(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ガス除去装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/36 20060101AFI20220908BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20220908BHJP
A61M 39/26 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61M5/36
A61M39/24
A61M39/26
(21)【出願番号】P 2021210909
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2019015254の分割
【原出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519036695
【氏名又は名称】アイルン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AILNH,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ノートン ヘリック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド サロフ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード グリーン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-250910(JP,A)
【文献】特開2006-223871(JP,A)
【文献】特開2015-85181(JP,A)
【文献】米国特許第3996027(US,A)
【文献】米国特許第4900308(US,A)
【文献】国際公開第2012/128816(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/168210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/36
A61M 39/24
A61M 39/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁であって、内部チャンバを取り囲む外壁と、
内部チャンバは、所定量の流体およびガスを保持し、
入口ポートであって、流体が前記内部チャンバに入るのを可能にし、前記外壁に対して所定角度にある入口ポートと、
出口ポートであって、流体が前記内部チャンバから出るのを可能にする出口ポートと、
前記入口ポートから90度回転させた位置において前記外壁に取り付けられている管クリップであって、前記外壁から外方に突出するように構成されるとともに、前記入口ポートに接続される管を受け入れる凹部を有している管クリップと、を備えている、装置。
【請求項2】
前記入口ポートが、前記外壁に対して垂直より小さくかつ平行より大きい角度にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内部チャンバからガスを除去し、より多くの液体が前記入口ポートを通って前記内部チャンバに入るのを可能にする弁をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記出口ポートが前記外壁の一方の端部にあり、前記弁が該外壁の反対側の端部にあり、前記出口ポートおよび前記弁が前記外壁の中心軸に沿って位置合せされている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弁が一方向弁である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記弁が、ガスが前記内部チャンバから出るのを可能にするように開放されるまで、ガスを捕捉するように閉鎖される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
外壁であって、内部チャンバを取り囲み、2つの平坦な端部を有する外壁と、
内部チャンバは最低1.0mlの量を保持することができ、
入口ポートであって、前記外壁から角度をなして前記外壁に取り付けられている入口ポートと、
前記外壁の一方の端部にある出口ポートであって、前記出口ポートおよび前記入口ポートが、互いから最短6.35ミリメートルの間隔にある、出口ポートと、
前記外壁の出口ポートとは反対側の端部にある弁であって、前記弁および前記出口ポートが、前記外壁の中心軸に沿って位置合せされている、弁と、
前記入口ポートから90度回転させた位置において前記外壁に取り付けられている管クリップであって、前記外壁から外方に突出するように構成されるとともに、前記入口ポートに接続される管を受け入れる凹部を有している管クリップと、を備えている、装置。
【請求項8】
前記入口ポートが、前記外壁に対して10度より大きいが90度以下である角度にある、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記弁がルアー作動弁であり、前記弁が、前記内部チャンバ内部に空気またはガスを捕捉するように閉鎖される、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
外壁であって、内部チャンバを取り囲む外壁と、
内部チャンバは最低1.0mlの量を保持することができ、
入口ポートであって、前記外壁に対して垂直より小さくかつ平行より大きい角度で前記外壁に取り付けられている入口ポートと、
前記外壁の一方の端部にある出口ポートであって、前記出口ポートおよび前記入口ポートが、互いから最短6.35ミリメートルの間隔にある、出口ポートと、
前記外壁の出口ポートとは反対側の端部にある弁であって、前記弁および前記出口ポートが、前記外壁の中心軸に沿って位置合せされており、前記弁が、前記内部チャンバ内部に空気またはガスを捕捉するために閉鎖される、弁と、
前記入口ポートから90度回転させた位置において前記外壁に取り付けられている管クリップであって、前記外壁から外方に突出するように構成されるとともに、前記入口ポートに接続される管を受け入れる凹部を有している管クリップと、を備えている、装置。
【請求項11】
前記弁がルアー作動弁である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記内部チャンバから空気またはガスを除去するために、かつより多くの液体が前記入口ポートを通って前記内部チャンバに入るのを可能にするために、前記弁内に物体が挿入される、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体送達装置の分野に関し、より詳細には、種々の業界および環境における流体、装置またはデバイスから望ましくないガス(たとえば、空気)を除去する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈内輸液ライン、油圧ライン、送水管もしくはパイプ、または油およびブレーキ等の自動車用流体システム等のラインにおいて見出されるガスは、エアポケットを形成することが多く、それは、機器またはプロセスに対して有害であることがある。医療分野において、静脈内(IV)輸液ライン内の空気は致命的である場合があるため、IVライン内の全空気を除去することは極めて重要である。別の分野としては、産業システムおよび油圧ラインが挙げられ、そこでは、空気は、機器または製造されている製品の速度を遅くするか、またはそれらに対して損傷をもたらすことがある。ライン内に入るガス(多くの場合、空気)に関連する問題は、限定されないが、医療、研究、実験室、製造、アビオニクス、結腸洗浄、化学療法、および、ガスの導入が、課題、問題をもたらし、またはプロセスもしくは製品の結果に悪影響を及ぼす、他の任意の分野または目的を含む、さまざまな業界およびサービスに存在する問題である。
【0003】
結腸洗浄の分野では、気泡を除去するか、または結腸システムの使用者の体内に気泡が入るのを防止することが、有意義な体験に対し、かつ、結腸デバイスのラインにおける空気の導入によってもたらされる潜在的な問題を回避するために、必須である。
【0004】
さらに、本開示の発明は、種々の業界および用途において使用することができる。たとえば、限定としてではなく、本開示の発明は、飲料業界において、例として、飲料(たとえば、ビールおよびソーダ)の製造から望ましくないガスを除去するために使用することができる。
【0005】
さらに、高価であり、入手が困難であるかまたは特別な取扱いが必要であり、正確な投薬が必要な薬物(たとえば、化学療法に使用される薬物)の場合、本発明は、気泡を除去するためにラインをパージ/プライミングしなければならないため、貴重な薬物を廃棄し交換しなければならない、ということを回避する。さらに、現行の技術および装置では、バッグが空であるとき、装置内に液体が頻繁にためられる。バッグおよび管が空であるときに装置内に液体を有していない装置があることが必要である。本開示の発明は、この利益および本明細書に示す他の利益を提供する。
【0006】
医療分野では、空気もしくは気泡または栓子が血管内または心臓内に捕捉され、血管または心臓を通る血液の正常な流れを妨げる場合、空気塞栓症またはガス塞栓症が発生する場合がある(たとえば、血管の場合、血管空気塞栓症(vascular air embolus)(VAE))。患者の静脈内の空気は、心臓の右側に進み、心臓から肺まで進むことがある。肺に血液を提供している血管内に捕捉された空気は、肺循環を阻止し、胸痛および呼吸促迫をもたらすことがある。患者により、空気は、心臓の左側に進み、脳または冠動脈の方に進むことがあり、それにより、より深刻な合併症に至る場合がある。空気塞栓症の影響は、栓子の大きさと、空気が血管内に入る速度とに直接関連する。50mlの空気により、低血圧および律動異常がもたらされることがあり、300mlの空気により、それが急速に導入される場合は死を引き起こす場合がある。一般に、これは、循環路の閉塞および心血管虚脱によって発生する。
【0007】
注射器を使用する等、外科手術または他の医療処置の間に、血管内に空気が導入される場合がある。空気は、血管内に導入された流体内に捕捉された泡の形態で導入される場合がある(たとえば、輸血、生理食塩水または医薬品等の流体を供給するIV輸液ライン)。さらなる気泡は、たとえば、IVラインをプライミングするとき、ラインのプライミング中にローラクランプをゆるめるのが急すぎる場合に、形成される可能性がある。流体が供給される際にその流体内に小さい気泡が存在することがある。
【0008】
空気塞栓症の症状および臨床兆候は、循環システム内に空気が入る程度に関連する。患者の体内に入ることがあるいかなる量の空気も重大とみなさなければならないということが、一般的に受け入れられている。その影響は、患者の状態、空気の量および蓄積速度と直接相関する。メディケア・メディケイドサービスセンター(Center for Medicare/Medicaid Service)(「CMS」)によれば、空気塞栓症は、すぐに急を要する結果を招くことがありかつ身体に耐性がまったくない、非常に絞り込まれた事象である。
【0009】
1つの発表された論文は、空気塞栓症を患う患者の間の死亡率は21%であったと述べている。1/5を超える。(非特許文献1を参照されたい。)塞栓症により死に至らない場合、静脈空気塞栓症の非致死的発現により、医療専門家による広範囲な診断および治療介入を受けることになる。したがって、医療専門家の関連する臨床治療および結果としての長期の入院にコストを割り当てることによってなされるリスクのコスト評価を行うことにより、患者の循環系内に空気が入るのを防止することによって、医療提供者に対して明確な経費削減をもたらすことができる。完全ICU治療を必要とする重篤な複数の合併症の場合、病院は、相当なコスト削減をする。さらに、CMSが、空気塞栓症を「ネバーイベント(Never Event)」、すなわち、医療サービスの提供における決して起こってはならない深刻かつコストのかかるミスとして指定したため、訴訟コストおよび費用は何百万ドルである可能性があり、「ネバーイベント」として指定されたために、病院または他の提供者は、責任およびコストを負わなければならない。
【0010】
患者の血液中に空気が導入されるのを防止しようとするさまざまな努力がなされてきた。それらの多くが、空気を検出し、ライン内で空気が検出された場合にアラームを鳴らす1つまたは複数のセンサを有することにより、問題を解決しようと試みる複雑化した装置の使用を必要とする。アラームは有用である場合があるが、システム内または患者の体内に空気が導入されるのを防止するという問題は解決せず、いくつか後述する他の問題をもたらす。血液中に気泡が導入されるのを防止する他の解決法は、完全に成功しないことが多く、経時的に摩滅する構成要素を有する複雑化した装置を必要とすることが多い。気泡を防止する他の解決法は、ライン内の空気または乱流の量が予測された量より大きい場合、正確に機能しない。これらの解決法および他の解決法は、空気がIVライン内にあるときを検出するシステムも含む場合がある。気泡がポンプに達すると、アラームが鳴って介護者に警告することができ、ポンプは停止することができる。そして、介護者は、患者のところに行って、IVラインから気泡を除去するように試みなければならない。この実施は、介護者に対して貴重な時間を消費し、良好な介護に関連するコストを増大させ、多くの場合、介護者に対してアラーム疲労(alarm fatigue)をもたらし、それは、医療分野において深刻な認知された問題である。この問題を防止しようとする他の解決法は、中心静脈カテーテルを挿入するために、または輸液セットに空気が入るのを防ぐサイフォンを使用するために、患者を高い位置に配置することを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2003-250910号公報
【文献】国際公開第2014/168210号
【文献】米国特許第3996027号明細書
【文献】特開2015-85181号公報
【文献】米国特許第04900308号明細書
【文献】国際公開第2012/128816号
【文献】特開2006-223871号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】マッカートニーCJ(McCarthy CJ)、ベラベッシュS(Behravesh S)、ナイドゥSG(Naidu SG)、オクルR(Oklu R)著、「空気塞栓症:診断、臨床管理および転帰(Air Embolism:Diagnosis,Clinical Management and Outcomes)」、ケアーA(Kjaer A)編、診断学(Diagnostics)、2017年、7(1):5、doi:10.3390/diagnostics7010005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、現行の方法および装置の不都合を有していない、IVラインから気泡を除去する装置および方法が必要とされる。現行の解決法は、限定されないが、空気および流体を保持する容量(現行の標準プロトコルは、72時間~96時間後にIVセットを取り除かなければならない)を含む、さまざまな点で限られており、より多くの気泡が形成されるようにし、詰め替え可能ではないという点で限られており、時に移動するかまたは位置を変えて、空気がラインに導入されるようにすることがある。したがって、これらの現行の問題を解決する必要がある。空気が流体から除去される際により多くの空気を保持するために、かつより多くの流体を保持するために、より大きい容量が必要とされる。これにより、必要な保守を減らすことができ、コストが削減され、時間が短縮される。空気除去装置の開発、製造、保守および維持におけるコストを、より少ない部品を使用し、装置内に電気がなく、破壊する可能性がある複雑化したかつ複雑な組込部品がなく、流体が流れ込むチャンバ内に障害物がないことにより、削減する必要もある。詰め替え可能な装置を有する必要もあり、それにより、捕捉された空気を、装置の弁を通して空気を抽出することにより、除去して流体と置き換えることができる。機能および性能の問題を回避するために、装置およびチューブの適切な向きもまた必要とされる。本開示の発明は、これらおよび他の関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態では、本開示は、流体システム用の空気除去装置を提供する。空気除去装置は、流体源と流体連通する入口と、血流と流体連通する流体出口と、空気除去のための空気出口とを備えたハウジングを含む。少なくとも1つの実施形態の一態様では、空気除去装置の頂部は、垂直向きを確保するためにチューブを固定する管クリップを提供する。装置のシェルまたは本体は、限定されないが、プラスチック、ポリマー、合成化合物および本技術分野において既知の他の材料を含む、安全な任意の材料から作製することができる。この実施形態の一態様では、シェルまたは本体内部に液体を貯蔵するためのチャンバが設けられる。このチャンバは、血液から除去される空気のための貯蔵も提供することができる。空気は、弁に向かってチャンバの頂部まで上昇し、チューブを通して患者まで移動しない。
【0015】
本開示の別の実施形態では、静脈内輸液管システムから空気を除去するように設計された小型アセンブリを有する空気除去装置が提供される。管システムにおいて空気が導入されるかまたは発生すると、それは、患者のリスク(塞栓症)に通じるか、または、少なくとも、看護師の対処を必要とする場合がある。本開示のこの実施形態は、空気が患者の体内に導入される前に流体から分離されるようにすることにより、これらの問題を軽減する。この実施形態は、ポンプ(または、システムが重力送りである場合は、患者)の前の最後の構成要素として任意のIV管セットと一列に接続される。装置の頂部にあるクリップ機構が、IV管に取り付けられて、推奨される向きを確保する。システム内のいかなる空気も、流体がチャンバに入る際に流体から分離される。空気は、チャンバに入ると、流体を通ってチャンバの頂部まで上昇し、少量の流体を変位させる。必要な場合は、大量の空気が捕捉された後、シリンジまたは他の物体もしくは装置を弁に取り付けて、空気を引き出すことにより、装置を流体で再充填することができ、これにより、同時に、チャンバが流体で再充填される。これにより、装置は、再プライミングのためにポンプから取り除くことなく容易に再充填することができる。
【0016】
さらに別の実施形態では、本開示は、外壁であって、内部チャンバを取り囲む外壁と、内部チャンバであって、所定量の流体および空気またはガスを保持し、流体内部の空気が内部チャンバの一端まで上昇し、流体が内部チャンバの他端まで流れる、内部チャンバと、入口ポートであって、流体が内部チャンバに入るのを可能にし、外壁に対して所定角度にある入口ポートと、出口ポートであって、流体が内部チャンバから出るのを可能にする出口ポートと、外壁に取り付けられる管クリップとを備える装置を提供する。
【0017】
本開示は、業界における現行の標準的な実施と比較して多くの利益を有する。第1に、本開示は、空気が流体から除去される際により多くの空気を保持するために、かつより多くの流体を保持するために、より大きい容量を可能にする。これにより、必要な保守を減らすことができ、コストが削減し時間が短縮する。本開示はまた、空気除去装置の開発、製造、保守および維持のコストを、より少ない部品を使用し、装置内に電気がなく、破壊することがある複雑化したかつ複雑な組込部品がなく、流体が流れ込むチャンバ内に障害物がない(障害物がある場合、より粘性のある流体が空気の排気を妨げる可能性があり、または、障害物が経時的に摩滅するかまたは故障する場合がある)ことにより削減することも可能である。本開示はまた、装置が詰め替え可能な装置を有することも可能にし、それにより、捕捉された空気を、装置の弁を通して空気を抽出することにより、除去し流体と置き換えることができる。本開示はまた、装置の頂部におけるクリップが装置およびチューブの適切な向きを確保するのも可能にする。本開示はまた、同様の装置のプライミングのための現行の方法およびシステムより小さい直径も可能にする。たとえば、本開示における装置のためのプライミングは、8.89mm(0.35インチ)の最小径で行うことができるが、8.89mm(0.35インチ)より大幅に小さい直径は、装置が適切にまたは容易にプライミングするのを阻止する。本開示はまた、状況および用途に応じて、かつ捕捉要件に応じて、直径、長さおよび容積の変動も可能にする。本開示はまた、基本操作のみを用いて成形プラスチックまたは機械加工材料を用いる等、複数のプロセスおよび材料を用いる容易な製造も可能にし、摩耗または空気もしくはガスが予測されるより大きいかまたはより乱れてチャンバに入ることにより故障する場合がある構成要素の使用を必要としない、装置および方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】入口ポートが観察者から見て頂部にあり、弁が観察者に最も近い、ある角度からの実施形態を示す。
【
図2】入口ポートが観察者から見て底部あり、出口ポートが観察者に最も近い、ある角度からの実施形態を示す。
【
図3】入口ポートが観察者に最も近い、上面部からの実施形態を示す。
【
図4】入口ポートが観察者から見て頂部にある、側方角度からの実施形態を示す。
【
図5】内部チャンバが可視であり、内壁と、入口ポートおよび出口ポートの内部と、弁の内部とが可視であり、入口ポートが観察者から見て頂部にある、側方角度からの実施形態を示す。
【
図6】50%の長さでの本開示の別の実施形態を示す。
【
図7】150%の長さでの本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図8】50%の直径での本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図9】150%の直径での本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図10】管クリップを含む、本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図11】入口ポートが、装置の中間にかつ出口ポートと弁との間にある、本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図12】入口ポートが外壁から75度にある、本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図13】入口ポートが外壁から15度にある、本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図14】弁がなく、頂部に管クリップがある、本開示のさらに別の実施形態を示す。
【
図15】弁がなくかつ管クリップがない、本開示のさらに別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
流体送達システムは、空気除去装置(たとえば、エアキャッチ、脱ガス装置等)を含む。流体送達システムは、流体源から患者まで、1本の管によって提供される通路等、概して閉鎖した通路を通して、流体を輸送するように構成される。他の実施形態では、ボトル、または他の閉鎖した滅菌容器等、別の流体源から流体を供給することができる。流体送達システムを使用して、限定されないが、増量剤(たとえば、脱水症を食い止めるための補液としての生理食塩水(NaCl)、グルコース液等)、全血(たとえば、輸血)、血液成分(たとえば、赤血球、血漿、血小板等)または医薬品(たとえば、化学療法薬、抗生物質等)を含む、各々がさまざまなレベルの粘性を含む種々の流体を、患者の血管に送達することができる。
【0020】
流体送達システムは、適切な出口コネクタを介して、皮膚を通して静脈内に挿入されるカテーテルに結合することができる。静脈は、末梢静脈(たとえば、腕または脚の静脈)または中心静脈(たとえば、頭部または胸部の静脈)であり得る。他の実施形態では、流体送達システムは、患者の皮膚に植え込まれたポート等、別のデバイスを通して患者の体内に流体を送達することができる。出口コネクタは、たとえば、オスルアーコネクタとすることができ、それは、流体送達システムの出口に永久的に結合され(たとえば、熱または接着剤を介して融着され)、対応するメスルアーコネクタに結合されるように構成される。他の実施形態では、流体送達システムの出口は、別のタイプのコネクタにより(たとえば、ねじ型または圧入等を介して)カテーテルまたは別のデバイスに結合することができる。
【0021】
一実施形態では、流体送達システムを通って患者の血管に入る流体の流量は、輸液ポンプ、すなわち、指示されたレベルの流体を患者の体内に圧送するデバイスにより、モニタリングされかつ制御される。輸液ポンプは、一定の速度で、または断続的に、介護者によるかまたは患者により直接決定される頻度で、流体を送達することができる。流体送達システムの一部が、輸液ポンプを通過し、輸液ポンプと直接インタフェースして、流体の流量を制御する。一実施形態では、流体送達システムは、輸液ポンプの対応するソケット内に嵌まるように構成されたカセットを含む。他の実施形態では、流体送達システムはカセットがない場合があり、輸液ポンプは、1本の管を受け入れるように構成することができる。
【0022】
他の実施形態では、輸液ポンプを使用しない場合があり、流体送達システムは、IVバッグが患者の上方に吊り下げられ、流体が重力を介して送達される、重力点滴システムであり得る。他の実施形態では、2つ以上の流体送達システムが、単一のカテーテルまたは他の刺入部を通して患者に流体を送達することができる。こうした実施形態では、流体送達システムのうちの1つまたは複数は、輸液ポンプを用いて流量を制御することができ、1つまたは複数の他の流体送達システムは、重力送りシステムであり得る。
【0023】
空気除去装置は、気泡が患者に達する前に流体送達システムから気泡を除去する。患者の血管内に導入される空気の量を低減させることにより、患者に危害をもたらす空気栓子等、血管内の空気に関連する合併症の可能性が、劇的に低減するかまたはなくなる。
【0024】
いくつかの輸液ポンプは、輸液ポンプを通過する流体送達システムの部分における所定量の空気の存在を検出するシステムを含むことができる。こうしたライン内空気検出システムは、流体送達システムを通る流体の流れを停止すること、および/または介護者に警告すること等、予防策をとるように構成することができる。警告は、たとえば、空気が検出されると起動され、流体送達システムから空気が除去されかつ輸液ポンプがリセットされるまで続く、可聴音であり得る。空気除去装置は、流体送達システム内で輸液ポンプから上流に配置されている場合、これらの警告の発生を低減させ、患者および介護者両方の動揺を低減させる。これらの繰り返される警告は、非常に一般的でありかつ医療プロセスを阻害するものであるため、医療業界は、繰り返される警告が経時的に非常に頻繁に発生するため優先度が低くなるかまたはまとめて無視され始めることから、医療専門家がそうした警告に対して頻繁に応答しなくなる、という現象を述べるために、「アラーム疲労」という用語を作り出した。医学界の会員は、「アラーム疲労」を、最も重要な、そうでなければ最も重要な装置関連の患者に対する健康に有害なもののうちの1つとして特定した。本開示の発明は、アラーム疲労および他の関連する問題に対する解決法を提供する。
【0025】
流体は、IVバッグを穿刺するように構成されたスパイクにおける開口部として示す入口を通って、流体送達システムに入る。スパイクは、IVバッグの下方に吊り下げられた点滴筒に結合される。流体は、制御された流量で、IVバッグから出て、開口部を通り、点滴筒内に滴下するかまたは他の方法で流れ込む。開口部の大きさは、所望の液滴寸法および流量を達成するように選択することができる。流体送達システムがプライミングされ(すなわち、概して流体で充填され)、使用されるとき、点滴筒は、概して、流体で少なくとも部分的に充填される。流体は、点滴筒から流体送達システムの残りの部分まで進み、一方で、空気の大部分は、点滴筒内に残るかまたは開口部を通ってIVバッグ内に逆流する。
【0026】
流体は、点滴筒から、管を介して、逆止め弁およびフォーク状チューブまたはYサイトとして示すコネクタ等の他の構成要素を通って進むことができる。1つの流体送達システム(たとえば、二次セット、ピギーバックセット等)が、Yサイトを介して別の流体送達システム(たとえば、一次セット)と結合するかまたは「ピギーバックする」ことができる。Yサイトは、別の物質が流体送達システムに導入されるのを可能にするポート(たとえば、投薬ポート、輸液ポート等)を含む接合部である。物質は、たとえば、第2流体源からの第2流体であり得る。第2流体は、Yサイトとインタフェースする管を介してIVバッグと同様の流体源から、ポートを穿刺する針を備えたシリンジから、または、コネクタ(たとえば、ルアーコネクタまたは別のニードルレスコネクタ)による等、別の方法でYサイトとインタフェースするシリンジから、送達することができる。2つの流体送達システムが各々連続的に作動することができ、一方の流体送達システムが連続的に作動することができる一方で、他方の流体送達システムが周期的に第1流体に第2流体を追加し、または、第2流体送達システムが作動しているとき、第1流体送達システムが停止することができる。流体送達システム内に第2流体を導入することにより、システム内に追加の空気が導入される場合がある。
【0027】
ガス除去装置は、流体送達システムの入口と出口との間に流体路に沿って配置される(たとえば、流体が開口部から出口コネクタまで流れる管に接合される)。空気除去装置は、入口、流体出口、空気出口および流路を画定するハウジングを含み、流路に沿って、流体は、入口からハウジングを通って流体出口まで進む。例示的な実施形態によれば、ハウジングは、剛性のFDA承認材料から形成される。一実施形態では、ハウジングは、概して、主円筒状部分と、主円筒状部分と交差する角度付き円筒状部分として形成される。主円筒状部分の反対側の端部に、流体出口および空気出口が設けられ、角度付き円筒状部分の先端部に入口が設けられる。ハウジングの反対側の端部に出口が配置されることにより、流体流路からの空気の除去が促進される。
【0028】
円筒状部分は、標準約6.35ミリメートル(1/4インチ)径ポリマー(たとえば、ポリプロピレン、ナイロン等)管等の管を受け入れるように構成される内径を有する。他の実施形態では、円筒状部分は、別の直径の管を受け入れるような大きさであり得る。管は、適切な防水結合機構により入口および出口に結合されて、入口に結合された管から流路に沿ったハウジングの内部を通して、流体出口に結合された管まで、滅菌された閉鎖通路を形成する。管は、ハウジングに(たとえば、接着剤により、熱かしめにより等)永久的に結合することができ、または、ルアーコネクタもしくは別の適切なねじ型もしくは圧入等により、ハウジングに一時的に結合することができる。
【0029】
さらに別の実施形態では、ハウジングは他の形状とすることができる。たとえば、ハウジングの内部は、概して平坦であり得るか、または、矩形断面を有することができる。他の実施形態では、入口および出口は、互いに対して他の方法で配置することができる。たとえば、ハウジングは、T字形本体であり得る。さらに別の実施形態では、本体の形状は、流体が流体送達システムから出る間に空気が頂部まで上昇し流体から分離されるのを可能にする任意の構成であり得る。
【0030】
例示的な実施形態による空気チャンバを示す。空気チャンバは、IVバッグ内に通常含まれるあらゆる空気とともに、他の発生源(たとえば、Yサイトまたは他のコネクタを介して二次ラインまたはシリンジ)から流体送達システムに導入される場合がある空気を収容するのに十分な内部容積を有するように構成された空洞を提供する。その結果、装置は、流体から空気を、それを分離するかまたは除去することができるまで安全に収容することができる。
【0031】
さらに別の実施形態では、空気チャンバは、封止された端部を有する可撓性の管状本体である。空気チャンバは、流体の存在下で反応しないFDA承認材料から形成される。空気チャンバは、たとえば、好適なポリマー(たとえば、ポリプロピレン、ナイロン等)から形成することができる。空気チャンバは、適切な気密結合機構によりハウジングの空気出口に結合されて、ハウジングの内部から空気チャンバの内部まで滅菌された閉鎖通路を形成する。
【0032】
さらに別の実施形態では、介護者は、流体供給システムをプライミングした後に空気チャンバの容積を積極的に変えないことがあるため、空気チャンバは、可撓性ブラダを含むことができる。ブラダは、圧縮形態では膨張しない。空気が流体から除去され空気チャンバに入ると、ブラダは、流体から除去された空気で膨張する。空気チャンバは、損傷または偶発的な圧縮からブラダを保護するために剛性の外側ハウジングをさらに含むことができる。外側ハウジングは、膨張するブラダが空気をハウジングの内部から追い出すのを可能にする開口部を含む。
【0033】
さらに別の実施形態では、空気は空気チャンバに収集されない場合もある。代わりに、空気は、空気出口を通って流体送達システムから出て、その後、低圧逆止め弁等のデバイスを通過して大気に出ることができる。逆止め弁により、空気は、外側の汚染物質が流体供給システムに入るのを可能にすることなく流体供給システムから出ることができる。
【0034】
さらに別の実施形態では、空気は空気チャンバに収集されない場合があるが、別の封止体に向けられることができる。たとえば、空気除去装置は、(たとえば、IVバッグの上方部分におけるそこに収容された流体のレベルより上方のポートを通通して)空気出口と点滴筒またはIVバッグ等の別のチャンバとの間に結合された、戻りラインを含むことができる。
【0035】
空気が空気チャンバに入らない場合であっても、空気除去装置により流体から空気を有効に除去することができる。たとえば、間隙によって形成された中間チャンバ内に挿入物によって捕捉される気泡は、流体とともに、出口コネクタから出て患者の血管に放出され続けることが防止される。同様に、空気は、流体送達システムを通る流体の流れを妨げることなく、上述したように空気チャンバの内部からのみではなく、流路38の外側のハウジングの上方部分(たとえば、空気出口に近接する主円筒状部分の部分)からもまた、流体を変位させることができる。
【0036】
流体送達システムの開示する発明の別の実施形態は、上述した流体システムと同様に構成される。流体送達システムは、空気除去装置と直列の追加の空気除去装置を含む。両空気除去装置は、カセット、ポンプまたは同様のデバイスから上流に設けられる。第2空気除去装置は、第1空気除去装置から下流に配置され、それにより、第2空気除去装置の入口は第1空気除去装置の流体出口に結合される。したがって、第2空気除去装置は、第1空気除去装置を通過することができるいかなる空気も捕捉し、それを、カセットに続く流体から分流させるように配置され、それにより、空気が、カセット、ポンプまたは同様のデバイスに達して、ポンプによるアラームをトリガする可能性を低減させる。空気がカセットに、その後患者に達する可能性をさらに低減させるために、複数の空気除去装置を結合することができる。別の実施形態では、ポンプは、ライン内の空気を検出しているセンサの直前に空気除去装置を収容して、ポンプ内部で空気が発生し、ポンプを停止させ、アラームを鳴らすという問題をなくすことができる。さらに別の実施形態では、気泡は、ポンプの下方から上昇し、その後、ポンプ内に入り、アラームを鳴らしポンプと停止させる一因となる。この実施形態では、これらの上昇する気泡が、ポンプ内に入ることができる前に途中で捕捉されるように、ポンプの真下に配置することができる。
【0037】
さらに別の実施形態では、流体送達システムは、上述した流体システムと同様に構成される。流体送達システムは、空気除去装置と並列または直列に1つまたは複数の追加の空気除去装置を含む。空気除去装置は、カセットの下流に設けられる。幾分かの非常に小さい気泡が、第1空気除去装置を通過することができる場合がある。
【0038】
さらに別の実施形態では、本開示の装置は、医療デバイスから下流および/または上流に設けられる別の医療デバイス(たとえば、輸液ポンプ)内に組み込まれ、空気が医療デバイスを通過して患者の体内にほとんどまたはまったく入らないことを確実にするために、複数の装置が医療デバイスと組み合わせて使用される。
【0039】
小さい気泡は、アラームをトリガすることなくポンプを通過することができる可能性もある。こうした小さい気泡は、成人にはごくわずかな影響しかないように十分に大きさが減少することがあるが、新生児集中治療室における幼い子供等、幼い子供には依然として悪影響がある場合がある。例示的な実施形態によれば、第2空気除去装置は、第1空気除去装置を通過することができる小さい気泡を捕捉するように構成することができる。したがって、第2空気除去装置は、第1空気除去装置を通過することができるいかなる空気も捕捉し、それを流体流から出口コネクタに分流させるように配置されかつ構成され、それにより、空気が患者に達する可能性を低減させる。
【0040】
さらに別の実施形態では、本開示は、外壁12であって、内部チャンバ22を取り囲む外壁12と、内部チャンバ22であって、所定量の流体および空気またはガスを保持し、流体内部の空気が内部チャンバ22の一端まで上昇し、流体が内部チャンバ22の他端まで流れる、内部チャンバ22と、入口ポート24であって、流体が内部チャンバ22に入るのを可能にし、外壁12に対して所定の角度である入口ポート24と、出口ポート26であって、流体が内部チャンバ22から出るのを可能にする出口ポート26と、外壁12に取り付けられる管クリップ14とを備える装置を提供する。
【0041】
さらに別の実施形態では、本開示は、内部チャンバ22を取り囲む外壁12と、流体および空気またはガスを保持しかつ内壁20によって包囲される内部チャンバ22と、流体が内部チャンバ22に入るのを可能にする入口ポート24であって、流体内部の空気またはガスがチャンバの一端まで上昇する、入口ポート24と、流体が内部チャンバ22から出るのを可能にする出口ポート26と、空気またはガスが出るのを可能にする弁28と、外壁12に取り付けられている管クリップ14とを備える装置を提供する。
【0042】
さらに別の実施形態では、本開示は、内部チャンバ22を取り囲む外壁12と、所定量の流体および空気またはガスを保持しかつ内壁20によって包囲される内部チャンバ22であって、流体内部の空気が内部チャンバ22の一端まで上昇し、流体が内部チャンバ22の他端まで流れる、内部チャンバ22と、流体が内部チャンバ22に入るのを可能にする入口ポート24であって、外壁12に対して所定角度にある入口ポート24と、流体が内部チャンバ22から出るのを可能にする出口ポート26と、空気またはガスが内部チャンバ22から出るのを可能にするように開放されるまで空気またはガスを捕捉するように閉鎖される弁28と、外壁12に取り付けられている管クリップ14とを備える装置を提供する。
【0043】
さらに別の実施形態では、本開示は、内部チャンバ22を取り囲む外壁12であって、2つの平坦な端部を有する外壁12と、約3mlの流体を保持しかつ内壁20によって包囲される内部チャンバ22と、外壁12から所定角度で外壁12に取り付けられている入口ポート24と、外壁12の一端における出口ポート26であって、出口ポート26および入口ポート24は互いに最短約8.89ミリメートル(0.35インチ)の間隔にある、出口ポート26と、外壁12の出口ポート26とは反対側の端部にある弁28であって、弁28および出口ポート26が外壁12の両端部にありかつ中心線に沿って位置合せされている、弁28と、外壁12に取り付けられている管クリップ14とを備える装置を提供する。
【0044】
さらに別の実施形態では、本開示は、外壁12であって、内部チャンバ22を取り囲む外壁12と、最低3.3mlの流体を保持する内部チャンバ22と、入口ポート24であって、外壁12に対して垂直(perpendicular)より小さくかつ平行より大きい角度で外壁12に取り付けられている入口ポート24と、外壁12の一端における出口ポート26であって、出口ポート26および入口ポート24が互いから最短8.89ミリメートル(0.35インチ)の間隔にある、出口ポート26と、外壁12の出口ポート26とは反対側の端部にある弁28であって、弁28および出口ポート26が外壁12の両端部にありかつ中心線に沿って位置合せされており、弁28が内部チャンバ22内部で空気またはガスを捕捉するように閉鎖される、弁28と、外壁12に取り付けられている管クリップ14であって、直径が少なくとも2mmのチューブを保持することができる管クリップ14とを備える装置を提供する。
【0045】
さらに別の実施形態では、外壁12は、長さが5.08センチメートル(2インチ)である。別の実施形態では、外壁12は、長さが5.334センチメートル(2.1インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、5.588センチメートル(2.2インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、5.842センチメートル(2.3インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、6.096センチメートル(2.4インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、6.35センチメートル(2.5インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、6.604センチメートル(2.6インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、6.858センチメートル(2.7インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、7.112センチメートル(2.8インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、7.366センチメートル(2.9インチ)である。さらに別の実施形態では、外壁12は、7.62センチメートル(3.0インチ)である。
【0046】
流体は、血液、水、生理食塩水、リンゲル液、化学療法剤、作動液、ブレーキフルード、モータオイルおよび他の任意の流体を含むが、それに限定されない。
さらに別の実施形態では、外壁12は、流体輸送または連通に安全に使用される材料からなり、限定されないが、金属、プラスチック、ガラスを含む材料を用いて構成される。一実施形態では、外壁12は、直径が約16mmである。別の実施形態では、外壁12は少なくとも2mmの厚さである。
【0047】
さらなる実施形態では、内部チャンバ22は、所定量の空気またはガスを保持することができる。一実施形態では、この所定量は約10%の空気またはガスである。別の実施形態では、所定量の空気は、15%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は20%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は、25%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は、30%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は、35%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は、40%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は、45%の空気またはガスである。さらに別の実施形態では、この所定量は、50%の空気またはガスである。しかしながら、空気またはガスのこの所定量は、本明細書に開示するような装置および方法の実施形態内で所定量の範囲を限定するものとして意図されていない。したがって、捕捉される空気またはガスの量レベルが入口ポート24の上方であり続ける限り、所定量は任意のパーセンテージであり得る。
【0048】
本開示の開発、製造、保守および使用に関連するコストを削減し安定性を向上させ、業界における標準的な実施と比較して利益を提供するために、本開示は、不要な構成要素を必要とすることなく簡単な形態で作製されるべきである。標準的な実施は、多くの部品を備える複雑化した装置の使用であり、これらの部品の多くは、可動であり、電子機器もしくは電源を使用し、または小型であるかもしくは他の部品と統合され、それにより、装置は保守され続けることが複雑化する。一実施形態では、内部チャンバ22は、空であり、いかなるディフューザまたは他の障害物もなく、流体および空気またはガスの自由な流れを可能にする。別の実施形態では、本開示は、いかなる電子制御ユニットまたはいかなる電子機器も有していない。これにより、開発、製造および保守に関連するコストを削減することができる。流体からの空気の除去は、本開示の受動的な特徴である。流体内の空気を検出するためにセンサは不要である。空気は、外力または必要な障害物を必要とすることなく、内部チャンバ22の一端まで上昇する。
【0049】
さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約1mlの容積を有する。別の実施形態では、内部チャンバ22は、約1ml~2mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約2mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約3mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約4mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約5mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約6mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約7mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約8mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約9mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約10mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約11mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約12mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約13mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約14mlの容積を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約15mlの容積を有する。
【0050】
さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約7.62ミリメートル(約0.30インチ)の直径を有する。別の実施形態では、内部チャンバ22は、約7.874ミリメートル(約0.31インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約8.128ミリメートル(約0.32インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約8.382ミリメートル(約0.33インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約8.636ミリメートル(約0.34インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約8.89ミリメートル(約0.35インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約9.144ミリメートル(約0.36インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約9.398ミリメートル(約0.37インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約9.652ミリメートル(約0.38インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約9.906ミリメートル(約0.39インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約1.016センチメートル(約0.40インチ)の直径を有する。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、約7.62ミリメートル(約0.3インチ)~約1.778センチメートル(約0.7インチ)の直径を有する。一実施形態では、内部チャンバ22は、一旦から他端まで一定の直径を有する。別の実施形態では、内部チャンバ22は、一端が他端より大きい直径を有する。たとえば、内部チャンバ22に対する上記直径の各々は、内部チャンバ22のいずれかの端部または両端部に適用することができる。さらに別の実施形態では、内部チャンバ22に対する上記直径は、内部チャンバ22の全長に適用される。
【0051】
さらに別の実施形態では、内壁20は、流体輸送または連通に安全に使用される材料からなり、限定されないが、金属、プラスチック、ガラスを含む材料を用いて構成される。一実施形態では、内壁20は約2mm厚さである。一実施形態では、内壁20は、限定されないが、ポリテトラフルオロエチレンすなわちPTFEを含む物質、または医療目的等、流体連通システムおよび装置、ならびに油圧システムおよび装置で安全に使用される他の任意の物質でコーティングされる。別の実施形態では、内壁20は物質でコーティングされない。
【0052】
さらに別の実施形態では、入口ポート24は、流体輸送または連通に安全に使用される材料からなり、限定されないが、金属、プラスチック、ガラスを含む材料を用いて構成される。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、長さが約15mmである。別の実施形態では、入口ポート24は、長さが約16mmである。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、長さが約17mmである。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、長さが約18mmである。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、長さが約19mmである。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、長さが約20mmである。
【0053】
さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から約10度である。別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から15度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から20度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から25度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から30度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から35度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から40度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から45度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12から90度である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12に対して垂直より小さくかつ平行より大きい角度にある。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12に対して垂直より大きくかつ平行より小さい角度にある。
【0054】
さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12の側面にあり、出口ポート26がある端部に近い。別の実施形態では、
図11に示すように、入口ポート24は外壁12の側面にあり、外壁12の中間において出口ポート26と弁28との間にある。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12の側面にあり、弁28がある端部に近い。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12の出口ポート26と同じ端部にある。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、外壁12の弁28と同じ端部にある。
【0055】
さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約5.08ミリメートル(約0.20インチ)である。別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約5.334ミリメートル(約0.21インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約5.588ミリメートル(約0.22インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約5.842ミリメートル(約0.23インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約6.096ミリメートル(約0.24インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約6.35ミリメートル(約0.25インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約6.604ミリメートル(約0.26インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約6.858ミリメートル(約0.27インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約7.112ミリメートル(約0.28インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約7.366ミリメートル(約0.29インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約7.62ミリメートル(約0.30インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約7.874ミリメートル(約0.31インチ)である。少なくとも1つの実施形態のさらに別の態様では、入口ポート24は、出口ポート26から約8.128ミリメートル(約0.32インチ)である。少なくとも1つの実施形態のさらに別の態様では、入口ポート24は、出口ポート26から約8.382ミリメートル(約0.33インチ)である。少なくとも1つの実施形態のさらに別の態様では、入口ポート24は、出口ポート26から約8.636ミリメートル(約0.34インチ)である。少なくとも1つの実施形態のさらに別の態様では、入口ポート24は、出口ポート26から約8.89ミリメートル(約0.35インチ)である。さらに別の実施形態では、入口ポート24は、出口ポート26から約5.08ミリメートル(約0.2インチ)から約2.54センチメートル(約1インチ)である。さらに別の実施形態では入口ポート24は出口ポート26から約2.54センチメートル(約1インチ)から約3.81センチメートル(約1.5インチ)である。さらに別の実施形態では入口ポート24は出口ポート26から約3.81センチメートル(約1.5インチ)から約5.08センチメートル(約2インチ)である。
【0056】
少なくとも1つの実施形態のさらに別の態様では、入口ポート24は、入口ポート外壁10と呼ばれる外壁によって取り囲まれる。一実施形態では、入口ポート外壁10は、少なくとも2mm厚さである。
【0057】
少なくとも1つの実施形態のさらに別の態様では、出口ポート26は、流体輸送または連通に安全に使用される材料からなり、限定されないが、金属、プラスチック、ガラスを含む材料を用いて構成される。一実施形態では、出口ポート26は、長さが約2.54ミリメートル(約0.1インチ)である。別の実施形態では、出口ポート26は、長さが約5.08ミリメートル(約0.2インチ)である。さらに別の実施形態では、出口ポート26は、長さが約7.62ミリメートル(約0.3インチ)である。さらに別の実施形態では、出口ポート26は、長さが約1.016センチメートル(約0.4インチ)である。さらに別の実施形態では、出口ポート26は、長さが約1.27センチメートル(約0.5インチ)である。さらに別の実施形態では、出口ポート26は、長さが約1.524センチメートル(約0.6インチ)である。一実施形態では、出口ポート26は、外壁12の一端にある。別の実施形態では、出口ポート26は、弁28と反対側の端部にある。さらに別の実施形態では、出口ポート26および弁28は、外壁12の中心軸に沿って位置合せされる。
【0058】
一実施形態では、出口ポート24は、出口ポート外壁16と呼ばれる外壁によって取り囲まれる。一実施形態では、出口ポート外壁16は約2mm厚さである。
一実施形態では、弁28は、流体輸送または連通に安全に使用される材料からなり、限定されないが、金属、プラスチック、ガラスを含む材料を用いて構成される。弁28は、長さが約12mmである。一実施形態では、弁28は、ルアー作動弁からなり、それは、針または他の物体がルアー作動弁に挿入されて内部チャンバ22から空気またはガスが放出されるまで、空気またはガスを内部チャンバ22内に捕捉されたままにする。この実施形態では、空気またはガスは、流体が内部チャンバ22に入るのを可能にするように内部チャンバ22から出る。一実施形態では、弁28は、外壁12の一端にある。別の実施形態では、弁28は、出口ポート26と反対側の端部にある。さらに別の実施形態では、弁28および出口ポート26は、外壁12の中心軸に沿って位置合せされる。別の実施形態では、弁は存在しない。空気は、いっぱいになるまで内部チャンバ22内に収集され、いっぱいになった時点で、空気を放出するために装置は取り除かれる。
【0059】
一実施形態では、弁28は、弁外壁18と呼ばれる外壁によって取り囲まれる。一実施形態では、この弁外壁18は約10mm厚さである。別の実施形態では、弁外壁18は約20mm厚さである。さらに別の実施形態では、弁外壁18は約30mm厚さである。さらに別の実施形態では、弁外壁18は約40mm厚さである。
【0060】
一実施形態では、管クリップ14は、流体輸送または連通に安全に使用される材料からなり、限定されないが、金属、プラスチック、ガラスを含む材料を用いて構成される。一実施形態では、管クリップ14は、幅が少なくとも6mmであり、高さが少なくとも4mmである。一実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられる。別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、弁28に近い。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、弁28および出口ポート26の中間にある。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、入口ポート24とは反対側にある。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、入口ポート24から45度である。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、入口ポート24から90度である。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、入口ポート24から135度である。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、外壁12の側面に取り付けられ、入口ポート24から180度である。さらに別の実施形態では、管クリップ14は、
図10に示すように存在しない。一実施形態では、管クリップ14は、直径が2mmであるチューブを保持することができる。
【0061】
さらに別の実施形態では、内部チャンバ22は、およそ5.6mlの容積を保持し、長さがおよそ7.0612センチメートル(およそ2.78インチ)であり、およそ1.143センチメートル(0.45インチ)の直径を有する。入口ポート24と出口ポート26との間の間隔は、およそ8.0264ミリメートル(約0.316インチ)である。出口ポート26および入口ポート24の外径は、およそ7.62ミリメートル(およそ0.30インチ)であり、出口ポート26の内径はおよそ4.2164ミリメートル(およそ0.166インチ)である。入口ポート24は、出口ポート12からおよそ35度の角度にある。外壁12は、およそ1.5875センチメートル(およそ0.625インチ)の直径を有する。
【0062】
以下の検討は、本開示の実施例であり、本開示は、これらの検討に限定されるものではない。当業者であれば、本開示が、他の業界にかつ他の用途に適用することができることと、以下の検討および本明細書に記載する実施形態が、本発明を定義または限定するものではないこととが理解されよう。
【0063】
検討1
本装置が、種々の輸液ポンプ、管セットならびに流量および液体を用いて意図された通りに作動することを確認するために、本発明の多数の態様および種々の実施形態に対して、広範囲の検討および評価を行った。検討のうちの1つの目的は、広範囲の製造業者によるIV輸液ポンプを用いて通常の動作条件/パラメータ下で、本明細書に記載する装置の機能的性能を評価することであった。試験では、全範囲の流量、クリスタロイドおよび血液を含む全範囲の代表的な流体を用いた気泡の広範囲の量、頻度および大きさの導入が関与した。試験はまた、重力送りIVセットアップの使用も含まれていた。試験は、使用されるポンプの各々との適合性を示し、装置のうちのいずれかが意図されるように作動しなかったか否かを判断するために、さまざまな最悪の場合の条件を試験するように設計された。この試験プロトコルは、いかなる業界または環境(たとえば、流体の流量、粘性、抵抗圧力、ならびに気泡の大きさ、量およびシステムへの導入速度)であってもデバイスが大部分の用途で遭遇する条件/パラメータの実質的にすべてを評価したため、部分的に選択された。
【0064】
デバイスの説明/動作理論
輸液セットのセットアップ/プライミング時、空気/流体チャンバは流体で充填される。プライミングされると、流体は、システムを通して引き出され、流体入口を通過し、デバイスを通過し、ポンプに出る。流体が流体入口を通過する際、気泡は、流体から分離して、上昇して空気シリンダ内に入る。そして、圧送されている流体は、空気なしにデバイスから出る。いくつかの実施形態では、空気/流体チャンバの頂部の近くに取付具(たとえば、クリップ)が設けられる。取付具は、少なくとも2つの目的にかなう。すなわち、取付具は、最適な機能性に対して推奨される垂直向きを確保するために、装置の頂部を管セットに取り付け、取付具はまた、使用者が、管を輪にして、装置に取り付けるかまたはクリップ留めすることにより、余分な管部分を容易に管理し、適切な方向付けもまた容易にすることができる。
【0065】
管セットが備え付けられた装置のプライミングは、無装置セットと同じ基本プロセスを用いて達成される。点滴筒を含む管セットの場合、装置は、およそ5秒~7秒かかる、点滴筒の数回の追加の圧搾によりプライミングされる。点滴筒を含まないセットの場合、プライミングは、装置を上下逆に保持し、重力により、管セットが通常充填されるのと同じ方法で装置が充填されるようにすることにより、達成される。
【0066】
試験装置および材料
この検討、すなわちガス除去装置の3Dプリントプロトタイプの実行中、以下の材料および試験装置を使用した。
【0067】
ポンプ:アラリス(Alaris)(登録商標)8100輸液ポンプ(Infusion Pump)およびPCユニット、(Alaris)(登録商標)8110シリンジ輸液ポンプ(Syringe Infusion Pump)およびPCユニット、ホスピーラ(Hospira)(登録商標)プラムA+輸液ポンプ(Plum A+Infusion Pump)、バクスター(Baxter)(登録商標)フロガード(Flo-Gard)6201輸液ポンプ(Infusion Pump)、ブラウン(Braun)(登録商標)ビスタ・ベーシック輸液ポンプ(Vista Basic Infusion Pump)、ブラウン(Braun)(登録商標)インフューソマット・スペース輸液ポンプ(Infusomat Space Infusion Pump)、スミス(Smith’s)(登録商標)メディカル3500シリンジ輸液ポンプ(Medical 3500 Syringe Infusion Pump)、シグマ(Sigma)(登録商標)スペクトラム輸液ポンプ(Spectrum Infusion Pump)、CADD-プリズム(CADD-Prizm)(登録商標)PCS-II輸液ポンプ(PCS-II Infusion Pump)、カーリン(Curlin)(登録商標)メディカル4000CMS輸液ポンプ(Medical 4000 CMS Infusion Pump)。
【0068】
(対応するポンプとともに使用される)投与セット:ホスピーラ(Hospira)(登録商標)マクロボア・エクステンション・セット(Macrobore Extension Sets)(シリンジポンプと使用)、ケアフュージョン(CareFusion)(登録商標)スマートサイト輸液セット(SmartSite Infusion Set)2420-0007、ホスピーラ(Hospira)(登録商標)プライマリIVプラムセット(Primary IV Plumset)12336-0、バクスター(Baxter)(登録商標)クリアリンク・システム・ソリューション・セット(Clearlink System Solution Set)2C8401s(シグマ(Sigma)(登録商標)スペクトラム(Spectrum)およびフロガード(Flo-Gard)3201用)、ブラウン(Braun)(登録商標)ビスタ・ベーシックIVセット(Vista Basic IV Set)V9905、ブラウン(Braun)(登録商標)インフューソマット・スペース・ポンプIVセット(Infusomat Space Pump IV Set)362032、カーリン(Curlin)(登録商標)輸液ポンプ投与セット(Infusion Pump Administration Set)、CADD(登録商標)イエロー・ストライプド投与セット(Yellow Striped Administration Set)21-7024-24。
【0069】
流体およびその他:IVバッグ/流体リザーバとして使用される、カーディナル(Cardinal)(登録商標)ヘルス・イリゲーション・デリバリ・セット(Health Irrigation Delivery Set)、1リットル、0.9%生理食塩水、VWR(登録商標)カタログ番号89370-096、乳酸緩衝リンゲル液、VWR(登録商標)カタログ番号AAJ67572-K2、脱繊維ヒツジ血液、クアッド・ファイブ(Quad Five)製品番号610-1000、シリンジポンプと使用されるBD(登録商標)モノジェクト(Monoject)60mlシリンジ、システムに気泡を注入するためのさまざまなシリンジおよび針、分度器。
【0070】
試験セットアップおよびパラメータ
試験される種々のガス除去装置を、各ポンプに対して適切な対応する管セットに接続した。輸液セットで使用される管サイズは、直径が異なる。(アラリス(Alaris)(登録商標)ポンプと使用される)ケアフュージョン(Carefusion)(登録商標)スマートサイト輸液セット(SmartSite Infusion Set)等の管セットは、比較的大型であり、約2.794ミリメートル(0.110インチ)の内径を有する。約1.016ミリメートル(0.040インチ)の管内径を有する、CADD(登録商標)イエロー・ストライプド投与セット(Yello Striped Administration set)等、他のセットは、はるかに小型である。以下に概要を示す試験は、管サイズに関わらず装置機能を同様に示す。個々のポンプ、IVセットおよび装置セットアップについて以下に示す。3種の流体を用いて複数のポンプ速度で、各ポンプ/管セットアップおよび装置を試験した。投与セットの患者側端において、18ゲージ針を用いて重力のみの試験を完了した。試験に用いたポンプ速度は、製造業者間で異なる、各ポンプに特有の利用可能な速度の範囲に基づいた。すべてのポンプに対して、それらの最高速度とともに中間速度および低速度(適用可能な場合)で試験した。流量について、以下、各ポンプに対して概要を示す。装置が機能することができる鉛直面からの最大角度を求めるために、別個の試験セットアップを使用した。試験の目的でライン内に空気を導入するために、管のYポートを介してルアーコネクタとともに、シリンジポンプを使用した。そして、ライン内に空気を注入した。
【0071】
受入基準
機能試験に対する受入基準は、表1に示すように規定するものとする。
【0072】
【0073】
すべてのポンプが空気検出器を有するとは限らない。それらのポンプ(重力のみの試験も同様)の場合、視覚的検証が、空気検出の唯一の手段および唯一の受入基準である。空気検出器のないポンプについては後述する。
【0074】
実行
試験の準備および試験実行は、ISO13485認証かつ連邦規則集21CFR820に準拠する医療デバイス製造会社である、アリゾナ州スコッツデールのイノベーティブ・ヘルス(Innovative Health、Scottsdale、Arizona)の研究開発室において行った。
【0075】
結果の概要
各試験の結果について以下の表2~表13を参照されたい。すべての試験に対する受入基準は適切に満たされた。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
結論
上記試験の結果に基づき、各ポンプに対する受入基準は適切に満たされた。試験結果は、試験されたガス除去装置が、試験された各ポンプと使用されるときとともに、重力のみのシステムで使用されるとき、意図されるように機能することを論証する。試験された装置は、低速なポンプ/重力速度(30ml/時程度低速)とともに、希薄な流体(0.9%生理食塩水)および比較的粘性の流体(血液)を用いて試験するために提供される最速ポンプの最高速度(1999ml/時)でも作動した。
【0089】
この検討の実行中に行われた試験は、ガス除去装置が、水平位置から14度程度低い角度で気泡を有効に除去することを示す。
試験結果はまた、ガス除去装置が化学療法薬を用いて意図されるように機能することも示す。
【0090】
検討2
装置に対する理想的な寸法の決定に役立つように、追加の試験を行った。
デバイスのこのバージョンは、空気除去に不可欠な寸法を維持しながらより小型の全体的なパッケージまで大きさを縮小した。管クリップ機能性は、入口ポートから90度クリップを回転させることにより維持した。
【0091】
試験セットアップおよびパラメータ
最大流量(1999ml/時)が他の大部分のポンプの流量の2倍である(またはそれを超える)ため、バクスター(Baxter)(登録商標)6201ポンプを使用した。高流量は、装置に対する最悪の場合の課題であることが示された。
【0092】
生理食塩水と大きさおよび頻度が変化する気泡とを用いて、複数のポンプ速度でデバイスを試験した。
受入基準
より小型/低容量試験に対する受入基準は、表1に示すように定義するものとする。
【0093】
実行
より小型/低容量装置の試験は、ISO13485認証かつ連邦規則集21CFR820に準拠する医療デバイス製造会社である、アリゾナ州スコッツデールのイノベーティブ・ヘルス(Innovative Health、Scottsdale、Arizona)の研究開発室において、2018年4月23日の週の間に行った。
【0094】
結果の概要
各空気除去試験の結果については表14を参照されたい。
すべての試験に対する受入基準は適切に満たされた。
【0095】
【0096】
より小型/低容量装置試験の概要
この評価中に行われた試験は、装置のより小型のバージョンが、より大型のバージョンと同等に機能することを示す。より小型の装置は、デバイスの空気を除去する能力に影響を与えない。
【0097】
このバージョンは、1.8ml容量を有する。このバージョンは、以下の理由で最も好ましい設計である場合がある。
56時間の評価中、捕捉された空気の最大量はおよそ1mlであり、これは、デバイスの1.8mlバージョンが十分な容量を有することを示す。
【0098】
この設計の1.8ml容量は、典型的なチューブセットの上流管の容積のおよそ40%である。空気が上流管の略半分を充填する場合、対処する必要があるより深刻な状態(たとえば、空のIVバッグ)がある場合がある。
【0099】
より小型サイズは、既存のパッケージにより容易に統合され、管セットに追加するかさおよび重量が小さくなる。
より小型サイズは、最適な機能に対して推奨されるおよそ鉛直な向きから傾斜する/傾く可能性がはるかに低い。
【0100】
検討3
下流管に配置された場合の装置の空気を除去する能力を判断するために、追加の試験を行った。
【0101】
試験セットアップおよびパラメータ
最大流量(1999ml/時)が他の大部分のポンプの流量の2倍である(またはそれを超える)ため、バクスター(Baxter)(登録商標)6201ポンプを使用した。高流量は、装置に対する最悪の場合の課題であることが示された。
【0102】
Yポートとセットの患者側端との間の管セットの下流部分内に、装置を接続した。
生理食塩水と大きさおよび頻度が変化する気泡とを用いて、複数のポンプ速度でデバイスを試験した。
【0103】
受入基準
下流試験に対する受入基準は、表1に示すように定義するものとする。
実行
下流装置の試験は、ISO13485認証かつ連邦規則集21CFR820に準拠する医療デバイス製造会社である、アリゾナ州スコッツデールのイノベーティブ・ヘルス(Innovative Health、Scottsdale、Arizona)の研究開発室において、2018年4月30日の週の間に行った。
【0104】
下流装置試験結果の概要
各空気除去試験の結果については表15を参照されたい。
すべての試験に対する受入基準は適切に満たされた。
【0105】
【0106】
検討4
非常に低いポンプ速度(5ml/時~10ml/時)での装置の性能を評価するために、追加の試験を行った。
【0107】
試験セットアップおよびパラメータ
この試験のための6ml射出成形装置とともに、ブラウン(Braun)(登録商標)ビスタ・ベーシック(Vista Basic)ポンプおよび管セットを使用した。
【0108】
生理食塩水と大きさおよび頻度が変化する気泡とを用いて、2つのポンプ速度でデバイスを試験した。
受入基準
低速試験に対する受入基準は、表1に示すように定義するものとする。
【0109】
実行
低速装置の試験は、ISO13485認証かつ連邦規則集21CFR820に準拠する医療デバイス製造会社である、アリゾナ州スコッツデールのイノベーティブ・ヘルス(Innovative Health、Scottsdale、Arizona)の研究開発室において、2018年5月16日の週の間に行った。
【0110】
低ポンプ速度試験結果の概要
各空気除去試験の結果については表16を参照されたい。
すべての試験に対する受入基準は適切に満たされた。
【0111】
【0112】
検討5
この評価中、アラリス(Alaris)(登録商標)8100チューブセット/ポンプの組合せは、ポンプ機構を通過する/ポンプ機構と係合する管の部分において気泡が発生しやすいことが示された。
【0113】
この状態は、装置評価中に使用された他のポンプにおいてある程度まで観察された。しかしながら、アラリス(Alaris)(登録商標)8100は、アラームをトリガするのに十分な空気をこのように発生させる唯一のポンプであり、それは、下流装置の使用により最小限にしか軽減されなかった(およそ20%の低減)。
【0114】
アラリス(Alaris)(登録商標)8100ポンプにおけるこの状態の深刻さは、その設計特徴に帰する可能性がある。他の管セットと比較して、アラリス(Alaris)(登録商標)8100セットは、ポンプ機構と統合する管のより軟質な(恐らくシリコーン)部分を有する。それはまた、管内に、インライン安全クランプによってもたらされる追加の接合部/分裂部も有する。これらの特徴は、空気の形成の原因となる可能性がある。
【0115】
下流管においてポンプハウジングの真下にもまた、空気が観察された。空気がこの領域において形成されたかまたは上方から来たかは明らかではない。
この空気形成によってもたらされるアラームの頻度を低減させようとして、管セット内に第2装置を接続し、ポンプの真下に配置した。
【0116】
アラーム頻度を比較するために2つのポンプ/管セットアップを並行して作動させることにより、下流装置の効力を評価した。1つのセットアップには、上流および下流に装置を備え付けた。第2セットアップは、不変のチューブセットを使用した。
【0117】
管の上流部分から来る空気によりいかなるアラームももたらされないことを確実にするために、上流装置を用いた。
この評価の結果の概要を表17に示す。
【0118】
上述した空気は、流体流とともに移動する際に下流装置において捕捉されることが観察された。下流装置の下方の管には追加の気泡は観察されなかった。
【0119】
【0120】
アラリス(Alaris)(登録商標)8100を用いる下流試験の結果の概要
この検討で行われた試験は、装置がポンプの下流側で使用されるとき、装置はアラームを20%低減させることができることを示す。
【0121】
この検討で行われた試験はまた、装置が、下流管内の空気が患者に達するのを防止することも示す。
検討6
この検討の目的は、ルアー作動弁を用いるガス除去装置の性能を評価することである。
【0122】
デバイス説明/動作理論
輸液セットのセットアップ/プライミング時、空気/流体チャンバは流体で充填される。プライミングされると、流体は、システムを通して引き出され、流体入口を通過し、デバイスを通過し、ポンプに出る。流体が流体入口を通過する際、気泡は、流体から分離して、上昇して空気シリンダ内に入る。そして、圧送されている流体は、空気なしにデバイスから出る。空気/流体チャンバの頂部の近くのクリップ機構は、2つの目的にかなう。すなわち、クリップ機構は、最適な機能性に対して推奨される垂直向きを確保するために、デバイスの頂部を管セットに取り付け、クリップ機構はまた、使用者が、管を輪にして、デバイスに取り付けるかまたはクリップ留めすることにより、余分な管部分を容易に管理し、適切な方向付けもまた容易にすることができる。
【0123】
デバイスのこのバージョンは、空気/流体チャンバの頂部に位置するルアー作動弁を組み込み、抽出された空気の排気と流体によるチャンバの同時再充填とを可能にする。この弁はまた、装置が、点滴筒を含まない管セットで使用される場合に管セット/装置のより容易なプライミングも促進する。
【0124】
試験装置および材料
この評価の実行中、以下の材料および試験装置を使用した。バクスター(Baxter)(登録商標)フロガード(Flo-Gard)6201輸液ポンプ(Infusion Pump)、0.9%生理食塩水、VWR(登録商標)カタログ番号89370-096、ルアー作動弁を備えた、ガス除去装置の3Dプリントプロトタイプ、IVバッグとして使用される、イノベーティブ・セラピーズ(Innovative Therapies)(登録商標)イリゲーション・デリバリー・セット(Irrigation Delivery Set)、1リットル。
【0125】
試験セットアップおよびパラメータ
ポンプ、IVセットおよび装置試験セットアップ。最大流量(1999ml/時)が他の大部分のポンプの流量の2倍であるため、バクスター(Baxter)(登録商標)6201ポンプを使用した。高流量は、装置に対する最悪の場合の課題であることが示された。生理食塩水と大きさおよび頻度が変化する気泡とを用いて、複数のポンプ速度でデバイスを試験した。試験条件および結果については表1を参照されたい。
【0126】
実行
試験の準備および試験実行は、ISO13485認証かつ連邦規則集21CFR820に準拠する医療デバイス製造会社である、アリゾナ州スコッツデールのイノベーティブ・ヘルス(Innovative Health、Scottsdale、Arizona)の研究開発室において、2018年2月20日の週の間に行った。
【0127】
結果の概要
各空気除去試験の結果については表18を参照されたい。空気排出/チャンバ再充填試験の概要は以下を参照されたい。すべての試験に対する受入基準は適切に満たされた。
【0128】
【0129】
空気排出/流体再充填評価
この評価の一部として、管セット内に空気を導入し、装置によりデバイスの最大容量まで捕捉した。その時点で、ポンプを一時停止した。標準10mlシリンジをルアー作動弁に取り付けた。プランジャの後退時、チャンバから空気を除去した。同時に、上流管からチャンバ内に流体を引き込み、チャンバを再充填した。
【0130】
この評価中に行われた試験は、ルアー作動弁機構が意図されるように作動することを示す。
結論
この評価中に行われた試験は、装置のこのバージョンが、弁なしバージョンと同等に機能することを示す。弁の追加は、デバイスの空気を除去する能力に影響を与えない。シリンジが取り付けられるまで弁が閉鎖されるため、空気チャンバは、動作中、依然として閉鎖容器である。この評価はまた、必要な場合、ルアー作動弁が、チャンバを流体で再充填し/捕捉された空気を除去するその目的に有効にかなうことも示す。