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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】フィルタデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018028164
(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2019141302
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-09-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(72)【発明者】
【氏名】北岡 孝史
(72)【発明者】
【氏名】今井 正臣
(72)【発明者】
【氏名】金本 和明
(72)【発明者】
【氏名】増渕 雄輝
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-513745(JP,A)
【文献】特開2003-290231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0171770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - A61B 17/94
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内の物体を捕集するためのフィルタデバイスであって、
長尺なワイヤおよび当該ワイヤの遠位部に固定された係止部を備えるシャフト部と、
遠位側開口部および近位側開口部を備える拡張可能なフィルタと、を有し、
前記ワイヤは、前記遠位側開口部および前記近位側開口部を通過可能であり、
前記係止部は、前記遠位側開口部および近位側開口部の間に位置可能であり、かつ前記遠位側開口部および近位側開口部のどちらか一方を通過可能であり、
前記近位側開口部および前記係止部は、連結可能であり、
前記フィルタの前記近位側開口部に連結される部位は、前記物体を捕集可能に網状に形成され
前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方は、径方向の外側へ広がって内径を増加可能であるフィルタデバイス。
【請求項2】
生体管腔内の物体を捕集するためのフィルタデバイスであって、
長尺なワイヤおよび当該ワイヤの遠位部に固定された係止部を備えるシャフト部と、
遠位側開口部および近位側開口部を備える拡張可能なフィルタと、を有し、
前記ワイヤは、前記遠位側開口部および前記近位側開口部を通過可能であり、
前記係止部は、前記遠位側開口部および近位側開口部の間に位置可能であり、かつ前記遠位側開口部および近位側開口部のどちらか一方を通過可能であり、
前記近位側開口部および前記係止部は、連結可能であり、
前記フィルタの前記近位側開口部に連結される部位は、前記物体を捕集可能に網状に形成され、
前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方は、軸方向へ延びる凹部または凸部である内側誘導部を内周面に有し、
前記係止部は、軸方向へ延びる凸部または凹部である外側誘導部を外周面に有し、
前記外側誘導部は、前記内側誘導部に沿って、前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方を軸方向へ通過可能であるフィルタデバイス。
【請求項3】
前記係止部は、前記遠位側開口部を軸方向へ通過可能である請求項1または2に記載のフィルタデバイス。
【請求項4】
前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方の内径は、前記係止部の外径よりも大きい請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタデバイス。
【請求項5】
前記フィルタは、自然状態において、近位側に開く凹形状の外側部位と、前記外側部位の内表面側で近位側に開く凹形状の内側部位と、を有し、
前記内側部位は、前記物体を捕集可能に網状に形成される請求項1~のいずれか1項に記載のフィルタデバイス。
【請求項6】
前記近位側開口部および前記係止部は、前記ワイヤの軸方向に沿う移動および前記ワイヤの軸を中心とする回転方向への移動を制限するように連結可能である請求項1~のいずれか1項に記載のフィルタデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔に挿入されるフィルタデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、静脈の一部に血栓が詰ると、痛みや腫れが生じることがある。この治療のために、経皮的に生体管腔にデバイスを挿入して、血栓を物理的に除去する方法がある。このような治療において、血管壁から完全剥離または一部剥離した血栓が血流に乗り、肺に達すると、肺塞栓が生じる可能性がある。このため、このような治療を行う際には、治療前後および/または治療中に血栓溶解剤を使用したり、治療中にできるだけ剥離血栓を吸引して除去したりする。しかしながら、このような処置を施しても、臨床的に望ましくない大きさの剥離血栓が肺等に至る可能性がある。
【0003】
このような肺塞栓を回避するために、血管内を流れる血栓を捕集するフィルタを血管内に留置する方法が知られている。例えば、特許文献1には、長尺なワイヤの遠位部に、ワイヤを中心とする網状のフィルタが固定されたデバイスが記載されている。このデバイスのワイヤは、ガイドワイヤとして利用できる。したがって、ワイヤは、例えば捕集した血栓等を吸引するカテーテルを、フィルタまで導くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2004-0102807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタデバイスのワイヤに沿って、カテーテルを移動させると、摩擦抵抗などによる影響で、ワイヤが一緒に移動しやすい。このため、ワイヤに固定さているフィルタが、留置位置から移動する可能性がある。フィルタが留置位置から移動すると、捕集物の流失や、フィルタを留置している生体組織の損傷が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、フィルタに捕集した捕集物の流出や、フィルタを留置している生体組織の損傷を抑制できるフィルタデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するフィルタデバイスは、生体管腔内の物体を捕集するためのフィルタデバイスであって、長尺なワイヤおよび当該ワイヤの遠位部に固定された係止部を備えるシャフト部と、遠位側開口部および近位側開口部を備える拡張可能なフィルタと、を有し、前記ワイヤは、前記遠位側開口部および前記近位側開口部を通過可能であり、前記係止部は、前記遠位側開口部および近位側開口部の間に位置可能であり、かつ前記遠位側開口部および近位側開口部のどちらか一方を通過可能であり、前記近位側開口部および前記係止部は、連結可能であり、前記フィルタの前記近位側開口部に連結される部位は、前記物体を捕集可能に網状に形成され、前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方は、径方向の外側へ広がって内径を増加可能である。
上記目的を達成するフィルタデバイスの他の態様は、生体管腔内の物体を捕集するためのフィルタデバイスであって、長尺なワイヤおよび当該ワイヤの遠位部に固定された係止部を備えるシャフト部と、遠位側開口部および近位側開口部を備える拡張可能なフィルタと、を有し、前記ワイヤは、前記遠位側開口部および前記近位側開口部を通過可能であり、前記係止部は、前記遠位側開口部および近位側開口部の間に位置可能であり、かつ前記遠位側開口部および近位側開口部のどちらか一方を通過可能であり、前記近位側開口部および前記係止部は、連結可能であり、前記フィルタの前記近位側開口部に連結される部位は、前記物体を捕集可能に網状に形成され、前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方は、軸方向へ延びる凹部または凸部である内側誘導部を内周面に有し、前記係止部は、軸方向へ延びる凸部または凹部である外側誘導部を外周面に有し、前記外側誘導部は、前記内側誘導部に沿って、前記遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方を軸方向へ通過可能である。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成したフィルタデバイスは、係止部が遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方を通過できるため、シャフト部がフィルタに対して長く移動できる。このため、ワイヤに沿って他の医療デバイスを移動させる際に、シャフト部が医療デバイスから力を受けて軸方向へ移動しても、フィルタに力が作用し難い。このため、生体管腔に留置されたフィルタを適切に維持できる。したがって、フィルタからの捕集物の流出や、フィルタを留置している生体組織の損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るフィルタデバイスを示す平面図である。
図2】フィルタデバイスの遠位部の拡大断面図である。
図3】フィルタデバイスの遠位部を示す図であり、(A)は図2のA-A線に沿う断面図、(B)は図2のB-B線に沿う断面図である。
図4】血管内の状態を示す断面図であり、(A)はフィルタデバイスを血管内に挿入した際の状態、(B)はフィルタを血管内で拡張させた状態、(C)は破砕デバイスを血管内に挿入した状態を示す。
図5】血管内のフィルタデバイスの遠位部を示す断面図である。
図6】フィルタデバイスを用いた手技を説明するフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るフィルタデバイスの遠位部を示す断面図である。
図8】フィルタデバイスの遠位部を示す図であり、(A)は図7のC-C線に沿う断面図、(B)は遠位側開口部および当該遠位側開口部を通過する係止部を示す断面図である。
図9】第2実施形態に係るフィルタデバイスの作用を説明する断面図である。
図10】第3実施形態に係るフィルタデバイスの遠位部を示す平面図である。
図11】フィルタデバイスの遠位部を示す図であり、(A)は図10のD-D線に沿う断面図、(B)は遠位側開口部を通過する係止部を示す断面図である。
図12】第4実施形態に係るフィルタデバイスの遠位部を示す断面図である。
図13】フィルタデバイスの変形例を示す断面図である。
図14】フィルタデバイスの他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
【0011】
本発明の第1実施形態に係るフィルタデバイス10は、血管内を流れる物体を捕集するために用いられる。例えば、フィルタデバイス10は、血管壁から離脱させた血栓、プラーク、石灰化病変など物体を、血管内で捕集する。なお、本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。また、捕集する物体は、必ずしも血栓、プラーク、石灰化病変に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。また、本明細書では、血管内の血液の流れの源側を「上流側」と称し、血液の流れが向かう側を「下流側」と称する。
【0012】
第1実施形態に係るフィルタデバイス10は、図1~3に示すように、網状の筒状体であるフィルタ20と、フィルタ20に連結される長尺なシャフト部30とを備えている。
【0013】
シャフト部30は、ワイヤ31と、係止部32と、遠位端部33とを備えている。ワイヤ31は、手元からフィルタ20まで延在する長尺な線材である。係止部32は、ワイヤ31の遠位部の外周面に固定される筒状の部材である。係止部32は、ワイヤ31の外径よりも大きな外径を有している。なお、係止部32の形状は、特に限定されない。遠位端部33は、ワイヤ31よりも大きな外径を有している。このため、遠位端部33は、生体組織に安全に接触できる。
【0014】
ワイヤ31の構成材料は、柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス鋼、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、白銀(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。形状記憶合金としては、Ni-Ti系、Cu-Al-Ni系、Cu-Zn-Al系またはこれらの組み合わせなどが好ましく使用される。複数の材料を組み合わせた構造としては、例えば、造影性を付与するためにPtからなる芯線にNi-Ti合金を被覆した構造や、Ni-Ti合金からなる芯線に金メッキを施した構造が挙げられる。
【0015】
係止部32および遠位端部33の構成材料は、特に限定されない。例えばステンレス鋼などが好適に使用できる。
【0016】
フィルタ20は、網状の筒状体である拡張部40と、遠位側開口部50と、近位側開口部60とを備えている。拡張部40は、筒状体を構成するように網状に編組される複数の線状体41を有している。各々の線状体41は、弾性的に変形可能である。拡張部40は、編組された線状体41同士の間に間隙42を有している。
【0017】
遠位側開口部50は、拡張部40の遠位端が固定される管体である。遠位側開口部50は、編組された複数の柔軟な線状体41の端部を、筒状に保持する。遠位側開口部50の内腔には、図2図3(A)に示すように、ワイヤ31が移動可能に貫通している。遠位側開口部50の内径は、ワイヤ31の外径および係止部32の外径よりも大きい。このため、遠位側開口部50の内腔を、係止部32が軸方向へ通過可能である。
【0018】
近位側開口部60は、拡張部40の近位端が固定される管体である。近位側開口部60は、編組された複数の柔軟な線状体41の端部を、筒状に保持する。近位側開口部60の内腔には、図2図3(B)に示すように、ワイヤ31が移動可能に貫通している。近位側開口部60は、係止部32よりも近位側に位置している。近位側開口部60の内径は、ワイヤ31の外径よりも大きく、かつ係止部32の外径よりも小さい。このため、遠位側開口部50の内腔を、係止部32が軸方向に沿って近位側へ通過不能である。
【0019】
近位側開口部60および遠位側開口部50の構成材料は、特に限定されない。例えばステンレス鋼などが好適に使用できる。
【0020】
係止部32の外径は、特に限定されない。例えば0.1~2.0mmである。近位側開口部60および遠位側開口部50の外径は、特に限定されない。例えば0.3~3.0mmである。近位側開口部60の内径は、特に限定されない。例えば0.1~2.5mmである。遠位側開口部50の内径は、特に限定されない。例えば0.1~2.5mmである。
【0021】
拡張部40は、図1、2に示すように、外力が作用しない自然状態において、線状体41の自己の弾性力(復元力)により拡径しつつ、軸方向に折り返された折り返し状態となる。拡張部40は、遠位側開口部50に連結される外側部位43と、近位側開口部60に連結される内側部位44とを備える。折り返し状態において、内側部位44は、外側部位43の内部に入り込んでいる。すなわち、拡張部40は、このような形状となるように、予め形状付けられている。形状付けは、例えば、所定の形状で保持して金型内に収容し、加熱することで可能である。拡張部40の内部とは、拡張部40の内表面と中心軸に囲まれる領域である。拡張部40の内表面とは、線状体41が編組されて構成される筒状体の内表面を意味する。拡張部40の遠位部に位置する線状体41は、近位側に開く凹形状の外側部位43を形成する。拡張部40の近位部に位置する線状体41は、外側部位43の内表面側で、近位側に開く凹形状の内側部位44を形成する。外側部位43および内側部位44は、拡張部40の近位側へ突出する環状の折り返し部45で連結されている。これにより、拡張部40の近位側の内側部位44が遠位側の外側部位43の内部に位置し、拡張部40が軸方向に折り返された折り返し状態となる。内側部位44は、近位側に開く凹形状となることで、血液とともに流れる血栓等の物体を良好に捕集できる。拡張部40は、軸方向に折り返されなくてもよく、形状づけられていなくてもよい。
【0022】
拡張部40は、図4(A)に示すように、シース70(他の医療デバイス)に収容されることで、弾性的に変形して外径が小さい収縮状態となる。拡張部40が収縮状態となる際には、近位側開口部60と遠位側開口部50が離れる。近位側開口部60と遠位側開口部50の間の距離が変化することで、編組された拡張部40の外径は変化可能である。収縮状態において、内側部位44は、外側部位43の内側ではなく、近位側に位置している。
【0023】
拡張部40が収縮状態から折り返し状態となる際には、図4(B)に示すように、近位側開口部60と遠位側開口部50が近づく。近位側開口部60と遠位側開口部50の間の距離が変化することで、編組された拡張部40の外径は変化可能である。
【0024】
拡張部40は、自然状態に近い形状で、血管に留置される。実際には、拡張部40は、自己の拡張力により血管壁に対して押圧力を生じさせるように、自然状態よりも径方向にある程度収縮した状態で、血管壁に留置される。
【0025】
線状体41の数は、特に限定されないが、例えば4~72本である。また、線状体41の編組の条件は、特に限定されない。線状体41の外径は、線状体41の材料やフィルタ20の用途により適宜選択可能であるが、例えば20~300μmである。
【0026】
線状体41の構成材料は、柔軟性がある材質であることが好ましく、前述したワイヤ31に適用可能な材料を好適に使用できる。
【0027】
拡張部40の折り返し状態における最大外径は、適用する血管の内径に応じて適宜選択可能である。例えば、1~40mmである。拡張部40の収縮状態における外径は、適用する血管の内径に応じて適宜選択可能である。例えば、0.3~4.0mmである。フィルタ20の折り返し状態における軸方向への長さは、適用する血管に応じて適宜選択可能である。例えば、20~150mmである。
【0028】
次に、本実施形態に係るフィルタデバイス10の使用方法の例を、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。ここでは、血管(生体管腔)内の血栓(物体)を破砕して捕集する場合を例として説明する。
【0029】
まず、図4(A)に示すように、フィルタデバイス10をシース70に収容した状態で、血管内に挿入する。拡張部40は、シース70の内部で収縮している。血管への挿入位置は、血管の血栓が設けられる病変部よりも上流側(近位側)である。次に、フィルタデバイス10を、血栓よりも下流側(遠位側)に到達させる(ステップS10)。
【0030】
次に、シース70の内部に配置される管状の押圧シャフト71の移動を手で抑えつつ、シース70を近位側へ移動させる。このとき、押圧シャフト71の遠位側端部が近位側開口部60に接触する。これにより、フィルタ20の移動が抑えられるため、フィルタ20が、図4(B)に示すように、シース70から放出される。これにより、フィルタ20が、血管に留置される(ステップS11)。押圧シャフト71は、使用されなくてもよい。フィルタ20が、シース70から放出されると、近位側開口部60が遠位側開口部50に近づくように移動する。そして、拡張部40が自己の復元力により拡張し、血管の内壁面に接触する。これにより、拡張部40は、折り返し部45で折り返された折り返し状態となる。拡張部40は、メッシュ状に形成されているため、血管の内壁面に対して食い込み、強固に固定される。使用されるフィルタ20の拡張可能な最大径は、挿入される血管径よりも大きい。このため、拡張部40は、血管内で完全には拡張しない状態となり、拡張力を発生させて血管壁へ効果的に固定される。なお、拡張部40は、シース70から放出されたのみでは、折り返し状態とならなくてもよい。この場合、押圧シャフト71またはシース70を遠位側へ移動させ、押圧シャフト71またはシース70の遠位側端部により、近位側開口部60または拡張部40を遠位側に押し込む。これにより、外側部位43の内側に内側部位44が移動し、拡張部40は、折り返し状態となる。係止部32は、近位側開口部60と遠位側開口部50の間に位置していることが好ましいが、これに限定されない。
【0031】
次に、シース70を残して押圧シャフト71を生体外へ抜去する。次に、図4(C)に示すように、ワイヤ31に沿って、血栓を破砕する破砕デバイス80(医療デバイス)を、血栓よりも遠位側に到達させる。破砕デバイス80は、血栓を破砕可能な線材からなる破砕部81を備える。破砕デバイス80をワイヤ31に沿って移動する際に、摩擦抵抗等により、ワイヤ31が破砕デバイス80から力を受ける。このため、シャフト部30が遠位側へ移動する可能性がある。しかしながら、シャフト部30が遠位側へ移動すると、係止部32が、遠位側開口部50の内腔を通過して、遠位側へ移動できる。したがって、フィルタ20に干渉せずにシャフト部30が軸方向へ移動できる距離が長い。このため、遠位側開口部50が、係止部32から力を受けて移動することを抑制でき、フィルタ20を適切な状態で維持できる。したがって、フィルタ20が、留置されている生体組織に対して移動することを抑制し、生体組織の損傷を抑制できる。
【0032】
次に、破砕デバイス80による血栓の破砕を行う。まず、係止部32を、遠位側開口部50よりも遠位側に配置する(ステップS12)。係止部32が、拡張部40の内部、すなわち遠位側開口部50と近位側開口部60の間にある場合、ワイヤ31を操作して、シャフト部30を遠位側へ移動させる。これにより、シャフト部30に設けられる係止部32が、遠位側開口部50の内腔を通過して、遠位側開口部50よりも遠位側に移動する。なお、破砕の際に、係止部32が、遠位側開口部50と近位側開口部60の間に位置してもよい。
【0033】
次に、破砕部81を回転させつつ、破砕デバイス80を近位側へ移動させる。破砕部81は、回転しつつ血栓と接触し、血栓を破砕する(ステップS13)。破砕された血栓200は、図5に示すように、血流によって流れ、拡張部40に捕集される(ステップS14)。このとき、係止部32は、遠位側開口部50よりも遠位側に位置している。破砕デバイス80を近位側へ移動させると、摩擦抵抗等により、ワイヤ31が破砕デバイス80から力を受ける。このため、シャフト部30が、近位側へ移動する可能性がある。しかしながら、シャフト部30が近位側へ移動すると、係止部32が、遠位側開口部50の内腔を通過して、遠位側開口部50の近位側、すなわち拡張部40の内部へ移動できる。したがって、フィルタ20に干渉せずにシャフト部30が軸方向へ移動できる距離が長い。このため、遠位側開口部50が、係止部32から力を受けて移動することを抑制でき、フィルタ20を適切な状態で維持できる。したがって、フィルタ20の捕集物である血栓200の流出や、フィルタ20を留置している生体組織の損傷を抑制できる。また、深部静脈血栓症のように、長さが200mm程度にもなる病変であっても、フィルタ20に影響を与えずに、破砕デバイス80を操作できる。
【0034】
この後、破砕デバイス80を生体外へ引き抜く。次に、シース70を、ワイヤ31に沿って遠位側へ移動させる。このとき、摩擦抵抗等により、ワイヤ31がシース70から力を受ける。これにより、シャフト部30が、遠位側へ移動する可能性がある。しかしながら、シャフト部30が遠位側へ移動すると、係止部32が、遠位側開口部50の内腔を通過して、遠位側へ移動できる。このため、遠位側開口部50が、係止部32から力を受けて移動することを抑制でき、フィルタ20を適切な状態で維持できる。したがって、捕フィルタ20の捕集物である血栓200の流出や、フィルタ20を留置している生体組織の損傷を抑制できる。
【0035】
この後、シース70の近位側のハブにシリンジ等を接続し、シース70の内部を負圧状態とする。これにより、シース70の遠位側の開口部から、破壊された血栓200を吸引し、シリンジへ排出できる(ステップS15)。
【0036】
シース70による血栓200の吸引が完了した後、シース70を遠位側へ押し込む。このとき、シャフト部30を近位側へ牽引してもよい。これにより、近位側開口部60の遠位部に、係止部32が接触する。係止部32は、近位側開口部60の内腔を通過できないため、近位側開口部60が遠位側へ逃げることを抑制できる。このため、拡張部40は、近位側開口部60からシース70の内部に収容される。このとき、拡張部40は、折り返し状態から収縮状態となる。この後、フィルタデバイス10をシース70とともに血管から抜去し、処置が完了する(ステップS16)。
【0037】
以上のように、本実施形態に係るフィルタデバイス10は、血管(生体管腔)内の血栓200(物体)を捕集するためのフィルタデバイス10であって、長尺なワイヤ31および当該ワイヤ31の遠位部に固定された係止部32を備えるシャフト部30と、遠位側開口部50および近位側開口部60を備える拡張可能なフィルタ20と、を有し、ワイヤ31は、遠位側開口部50および近位側開口部60を通過可能であり、係止部32は、遠位側開口部50および近位側開口部60の間に位置可能であり、かつ遠位側開口部50を通過可能である。
【0038】
上記のように構成したフィルタデバイス10は、係止部32が遠位側開口部50を通過できるため、シャフト部30がフィルタ20に対して長く移動できる。このため、ワイヤ31に沿って他の医療デバイス(シース70、破砕デバイス80等)を移動させる際に、シャフト部30が医療デバイスから力を受けて軸方向へ移動しても、フィルタ20に力が作用し難い。このため、血管に留置されたフィルタ20を適切に維持できる。したがって、フィルタ20からの捕集物の流出や、フィルタ20を留置している生体組織の損傷を抑制できる。
【0039】
また、係止部32は、遠位側開口部50を軸方向へ通過可能である。これにより、シャフト部30は、当該シャフト部30に沿って移動する他の医療デバイスから力を受けて軸方向へ移動しても、遠位側開口部50を通過できる。このため、生体管腔に留置されたフィルタ20を適切に維持できる。
【0040】
また、遠位側開口部50の内径は、係止部32の外径よりも大きい。これにより、係止部32が、遠位側開口部50を良好に通過できる。
【0041】
また、本発明は、長尺なワイヤ31および当該ワイヤ31の遠位部に固定された係止部32を備えるシャフト部30と、遠位側開口部50および近位側開口部60を備える網状の筒状体であって、遠位側開口部50および近位側開口部60をシャフト部30が貫通するフィルタ20と、を有するフィルタデバイス10を使用して血管(生体管腔)内の血栓200(物体)を捕集するための捕集方法をも有する。当該捕集方法は、フィルタ20を血管に留置するステップS11と、遠位側開口部50および近位側開口部60の間に位置する係止部32を、遠位側開口部50を通過させて遠位側開口部50よりも遠位側に配置するステップS12と、ワイヤ31に沿って他の医療デバイス(シース70、破砕デバイス80等)を移動させるステップS13、S15と、を有する。
【0042】
上記のように構成した捕集方法は、係止部32が遠位側開口部50を通過できるため、シャフト部30がフィルタ20に対して長く移動できる。このため、ワイヤ31に沿って他の医療デバイスを移動させる際に、シャフト部30が医療デバイスから力を受けて軸方向へ移動しても、フィルタ20に力が作用し難い。このため、血管に留置されたフィルタ20を適切に維持できる。したがって、フィルタ20からの捕集物の流出や、フィルタ20を留置している生体組織の損傷を抑制できる。
<第2実施形態>
【0043】
第2実施形態に係るフィルタデバイス90は、図7図8(A)に示すように、遠位側開口部100および係止部110のみが、第1実施形態と異なる。
【0044】
遠位側開口部100は、内周面に、軸方向へ延びる溝状の凹部である内側誘導部101を備える。係止部110は、外周面に、軸方向へ延びる凸部である外側誘導部111を備えている。外側誘導部111は、内側誘導部101に沿って、遠位側開口部100の内腔を軸方向へ通過可能である。なお、係止部110は、近位側開口部60の内腔を軸方向へ通過不能である。
【0045】
係止部110の外側誘導部111の周方向の位置が、遠位側開口部100の内側誘導部101の周方向の位置と一致しない場合、係止部110は、遠位側開口部100の内腔を軸方向へ通過不能である。図8(B)に示すように、係止部110の外側誘導部111の周方向の位置が、遠位側開口部100の内側誘導部101の周方向の位置と一致する場合のみ、係止部110は、遠位側開口部100の内腔を軸方向へ通過できる。このため、シャフト部30のフィルタ20に対する回転方向位置を手元で調節することで、係止部32の遠位側開口部100に対する通過の可否を任意に操作できる。
【0046】
したがって、例えば、フィルタ20を血管に留置するまでは、図7図8(A)に示すように、係止部110を、遠位側開口部100の内腔を通過不能な状態として、遠位側開口部100と近位側開口部60の間に配置できる。これにより、搬送時に、フィルタ20とシャフト部30が分離せず、操作が容易である。そして、フィルタ20を血管に留置した後、図8(B)に示すように、係止部110を、遠位側開口部100の内腔を通過可能な状態とする。これにより、シャフト部30が、フィルタ20に対して遠位側へ移動可能となる。このため、シャフト部30が、破砕デバイス80等の他の医療デバイスから力を受けて遠位側へ移動しても、係止部110が遠位側開口部100を軸方向へ通過できる。このため、遠位側開口部100が、係止部110から力を受けて移動することを抑制できる。したがって、血管に留置されたフィルタ20を適切な状態で維持できる。また、破砕デバイス80を近位側へ移動させつつ破砕する際等には、図9に示すように、係止部110を、遠位側開口部100よりも遠位側で、遠位側開口部100の内腔を通過不能な状態とする。これにより、破砕デバイス80等から受ける摩擦抵抗等によってシャフト部30が近位側へ移動すると、係止部110が、遠位側開口部100に突き当たる。係止部110は、遠位側開口部100を通過できないため、遠位側開口部100が、近位側へ移動する。このとき、拡張部40の遠位部が遠位側へ向かって縮径するように編組されている。このため、遠位側開口部100が近位側へ移動すると、拡張部40の遠位部が拡径する。このため、拡張部40の血管に対する保持力が増加する。したがって、フィルタ20がシャフト部30から力を受けて近位側へ移動することを抑制できる。
【0047】
なお、内側誘導部101が凹部ではなく凸部であり、外側誘導部111が凹部ではなく凸部であってもよい。
<第3実施形態>
【0048】
第3実施形態に係るフィルタデバイス120は、図10図11(A)に示すように、遠位側開口部130および拡張部140のみが、第1実施形態と異なる。
【0049】
遠位側開口部130は、周方向へ並ぶ複数(本実施形態では4つ)の分割部131を備えている。複数の分割部131は、図11(B)に示すように、接触して環状に並ぶことで、1つの管体を構成する。1つの管体を構成したときの遠位側開口部130の内径は、係止部32の外径よりも小さい。拡張部140は、外力が作用しない自然状態において、遠位端に固定される分割部131を、図11(A)に示すように、周方向に間隔を空けて配置する。自然状態における複数の分割部131の間の空間は、係止部32が通過可能な大きさを有する。
【0050】
フィルタデバイス120は、シース70に収容されると、図11(B)に示すように、複数の分割部131が接触する。このとき、係止部32は、遠位側開口部130の内腔を通過不能である。フィルタデバイス120は、シース70から放出されると、図10図11(A)に示すように、拡張部140の弾性力(復元力)により、分割部131が径方向の外側へ移動して離れる。これにより、係止部32は、遠位側開口部130の内腔を通過可能となる。このため、フィルタデバイス120がシース70内にある場合には、係止部32を遠位側開口部130と近位側開口部60の間に良好に配置できる。そして、フィルタ20をシース70等の筒体から放出することで、係止部32が遠位側開口部130を通過可能となる。
【0051】
また、拡張部140の遠位部は、周方向に間隔を空けて配置される分割部131が固定されているため、自然状態において、径方向の外径へ開いている。このため、拡張部140は、分割されない管状の遠位側開口部が固定される場合と比較して、生体組織に接触する軸方向の長さLを長く設定できる。したがって、拡張部140の生体組織に対する保持力を向上できる。
【0052】
なお、分割部131を備える構造は、近位側開口部に設けられてもよい。また、分割部131を備える構造は、遠位側開口部および近位側開口部の両方に設けられてもよい。
<第4実施形態>
【0053】
第4実施形態に係るフィルタデバイス150は、図12に示すように、近位側開口部160および係止部170のみが、第1実施形態と異なる。
【0054】
係止部170は、近位側の外周面に、近位側へ向かって外径が減少するテーパ状の嵌合凸部171を備えている。近位側開口部160は、遠位側の内周面に、近位側へ向かって内径がテーパ状に減少する嵌合凹部161を備える。嵌合凸部171は、遠位側から嵌合凹部161に入ることで、嵌合凹部161に嵌合する。嵌合凸部171が嵌合凹部161に嵌合した状態で、シャフト部30を遠位側へ強く押すと、嵌合凸部171が嵌合凹部161から遠位側へ離脱する。嵌合凸部171および嵌合凹部161のいずれか一方は、樹脂材料等の柔軟な材料によって形成されることが好ましい。これにより、柔軟な嵌合凸部171または嵌合凹部161が変形することで、係止部170を嵌合凹部161に良好に嵌合できる。なお、嵌合凸部171を嵌合凹部161に嵌合できるのであれば、嵌合凸部171および嵌合凹部161の少なくとも一方は、テーパ状に形成されなくてもよい。
【0055】
フィルタデバイス150を血管に留置するまでは、係止部170を近位側開口部160に嵌合させて連結することができる。これにより、フィルタデバイス150の搬送時に、フィルタ20とシャフト部30が分離せず、操作が容易である。そして、嵌合力を利用して、シャフト部30をシース70に対して遠位側へ押し、フィルタ20をシース70から押し出すことができる。フィルタデバイス150を血管に留置した後、シャフト部30を遠位側へ押し、係止部170を、近位側開口部160から離脱させる。この状態で、ワイヤ31に沿ってシース70や破砕デバイス80を搬送する。このとき、係止部170が、遠位側開口部50の内腔を通過可能である。このため、遠位側開口部50が、係止部170から力を受けて移動することを抑制できる。したがって、血管に留置されたフィルタ20を適切な状態で維持できる。
【0056】
また、フィルタ20に捕集した血栓200をシース70等の他の医療デバイスで吸引する場合には、係止部170を近位側開口部160に嵌合する。そして、ワイヤ31を手元で操作し、シャフト部30を軸方向へ往復移動させる。これにより、係止部170に連結された近位側開口部160に近接するフィルタ20(特に、血栓200を収容している内側部位44)を揺することができる。これにより、フィルタ20に付着した血栓200等の物体をフィルタ20から浮かせ、係止部170から吸引して容易に除去できる。
【0057】
なお、係合部と近位側開口部の形態は、離脱可能に連結できるのであれば、特に限定されない。例えば、図13に示す変形例のように、フィルタデバイス180の係止部110は、第2実施形態における係止部110と同様に、軸方向へ延びる外側誘導部111を備えている。近位側開口部190は、移動規制部191と、移動規制部191に連通する収容部193と、収容部193に連通する貫通孔194とを備えている。移動規制部191は、近位側開口部190の遠位部に位置している。移動規制部191は、軸方向へ延びる溝部192を備えている。収容部193は、移動規制部191の近位側に位置している。収容部193は、係止部110を回転可能に収容する。貫通孔194は、収容部193の近位側に位置している。貫通孔194は、ワイヤ31の外径よりも大きな内径を有している。さらに、貫通孔194は、係止部11を軸方向へ通過不能な内径を有している。
【0058】
係止部110の外側誘導部111の周方向の位置が、移動規制部191の溝部192の周方向の位置と一致しない場合、係止部110は、移動規制部191の内腔を軸方向へ通過不能である。係止部110の外側誘導部111の周方向の位置が、移動規制部191のの溝部192の周方向の位置と一致する場合のみ、係止部110は、移動規制部191の内腔を軸方向へ通過できる。したがって、例えば、係止部110を収容部193に配置し、外側誘導部111の周方向の位置を、溝部192の周方向の位置と一致しない状態とする。これにより、係止部110は、移動規制部191を通過できず、収容部193に保持される。これにより、係止部110が、近位側開口部190と連結された状態となる。次に、ワイヤ31を手元で操作して回転させる。これにより、外側誘導部111の周方向の位置を、溝部192の周方向の位置と一致させる。これにより、外側誘導部111が、溝部192を通過できる。このため、係止部110が、移動規制部191を遠位側へ通過できる。したがって、シャフト部30のフィルタ20に対する回転方向位置を手元で調節することで、係止部110を近位側開口部190に連結し、かつ連結を解除できる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、フィルタデバイスが挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。
【0060】
また、係止部が通過可能な開口部は、図14に示す他の変形例ように、遠位側開口部50ではなく、近位側開口部60であってもよい。これにより、シャフト部30の係止部32によって、フィルタ20を遠位側へ押すことができる。したがって、シャフト部30により、フィルタ20をシース70等から押し出すことが容易となる。
【0061】
また、遠位側開口部および近位側開口部の少なくとも一方は、網状の線状体の一部により構成されてもよい。また、遠位側開口部または近位側開口部は、自然状態において、径方向へ大きく広がっていてもよい。
【0062】
なお、上述した実施形態では、遠位側開口部および/または近位側開口部を通過可能な係止部は、遠位側および近位側の両方側から通過可能である。しかしながら、係止部は、遠位側または近位側の一方側のみから通過可能であり、反対側からは通過不能であってもよい。
【0063】
また、拡張部は、自然状態において、折り返し状態となる形態でなくてもよい。また、ワイヤに沿って移動させる医療デバイスは、血栓を破砕する破砕デバイスや、血栓を吸引するデバイスに限定されない。また、フィルタの一部に、血液の流れを制限するために柔軟な膜体が固定されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10、90、120、150、180 フィルタデバイス
20 フィルタ
30 シャフト部
31 ワイヤ
32、110、170 係止部
40、140 拡張部
50、100、130 遠位側開口部
60、160、190 近位側開口部
70 シース(医療デバイス)
80 破砕デバイス(医療デバイス)
101 内側誘導部
111 外側誘導部
200 血栓(物体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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