(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】血管内温度管理カテーテルおよび/または熱交換パッドのための熱交換器における冷却プレート設計
(51)【国際特許分類】
A61F 7/10 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A61F7/10 321
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021069829
(22)【出願日】2021-04-16
(62)【分割の表示】P 2017549496の分割
【原出願日】2016-03-30
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510034982
【氏名又は名称】ゾール サーキュレイション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Circulation,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダブロヴィアク、ジェレミ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ペンドリー、クレッグ ウェンデル
(72)【発明者】
【氏名】ピストーア、クリストフ マサイアス
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-156618(JP,U)
【文献】特開平06-304247(JP,A)
【文献】米国特許第06878156(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートアセンブリを備える装置であって、
前記プレートアセンブリは、
分離プレートであって、前記分離プレートは、前記分離プレートの第1の側面に第1のチャネルと、前記分離プレートの前記第1の側面と反対側の第2の側面に第2のチャネルと、を有して形成される、分離プレートと、
コンプレッサからの冷媒を受け入れるための前記第1のチャネル、および患者の熱交換パッドからのまたは前記患者の熱交換パッド以外の流体ソースからの流体を受け入れるための前記第2のチャネルと、
前記分離プレートの前記第1の側面に当接する第1のバッキングプレートと、
前記分離プレートの前記第2の側面に当接する第2のバッキングプレートと、
前記分離プレートに対向する前記第1のバッキングプレートと境を接し且つ血管内熱交換カテーテルを循環する作動流体を保持するためのカセットを受け入れるためのキャビティと、を含む、装置。
【請求項2】
前記第1のバッキングプレートおよび前記第2のバッキングプレートは、前記分離プレートの前記第1の側面および前記第2の側面に、前記分離プレートの前記第1の側面および前記第2の側面全体に沿って当接し、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルのみが、それぞれの流体が流れてよいキャビティを確立する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも前記第1のチャネルは、蛇行形状である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のチャネル内の
前記冷媒は、前記キャビティ内に配置される
前記カセット内の
前記作動流体と熱を交換できる、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のチャネル内の
前記冷媒は、前記分離プレート越しに前記第2のチャネル内の
前記流体と熱を交換できる、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のチャネル内の
前記流体は、前記分離プレートおよび前記第1のバッキングプレート越しに前記キャビティ内に配置される
前記カセット内の
前記作動流体と熱を交換できる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記分離プレートは、金属で形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記分離プレートは、熱可塑性物質で形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のチャネルを通る冷媒フローは、前記冷媒の前記第1のチャネルの通過の間中、
液相を
有する冷媒を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記流体は、貯水器またはコンテナから受け入れられた水である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
プレートアセンブリを備える装置であって、
前記プレートアセンブリは、
分離プレートであって、前記分離プレートは、前記分離プレートの第1の側面に第1のチャネルと、前記分離プレートの前記第1の側面と反対側の第2の側面に第2のチャネルと、を有して形成される、分離プレートと、
前記分離プレートの前記第1の側面に当接する第1のバッキングプレートと、
前記分離プレートの前記第2の側面に当接する第2のバッキングプレートと、
前記分離プレートに対向する前記第1のバッキングプレートと境を接し且つ血管内熱交換カテーテルを循環する作動流体を保持するためのカセットを受け入れるためのキャビティと、を含む、装置。
【請求項12】
前記第1のバッキングプレートおよび前記第2のバッキングプレートは、前記分離プレートの前記第1の側面および前記第2の側面に、前記分離プレートの前記第1の側面および前記第2の側面全体に沿って当接し、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルのみが、それぞれの流体が流れてよいキャビティを確立する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも前記第1のチャネルは、蛇行形状である、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のチャネルは、コンプレッサからの冷媒を受け入れるように構成され、前記第1のチャネル内の前記冷媒は、前記キャビティ内に配置されるカセット内の流体と熱を交換する、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のチャネル内の前記冷媒は、前記分離プレート越しに前記第2のチャネル内の流体と熱を交換できる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のチャネル内の流体は、前記分離プレートおよび前記第1のバッキングプレート越しに前記キャビティ内に配置される前記カセット内の前記作動流体と熱を交換できる、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記分離プレートは、金属で形成される、請求項11から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記分離プレートは、熱可塑性物質で形成される、請求項11から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のチャネルを通る冷媒フローは、前記冷媒の前記第1のチャネルの通過の間中、
液相を有する冷媒を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記流体は、貯水器またはコンテナから受け入れられた水である、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、患者の体温調節のための熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体温調節システムは、くも膜下出血または脳卒中等のその他の神経疾患に苦しむことによりニューロICU内にいる患者の発熱を防止するために、導入されている。また、このようなシステムは、脳卒中、心不全、心筋梗塞、外傷性脳損傷および高い頭蓋内圧等の疾患を患う患者のアウトカムを改善すべく、軽度または中等度低体温療法を導入するために使用されている。血管内熱交換カテーテルの例が、米国特許第7,914,564、6,416,533、6.409,747、6,405,080、6,393,320、6,368,304、6,338,727、6,299,599、6,290,717、6,287,326、6,165,207、6,149,670、6,146,411、6.126,684、6,306,161、6,264,679、6,231,594、6,149,676、6,149,673、6,110,168、5,989,238、5,879,329、5,837,003、6,383,210、6,379,378、6,364,899、6,325,818、6,312,452、6,261,312、6,254,626、6,251,130、6,251,129、6,245,095、6,238,428、6,235,048、6,231,595、6,224,624、6,149,677、6,096,068、6,042,559、8,888,729号および米国特許出願公開第2013/0178923、2013/0079855、2013/0079856、2014/0094880、2014/0094882、2014/0094883号に開示されており、これらのすべてが、本明細書に参照により組み込まれる。
【0003】
患者体温制御外部システムが使用されてよい。このようなシステムが、米国特許第6,827,728, 6,818,012, 6,802,855, 6,799,063, 6,764,391 , 6,692,518, 6,669,715, 6,660,027, 6.648,905, 6,645,232, 6,620, 187, 6,461,379, 6,375,674, 6, 197,045および6,188,930号(まとめて「外部パッド特許」と言う)に開示されており、これらのすべてが、本明細書に参照により組み込まれる。また、本譲受人の米国特許出願第14/276,202号も、本明細書に参照により組み込まれる。
【0004】
また、本譲受人の米国特許第7,070,612号も本明細書に参照により組み込まれ、そこには、血管内熱交換カテーテルおよび外部熱交換パッドの両方の作動流体ループのコイルを受け入れ可能な熱交換コンソールが説明および特許されている。一般に、あらゆる血管内のおよび外部の患者体温調節ソリューションにおいて、カテーテルまたはパッドを流れる作動流体の温度は、患者の実際の体温、典型的には深部体温によって供給されるフィードバックに基づき熱交換コンソールによって調整される。深部体温は、直腸から、食道から等様々に測定されてよく、鼓膜耳温度、例えば、大静脈における血液温度等が挙げられる。作動流体温度は、作動流体をコンソール内の加熱要素および/または冷却要素に熱的に結合することによって調整される。
【発明の概要】
【0005】
装置は、カセットのメンブレンアセンブリを受け入れるように構成されたカセットスロットを有するプレートアセンブリを含み、メンブレンアセンブリは、血管内熱交換カテーテルまたは外部熱交換パッドまたは他の態様の患者の熱交換部材からの作動流体を含むように構成されている。また、プレートアセンブリは、スロットの各側部にまたがり、カセットの各サイドレールを受け入れるように構成されたレールレセプタクルも含む。少なくとも第1のバルジキャビティたるレセプタクルまたは溝が、レールレセプタクルのうちの第1のレールレセプタクルの内側に形成される。第1のバルジキャビティは、その最も幅広い箇所において、スロットの幅より大きい直径または幅を有してよい。
【0006】
例示において、第2のバルジキャビティたるレセプタクルまたは溝が、レールレセプタクルのうちの第2のレールレセプタクルの内側に形成される。第2のキャビティは、その最も幅広い箇所において、スロットの幅より大きい直径または幅を有してよい。両方のバルジキャビティは、スロットのそれぞれの側部に接合する。特定の実施形態において、第1のおよび/または第2のバルジキャビティは、その最も幅広い箇所において、第1のレールレセプタクルまたは第2のレールレセプタクルの横径または幅より小さい、および/またはスロットの幅より大きい、直径または幅を有してよい。
【0007】
カセットが装置に係合され、メンブレンアセンブリがスロット内に配置され且つカセットのサイドレールがレールレセプタクル内に配置された状態になると、メンブレンアセンブリが作動流体で満たされたとき、メンブレンの第1の部分、例えば、カセットのサイドレールの内側にあるメンブレンアセンブリの縁近くが、第1のバルジキャビティ内へと拡張でき、それによって、メンブレンアセンブリの縦側縁沿いに拡張された流体経路を確立する。第1のバルジキャビティは、第1のレールレセプタクルの実質的に全長にわたり延伸してよく、円形または半円形、ダイアモンドまたはその他の形状であってよい。
【0008】
別の態様においては、装置は、今度は、分離プレートの第1の側面に第1のチャネルと、分離プレートの第1の側面と反対側の第2の側面に第2のチャネルと、を備えて形成された分離プレートを含むプレートアセンブリを含む。第1のチャネルは、コンプレッサからの冷媒を受け入れるために構成されており、第2のチャネルは、患者の熱交換パッドからのまたは当該パッド以外の水若しくは他の流体のソースからの水または他の流体を受け入れるために構成されている。第1のバッキングプレートは、分離プレートの第1の側面に当接し、第2のバッキングプレートは、分離プレートの第2の側面に当接する。キャビティは、分離プレートに対向する第1のバッキングプレートと境を接し、血管内熱交換カテーテルを循環する作動流体を保持するために構成されたカセットを受け入れるために構成されている。
【0009】
いくつかの例において、第1のバッキングプレートおよび第2のバッキングプレートは、分離プレートの第1の側面および第2の側面に、分離プレートの第1の側面および第2の側面全体または実質的に全体に沿って当接し、第1のチャネルおよび第2のチャネルのみが、それぞれの流体が流れてよいキャビティを確立する。一方または両方のチャネルは、蛇行形状であってよい。
【0010】
この構造により、第1のチャネル内の冷媒が、キャビティ内に配置されるカセット内の流体と熱を交換できる。同様に、第1のチャネル内の冷媒は、分離プレート越しに第2のチャネル内の流体と熱を交換できる。さらに、第2のチャネル内の流体は、分離プレートおよび第1のバッキングプレート越しにキャビティ内に配置されたカセット内の流体と熱を交換できる。冷媒の第1のチャネルの通過の間中、いくらかの液相を維持すべく、第1のチャネルを通る冷媒フローが確立されてよい。特定の実施形態において、他のプレートアセンブリが想起され、当該他のプレートアセンブリは、患者の熱交換パッドからのまたは水若しくは他の流体(例えば、冷却済みまたは加熱済み)に係る別のソースからの水または他の流体を受け入れるために構成された1または複数のチャネルを有してよく、チャネル内の流体または水は、プレートアセンブリ内に配置されたカセット内の流体と熱を交換できる。
【0011】
別の態様においては、血管内熱交換カテーテルからのまたは外部熱交換パッドまたは他の態様の患者の熱交換部材からの作動流体と熱を交換するための熱交換システムは、作動流体と熱を交換すべく、冷媒をシステムに循環させるように構成された少なくとも1つのコンプレッサを含む。少なくとも1つのダクトまたは管またはポートは、コンプレッサからの排熱を受け入れるために、および排熱を患者に向けるために構成されている。
【0012】
特定の実施形態において、血管内熱交換カテーテルからのまたは外部熱交換パッドまたは他の態様の患者の熱交換部材からの作動流体と熱を交換するための熱交換システムは、1または複数のチャネルを有するプレートアセンブリを含んでよい。チャネルは、冷媒を受け入れるために構成されてよく、冷媒のチャネルまたは冷却プレートの通過の間中、少なくともいくらかの液相を維持すべく、チャネルを通る冷媒フローが確立または調整され、冷媒は、作動流体と熱を交換する。
【0013】
本明細書に記載の様々な実施形態に係る構造および作動の両方に関する詳細は、添付図面を参照することで最も良く理解できる。添付図面中、同様の参照符号は、同様の部材を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態による非限定的なシステムの概略図である。
【
図2】熱交換システムの例示的な作動流体カセットホルダ部の斜視図である。
【
図3】
図2中に示されるカセットホルダの2分の1の斜視図であり、蛇行状の冷媒経路を示すべく、不透明な金属内部表面が透明に図示されている。
【
図4】
図2および3中に示されるカセットホルダに係合するように構成された例示的な作動流体カセットの斜視図である。
【
図6】
図2中のライン5‐5沿いに見たときの代替の実施形態に係る断面図である。
【
図7】
図2中に示されるカセットスロットの代替構成の上面図である。
【
図8】代替の冷却プレートの実施形態に係る断面図であり、冷媒は分離プレートの1側面上の凹面チャネルを流れ、および外部冷却パッド水または冷流体ソースからの水が分離プレートの反対側の側面上の凹面チャネルを流れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず
図1を参照すると、本原理により、システム10は、例えば、患者16が発熱するのを防ぐために、または、患者16に低体温療法を導入するために患者の体温を調節する制御システム14によって制御される血管内熱交換カテーテル12を含んでよい。カテーテル内では、限定はされないが生理食塩水等の作動流体または冷却剤が、制御システム14から、流体供給ラインL1を通り、カテーテル12を通り、流体戻りラインL2を通りシステム14へ戻るように、作動流体または冷却剤が身体に入ることのないように閉ループ内を循環(通常、制御システム内のポンプ"P"の影響下において)する。上記または以下の米国特許に開示されるいずれのカテーテルが使用されてもよく、それらはすべて本明細書に参照により組み込まれる。米国特許第6,419,643、6,416,533、6,409,747、6,405,080、6,393,320、6,368,304、6,338,727、6,299,599、6,290,717、6,287,326、6,165,207、6,149,670、6,146,411、6,126,684、6,306,161、6,264,679、6,231,594、6,149,676、6,149,673、6,110,168、5,989,238、5,879,329、5,837,003、6,383,210、6,379,378、6.364,899、6,325,818、6.312,452、6,261 ,312、6,254,626、6,251,130、6,251,129、6,245,095、6,238,428、6,235,048、6,231 ,595、6,224,624、6,149,677、6,096,068、6,042,559、8,888,729、5,486,208、5,837,003、6,110,168、6,149,673、6,149,676、6,231,594、6,264,679、6,306,161、6,235,048、6,238,428、6,245,095、6,251,129、6,409,747、6,368,304、6,338,727、6,299,599、6,287,326、6,126,684、7,211,106号および米国特許出願公開第2013/0178923、2013/0079855、2013/0079856、2014/0094880、2014/0094882、2014/0094883号。カテーテル12は、例えば、上大静脈または下大静脈等の静脈系に配置されてよい。
【0016】
カテーテル12の代わりに、またはカテーテル12に加えて、システム10は、患者16の外部皮膚に対し配置される1または複数のパッド18(わかりやすくするため、1つのパッド18のみが図示されている)を含んでよい。パッド18は、上記の外部パッド特許に開示されるいずれのパッドであってもよく、限定はされない。パッド18の温度は、患者16と熱を交換するための制御システム14によって制御され得る。これは、患者が、例えば、心不全、心筋梗塞、脳卒中、高い頭蓋内圧、外傷性脳損傷、またはその他の疾患を呈することに対応して、患者に軽度または中等度低体温療法を導入する場合が挙げられ、これらの結果は、低体温法によって改善され得る。パッド18は、システム14から流体供給ラインL3を通して作動流体を受け入れてよく、システム14に流体戻りラインL4を通して作動流体を戻してよい。
【0017】
制御システム14は、ターゲットおよび患者の体温を入力として受信し、且つ、とりわけ、ポンプ"P"および冷媒コンプレッサ22および/またはバイパス弁24を制御する1または複数のマイクロプロセッサ20を含んでよく、当該バイパス弁24は、冷媒がコンデンサをバイパスすることを許可するために開かれてよい。冷媒は、制御システム14内の熱交換器を循環し、これについてはさらに後述する。プロセッサ20は、プロセッサ20が下記のロジックを実行するように構成するためのコンピュータメモリ26上にある命令にアクセスしてよい。コンピュータメモリ26は、例えば、ディスクベースまたはソリッドステートのストレージであってよい。
【0018】
コンプレッサ22またはファンからの温かい排気は、患者16を温めるべく、ダクト27に向けられてよい。
図1は、ダクト27は、患者に隣接する開放端を有するように図示されているが、ダクト27は、空気をブランケット、テントまたは患者を部分的または完全に包囲する他の覆いに向けてもよいことを理解されたい。
【0019】
他の実施形態においては、例えば、システムのコンプレッサまたはその他のコンポーネント等、システム10によって生成される熱が、患者が熱交換カテーテルまたはパッドで冷却される前、後、またはその間に、患者を温めるべく、患者の表面に伝達され、または向けられてよい。
【0020】
また、
図1は、コンプレッサ22の冷媒がない場合、または電力がない場合、またはカテーテル12へ流れる作動流体を冷却するための冷媒をシステム内で循環できないその他の理由の場合において、それでもなお、カテーテル12へ流れる作動流体を冷却したいときは、冷流体をシステムに供給するために、冷水槽等のソース28がパッド流体ラインL3およびL4に接続され、カテーテルの作動流体を冷却できることを示す。これについては以下にさらに詳しく説明する。
【0021】
図2は、制御システム14内の例示的な熱交換器の一部を示し、熱交換器は、間にカセットスロット34を画定する少なくとも2つの冷却プレート30、32を含む。一実施形態において、スロット34の幅"W"は、40ミル(0.040")(1.016ミリ)未満であり、29ミルから31ミル(0.029"~0.031")(0.7366ミリから0.7874ミリ)の間であってよい。他の実施形態においては、スロットは、0.020"~0.070"ミル(0.508~1.778ミリ)である。特定の例においては、幅"W"は、30ミル(0.762ミリ)であってよい。以下に詳しく示す通り、スロット34は、限定はされないがカセット等の熱交換部材を受け入れるための冷却剤チャンバを確立してよく、カセット内を血管内熱交換カテーテル、外部熱交換パッドまたは外部冷却パッドまたは他の態様の患者の熱交換部材からの作動流体が流れる。熱交換は、熱交換部材の壁を通して達成されるので、カテーテルまたはパッドからの作動流体は、熱交換部材の壁の外部にある制御システム14の表面または当該制御システム14の熱交換器内の流体とは、接触しない。このようにして、血管内カテーテルまたはパッドを循環する非限定的な例示として典型的に生理食塩水である作動流体を滅菌されたままにできる。よって、まず、スロット34によって確立される冷却剤チャンバに注目することにする。
【0022】
冷却プレート30、32は金属または他の熱伝導性材料で形成されてよく、図示の通り直線構成であってよく、実際上ほぼ正方形であってよい。冷却プレート30、32は、左側壁36と右側壁36に沿って互いに当接してよく、細長い鉛直のカセットフレームレセプタクルR1とR2が、各側壁36のすぐ内側に配置され、スロット34が両側壁36間に延在し、図示の通り、レセプタクルR1、R2の箇所で終端する。フレームレセプタクルR1、R2は、スロット34より幅広であってよい。図示された例においては、冷媒の入口管38および出口管40が、冷却プレート32のうちの少なくとも1つを貫通し、コンプレッサ22からの冷媒を冷却プレートの冷媒経路へと伝達させ、冷却プレートは、スロット34によって確立される第1の冷却剤チャンバに対し追加的な(およびそれと熱接触する)第2の冷却剤チャンバを確立する。各冷却プレートは、自身の冷媒の入口管および出口管を有してよく、または各冷却プレートは入口若しくは出口のいずれかを有してよく、例えば、その場合は、両冷却プレートの冷媒経路同士は互いに流体連通し、あるいは、図示の実施形態においては、一方の冷却プレートのみに冷媒の入口管および出口管が形成され、他方の冷却プレートは、冷媒が流れる方の冷却プレートに熱的に結合されてよく、および/または、一方の冷却プレートは側壁36の一方または両方を通るように形成された経路を通して、他方の冷却プレートから冷媒を受け入れてよいのいずれかである。
【0023】
また、一例において、パッド作動流体の入口P
inおよび出口P
outも、図示の通り、冷却プレートのうちの少なくとも1つに形成されてよい。後により詳細に説明する通り、ラインL3およびL4または他のラインを介するパッド18からのまたは冷流体ソース28からの作動流体が、パッド作動流体入口P
inおよび出口P
outへとポートされ、冷媒と、または、場合によっては、冷却プレートを流れるカテーテルからの作動流体と熱を交換してよい。また、加温作動流体を供給すべく、1または複数の電気ヒータ41が、冷却プレートの一方または両方に取り付けられ、当該冷却プレートを加熱してよい。冷却プレートを加温する代わりに、バイパス弁24(
図1)が開放され、コンプレッサからの熱い気体冷媒が、当該気体冷媒がシステムを循環する際、コンデンサをバイパスすることを可能にしてよい。
【0024】
図3は、例示的な冷却プレート32を内部表面を透明にして見たときの詳細を示しており、内部表面は典型的に金属であること、および
図3中に示される蛇行状の冷媒経路42は通常は、人間の目に不可視であることがわかる。いずれの場合であっても、冷媒入口38を冷媒出口40に流体接続する例示的な冷媒経路は、図示のような蛇行形状であってよく、あるいは、何らかの他の形状またはヘリンボーンパターン、波パターン、若しくは巻線パターン、うねりパターン、シニュアスパターン等のパターン、または1または複数の曲線、回転および/または屈曲等を有する構成であってよい。
【0025】
図4は、本原理による例示的な作動流体カセット50を示す。カセット50は、冷却プレート30と32との間に画定されるスロット34およびカセットフレームレセプタクルR1、R2にぴったり嵌合するように構成されている。カテーテル12または外部パッド等の患者に係合可能な熱交換部材からの生理食塩水等の作動流体が作動中、カセット50を流れ、作動流体が、冷却プレート内の冷媒と熱を交換する。例示的な実施形態においては、カセット50は、例えば、カテーテル12または外部パッドを循環する滅菌生理食塩水を含むことができる低コストの一回きり使用の使い捨てアイテムである。カセットは、医療介護者によって、冷却プレート30と32との間のスロット34に配置されてよく、例示的な生理食塩水が流れる空間、すなわち作動流体チャンバを画定するメンブレン部分が、作動流体がそこを流れると膨張し、冷却プレート30、32との熱接触を実現する。
【0026】
示される例においては、カセット50は、周辺を画定するフレーム52、および図示の通り、少なくとも3辺が当該フレームの当該周辺によって囲まれる、好ましくは直線構成の開口部を含む。図示された非限定的な例においては、フレームは、細長い直方体形状の上部レール53、および互いに対し平行で且つ上部レール53に対し垂直な細長い直方体形状の左サイドレール54および右サイドレール54を含む。例示的なフレーム52は、上部レールと対向し且つ左サイドレール54および右サイドレール54に接続された金属ストリップすなわち底部レール51を有してよく、当該底部レール51は、メンブレンを支持し且つメンブレンの2軸引張状態での配置を容易にしてよい。いずれの場合であっても、例示的なフレーム52は直線構成であり、2つの冷却プレート30、32間に密接に受け入れられるように構成されており、サイドレール54は冷却プレート30、32間のフレームレセプタクルR1、R2と摺動可能に係合でき、後述のメンブレンアセンブリがスロット34に通され、冷却プレート内の冷媒チャネルと近接並置されることになる。特定の変形例においては、レセプタクルR1、R2は一致していてよく、または、レセプタクルR1、R2はそれぞれ、カセットのサイドレールの形状若しくは構成に対応する異なる形状を有してよい。これにより、ユーザにガイダンスを与え、カセットがスロットおよびレセプタクル内へと正しい向きに挿入されることを保証することに寄与することになる。
【0027】
図4中、フレーム、図示の例ではフレームの上部レール53は、流体入口56および流体出口60を備えるように形成され、流体入口56には入口管58が配置済みであり、流体出口60には出口管62が配置済みである。入口と出口の両方が、フレームから開口部へ貫通するそれぞれの流体経路を確立する。入口管58および出口管62は、カテーテル12に関連付けられた流体戻りラインおよび流体供給ラインL1、L2と係合してよい。入口管58、出口管62の一方または両方は、上部レール53の真下で終端してよく(
図4)、上部レールの底部と同一平面上にあってよく、あるいは、入口管58、出口管62は、アセンブリの底部まで任意の所望の長さで延伸してよく、すなわち、入口管58、出口管62の一方または両方は、左サイドレール54および右サイドレール54のほぼ全長を延伸し、後述のメンブレンアセンブリの底部シームの真上で終端してよい。特定の実施形態においては、入口管と出口管は、当該管が冷却プレート内または冷却プレート上の特徴部またはコンポーネントと係合できるような十分な長さ分延伸してよく、例えば、少なくとも当該管の一部または終端セグメントは、冷却プレートの内壁または内面内または冷却プレートの内壁または内面上に配置される溝または段に置かれてよい。入口管と出口管は、冷却プレート内のバルジキャビティと嵌合する、または当該バルジキャビティと直列になるように配置されてよい。この配向は、制御されない態様またはより制御が少ない態様で、メンブレンアセンブリが、外側へ膨らみ、破裂をもたらし得ることを最小化または防止することに寄与してよい。特定の実施形態においては、入口管58と出口管62または別個の入口管および出口管は、外部パッドに関連付けられた流体戻りラインおよび流体供給ラインL3、L4と係合してよい。
【0028】
実際、例えば、重合体メンブレンアセンブリ等のメンブレンアセンブリ64がフレーム52に接続され、開口部は図示の通り4辺でフレームによって囲まれ、塞がれる。メンブレンアセンブリ64は、第2のメンブレン68に対して平行であり且つ第2のメンブレン68からわずかに離間する第1のメンブレン66を含み、第1のメンブレン66と第2のメンブレン68との間に作動流体チャンバを確立する空間が残される。流体入口56および流体出口60は、メンブレン66、68間の空間と連通する。メンブレン66、68の少なくとも1つ、好ましくは両方が、開口部に引張状態で配置される。メンブレン間の空間は作動流体で満たされると、拡張可能である。
【0029】
一例において、各メンブレンは、厚みが、わずか2ミル(0.002")(0.0508ミリ)であり、より好ましくは、1ミル~3ミル(0.001"~0.003")(0.0254~0.0762ミリ)の範囲であり、端の値を含む。特定の実施形態において、各メンブレンは、厚みが1ミル~5ミル(0.001"~0.005")(0.0254~0.127ミリ)の範囲であってよい。例示的なメンブレン66、68は、開口部および同様の開口部と同一の広がりを持ち、当該メンブレンは、おおむね正方形であり、例示的なメンブレンの上端から下端までの長さは、メンブレンの左端から右端までの長さとほぼ等しい(±10%の範囲内、より好ましくは±5%の範囲内)。他の実施形態においては、正方形(1:1)のアスペクト比の代わりに、最大1:1.5までのアスペクト比が使用されてよい。また、メンブレン間の作動流体チャンバも直線構成であり、特定の実施形態においては、メンブレン間に障害物が存在せず、つまり作動流体チャンバは、完全な直線構成であり、おおむね正方形のチャンバであることを意味する。
【0030】
カセットが冷却プレートに係合されると、メンブレン66、68の薄さ、並びに冷却プレート30、32同士の互いの近さ、および冷却プレート30、32の介在するメンブレンアセンブリに対する近さに起因して、図面に示されるシステムは、冷却プレートを循環する冷媒とメンブレン66、68間を循環する作動流体との間の熱伝達の低インピーダンスをもたらす。メンブレン間の作動流体チャンバは、作動流体フローによって生成される背圧に起因して膨張し、冷却プレート内の移動メカニズムの必要性をなくすまたは低減する。さらに、2つの冷却プレート間の細幅スロット34は、当該冷却プレートと作動流体との間の伝導経路の長さを短くすることによって、より良好な伝熱をもたらす。フレームは、カセットの冷却プレートへの挿入および冷却プレートからの除去等の扱いを容易にできる。
【0031】
幅と長さが約1:1のアスペクト比を有するメンブレン66、68(すなわち、正方形またはほぼ正方形)間の例示的な作動流体チャンバに関しては、熱交換器を通る作動流体フローを誘起するために必要な背圧量は、正方形の度合いのより小さい構成と比較して、低減される。これにより、作動流体ポンプが行う必要のある仕事量を低減し、このことは、2つの理由において望ましい。1つ目は、ポンプは使い捨てであってよいので、より低い性能要件が、より低廉な使い捨ての、より静かなシステムにつながることである。例えば、蠕動ローラポンプは、静かな作動性および低コストの使い捨て要素を供給する反面、少量の圧力のみが要求されるときに最も効率的に作動する。2つ目は、作動流体ポンプの仕事を減らすことで、ポンプ自体による作動流体に伝達される熱量が減る。また、幅/長さの低アスペクト比は、混合量を低減することになる、より低速の作動流体速度をもたらす。しかしながら、レイノルズ数は通常<1000であり、層流体制を示唆するので、別の面から望ましい(熱交換の観点から)この効果は、本例示システムにおいては無視できる。さらに、幅/長さの低アスペクト比は、流体フロー経路における屈曲の数(すなわち、「コーナー部」)を大幅に低減する。これら屈曲は、伝熱を促進する流体混合領域である。それらがなければ、流体境界層が構築される。しかしながら、冷却プレート間の細幅スロットを維持することによって、この効果は、本明細書においては相殺される。このように、主要な伝熱メカニズムは伝導によるものであるが、伝導経路の長さ(従って、境界層)は短く、比較的高い熱伝導率をもたらす。
【0032】
特定の実施形態においては、カセットのメンブレンと面する冷却プレートの表面は、使用後のカセットの除去を補助すべく、付着防止性(「リリース」)および/または疎水性のコーティングでコーティングされてよい。場合によっては、全使用期間の間(例えば、最大7日)、熱交換メンブレンを冷却プレート表面に対し押圧する生理食塩水の流体フローからの背圧に起因して、メンブレンが冷却プレートにくっつく結果となり、除去が難しくなることがある。大きな表面積が、ユーザが克服し難い可能性のある強い力をもたらし得る。また、薄い水膜が、メンブレンと冷却プレート表面との間に存在(漏れ、凝縮に起因して)する可能性があり、これにより付加的な毛細管力をもたらす。毛細管力は、場合によっては、克服し難い可能性があり、カセットまたは冷却プレートへの損傷をもたらす可能性があり、抜き取りを難しくする。付着防止性および/または疎水性のコーティングは、毛細管力を最小化することによって、これを軽減する。また、この水膜が完全に乾燥して、可能性としてファンデルワース接着をもたらすことがある。コーティングの付着防止の側面により、これが生じることを防止する。フッ素重合体コーティングは、疎水性およびリリース性(付着防止性)の両方の特性を付与し、他の付着防止性および/または疎水性の材料またはコーティングと共に利用されてよい。
【0033】
特定の例においては、メンブレン66、68は、組み立て中に張力を受けてフレームまで延伸、好ましくは二軸延伸される(すなわち、上部レール53と底部レール51との間での引張り、およびまた左サイドレール54と右サイドレールとの間での引張り)。この張力は、製品の寿命にわたり、維持されてよい。プリテンションは、材料のしわを最小化する。しわは作動流体フローを妨げ、作動流体と冷却プレートとの間の伝熱を低下させる空隙を形成する可能性があるので、これは有益である。また、しわは、メンブレンアセンブリの細幅スロット34への挿入を困難にする可能性もある。
【0034】
メンブレンのプリテンションを確立すべく、フレームは二等分して形成されてよく、ねじ付き留め具等のポストが二等分のフレームの一方に対し横方向に延びてよく、メンブレン66、68は、ポストと、ポストを受け入れるためのメンブレンに形成された穴とにわたり延伸される。次に、メンブレンアセンブリの直線状の縁部分を二等分のフレーム同士の間に挟むべく、二等分のフレームの他方が配置され、各ナット等のクロージャがポストに係合して、二等分のフレーム同士を、当該二等分のフレーム間に引張状態で保持されたメンブレンアセンブリと共に保持する。随意で、ポスト、例えば、プレスフィットを使用するポストが、1または複数のフレームに配置され、二等分のフレーム同士を共に保持してよい。ポストは、プラスチックまたは他の好適な材料で形成されてよい。
図4は、作動流体チャンバは、底部において、縁部分の一部であるメンブレンアセンブリの底部シーム74Aによって、閉ざされていることを示す。使用中のしわ寄りを回避すべく張力を印加することに加え、追加のポストを使用して、溶接プロセス中のしわよせが回避され、溶接接合の品質を向上してよい。
【0035】
縁部分に、メンブレン66、68を補強するためのポリマーフィルムから成る少なくとも1つのレイヤ、好ましくは1つより多くのレイヤが使用され、溶接されたシームを確立してよく、当該シーム(メンブレンアセンブリの縁に)を貫通するポストの穴が形成され、より簡単な製造を可能にする。補強層を縁部分のみに配置することによって、メンブレンアセンブリの中央「窓」は、作動流体と、冷却プレート30、32の一方との間の単一の薄層メンブレンのみで構成され、伝熱を妨げることを最小化する。1つの材料の全周囲を補強するダイカット補強層が使用されてよい。
【0036】
いくつかの例において、ポリマーメンブレン66、68は高伸縮性であり、少なくとも伸び25%より大きい。これは、メンブレンが、しわがよらずに、
図4中に示される空の平坦な状態から、膨張した形状(冷却プレート間のスロット34内で)へと変化することを可能にする。また、これは、メンブレンが冷却プレートの面上にある特徴部に容易に適合することも可能にする。
【0037】
また、メンブレンは、管類にも形成可能な材料で形成されてよい。
図4中に示される入口管58および出口管62等の管は、その後、メンブレンに熱溶接(例えば、RFシールを使用して)されてよく、これは接着より信頼性が高く、迅速である。メンブレン66、68は、冷却プレート32、34およびフレーム52が、膨張したメンブレンアセンブリへの支持を付与し、メンブレンアセンブリが、メンブレン間を作動流体が流れる結果として生成される圧力に耐えることを可能にするので、自身の横方向の支持を付与することは不要である。隆起バンプ、凹面、隆起リブ等の構造的特徴部が、伝熱を最適化するために冷却プレートに配置されてよい。例えば、冷却プレートの面は、波形にされてよく、または表面積の増加をもたらし、メンブレンと冷却プレートとの間の熱交換または伝熱を向上化または最適化する特徴部(カットアウトまたは隆起)を含んでよい。当該特徴部は、例えば、蛇行、巻線、うねり、シニュアスパターンまたは形状といった、異なる形状またはパターンを有してよく、または、1または複数の曲線、回転、および/または屈曲を有する構成を含んでよい。冷却プレートは、再利用可能なコンポーネントであるので、これは、経済的に有利であってよい。生理食塩水フローの供給を均一にすべく、マニホールドが冷却プレート内に切り出されてよい。
【0038】
制御システム14内の熱交換器と、血管内温度制御カテーテル12またはパッド18内の滅菌作動流体との間の例示の非限定的な熱交換構造の組み合わせについて説明したので、ここで
図5に注目することにする。
図5は、冷却プレート内の追加の冷却剤チャンバに係る例示的な実施形態を示し、これにより、外部熱交換パッド18からの非滅菌作動流体を含む作動流体との熱交換を実現する。
図5中に示されるプレート構造は、金属または熱伝導性の高い他の材料であることが好ましいことに留意されたい。
【0039】
以下の説明においては、一般的に「プレート」30および32と称されるが、図示の通り、冷却プレート30、32は、複数の流体チャンバを画定するマルチプレートアセンブリであってよい。図示された非限定的な例においては、冷媒の入口管38および出口管40は、冷却プレート32の外壁80および分離壁82を貫通し、コンプレッサ22からの冷媒を冷却プレート内の冷媒経路へと伝達させ、冷却プレートは、分離壁82と内壁84とによって囲まれる冷媒チャンバ42を確立する。内壁84の反対側には、作動流体カセットスロット34が存在する。上記の通り、各冷却プレートは、自身の冷媒の入口管および/または出口管を有してよく、あるいは一方の冷却プレートのみに冷媒の入口管および出口管が形成され、他方の冷却プレートは、冷媒が流れる方の冷却プレートに熱的に結合されてよく、および/または、冷却プレート間に形成された経路を通して、他方の冷却プレートから冷媒を受け入れてよいのいずれかである。示される例において、冷却プレート30、32は、側壁36(
図2)から、共通の底壁86(
図5)、およびスロット34が形成される上部壁88の中断なしの部分まで熱的に結合される。
【0040】
いくつかの例において、冷却プレート30、32は、互いに鏡像構造である。
図5の例においては、左側の冷却プレート(32)の冷媒チャンバ42は、冷媒供給および戻り経路90、92を通して、右側の冷却プレート30の冷媒チャンバ94と流体連通する。故に、これらの冷却プレートの両冷媒チャンバはカセットスロット34にまたがり、それぞれの内壁84によってカセットスロット34から分離されており、冷媒は、左冷媒チャンバ42および右冷媒チャンバ94を順次に流れる。まず冷媒入口管38から左冷媒チャンバ42へ流れ、その後、冷媒供給経路90を通って右側の冷媒チャンバ94へと流れ、冷媒戻り経路92を通って戻り、冷媒出口管40から出るといった具合である。これにより、図示された例示のように、2つの冷媒チャンバが設けられるとき、冷媒チャンバ42、94を通る冷媒流体流量を増加させる。
【0041】
対照的に、パッド作動流体チャネルの流体フローは、左パッド流体チャンバ106および右パッド流体チャンバ108に対して平行に配管されてよく、左パッド流体チャンバ106および右パッド流体チャンバ108は、図示の通りこれらの冷媒チャンバにまたがり、これら冷媒チャンバからそれぞれの分離壁82によって分離される。図示された非限定的な例においては、外部パッドからの流体は、パッド作動流体入口Pinから、底壁86に形成された入口プレナム100へと流れる。流体は、入口ポート102、104を通って並行して、左パッド作動流体チャンバ106と右パッド作動流体チャンバ108へと流れる。流体は、上部プレート88に形成された上方プレナム110を通って、作動流体出口Poutから、これらのパッド作動流体チャンバを出て、外部パッドへと戻る。この例示的な並行流体フローにより、パッド作動流体システムの背圧を低減する。
【0042】
上記のこれらの冷媒チャンバを通る順次的な流体フローおよびパッド作動流体チャンバを通る並行なフローは、例示にすぎず、限定するものではないことに留意されたい。故に、パッド作動流体チャンバを通る流体フローが順次的であってよく、および/または、冷媒チャンバを通る流体フローが並行であってよい。さらに、図示および説明された具体的な例示の配管構成は、マルチチャンバ冷却プレート30、32に流体を通す配管の一例にすぎないことに留意されたい。
【0043】
実際、
図6は、冷媒チャンバを通る流体フローが並行である点を除き、
図5中に示されるものと類似のシステムを示す。両方の冷媒チャンバは、冷媒入口プレナム200と連通してよく、冷媒入口プレナム200を通って、冷媒は、各冷媒チャンバ42、94に並行して流入する。また、両方の冷媒チャンバは、冷媒出口プレナム202と連通してよく、冷媒出口プレナム202を通って、冷媒は、各冷媒チャンバ42、94を並行して流出し、コンプレッサに戻る。
【0044】
これで、血管内熱交換モードにおいて、スロット34内に配置されたカセット50を通って流れるカテーテル12からの作動流体が、それぞれの内壁84を通して、冷媒チャンバ42、94内の冷媒と熱を交換することが理解されるであろう。カテーテルの作動流体は、カセット50を流れることにより、冷却プレートの熱交換器のどの部分とも接触するに至らない。このようにすることで、カテーテルの作動流体は、その滅菌状態を維持し、例えば、最大70ポンド/平方インチ(70psi)(482.633kPa)の循環流体圧力に耐えるため、閉流体回路内で包囲される。
【0045】
他方で、パッドの作動流体は、外部パッドによって患者から分離されているので、滅菌性が要求されなくてよく、この場合は、パッドの作動流体は、冷媒チャンバ42、94内の冷媒と熱を交換するために、冷却プレート30、32の分離プレート82に直接接触してよい。
【0046】
図7は、カセットスロット34'および当該スロット34'にまたがるカセット50のサイドレールを受け入れるためのレールレセプタクルR1'とR2'を有する代替の冷却プレートアセンブリ700を示し、当該レールレセプタクルと当該スロットとは、
図2中に示される対応物と構成および機能において実質的に同一である。しかしながら、
図2と異なり、
図7は、冷却プレートアセンブリ700は、各レセプタクルR1'、R2'の内側に、それぞれのバルジまたは拡張キャビティ702のレセプタクルまたは溝を備えるように形成されていることを示し、当該レセプタクルまたは溝は、サイドレールレセプタクルの実質的に全長にわたり延伸してよい(数ミリメートル程度のずれはあるにしても)。当該実施形態において、各バルジキャビティ702は、円形または半円形状であってよい(他の形状が使用されてもよいが)。バルジキャビティは、冷却プレート30'、32'間に画定されてよい。冷却プレート30'および/または32'は、その内壁上に形成されたキャビティまたは溝を有してよい。キャビティまたは溝は、バルジキャビティが、サイドレールレセプタクルから分離または離間されるように、例えば、冷却プレートのランドまたはその他のセグメントによって、サイドレールレセプタクルから分離または離間されてよい。これによって、メンブレンが作動流体で満たされたとき、メンブレンアセンブリがサイドレールレセプタクルへと拡張することを最小化または防止することに寄与してよい。バルジキャビティは、スロット34'に接合または接続され、例えば、半円形状のバルジキャビティが、半円の頂点においてスロット34'と接合されてよい。
図7中に示される通り、各バルジキャビティ702は、その最も幅広い箇所における幅Wまたは直径(例えば、円または半円の直径)を有してよく、当該幅Wまたは直径は、レールレセプタクルの横径または幅W2より小さいが、スロット34'の幅W3より大きい。他の実施形態においては、バルジキャビティは、レールレセプタクルのすぐ内側にあってよい。
【0047】
この構造では、カセット50が冷却プレートアセンブリ700に係合され、メンブレンアセンブリ64がスロット34'内に配置され且つカセットのレールがレールレセプタクルR1'、R2'内に配置された状態になると、メンブレンアセンブリ64が作動流体で満たされたとき、メンブレンアセンブリの部分、例えば、メンブレンアセンブリ64の縁近くにあり、カセットのサイドレールの内側にある部分が、バルジキャビティ702内へと拡張可能である。これにより、メンブレンアセンブリ64の縦側縁沿いに拡張された流体供給経路および流体戻り経路を確立する。このようにして、カセット50の上部に入る作動流体は、サイドレールの一方に沿って大部分がバルジキャビティ内に拡張したメンブレンアセンブリの部分の流体供給経路へ流れ落ちる。カセット50の流体供給管は、バルジキャビティと同心円状に、またはバルジキャビティと直列になるように配置されてよい。流体が供給経路を流れ落ちるに従い、供給流体が部分的に順次出てきて、流体供給経路からメンブレンアセンブリの向こう側の、カセット50の流体戻り管にすぐ隣接するバルジキャビティ702内に拡張したメンブレンアセンブリの部分によって確立された流体戻り経路へと流れる。
【0048】
図8は、
図5および6中に示される冷却プレートと構成および作動において、以下の点を除き、実質的に同一である代替の冷却プレート800を示す。分離プレート802は、分離プレートの両側面にそれぞれ形成されたチャネル804、806(これは、
図3中に示される蛇行状のチャネル42と同様に構成されてよく、または、例えば、1または複数の曲線、回転および/または屈曲を有するような別のパターン若しくは形状で構成されてよい)を有してよい。図示され、本明細書で説明された他の冷却プレート構造と同様、分離プレート802は、高熱伝導性であり、金属または適切な熱可塑性若しくはその他の熱伝達材料で形成されてよい。
【0049】
左バッキングプレート808および右バッキングプレート810が、分離プレート802の左側面および右側面に、分離プレートの両側面全体に沿って当接可能であり、チャネル804、806のみが、それぞれの流体が流れてよいキャビティを確立する。(
図9中に800の分解図が図示されている)故に、冷媒は、分離プレート802と左バッキングプレート808との間の左チャネル804を流れてよく、且つ、例えば、患者の熱交換パッドからのまたはサーマルストレージユニットとして機能してよい貯水器等の当該パッド以外の水源からの
図1中のラインL3、L4からの水は、分離プレート802と右バッキングプレート810との間の右チャネル806を流れてよい。この構成において、図示の通り、カセットスロット34'は、分離プレート802と反対側の左バッキングプレート808の側面に配置されてよい。この構造では、冷媒が、カセット内の滅菌されたカテーテル12の生理食塩水またはパッド18からの非滅菌の流体、または随意でカセット内のパッド流体のいずれかと熱を交換できるだけでなく、さらに、冷媒が利用不可能である、またはバッテリ電力のみが利用可能である(従って、実質コンプレッサ22はオフラインである)場合に、冷流体ソース28(
図1に示される)または貯水器(例えば、水はコンプレッサによって以前に冷却されていた)からの水が、右チャネル806にポートされ、分離プレート802および左バッキングプレート808越しにスロット34'内のカセット50との幾分の熱交換を供給してよい。
【0050】
特定の実施形態の本明細書に記載の様々な冷却アセンブリは、プレート同士を、例えば、オーブンで共にろう付けすることによって、および/または例えば、真空ろう付けすることによって、組み立てられてよい。また、あるいは、代替的に、プレート同士は機械的ファスナによって接続され、Oリングを用いてシールされてよく、および/または、ガスケットが利用されてもよい。
【0051】
所望する場合、例えば、目標温度に到達したとき、患者を過度に冷やすことを回避すべく、および/または、xプローブのイコライゼーションストップを短くするために、システムポンプを逆方向に作動させるべく、冷媒は、本冷却プレートを加熱するために温めることを可能にされてよい。さらに、冷媒が冷却プレートの経路を流れるまたは通過する全期間にわたり、実質的に全期間にわたり、または、一部の期間にわたり、冷媒の少なくともいくらかの液相を維持するように冷媒フローが確立または調整されて、熱交換を促進してよく、この場合、冷媒は、血管内熱交換カテーテルおよび/または外部熱交換パッドからの作動流体と熱を交換してよい。
【0052】
上記の通り、
図1中のダクト27を使用して、患者16は、内部冷却中に快適にするために、または冷却後に患者を再度温めるために、コンプレッサ22からの排熱によって外部から温められてよい。特定の実施形態において、患者が熱交換カテーテルまたはパッドを用いて冷却される前、後またはその間に、例えば、震えを防止または低減すべく、システム10、例えば、システムのコンプレッサまたはその他のコンポーネントによって生成される熱が、患者の表面に対し伝達され、または向けられて、患者を温めてよい。特定の変形例においては、熱は、ベアーハガーまたは他の熱風ブランケットまたは病院で使用されるテントを介して、患者に対し向けられ、患者の皮膚を温かく維持することに役立ってよい。患者を温めるためのその他のメカニズムまたは方法としては、限定はされないが、パッド内に電気加熱要素を配置することまたは含めること、患者を放射加熱ランプを用いて温めること、コンソールまたはシステム上のファンからの温風(温風はコンプレッサからの熱を除去するものである)を患者の表面へとまたは患者の表面に対し向けること、およびシステム内に加温用流体を含む第3の流体回路を設けることまたは含めること、が含まれる。
【0053】
本明細書において、血管内温度管理カテーテルおよび/または熱交換パッドのための熱交換器の冷却プレート設計に係る様々な実施形態が、示され、および詳細に説明されているが、本発明の範囲は、専ら添付の特許請求の範囲によって限定されるべきである。一実施形態に含まれるコンポーネントは、他の実施形態の中で、任意の適切な組み合わせにおいて使用されてよい。例えば、本明細書に記載された、および/または図面中に示された様々なコンポーネントのうちの任意のものが、他の実施形態で組み合わされ、置き換えられ、または除外されてよい。
【0054】
「A、BおよびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」(同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」および「A、B、Cのうちの少なくとも1つを有するシステム」)は、A単独、B単独、C単独、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、および/またはA、BおよびCを一緒に等を有するシステムを含む。