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  • -斜面用柵及び斜面用柵の設置方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】斜面用柵及び斜面用柵の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E04H17/14 102C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018131258
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020007838
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390040073
【氏名又は名称】岡本 俊仁
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊仁
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-036057(JP,U)
【文献】特開平09-125749(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152584(JP,U)
【文献】特開2012-132250(JP,A)
【文献】特開平08-144579(JP,A)
【文献】特開2008-050855(JP,A)
【文献】特開2001-123784(JP,A)
【文献】登録実用新案第3071067(JP,U)
【文献】特開2002-186405(JP,A)
【文献】特開平11-315647(JP,A)
【文献】特開2001-304284(JP,A)
【文献】実開昭47-027334(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01002910(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面に間隔を有して設けられた複数個の支柱と、該支柱にそれぞれ取付具を介して取り付けられた複数個の横木と、隣り合う前記横木を回転可能に連結する複数個の連結部材とで構成され、
前記支柱は、斜面に打ち込まれる杭部材と、少なくとも該杭部材の上部が、その内部に入り込むように重なり合うパイプ状の支柱本体と、該支柱本体を前記杭部材に固定する固定手段とで構成され、
前記連結部材は、一方の連結片及び他方の連結片がそれぞれ回転可能に接続され、前記一方の連結片が前記隣り合う横木の一方の横木に取り付けられ、前記他方の連結片が他方の横木に取り付けられ、
前記取付具は、押え板を備える2つのUバンド又はUボルトであり、前記Uバンド又はUボルトを前記支柱の外周部に当接させ、前記横木を前記支柱と前記押え板との間、かつ、前記2つのUバンド又はUボルトの間に介在させて前記横木を取り付けるものである斜面用柵。
【請求項2】
少なくとも前記横木又は支柱のいずれかに、格子状の網部材が更に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の斜面用柵。
【請求項3】
複数個の杭部材を斜面に打ち込む杭部材設置工程と、該杭部材設置工程で設置された前記杭部材に、それぞれパイプ状の支柱本体を固定手段によって取り付ける支柱本体設置工程と、該支柱本体設置工程において設置した前記支柱本体に、複数個の横木を取付具を介して前記支柱本体に取り付けるとともに、前記横木を連結部材によって連結する横木設置工程とで構成され、
前記連結部材は、一方の連結片及び他方の連結片が回転可能に連結され、一方の連結片が前記隣り合う横木の一方の横木に取り付けられ、他方の連結片が他方の横木に取り付けられ、
前記柱本体設置工程は、前記支柱本体の底部が斜面に接地した状態で杭部材に取り付け、
横木設置工程では、押え板を備える2つのUバンド又はUボルトからなる前記取付具を用い、前記Uバンド又はUボルトを前記支柱本体の外周部に当接させ、前記横木を前記支柱本体と前記押え板との間、かつ、前記2つのUバンド又はUボルトの間に介在させて前記横木を取り付ける斜面用柵の設置方法。
【請求項4】
少なくとも前記横木又は支柱本体のいずれかに、格子状の網部材を取り付ける網部材設置工程を更に行うことを特徴とする請求項3に記載の斜面用柵の設置方法。
【請求項5】
少なくとも前記杭部材設置工程は、ウインチを有する法面作業車を用いて、ウインチのワイヤーを斜面上部のアンカーに固定して杭部材を斜面に打ち込んで設置することを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の斜面用柵の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は法面等の斜面に設置される柵及びその柵の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、斜面等に用いることができる柵としては、支柱の下端部を地面に打ち込み、この支柱に上下一対の上枠材と下枠材を取り付け、これら上枠材と下枠材とに上下端が回動自在に軸着された左右一対の縦枠材と、前記上枠材と前記下枠材とに上下端が回動自在に軸着された複数の格子材を備える自在格子パネルが知られている(特許文献1)。
しかしながら、斜面にフェンス等の柵を設置する場合、地中の岩盤等の位置により柵を支持するための支柱を所定の高さになるように打ち込むことが難しく、杭部材の地面(斜面)からの突出長さが不揃いになり、横木(横枠や横桟等)や金網等を固定することが難しくなる場合があるという欠点があった。
【0003】
また、樹木を伐採しただけの斜面に柵を設置する場合、樹木の根が地中に残っているために、一定の間隔で支柱を打ち込むことができず、横木が隣り合う支柱まで届かないため設置できないおそれがあった。
【0004】
逆に支柱同士の間隔が所定よりも短い場合には、横木の端部が支柱から突出してしまい、突出した部分を切断する等の作業を行わなければ取り付けることができないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-122329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、地面からの突出長さを一定にすることができるとともに、樹木の根が残っていても容易に設置可能な斜面用柵及び斜面用柵の設置方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の斜面用柵は、斜面に間隔を有して設けられた複数個の支柱と、該支柱にそれぞれ取付具を介して取り付けられた複数個の横木と、隣り合う前記横木を回転可能に連結する複数個の連結部材とで構成され、前記支柱は、斜面に打ち込まれる杭部材と、少なくとも該杭部材の上部が、その内部に入り込むように重なり合うパイプ状の支柱本体と、該支柱本体を前記杭部材に固定する固定手段とで構成され、前記連結部材は、一方の連結片及び他方の連結片がそれぞれ回転可能に接続され、前記一方の連結片が前記隣り合う横木の一方の横木に取り付けられ、前記他方の連結片が他方の横木に取り付けられ、前記取付具は、押え板を備える2つのUバンド又はUボルトであり、前記Uバンド又はUボルトを前記支柱の外周部に当接させ、前記横木を前記支柱と前記押え板との間、かつ、前記2つのUバンド又はUボルトの間に介在させて前記横木を取り付けるものであることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の斜面用柵は、少なくとも前記横木又は支柱のいずれかに、格子状の網部材が更に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の斜面用柵の設置方法は、複数個の杭部材を斜面に打ち込む杭部材設置工程と、該杭部材設置工程で設置された前記杭部材に、それぞれパイプ状の支柱本体を固定手段によって取り付ける支柱本体設置工程と、該支柱本体設置工程において設置した前記支柱本体に、複数個の横木を取付具を介して前記支柱本体に取り付けるとともに、前記横木を連結部材によって連結する横木設置工程とで構成され、前記連結部材は、一方の連結片及び他方の連結片が回転可能に連結され、一方の連結片が前記隣り合う横木の一方の横木に取り付けられ、他方の連結片が他方の横木に取り付けられ、前記柱本体設置工程は、前記支柱本体の底部が斜面に接地した状態で杭部材に取り付け、横木設置工程では、押え板を備える2つのUバンド又はUボルトからなる前記取付具を用い、前記Uバンド又はUボルトを前記支柱本体の外周部に当接させ、前記横木を前記支柱本体と前記押え板との間、かつ、前記2つのUバンド又はUボルトの間に介在させて前記横木を取り付けることを特徴とする。
請求項4に記載の斜面用柵の設置方法は、少なくとも前記横木又は支柱本体のいずれかに、格子状の網部材を取り付ける網部材設置工程を更に行うことを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の斜面用柵の設置方法では、少なくとも前記杭部材設置工程は、ウインチを有する法面作業車を用いて、ウインチのワイヤーを斜面上部のアンカーに固定して杭部材を斜面に打ち込んで設置することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項3に記載の各発明においては、杭部材を地面に打ち込み、次にこの杭部材の上部が内部に入り込むようにパイプ状の支柱本体をかぶせて、杭部材と支柱本体を固定しているので、支柱本体の底面が地面に接触した状態で斜面に固定することができる。
したがって、支柱の地面からの突出長さを略一定にすることができる。
(2)また、横木は連結部材を介して連結されているので、支柱に取り付けた部位ではなく、連結部材を支点として横木を回転させることができる。
したがって、支柱を横木の連結部分以外に設けることができ、一定の間隔で支柱を設けなくても横木を設置することができる。
(3)請求項2及び請求項4に記載の発明においては、(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、網部材を設置することにより、より効果的に人や動物の侵入を防ぐことができる。
(4)請求項5に記載の発明においても前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、急斜面でも容易に設置作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図11は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図12乃至図14は本発明の第2の実施形態示す説明図である。
図1】第1の実施形態の斜面用柵の正面図。
図2】斜面用柵の平面図。
図3】支柱の分解斜視図。
図4】支柱の縦断面図。
図5】横木及び連結部材の説明図。
図6】斜面用柵を設置した状態の平面図。
図7】斜面用柵を設置した状態の側面図。
図8】第1の実施形態の斜面用柵の設置方法の工程図。
図9】杭部材設置工程の側面図。
図10】杭部材設置工程の平面図
図11】支柱本体設置工程の説明図。
図12】第2の実施形態の斜面用柵の正面図。
図13】支柱の説明図。
図14】第2の実施形態の斜面用柵の設置方法の工程図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図11に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は法面等の斜面2に設置される斜面用柵で、この斜面用柵1は、図1及び図2に示すように、斜面2に間隔を有して設けられた複数個の支柱3と、該支柱3に取付具4を介して取り付けられた複数個の横木5と、隣り合う横木5を連結する連結部材6とで構成されている。
【0014】
前記支柱3は、図3及び図4に示すように、斜面2に打ち込まれる杭部材7と、少なくとも該杭部材7の上部が、その内部に入り込むように重なり合うパイプ状の支柱本体8と、該支柱本体8を前記杭部材7に固定する固定手段9とで構成されている。
【0015】
この杭部材7は、本実施形態では、金属製で略円柱状の部材が用いられており、杭部材7を斜面2に打ち込んだ際に、少なくとも上端部付近が地表よりも上部に突出する程度の長さを有している。ところで、先端部(下端部)を、斜面に打ち込みやすいよう尖った形状に形成してもよい。
【0016】
支柱本体8は、本実施形態では、金属製で円筒形状の部材であり、内径が前記杭部材7をスムーズに挿入できる程度に、杭部材7よりもやや大きく、下端部付近にネジ穴10が形成されている。このネジ穴10は、本実施形態で固定手段9となるボルト9が螺合するもので、斜面2に打ち込まれた杭部材7に支柱本体8をかぶせ、このネジ穴10にボルト9を螺合し、ボルト9の先端部分で杭部材7を押圧することにより、杭部材7と支柱本体8とを固定する。この杭部材7の外周面にボルト9の先端部が入り込む凹所やネジ穴等を形成してもよい。
【0017】
このように支柱本体8を杭部材7にかぶせ、支柱本体8の下端部が斜面2に当接した状態で杭部材7と支柱本体8とを固定することにより、杭部材7の打ち込みしろにかかわらず、支柱3の斜面からの突出高さを一定にすることができる。
【0018】
ところで、固定手段9としては、本実施形態のようにボルトによる固定の他、嵌合、係合、圧入、溶接等の固定手段9を用いることができる。
【0019】
取付具4は、本実施形態では、押え板11を備えるUバンド又はUボルト12を用いており、Uバンド又はUボルト12を支柱3の外周部に当接させ、横木5を支柱3と押え板11との間に介在させ、Uバンド又はUボルト12の両端部に形成されたネジ部13とナット14を螺合して横木5を取り付ける。
【0020】
本実施形態では、上下に2つのUバンド又はUボルト12を用いて押え板11の四隅付近をUバンド又はUボルト12のネジ部13が貫通するように構成されている。このように上下に2つのUバンド又はUボルト12を用いることにより、横木5を任意の角度で取り付けることができる。
【0021】
横木5は、本実施形態では、金属製でパイプ状の部材が用いられており、上下方向に2本の横木5が並列するように取り付けられる。この横木5は、上下方向に3本以上並列するように取付けてもよいし、1本のみ取付けてもよい。
【0022】
なお、中実の軸状の横木としてもよいし、エンジニアプラスチック等の樹脂や木製、竹の横木を用いてもよい。
【0023】
連結部材6は、一方の連結片15と、この一方の連結片15とヒンジ部16を介して回転可能に接続された他方の連結片17とで構成されている。
【0024】
この連結部材6は、一方の連結片15が前記隣り合う横木5の一方の横木5に取り付けられ、他方の連結片16が他方の横木5に取り付けられる。このように隣り合う横木5を連結することにより、横木5が連結部材6のヒンジ部16を支点に回動可能となる。
【0025】
そのため、支柱3を横木5の連結部分以外に設けた場合であっても、横木5を斜面に沿うように連続的に連結することができるので、支柱3を樹木の根28等(地表に出ている切り株や地中に埋没している太い幹や根)を回避して任意の位置に打つことができる。
本実施形態では、図5に示すように、一方の連結片15及び他方の連結片17がパイプ状の横木5の内側面に嵌合するように取り付けられているが、連結片15、17と横木5をボルト等で連結してもよい。
【0026】
なお、ヒンジ部16は本実施形態では、支点を中心に円形に回転するものであるが、例えばボールジョイント等を用いて任意の方向に回転できるようにしてもよい。ボールジョイントを用いない場合には、連結部材6を取り付ける角度等を調整して、横木を任意の方向へ連結することができる。
【0027】
ところで、本実施形態では、横木5及び支柱3に格子状の網部材18を取り付けている。この網部材18は、本実施形態では、いわゆる金網であり、横木5と支柱3に適宜針金、Uボルト等の取付部材(図示せず)で連結され、取り付けられる。支柱3の突出高さは一定になっているので、金網状の網部材18を支柱に取り付ける場合に取り付けやすく、また、外観上もバランスが良いので、美観が向上するものである。
【0028】
なお、本実施形態では、横木5及び支柱3に取付部材を用いて網部材18を取り付けているが、横木5と支柱3のいずれか一方のみに取付けてもよい。
【0029】
ところで、このような斜面用柵1を設置するための斜面用柵の設置方法19は、図8に示すように、複数個の杭部材7を斜面に打ち込む杭部材設置工程20と、該杭部材設置工程20で設置された前記杭部材7に、それぞれパイプ状の支柱本体8を固定手段9によって取り付ける支柱本体設置工程21と、該支柱本体設置工程21において設置した支柱本体8に、複数個の横木5を取付具4を介して支柱3に取り付けるとともに、横木5を連結部材6によって連結する横木設置工程22と、横木5又は支柱3に網部材18を取り付ける網部材設置工程23とで構成される。
【0030】
杭部材設置工程20では、図9に示すように、重機又は人力によって杭部材7を斜面2に所定間隔ごとに複数個打ち込む。ところで、杭部材7は、一定の間隔で設けることが望ましいが、樹木の根28等があり杭部材7を打ち込むことが難しい場合には、その樹木の根28を避けて杭部材7を打ち込む。
【0031】
本実施形態では、ウインチ24を有する杭打機等の法面作業車25を用いて、ウインチ24のワイヤー26を斜面上部のアンカー27に固定して斜面2を移動し、杭部材7を法面作業車25の打撃装置18により斜面2に打ち込んで設置する。
【0032】
法面作業車25は1対のウインチ24を備えていることが望ましく、図10に示すように、1対のウインチ24のワイヤー26を平面視において逆ハの字状となるようにアンカー27に固定して斜面2を移動することが望ましい。
【0033】
支柱本体設置工程21は、法面作業車25によって打ち込んだ杭部材7の上端部付近に、支柱本体8をかぶせるとともに、固定手段9で固定する。本実施形態では、固定手段9として複数個のボルトを用いている。この支柱本体設置工程21では、支柱本体8を杭部材7に固定する際に、支柱本体8の底部が斜面2に接地した状態で取り付ける。このように取り付けることにより、斜面2から支柱3の上端部までの距離が一定となり(支柱本体8の全長が斜面2の地表から支柱3の上端部までの距離となる)、横木5や網部材18を容易に取り付けることができる。
【0034】
横木設置工程22では、杭部材7に固定した支柱本体8に取付具4によって横木5を取り付けるとともに、隣り合う横木5同士を連結部材6で連結する。横木5は連結部材6の部位で支柱本体8に取り付けることが望ましいが、連結部材6を支点にして横木5が回動可能であるため、必ずしも連結部材6の部位で支柱本体8に取付けなくてもよい。
【0035】
連結部材6の部位で支柱本体8に取付ける場合には、予め連続する横木5同士を連結部材6で連結した後、取付具4によって支柱本体8に固定する。
【0036】
一方、連結部材6の部位以外の部位(横木の端部付近の部位)を支柱本体8に取り付ける場合には、必ずしも連続する横木5同士を連結部材6で連結した後に取付けなくてもよく、横木5を支柱本体8に取付けた後に連続する横木5を連結部材6により連結してもよい。
【0037】
網部材設置工程23では、格子状の網部材18を横木5及び支柱本体8に固定する。このような網部材18を設けることにより、侵入防止効果を向上させることができる。
【0038】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図12乃至図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図12乃至図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、角柱状の杭部材7Aと角パイプ状の支柱本体8Aを用いた支柱3Aを用いた点で、このような斜面用柵1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0039】
また、本実施形態の斜面用柵の設置方法19Aでは、角柱状の杭部材7Aを斜面2に設置する杭部材設置工程20Aにするとともに、この杭部材7Aに角パイプ状の支柱本体8Aを設置する支柱本体設置工程21Aにしている。
なお、本発明の実施形態において、杭部材、支柱本体及び網部材は金属製のものを用いた場合について説明したが、例えば樹脂(特にエンジニアプラスチック等)や木材、竹等を用いることもできる。
【0040】
本願発明の実施形態では、網部材を備えるものについて説明したが、網部材は必ずしも設けなくてもよい。また、この網部材として金網を用いているが、金網に限らず、例えば複数個の横木と複数個の縦桟と組み合わせて格子状の網部材としてもよい。
【0041】
横木については、中実のもの、断面多角形状のものを用いてもよく、横木に連結される連結部材については、外嵌合や係合する連結片を有するものを用いてもよい。
【0042】
以上の通りであるから、本発明の斜面用柵は、斜面に間隔を有して設けられた複数個の支柱と、該支柱にそれぞれ取付具を介して取り付けられた複数個の横木と、隣り合う前記横木を回転可能に連結する複数個の連結部材とで構成され、前記支柱は、斜面に打ち込まれる杭部材と、少なくとも該杭部材の上部が、その内部に入り込むように重なり合うパイプ状の支柱本体と、該支柱本体を前記杭部材に固定する固定手段とで構成され、前記連結部材は、一方の連結片及び他方の連結片がそれぞれ回転可能に接続され、前記一方の連結片が前記隣り合う横木の一方の横木に取り付けられ、前記他方の連結片が他方の横木に取り付けられることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は法面等の斜面に対して柵の設置工事等を行う産業で利用される。
【符号の説明】
【0044】
1、1A:斜面用柵、 2:斜面、
3、3A:支柱、 4:取付具、
5:横木、 6、6A:連結部材、
7、7A:杭部材、 8、8A:支柱本体、
9:固定手段、 10:ネジ穴、
11:押え板、 12:Uバンド又はUボルト、
13:ネジ部、 14:ナット、
15、15A:一方の連結片、 16:ヒンジ部、
17、17A:他方の連結片、 18:網部材、
19、19A:斜面用柵の設置方法、20、20A:杭部材設置工程、
21、21A:支柱本体設置工程、 22:横木設置工程、
23:網部材設置工程、 24:ウインチ、
25:法面作業車、 26:ワイヤー、
27:アンカー、 28:樹木の根。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14