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特許7137849電気外科エネルギー搬送構造及びそれを組み込んだ電気外科デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電気外科エネルギー搬送構造及びそれを組み込んだ電気外科デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20220908BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61B18/18 100
A61B18/14
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019543205
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018058112
(87)【国際公開番号】W WO2018178252
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】1705167.3
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】タプリン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,サム
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-516465(JP,A)
【文献】特開2009-183416(JP,A)
【文献】特表2010-540029(JP,A)
【文献】特開2009-279182(JP,A)
【文献】米国特許第05078712(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵襲的電気外科医術を実行するための電気外科デバイスであって、
ハンドピースと、
前記ハンドピースに接続されかつ前記ハンドピースから離れて伸びる器具ケーブルであって、
内側導電層と、
前記内側導電層と同軸で形成される外側導電層と、
前記内側導電層と前記外側導電層を分離する誘電層と、
前記外側導電層の外部表面上の保護鞘と
を有する同軸階層エネルギー搬送構造であって、
前記保護鞘は遠位端部分及び近位部分を含み、前記近位部分は前記遠位端部分より大きな剛性を有するように構成され、
前記内側導電層、前記外側導電層及び前記誘電層は高周波(RF)及び/またはマイクロ波電磁(EM)エネルギーを搬送するための同軸伝送線を形成し、
前記内側導電層は長手方向通路を形成するために中空であり、
前記同軸階層エネルギー搬送構造は光放射を搬送するための光チャネルをさらに含み、前記光チャネルは前記長手方向通路に位置し、
第1の方向に前記光チャネルに沿って照明信号を搬送するための照明光ファイバーバンドルと、
第2の方向の前記光チャネルに沿って撮像信号を搬送するための撮像光ファイバーバンドルと
を含む、
前記同軸階層エネルギー搬送構造を含む前記器具ケーブルと、
前記器具ケーブルの遠位端に取り付けられる誘電物質の部分を含む器具先端とを含み、
前記器具先端は前記同軸伝送線に接続されて前記電気外科デバイスから前記高周波(RF)及び/またはマイクロ波EMエネルギーを供給し、
前記内側導電層は前記外側導電層の遠位端を越えて長手方向に誘電物質の前記部分に伸びて、前記マイクロ波EMエネルギーのための放射アンテナを形成し、
前記ハンドピースは、
前記光チャネルに送信されるかまたは前記光チャネルから受信される光放射を光学的に制御するかまたは操作するように調整される1つ以上の光学素子と、
前記器具ケーブルの遠位端部分の方向を制御するための操縦機構とを含む、電気外科デバイス。
【請求項2】
侵襲的外科スコーピングデバイスの可撓性挿入チューブに挿入可能である大きさにされる、請求項1に記載の電気外科デバイス。
【請求項3】
3.5mm以下の最大外径を有する、請求項1又は2に記載の電気外科デバイス。
【請求項4】
前記同軸階層エネルギー搬送構造が、前記内側導電層と前記光チャネルの間に最奥絶縁層を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項5】
前記光チャネルが前記器具先端の孔を通って伸びる、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項6】
前記光チャネルが前記器具先端の外部表面に形成される開口で終了する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項7】
誘電物質の前記部分が丸い遠位先端を有するセラミックの円筒状部分である、請求項1から6のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項8】
前記ハンドピースが前記照明信号を生成するための光源をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項9】
前記光源が発光ダイオードである、請求項8に記載の電気外科デバイス。
【請求項10】
前記ハンドピースがファイバースコープの本体を含み、
前記光チャネルが前記ファイバースコープの挿入チューブを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項11】
前記操縦機構が、
前記ハンドピースの外部表面に載置されるアクチュエータと、
前記ハンドピースの中でスライドするように前記アクチュエータに動作可能に結合されたプルアームと、
前記器具ケーブルに沿って伸びる制御要素であって、前記プルアーム及び前記器具ケーブルの前記遠位端部分に動作可能に連結される前記制御要素とを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項12】
前記制御要素が前記同軸階層エネルギー搬送構造を囲む前記保護鞘を含み、
前記保護鞘は、前記器具ケーブルの前記遠位端部分で前記同軸階層エネルギー搬送構造に固定されて、前記ハンドピースで前記同軸階層エネルギー搬送構造に対して自在に移動し、
前記同軸階層エネルギー搬送構造が前記ハンドピースに固定される、請求項11に記載の電気外科デバイス。
【請求項13】
前記保護鞘が前記器具ケーブルの前記遠位端部分においてその一方の側に切欠部を有する、請求項12に記載の電気外科デバイス。
【請求項14】
前記制御要素が、前記プルアームに取り付けられて、その前記遠位端部分で前記器具ケーブルに固定される1つ以上の制御ワイヤを含む、請求項11に記載の電気外科デバイス。
【請求項15】
前記制御ワイヤが前記同軸伝送線の前記誘電層を通って長手方向に伸びる、請求項14に記載の電気外科デバイス。
【請求項16】
前記制御ワイヤが前記同軸階層エネルギー搬送構造を囲む保護鞘を通って長手方向に伸びる、請求項14に記載の電気外科デバイス。
【請求項17】
前記ハンドピースが電源を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項18】
前記電源が再充電可能である、請求項17に記載の電気外科デバイス。
【請求項19】
前記ハンドピースがその内部コンポーネントを囲むためのハウジングを含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項20】
前記器具ケーブルが前記ハウジングから着脱可能である、請求項19に記載の電気外科デバイス。
【請求項21】
前記器具先端が生体組織に超音波信号を結合するように調整される超音波トランスデューサを含む、請求項1から20のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項22】
前記器具先端が圧電的に活性のセラミックを含み、
前記器具ケーブルが前記圧電的に活性のセラミックを制御して前記超音波信号を生成するための電圧信号を搬送するように調整される、請求項21に記載の電気外科デバイス。
【請求項23】
前記ハンドピースが前記光チャネルから前記ハンドピースに受け取られる光放射を検出するための光センサを含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項24】
前記光センサが、前記光チャネルから前記ハンドピースに受け取られる撮像信号に基づいて前記光チャネルの遠位端に位置する治療部位のデジタル画像を生成するための画像センサである、請求項23に記載の電気外科デバイス。
【請求項25】
前記画像センサがデジタルカメラである、請求項24に記載の電気外科デバイス。
【請求項26】
前記ハンドピースが前記検出された光放射に関する情報を遠隔デバイスに通信するように調整される通信モジュールを含む、請求項23から25のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項27】
前記通信モジュールがワイヤレスネットワークに通信可能に接続可能であるトランシーバを含む、請求項26に記載の電気外科デバイス。
【請求項28】
前記通信モジュールが画像データをリモートサーバにアップロードするように調整される、請求項26または27に記載の電気外科デバイス。
【請求項29】
請求項26から28のいずれか1項に記載の電気外科デバイスと、
前記検出された光放射に関する前記情報を受信して表示するように調整される表示デバイスとを含む電気外科用装置。
【請求項30】
前記表示デバイスがラップトップコンピュータ、タブレット型コンピュータまたはスマートフォンである、請求項29に記載の電気外科用装置。
【請求項31】
RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを発生させるように調整される電気外科用発電機と、
請求項1から28のいずれか1項に記載の電気外科デバイスとを含み、
前記ハンドピースが、前記電気外科用発電機に接続されて前記RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを受信して、かつそれを前記器具ケーブルの前記同軸伝送線に結合する、電気外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低侵襲的処置、例えば内視鏡検査、胃鏡検査、気管支鏡検査、腹腔鏡検査などのための、電気外科デバイスに関する。特に、本発明は、患者の体に挿入可能であって治療部位に到達する器具ケーブルに沿って電気外科用発電機から高周波(RF)及び/またはマイクロ波エネルギーを運ぶためのエネルギー搬送構造(例えば導波管またはケーブル)に関する。本発明は、自然開口部越経管腔的内視鏡手術(NOTES)で特定の使用法を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の外科スコーピングデバイスは、カテーテルまたは自然の開口を介して患者の体の治療部位まで動かすことができる挿入チューブを含む。挿入チューブは、コンポーネントを治療部位へ搬送する。いくつかの例において、挿入チューブは、照明信号を搬送して、撮像信号を返すための観察チャネル及び治療部位で組織を処置するかまたは治療するための器具を搬送するための別々の器具チャネルを含む。治療中に治療部位の実時間ビジョンを得ることは、望ましいことであり得る。
【0003】
電気外科器具は、高周波及び/またはマイクロ波エネルギーを、生体組織を切断するかまたは血液を凝固させるなどの目的のための、生体組織に供給するために用いる器具である。高周波及び/またはマイクロ波エネルギーは、ケーブルを用いて電気外科器具に通常は供給される。この目的のために用いられる従来のケーブルは、固体またはマルチワイヤ円筒状内部導体を含む同軸伝送線構造、内部導体のまわりの管状誘電物質層及び誘電物質周辺の管状外部導体を有する。
【0004】
多くの電気外科器具を操作するときに、追加の供給品またはコンポーネント(例えば制御手段)を電気外科器具(例えば)に提供することを必要とするのが一般的であり、それは例えば、液体もしくはガス供給フィード、液体もしくはガスまたは、電気外科器具の部品(複数可)を操作(例えば開閉、回転または、伸長/引込み)するためのガイドワイヤもしくはプルワイヤなどがある。
【0005】
これらの追加の供給品またはコンポーネントを電気外科器具に提供するために、従来のケーブルと共に、追加構造、例えば従来のケーブルに隣接した追加管が設けられていた。例えば、従来のケーブルと一緒に電気外科器具用のプルワイヤを収納する追加管を提供すること、及び、従来のケーブルとプルワイヤを収納する管とを単一の保護ジャケット/ケーシングの中に収納することが知られている。
【0006】
通常、外科スコーピングデバイス(例えば内視鏡または腹腔鏡)の器具チャネルの直径は、3mm未満で、例えば2.8mmである。十分コンパクトな形で十分な電源及び前述の追加の供給品またはコンポーネントを提供して器具チャネルの中に適合しながら、柔軟性を維持して、電力損失を受け入れ可能な(すなわち安全な)レベルに制限することは、継続的な課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
最も一般的には、本発明は、組織治療(例えば切除、凝固または切断)のためのRFまたはマイクロ波電磁エネルギー及び、外科スコーピングデバイスの器具ケーブルを形成することができる共通構造の中での光放射の、組み合わせた供給を提案する。本発明の利点は三重のものである。第1に、共通構造は、電気外科治療を視覚化することが望ましいシステムに、よりコンパクトな配置を提供する。第2に、それは、専用の観察チャネルのない外科スコーピングデバイスで利用可能な、光放射と関連した機能性(例えば撮像または他の形の検知)を可能にすることができる。第3に、それは、従来の器具では到達できない領域の電気外科治療の可能性を開く新たなファミリの超小径外科スコーピングデバイスの供給を可能にすることができる。
【0008】
1つの実施例において、共通構造は、従来の外科スコーピングデバイスでは到達できない領域で生体組織の視覚的に補助された切除を行うことを可能にするようにコンパクトであり得る。しかしながら、本明細書において述べられる光放射の使用は、治療部位の画像を提供することに限定される必要はない。光放射は、治療部位をプローブして診断目的のためにその特性を測定するために用いることができる。例えば、本発明は、レーザー散乱測定/分光法、UV反射計測/散乱計測などを提供するために用いることができる。
【0009】
「光放射」という本願明細書において用いられる用語は、100nm~1mmの範囲の自由空間波長を有する電磁放射に関するものであり得る。いくつかの実施形態では、光放射は可視スペクトル内にあって、そこで、それは治療部位を照らして、視覚の援助を手術者に提供するために用いることができる。光放射は、例えば白色光源からの、広帯域でもよい。他の実施例において、光放射は狭帯域でもよく、または特定の組織特性を検出するかまたはプローブするための特定の波長を有してもよい。例えば、緑色及び青色の波長は、内視鏡検査処置の間、検査のため組織に選択的に印加することができる。415nm及び540nmの波長が好ましいものであり得る。異なる層の視覚化が、各波長の浸入度の違いのため可能である。415nmの光は粘膜の毛細管を示すために用いられ、それに対して540nmではより深い層の血管の視覚化が可能である。
【0010】
いくつかの実施例において、共通構造は、例えば遠位器具先端からハンドピースの1つ以上の超音波センサまで、超音波信号を送信するための手段をさらに含むことができる。したがって、共通構造は、外科スコーピングデバイスの器具ケーブルに沿って、RF/マイクロ波EMエネルギー、光放射及び超音波信号の一部または全部を治療部位に分配することができる電気外科デバイスを形成するために用いることができる。
【0011】
本発明によれば、侵襲的電気外科医術のためのエネルギー搬送構造が提供され、エネルギー搬送構造は、内側導電層と、内側導電層と同軸で形成される外側導電層と、内側導電層及び外側導電層を分離する誘電層であって、内側導電層、外側導電層及び誘電層は高周波(RF)及び/またはマイクロ波電磁(EM)エネルギーを搬送するための同軸伝送線を形成し、内側導電層は長手方向通路を形成するために中空であり、そして、エネルギー搬送構造は光放射を搬送するための光チャネルをさらに含み、光チャネルが長手方向通路に位置する誘電層とを有する、同軸階層構造を含む。したがって、エネルギー搬送構造は、中に形成される光チャネルを有する中空同軸伝送線に似ている。この実施例では、光チャネルが、内側導電層の中に形成される通路の中にある。他の実施例において、光チャネルは、同軸階層構造の他の層、例えば誘電物質または外側導体層の中に形成される通路の中にあってもよい。光チャネルは、環状でもよい。光チャネルは、同軸階層構造の誘電物質でもよい。
【0012】
上記のような配置によって、エネルギー搬送構造は、治療(例えば切除)のためのRF/マイクロ波エネルギー及び、特に簡潔な方法で治療部位を検知するかまたは視覚化するための光放射を分配することができる。同軸階層構造は、内側導電層と光チャネルの間に最奥絶縁層を含むことができる。最奥絶縁層は、光チャネルと同軸伝送線の間の干渉を防止することができる。
【0013】
本仕様において、「マイクロ波」は、概して400MHz~100GHzの周波数範囲を示すために用いることができるが、好ましくは、1GHz~60GHzの範囲を示す。考慮された特性周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz及び24GHzである。対照的に、本仕様は「高周波」または「RF」を使用して、少なくとも3桁低い、例えば最高300MHz、好ましくは10kHz~1MHzである周波数範囲を示す。
【0014】
本明細書において「導体」または「導電性」材料を参照する場合は、前後関係により別の意味を意図していることが明らかでない限り、電気伝導性であるということを意味すると解釈されるべきである。
【0015】
エネルギー搬送構造は、侵襲的外科スコーピングデバイスの可撓性挿入チューブに挿入可能である大きさとすることができる。例えば、それは、3.5mm以下の、好ましくは2.8mm以下の最大外径を有することができる。本明細書において、「外科スコーピングデバイス」という用語は、デバイスが患者の体に挿入可能である、堅いか可撓性器具コードを通常含む、低侵襲的処置で用いられるデバイスのクラスを指す総称用語として理解することができる。器具コードは様々な理由のためのアクセスを治療部位に提供するために、例えば外科的処置を実行し、目視を実行するか画像をキャプチャし、生検をするなどのために用いる。外科スコーピングデバイスの例は、内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡などを含む。
【0016】
エネルギー搬送構造は、それ自体が外科スコーピングデバイス用の器具ケーブルを形成することができる。この実施例では、同軸階層構造は、外側導電層の外部表面上の保護鞘を含むことができる。保護鞘は、生体適合材料から作ることができるかまたは生体適合性コーティングを有することができる。
【0017】
保護鞘は、構造の操縦可能性に寄与することができる。例えば、保護鞘は遠位端部分及び近位部分を含むことができて、そこで、近位部分は遠位端部分より大きな剛性を有するように構成される。近位部分は、撓曲または変形を阻害する追加の強化層または編組を含む。
【0018】
光チャネルは、光放射を搬送するための1つ以上の光ファイバーを含むことができる。光チャネルは、従来のファイバースコープの器具ケーブルと同様の方法で構成することができる。例えば、光チャネルは、第1の方向に光チャネルに沿って照明信号を搬送するための照明光ファイバーバンドルを含むことができる。加えて、または代替的に、光チャネルは、第2の方向の光チャネルに沿って撮像信号を搬送するための撮像光ファイバーバンドルを含むことができる。したがって、光チャネルは、エネルギー搬送構造に沿って、光放射の両方向通信を容易にすることができる。
【0019】
エネルギー搬送構造は、侵襲的電気外科医術を実行するための電気外科デバイスの中で用いることができる。電気外科デバイスは、手術者によって保持するのに適しているハンドピースを含むことができる。ハンドピースは、電気外科デバイスを制御するためのコンポーネントを含んだハウジングを含むことができる。ハンドピースは、器具ケーブルの近位端に接続することができる。器具ケーブルは、遠位端部方向のハンドピースから離れて伸ばすことができる。器具ケーブルは、上に述べたようなエネルギー搬送構造を含むことができるかまたはそれから成ることができる。器具先端は、器具ケーブルの遠位端に取り付けることができる。器具先端は、エネルギー搬送構造の同軸伝送線に接続することができ、エネルギー搬送構造から受け取られる高周波(RF)及び/またはマイクロ波EMエネルギーを、治療部位で位置する周囲の生体組織に分配するように調整される。器具ケーブルは、それが患者の体に挿入されることを可能にするために可撓性でもよい。器具ケーブルは、所望の治療部位に到達するためのいかなる好適な長さも有することができる。例えば、それは、50cm以上、そして好ましくは1m以上の長さを有することができる。
【0020】
後で詳しく述べるように、ハンドピースは、同軸伝送線及び光チャネルの両方に、動作可能な状態で接続することができる。光チャネルは器具先端の孔を通って延びて、光放射が治療部位に分配されるかまたは受け取られることを可能にすることができる。1つの実施例において、光チャネルは、器具先端の外部表面に形成される開口で終了することができる。
【0021】
器具先端は、RF/マイクロ波EMエネルギーが治療部位で生体組織に分配される(例えば発射される)のを可能にするためのいかなる適切な構造も含むことができる。器具先端は、マイクロ波エネルギーを周囲の生体組織に転送または結合するための放射構造(例えばアンテナなど)を含むことができる。器具先端は、RFエネルギーを分配するのに適しているバイポーラ構造をさらに含むことができる。1つの実施例において、器具先端は誘電物質の部分を含むことができて、そこで、内側導電層は外側導電層の遠位端を超えて長手方向に誘電物質の部分に伸びる。この構造は、マイクロ波EMエネルギーのための放射アンテナを提供することができる。誘電物質の部分の形状は、シミュレーションに基づいてエネルギーの効果的な分配を達成するように選択することができる。例えば、誘電物質の部分は、丸い遠位先端を有するセラミックの円筒状部分でもよい。
【0022】
ハンドピースは、光チャネルに沿って搬送される照明信号を生成するための光源を含むことができる。光源は着脱可能なユニットでもよく、異なる種類の光源を治療シナリオに応じて用いることができる。代替的に、または、追加的に、ハンドピースは、光ケーブルを介してレーザーなどのリモートソースから光放射を受け取るための入力光ポートを含むことができる。
【0023】
光源は、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオードまたは他のコンパクトなソースでもよい。光源はハンドピースに位置する電源によって駆動することができて、そのためデバイスは携帯可能である。
【0024】
ハンドピースは、光チャネルに送信されるかまたはそれから受信される光放射を光学的に制御するかまたは操作するように調整される1つ以上の光学素子を含むことができる。例えば、光学素子は、光源からの光放射を整形して方向を定め、例えばそれを光チャネルの照明光ファイバーバンドルの中に沿って照明信号として送信するように調整された1つ以上のレンズを含むことができる。加えて、または、代替的に、1つ以上の光学素子は、例えば光チャネルの撮像光ファイバーバンドルから治療部位の画像を捕えるように調整される1つ以上のレンズを含むことができる。撮像光ファイバーバンドルは、器具先端にあるレンズ、例えば器具先端の開口に載置されるマイクロレンズを含むことができる。1つ以上の光学素子は調節可能でもよく、例えば映像信号が画像センサで焦点を合わせられるのを可能にする。
【0025】
1つの実施例において、デバイスは、一体型ファイバースコープを含むことができる。言い換えれば、ハンドピースはファイバースコープ本体を含むことができて、光チャネルはファイバースコープの挿入チューブを含むことができる。したがって、デバイスは、従来のファイバースコープシステムと関連した機能性を提供することができる。
【0026】
ハンドピースは、器具ケーブルの遠位端部分の方向を制御するための操縦機構を含むことができる。操縦機構は、アクチュエータの操作を通してハンドピースから制御することができる。例えば、アクチュエータは、回転可能なハンドルまたはノブ、スライダ、ダイヤルなどでもよい。アクチュエータは、手術者にとって容易にアクセス可能なハンドピースの外部表面に載置することができる。
【0027】
操縦機構は動作可能な状態でアクチュエータに結合されたプルアームを含んで、ハンドピースの中でスライドすることができる。プルアームは、移動変換構造、例えばラックピニオン機構、歯車機構などを介して、アクチュエータに連結することができる。操縦機構は器具ケーブルに沿って伸びる制御要素をさらに含むことができて、制御要素はプルアーム及び器具ケーブルの遠位端部分に動作可能な状態で連結する。したがって制御要素は、プルアームの動きをその遠位端で器具ケーブルの偏移に変えるコンポーネントでもよい。
【0028】
制御要素は、同軸階層構造を囲む保護鞘、例えば上述の保護鞘を含むことができる。保護鞘は、器具ケーブルの遠位端部分で同軸階層構造に固定することができて、ハンドピースで同軸階層構造に対して自在に移動することができる。一方、同軸階層構造は、ハンドピースに固定することができる。その結果、ハンドピースに対するプルアームの動きは保護鞘と同軸伝送線の間に相対的な力が生じて、それが器具ケーブルの偏向を引き起こす。
【0029】
保護鞘は、遠位端部分に優先的な偏向ゾーンを提供するために、遠位端部分においてよりも近位部分において、より堅くてもよい。さらに、保護鞘は、器具ケーブルの遠位端部分においてその一方の側に切欠部を有することができる。切欠部は、遠位端部分の偏向を一方向へ優先して発生させる一体ヒンジとして作用することができる。したがって、手術者は、操縦機構が作動するときに、器具先端がどのように移動するか事前に知ることができる。
【0030】
別の実施例では、制御要素は、プルアームに取り付けられて、その遠位端部分で器具ケーブルに固定される1つ以上の制御ワイヤを含むことができる。制御ワイヤは、力を遠位端部分に伝達するためのいかなる適切な構造でもあってもよい。制御ワイヤは、同軸階層構造を囲む保護鞘を通って、長手方向に伸びることができる。例えば、保護鞘は、例えば同軸伝送線/光チャネルの組合せのための第1の(主要な)ルーメン及び制御ワイヤのための第2の(補助的な)ルーメンを有するマルチルーメン管を含んでもよい。
【0031】
さらなる実施例において、操縦機構は保護鞘を必要としなくてもよい。例えば、1つ以上の制御ワイヤは、同軸伝送線の誘電層を通って長手方向に伸びてもよい。
【0032】
ハンドピースは、充電式電池などの電源を含むことができる。電源はハンドピースに含まれるコンポーネントに対して、例えば上述の光源ならびにコントローラ、画像センサ及び通信モジュールのいずれかまたは全部に対して電力を提供するように調整することができる。
【0033】
ハンドピースは、その内部コンポーネントを囲むためのハウジングを含むことができる。ハウジングは、コンポーネントをカプセル化する、例えば、絶縁体でできた、堅いケーシングでもよい。ケーシングは1つ以上の開口を有してもよく、必要な場合、手術者がコンポーネントと対話することができる。
【0034】
器具ケーブルは、ハンドピースから着脱可能でもよい。したがって、器具ケーブルは、使い捨て製品として造ることができる。
【0035】
上記のように、デバイスは、超音波エネルギーを治療部位に届けるようにさらに構成することができる。したがって、1つの実施例において、器具先端は、生体組織に超音波信号を連結するように調整される超音波トランスデューサを含むことができる。超音波トランスデューサは、圧電的に活性のセラミックを含むことができ、例えば器具先端の一部として、または、それの中に作ることができる。器具ケーブルは、圧電的に活性のセラミックを制御して超音波信号を生成するための電圧信号を搬送するように調整することができる。電圧信号は、同軸伝送線によって搬送することができる。
【0036】
電気外科デバイスの光チャネルは、光学的検知または治療部位の測定の基盤として使うことができる。この機能性は、治療の前と間と後に、可視光を使用して治療部位を照らしてそれが見られることを可能にすることを含んでもよい。しかしながら、この機能性によってデバイスが治療部位で組織の特性を測定することもでき、例えば、治療が始まる前に、診断解析を実行することが可能になる。
【0037】
ハンドピースは、光チャネルからハンドピースに受け取られる光放射を検出するための光センサを含むことができる。ハンドピースの複数の光センサがあってもよく、例えば、異なる種類の測定を行うことが可能になる。光センサは、治療部位で受信光放射を、情報を表す出力信号に変換するためのいかなる好適な装置でもあってもよい。1つの実施例において、光センサは、光チャネルからハンドピースに受け取られる撮像信号に基づいて光チャネルの遠位端に位置する治療部位のデジタル画像を生成するための画像センサ(例えばデジタルカメラなど)である。他の実施例において、光センサは、治療部位から反射される測定信号を検出するためのCMOSベースであるかCCDベースのセンサでもよい。
【0038】
ハンドピースはその上に格納されるソフトウェア命令を有するプロセッサ及びメモリーを備えているコントローラを含むことができ、その命令は、プロセッサによって実行されると、コントローラがデバイスの動作を制御するのを可能にする。例えば、コントローラは、光源及び光センサの動作を制御することができる。プロセッサは、光センサから情報を集めて、格納するように調整することができる。
【0039】
いくつかの実施例において、プロセッサは、光センサからの出力信号を処理、例えば分析または操作することができる。しかしながら、好ましい実施形態において、デバイスは、出力信号を遠隔デバイスに通信するように調整される。例えば、ハンドピースは、検出された光放射に関する情報を遠隔デバイスに通信するように調整される通信モジュールを含むことができる。通信モジュールは、ワイヤレス方式で出力信号を同報通信するかまたは通信するためのトランシーバまたはネットワークアダプタを含むことができる。例えば、通信モジュールは、画像データをリモートサーバにアップロードするように調整することができる。
【0040】
電気外科デバイスは、検出された光放射に関連する情報を受信して表示するように調整される表示デバイスをさらに含む、電気外科用装置の一部として設けることができる。表示デバイスは、任意の適切なコンピューティングデバイス、例えばラップトップコンピュータ、タブレット型コンピュータまたはスマートフォンであってもよい。表示デバイスは、例えば通信モジュールを介して、デバイスと直接または間接的に通信可能な状態で接続可能でもよい。1つの実施例において、表示デバイスは、画像データが通信モジュールによってアップロードされるサイトにアクセスする許可を有する、ネットワーク対応デバイスでもよい。
【0041】
電気外科デバイスは、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを発生させるように調整される電気外科用発電機をさらに含む電気外科システムの一部として設けることができる。ハンドピースは、発電機に接続することができて、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを受信して、それを器具ケーブルの同軸伝送線に結合することができる。
【0042】
本発明の実施例は、添付の図面を参照して以下に詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態である電気外科用装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態である電気外科用装置のための器具ケーブルを通る概略断面図である。
図3】器具ケーブルの第1の例示の遠位端及び本発明の実施形態である電気外科用装置の器具先端を通る概略断面図である。
図4】器具ケーブルの第2の例示の遠位端及び本発明の実施形態である電気外科用装置の器具先端を通る概略断面図である。
図5】器具ケーブルの第3の例示の遠位端及び本発明の実施形態である電気外科用装置の器具先端を通る概略断面図である。
図6】本発明の実施形態である電気外科用装置のためのハンドピースの内部光学コンポーネントを示す切欠側面図である。
図7】本発明の実施形態である電気外科用装置のためのハンドピースに載置される操縦制御機構を示す切欠側面図である。
図8】本発明の実施形態である電気外科用装置で用いることができる着脱可能なケーブルを有するハンドピースの概略図である。
図9】本発明の実施形態である電気外科用装置のためのハンドピースの中の光学コンポーネントの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明による電気外科用装置100の概略図である。電気外科用装置100は、ハンドピース102及び遠位端部方向にハンドピース102から離れて伸びている可撓性器具ケーブル104を含む。可撓性器具ケーブルは、体に挿入して治療部位にアクセスするのに適している。可撓性器具ケーブル104は、それを組織に直接挿入することができるように、その外面上に生体適合性コーティングを施すことができる。器具ケーブル104は、経皮的に、または自然の開口を介して低侵襲的方法で導くことができる。いくつかの実施例において、器具ケーブル104は、気管支鏡、内視鏡、腹腔鏡などの別々の外科スコーピングデバイス(図示せず)によって用いることができる。他の実施例において、器具ケーブルは、案内カテーテルを通して導くことができる。しかしながら、器具ケーブルが直接(すなわちコンポーネントを囲まずに)挿入されることができ、アクセスするのが困難である体の領域にそれが到達することを可能にすることは、特に効果的なことであり得る。
【0045】
本発明の器具ケーブル104は、2つの機能を有しており、それは、マイクロ波電磁(EM)エネルギー及び/または高周波(RF)EMエネルギーを治療部位へ運ぶことと、治療部位の特性を撮像または検知するために光放射を運ぶことである。後でさらに詳しく述べるように、本発明の器具ケーブル104は、2つの関数を共通構造の中に結合することによって、特に簡潔な方法でこれらの2つの関数を提供する。特定の実施例では、治療部位に対して、及び/または治療部位から光放射を搬送するための光チャネルは、マイクロ波及び/またはRF電磁エネルギー(EM)のためのエネルギー搬送手段の範囲内に設けることができる。1つの実施例において、光チャネルは、治療部位へ、そして治療部位から光学信号を運んで、治療部位の画像をハンドピース102から出力できるように調整される、観察チャネルとして作用することができる。ハンドピースは、画像を見るための観察ポート(図示せず)を含むことができる。しかしながら、好ましい構成では、ハンドピース102は、画像を離れた表示デバイス116に発信するように調整することができる。画像は、WiFiなどのワイヤレス接続を介して、または他のいかなる適切なネットワーク化された通信形態を介しても送信することができる。表示デバイス116は、画像データを受け取ることができる表示画面を有するいかなるデバイスでもあってもよい。表示デバイス116は、携帯型のもので、例えばラップトップまたはタブレット型コンピュータ、スマートフォンなどでもよい。本発明の装置は表示デバイスを含むことができ、そのため本発明の利点はローカルの表示設備を有しない場所において使うことができる。
【0046】
電気外科用発電機118は、ハンドピース102にRF及び/またはマイクロ波エネルギーをもたらすケーブル120(例えば同軸ケーブル)を介して、ハンドピース102に接続している。発電機118は、例えば、国際出願第2012/076844号に記載されているタイプでもよい。ハンドピース102はコネクタポート115を含み、それはQMAコネクタポートなどでもよい。コネクタポート115は、器具ケーブル104のエネルギー搬送構造にケーブル120を電気的に接続するように調整することができる。この電気的接続は、発電機からの同軸ケーブルとエネルギー搬送構造の同軸伝送線間の「T」接続によって設けることができる。好ましくは、フィルタまたはチョークが「T」接合部と発電機上の器具ポートの間にあって、器具ポートへのマイクロ波リークを防止する。これは、「T」接合部が高い帰還損失を有し、すなわち発電機へマイクロ波エネルギーのかなりの部分を反射しないように、「T」接合部からマイクロ波周波数で半分の波長に配置されなければならない。RFエネルギーがRF電圧を外へ短絡させないように伝送されるべき場合、エネルギー搬送構造の伝送線の近位端は開回路である。それは、RF電圧に対して壊れないかまたは手術者を高RF電圧にさらさないように、絶縁もされて、保護されてもいる。
【0047】
器具ケーブル104は、挿入ケーブル104のエネルギー搬送手段からRF及び/またはマイクロ波エネルギーを受け取るように調整される器具先端106をその遠位端に有する。器具先端106は生体組織に受信されたRF及び/またはマイクロ波エネルギーを供給するためのエネルギー送出部を含み、処置、例えば切除または凝固を例えば支援する。
【0048】
器具ケーブル104の遠位端は操縦可能でもよく、例えば処置のための所望の位置に器具先端106の位置決めを容易にし、及び/または、光放射が要望通りに方向を定められるのを可能にし、例えば治療部位の異なる部分の画像を取得するかまたは異なる位置の測定をする。後述するように、いくつかの実施例において、器具ケーブル104は1つ以上の制御要素(例えばプル/プッシュロッドまたは制御ワイヤ)を含んで、操縦するのを容易にすることができる。制御要素は器具ケーブルの近位端から出て行き、ハンドピース102の中に取り付けられる操縦機構を係合することができる。操縦機構は、器具先端での動作を遂行するために制御要素を伸ばして引き込むように操作可能でもよい。操縦機構は、ハンドピース102に載置されるアクチュエータを含むことができる。この実施例では、アクチュエータは、回転ノブ110である。ハウジングに対するノブ110の回転は、ハンドピース102に載置される適切な変換機構を介して、制御要素(複数可)の直線運動に変換することができる。操縦機構の1つの実施例は、図7を参照して以下に述べる。
【0049】
器具ケーブル104の近位端がハンドピース102に対して曲げられることができる角度を制限するために、円錐リストリクタ114が、器具ケーブル104の近位端にわたって取付けられる。円錐リストリクタ114は、ハンドピース102の遠位端に固定され、したがってケーブルの移動を制限して、それが不必要な応力に見舞われるのを妨げる。
【0050】
以下さらに詳しく説明するように、ハンドピース102は、器具ケーブル104の光チャネルに沿って搬送することができる光放射を生成して、制御することと関連したコンポーネントを含むハウジングを含む。例えば、ハンドピース102は、電池か他のバッテリなどの電源、発光ダイオード(LED)などの光源、及び光源または治療部位からの光放射の方向を望ましい方法で定めるための1つ以上の光学素子を含むことができる。光学素子はハウジングの外部表面上の制御インタフェース112を含むことができ、ユーザは使用中の光学素子を制御することができる。例えば、制御インタフェース112は、治療部位に加えられる強度光放射を制御することができるか、または1つ以上のレンズを制御して光センサに治療部位から受け取られる映像信号を焦束する際に支援することができる。1つの実施例において、光学検出器(例えばカメラなど)はハンドピースに載置されて、表示デバイス116に映像信号を捕えて発信するために、治療部位から反射される光放射を受信することができる。1つの実施例において、光学コンポーネントは、従来のファイバースコープに似ているものでもよい。
【0051】
ハンドピース102は、装置を始動及び停止するための電力開閉器(図示せず)を含むことができる。ハンドピース102は、電源を外部電源に接続してそれが再充電されることを可能にするための充電ポート(図示せず)を含むことができる。
【0052】
図2は、エネルギー搬送構造及び光チャネルが簡潔な方法で組み合わせられる器具ケーブル104の1つの実施例の短尺を通る概略断面図である。一般的に言えば、図2に示される器具ケーブル104は光チャネルを担持することができる中空の内部導体を有する同軸伝送線125であり、それは通常1つ以上の光ファイバーバンドルを含む。したがって、光チャネルは、エネルギー搬送手段の中で搬送され得る。これは、観察チャネルが通常器具チャネルとは別に(つまり外部に)そして並列して形成される従来の外科スコーピングデバイスとは対照的である。
【0053】
さらに詳細には、同軸伝送線125は、外部導体124、内部導体128及び内部導体128を外部導体124から分離している誘電物質126を含む。内部導体128は、最奥絶縁導管130上に形成することができる。導管130は、同軸伝送線125の縦軸に沿って中央通路132を画定するために中空である。通路132は、本明細書においてさらに述べられるように、光放射を搬送するために用いる。通路132は、ファイバースコープの光ケーブルを受けるようにサイズ設定される直径134を有することができる。このようなケーブルは通常約1mmの直径を有するので、通路は1.5mm以下の、例えば1.2mm以下の直径を有することができる。
【0054】
外部導体124の外部表面は、保護鞘122によって囲まれてもよい。鞘122は、器具ケーブルの操作、例えば操縦を可能にするために可撓性でもよい。鞘122は、生体適合材料から製造することができるかまたは生体学的適合性の外側被膜を有して、ケーブルを直接組織に挿入されるのを可能にすることができる。いかなる適切な材料も用いることができるが、PEEKは特に好ましい。後述するように、いくつかの実施例において、保護鞘122は、器具先端の操縦を助けるために用いることができる。
【0055】
図3は、第1の例示の器具ケーブル104の遠位端を通る概略断面図である。図2と共通の機能は、同じ参照番号を与えられており、再び説明はしない。この実施例では、器具先端106は、器具ケーブル104の遠位端に取り付けられる(例えば、接着するかまたは固定した)誘電物質のドーム136を含む。ドーム136は、放射アンテナを形成して同軸伝送線125から受けたマイクロ波EMエネルギーを送出することができる、セラミックまたは他の類似材料でできていてもよい。
【0056】
この実施例では、内部導体124は、外部導体128の遠位端を越えて遠位に伸びる遠位端部分142を有する。遠位端部分142は、ドーム136の内側に伸びる。適切な凹所はドーム136において機械加工されて、遠位端部分142を受けることができる。誘電物質126はまた、外部導体の遠位端を越えて伸びる遠位端部分144を有することができる。遠位端部分144は、ドーム136を同軸伝送線125に固定するための取付け面を提供することができる。内部導体の遠位端部分142は、誘電物質126の遠位端部分144の遠位端を越えて伸びることができる。
【0057】
ドーム136はその中に形成される孔を有することができて、それはドーム136が器具ケーブルに固定されるときに、器具ケーブル104の通路132に整列配置する。孔は、ドーム136の外部表面上の遠位開口146で終わる。光ケーブル140は、通路132及び孔を通して搬送されて、開口146で終了する。好ましい実施形態においては、光ケーブル140は、ハンドピースから治療部位まで照明信号を搬送するための照明ファイバーバンドルを含む。照明信号は治療部位を照らすかまたはプローブするための光放射であり、例えばそれを撮像または他のタイプの光学的検知のために見えるようにする。光ケーブル140は、例えば検出のために、治療部位からハンドピースへの、すなわち治療部位から反射されるかまたは発される光放射を運ぶための、撮像ファイバーバンドルをさらに含むことができる。
【0058】
上記の構造の開発において、ドーム136は、超音波エネルギーを治療部位に発信するのに適しているトランスデューサ素子を任意選択的に含むことができる。例えば、トランスデューサ素子は、圧電的に活性のセラミックから製造することができる。器具ケーブル104は、トランスデューサ素子のための動作電圧をハンドピースから供給するように調整することができる。この構成では、装置は、治療部位を視覚化するための統合化システムと組み合わせて、治療のためのマイクロ波、RFまたは超音波エネルギーの選択的な供給をすることができてもよい。
【0059】
図3において、保護鞘122は、適切な接着または物理的接続(例えばクリンピングなど)によって同軸伝送線125にその遠位端で固定される。鞘122は、その一方の側上の切欠部138を含む。切欠部138は、細長い卵円または同様な形でもよい。切欠部138は、鞘122用の優先の横方向の変形軸を画定する。言い換えれば、それは鞘122の外部表面の構造虚弱性を提供し、それによって鞘が圧縮されると、それは切欠部138が位置する側の方へ優先して曲がる。したがって、切欠部138は、一体ヒンジとして効果的に作用する。
【0060】
一方、鞘122の近位端は、ハンドピース102と関連するスライダに固定される。スライダは、操縦機構の作動を通して、ハンドピースに対して移動可能である。同軸伝送線125の近位部分は、それがハンドピースに対して移動しないように、固定される。したがって、スライダの変化は同軸伝送線に対する鞘の圧縮力または張力をもたらし、それによって次に器具先端が一体ヒンジによって画定される意味において曲がるかまたはまっすぐになる。
【0061】
1つの実施例において、器具ケーブルの曲がりは、保護鞘を遠位端部分で予想されるその長さに沿ってより剛性にすることによって、その遠位端部分の中に限定することができる。これは、保護鞘内またはその上に剛性化層を形成することによって行うことができる。剛性化層は、保護鞘上の編組によって、または、器具ケーブルにわたって取り付けられるジャケットによって設けることができる。
【0062】
図4は、第2の例示の器具ケーブル104の遠位端を通る概略断面図である。図3と共通の機能は、同じ参照番号を与えられており、再び説明はしない。この実施例では、操縦機構は、同軸伝送線125の誘電物質126に組み入れられている。原則としてこれらは保護鞘122の除去を考慮して、それにより器具ケーブルがより小さい全体の直径を有するのを可能にする。図4に示されていないが、外部導体128の外部表面の上に形成される薄い生体適合性コーティングがさらにあってもよい。
【0063】
図4において、操縦は、同軸伝送線125の誘電物質126を通って伸びる1つ以上の制御ワイヤ150、154によって遂行される。制御ワイヤ150、154は、それらが搬送されたエネルギーを損なうのを防止するために、誘電物質126と同程度の誘電率を有する材料から製造することができる。例えば、制御ワイヤは引き延ばされたPEEK繊維から製造することができるが、誘電物質126は押し出し加工されたPTFE管などでもよい。
【0064】
本実施形態においては、器具ケーブル104の対向側に載置される2つの制御ワイヤ150、154がある。器具ケーブルの周長周辺に配置されてそれがいかなる方向にも操縦されることを可能にする3つのさらなる制御ワイヤがあってもよい。各制御ワイヤ150、154は、それぞれのアンカーポイント152、156で、器具先端(例えばドーム136)に固定される。
【0065】
各制御ワイヤ150、154は、誘電物質126に形成されるホール148を通して搬送することができる。
【0066】
図3を参照して述べられる実施例と同様に、各制御ワイヤ154、156の近位端は、(ハンドピースに対して固定することができる)同軸伝送線125に関して制御ワイヤの線形位置を変化させるように調整される操縦機構に接続している。ハンドピースの方へ制御ワイヤを引き戻すことによって、器具ケーブルがその制御ワイヤ用のアンカーポイントが位置する側の方へ曲がる。
【0067】
図5は、第3の例示の器具ケーブル104の遠位端を通る概略断面図である。図4と共通の機能は、同じ参照番号を与えられており、再び説明はしない。図5の操縦機構は、図4を参照して述べられる実施例と類似の方法で1つ以上の制御ワイヤ160、164を利用する。しかしながら、この実施例では、制御ワイヤ160、164は、同軸伝送線125を囲む保護鞘122に載置される。したがって、保護鞘122は、例えば同軸伝送線及び光チャネルの組合せを搬送するための中央ルーメン及びそれぞれの制御ワイヤを搬送するための1つ以上の外側のルーメンを有する、マルチルーメン管を含む。各制御ワイヤ160、164は、その遠位端に位置するそれぞれのアンカーポイント162、166で、保護鞘122に固定することができる。
【0068】
図6は、内部コンポーネントのいくつかを示すハンドピース102を通る切欠側面図である。ハンドピース102はハウジング170を含み、それは内部コンポーネントを含むための中空シェルでもよい。ハウジング170はその外部表面の開口を有して、ユーザがコンポーネントを(例えば操縦するかまたは焦点合わせのために)操作するために、または、エネルギーをデバイスに連結するために、アクセスを提供することができる。ハウジング170は、内部コンポーネントが中で取り付けられた後に一緒に固定できる複数の(例えば2つの)部分を含むことができる。
【0069】
図6において、明確にするためだが、光学コンポーネント及び関連する電力及び制御成分が示される。図7は、操縦機構のためのコンポーネントを示す。これらのコンポーネントに加えて、ハンドピース102は、同軸伝送線を、ハンドピースの後部(近位)端のコネクタポート115から、近位開口174を通して、他の内部コンポーネント周辺でケーブル104に向かって運ぶ。
【0070】
ハウジング170は、その中で載置される、例えばファイバースコープ本体172をハウジング170に対して静止している状態に保つためにハウジングに形成される凹所に留められる、ファイバースコープ本体172を備えている。ファイバースコープ本体は、その上に取り付けられる光入力ポート182を有する前面(遠位)入力光結合部分を含む。光源180は、この場合、ハウジング170の内側表面に固定される表面実装型LEDであるが、それは光入力ポート182にわたって位置して、照明信号をファイバースコープのために提供する。前面入力光結合部分は、器具ケーブル104(図示せず)の中を通過する光チャネル184に運び込まれる光ファイバーの照明バンドルに、照明信号を結合する。ハウジング170は、器具ケーブル104(光チャネル184を含む)がハウジング170から出て行く前面(遠位)開口175を含む。
【0071】
光チャネル184は、治療部位からファイバースコープ本体172へ光放射を搬送する光ファイバーの撮像バンドルも含む。撮像バンドルは通常その遠位端で1つ以上のマイクロレンズを有して、治療部位からの光放射を撮像バンドルに焦束する。ファイバースコープ本体172は、撮像バンドルから受け取られてそれがファイバースコープ本体172の後部(近位)端のビューポートを通して見られることができる光放射を焦束するように調整される一組の光学素子(例えばレンズ)を含む。ファイバースコープ本体172は、光学素子のセットの焦点距離を変化させるための焦点調整器190を含むことができる。焦点調整器190は、回転可能なバレルでもよい。ハウジングは、手術者がバレルに接触して回転させることができるように、ウィンドウをその側面に含むことができる。
【0072】
図6に示される配置において、ビューポートは、画像センサ186(例えば光放射を符号化画像に変換するためのデジタルカメラまたは他の好適なデバイス)に画像を焦束する出力レンズ配置188を有する光通信である。1つの実施例において、ファイバースコープのビューポートで見つかる従来の出力光学系は、画像センサ186の検出領域の上の撮像バンドルから受け取った光放射を広げるように作用する逆魚眼レンズと置き換えることができる。
【0073】
コントローラ176は、ハウジング170に載置される。コントローラ176は、ファイバースコープの制御操作に、画像センサ186及び光源180に動作可能な状態で接続することができる。コントローラ176は、マイクロプロセッサまたはシングルボードコンピュータ、例えばRaspberry Piなどを含むことができる。図8を参照して後述するように、コントローラ176は、表示のための遠隔デバイスに画像センサ186によって捕えられる画像を通信するためのトランシーバに、動作可能な状態で接続することもできる。
【0074】
ハウジング170は、電池またはバッテリなどの電源178を含むことができる。1つの実施例において、電源178は、18650リチウムイオン電池などを含む。電源178は、例えばハウジング170の外部表面に位置する適切な充電ポートを通して、再充電可能でもよい。電源186は、光源180、コントローラ176、画像センサ186及びトランシーバ(図示せず)を作動させるエネルギーを供給することができる。ハンドピース102はON/OFFスイッチを含んで、デバイスを始動及び停止して、装置が使用中でないときに電力を節約することができる。
【0075】
図6を参照して上述したファイバースコープは、その接眼レンズを出力レンズ配置188及び画像センサ186と置き換えられるが、従来のファイバースコープデバイスに似ていてもよい。
【0076】
図7は、操縦能力を器具ケーブルに提供する内部コンポーネントを示すハンドピース102を通る切欠側面図である。上記の実施例と共通の機能は、同じ参照番号を与えられており、再び説明はしない。図7に示すように、ハウジング170は、ラックピニオンに基づく操縦機構を含むことができて、同軸伝送線125に関して回転ノブ110の回転運動を保護鞘122の長手方向すべり運動に変換する。
【0077】
回転ノブ110は、フランジのそばのハウジング170に形成される開口において保持される軸によって、ハウジング170に回転可能に載置される。軸はフランジの下に伸びて、ハウジング170の中にスライド動可能に載置されるラック194に動作可能な状態で係合するピニオンギア192を提供する。ハウジング170の外に位置する回転ノブ110の部分は、回転を助けるように形づくられるグリップを有することができる。
【0078】
ラック194は、長手方向に、すなわち同軸伝送線の軸方向に実質的に整列配置されるかまたは平行な方向にスライド可能である。ラック194は、プッシュアーム196に動作可能な状態で接続されるかまたはそれに一体的に形成される。プッシュアーム196は、器具ケーブル104の近位部分にわたって適合するカラー198を含む。この実施例では、カラー198は、器具ケーブル104の保護鞘122に、例えば取付けポイント197で取り付けられる。一方、同軸伝送線125は、アンカーポイント199でハウジング170に対して固定される。したがって、ハウジングに対するカラー198の長手方向運動は同軸伝送線125と保護鞘122の間に相対的な力を生じさせ、図3を参照して上述したように、器具ケーブル104の遠位端で曲げを引き起こす。
【0079】
他の実施例において、プッシュアーム196は、図4及び5を参照して述べられた方法で器具ケーブルを通って伸びる1つ以上の制御ワイヤに接続することができる。これらの実施例において、同軸伝送線の近位部分はハウジングに対して固定されたままであるが、プッシュアーム196が保護鞘122に固定されることが必要というわけではない。
【0080】
いくつかの実施例において、アンカーポイント199は、二重の機能を有することができる。第1に、それは、上記の方法で、同軸伝送線の近位部分をハウジングに固定することができる。第2に、それは、入力開口174のコネクタポート115とアンカーポイント199の間に伸びる第1のエネルギー搬送構造(従来の同軸ケーブルでもよい)を、器具ケーブル104に沿って伸びる中空同軸伝送線125である第2のエネルギー搬送構造と相互接続するための、トランスを含むことができる。いくつかの実施例において、同軸伝送線125のインピーダンスは、第1のエネルギー搬送構造のインピーダンスと異なってもよい。トランスは、ハンドピース102の中でのエネルギー損失を減少させるかまたは除去するために、インピーダンス整合機能を提供することができる。
【0081】
図8は、本発明の実施形態である電気外科用装置において使うことができるハンドピース200の別の実施例の概略図である。上述のハンドピース102と共通の機能は、同じ参照番号を与えられており、再び説明はしない。ハンドピース200は、器具ケーブル104が着脱可能及び、任意選択的に、使い捨て可能なアイテムでもよい実施形態の概略的な例を表す。
【0082】
ハンドピース200は、図6及び7に関して上記の内部コンポーネントを収納する本体202を含む。本体202の前面(遠位)端に、2つの接続ポート206、208がある。第1の接続ポート206は、マイクロ波及び/または無線周波エネルギーを本体202から器具ケーブル104に移すためにある。第2の接続ポート208は、器具ケーブル104に及び/またはそれから光放射を移すためにある。第1の接続ポート206は、QMAポートなどでもよい。第2の接続ポート208は、光カップラまたはファイバースコープコネクタでもよい。
【0083】
この実施例における器具ケーブル104は、本体202の遠位端部分に係合して取り付けるように調整される近位端ケース204を有することができる。この実施例では、近位端ケース204は、器具ケーブル104のための偏向制限手段として作用することもできて、それがハンドピースで曲がりすぎることになるのを妨げる。近位端ケース204は、例えばその内部表面に係合機能(図示せず)を含むことができ、それが本体202上の対応する機能と協働して、2つのパーツを一緒に固定する。
【0084】
近位端ケース204は、一対のコネクタ210、212が載置される凹所を画定することができる。第1のコネクタ210は、近位端ケース204が本体202に載置されるときに、第1のコネクタポート206において受けることができてもよい。第1のコネクタ210は、器具ケーブル104によって搬送される同軸伝送線125の近位の終点である。第1のコネクタ210が第1のコネクタポート206に動作可能な状態で接続されると、本体202からのマイクロ波及び/またはRFエネルギーは器具ケーブル104に移すことができる。
【0085】
第2のコネクタ212は、近位端ケース204が本体202に載置されるときに、第2のコネクタポート208において受けることができてもよい。第2のコネクタ212は、器具ケーブル104によって搬送される光チャネル140の近位の終点である。第2のコネクタ212が第2のコネクタポート208に動作可能な状態で接続するときに、光放射は器具ケーブル104の中にそしてその外に移すことができる。
【0086】
図9は、本発明の実施形態である電気外科用装置のためのハンドピースの中の回路配置250の概略回路図である。回路配置はコントローラ252を含み、それはマイクロプロセッサまたはシングルボードコンピュータ、例えばRaspberry Piなどでもよい。コントローラ252は、第1のインタフェース260を通して画像センサ258を制御するために接続される。この実施例では、画像センサ258は、8メガピクセルのカメラである。コントローラ252は、第2のインタフェース256を経てトランシーバ254にも接続している。例えば、トランシーバ254は、マイクロUSBポートなどを介してマイクロプロセッサに接続しているUSB WiFiドングルでもよい。この配置は、ファイバースコープからの画像をキャプチャして、伝送するかまたは同報通信するための出力回路を形成する。コントローラ252は、その上に格納されるソフトウェア命令を有するメモリーを備えることができて、それは実行されると、コントローラに、カメラを用いて画像を記録して、遠隔表示デバイス、例えばコンピュータ、タブレットまたはスマートフォン上にそれらの画像を表示させることができる。1つの実施例において、デバイスは、他のデバイスが接続することができるローカルワイヤレスホットスポットに同報通信することができる。ユーザは特定のURL(例えば192.168.42.1/vision.php)にナビゲートして、画像にアクセスすることができる。さらなる情報をディスプレイに表示することもできて、患者情報、日付/時間及び必要とされる他のいかなる情報も含む。
【0087】
図9に示される配置の開発において、コントローラ252はユーザインタフェースと通信して、その場で制御されるかまたは修正される機能性及び動作を可能にすることができる。ユーザインタフェースは、例えば現在の操作上の状態及び修正動作を示す一連のボタン及びディスプレイとして、ハンドピース自体にあってもよい。代替的に、または追加的に、ユーザインタフェースは、トランシーバ254を介してコントローラ252とネットワーク化された通信をする遠隔デバイスにあってもよい。したがって、コントローラ252は、遠隔で作動することができる。その場での制御の例は、画像輝度、コントラスト及び鮮明度などの修正、ならびに静止画像とビデオの記録の間の切替えを含む。
【0088】
コントローラ252がシングルボードコンピュータである場合、それは使われないポート、例えばミニHDMI(登録商標)インタフェース262及びマイクロSDインタフェース264を含んでもよい。
【0089】
回路配置250は電源270を含み、それは充電回路268を介してコントローラ252に接続している充電式電池などでもよい。充電回路は、電圧を制御するように調整される。それはコネクタポート269、例えばマイクロUSBソケットを含むことができて、回路配置が電源を再充電することを考慮に入れた主電源に接続されるのを可能にする。1つの実施例において、電源270は18650リチウムイオン電池であり、充電回路は電圧増加及び調節(通常3.7~4.2Vから5Vまで)を提供するように調整される。ON/OFFスイッチ266は、充電回路268とコントローラ252間の接続に設けることができる。
【0090】
回路配置250は、電源270と光源272の間に接続される定電流回路271をさらに含む。この実施例では、光源はLEDである。治療部位で照明レベルを変化させることは望ましいものであり得るので、回路は電位差計274をさらに含んでLEDを調光可能にすることができる。電位差計274は、それと関連した、ハンドピースの外側上の開口を通してユーザにアクセス可能なアクチュエータを有することができる。アクチュエータは、指回し式ホイール、スライダまたは他のいかなる適切な制御要素でもよい。定電流回路271は、光源272が限られた電流(例えば約500mA)を電源270から引き入れるだけであることを確実にするように調整される。これは、チャージを節約することと、ハンドピースの中で不必要な加熱を生じさせるさらに高い電流レベルの危険度を最小にすることの両方のためである。
【0091】
上記の回路配置250及び装置は、以下の通りに特定の実施例に組み合わせることができる。ハンドピースの本体は、送信及び受信の両方のファイバーバンドルを有する1mmの光チャネルファイバースコープならびに、近位端にある一体型レンズアセンブリを含むことができる。光チャネルは、マイクロ波電源をそれに沿って供給することができる中空同軸伝送線の中に収納することができる。同軸伝送線は、ファイバーを通した視野のための回転端及び同心のホールを有する遠位の円筒状セラミック(例えばMacor)放射先端で終了することができる。
【0092】
ファイバースコープからの画像は魚眼レンズを逆に用いて拡大することができて、カメラを介してキャプチャされて、(Raspberry Pi Zeroなどの)シングルボードコンピュータプロセッサを通して処理されて、デジタル的にズームされて、そして、同報通信されるかまたはWiFiを介したアクセスのためにアップロードされる。リチウムイオン電池またはバッテリは、プロセッサ及びファイバースコープレンズアセンブリ上の光ポートに供給される単一のLED光源に電力を与えて、ビジョンシステムの遠位端で体腔を照らすことができる。
【0093】
本体は、プラスチック真空キャストハンドピースの中に封入することができる。この実施例は従来のファイバースコープを用いて作動するが、これは必須ではない。他の実施例においては、専用のレンズアセンブリを直接ハンドピースに組み込むことができる。
【0094】
光源は、できるだけ厳密に日光を模倣するように調整してもよく、なぜならこれが治療部位を照らすために最善であり、気管支鏡検査外科医が慣れているハロゲンソースに厳密に擬態するからである。用いられるLEDは、したがって、約5.8のケルビン色温度を有する白色LEDでもよい。LEDは約50~100ルーメンの出力を有して、治療部位を十分に照らすことができる。
【0095】
組み合わせた光チャネル及び同軸伝送線は、保護鞘(例えばPEEKから作られる)に収納することができて、一体ヒンジタイプ機構に基づく1つの自由度によって操縦可能でもよい。予測可能な操縦を提供するために、材料の長さは、それが虚弱性を引き起こすように、その遠位端で、保護鞘の一方の側から取り去ることができる。鞘は、その遠位端において組み合わせた光チャネル及び同軸伝送線に固定しなければならない。鞘がまたは近位端から押されるか引かれると、したがって、遠位端は曲がることを強いられ、角周辺で移動及び視野が可能となる。
【0096】
流体の進入を防止するために、保護鞘は、熱収縮チュービングでカバーすることができる。器具ケーブルは、3.5mm以下の最大外径を有することができる。熱収縮チュービングは、アセンブリを一緒に保持するように作用することができ、その結果保護鞘がその弾性限界を超えず、永久に変形しない。
【0097】
近位端で、ハンドピースは、回転ノブまたはハンドルを有することができ、回されると、保護鞘を同軸伝送線に沿って前後に移動させて、操縦能力を提供する。
【0098】
他の操縦機構も使うことができる。例えば、制御ワイヤ(例えばニチノールから作られる)は、同軸伝送線の外部導体と保護鞘の内部表面の間に供給することができる。制御ワイヤは、その遠位端で保護鞘の外部表面に固定することができる。制御ワイヤは、確実にいかなる特定の方向も引き入れるように、同軸伝送線の外部表面上の固定ガイドの中を走ることができる。複数の制御ワイヤがあってもよい。各制御ワイヤは、器具ケーブルの近位端で、回転型バレルに固定することができる。バレルが第1の検知において回転するときに、第1の制御ワイヤは一方向へ引かれることができ、一方で、第2の制御ワイヤが他方向に解放される。これは、遠位端における1つの軸の周りでの操縦を提供することができる。さらに、2つのワイヤを別の運動軸を与えるために追加することができ、組み合わせられると、それは完全な360度の操縦可能性を与えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9