IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ GROOVE X株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図1
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図2
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図3
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図4
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図5
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図6
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図7
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図8
  • 特許-ロボット用充電ステーション 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ロボット用充電ステーション
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220908BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220908BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
G05D1/02 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019551065
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2018038774
(87)【国際公開番号】W WO2019082779
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2017204726
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515337268
【氏名又は名称】GROOVE X株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 要
(72)【発明者】
【氏名】根津 孝太
【審査官】猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-245332(JP,A)
【文献】特開2006-231448(JP,A)
【文献】特開2001-125641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0370804(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0013907(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0315501(US,A1)
【文献】国際公開第2018/052001(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪で走行するロボットの充電を行うための充電ステーションであって、
前記ロボットが乗り上げるテーブルと、
前記テーブル上の設定位置に到達したロボットを充電する充電部と、
を備え、
前記テーブルは、
前記ロボットの進入方向奥側に設けられ、その形状に沿って前記ロボットの所定の誘導部分を目標点へ向けて案内し、それにより前記ロボットが前記設定位置へ導かれるガイド部と、
前記ロボットの進入方向手前側に設けられ、前記誘導部分および前記車輪の作動に基づいて作用するモーメント力に応じて変位可能な可動部と、
を含むことを特徴とする充電ステーション。
【請求項2】
前記可動部は、前記テーブルに設けられた回動軸を中心に回動し、前記テーブルの幅方向にスライドすることを特徴とする請求項1に記載の充電ステーション。
【請求項3】
前記可動部に外力が作用しない状態において、その可動部を初期位置に保持するためのスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の充電ステーション。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記ロボットの進入方向奥方に向けて幅狭となる形状を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の充電ステーション。
【請求項5】
前記誘導部分が前記ガイド部に差し掛かる状態で、前記車輪が前記可動部に乗り上げる位置関係を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の充電ステーション。
【請求項6】
前記誘導部分が前記目標点へ到達する前に前記車輪が前記可動部から離脱する位置関係を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の充電ステーション。
【請求項7】
ロボットの充電を行うための充電ステーションであって、
前記ロボットが乗り上げるテーブルと、
前記テーブル上のロボットを充電する充電部と、
を備え、
前記テーブルは、
前記ロボットの移動に対する拘束力を軽減する方向へ、前記ロボットを乗せた状態で変位する可動部を含むことを特徴とする充電ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの充電を行うための充電ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューマノイドロボットやペットロボット等、人間との対話や癒しを提供する自律行動型ロボットの開発が進められている。このようなロボットは、制御プログラムにしたがって動作するが、周囲の状況に基づいて自律的に学習することで行動を進化させ、生命を感じさせるものも出現しつつある。
【0003】
このようなロボットも電気エネルギーで動作する以上、充電が必要となる。そこで、ロボットの充電残量が少なくなると、ユーザに向けてアラームが出力される。ユーザは、そのアラームに気づくと、ロボットを専用の充電ステーションにセットし、充電が完了するのを待つ。あるいは、ロボットを充電ステーションと通信可能とし、充電残量が基準値以下となったときにそのステーションへ誘導し、自律的に充電させる技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-125641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後者の充電ステーションは、ユーザの手を煩わせない点で優れている。しかし、ロボットをステーションの設定位置に正確な角度で進入させなければ、互いの端子を接続できない。このため、特にステーションに近づいたときにロボットの精密な移動制御が必要となり、処理負荷が大きくなるうえ時間もかかるといった問題があった。
【0006】
本発明は上記課題認識に基づいてなされた発明であり、その主たる目的は、充電ステーションにおいて簡易な構成にてロボットとの接続容易性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、車輪で走行するロボットの充電を行うための充電ステーションである。この充電ステーションは、ロボットが乗り上げるテーブルと、テーブル上の設定位置に到達したロボットを充電する充電部と、を備える。テーブルは、ロボットの進入方向奥側に設けられ、その形状に沿ってロボットの所定の誘導部分を目標点へ向けて案内し、それによりロボットが設定位置へ導かれるガイド部と、ロボットの進入方向手前側に設けられ、誘導部分および車輪の作動に基づいて作用するモーメント力に応じて変位可能な可動部と、を含む。
【0008】
本発明の別の態様もロボットの充電を行うための充電ステーションである。この充電ステーションは、ロボットが乗り上げるテーブルと、テーブル上のロボットを充電する充電部と、を備える。テーブルは、ロボットの移動に対する拘束力を軽減する方向へ、ロボットを乗せた状態で変位する可動機構を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の充電ステーションによれば、ロボットの接続容易性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るロボットの充電システムを表す図である。
図2】実施形態に係るロボットの外観を表す図である。
図3】ロボットの構造を概略的に表す断面図である。
図4】車輪収納動作を模式的に示す図である。
図5】ステーションの構成を表す概略図である。
図6】ステーションの構成を表す概略図である。
図7】充電システムの機能ブロック図である。
図8】ロボットの進入動作を表す図である。
図9】可動部のスライドメカニズムを例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略することがある。
【0012】
図1は、実施形態に係るロボット100の充電システム10を表す図である。同図には、ロボット100が充電ステーション(以下、単に「ステーション」とよぶ)200にセットされた状態を示す。ステーション200は、ロボット100が一台のみ進入可能なテーブル202を有する。テーブル202上の設定位置には給電端子204が露出し、ロボット100の底面には充電端子302が露出している。ロボット100がテーブル202に乗り上げて設定位置にて着座姿勢をとることにより、充電端子302が給電端子204に当接し、充電が開始される。給電端子204およびその周辺が、充電を要するロボット100を到達させるべき「設定位置」に対応する。なお、ロボット100およびステーション200の各構成および動作の詳細については後述する。
【0013】
図2は、実施形態に係るロボット100の外観を表す図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は側面図である。
ロボット100は、外部環境および内部状態に基づいて行動や仕草(ジェスチャー)を決定する自律行動型のロボットである。外部環境は、カメラやサーモセンサなど各種のセンサにより認識される。内部状態はロボット100の感情を表現するさまざまなパラメータとして定量化される。
【0014】
ロボット100は、3輪走行するための3つの車輪を備える。図示のように、一対の前輪102(左前輪102a,右前輪102b)と、一つの後輪103を含む。前輪102が駆動輪であり、後輪103が従動輪である。前輪102は操舵機構を有しないが、左右輪の回転速度や回転方向が個別に制御可能とされている。後輪103は、いわゆるキャスターからなり、ロボット100を前後左右への移動させるために回転自在となっている。左前輪102aよりも右前輪102bの回転数を大きくすることで、ロボット100が左折したり、左回りに回転できる。右前輪102bよりも左前輪102aの回転数を大きくすることで、ロボット100が右折したり、右回りに回転できる。
【0015】
前輪102および後輪103は、後述する駆動機構(回動機構、リンク機構)によりボディ104に完全収納できる。走行時においても各車輪の大部分はボディ104に隠れているが、各車輪がボディ104に完全収納されるとロボット100は移動不可能な状態となる。すなわち、車輪の収納動作に伴ってボディ104が降下し、床面Fに着座する。この着座状態においては、ボディ104の底部に形成された平坦状の着座面108(接地底面)が床面Fに当接する。
【0016】
ロボット100は、2つの手106を有する。手106には、モノを把持する機能はない。手106は、図示しない内蔵ワイヤを引っ張る又は緩めることにより、上げる、振る、振動するなど簡単な動作が可能である。2つの手106も個別制御可能である。
【0017】
ロボット100の頭部正面(顔)には2つの目110が設けられている。目110は、液晶素子または有機EL素子により、様々な表情で表示される。ロボット100は、スピーカーを内蔵し、簡単な音声を発することもできる。ロボット100の頭頂部にはツノ112が取り付けられる。ツノ112には全天球カメラが内蔵され、上下左右全方位を一度に撮影できる。また、ロボット100の頭部正面には、高解像度カメラが設けられる(図示せず)。
【0018】
このほか、ロボット100は、周辺温度を検出する温度センサ、複数のマイクロフォンを有するマイクロフォンアレイ、計測対象の形状を測定可能な形状測定センサ(深度センサ)、超音波センサなどさまざまなセンサを内蔵する。
【0019】
図3は、ロボット100の構造を概略的に表す断面図である。
ボディ104は、ベースフレーム308、本体フレーム310、一対のホイールカバー312および外皮314を含む。ベースフレーム308は、ボディ104の軸芯を構成するとともに内部機構を支持する。ベースフレーム308は、ロアプレート334に複数のサイドプレート336を立設して構成される。ベースフレーム308の内方には、バッテリ118、制御回路342および各種アクチュエータ等が収容されている。ロアプレート334の底面が着座面108を形成し、一対の充電端子302が露出している。
【0020】
本体フレーム310は、頭部フレーム316および胴部フレーム318を含む。頭部フレーム316は、中空半球状をなし、ロボット100の頭部骨格を形成する。胴部フレーム318は、段付筒形状をなし、ロボット100の胴部骨格を形成する。胴部フレーム318の下端部が、ロアプレート334に固定されている。頭部フレーム316は、リンク構造330を介して胴部フレーム318に接続されている。
【0021】
頭部フレーム316は、ヨー軸321、ピッチ軸322およびロール軸323を有する。頭部フレーム316のヨー軸321周りの回動(ヨーイング)により首振り動作が実現され、ピッチ軸322周りの回動(ピッチング)により頷き動作,見上げ動作および見下ろし動作が実現され、ロール軸323周りの回動(ローリング)により首を左右に傾げる動作が実現される。各軸は、リンク構造330の駆動態様に応じて三次元空間における位置や角度が変化し得る。
【0022】
胴部フレーム318は、ベースフレーム308および車輪駆動機構370を収容している。車輪駆動機構370は、前輪102および後輪103をそれぞれ駆動し、ロボット100を移動させる「移動機構」として機能する。前輪102は、その中心部にダイレクトドライブモータ(以下「DDモータ」と表記する)を有する。このため、左前輪102aと右前輪102bを個別に駆動することができる。胴部フレーム318は、ボディ104のアウトラインに丸みをもたせるよう、上半部が滑らかな曲面形状とされている。胴部フレーム318の下半部は、ホイールカバー312との間に前輪102の収納スペースSを形成するために小幅とされ、前輪102の回動軸378を支持している。
【0023】
一対のホイールカバー312は、胴部フレーム318の下半部を左右から覆うように設けられている。ホイールカバー312は、胴部フレーム318の上半部と連続した滑らかな外面(曲面)を形成する。ホイールカバー312の上端部が、上半部の下端部に沿って連結されている。それにより、下半部の側壁とホイールカバー312との間に、下方に向けて開放される収納スペースSが形成されている。
【0024】
前輪駆動機構は、前輪102を回転させるための回転駆動機構と、前輪102を収納スペースSから進退させるための収納作動機構とを含む。前輪駆動機構の駆動により、前輪102を収納スペースSから外部へ向けて進退駆動できる。後輪駆動機構の駆動により、後輪103を収納スペースSから外部へ向けて進退駆動できる。
【0025】
外皮314は、本体フレーム310を外側から覆う。外皮314は、人が弾力を感じる程度の厚みを有し、ウレタンスポンジなどの伸縮性を有する素材で形成される。これにより、ユーザがロボット100を抱きしめると、適度な柔らかさを感じ、人がペットにするように自然なスキンシップをとることができる。本体フレーム310の内側には、静電容量型のタッチセンサが設けられる。タッチセンサは、複数箇所に設けられ、ロボット100のほぼ全域におけるタッチを検出する。なお、変形例においては、タッチセンサを本体フレーム310と外皮314との間に設けてもよい。手106は、外皮314と一体に形成されている。外皮314の上端部には、開口部390が設けられる。ツノ112の下端部が、開口部390を介して頭部フレーム316に接続されている。
【0026】
手106を駆動するための駆動機構は、外皮314に埋設されたワイヤ134と、その駆動回路340(通電回路)を含む。ワイヤ134は、本実施形態では形状記憶合金線からなり、加熱されると収縮硬化し、徐熱されると弛緩伸長する。ワイヤ134の両端から引き出されたリード線が、駆動回路340に接続されている。駆動回路340のスイッチがオンされるとワイヤ134(形状記憶合金線)に通電がなされる。
【0027】
ワイヤ134は、外皮314から手106に延びるようにモールド又は編み込まれている。ワイヤ134の両端から胴部フレーム318の内方にリード線が引き出されている。ワイヤ134は外皮314の左右に1本ずつ設けてもよいし、複数本ずつ並列に設けてもよい。ワイヤ134に通電することで腕(手106)を上げることができ、通電遮断することで腕(手106)を下げることができる。
【0028】
図4は、車輪収納動作を模式的に示す図である。図4(a)は側面図であり、図4(b)は正面図である。図中点線は車輪が収納スペースSから進出して走行可能な状態を示し、図中実線は車輪が収納スペースSに収納された状態を示す。
【0029】
車輪駆動機構370は、前輪駆動機構374および後輪駆動機構376を含む。前輪駆動機構374は、回動軸378およびアクチュエータ379を含む。前輪102の車軸398は、アーム400を介して回動軸378と一体化されている。アクチュエータ379の駆動により、収納スペースSから外部へ前輪102を進退駆動できる。
【0030】
後輪駆動機構376は、回動軸404およびアクチュエータ406を含む。回動軸404の中央に回転軸407が支持されている。回転軸407からは二股のアーム408が延び、その先端に車軸410が一体に設けられている。車軸410に後輪103が回転可能に支持されている。回転軸407は自軸周りに回転自在であり、後輪103の向き(進行方向)を任意に変化させる。アクチュエータ406の駆動により、収納スペースSから外部へ後輪103を進退駆動できる。
【0031】
車輪収納時には、アクチュエータ379,406が一方向に駆動される。このとき、アーム400が回動軸378を中心に回動し、前輪102が床面Fから上昇する。また、アーム408が回動軸404を中心に回動し、後輪103が床面Fから上昇する(一点鎖線矢印参照)。それにより、ボディ104が降下し、着座面108が床面Fに接地する(実線矢印参照)。これにより、ロボット100がお座りした状態が実現される。アクチュエータ379,406を反対方向に駆動することにより、各車輪を収納スペースSから進出させ、ロボット100を立ち上がらせることができる。
【0032】
なお、後輪103の外側には尻尾を模した後部カバー107が設けられており、後輪103と連動してボディ104の後部下開口部を開閉する。すなわち、後輪103を進出させるときには後部カバー107が開動作し、後輪103を収納するときには後部カバー107が閉動作する。
【0033】
図5および図6は、ステーション200の構成を表す概略図である。図5(a)は斜視図であり、図5(b)は平面図である。図6(a)は、図5(b)のA-A矢視断面図である。図6(b)は、可動部およびその駆動機構を中心に示す。なお、以下では説明の便宜上、ステーション200においてロボット100の進入方向奥側(進入方向先側)を「奥側」、進入方向手前側(進入方向後側)を「手前側」と表現することがある。
【0034】
図5(a)および(b)に示すように、ステーション200は、テーブル202および一対のストッパ206を備える。テーブル202は、テーブル本体208にベース部210および可動部212を組み付けて構成されている。テーブル本体208は、平面視長方形状をなし、手前端を除いた三方が一段高くされて段部214を形成している。段部214の内側には、手前側からスロープ216、可動部212およびベース部210が配設され、それらによるロボット100の進入路が形成されている。テーブル本体208におけるベース部210の左右には、半円状の凹部218が設けられている。一対の凹部218は、ベース部210に向けて開放されている。
【0035】
段部214の両サイドの間隔は、凹部218よりも奥側において奥方に向けて徐々に幅狭とされており、その両サイドの内側壁によりガイド部220が構成されている。ガイド部220は、テーブル本体208の中央ラインLに対して傾斜するテーパ面を有する。ベース部210は、床面Fに平行な上面(載置面)を有し、その中央に一対の給電端子204が露出している。ベース部210の奥端の狭小領域には、円形の車輪受222が凹設されている。スロープ216は、緩やかな勾配を有し、床面Fと滑らかにつながっている。
【0036】
一対のストッパ206は、テーブル本体208の奥方領域に立設されている。両ストッパ206の間隔はロボット100(ボディ104)の幅よりも小さい。これらのストッパ206は、その手前端がテーパ形状とされており、ボディ104を滑らかに受け止めることができる。これらのストッパ206は、仮にもロボット100がガイド部220に乗り上げてステーション200を乗り越えることがないようにする。テーブル本体208の内部には、充電回路224が配設されている。
【0037】
図6(a)に示すように、車輪受222は比較的浅く、緩やかな曲面を有し、ロボット100の後輪103を滑らかに受け入れることができる。車輪受222は「目標点」に対応する。凹部218は、ベース部210の上面とほぼ平行な底面と、その底面の外側に設けられたテーパ面を有する。凹部218の底面は、ベース部210の上面よりもやや高位置にある。可動部212は、床面Fと平行なベース接続部226と、スロープ216と同じ勾配を有するスロープ接続部228を有する。ベース接続部226はベース部210の上面よりやや低位置にあり、スロープ接続部228はスロープ216とほぼ面一とされている。
【0038】
図6(b)にも示すように、可動部212は、平面視扇状の通路形成部230と、通路形成部230の奥方に段差をもって連設された支持部232を有する。通路形成部230は、ベース接続部226およびスロープ接続部228を含む。段部214の内側壁における通路形成部230との対向位置にはスリット215が形成されており、通路形成部230の両端がそれぞれ潜り込めるように構成されている(破線参照)。
【0039】
支持部232は、テーブル本体208の中央ラインLに沿って奥方に延在し、ベース部210が部分的にオーバラップする。テーブル本体208の底部には、中央ラインL上の奥側に回動軸236、手前側にガイド軸238が突設されており、支持部232に設けられた軸孔240、ガイド孔242にそれぞれ挿通されている。ガイド孔242は、幅方向に所定長さを有する。このような構成により、可動部212は、ガイド軸238にガイドされつつ、回動軸236を中心に回動できる。すなわち、通路形成部230がテーブル本体208の幅方向(左右)にスライドできる。
【0040】
また、テーブル本体208の中央ラインL上に設けられたばね受け244と、支持部232の先端部との間にスプリング246が介装されている。スプリング246は、可動部212が外力を受けて回動した後、その外力が解除されたときに可動部212を図示の初期位置(可動部212の中心線が中央ラインLに沿う位置)に復帰させるものである。
【0041】
充電回路224から延びる配線が一対の給電端子204に接続されている。充電回路224は、図示しない電源ケーブルを介して電源に接続される。充電回路224および給電端子204は、「充電部」として機能する。
【0042】
図7は、充電システム10の機能ブロック図である。
上述のように、充電システム10は、ロボット100およびステーション200を含む。ロボット100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0043】
ロボット100は、内部センサ128、通信部142、データ処理部136、データ格納部148、駆動機構120、バッテリ118および充電回路420を含む。内部センサ128は、各種センサの集合体であり、カメラ、マイクロフォンアレイ、温度センサ、形状測定センサおよび充電残量センサ等を含む。
【0044】
通信部142は、図示しない外部サーバ(外部端末)や他のロボット等との通信処理を担当する。データ格納部148は各種データを格納する記憶装置である。データ処理部136は、通信部142により取得されたデータおよびデータ格納部148に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部136は、プロセッサおよびプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムに該当する。データ処理部136は、通信部142、内部センサ128、駆動機構120およびデータ格納部148のインタフェースとしても機能する。
【0045】
データ格納部148は、ロボット100の各種モーションを定義するモーション格納部160を含む。モーション格納部160には、ロボット100による様々なモーションが定義される。モーションは、モーションIDによって識別される。前輪102を収容して着座する、手106を持ち上げる、2つの前輪102を逆回転させることで、あるいは、片方の前輪102だけを回転させることでロボット100を回転行動させる、前輪102を収納した状態で前輪102を回転させることで震える、ユーザから離れるときにいったん停止して振り返る、などのさまざまなモーションを表現するために、各種アクチュエータ(駆動機構120)の動作タイミング、動作時間、動作方向などがモーションファイルにおいて時系列定義される。また、ロボット100がステーション200に進入した後に行う充電姿勢なども定義されている。
【0046】
データ処理部136は、認識部156および制御部150を含む。制御部150は、移動制御部152および動作制御部154を含む。移動制御部152は、ロボット100の移動方向を決める。駆動機構120は、移動制御部152の指示にしたがって前輪102を駆動することで、ロボット100を移動目標地点に向かわせる。
【0047】
動作制御部154は、ロボット100のモーションを決める。動作制御部154は選択したモーションを駆動機構120に実行指示する。駆動機構120は、モーションファイルにしたがって、各アクチュエータを制御する。
【0048】
認識部156は、内部センサ128から得られた外部情報を解釈する。認識部156は、視覚的な認識(視覚部)、匂いの認識(嗅覚部)、音の認識(聴覚部)、触覚的な認識(触覚部)が可能である。認識部156は、カメラ、温度センサおよび形状測定センサの検出情報を定期的に取得し、人やペットなどの移動物体や、オーディオやテレビ等の固定物体を検出できる。認識部156は、移動物体の特徴(身体的特徴と行動的特徴)を抽出し、これらの特徴に基づいて複数の移動物体をクラスタ分析できる。
【0049】
認識部156は、また、形状測定センサにより被写体の三次元形状を測定し、その被写体が所定の形状を有する物体であるか否かを判定する。例えば、認識部156は、被写体が凹凸形状を有するか否かを判定する。凹凸形状を有しないとき、被写体はテレビ、壁、鏡などの平面体であると推定できる。
【0050】
充電残量センサは、バッテリ118の充電残量を検出する。データ処理部136は、充電残量が所定値以下となると、後述する充電のための制御処理を開始する。移動制御部152は、ロボット100をステーション200へ移動させる。充電回路420がステーション200の充電回路224に接続されることにより、バッテリ118への充電可能となる。
【0051】
一方、ステーション200は、充電回路224を含む簡易な構成からなる。ロボット100がステーション200の設定位置に着座すると、給電端子204と充電端子302とが当接し、ステーション200の充電回路224とロボット100の充電回路420とが接続され、充電が開始される。なお、本実施形態では、ステーション200を簡易かつ低コストに実現するために、ロボット100との通信部や各機構の制御部を設けていないが、変形例においては、これらを設けてもよい。
【0052】
次に、ステーション200の特徴的機能について説明する。
図8は、ロボット100の進入動作を表す図である。図8(a)~(c)は、その動作過程を示す。
バッテリ118の充電残量が所定値以下になると、ロボット100は、ステーション200へ向けて移動する。このとき、カメラや形状測定センサ等の情報に基づいて障害物を避けながらステーション200へ向かう。ロボット100は、図8(a)に示すようにステーション200に接近すると、その向きを反転してバックし、ステーション200に進入する。
【0053】
このとき、図8(b)に示すように、ロボット100の進行方向(後進方向)がステーション200の中央ラインLに対して傾いている場合、ロボット100をそのまま直進させてもベース部210上の設定位置にはたどり着けない。この点、本実施形態では、後輪103がガイド部220に突き当たることを契機に可動部212が回動(スライド)し、ロボット100の進行方向を中央ラインLに沿うようにガイドする。それにより、図8(c)に示すように、ロボット100をステーション200の奥方まで導くことができ、設定位置に到達させることができる。
【0054】
このとき、後輪103が車輪受222に受け入れられることで、ロボット100の位置決めがなされる。その状態から前輪102および後輪103をそれぞれ収容することで、ロボット100が着座姿勢となる。なお、ロボット100の左右には一対の凹部218があるため、ホイールカバー312が段部214に干渉するなどしてその着座動作を妨げるようなことはない。この着座姿勢をとることにより、充電端子302が給電端子204に当接し、充電が開始される(図1参照)。
【0055】
図9は、可動部212のスライドメカニズムを例示する模式図である。図9(a)~(c)は、その動作過程を示す。同図においては説明の便宜上、ロボット100に関しては前輪102と後輪103との位置関係のみを示し、ステーション200に関してはロボット100の進入路のみを示している。
【0056】
ここでは、図9(a)に示すように、ロボット100の進入方向とステーション200の進入路の方向とがずれた状態、つまりロボット100が中央ラインLに対して所定以上傾いた角度でステーション200へ進入してきた場合を仮定する。図示の例では、後輪103がガイド部220に突き当たったときに、右前輪102bの接地面PRは可動部212に位置し、左前輪102aの接地面PLはスロープ216に位置する。すなわち、後輪103がガイド部220に差し掛かる状態で、右前輪102bは可動部212に乗り上げ、左前輪102aは可動部212に乗り上げない位置関係となっている。この場合、ガイド部220が中央ラインLに対して傾斜しているため、後輪103がガイド部220に接触することで、その後輪103を中央ラインL側に向ける力f1が生じる。一方、後輪103と前輪102との位置関係が固定されているため、ガイド部220には右前輪102bの回転による摩擦力が作用する。この摩擦力の分力f2により可動部212に回転力(モーメント力)が生じ、図9(b)に示すように、可動部212が回動軸236を中心に図中反時計回りに回動(スライド)する。
【0057】
この可動部212の回動が、ロボット100を左旋回させる。ロボット100は、後輪103が車輪受222へ向けてガイドされることで、テーブル202上の設定位置に導かれる。言い換えれば、可動部212は、段部214からの反力、つまりロボット100の移動に対する拘束力を軽減する方向へ変位する。左前輪102aが可動部212に乗り上げる段階では、ロボット100の進入方向がステーション200の中央ラインLと平行に近い状態となり、ロボット100を設定位置にスムーズに導けるようになる。
【0058】
図9(c)に示すように、後輪103が車輪受222に到達する段階では、前輪102の接地面PR,PLは、可動部212から離脱した状態となる。つまり、後輪103が目標点へ到達する前に、前輪102が可動部212から離脱する位置関係となる。このため、ロボット100が充電を開始する前に、可動部212を初期位置に復帰させることができる。そのため、充電完了後にロボット100がステーション200から退出する際、前輪102が可動部212から反力を受けることもなく、スムーズに脱出できる。
【0059】
以上、実施形態に基づいてロボット100、ステーション200およびこれらを含む充電システム10について説明した。ステーション200によれば、ロボット100の進入角度がずれていたとしても、可動部212の作動によりその進行方向を修正し、設定位置までスムーズにガイドできる。すなわち、ロボット100と可動部212との間に作用する摩擦力を効果的に利用して可動部212をスライドさせ、ロボット100を旋回させる。それにより、ロボット100の進行方向が自然に修正されるのである。
【0060】
ロボット100は、左前輪102aと右前輪102bとが個別に駆動できるため、ステーション200への進入制御に際して各輪の制御に細かい補正を繰り返せば設定位置に到達することも不可能ではない。しかし、ステーション200への進入のために処理負荷が過大となったり、長時間を要するのは運用上好ましくない。この点、本実施形態によれば、各輪を細かく制御しなくとも、可動部212が自然にスライドしてロボット100の進入を補助するため、簡易かつ低コストな運用が可能となる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0062】
上記実施形態では述べなかったが、後輪103をボール状のキャスターにて構成してもよい。あるいは、後輪103として、例えばオムニホイール等、前後左右に移動自在の他の車輪を採用してもよい。
【0063】
上記実施形態では、後輪103を「誘導部分」として、ガイド部220にガイドさせる構成を例示した。変形例においては、ロボットの一部(例えば突き出した部分)を誘導部分とする等、車輪以外の部分をガイド部によりガイドしてもよい。ガイド部の高さ(位置)は、その誘導部分の位置に応じて定めることができる。
【0064】
上記実施形態では、ロボット100がバックによりステーション200に進入する例を示した。すなわち、後輪103が進入方向の先輪(進入先輪)、前輪102が進入方向の後輪(進入後輪)となる例を示した。変形例においては、ロボットが前進によりステーションに進入する構成としてもよい。上記実施形態のようにロボットの車輪を3輪とする場合、前輪を1輪、後輪を2輪とし、その後輪を駆動輪、前輪を従動輪としてもよい。あるいは4輪とし、進入先輪を従動輪、進入後輪を駆動輪としてもよい。その場合、進入先輪の車輪幅(左輪と右輪との間隔)を進入後輪のそれより小さくしてもよい。
【0065】
上記実施形態では、ロボット100が車輪走行する例を示した。変形例においては、2足歩行のロボットに対し、上記実施形態に基づくステーションを構成してもよい。その場合、ロボットの誘導部分(ボディの一部など)がガイド部に差し掛かったときに、脚部の一部(片足)が可動部に乗り上げる位置関係とする。このような構成を採用しても、ガイド部が変位することで、ロボットの進行方向を補正できる。
【0066】
上記実施形態では、充電端子302をロボット100の底面に設け、給電端子204をテーブル202の上面に設ける例を示した。変形例においては、充電端子をロボットの背面、背面下部(お尻)、手の内側(脇の下)などの特定の部位に設けてもよい。充電端子の位置に応じて、ステーションにおける給電端子の位置も適宜設定される。その給電端子の位置に応じて、ロボットを誘導すべきテーブル上の設定位置が定められる。
【0067】
上記実施形態では述べなかったが、ガイド部220の摩擦係数は、後輪103が当接したときに滑らせることができる程度に小さくする。一方、可動部212の摩擦係数は、前輪102が空転しない程度に大きくし、前輪102の摩擦力を可動部212の回動力に変換できるようにする。すなわち、ガイド部220および可動部212のそれぞれの材質として、そのような摩擦係数を有するものを採用する。
【0068】
図5(b)に示したように、ガイド部220は、ロボット100の進入方向奥方に向けて幅狭となる形状を有するが、車輪受222の手前付近から奥方にかけて等幅とされている。図9(c)に示したように、その等幅部分は、間隔が後輪103の横幅よりやや大きく、長さ(奥行)が後輪103の前後幅よりやや大きい。図示の例では、後輪103としてボール状(球状)のキャスターを採用しているため、等幅部分の間隔および長さが後輪103の直径よりもやや大きい程度とされている。このような構成により、後輪103が等幅部分に差し掛かって以降、中央ラインLに沿って進行させることができる。
【0069】
ロボット100は、ガイド部220の上記等幅部分が長いほど、進行方向を中央ラインLに沿うように調整し易くなり、充電端子302を給電端子204に正対させ易くなる。逆に、上記等幅部分が短いと両端子を正対させ難いため、給電端子204の幅を充電端子302よりも相当大きくしたり、給電端子204を充電端子に合わせて可動にする等の必要が生じ得る。この点、上記実施形態では等幅部分の長さが必ずしも十分とは言えないものの、可動部212の回動を利用することでロボット100の進行方向を調整し、両端子を正対させ易くしている。言い換えれば、上記実施形態によれば、ステーション200を奥行方向にコンパクトに維持しつつ、ロボット100の接続容易性を高めることができる。
【0070】
また、図5(b)に示したように、ガイド部220を形成する側壁は、ベース部210の上面に対して垂直(ほぼ鉛直)とされている。すなわち、ガイド部220の側面(「ガイド面」ともいう)は、奥行方向には中央ラインLに対して傾斜するテーパ形状を有するが、高さ方向にはテーパ形状を有していない。ガイド部220は、車輪受222に向けて後輪103を奥行方向に導くテーパ形状と、後輪103が接触するガイド面を有する。
【0071】
上記実施形態では、後輪103をガイド部220の側壁に押し当て、その側壁が中央ラインLに対して傾いていることで、後輪103の側壁の接触箇所に中央ラインLに向かう方向の力成分が生じる。これにより、後輪103が側壁を滑りながら中央ラインLに向かう方向に振られ、次第に後輪103が旋回される。つまり、キャスターの車輪の車軸(後輪103の車軸410)に直交するように設けられる旋回軸まわりに旋回する。すなわち、ロボット100の進行方向に対して傾斜する壁に後輪103を接触させることで、その後輪103をステーション200の中心(中央ライン)に導く手法をとっている。その側壁に対して適度な押圧力を付与できるよう、前輪102の駆動力を確保する必要がある。一方で、この駆動力によって後輪103がガイド部220を乗り越えてしまうことを防止しなければならない。そこで、ガイド面の高さを後輪103の回転軸の高さと同等以上とし、後輪103がガイド面に乗り上げ難くするのが好ましい。上述のようにガイド面を鉛直面とし、その高さを十分に確保することで、これを実現できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9