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  • 特許-半導体装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220908BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220908BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/90 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017244253
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019110275
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】石野 嵩弥
(72)【発明者】
【氏名】高橋 篤史
(72)【発明者】
【氏名】財満 和典
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-275581(JP,A)
【文献】特開2016-051750(JP,A)
【文献】国際公開第2004/003988(WO,A1)
【文献】特開2005-116690(JP,A)
【文献】特開2015-046564(JP,A)
【文献】特表2010-506428(JP,A)
【文献】特開2014-017406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
H01L 21/311
H01L 21/3065
H01L 21/336
H01L 27/11582
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1膜を形成し、
炭素元素とフッ素元素とを含有する第1ガスを用いて、前記第1膜に凹部を形成し、かつ前記凹部に露出した前記第1膜の表面に第2膜を形成する第1処理を実行し、
前記第1処理の実行後に、前記第1ガスとは異なり、水素元素を含有しフッ素元素を含有しない第2ガスを用いて、前記第2膜を改質する第2処理を実行
前記第2処理の実行後に、前記第1ガスを用いて、前記凹部の底面を低下させ、かつ前記凹部に露出した前記第1膜の表面に第3膜を形成する第3処理を実行し、
前記第3処理の実行後に、前記第2ガスを用いて、前記第3膜を改質する第4処理を実行する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1膜は、複数の第1絶縁層および複数の第2絶縁層を交互に含む、または複数の電極層および複数の絶縁層を交互に含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1ガスは、Cガス(xは1以上の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数)を含有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2ガスは、水素元素と第1元素とを有する化合物のガスを含有し、前記第1元素の単体ガスは、蒸気圧が150℃で10Pa以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2ガスは、HSガス、NHガス、HOガス、またはHガスを含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2処理と前記第4処理は、前記第2ガス、Heガス、Arガス、Krガス、またはXeガスを含有する第3ガスとを用いて実行される、請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2処理と前記第4処理は、前記第2ガス、硫黄元素を含有する第4ガス用いて実行される、請求項4から6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第4ガスはSFガスまたはCOSガスを含有する、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2膜中の炭素濃度は、前記第2処理を実行することで増加する、請求項1からのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2膜中のフッ素濃度は、前記第2処理を実行することで低下する、請求項1からのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元半導体メモリを製造する場合などに、高アスペクト比の穴を加工することが多い。この場合、加工時間の増加と共に穴の形状が弓形(bowing)になることが問題となる。そこで、穴を加工する際に、穴の側面に側壁保護膜を形成することが考えられる。しかしながら、側壁保護膜の質や量に問題があると、穴の側面を十分に保護できないことが問題となる。これは、穴以外の凹部(例えば溝)を加工する場合にも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-19480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高アスペクト比の構造を適切に実現することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、基板上に第1膜を形成することを含む。さらに、前記方法は、炭素元素とフッ素元素とを含有する第1ガスを用いて、前記第1膜に凹部を形成し、かつ前記凹部に露出した前記第1膜の表面に第2膜を形成する複数の第1処理と、水素元素を含有する第2ガスを用いて、前記第2膜を改質する複数の第2処理とを交互に実行することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/2)である。
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/2)である。
図3】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の半導体装置は、3次元半導体メモリである。
【0009】
まず、図1(a)に示すように、基板1上に下部層2を形成する。次に、下部層2上に、複数の第1絶縁層3と複数の第2絶縁層4とを交互に含む積層膜を形成する。この積層膜は、第1膜の一例である。次に、この積層膜上に上部層5を形成する。次に、上部層5上にハードマスク層6を形成する。
【0010】
基板1の例は、シリコン(Si)基板などの半導体基板である。図1(a)は、基板1の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板1の表面に垂直なZ方向を示している。本明細書においては、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
【0011】
下部層2の例は、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)などの絶縁膜や、絶縁膜間に形成された導電層である。第1絶縁層3の例はシリコン窒化膜であり、第2絶縁層4の例はシリコン酸化膜である。上部層5の例は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜や、絶縁膜間に形成された導電層である。ハードマスク層6の例は、有機ハードマスク層である。
【0012】
次に、図1(a)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、メモリホールMを形成するための開口パターンをハードマスク層6に形成する。次に、ハードマスク層6を利用して、第1絶縁層3、第2絶縁層4、および上部層5をエッチングする第1処理を行う。その結果、第1絶縁層3、第2絶縁層4、および上部層5にメモリホールMが途中まで形成される。メモリホールMは、凹部の一例である。
【0013】
第1処理は、炭素元素とフッ素元素とを含有する第1ガスG1を用いて行われる。本実施形態の第1ガスG1は、Cガスを含有している。ただし、Cは炭素元素、Hは水素元素、Fはフッ素元素を表し、xは1以上の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数である(x≧1、y≧0、z≧1)。y=0の場合、Cはフルオロカーボンであり、y≠0の場合、Cはハイドロフルオロカーボンである。Cガスの例は、Cガス、Cガス、CHガスなどである。
【0014】
第1処理では、Cプラズマによりエッチングが行われると共に、メモリホールMに露出した第1絶縁層3、第2絶縁層4、および上部層5の表面等に側壁膜11が形成される(図1(a))。本実施形態の側壁膜11は、炭素元素とフッ素元素とを含有するフルオロカーボン膜である。側壁膜11は、第2膜の一例である。
【0015】
次に、側壁膜11を改質する第2処理を行う(図1(b))。図1(b)は、側壁膜11の改質により得られた改質側壁膜12を示している。
【0016】
第2処理は、水素元素を含有する第2ガスG2を用いて行われる。本実施形態の第2ガスG2は、HS(硫化水素)ガスを含有している。ただし、Sは硫黄元素を表す。第2処理では、側壁膜11をHSプラズマに晒すことで、側壁膜11を改質する。
【0017】
以下、側壁膜11の改質について詳細に説明する。
【0018】
上述のように、本実施形態の側壁膜11は、炭素元素とフッ素元素とを含有するフルオロカーボン膜である。側壁膜11はエッチング時の保護膜として機能するが、例えば、側壁膜11に高エネルギーのイオンが入射した際に、側壁膜11がエッチングに寄与する場合がある。つまり、側壁膜11がメモリホールM内腔のエッチングを促進するおそれがある。これは、次の化学式(1)におけるCFaの供給源として、側壁膜11が寄与するためである。
SiO+CF→SiF↑+CO↑ ・・・(1)
ただし、a、b、cは組成比を表す。
【0019】
式(1)によれば、側壁膜11中のフッ素原子の量を減少させると、CFの供給量を減らすことができ、メモリホールM内腔のエッチングを抑えることができる。そのため、第2処理では、側壁膜11を改質しており、具体的には、側壁膜11中のフッ素を第2ガス中の水素と反応させて、フッ化水素として脱離させている。これにより、側壁膜11よりもカーボンリッチな改質側壁膜12を得ることができ、改質側壁膜12中のフッ素濃度を側壁膜11中のフッ素濃度よりも低減することができる。したがって、例えば、高エネルギーのイオンが改質側壁膜12に入射しても、化学式(1)の反応が起きにくくなり、メモリホールM内腔のエッチングが抑制される。
【0020】
よって、本実施形態によれば、側壁膜11がエッチングに寄与することを抑制することができ、かつ、改質側壁膜12を保護膜として機能させることができる。これにより、メモリホールMの形状が弓形になることを抑制することが可能となる。
【0021】
第2ガスG2は、HSガスのみを含有していてもよいし、HSガスとその他のガスとを含有していてもよい。後者の場合、第2ガスG2の流量(または圧力)に占めるHSガスの流量(または圧力)は、80%以上とすることが望ましい。これにより、第2ガスG2により側壁膜11を十分に改質することが可能となる。
【0022】
第2ガスG2は、HSガスに加えて、原子量が小さく、スパッタレートが低く、化学反応性が乏しいHe(ヘリウム)ガスを含有していてもよい。この場合、第2ガスG2の流量(または圧力)に占めるHSガスの流量(または圧力)とHeガスの流量(または圧力)との合計は、80%以上とすることが望ましい。この場合の第2ガスG2は、HSガスおよびHeガスのみを含有していてもよいし、さらにその他のガスを含有していてもよい。
【0023】
その後、本実施形態では、第1処理と第2処理とを交互に実行することで、メモリホールMを完成させる。別言すると、本実施形態のメモリホールMは、第1ガスG1と第2ガスG2とを交互に供給することで形成される。本実施形態では、複数の第1処理と複数の第2処理が、同じ反応室内で交互に実行される。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0024】
第2処理後、第1ガスG1を用いて、第1絶縁層3および第2絶縁層4をエッチングする第1処理を再び行う(図1(c))。その結果、メモリホールMを形成する処理が進展し、メモリホールMの底面が低下する。この第1処理では、Cプラズマによりエッチングが行われると共に、メモリホールMに露出した第1絶縁層3および第2絶縁層4の表面に側壁膜13が形成される。側壁膜13は、上述の側壁膜11と同様の性質を有し、改質側壁膜12の下方に形成される。側壁膜13も、第2膜の一例である。
【0025】
次に、第2ガスG2を用いて、側壁膜13を改質する第2処理を再び行う(図2(a))。図2(a)は、側壁膜13の改質により得られた改質側壁膜14を示している。この第2処理では、側壁膜13をHSプラズマに晒すことで、側壁膜13を改質する。改質側壁膜14は、上述の改質側壁膜12と同様の性質を有する。
【0026】
次に、第1ガスG1を用いて、第1絶縁層3および第2絶縁層4をエッチングする第1処理を再び行う(図2(b))。その結果、メモリホールMを形成する処理が進展し、メモリホールMの底面が低下する。この第1処理では、Cプラズマによりエッチングが行われると共に、メモリホールMに露出した第1絶縁層3および第2絶縁層4の表面に側壁膜15が形成される。側壁膜15は、上述の側壁膜11、13と同様の性質を有し、改質側壁膜14の下方に形成される。図2(b)では、メモリホールMの底面が基板1に到達しており、メモリホールMが完成している。図2(b)でメモリホールMが完成しない場合には、その後に第2処理を再び行う。
【0027】
次に、改質側壁膜12、14と側壁膜15とを除去した後、メモリホールM内にメモリ絶縁膜7とチャネル半導体層8とを順に形成する(図2(c))。メモリ絶縁膜7は、後述するように、メモリホールM内に第1絶縁膜(ブロック絶縁膜)、電荷蓄積層、および第2絶縁膜(トンネル絶縁膜)を順に形成することで形成される。
【0028】
以上のようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0029】
以下、図1(a)~図2(c)の工程の詳細を説明する。
【0030】
第2ガスG2は、HSガスに加えて、SF(六フッ化硫黄)ガスを含有していてもよい。これにより、メモリホールMの形状が弓形になることをより効果的に抑制することが可能となる。第2ガスG2の流量(または圧力)に占めるSFガスの流量(または圧力)は、20%未満とすることが望ましい。この場合の第2ガスG2は、HSガスおよびSFガスのみを含有していてもよいし、さらにその他のガス(例えばHeガス)を含有していてもよい。
【0031】
SガスとSFガスの作用は、次のように考えられる。側壁膜11、13であるフルオロカーボン膜にHS/SFプラズマを当てると、フルオロカーボン膜中のFがHにより引き抜かれる。これにより、フルオロカーボン膜中のCの含有量が増え、フルオロカーボン膜中のC-C結合が増える。この際、HS/SFプラズマ中のSがフルオロカーボン膜中に取り込まれて、C-S-C結合も形成される。C-C結合やC-S結合はC-F結合やC-H結合よりもエネルギー的に安定なため、フルオロカーボン膜はより強固になる。その結果、側壁膜11、13が改質側壁膜12、14に変化することでエッチング耐性が上がり、メモリホールMの加工中のメモリホールの径の広がりを抑制できる。
【0032】
このような作用のため、上述の第1および第2処理は、第1および第2絶縁層3、4の積層膜以外の膜の加工にも適用可能である。例えば、上述の第1および第2処理は、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する場合や、複数の電極層(例えばポリシリコン層)と複数の絶縁層(例えばシリコン酸化膜)とを含む積層膜にメモリホールを形成する場合にも適用可能である。さらに、上述の第1および第2処理は、基板1や基板1上の層にシャロートレンチを形成す場合にも適用可能である。また、ハードマスク層6は、カーボン層などの炭素含有膜でもよいし、タングステン層などの金属含有層でもよい。
【0033】
S/SFプラズマのプラズマ条件は、任意に設定可能である。
【0034】
本実施形態では、各第1処理は5秒以上実施されると共に、各第2処理も5秒以上実施される。ただし、第2処理の実施時間はある程度確保すれば十分なため、本実施形態の各第2処理は5秒以上100秒未満実施される。本実施形態では、2回~20回程度の第1処理と、2回~20回程度の第2処理が実施される。
【0035】
第1および第2絶縁層3、4の積層膜に関し、第1絶縁層3(シリコン窒化膜)は、図1(a)~図2(c)の工程以降に行われるリプレイス工程により、電極層に置き換えられる。リプレイス工程では、第1絶縁層3の除去により第1絶縁層4間等に空洞が形成され、空洞内に電極層が埋め込まれる。電極層の例については、図3において説明する。
【0036】
図3は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0037】
図3は、本実施形態の方法で製造される半導体装置の一例を示している。図3は、3次元半導体メモリのメモリセル部と階段コンタクト部とを示している。図3では、下部層2が、下部絶縁膜2a、ソース側導電層2b、および上部絶縁膜2cにより構成され、上部層5が、保護絶縁膜5a、ドレイン側導電層5b、第1層間絶縁膜5c、および第2層間絶縁膜5dにより構成されている。第1絶縁層3は、タングステン層等を含む電極層3’に置き換えられている。複数の電極層3’および複数の第2絶縁層4を交互に含む積層膜は、第3膜の一例である。
【0038】
図3はさらに、メモリ絶縁膜7を構成する第1絶縁膜7a、電荷蓄積層7b、および第2絶縁膜7cを示している。メモリ絶縁膜7とチャネル半導体層8は例えば、メモリホールMの表面に第1絶縁膜7a、電荷蓄積層7b、および第2絶縁膜7cを順に形成し、メモリホールMの底部から第1絶縁膜7a、電荷蓄積層7b、および第2絶縁膜7cを除去し、その後、メモリホールM内にチャネル半導体層8を埋め込むことで形成される。チャネル半導体層8は、基板1内の拡散層Lに電気的に接続されている。メモリ絶縁膜7およびチャネル半導体層8は、第4膜の一例である。メモリホールMにはさらに、コア材と呼ばれる絶縁膜を埋め込んでもよい。本実施形態のメモリホールMは、例えば図3(c)に示す形状を有している。
【0039】
図3はさらに、上部層5のコンタクトホールH内に形成されたコンタクトプラグ9を示している。各コンタクトプラグ9は、対応する電極層3’に電気的に接続されるように形成されている。
【0040】
以上のように、本実施形態のメモリホールMは、炭素元素とフッ素元素とを含有する第1ガスG1を用いた複数の第1処理と、水素元素を含有する第2ガスG2を用いた複数の第2処理とを交互に実行することで形成される。よって、本実施形態によれば、メモリホールMの形状が弓形になることを抑制することが可能となり、高アスペクト比のメモリホールMを適切に実現することが可能となる。
【0041】
本実施形態においてはメモリホールMの形成を例に説明したが、本プロセスの適用対象はメモリホールMに限定されるものではなく、例えばラインアンドスペース用の溝の形成などにおいても本プロセスを適用できる。
【0042】
なお、第1ガスG1や第2ガスG2は、上述のガス以外でもよい。例えば、第2ガスG2中のHSガスは、NH(アンモニア)ガス、HO(水)ガス、H(水素)ガスなどに置き換えてもよい。HSガス、NHガス、HOガス、およびHガスはS、N、O、Hのうちの1つ以上の元素を含んでいるが、Sガス、Nガス、Oガス、Hガスはいずれも、蒸気圧が150℃で10Pa以上である。よって、HSガス、NHガス、HOガス、またはHガスを使用する場合に、プラズマによるHの脱離により生成されるSガス、Nガス、Oガス、およびHガスなどの単体ガスは、メモリホールMを閉塞させにくい。そのため、HSガス、NHガス、HOガス、およびHガスは、反応室内で使用するのに適している。同様に、第2ガスG2中のHSガスは、水素元素と何らかの元素αとを有する化合物のガスであって、元素αの単体ガスの蒸気圧が150℃で10Pa以上となるようなガスに置き換えてもよい。このようなガスの例はPHガスやHIガスであり、PガスやIガスの蒸気圧は150℃で10Pa以上である。S、N、Oや元素αは、第1元素の例である。また、第2ガスG2中のHeガスは、Ar(アルゴン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、またはXe(キセノン)ガスに置き換えてもよい。また、第2ガスG2中のSFガスは、COS(硫化カルボニル)ガスに置き換えてもよい。SFガスやCOSガスは、硫黄元素を含有するガスの例である。
【0043】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0044】
1:基板、2:下部層、2a:下部絶縁膜、2b:ソース側導電層、
2c:上部絶縁膜、3:第1絶縁層、3’:電極層、4:第2絶縁層、5:上部層、
5a:保護絶縁膜、5b:ドレイン側導電層、5c:第1層間絶縁膜、
5d:第2層間絶縁膜、6:ハードマスク層、7:メモリ絶縁膜、
7a:第1絶縁膜、7b:電荷蓄積層、7c:第2絶縁膜、
8:チャネル半導体層、9:コンタクトプラグ、11:側壁膜、
12:改質側壁膜、13:側壁膜、14:改質側壁膜、15:側壁膜
図1
図2
図3