IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -管内面研磨装置 図1
  • -管内面研磨装置 図2
  • -管内面研磨装置 図3
  • -管内面研磨装置 図4
  • -管内面研磨装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】管内面研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/40 20060101AFI20220908BHJP
   B24B 27/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B24B5/40 C
B24B27/00 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018043167
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019155508
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 明良
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特許第3948953(JP,B2)
【文献】特開2008-000838(JP,A)
【文献】特許第2767460(JP,B2)
【文献】実公昭53-053175(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 5/40
B24B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸周りに回転する管体(P)の内面に宛がわれる研磨具(35)と、
前記研磨具(35)を先端部に備える回転シャフト(30)と、
前記回転シャフト(30)を軸周り回転自在に支持する内筒(51)と前記内筒(51)の外側に配置される外筒(52)とを備えるさや管(50)と、
前記さや管(50)の後端部を支持し前記管体(P)の管軸方向に沿って進退自在の台車(2)と、
前記回転シャフト(30)を軸周り回転させる駆動装置(3)と、
前記内筒(51)と前記外筒(52)との間の環状空間に配置されゴム又は樹脂からなるとともに前記回転シャフト(30)に生じる振動を緩和する緩衝部材(60)と、
を備える管内面研磨装置。
【請求項2】
前記内筒(51)と前記外筒(52)との間の前記環状空間は、その先端側がボス部材(43)によって閉塞し、その後端側がホルダ(48)によって閉塞しており、
前記緩衝部材(60)は、前記ボス部材(43)と前記ホルダ(48)との間の全長に亘って連続的に配置されている
請求項1に記載の管内面研磨装置。
【請求項3】
前記緩衝部材(60)は、前記環状空間の全周に亘って連続的に配置されている
請求項1又は2に記載の管内面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道管やその他各種の管設備に用いられる管体、特に、ダクタイル鋳鉄管等の金属管の内面を研磨する管内面研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の管設備に用いられる管体は、その製造後に管内面を研磨する場合がある。例えば、水道管等に使用されるダクタイル鋳鉄管は、主として遠心鋳造によって製造され、その製造後に、管内面に腐食防止等の目的で粉体樹脂塗装を行う場合が多い。その粉体樹脂塗装を施す鋳鉄管の内表面を予め平滑に整えるために、管内面研磨装置が用いられる。
【0003】
管内面研磨装置として、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1の管内面研磨装置は、管体の管軸方向に沿って往復動自在に配置された台車上に、さや管の後端部を支持して、反対側の先端部を片持ち梁状に突出させている。さや管内の後端部にブッシュを介して回転シャフト(フレキシブルシャフト)を挿入し、先端部には、軸受を介して研磨具を備えた研磨軸を回転自在に取付け、研磨軸の後端を回転シャフトの先端に連結している。また、回転シャフトの後端には、モータ等の駆動装置の駆動軸が連結されている。
【0004】
フレームに支持された支持ローラ上で管体を管軸周りに回転させながら、管内面研磨装置の研磨具を管体内に差し入れる。駆動装置の駆動力によって、駆動軸、回転シャフト、研磨軸を介して研磨具を回転させて、適宜、台車を管軸方向に沿って進退させることにより、研磨具で管体の内面全域を研磨していく。
【0005】
この種の管内面研磨装置では、さや管が台車に対して片持ち梁状に支持されていることから、さや管の軸心に対する研磨軸や回転シャフトの軸心のズレ等に起因して、研磨中に研磨具が上下に振動を繰り返すこととなる。研磨具が回転しながら上下に振れると騒音や振動の原因となるほか、回転シャフトやそれを支持する周辺部材に対して応力が繰り返し加わることとなる。このため、長期に亘って継続して使用していると、回転シャフトやそれを支持する周辺部材に疲労や損傷の問題が生じやすい。
【0006】
そこで、従来の管内面研磨装置では、回転シャフトに対してコイルバネの付勢力を軸方向へ付与して部材の剛性を高め、回転シャフトの揺れや撓みを防止している。また、特に、特許文献1では、研磨軸と回転シャフトとを軸方向へ相対移動自在に連結して、回転シャフトに生じる曲げ応力や軸力を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3948953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の管内面研磨装置では、研磨中の回転シャフトに生じ得る応力を、ある程度抑制することができる。しかし、研磨具の回転速度や研磨対象である管体の仕様、あるいは、使用頻度や使用環境等によってはより過酷な使用条件となる場合もあり、回転シャフトに対して作用する応力をさらに抑制することが望まれる。また、回転シャフトだけでなく、それを支持する周辺部材に対しても、繰り返し応力の作用による部材の疲労や損傷をできる限り抑制することが望まれる。
【0009】
そこで、この発明の課題は、台車に対して片持ち梁状に支持されたさや管内に、研磨具を支える回転シャフトを軸周り回転自在に収容した管内面研磨装置において、研磨中に研磨具が上下に振動を繰り返すことによる部材の疲労や損傷を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、管軸周りに回転する管体の内面に宛がわれる研磨具と、前記研磨具を先端部に備える回転シャフトと、前記回転シャフトを軸周り回転自在に支持する内筒と前記内筒の外側に配置される外筒とを備えるさや管と、前記さや管の後端部を支持し前記管体の管軸方向に沿って進退自在の台車と、前記回転シャフトを軸周り回転させる駆動装置と、前記内筒と前記外筒との間の環状空間に配置されゴム又は樹脂からなる緩衝部材とを備える管内面研磨装置を採用した。
【0011】
ここで、前記内筒と前記外筒との間の前記環状空間は、その先端側がボス部材によって閉塞し、その後端側がホルダによって閉塞しており、前記緩衝部材は、前記ボス部材と前記ホルダとの間の全長に亘って連続的に配置されている構成を採用することができる。
【0012】
また、これらの各態様において、前記緩衝部材は、前記環状空間の全周に亘って連続的に配置されている構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、研磨具を先端部に備える回転シャフトを、内筒と外筒とを備える二重筒構造のさや管によって支持し、その内筒と外筒との間の環状空間にゴム又は樹脂からなる緩衝部材を配置したので、研磨中に研磨具が上下に振動を繰り返すことによる部材の疲労や損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施形態を示す縦断面図
図2】(a)は図1の先端側の拡大縦断面図、(b)は図1の後端側の拡大縦断面図
図3図2のIII-III断面図
図4図2のIV-IV断面図
図5】管内面研磨装置の全体図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施形態を、図1図5に基づいて説明する。この実施形態の管内面研磨装置1は、水道管用のダクタイル鋳鉄管Pの内面を研磨の対象とするものである。以下、その研磨の対象であるダクタイル鋳鉄管Pを、管体Pと称する。図1図4は、管内面研磨装置1の研磨具35を備えたシャフト部10を示しており、図5は、そのシャフト部10を用いた管内面研磨装置1によって、管体Pの内面の研磨を行う際の状態を示している。
【0016】
研磨の対象となる管体Pは、床面G上に配置されたフレームFに支持された支持ローラR上で保持され、支持ローラRが駆動力によって回転することによって、管軸周りに回転するようになっている。管内面研磨装置1は、この管軸周りに回転する管体Pに対して、管軸方向に沿って対向して配置される。
【0017】
管内面研磨装置1の構成は、管体Pの管軸方向に沿って進退自在に配置された台車2上にシャフト部10の後端部を支持して、その反対側であるシャフト部10の先端部を片持ち梁状に突出させている。台車2は、車輪2a上に台枠2bが固定されており、その台枠2bの上面に設けた支持部4でシャフト部10を固定している。また、台車2上には、モータ等の駆動装置3も設けられている。
【0018】
シャフト部10は、管体Pの内面に宛がわれる研磨具35と、その研磨具35を先端部に備える回転シャフト30と、回転シャフト30を軸周り回転自在に支持する内筒51とその内筒51の外側に配置される外筒52とを備えるさや管50とを備えている。
【0019】
この実施形態の回転シャフト30は、フレキシブルシャフトからなる。フレキシブルシャフトは、鋼線又はピアノ線などのワイヤから成り、その一本のワイヤ上に数本のワイヤを交互に積層式に巻回したシャフト本体31を備えたものであり、ある程度の剛性を有しつつ屈曲可能である。
【0020】
さや管50内の後端部に回転シャフト30が挿入され、回転シャフト30は、さや管50に対してブッシュ40を介して軸周り回転自在に支持されている。ブッシュ40は金属製であり、さや管50の内面に固定されている。また、ブッシュ40の内面と回転シャフト30の外面とは摺接してメタル軸受を構成している。
【0021】
また、回転シャフト30の後端は、駆動装置3に連結されている。図1及び図2(b)に示すように、回転シャフト30の後端にオススプライン36が連結部材37を介して溶接で接続されており、このオススプライン36が、駆動装置3の駆動軸(図示せず)側に設けたメススプラインに進退自在に嵌入している。このスプライン結合により、駆動装置3の駆動軸に対して回転シャフト30は軸方向へ相対移動可能な状態となり、また、駆動装置3の駆動力によって駆動軸が回転すると、その回転が回転シャフト30に伝達される状態となっている。
【0022】
さや管50内の先端部には、研磨具35を備えた研磨軸32が回転自在に取付けられている。図1及び図2(a)に示すように、研磨軸32は、さや管30に軸受45,46を介して回転自在に支持され、その研磨軸32の先端に研磨具35が取り付けられている。研磨具35は、研磨軸32にナット33,34で締め付け固定されている。
【0023】
研磨具35は、側面が円筒面である円筒状部材、あるいは、側面が円弧状に膨らむ樽形の部材で構成され、その側面全周に、砥石等の研磨機能を有する素材が取り付けられている。研磨機能を有する素材は、研磨の対象である管体Pの種別や仕様に応じて適宜決定される。
【0024】
回転シャフト30の先端には雄ねじ部が形成され、研磨軸32の軸本体32aの後端に設けた雌ねじ部32bにねじ結合して、回転シャフト30と研磨軸32とは一体に軸周り回転する。なお、この回転シャフト30と研磨軸32とを、スプライン結合等により、軸方向へ移動自在に連結してもよい。
【0025】
回転シャフト30とさや管50の間には、軸方向に沿ってコイルばね41が配置されている。コイルバネ41は、軸方向に隣り合うブッシュ40間にそれぞれ配置され、このブッシュ40及びコイルばね41によって、回転シャフト30のさや管50への接触が防止されるとともに、コイルばね41の付勢力によってブッシュ40を軸方向へ位置決めしている。また、最も先端側のブッシュ40は、固定スリーブ42によって軸方向へ位置決めされ、最も後端側のブッシュ40は、さや管50の後端に取り付けた分割フランジ53によって位置決めされている。
【0026】
さや管50は、同軸状に配置された断面円形の内筒51と、同じく断面円形の外筒52との間の環状空間に、ゴム又は樹脂からなる緩衝部材60を備える。
【0027】
内筒51と外筒52との間の環状空間は、その先端側が筒状のボス部材43によって閉塞し、また、その後端側が筒状のホルダ48によって閉塞している。このため、ボス部材43の後端とホルダ48の先端との間は、連続した環状空間となっている。緩衝部材60は、このボス部材43の後端とホルダ48の先端との間の軸方向全長に亘って連続的に配置され、また、その環状空間の全周に亘って連続的に配置されている。
【0028】
また、さや管50は、例えば、緩衝部材60が内筒51の外周にライニングされた後、その緩衝部材60の外周に外筒52が圧入により嵌合されて構成される。内筒51の外周への緩衝部材60のライニングは、筒状の緩衝部材60を内筒51の外周に嵌合したり、あるいは、型枠内に内筒51を載置して、その型枠の内面と内筒51の外面との間に、未硬化の素材を流し込んで硬化させた後、型枠を除去する手法を採用してもよい。さらに、例えば、緩衝部材60の外周に外筒52を圧入することに代えて、内筒51と外筒52との間の環状空間に、未硬化の素材を流し込んで硬化させる手法を採用してもよい。緩衝部材60は、内筒51の外周と外筒52の内周のそれぞれに、隙間無く密着していることが望ましい。
【0029】
さや管50の先端部側においては、図2(a)に示すように、ボス部材43の後端は、内筒51の先端の外面と外筒52の先端の内面との間に圧入により嵌合している。また、ボス部材43の先端の外周には、スピンドルケース44が嵌合固定されている。このスピンドルケース44の内周に、研磨軸32を支持する軸受45,46が圧入により固定されている。また、軸受45と軸受46との間には位置決めスリーブ39が配置されて、軸受45と軸受46との間隔が保持されている。スピンドルケース44の先端は、フロントカバー47によって閉じられている。
【0030】
軸受45と軸受46の軸受の形式は、それぞれ種々のものを採用でき、メタル軸受等のすべり軸受や、転がり軸受を採用してもよい。
【0031】
なお、固定スリーブ42は筒状の部材で構成され、その後端部が内筒51の内周に圧入により嵌合され、その先端部はボス部材43の内周に圧入により嵌合している。また、固定スリーブ42の軸方向中ほどに設けた外径側への突条が、ボス部材43の後端と内筒51の先端との間に挟まれて固定されている。
【0032】
さや管50の後端部側においては、図2(b)に示すように、ホルダ48の先端の内周に、外筒52の後端が圧入により嵌合している。また、ホルダ48の後端の内周には、内筒51が圧入により嵌合している。ホルダ48の後端は分割フランジ53によって閉じられている。分割フランジ53は、周方向に沿って複数の部材に分割されたものが、ボルト・ナット等の結合手段によって一体化されて環状部材を構成している。
【0033】
また、ホルダ48の外周には、補強リブ54が溶接により固定されている。補強リブ54は、ホルダ48の外周の接線方向に交差する面方向を有する板状部材で構成され、ホルダ48の外周への固定部分からさや管50の先端部側へ伸びて、外筒52の外周に至って設けられている。また、補強リブ54は、外筒52の周方向に沿って等間隔に放射状に設けられている。その設置数は、図3に示すように6箇所であってもよいし、必要に応じて箇所数を増減してもよい。また、補強リブ54は、ホルダ48だけでなく、外筒52に対しても溶接固定してもよい。
【0034】
管体Pの内面を研磨する際には、さや管50の後端部を支持した台車2を管軸方向に沿って走行させ、そのさや管50の先端側に位置する研磨具35を、管軸周りに回転している管体P内に差し入れる。このとき、駆動装置3の駆動力によって、回転シャフト30、研磨軸32を介して、研磨具35が軸周りに回転する。研磨具35が管体Pの内面を研磨しつつ、適宜、台車2を管軸方向に沿って進退(往復動)させることにより、研磨具35で管体Pの内面を研磨していく。このように、研磨具35を軸周り回転させながら、台車2を管軸方向に沿って移動させて、その研磨具35を管体Pの内面に押し付けることで、管体Pの内面を全域に亘って研磨することが可能である。
【0035】
なお、管体Pの受口内面等の複雑形状を有する部分は、必要に応じて、この管内面研磨装置1以外の他の小型の研磨装置を用いて研磨を行ったり、あるいは、手作業で研磨を行うこともできる。
【0036】
このような研磨作業の際に、研磨具35は、それを支持する研磨軸32の軸方向が、管体Pの管軸方向に対して平行になっていることが望ましい。しかし、実際には、管体Pの内面組成の不均一や、研磨具35等の自重、あるいは、研磨具35が管体Pの内面から受ける反力の変動等により、研磨具35の軸心が傾いて、研磨軸32の軸方向が管体Pの管軸方向に対して平行でない状態が繰り返し断続的に生じることがある。また、この軸心の傾きに加え、研磨軸32や回転シャフト30等の軸心のずれ等に起因して、高速で回転する研磨軸32や回転シャフト30等に曲げ応力や軸力が断続的に作用し、時にはこれらの部材に衝撃力が加わることもある。
【0037】
しかし、この発明では、研磨軸32や回転シャフト30等を外径側で支持するさや管50を、内筒51と外筒52とを備える二重筒構造とし、さらに、その内筒51と外筒52との間の環状空間にゴム又は樹脂からなる緩衝部材60を配置したので、それらの研磨軸32や回転シャフト30等に作用する応力や衝撃力の発生を抑制することができる。二重筒構造のさや管50が、研磨軸32や回転シャフト30等をしっかりと保持し、また、その二重筒構造の内筒51と外筒52との間に緩衝部材60が介在するので、研磨軸32や回転シャフト30等に生じる振動を外径側から拘束して緩和することができる。
【0038】
なお、この実施形態では、緩衝部材60の素材として硬質のゴムを採用しているが、これに代えて、硬質の樹脂を採用してもよい。あるいは、さや管50に所定の剛性が確保されるならば、緩衝部材60の素材として軟質のゴムや軟質の樹脂を採用することも可能である。
【0039】
仮に、内筒51と外筒52との間に緩衝部材60が介在せず、両者の間に空隙のみが介在しているとすると、内筒51と外筒52とを備えたさや管50全体の剛性が低くなる。また、さや管50の剛性を向上させるために、例えば、内筒51と外筒52との間に、金属からなる間隔保持材を溶接により固定する手法も考えられるが、内筒51と外筒52とを間隔保持材を介して溶接で接続すると、その溶接部から疲労亀裂が発生する可能性がある。しかし、この発明のように、内筒51と外筒52との間に緩衝部材60を介在させると、間隔保持材と内筒51との溶接箇所、間隔保持材と外筒52との溶接箇所には、疲労亀裂は生じにくい。
【0040】
このため、上記の実施形態では、緩衝部材60を、内筒51と外筒52との間の環状空間の全域、すなわち、ボス部材43の後端とホルダ48の先端との間の全長に亘って連続的に配置し、また、環状空間の全周に亘って連続的に配置したが、必要に応じて、内筒51と外筒52との間のいずれかの箇所に、金属からなる間隔保持材を介在させてもよい。このとき、間隔保持材は、内筒51と外筒52のそれぞれに対して溶接で固定してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 管内面研磨装置
2 台車
3 駆動装置
4 支持部
10 シャフト部
30 回転シャフト
31 シャフト本体
32 研磨軸
35 研磨具
40 ブッシュ
41 コイルばね
43 ボス部材
48 ホルダ
50 さや管
51 内筒
52 外筒
60 緩衝部材
F フレーム
G 床面
P 管体
R 支持ローラ
図1
図2
図3
図4
図5