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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】描画方法及び描画プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20220908BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20220908BHJP
【FI】
G06T11/80 B
G06F3/04845
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022044502
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2022-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596021562
【氏名又は名称】株式会社セルシス
(74)【代理人】
【識別番号】100159547
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴谷 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100223365
【弁理士】
【氏名又は名称】大町 真義
(72)【発明者】
【氏名】横塚 智明
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-342002(JP,A)
【文献】CLIP STUDIO PAINT EX 公式リファレンスブック ,第2版,株式会社エムディエヌコーポレーション ,2015年12月01日,p.80-90
【文献】CLIP STUDIO リファリンスガイド,2020年,p.1/3-3/3,<URL: http://www.clip-studio.com/site/gd/csp/manual/userguide/csp_userguide/700_komawari_com/700_koma_edit_transformation.htm>,[令和4年6月3日 検索]、インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00-19/20
G06F 3/04845
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、キャンバス上に画像を描画する描画方法であって、
前記コンピュータに通信可能に接続されたセンシングデバイスがオペレータの動作を検出することで、オペレータによって指示されたキャンバス上での指示位置とイベントの発生とを前記コンピュータが取得するメカニズムが準備されており、
第1のイベントが発生したときの前記指示位置を、四辺形の対角線の一方の端点すなわち前記四辺形の第1の頂点の位置であると特定することと、
前記第1のイベントの後の第2のイベントが発生したときの前記指示位置を、前記対角線の他方の端点の位置すなわち前記四辺形の第2の頂点の位置であると特定することと、
所定の規則に基づいて、前記第1の頂点の位置及び前記第2の頂点の位置から前記四辺形の第3の頂点及び第4の頂点の位置を特定することと、
前記第2のイベントの後の第3のイベントが発生したときの前記指示位置に基づいて、第5の頂点の位置を特定することと、
前記四辺形を、前記第1の頂点、前記第3の頂点、前記第4の頂点、及び前記第5の頂点の各々の位置で形成される四辺形に置き換えて描画することと、
を有し、
前記第5の頂点の位置を特定することは、
前記第1の頂点の位置、前記第3の頂点の位置、第3のイベントが発生したときの前記指示位置、及び前記第4の頂点の位置をこの順序で結んで形成される四辺形の向かい合う2組の二辺のうちの1組の二辺が平行となるように、前記第5の頂点の位置を特定すること、
を含む描画方法。
【請求項2】
前記所定の規則は、前記第1の頂点、前記第2の頂点、前記第3の頂点、及び前記第4の頂点の各々の位置で形成される四辺形が長方形であるという規則である、
請求項1に記載の描画方法。
【請求項3】
前記第5の頂点の位置を特定することは、
前記第1の頂点の位置、前記第3の頂点の位置、第3のイベントが発生したときの前記指示位置、及び前記第4の頂点の位置をこの順序で結んで形成される四辺形の向かい合う二辺のなす角度が所定の角度よりも小さい場合、当該二辺が平行となるように、前記第5の頂点の位置を特定すること、
を含む請求項1又は2に記載の描画方法。
【請求項4】
前記第1のイベント、前記第2のイベント、及び前記第3のイベントは、前記センシングデバイスの、クリック、ボタンの押下、押下されたボタンのリリース、タップ、タッチ、タッチの開始、タッチのリリース、スワイプの開始、スワイプの終了、タッチ圧力の変動、前記指示位置の移動速度の変化、又は前記指示位置の移動方向の変化のいずれかである、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の描画方法。
【請求項5】
前記第1のイベントは、マウスのドラッグの開始であり、
前記第2のイベントは、前記指示位置の移動速度の低下、又は前記指示位置の移動方向の変化のうちのいずれか1つであり、
前記第3のイベントは、ドラッグの終了である、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の描画方法。
【請求項6】
前記第1のイベントは、前記センシングデバイスへのペン又は指のスワイプの開始であり、
前記第2のイベントは、前記センシングデバイスへのペン又は指の接触の圧力の変化、前記指示位置の移動速度の低下、又は前記指示位置の移動方向の変化のうちのいずれか1つであり、
前記第3のイベントは、前記スワイプの終了である、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の描画方法。
【請求項7】
前記第1のイベントは、マウスのドラッグの開始であり、
前記第2のイベントは、前記ドラッグの終了であり、
前記第3のイベントは、前記マウスのボタンの押下又はクリックである、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の描画方法。
【請求項8】
前記第1のイベントは、前記センシングデバイスへのペン又は指のスワイプの開始であり、
前記第2のイベントは、前記スワイプの終了であり、
前記第3のイベントは、前記センシングデバイスへのペン又は指の接触又はタップである、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の描画方法。
【請求項9】
前記指示位置の移動に応じて、前記四辺形を描画すること、
をさらに含む、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の描画方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の描画方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画方法及び描画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オペレータがコンピュータを操作することによって、所望の図形を画面に描画することができる様々な技術が存在する。これらの技術は、オペレータの簡便な操作によって、オペレータの意図した図形が描画されるように工夫された機能を含んでいる。
【0003】
例えば、手書き描画モード、図形認識描画モード、図形修正モードを制御する制御手段と、制御手段から出力される情報を画面に表示する表示手段とを備えた座標入力表示装置において、制御手段が、前記手書き描画モード時においてタッチ面に座標検出物が触れた1点タッチ時にドラッグ操作が所定時間行なわれない場合、図形認識描画モードに移行する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、タッチパネルに対してなされたタッチ点の軌跡をディスプレイ画面に表示する。そして、タッチ点の検出中に停止タッチが検出されたとき、軌跡が示す図形を判定する。さらに図形の判定終了後、表示されている軌跡を削除して判定の結果得られた図形をディスプレイ画面に表示する技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、オペレータが描きたい図形は多種多様に及ぶため、特定の種類の図形の描画に関して、必ずしもユーザに簡便な操作性を提供できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-208259号公報
【文献】特許第4136444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開示の技術は、コンピュータに特定の図形の描画を行わせる際に、オペレータの負担をより軽減させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、コンピュータが、キャンバス上に画像を描画する描画方法であって、前記コンピュータに通信可能に接続されたセンシングデバイスがオペレータの動作を検出することで、オペレータによって指示されたキャンバス上での指示位置とイベントの発生とを前記コンピュータが取得するメカニズムが準備されており、第1のイベントが発生したときの前記指示位置を、四辺形の対角線の一方の端点すなわち前記四辺形の第1の頂点の位置であると特定することと、前記第1のイベントの後の第2のイベントが発生したときの前記指示位置を、前記対角線の他方の端点の位置すなわち前記四辺形の第2の頂点の位置であると特定することと、所定の規則に基づいて、前記第1の頂点の位置及び前記第2の頂点の位置から前記四辺形の第3の頂点及び第4の頂点の位置を特定することと、前記第2のイベントの後の第3のイベントが発生したときの前記指示位置に基づいて、第5の頂点の位置を特定することと、前記四辺形を、前記第1の頂点、前記第3の頂点、前記第4の頂点、及び前記第5の頂点の各々の位置で形成される四辺形に置き換えて描画することと、を有する描画方法を提供する。
また、開示の技術は、上記の方法をコンピュータに実行させるプログラム及び該プログラムを格納した記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、コンピュータに特定の図形の描画を行わせる際に、オペレータの負担をより軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、開示の技術によって描画される四辺形10を示している。図1Bは、図1Aに示された四辺形が、マンガのコマに利用された例を示している。
図2図2は、オペレータによる指示により発生するイベントに応答して、コンピュータが描画キャンバス200に四辺形22を描画する処理を時系列的に示している。図2Aは、オペレータの指示に基づく第1のイベントが発生したときの描画キャンバス200を示している。図2Bは、オペレータの指示に基づく第2のイベントが発生したときの描画キャンバス200を示している。図2Cは、オペレータの指示に基づく第3のイベントが発生したときの描画キャンバス200を示している。図2Dは、第3のイベントが発生して、四辺形21が描かれた後の状態である四辺形22を示している。
図3図3は、第1のイベント、第2のイベント及び第3のイベントの例を示している。
図4図4Aは、第3のイベントにおいて、図4Aにおける辺33と辺34とのなす角度が所定の角度θ0よりも小さいθ1であった場合の例を示している。図4Bは、四辺形を台形に補正する例を示している。
図5図5Aは、第3のイベントにおいて、図5Aにおける辺43と辺44とのなす角度が所定の角度θ0以上のθ2であった場合の例を示している。図5Bは、四辺形40をそのままとして、修正を施さず四辺形41とする例を示している。
図6図6は、実施形態の処理フローを示している。
図7図7は、図5におけるステップS522の詳細な処理を示している。
図8図8は、実施形態のハードウエア構成図を示している。
図9図9A及び図9Bは、図4の実施形態の変形例を示した図である。
図10図10A及び図10Bは、図5の実施形態の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら、各実施形態について説明する。
【0012】
図1Aは、開示の技術によって描画される四辺形10を示している。図1Bは、図1Aに示された四辺形が、マンガのコマに利用された例を示している。
図1Aの四辺形10は、頂点A10、頂点B10、頂点C10及び頂点D10の4つの頂点を有する。図1Aの四辺形10においては、四辺形10の辺11と辺13とは、平行又は略平行であり、辺12と辺14とは平行でない例が示されている。
なお、図1Aに示される四辺形10は、例示であって、開示の技術は、図1Aに示される四辺形10の描画に限定されるものではない。
【0013】
図1Bには、四辺形21と四辺形22が示されている。四辺形21は、図1の四辺形10に近似した形状を有している。四辺形22は、図1の四辺形10とは異なり、二つの水平方向の辺は、平行又は略平行であるが、これらの辺の長さの大小関係が、図1Aの四辺形10とは異なっている。このような図形は、上述のようにマンガのコマに利用される頻度が高く、簡便な操作で描画できるようにすることが望まれている。
【0014】
以下の開示の技術は、主として、オペレータの指示に基づいて、コンピュータが、図1Aに示される四辺形10を描画する例を示す。なお、開示の技術は、四辺形10の形状以外の形状の四辺形の描画に対しても、適用できることは言うまでもない。また、オペレータの「指示」とは、センシングデバイスの、クリック、ボタンの押下、押下されたボタンのリリース、タップ、タッチ、タッチのリリース、スワイプの開始、スワイプの終了、タッチ圧力の変動、接触、位置の移動速度の変化、又は位置の移動方向の変化、マウスドラグの開始、マウスドラックの終了などを意味するが、これらに限定されない。さらに、「タッチ」には感圧式、電磁誘導式、静電容量式などによるものがあるが、これらに限定されない。また、「接触」には物理的な実際の接触のみならず、デバイスを電気的に感知する場合も含まれる。また、オペレータの指などのジェスチャをカメラなどにより光学的に撮像してジェスチャの種別をコンピュータが認識することで、識別されたオペレータのジェスチャの各々に対応した「指示」が非接触で受け取られるようにしてもよい。
なお、スワイプの開始は、ペン若しくは指が画面に触れた時点、又はペン若しくは指が画面に触れた状態で、ペン若しくは指が移動を開始した時点のいずれであってもよい。また、スワイプの終了は、ペン若しくは指が画面に触れた状態でペン若しくは指が移動を終了した時点、又はペン若しくは指が画面から離れた時点のいずれであってもよい。
なお、マウスドラッグの開始は、マウスボタンが押下された時点又はマウスボタンが押下された状態でマウスが移動を開始した時点のいずれであってもよい。また、マウスドラッグの終了は、マウスボタンが押下された状態で、マウスが移動を終了した時点、マウスの移動方向が所定の角度以上に変更された時点、又はマウスボタンが解放された時点のいずれであってもよい。
【0015】
図2は、オペレータによる指示により発生するイベントに応答して、コンピュータが描画キャンバス200に四辺形22を描画する処理を時系列的に示している。
【0016】
図2Aは、オペレータの指示に基づく第1のイベントが発生したときの描画キャンバス200を示している。
例えば、オペレータがマウス(不図示)を操作して、マウスカーソル210の位置A20でドラッグが開始されたとする。ドラッグの開始は、第1のイベントの一例である。このドラッグが開始された位置A20が、図2Dを用いて後述する四辺形22の第1の頂点であると認識される。
【0017】
図2Bは、オペレータの指示に基づく第2のイベントが発生したときの描画キャンバス200を示している。
例えば、オペレータがマウスを操作して、マウスカーソル210の位置C20で、ドラッグを終了したとする。ドラッグの終了は、第2のイベントの一例である。このドラッグが終了した位置C20が、四辺形20の第2の頂点であると認識される。
【0018】
図2Bにおいて、第2のイベントの発生時に、位置A20と、位置C20が特定されたことによって、例えば、位置A20と、位置C20とを対角線25とする長方形20が描画される。なお、この長方形20は、頂点A20、頂点B20、頂点C20及び頂点D20を有する。なお、この長方形20は、オペレータが望んでいる最終的な図形でない場合もあるため、必ずしも画面上に描画される必要はない。
この例では、長方形の辺は表示画面の上下方向又は左右方向に平行になるように構成されているが、長方形の辺の方向はこれに限られるものではない。例えばマンガの1ページを回転して斜めにした状態が画面に表示されている場合、長方形の辺の方向は、ページの上下方向又はページの左右方向に平行になるように構成してもよい。
【0019】
図2Cは、オペレータの指示に基づく第3のイベントが発生したときの描画キャンバス200を示している。
例えば、オペレータがマウスを操作して、位置B20と位置C20とを結ぶ辺上の位置C21を、マウスカーソル210でポイントして、マウスのクリック操作をしたと仮定する。このマウスのクリックは、第3のイベントの一例である。
【0020】
本実施形態においては、四辺形20が画面上に描画されている場合には、四辺形20を、四辺形21に描き直すことができる。なお、四辺形20が画面上に描画されていない場合には、四辺形21を最初に描画するようにすることもできる。四辺形21は、頂点A20、頂点B20、頂点C20及び頂点D21を有し、対角線26を有する四辺形である。
【0021】
図2Dは、第3のイベントが発生して、四辺形21が描かれた後の状態を示している。マウスカーソルが消失しても、四辺形22の描画が継続的に表示されている。
【0022】
以上のようにして、オペレータが最終的に欲する四辺形22が、マウスカーソルを移動させたとしても、描画された状態となる。なお、対角線25、対角線26及び四辺形20は、必ずしも表示画面に表示されなければならないものではない。しかしながら、最終的な四辺形22の描画の途中において、対角線25、対角線26及び四辺形20が描画されれば、オペレータがマウスを操作するときのガイドとなるため、オペレータが、描画途中の画面の状態を把握しやすくなるため、これらの全部又は一部を恒常的に又は一時的に表示させることが望ましい。
【0023】
図3は、第1のイベント、第2のイベント及び第3のイベントの例を示している。図3は、例示であって、これらに限られるものではない。
図3の内容を以下に説明する。
(1)第1のイベントは、マウスのドラッグの開始であってもよく、第2のイベントは、マウスのドラッグの終了であってもよく、第3のイベントは、マウスのクリックであってもよい。
【0024】
(2)第1のイベントは、マウスの第1のクリックであってもよく、第2のイベントは、マウスの第2のクリックであってもよく、第3のイベントは、マウスの第3のクリックであってもよい。
【0025】
(3)第1のイベントは、マウスのクリックであってもよく、第2のイベントは、マウスのドラッグの開始であってもよく、第3のイベントは、マウスのドラッグの終了であってもよい。
【0026】
(4)第1のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの開始であってもよく、第2のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの終了であってもよく、第3のイベントは、ペン又は指による描画画面へのタッチであってもよい。
【0027】
(5)第1のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの開始であってもよく、第2のイベントは、ペン又は指による描画画面へのタッチ圧力の変動であってもよく、第3のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの終了であってもよい。
【0028】
(6)第1のイベントは、ペン又は指による描画画面への第1のタップであってもよく、第2のイベントは、ペン又は指による描画画面への第2のタップであってもよく、第3のイベントは、ペン又は指による描画画面への第3のタップであってもよい。
【0029】
(7)第1のイベントは、ペン又は指による描画画面へのタップであってもよく、第2のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの開始であってもよく、第3のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの終了であってもよい。
【0030】
(8)第1のイベントは、マウスのドラッグの開始であってもよく、第2のイベントは、ドラッグ方向の変化であってもよく、第3のイベントは、マウスのドラッグの終了であってもよい。
【0031】
(9)第1のイベントは、マウスのドラッグの開始であってもよく、第2のイベントは、ドラッグ速度の変化(増加又は減少)であってもよく、第3のイベントは、マウスのドラッグの終了であってもよい。
【0032】
(10)第1のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの開始であってもよく、第2のイベントは、スワイプ方向の変化であってもよく、第3のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの終了であってもよい。
【0033】
(11)第1のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの開始であってもよく、第2のイベントは、スワイプ速度の変化(増加又は減少)であってもよく、第3のイベントは、ペン又は指による描画画面へのスワイプの終了であってもよい。
【0034】
図4Aは、第3のイベントにおいて、図4Aにおける辺33と辺34とのなす角度が所定の角度θ0よりも小さいθ1であった場合の例を示している。所定の角度θ0は、あらかじめ定めておくことができる。
【0035】
図4Bは、四辺形を台形に補正する例を示している。
θ1がθ0よりも小さい場合には、辺34に平行な辺35を描画して、このような修正が行われてもよい。この修正によって、四辺形30の頂点C31は、四辺形31の頂点C32に置き換わることとなる。
このような操作を行うことによって、オペレータが台形を描きたいと所望して位置C31を辺32の近くに配置すれば、θ1が所定の角度θ0よりも小さくなるので、以下の修正がなされて、台形が描画されることとなる。すなわち、位置C31から、辺34と平行であって頂点B20を通る仮想的な辺32に下ろした垂線の足C32を求め、台形となる四辺形31の頂点C32を求めることができる。
なお、図4に示した実施形態では、所定の角度θ0を用いたが、角度を基準とすることに限られるものではない。例えば、頂点C31から、仮想的な辺32におろした垂線の長さによって定まる頂点C31から仮想的な辺32までの距離が、所定の距離L(不図示)よりも短い場合に、頂点C31を頂点C32に置き換えるという変形例が採用されてもよい。なお、「所定の距離L」は、「所定のピクセル数」、「表示画面における所定の距離」、「描画キャンバスの縦又は横の長さに所定の比率をかけた長さ」等で定まる所定の値を用いることができる。
なお、上記の様に所定の角度θ0を所定の長さLに置き換えて実施形態を変形することは、下記に示す実施形態においても、同様に行えるので、その説明は省略する。
【0036】
図5Aは、第3のイベントにおいて、図5Aにおける辺43と辺44とのなす角度が所定の角度θ0以上のθ2であった場合の例を示している。
【0037】
図5Bは、四辺形40をそのままとして、修正を施さない例を示している。
θ2がθ0以上の場合には、描画される四辺形を修正しなくてもよい。
このような操作を行うことによって、オペレータが操作するマウスなどで指し示される位置C41が、オペレータの所望とする位置C41である場合、θ2が所定の角度θ0以上であれば、位置C41をそのまま採用し、四辺形41は四辺形40と同じ頂点C41を採用することができる。
【0038】
図6は、実施形態の処理フローを示している。以下に、各ステップについて説明する。
[ステップS510]第1のイベントが発生したかがチェックされる。第1のイベントの例については、図3を用いて説明した。以下の、他のイベントについても、図3を用いて説明した。このチェックが肯定的(Yes)であればステップS512に進む。このチェックが否定的(No)であれば、このステップの処理が繰り返される。
[ステップS512]四辺形の第1の頂点の位置が特定される。上記実施形態では、頂点A20が特定される。
【0039】
[ステップS514]第2のイベントが発生したかがチェックされる。このチェックが肯定的(Yes)であればステップS516に進む。このチェックが否定的(No)であれば、このステップの処理が繰り返される。
[ステップS516]四辺形の第2の頂点の位置が特定される。図2に示す頂点C20が特定される。
【0040】
[ステップS518]所定の規則に基づいて、四辺形の第3の頂点及び第4の頂点の位置が特定される。上記の実施形態では、第1の頂点A20と第2の頂点C20を対角線の両端とする長方形を形成するように、他の頂点B20(第3の頂点)及び頂点D20(第4の頂点)が特定される。この時に、これらの4つの頂点を有する長方形を表示画面に描画してもよい。
【0041】
なお、所定の規則は、長方形を形成させる規則でなくてもよい。例えば、長方形の一部に吹き出しの図形に使われるような突起が形成された図形などであってもよい。
【0042】
[ステップS520]第3のイベントが発生したかがチェックされる。このチェックが肯定的(Yes)であればステップS522に進む。このチェックが否定的(No)であれば、このステップの処理が繰り返される。(なお、第3のイベントが所定の時間に発生しない場合は、処理が終了してもよい(不図示)。)
【0043】
[ステップS522]第5の頂点の位置が特定される。上記実施形態においては、第5の頂点は、図4においては、C32であり、図5においては、C41である。
[ステップS524]第1、第3、第5及び第4の頂点をこの順序で結んで形成される四辺形が描画される。
以上のようにして、オペレータが希望する四辺形が、簡便なオペレータの操作に基づいて描画される。
【0044】
図7は、図6におけるステップS522の詳細な処理を示している。以下にそのフローを説明する。
[ステップS610]向かい合う二辺のなす角度が所定の角度よりも小さいか否かがチェックされる。この二辺とは、上記実施形態では、図4Aにおける辺34と辺33である。或いは、上記二辺とは、図5における辺44と辺43である。上記実施形態においては、これらの辺のなす角度が、所定の角度θ0よりも小さいか否かがチェックされる。
このチェックが肯定的(Yes)であればステップS620に進む。このチェックが否定的(No)であれば戻る。
【0045】
[ステップS620]向かい合う二辺が平行となるように第5の頂点の位置が特定される。図4Aに示すように、辺34と辺33のなす角度θ1が所定の角度θ0よりも小さい場合、辺33が辺34と平行となるようにして、第5の頂点である頂点C32を特定する。なお、C32の詳細な特定の仕方の一例及び変形例については、既に説明したとおりである。
以上の処理で、オペレータの簡単な操作により四辺形が台形に修正される。
【0046】
図8は、実施形態のハードウエア構成図である。
実施形態のハードウエア構成は、CPU701、本実施形態のプログラム及びデータが格納され得るROM702、RAM703、ネットワークインターフェース705、入力インタフェース706、表示インタフェース707、外部メモリインタフェース708を有する。これらのハードウエア、バス704によって相互に接続されている。
【0047】
ネットワークインターフェース705は、ネットワーク715に接続されている。ネットワーク715には、有線LAN、無線LAN、インターネット、電話網などがある。入力インタフェース706には、入力部716が接続されている。表示インタフェース707には、表示部717が接続される。表示部717は、複数の表示装置により実現されてもよい。外部メモリインタフェース708には、記憶媒体718が接続される。記憶媒体718は、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、メモリーカード、USBメモリ等であってもよい。
図9A及び図9Bは、図4の実施形態の変形例を示した図である。
図9Aは、第3のイベントにおいて、図9Aにおける辺93と辺94とのなす角度が所定の角度θ0よりも小さいθ3であった場合の例を示している。所定の角度θ0は、あらかじめ定めておくことができる。
図9Bは、四辺形を台形に補正する例を示している。
θ3がθ0よりも小さい場合には、辺94に平行な辺95を描画して、このような修正が行われてもよい。この修正によって、四辺形30の頂点C31は、四辺形91の頂点C92に置き換わることとなる。
このような操作を行うことによって、オペレータが台形を描きたいと所望して位置C31を辺92の近くに配置すれば、θ3が所定の角度θ0よりも小さくなるので、以下の修正がなされて、台形が描画されることとなる。すなわち、位置C31から、辺94と平行であって頂点D20を通る仮想的な辺92に下ろした垂線の足C92を求め、台形となる四辺形91の頂点C92を求めることができる。
図10A及び図10Bは、図5の実施形態の変形例を示した図である。
図10Aは、第3のイベントにおいて、図10Aにおける辺103と辺104とのなす角度が所定の角度θ0以上のθ4であった場合の例を示している。
図10Bは、四辺形40をそのままとして、修正を施さない例を示している。
θ4がθ0以上の場合には、描画される四辺形を修正しなくてもよい。
このような操作を行うことによって、オペレータが操作するマウスなどで指し示される位置C41が、オペレータの所望とする位置C41である場合、θ4が所定の角度θ0以上であれば、位置C41をそのまま採用し、四辺形101は四辺形40と同じ頂点C41を採用することができる。
本明細書に開示された各実施形態は、請求項に記載された発明を限定するものではなく、例示として取り扱われることは言うまでもない。
各実施形態は排他的なものではなく、適宜組み合わせることができる。或いは、ある実施形態の一部の要素を他の実施形態の要素と入れ換えることができる。
【0048】
加えて、例示したフローチャートの各フローは、矛盾のない限り順番を入れ替えることができる。また、矛盾のない限り、例示された1つのフローを、異なるタイミングで、複数回実行することができる。また、矛盾のない限り、複数のフローを同時に実行したりすることができる。また、全てのステップが必須のものではなく、矛盾の無い限り、一部のステップが存在しないか、実行されなくてもよい。また、各ステップは、オペレーティングシステム又はハードウエアで実行されてもよい。また、プログラムは、非一時的な媒体に記憶された状態で配布され得る。
上述の実施形態を実現するプログラム及び方法は、図8に示されるハードウエア構成を備えるコンピュータにより実行され得る。すなわち、実施形態のプログラムは、コンピュータに実行させる方法として、インプリメントされてもよい。
プログラムは記憶媒体718、ROM702、又はRAM703に記憶されてもよい。
各実施形態は、プログラムをインストールしたハードウエアの装置としてインプリメントされ得る。
【符号の説明】
【0049】
200 描画キャンバス
210 マウスカーソル

【要約】      (修正有)
【課題】コンピュータに特定の図形の描画を行わせる際に、オペレータの負担をより軽減させる描画方法及び描画プログラムを提供する。
【解決手段】描画方法は、第1のイベントが発生したときの指示位置を、四辺形の対角線の一方の端点すなわち四辺形の第1の頂点の位置であると特定することと、第1のイベントの後の第2のイベントが発生したときの指示位置を、対角線の他方の端点の位置すなわち四辺形の第2の頂点の位置であると特定することと、所定の規則に基づいて、第1の頂点の位置及び第2の頂点の位置から四辺形の第3の頂点及び第4の頂点の位置を特定することと、第2のイベントの後の第3のイベントが発生したときの指示位置に基づいて、第5の頂点の位置を特定することと、四辺形を、第1の頂点、第3の頂点、第4の頂点及び第5の頂点の各々の位置で形成される四辺形に置き換えて描画することと、を有する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10