容部を備えた蛇腹収容体が形成され、上記屈曲部に沿う方向を縦方向と呼び、前記縦方向に対して直交する方向を横方向と呼ぶとき、二枚の前記帯部材のそれぞれについて、その両端が前記基台部材の辺のうち横方向に沿った一辺に沿って上記屈曲部を挟む状態で並んで接合されることで、前記蛇腹収容体が前記屈曲部を横断するように前記基台部材に結合されることを特徴とするカードケースである。
【0011】
本発明において、上記基台部材を完全に伸長した開状態としたときに、上記収容部の縦方向内側寸法は、収容対象物の長さ方向の寸法に対して1~3mm小さいことが好ましい。
【0012】
本発明において、上記基台部材の背面側に外側部材を備え、上記基台部材と上記外側部材との間に紙幣を収容することが可能なことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、目的のカードを探しやすく、不注意でカードが脱落することを抑制でき、かつ製造の容易なカードケースが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態のカードケース1についての開状態を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態のカードケース1についての使用状態を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態のカードケース1についての閉状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、2枚の帯部材21、22を組み合わせて蛇腹収容体2を形成する様子を示す組立図である。
【
図6】
図6は、蛇腹収容体2が基台部材3に固体された状態を示す平面図である。
【
図7】
図7は、蛇腹収容体2、基台部材3及び外側部材4の組み付け方法を示す組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のカードケース1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態のカードケース1についての開状態を示す平面図である。
図2は、本発明の一実施形態のカードケース1についての使用状態を示す平面図である。
図3は、本発明の一実施形態のカードケース1についての閉状態を示す斜視図である。
図4は、2枚の帯部材21、22を組み合わせて蛇腹収容体2を形成する様子を示す組立図である。
図5は、蛇腹収容体2を示す斜視図である。
図6は、蛇腹収容体2が基台部材3に固体された状態を示す平面図である。
図7は、蛇腹収容体2、基台部材3及び外側部材4の組み付け方法を示す組立図である。
【0016】
カードケース1は、
図7に示すように、蛇腹収容体2、基台部材3及び外側部材4を組み合わせて構成される。ここで、本明細書では、外側部材4のうち蛇腹収容体2の設けられる面を内側と呼び、他方の面を外側と呼ぶ。そして、外側部材4のうち、内側面を表側にしたときに、凸型留め具51の設けられた端部側を右側と呼び、これに対向する外側部材4の端部側を左側と呼ぶ。また、左右方向を横方向と呼び、横方向に直交する方向(屈曲部31に沿う方向でもある。)を縦方向と呼ぶ。カードケース1は、屈曲部31(
図7を参照。)、及び基台部材3の右側端部にて折曲げ可能とされ、これらの箇所にてそれぞれ内側に折曲げることにより、
図3に示す閉状態となる。すなわち、基台部材3は、閉状態において屈曲部31により内側に折曲げられることになる。閉状態では、外側部材4の右側端部に設けた凸型留め具51と、外側部材4の外側に設けられた凹型留め具52とを係合させてなる留め具5により閉状態が維持される。閉状態において、蛇腹収容体2は、基台部材3とともに折り畳まれ、二つ折り状態の基台部材3の間に収容される。留め具5の凸型留め具51と凹型留め具52との係合を解除して外側部材4を開くと開状態となり、開状態では基台部材3が折曲げ解除になるとともに、折り畳まれていた蛇腹収容体2が所謂「飛び出す絵本」の要領で立ち上がる。
【0017】
図1及び
図2に示すように、立ち上がった蛇腹収容体2には、3箇所の菱形のカード収容部23が開口する。菱形のカード収容部23は、山折又は谷折となった二枚の帯部材21、22によって形成され、それぞれのカード収容部23にカード6を複数枚収納することができる。このカード収容部23では、カードケース1が開状態となって2枚の帯部材21、22に左右方向への張力が加わることにより、カード収容部23を形成する2枚の帯部材21、22の山折部及び谷折部から幅方向中心に向けた力Fが加わり、これら2枚の帯部材21、22が収容されたカード6を押圧する。これにより、収容されたカード6の脱落が抑制される。なお、菱形のカード収容部23に対してカード6の出し入れを行う際は、カードケース1の開き具合、すなわち帯部材21、22に加わる張力を調節して、力Fを緩めればよい。
【0018】
基台部材3の左右端部付近に存在する、基台部材3と蛇腹収容体2との間には、カード収容部24が形成され、ここにもカード6を収納することが可能である。また、外側部材4及び基台部材3は、基台部材3の左側端部と下側端部にて互いに接合されており、基台部材3の右側端部と上側端部はフリーになっている。このため、外側部材4と基台部材3との間には札収容部8が形成され、ここに紙幣7等の長尺物を収納することができる。
【0019】
カードケース1は、皮革で構成されている。すなわち、蛇腹収容体2、基台部材3及び外部部材4のいずれもが皮革である。したがって、これらの部材を接合する手段は主として縫合である。
【0020】
次に、カード収容部23、24を形成する蛇腹収容体2の構造について説明する。
【0021】
図4に示すように、蛇腹収容体2は、第一帯部材21及び第二帯部材22からなる2枚一対の帯部材を組み合わせて構成される。各帯部材は、1以上の山折部と1以上の谷折部とを備える。すなわち、第一帯部材21は、左側端部214Aから右側端部214Bへ向けて、山折部211、谷折部212及び山折部211が順に形成され、第二帯部材22は、左側端部224Aから右側端部224Bへ向けて、谷折部222、山折部221及び谷折部222が順に形成される。なお、本明細書において、
図4を観察者の前方正面に置いてこれを斜視したときに、観察者側に突き出している折部を「山折」と呼び、観察者から遠ざかる折部を「谷折」と呼ぶ。
【0022】
各帯部材は、山折部と谷折部との間、又は端部と山折部若しくは谷折部との間に形成される平面部に帯全体の切断には至らない切込部を備える。すなわち、第一帯部材21は、左側端部214A側から順に、左側端部214Aと山折部211との間に形成される平面部215の長さ方向略中間部の下側に、第一帯部材21の幅方向長さの約半分の長さの切込部213と、山折部211と谷折部212との間に形成される平面部217の長さ方向略中間部の下側に、第一帯部材21の幅方向長さの約半分の長さの切込部213と、谷折部212と山折部211との間に形成される平面部217の長さ方向略中間部の下側に、第一帯部材21の幅方向長さの約半分の長さの切込部213と、山折部211と右側端部214Bとの間に形成される平面部216の長さ方向略中間部の下側に、第一帯部材21の幅方向長さの約半分の長さの切込部213とを備える。また、第二帯部材22は、左側端部224A側から順に、左側端部224Aと谷折部222との間に形成される平面部225の長さ方向略中間部の上側に、第二帯部材22の幅方向長さの約半分の長さの切込部223と、谷折部222と山折部221との間に形成される平面部227の長さ方向略中間部の上側に、第二帯部材22の幅方向長さの約半分の長さの切込部223と、山折部221と谷折部222との間に形成される平面部227の長さ方向略中間部の上側に、第二帯部材22の幅方向長さの約半分の長さの切込部223と、谷折部222と右側端部224Bとの間に形成される平面部226の長さ方向略中間部の上側に、第二帯部材22の幅方向長さの約半分の長さの切込部223とを備える。なお、
図4に示すように、M字型となる第二帯部材22は、上下反転させてW字型とすれば第一帯部材21と同じものになる。したがって、同じ形状の帯部材を2枚作製しておけば、いずれかを第一帯部材21とし、残りを第二帯部材22として用いることができる。
【0023】
第一帯部材21の4つの切込部213、213、213、213は、第二帯部材22の4つの切込部223、223、223、223に差込まれることで互いに組み合う。このとき、
図4に示すように、第一帯部材21の2つの山折部211、211を、第二帯部材22の2つの谷折部222、222とそれぞれ対向させ、第一帯部材21の谷折部212を、第二帯部材22の山折部221と対向させる。これにより、対向する山折部と谷折部との間に、第一帯部材21と第二帯部材22により仕切られた3つの空間が形成される。この3つの空間が、後にそれぞれカード収容部23になる。なお、これら3つの空間は平面視で菱形をしており、この菱形の縦方向の対角線にカード6の長辺が収容される。したがって、収容対象であるカード6の長辺の寸法を考慮して各帯部材の長さ、各山折部及び谷折部の位置、各切込線の位置が決定される。なお、カードケース1が全開となったときに、カード収容部23の縦方向の対角線の寸法がカード6の長辺の寸法よりも1~3mm程度小さくなるように各寸法を決定するのがよい。これにより、カードケース1を全開にしたときに、カード収容部23において十分なカード保持がなされる。
【0024】
上記のように第一帯部材21と第二帯部材22とが組み合うことにより、第一帯部材21の右側端部214B側の平面部216は、第二帯部材22により、右側端部214B側から順に第一端部平面2161と第二端部平面2162に分割される。同様に、第一帯部材21の左側端部214A側の平面部215は、第二帯部材22により、左側端部214A側から順に第一端部平面2151と第二端部平面2152に分割され、第二帯部材22の右側端部224B側の平面部226は、第一帯部材21により、第一端部平面2261と第二端部平面2262に分割され、第二帯部材22の左側端部224A側の平面部225は、第一帯部材21により、第一端部平面2251と第二端部平面2252に分割される。
【0025】
既に述べたように、第一帯部材21の山折部211と第二帯部材22の谷折部222との間、又は第一帯部材21の谷折部212と第二帯部材22の山折部221との間には、山折部と谷折部とが対向することで空間が形成される。この空間の下方の一部が閉鎖されることで、この空間にカード6が挿入されたときに空間の底部からカード6が落下するのが防止される。具体的には、一対の帯部材のうちの任意の一方の帯部材、すなわち本実施形態では第一帯部材21において、形成された空間の底辺218、218を縫合して閉鎖し、
図5に示すように、閉鎖部219とする。第一帯部材21と第二帯部材22により形成された空間は全部で3つあるが、1つの空間の4つの底辺のうち、閉鎖される底辺はいずれも第一帯部材21によりもたらされる一組の底辺218、218である。閉鎖は、底辺218、218の全体に対して行ってもよいし、端部側の一部に対して行ってもよい。端部側の一部を閉鎖した場合、
図5の中央の空間の閉鎖部219のように、端部のみが閉鎖され、残りの部分はフリーとなる。それぞれの空間に閉鎖部219が形成されることで、3つの各空間は、後に3つのカード収容部23、23、23となる。
【0026】
以上のように、第一帯部材21と第二帯部材22とを組み合わせ、さらに谷折部と山折部とが対向して形成される空間の下方の一部を閉鎖して蛇腹収容体2が形成される。次に、
図6及び
図7を参照しながら、蛇腹形成体2と基台部材3との結合について説明する。
【0027】
基台部材3は、縦方向に延びる屈曲部31を横方向中央に有する矩形の部材であり、屈曲部31にて折り畳むことが可能である。カードケース1が閉状態では、基台部材31は屈曲部31にて二つ折りにされて閉状態となり、カードケース1が開状態では、基台部材31は折曲げ解除されて開状態となる。
【0028】
基台部材3には4つの辺が存在し、これらの辺のうち、上側で横方向に沿った辺である上側端部32に沿って第一帯部材21が接合され、下側で横方向に沿った辺である下側端部33に沿って第二帯部材22が接合される。さらに詳しくは、第一帯部材21の左側端部214Aが、基台部材3の上側端部32に沿って屈曲部31よりも左側に接合され、第一帯部材21の右側端部214Bが基台部材3の上側端部32に沿って屈曲部31よりも右側に接合される。同様に、第二帯部材22の左側端部224Aが、基台部材3の下側端部33に沿って屈曲部31よりも左側に接合され、第二帯部材22の右側端部224Bが、基台部材3の下側端部33に沿って屈曲部31よりも右側に接合される。
【0029】
その結果、第一帯部材21及び第二帯部材22のいずれもが、基台部材3の辺のうち横方向に沿った一辺(上側端部32又は下側端部33)に沿って、屈曲部31挟む状態で両端が並んで接合され、蛇腹収容体2は、屈曲部31を横断するように基台部材3に結合される。このように蛇腹収容体2と基台部材3とが結合されることにより、所謂「飛び出す絵本」のように、基台部材3が屈曲部31にて折曲げられて閉じているときは、蛇腹収容体2は、二つ折りになった基台部材3に挟まれて折り畳まれた状態となり、基台部材31の折曲げが解除されて開いているときには、蛇腹収容体2は、基台部材3の表面に立ち上がってカード収容部23が開口した状態となる。
【0030】
また、上記のように、蛇腹収容体2と基台部材3とが結合された結果、第二帯部材22の端部側に存在する2つの第一端部平面2251、2261と基台部材3との間に挟んでカード6を収納することができるようになり、ここはカード収容部24となる。
【0031】
蛇腹収容体2及び基台部材3は、外側部材4の左側端部41及び下側端部42に沿って配置され、結合される。その際、蛇腹収容体2、基台部材3及び外側部材4をまとめて一度に縫製して結合することもできる。なお、第一帯部材21及び第二帯部材22を組み合わせて蛇腹収容体2としてから上記の縫製を行ってもよいし、第一帯部材21と第二帯部材22とを組み合わせる前に上記の縫製を行い、縫製を行った後に、基台部材3上で第一帯部材21と第二帯部材22とを組み合わせてもよい。後者の方が、製造の容易さの面で利点がある。いずれにしても、この種のカードケースの製造方法としては、従来のものよりも容易といえる。
【0032】
以上、本発明のカードケース1について実施形態を示して具体的に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施をすることができる。
【0033】
例えば、上記実施形態において、カードケース1は皮革で構成されたが、その他の素材で構成されてもよい。このような素材としては、ビニール、紙、布等を挙げることができるが、カードケースとしての形状を維持できる素材であれば特に限定されない。
【0034】
また、上記実施形態において、菱形のカード収容部23が3箇所形成されるように各帯部材に山折部と谷折部が設けられたが、菱形のカード収容部が3箇所よりも多く又は少なく形成されるように各帯部材に山折部と谷折部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 カードケース
2 蛇腹収容体
21 第一帯部材
211 山折部
212 谷折部
213 切込部
214A 左側端部
214B 右側端部
215,216,217 平面部
218 底辺
219 閉鎖部
22 第二帯部材
221 山折部
222 谷折部
223 切込部
224A 左側端部
224B 右側端部
225,226,227 平面部
23,24カード収容部
24 カード収容部
3 基台部材
31 屈曲部
4 外側部材
5 留め具
51 凸型留め具
52 凹型留め具
8 札収容部