IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 330
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018132094
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020006067
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
【審査官】廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-237554(JP,A)
【文献】特開2015-107426(JP,A)
【文献】特開2018-033838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するための遊技場用システムであって、
遊技機で遊技が行われた遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
該遊技情報取得手段が取得した遊技情報を送信する遊技情報送信手段と、
データ通信用の回線を介して該遊技情報送信手段と接続され、該回線を経由して該遊技情報送信手段から遊技情報を受信する受信手段と、
該受信手段によって受信された遊技情報に演算処理を施して遊技機の遊技に関する遊技データを生成する遊技データ生成手段と、
前記回線を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態から、前記回線を経由する遊技情報の送受信が可能なオンライン状態に復帰した際、当該オフライン状態下の遊技データを復旧する遊技データ復旧手段と、を備え、
前記オンライン状態において前記遊技情報送信手段により送信される通常の遊技情報と、前記オフライン状態から前記オンライン状態に復帰した場合に、当該オフライン状態下の遊技データの復旧のために前記遊技情報送信手段によって送信される復旧用の遊技情報とで、前記対象期間が異なり、
前記遊技情報取得手段は、遊技機にて発生する遊技状態が変化する時点によって区分される期間を前記対象期間とし、当該対象期間の遊技情報を取得する第1処理を実行可能であり、前記オフライン状態の開始後に当該第1処理を実行することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
遊技機が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するための遊技場用システムであって、
遊技機で遊技が行われた遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
該遊技情報取得手段が取得した遊技情報を送信する遊技情報送信手段と、
データ通信用の回線を介して該遊技情報送信手段と接続され、該回線を経由して該遊技情報送信手段から遊技情報を受信する受信手段と、
該受信手段によって受信された遊技情報に演算処理を施して遊技機の遊技に関する遊技データを生成する遊技データ生成手段と、
前記回線を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態から、前記回線を経由する遊技情報の送受信が可能なオンライン状態に復帰した際、当該オフライン状態下の遊技データを復旧する遊技データ復旧手段と、を備え、
前記オンライン状態において前記遊技情報送信手段により送信される通常の遊技情報と、前記オフライン状態から前記オンライン状態に復帰した場合に、当該オフライン状態下の遊技データの復旧のために前記遊技情報送信手段によって送信される復旧用の遊技情報とで、前記対象期間が異なり、
前記遊技機は、所定期間単位で遊技情報を集計し、前記遊技情報取得手段に対して当該所定期間単位で集計した遊技情報を出力可能であり、
前記遊技情報取得手段は、前記オフライン状態では遊技機の遊技状態が変化した場合に、その変化前までの期間を前記対象期間として遊技情報を取得する一方、当該変化後から所定条件が成立するまでの期間を前記対象期間として遊技情報を取得する第1処理を行う一方、前記オンライン状態では前記所定期間を前記対象期間として当該対象期間の遊技情報を取得することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項3】
前記遊技情報取得手段は、前記第1処理を実行する場合であれば複数の対象期間に区分され得る期間を一の対象期間とし、当該対象期間の遊技情報を取得する第2処理を実行可能であると共に、
前記オフライン状態の開始後、所定の切替条件が成立するまでは前記第1処理を実行し、当該所定の切替条件の成立後に前記第2処理を実行することを特徴とする請求項またはに記載の遊技場用システム。
【請求項4】
遊技機が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するための遊技場用システムであって、
遊技機で遊技が行われた遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
該遊技情報取得手段が取得した遊技情報を送信する遊技情報送信手段と、
データ通信用の回線を介して該遊技情報送信手段と接続され、該回線を経由して該遊技情報送信手段から遊技情報を受信する受信手段と、
該受信手段によって受信された遊技情報に演算処理を施して遊技機の遊技に関する遊技データを生成する遊技データ生成手段と、
前記回線を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態から、前記回線を経由する遊技情報の送受信が可能なオンライン状態に復帰した際、当該オフライン状態下の遊技データを復旧する遊技データ復旧手段と、を備え、
前記オンライン状態において前記遊技情報送信手段により送信される通常の遊技情報と、前記オフライン状態から前記オンライン状態に復帰した場合に、当該オフライン状態下の遊技データの復旧のために前記遊技情報送信手段によって送信される復旧用の遊技情報とで、前記対象期間が異なり、
前記遊技情報取得手段は、時間的な序列を表す識別情報を付して遊技機が出力する遊技情報を取得し、
前記遊技情報送信手段は、前記遊技機により識別情報を付されて出力された遊技情報の一部を選択し、当該選択した一部の遊技情報に対して新たな識別情報を付して送信することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項5】
遊技機が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するための遊技場用システムであって、
遊技機で遊技が行われた遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
該遊技情報取得手段が取得した遊技情報を送信する遊技情報送信手段と、
データ通信用の回線を介して該遊技情報送信手段と接続され、該回線を経由して該遊技情報送信手段から遊技情報を受信する受信手段と、
該受信手段によって受信された遊技情報に演算処理を施して遊技機の遊技に関する遊技データを生成する遊技データ生成手段と、
前記回線を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態から、前記回線を経由する遊技情報の送受信が可能なオンライン状態に復帰した際、当該オフライン状態下の遊技データを復旧する遊技データ復旧手段と、を備え、
前記オンライン状態において前記遊技情報送信手段により送信される通常の遊技情報と、前記オフライン状態から前記オンライン状態に復帰した場合に、当該オフライン状態下の遊技データの復旧のために前記遊技情報送信手段によって送信される復旧用の遊技情報とで、前記対象期間が異なり、
前記遊技情報取得手段は、前記オフライン状態では、遊技状態単位で区分される期間を前記対象期間として遊技情報を取得し、
前記通常の遊技情報は、複数種類の遊技状態の内、いずれかの遊技状態が対応付けられた遊技情報である一方、前記復旧用の遊技情報は、遊技状態単位で区分された遊技情報であって、それぞれの遊技状態に対応付けられた遊技情報であることを特徴とする遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では様々な遊技機が設置されており、今般、予め封入されて盤面に発射される循環パチンコ玉を利用した所謂封入式と呼ばれる遊技機が市場に投入される見込みがある。このような遊技機の中には、従来の遊技機のように遊技信号をパルス出力するのではなく、例えば下記の特許文献1の明細書中の段落「0083」に示されるように連番管理された電文を採用したデータ通信を所定期間毎に行う遊技機がある。この遊技機では、遊技機と遊技装置との間で通信障害が生じた場合には、遊技装置から遊技機に問合せることで遊技情報の復旧処理を行うことが見込まれている。
【0003】
さて、遊技機の遊技情報は管理装置にて管理するため、遊技装置にて収集した遊技情報を管理装置に送信する必要がある。管理装置では、所謂大当り履歴のような詳細の遊技情報を管理対象とすることから、そのような詳細な遊技情報を特定可能な情報を遊技装置から送信する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-142724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遊技装置と管理装置との間で通信障害が生じた場合に、障害がない場合と同様に詳細な遊技情報を管理しようとすると、障害復旧時に障害中の遊技情報を復旧する必要が生じる。この場合、上記の遊技機と遊技装置との間のような復旧処理を想定すると、遊技装置から管理装置へは大量の遊技情報を送信する必要があるため、そのような大量の遊技情報を記憶する記憶領域を遊技装置に設ける必要や、復旧時に管理装置に対する遊技装置からの情報送信に多くの時間を要するおそれがある。また、このようなおそれは、封入式の遊技機を採用した場合だけでなく、従来の遊技機を採用した場合にも生じ得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、例えば、詳細な遊技情報を管理する管理端末と、当該管理端末へ遊技情報を提供する提供端末と、の間などで通信障害が生じた場合に、適切に対応できる遊技場用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遊技場用システムは、遊技機が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するためのシステムである。管理対象の遊技データは、遊技機の遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報に基づくものであり、回線を介して送信されるこの遊技情報に演算処理を施して生成される。
【0008】
本発明の遊技場用システムは、回線を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態に対応するための遊技データ復旧手段を含めて構成されている。この遊技データ復旧手段は、オフライン状態からオンライン状態に復帰した場合に回線経由で送信される復旧用の遊技情報を利用して遊技データを復旧する。
【0009】
本発明においては、オンライン状態において回線経由で送信される通常の遊技情報と、この復旧用の遊技情報とで、対象期間を異ならせている。これにより、オフライン状態からオンライン状態に復帰した場合に、遊技データの復旧のために送信する遊技情報のデータ量や、オフライン状態下で記憶する遊技情報のデータ量等を抑制し、遊技データの効率的な復旧を可能としている。
【0010】
このように本発明の遊技場用システムは、データ通信用の回線がオフライン状態に陥った場合に、適切に対応できる優れた特性の遊技場用システムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1における、遊技場用システムの構成を示すシステム図。
図2】実施例1における、遊技機と遊技装置の組み合わせを示す正面図。
図3】実施例1における、遊技機の電気的構成を示すブロック図。
図4】実施例1における、遊技装置の電気的構成を示すブロック図。
図5】実施例1における、管理装置の電気的構成を示すブロック図。
図6a】実施例1における、素データ一覧を例示する図。
図6b】実施例1における、遊技情報集計を例示する図。
図6c】実施例1における、遊技機の遊技履歴を例示する図。
図7a】実施例1における、遊技進行中のイベントの発生状況を例示するタイムチャート図。
図7b】実施例1における、200m秒毎の通信データを例示する図。
図8a】実施例1における、第1処理による通信データを例示する図。
図8b】実施例1における、第2処理による通信データを例示する図。
図9】実施例1における、オフライン状態下で第2処理を行った場合に想定される状況を例示する図。
図10a】実施例1における、遊技機⇔遊技装置間と遊技装置⇔管理装置間とで共通の通番を採用した場合のデータ送受信を例示する図。
図10b】実施例1における、遊技機⇔遊技装置間と遊技装置⇔管理装置間とで異なる通番を採用した場合のデータ送受信を例示する図。
図11】実施例1における、第2処理による通信データの別例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技機3が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するための遊技場用システム1に関する例である。以下、図1図11を参照して遊技場用システム1を説明する。この遊技場用システム1は、管理端末の一例である管理装置10と、管理装置10に遊技情報を提供する提供端末の一例である遊技装置2と、の間で通信障害が生じた場合にも適切に対応可能なシステムである。
【0013】
遊技場では、図1のごとく、パチンコ遊技機3(以下、単に遊技機3という。)に対して、遊技装置2や表示装置51等が個別に設置されている。玉やポイント等の遊技価値の付与機能や計数機能を備える遊技装置2は、対応する遊技機3と隣り合う他の遊技機3との間の隙間のスペースに設置されている。遊技装置2は、対応する遊技機3の左側に配置され、呼出ランプ511を備える表示装置51は遊技機3の上方に設置される。なお、遊技場には、パチンコ遊技機3以外にスロットマシンなども設置されている。スロットマシンの場合は、対応する遊技機3の右側に遊技装置2が設置される。
【0014】
遊技場内の通路に面して遊技機3が配列された遊技島では、2台の遊技機3毎に1台ずつ中継装置54が設置されている。また、遊技場内に設けられた管理スペースには、遊技場内の各種の機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置10が設置されている。遊技者が遊技により獲得した遊技価値である所有価値を景品に交換するための景品カウンタには、景品交換のためのPOS端末55が設置されている。また、遊技機3が配列された遊技島の島端等には、遊技カード53(図2)に対応付けられた残高(プリペイド残高)の精算を受け付ける残高精算機57が設置されている。
【0015】
遊技場では、管理装置10が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク500が構築されている。遊技機3に対応して個別に設置された表示装置51及び遊技装置2は、中継装置54を介して場内ネットワーク500に接続されている。場内ネットワーク500を利用する遊技場の遊技場用システム1では、遊技装置2などの遊技機3の周辺装置と管理装置10との間の各種の通信が中継装置54を介して実現されている。
【0016】
管理装置10は、遊技場に設置された各種の機器の動作状態を管理するほか、遊技装置2を介して各遊技機3の遊技情報を収集し、遊技機単位の遊技データを管理している。さらに、管理装置10は、遊技者が所持する遊技カード53(図2参照。)に対応付けられる残高や持玉などの価値を記憶し、遊技カード53の識別情報であるカードIDを対応付けて管理している。
【0017】
以下、本例の遊技場用システム1を構成する遊技機3、遊技装置2、管理装置10の構成及び動作を詳しく説明し、続いて遊技場用システム1の動作内容について説明する。
(遊技機)
遊技機3は、(パチンコ)玉を遊技媒体として遊技が行われる種別の遊技機である。遊技機3は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算されるポイント(遊技価値)を記憶する所謂封入式の遊技機である。なお、遊技価値である玉を消費して遊技され、遊技で入賞すると玉の払出を受けられる払出式の遊技機であっても良い。
【0018】
遊技機3では遊技媒体である玉が封入されており、遊技者側に玉が払い出されることがない。玉は、遊技領域である盤面330(図2)への発射→盤面330からの排出を繰り返し、遊技機3の内部で循環する。この遊技機3は、遊技価値をなすポイントを遊技玉ポイントとして記憶する機能を備えている。遊技機3では、この遊技玉ポイントを1P(ポイント)ずつ消費して玉を発射でき、いずれかの入賞口に玉が入賞すればポイントを獲得でき、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントが加算更新される。
【0019】
封入式の遊技機3の構成を概説する。図2のごとく、この遊技機3は、第1始動口31及び第2始動口32への入賞に応じて大当り抽選を実行する、いわゆるセブン機である。この遊技機3は、大当り抽選に応じて図柄変動を実行するゲームを開始し、大当り図柄の停止表示により大当り当選を報知する。大当り当選が発生すれば、大入賞口360が開放されるラウンドが複数回繰り返される有利な大当り状態に移行できる。
【0020】
遊技機3の前面には、遊技席に着席した遊技者に対面するように盤面330が設けられている。この盤面330の下方には、払出式の遊技機における上皿に代えて、棚状に遊技者側に張り出すカウンター部35が設けられている。さらにカウンター部35の下方、遊技者側から向かって右側には、盤面330に打ち込む玉の発射強度を調節するために遊技者が操作する操作ハンドル335が立設されている。
【0021】
カウンター部35では、玉を貯留するための窪みが設けられた払出式の遊技機の上皿とは異なり、上面が略面一に形成されている。カウンター部35の上面の中央付近には、6個の7セグメント表示器が横一列に配置された遊技玉P表示部355が埋め込まれている。遊技玉P表示部355の左側には、計数ボタン357が配置され、同右側には、残高表示部351、貸玉ボタン352、返却ボタン353等が配置されている。
【0022】
遊技玉P表示部355は、遊技者が遊技により獲得し遊技機3が記憶している遊技価値である遊技玉ポイントの数量の表示部である。遊技玉ポイントの1ポイントは、玉1個分に対応している。遊技玉P表示部355に表示される遊技玉ポイントは、払出式の遊技機における遊技者の手元にある計数前の遊技玉の数量に相当している。
【0023】
計数ボタン357は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントを計数して持玉(所有価値)に移行する計数処理を実行させる計数操作の操作ボタンである。この計数ボタン357は、遊技機3により記憶される遊技玉ポイントの全部または一部を遊技装置2、或いは遊技カード53(所有価値記憶手段)に対応付けて記憶される持玉(所有価値)に移行するために遊技者が行う所定の計数操作を受け付ける計数操作受付手段としての機能を有している。
【0024】
残高表示部351は、遊技装置2が受け付けた貨幣(貨幣価値)のうちの残りの金額である残高(プリペイド残高)を表示する表示部である。
貸玉ボタン352は、残高を対価として遊技玉ポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
【0025】
返却ボタン353は、遊技装置2に残高や持玉が残存する状態で遊技を終了等するときに遊技カード53を返却あるいは発行等させるための所定の発行操作のための操作ボタンである。遊技装置2に持玉や残高がある状態で遊技を終了する場合、この返却ボタン353の押下げ操作により、持玉や残高が対応付けられた遊技カード53の返却あるいは発行を受けることができる。なお、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントの計数処理、遊技玉ポイントの付与処理、遊技カード53の返却処理等については、遊技装置2の動作と密接に関わっている。そこで、これらの処理の内容については、遊技装置2の構成を説明した後で説明する。
【0026】
盤面330は、玉が流下する領域である。盤面330には、液晶表示部390を含む表示装置39を中心として、第1及び第2始動口31、32、通過ゲート34、開閉式の大入賞装置36等が配置されている。盤面330の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔338が開口している。
【0027】
遊技者側から向かって表示装置39の右側には、通過ゲート34、一般入賞口343が配置され、表示装置39の右下に第2始動口32が配置されている。表示装置39の真下には、第1始動口31が配置され、第1始動口31と第2始動口32との間のスペースの下方に大入賞装置36が配置されている。さらに表示装置39の左下には、もう一つの一般入賞口345が配置されている。一般入賞口343、345への玉の入賞に応じて遊技者が獲得できるポイントは12Pである。
【0028】
通過ゲート34は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート34には、ポイントの付与が設定されていない。通過ゲート34が通過玉を検知すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。
【0029】
第1始動口31は、第1の特別図柄の当否判定(以下、第1特図判定という。)の契機となる始動口である。第2始動口32は、第2の特別図柄の当否判定(以下、第2特図判定という。)の契機となる始動口である。表示装置39の直下に配置される第1始動口31は、入賞率が変動しない、いわゆるへそタイプの始動口である。第2始動口32は、電チュータイプの始動口である。第2始動口32の開口部320には、一対の可動羽根が回動して第2始動口32への入賞確率を高める電動チューリップ321が取り付けられている。この電動チューリップ321は、上記の普図判定の当選(普図当選)に応じて動作し、第2始動口32を開放する。第1始動口31及び第2始動口32に玉が入賞したときに遊技者が獲得できるポイントは3Pとなっている。
【0030】
大入賞装置36は、大入賞口360を開口させる、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。アタッカー36は、横長矩形状の大入賞口360と、下開きで回動してこの大入賞口360を開閉する蓋部材361と、を有している。アタッカー36では、通常、蓋部材361が盤面330と略面一をなしており、大入賞口360が閉鎖されている。蓋部材361が手前に回動したときに大入賞口360が開放状態となる。なお、大入賞口360に入賞したときに遊技者が獲得できるポイントは15Pとなっている。
【0031】
アタッカー36は、第1特図判定または第2特図判定により大当りが発生すると開放状態になる。大当りを契機とする大当り状態では、30秒経過あるいは玉が10個入賞するまでアタッカー36が開放されるラウンド処理が繰り返し実行される。なお、大当り状態としては、ラウンド処理の回数が2回の2R大当り状態と、同4回の4R大当り状態と、同8回の8R大当り状態と、がある。
【0032】
表示装置39は、図2のごとく、外枠の内側に液晶表示部(演出表示部)390が配置された装置である。外枠の上部右側には、普図判定の当否を報知する普図表示部381、普図保留表示部382が配置されている。また、外枠の下部の左右には、第1特図保留表示部395Aと第2特図保留表示部395Bとが配設されている。
【0033】
普図表示部381は、内部にLEDが仕込まれた〇と×の表示部により形成されている。普図表示部381は、〇と×のいずれかの点灯表示により普図判定の当否を報知する。普図保留表示部382は、LEDが4個並べて配置された表示部である。普図保留表示部382は、抽出された普図判定の抽選用乱数のうち、当否が未報知の保留乱数(普図保留、保留上限4個)の個数を、LEDの点灯個数によって表示する。
【0034】
第1(第2)特図保留表示部395A(395B)は、普図保留表示部382と同様、LEDが4個並べて配置された表示部である。第1(第2)特図保留表示部395A(395B)は、抽出された第1(第2)特図判定の抽選用乱数のうち、当否を未報知の保留乱数(第1(第2)特図保留、保留上限4個)の個数を、LEDの点灯個数によって表示する。
【0035】
特図表示部としての液晶表示部390は、3桁の数字図柄を表示画面391に変動表示し、停止した3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。3桁のゾロ目が大当りを報知する大当り図柄となっている。後述する通り、この大当り図柄を構成する数字によって、大当りの種類、及び確変大当りであるか通常大当りであるかが異なってくる。
【0036】
特図判定の当否を報知する際、3桁の数字図柄が左→右→中の順番で停止する。この報知演出においては、左と右で同じ数字図柄が停止し、中の数字図柄が変動表示中というリーチ演出が発生する場合がある。このリーチ演出には、シーンの切替が発生してキャラクタなどが登場するスーパーリーチ演出等が含まれている。
【0037】
次に、遊技機3の電気的な構成について、図3を用いて説明する。遊技機3は、主回路40を中心として構成されている。主回路40に対しては、上記の構成のほか、遊技者が獲得した遊技価値である遊技玉ポイントを記憶する記憶部43、玉の打込を制御する発射制御回路44、設定値(後述)を設定するための確率設定部47、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ411~415、第2始動口32を開放する電チューソレノイド422、アタッカー36を開放させる大入賞口ソレノイド424、遊技演出を制御する演出制御回路45、I/F部48等が電気的に接続されている。さらに、主回路40には、電力を供給するための電源回路部428が接続されている。
【0038】
記憶部43は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算される遊技玉ポイント(遊技価値)を記憶する記憶手段である。遊技機3では、遊技価値である遊技玉ポイントを1P消費して、遊技媒体である玉を発射できる。
発射制御回路44は、操作ハンドル335の操作量に応じて発射装置441を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0039】
確率設定部47は、大当りの当選確率等の設定値を複数段階で設定するための設定手段である。この確率設定部47は、遊技機3の前面をなす開閉扉を開けたときにアクセス可能な遊技機3の内部に設けられている。さらに確率設定部47には、操作のための専用の設定キー470が用意されている。設定値の変更作業等は、設定キー470を所持する一部の従業員が、閉店後などの営業時間外に実施する運用が一般的となっている。
【0040】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、図3のごとく、第1始動口31(図2)への入賞玉を検出する第1特図入賞センサ411、第2始動口32への入賞玉を検出する第2特図入賞センサ412、通過ゲート34の通過玉を検出する普図始動センサ413、大入賞口360への入賞玉を検出する大入賞センサ414、及び一般入賞口343、345への入賞玉を検出する一般入賞センサ415等がある。
【0041】
演出制御回路45は、遊技演出動作を制御するための副制御部としての機能を有し、CPU(Central Processing Unit)451、ROM(Read Only Memory)452、RAM(Random Access Memory)453等を含んで構成されている。ROM452は、CPU451に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、特図判定の当否を報知するための報知演出の種類を決定するための演出抽選テーブルを記憶している。演出制御回路45には、アンプ/スピーカ331や装飾ランプ部336や液晶表示部390等が電気的に接続されている。
【0042】
演出抽選テーブルは、上記のスーパーリーチ演出を含む各種の演出の当選乱数が規定された抽選テーブルである。演出抽選テーブルは、設定値1~6の6段階の設定値毎に用意されている。例えば設定値5や6などの高設定ほど、スーパーリーチ演出の当選乱数の規定数を多くすることも良い。この場合には、スーパーリーチ演出の出現頻度に応じて設定値を推定する楽しみを遊技者側に提供できる。
I/F部48は、遊技装置2などの外部機器とのインターフェースである。
【0043】
主回路40は、図3に示すごとく、CPU401、記憶素子であるROM402・RAM403、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部407、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部406等を備えている。
【0044】
ROM402は、CPU401に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、第1特図判定及び第2特図判定に共用される抽選テーブル(以下、特図判定用の抽選テーブルという。)と、普図判定用の抽選テーブルと、を記憶している。
【0045】
普図判定用の抽選テーブルは、普図判定の当選乱数が規定された抽選テーブルである。普図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態下の普図判定に適用する抽選テーブルと、時短状態(確変状態を含む)下の普図判定に適用する抽選テーブルと、の2種類が用意されている。普図判定用の抽選テーブルは、6段階の設定値について1種類の抽選テーブルが共用される。そのため、普図当選の確率については、設定値による違いが生じない。
【0046】
特図判定用の抽選テーブルは、特図判定の当選乱数が規定された抽選テーブルである。特図判定用の抽選テーブルとしては、設定値1~6の6段階の設定値毎に、通常状態(時短状態を含む)下の特図判定用の抽選テーブルと、確変状態下の特図判定用の抽選テーブルと、が用意されている。つまり、特図判定用の抽選テーブルとしては、6段階の設定値、及び確変状態であるか通常状態であるか、の組合せによる12種類が用意されている。第1特図判定あるいは第2特図判定時には、この12種類の抽選テーブルのうちのいずれかが、設定値及び遊技状態の種類に応じて択一的に選択される。
【0047】
特図判定の当選乱数の個数は設定値に応じて相違しており、設定値5や6などの高設定ほど大当りの当選乱数が多く設定されている。これにより、本例の遊技機3では、設定値(モード)毎、遊技状態毎の大当り確率が表1のようになっている。
【表1】
【0048】
表1に例示するように、いずれかの大当りが当選する確率は、高設定ほど高い確率になっており、確変状態であればさらに有利になっている。なお、設定値、遊技状態に関わらず、大当りに当選した場合の8R大当り、4R大当り、2R大当りの振分率は、それぞれ、40%、50%、10%となっている。また、大当りの当選確率が高くなる確変状態の振分率(確変率)は、大当りの種類によらず66%となっている。なお、これに代えて、大当りの当選確率を設定値によらず一定とする一方、確変率を設定値に応じて異ならせても良い。通常状態の大当り確率、確変状態の大当り確率、確変率、及び後述するラウンド振分率等の少なくともいずれか1つが設定値に応じて異なり、設定値に応じて遊技者側の有利度合いが異なっていれば良い。
【0049】
RAM403は、図3のごとく、CPU401のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM403の記憶領域には、第1始動口31への入賞に対応する第1特図保留や、第2始動口32への入賞に対応する第2特図保留や、普図判定用の普図保留等の一時的な記憶エリアが設けられている。
【0050】
主回路40は、ROM402から読み出したプログラムをCPU401に実行させることにより、以下の(1)~(6)の各手段としての機能を実現する。また、演出制御回路45は、同様に、以下の(7)の手段としての機能を実現する。
【0051】
(1)抽選手段:大当り抽選である特図判定を実行する手段。
(2)保留手段:特図判定用及び普図判定用の抽選用乱数を、特図保留あるいは普図保留として記憶し保留する手段。
(3)読出手段:特図判定用の抽選用乱数である特図保留を読み出す手段。読出手段は、第1特図保留よりも第2特図保留を優先して実行する。
(4)大当り状態発生手段:特図判定の当否に応じて、大当り状態を発生させる手段。
(5)動作切替手段:設定値に対応する遊技動作への切替を実行する手段。動作切替手段は、特図判定用の抽選テーブルの切替等により、遊技機3による遊技動作を設定値に応じて切り替える。
(6)通信手段:遊技装置2との間でデータ通信を実行する手段。なお、データ通信により遊技装置2との間でやり取りされるデータや信号等については、遊技装置2の構成を説明した後で説明する。
(7)演出抽選手段:特図判定結果の報知演出の種類を決定するための演出抽選を実行する手段。
【0052】
次に、以上のように構成された本例の遊技機3の基本動作について概説する。主回路40は、操作ハンドル335に対する操作を検出すると、記憶部43が記憶する遊技玉ポイントの残存数量を参照する。遊技玉ポイントの残存数量があれば、1P分の減算を引き換えに玉を1個発射するよう、発射制御回路44を介して発射装置441を制御する。このように発射された玉は、通過ゲート34などが配置された盤面330を流下する。入賞しなかった玉は、盤面330の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0053】
主回路40は、通過ゲート34を通過する玉を検出したとき、乱数発生部407が発生する乱数の中から普図判定の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行する。主回路40は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブルと照合することにより、普図判定の結果を決定する。このとき、主回路40は遊技状態を参照し、普図表示部381を変動表示させる時間である普図の変動時間を併せて決定する。普図の変動時間としては、遊技状態が通常状態であれば30秒に決定され、時短状態であれば3秒に決定される。普図判定の結果が当選のときには、普図表示部381の○×が交互に点灯する変動表示の後、○が点灯状態となる。ハズレのときには、変動表示の後、×が点灯状態となる。主回路40は、普図判定に当選したとき、第2始動口32の電動チューリップ321を開放させる。なお、電動チューリップ321の開放時間は、通常状態において0.2秒×1回、時短状態(確変状態を含む)において5秒×1回となっている。
【0054】
主回路40は、第1(第2)始動口31(32)への入賞玉を検出すると第1(第2)特図判定の抽選用乱数の抽出を実行し、第1(第2)特図保留として記憶する。ただし、第1(第2)特図保留の数が上限個数の4個である場合には、抽選用乱数は第1(第2)特図保留として記憶されることなくそのまま消去される。
【0055】
大当り状態が発生中ではないとき、主回路40は、図柄変動の停止中に第1特図保留あるいは第2特図保留を記憶されたタイミングが古いものから順番に1つずつ読み出す。そして、読み出した特図保留の抽選用乱数を特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否(大当りかハズレか)、及び特図の変動時間を決定する。なお、特図保留の読出に当たっては、第2特図保留が優先的に読み出される。第1特図保留については、第2特図保留が無い場合に読み出される。
【0056】
主回路40は、特図判定の抽選結果(大当り抽選の当否、及び特図の変動時間)を演出制御回路45に入力する。特図判定の抽選結果を入力された演出制御回路45は、上記の演出抽選テーブルによる演出抽選を実行する。この演出抽選では、スーパーリーチ演出などの特別演出を含め、特図判定の抽選結果を報知するための演出の方法や内容が決定される。
【0057】
演出制御回路45は、演出抽選の抽選結果に応じて液晶表示部390(表示装置39)による報知演出を開始させる。演出制御回路45は、特図当選である大当りの場合、中央の図柄を残して両側に同じ数字の図柄を停止表示するリーチ演出を含む図柄の変動表示の後、同じ数字の図柄の組合せである大当り図柄を液晶表示部390の表示画面391に停止表示させる。
【0058】
15R大当りか8R大当りか2R大当りかの大当りの種類、及び確変大当りか通常大当りかは、停止表示された数字に応じて異なる。例えば、7の数字図柄による大当り図柄は、確変15R大当りであり、3の数字図柄による大当り図柄は、確変8R大当りである。一方、5の数字図柄による大当り図柄は、通常15R大当りである、このように大当り図柄を構成する数字の種類に応じて大当りの種類や、確変大当りか通常大当りかが報知される。なお、大当り状態の種類、すなわち大当りが発生したときの振分は、大当り抽選と同時に決定される。その振分率は、第1始動口31への始動入賞に応じた大当り抽選か、第2始動口32への始動入賞に応じた大当り抽選か、に応じて異なっている。第1始動入賞口31への始動入賞を契機とした大当り時の振分率は、2R大当りが10%、8R大当りが50%、15R大当りが40%となっている。第2始動入賞口32への始動入賞を契機とした大当り時の振分率は、8R大当りが10%、15R大当りが90%となっている。
【0059】
主回路40は、液晶表示部390による大当り図柄の停止表示による大当り(特図当選)の報知の後、大当り状態を発生させる。大当り状態では、30秒経過するか10個入賞するまで大入賞装置36を開放するラウンド処理が繰返し実行される。なお、1回のラウンド処理で遊技者が獲得できる平均的なポイントは150Pとなっている。これは、払出式の遊技機の出玉150玉に相当している。
【0060】
主回路40は、通常大当り状態の終了後には、第2始動口32の入賞確率が高くなる電動サポート有りの時短状態を、例えば図柄変動100回転に亘って発生させる。また、確変大当り状態の終了後には確変状態を発生させる。この確変状態は、時短状態を伴って発生し、新たな大当り状態の発生に応じて終了する。したがって、確変大当りが発生すれば、大当り状態が連続的に発生する連荘が確定する。
【0061】
なお、この遊技機3では、大入賞口360や第2始動口32が盤面330の右側領域に存在することから時短中や大当り中には盤面330の右側領域を狙って玉を打出す、所謂右打ちが行われる。以上は、特定の機種を例にした説明である。当然ながら、例示した値は、機種に応じて異なってくる。他の機種であれば、例えば、ラウンドの振分が異なる等、遊技性も異なっている。
【0062】
(遊技装置)
遊技装置2は、遊技機3単位で対応して設けられている。遊技装置2は、遊技に必要な玉やポイントを付与する付与処理や、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である所有価値(遊技玉ポイント)を計数する計数処理等を実行する装置である。遊技場では、遊技装置2を利用して遊技に必要な玉やポイントの付与を受けると、対応する遊技機3での遊技が可能となる。
【0063】
図2のごとく、遊技装置2の前面パネル25には、状態表示部21、貨幣投入口22、タッチパネル23、遊技ボタン24、カード挿入口26等が設けられている。
状態表示部21は、装置エラーや一般カード532(図4)のストック切れ等の作動状態を表示する表示部である。
貨幣投入口22は、ポイントの対価となる貨幣を投入する挿入口である。
タッチパネル23は、遊技者が指先等で表示画面に触れて操作するタッチ操作が可能な表示装置である。タッチパネル23は、持玉や残高(プリペイド残高)等を表示するほか、遊技者の設定操作を受け付ける各種の画面を表示する。
【0064】
遊技ボタン24は、遊技者が獲得した遊技価値である持玉(所有価値)を元にして、遊技に必要なポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
カード挿入口26は、所有価値である持玉や残高等が対応付けられた遊技カード53の挿入あるいは発行のための挿入口である。
【0065】
カード挿入口26には、会員カード531や一般カード532等の遊技カード53(図4参照。)を挿入可能である。会員カード531は、会員登録した遊技者に発行される遊技カードである。一般カード532は、遊技終了時に残高あるいは持玉が残っている場合に発行される遊技カードである。
【0066】
遊技カード53は、遊技により遊技者が獲得した遊技価値である持玉(所有価値)を対応付け可能な記憶媒体である。会員カード531であるか一般カード532であるかによらず、遊技カード53には、識別情報であるカードIDのほか、当日の遊技により獲得された遊技価値である持玉や、当日入金した貨幣価値のうちの残高等のデータが対応付けられる。
【0067】
なお、会員カード531は、前日以前の遊技により獲得した所有価値(持玉等)を貯玉等として遊技場側に預け入れて、後日の引出しを可能にする会員向けの貯玉サービスに対応している。この貯玉等については、改ざん等の不正を未然に回避するため、カードIDを対応付けて専ら管理装置10で記憶、管理され、遊技カード53には記録されないことで対応付けられる。
【0068】
遊技カード53に対応付けられた持玉、残高などの記録情報については、遊技カード53の不正利用の防止等を目的として管理装置10側でも管理されている。遊技装置2やPOS端末55や残高精算機57など、遊技カード53を取り扱う場内装置は、遊技カード53を受け付けるとカードIDを読み出して管理装置10に照会を要求し、記録情報の正否を確認する。また、これらの場内装置は、遊技カード53の記録情報を書き換えて更新する際、新たな記録情報を管理装置10に送信する。管理装置10は、遊技カード53の識別情報であるカードID単位で、遊技カード53に対応付けられた持玉や残高等を記憶し管理している。
【0069】
遊技装置2は、図4のごとく、CPU201、ROM202、RAM203等を備える制御部20を中心として電気的に構成されている。制御部20に対しては、上記の構成のほか、貨幣の受付処理を実行する貨幣処理部221、記憶媒体である遊技カード53に対応付けられた記録情報を読み書きするカードリーダライタ(カードRW)280、一般カード532をストックするカードストック部283、対応する遊技機3及び中継装置54との間の通信ポートをなすI/F部29、リモコン受光部290などが電気的に接続されている。
【0070】
貨幣処理部221は、遊技を行うために必要な遊技価値の対価となる貨幣を受け付ける貨幣受付手段である。貨幣処理部221は、受け付けた貨幣の種類を検出し、その貨幣価値を特定する。
【0071】
遊技装置2の制御部20は、ROM202から読み出したプログラムをCPU201に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技情報取得手段:遊技機3で遊技が行われた遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報を取得する手段。
(2)遊技情報送信手段:遊技情報取得手段が取得した遊技情報を送信する手段。
【0072】
ここで、遊技機3及び遊技装置2の基本動作を説明しておく。遊技場では、遊技装置2に貨幣を投入等することで、対応する遊技機3での遊技を開始できる。遊技装置2が貨幣を受付する(貨幣受付処理)と、遊技機3と遊技装置2との双方において、入金額が残高に加算されて表示される。残高がある状態で遊技機3の貸玉ボタン352を押下(貸出操作、付与操作)すると貸出1単位(例えば125玉)分が貸出玉(売上玉)としてポイント(対価付与価値)に変換され(貸出処理、対価付与処理)、遊技レート(以下、レート)に応じた対価分が残高から引落とされる。なお、遊技装置2は、複数回の対価付与処理の対応分の貨幣を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0073】
遊技機3は、上記の通り、所謂封入式の遊技機であり、盤面330に打ち出された玉が循環し、入賞した場合であっても遊技機の外に玉が払出されない。この遊技機3では、遊技玉ポイントが管理され、盤面330への玉の打出し(使用)に応じてポイントが減算され、入賞に応じて付与されたポイントが加算される(入賞付与処理)。
【0074】
一方、遊技装置2は持玉を管理しており、持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技ボタン24の押下に応じて貸出1単位分の持玉が変換玉として遊技玉ポイントに変換される変換処理(対価付与処理)が行われる。この場合、変換率を別途設けても良いが、本例では1:1の等価変換としている。なお、この等価変換については、下記の計数処理についても同様である。
【0075】
遊技に応じて遊技機3の遊技玉ポイントが増加した場合、遊技機3の計数ボタン357の押下に応じて遊技玉ポイントを計数玉とし、持玉に変換できる(計数処理)。この場合、1回押下(計数ボタン357)に応じて1玉が変換対象となるが、計数ボタン357の押下状態を継続させると連続的、且つ加速的に複数玉を計数玉に変換できる。このようにして遊技玉ポイントと持玉とが更新され、遊技装置2では残高や持玉が残存する状態で遊技機3の返却ボタン353を押下する等の発行操作が行われると、遊技装置2にストックされていた持玉券としての一般カード532に残高や持玉を対応付けて発行する(発行処理)。なお、遊技装置2は、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行にも対応している。
【0076】
発行処理については、遊技機3における遊技玉ポイントに応じた発行条件が設けられ、本例では遊技玉ポイントが所定数(ゼロ)以下となることで発行条件が成立し遊技カード53の発行処理が可能となる。よって、上記した遊技機3との通信により、遊技への使用や計数処理等により遊技玉ポイントがゼロになるとその旨が遊技装置2に通知され、発行条件が成立すると発行処理が許可される。上記した通り遊技機3から遊技玉ポイントを特定可能なポイント信号を受信することで遊技玉ポイントの数量を更新して発行条件が成立した旨を特定すれば良いが、遊技玉ポイントがゼロになった旨を示す信号を別途受信するような他の特定方法を採用しても良い。
【0077】
発行された一般カード(持玉券)532により特定可能な持玉は、POS端末55にて景品との交換が許容され、残高は残高精算機57にて貨幣に精算可能である。なお、遊技装置2が受付ける貨幣を含め、貨幣価値としては現金が例示できるが、例えば電子マネーやクレジット決済といったように現金以外の貨幣価値を受付対象や精算対象としても良い。また、持玉や残高を一般カード532に対応付けて発行処理を行うことを例示したが、例えば会員カード531や遊技者の携帯電話等の他の記憶媒体に対応付けた発行処理を行っても勿論よい。
【0078】
遊技装置2は、中継装置54とのシリアル通信により管理装置10にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、変換玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とする。これに代えて、これら各種情報をパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。なお、遊技機3との通信は中継装置54を介さず、遊技機3と遊技装置2とで直接通信しても良いし、中継装置54を介して通信しても良い。
【0079】
遊技機3⇔遊技装置2でやり取りされる信号あるいは情報としては以下のものがある。
(1)状態確認要求信号:状態確認応答(台データ)の要求信号。遊技装置2が200m秒毎に遊技機3に送信する。
(2)台データ:状態確認要求信号に応じて遊技機3が遊技装置2に返信する状態確認応答。なお、台データの内訳は後述の通りである。
(3)カード挿入通知:遊技カード53を受け付けた旨の遊技装置2による通知。
(4)カード挿入応答:カード挿入通知に対する遊技機3の応答。
(5)返却要求信号:遊技カード53の返却を求めて遊技機3が送信する信号。返却ボタン353の操作に応じて遊技機3が送信する。
(6)計数要求信号:遊技機3が備える計数ボタン357が操作されたときに遊技機3が送信する信号。計数要求信号は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントのうちの1P分の計数を要求する信号である。
【0080】
台データには、以下のデータや情報等が含まれている。なお、以下の説明では、遊技機3が遊技装置2に送信する台データを遊技情報という。
(1)アウト(回数):前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値(アウト)を1玉単位で示す。
(2)セーフ(回数):前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値(セーフ)を1玉単位で示す。
(3)S入賞(回数):前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で示す。
(4)スタート(回数):前回データ送信時からのS入賞により作動(変動)する役物(液晶表示部390)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示す。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数しても良い。
(5)大当り(回数):前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で示す。発生した時点で計数されるが、終了した時点で計数しても良い。
(6)大当り(状態):データ送信時に大当り状態の発生中であればON、大当り状態の発生中でなければOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を大当り中として特定できる。
(7)甘中(状態):データ送信時に、特別状態中(甘中)あるいは大当り状態の発生中であればON、それ以外であればOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を甘中あるいは大当り状態の発生中として特定できる。例えば甘中(状態)がONの場合、大当り(状態)がONであれば大当り状態の発生中、OFFなら甘中と特定できる。また、甘中は、時短状態や確変状態といった特別状態が対応する。なお、大当り状態の発生中では、甘中(状態)が必ずしもONにならなくとも良い。なお、大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもOFFであれば通常状態と特定できる。
【0081】
(管理装置)
管理装置10は、図5のごとく、液晶ディスプレイ及び図示しないプリンタ等の出力部11と、各種の演算処理を実行する装置本体100と、キーボードやマウス等を含む入力部12と、遊技装置2などの外部機器との通信を実現する通信I/F部13と、を備えている。装置本体100は、演算処理を実行するCPU101のほか、ROM102・RAM103などの記憶素子や、I/Oを構成する通信制御素子等が実装された電子基板のほか、ハードディスクドライブ等の記憶装置15を備えている。
【0082】
管理装置10は、記憶装置15から読み出した実行プログラムをCPU101に実行等させることで、遊技機3単位で遊技データを記憶し、管理する機能を実現する。管理装置10は、場内ネットワーク500経由で遊技装置2が200m秒毎に送信してくるデータ通知(後述の図10(b)中の遊技台データ通知)を受信する。管理装置10は、遊技機3単位の遊技情報(台データ)を含むデータ通知に基づいて遊技情報を集計等することで遊技機3単位の遊技データを集計等する。オンライン状態において遊技装置2(遊技情報送信手段)により送信される通常の遊技情報については、200m秒という所定期間が対象期間となっている。
【0083】
管理装置10は、ROM102から読み出したプログラムをCPU101に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)受信手段:データ通信用の回線である場内ネットワーク500を介して遊技情報送信手段としての遊技装置2と接続され、場内ネットワーク500を経由して遊技装置2から遊技情報を受信する手段。
(2)遊技データ生成手段:受信手段によって受信された遊技情報に演算処理を施して遊技機3の遊技に関する遊技データを生成する手段。
(3)遊技データ復旧手段:回線の一例である場内ネットワーク500を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態から、場内ネットワーク500を経由する遊技情報の送受信が可能なオンライン状態に復帰した際、オフライン状態下の遊技データを復旧する手段。
【0084】
(遊技場用システムの動作内容)
次に、遊技機単位で遊技データを管理する本例の遊技場用システム1の動作内容について説明する。この遊技場用システム1は、管理装置10との通信がオフラインとなった場合に、そのオフライン中のデータを遊技装置2にて記憶し、オフライン復旧時に、遊技装置2が記憶したデータによりデータ復旧する機能を備えている。この遊技場用システム1では、データ送信対象となる遊技情報を区分する期間(対象期間)が、オンライン時とオフライン復旧時とで異なっている。この遊技場用システム1では、遊技機3における遊技状況を示す遊技情報が、遊技機3→遊技装置2→中継装置54→管理装置10の経路にて管理装置10に送られ、図6a~6cのように管理される。
【0085】
図6aは、遊技機3が出力した遊技情報(台データ)を適宜、状態別に区分して遊技機3単位で集計した加工前の素データ一覧を示している。なお、「平均」は機種Aを対象とした遊技機3全体の平均データを示す。同図における各データ項目は以下の通りである。
(1)モード:遊技機3に設定された遊技機設定値。モードは、別途の操作入力等により特定される。
(2)アウト:遊技機3にて消費された遊技価値。なお、以下の各データを含め、遊技機3→遊技装置2に送信される遊技情報(台データ)により特定される。
(3)セーフ:遊技機3への入賞に応じて付与された遊技価値。
(4)スタート、S入賞:スタートは遊技機3における役物の作動回数。S入賞は始動入賞回数。なお、上記の通り、以下も含め「甘中」とは時短状態などの特別状態期間に対応した遊技情報を示す。また「通常」は、通常時に対応した遊技情報を示す。
(5)売上玉:対応する遊技装置2にて貨幣価値を対価として付与された遊技価値(貸出玉数、対価付与価値)。
(6)大当り数:大当り数。「通常」は通常時に発生した大当り数で所謂「初当り」数を示す。「特定」は特定の条件を満たす大当りである特定大当りの発生回数を示す。特定の条件は、例えば、T1Y(後述)が基準範囲(例えば1000~2000)内となったこと等の条件である。
(7)Tアウト/Tセーフ:T中(大当り中、及び甘中)のアウト/セーフ。
(8)T1アウト/T1セーフ:T1中(大当り中)のアウト/セーフ。
(9)特T1アウト/特T1セーフ:特定大当りのみを対象としたT1中のアウト/セーフ。
【0086】
なお、本例では説明の都合上、所謂貯玉に基づく再プレイシステムのない遊技場を前提としているが、再プレイシステムのある遊技場であれば、売上玉に再プレイ玉を含めて演算することが望ましい。なお、遊技者が当日の営業日に獲得した獲得玉を払戻す再プレイ玉については、売上玉に含める必要はない。
【0087】
図6bは、図6aの素データ等に演算処理を施して取得された遊技機3単位(機種A)の遊技データである遊技情報集計を示している。なお、「平均」は機種Aを対象とした遊技機3の平均を示す。同図における各データ項目は以下の通りである。
(1)ベース:状態(通常時、甘中)別の出率を示す。「通常」は、Bセーフ÷BOにて、「甘中」は、BセーフA÷BOAにて演算される。以下も含め、通常中のアウトを示すBOは、アウト-Tアウト、通常中のセーフを示すBセーフは、セーフ-Tセーフ、甘中のアウトを示すBOAは、Tアウト-T1アウト、甘中のセーフを示すBセーフAは、Tセーフ-T1セーフにて特定されるが、BO、Bセーフ、BOA、BセーフAを素データとして求めても良い。なお、以下では通常中のベースを単にベース、甘中のベースをBAともいう。
(2)平均S、平均S入賞:平均Sは、状態別のアウトに対する図柄変動数の割合を示し、同様に平均S入賞は、始動入賞数の割合を示す。平均Sは、通常(甘中)スタート÷BO(BOA)にて、平均S入賞は、通常(甘中)S入賞÷BO(BOA)にて演算される。なお、以下では通常中の平均SをS、平均S入賞をS1、甘中の平均SをSA、平均S入賞をS1Aともいう。
(3)有効率:始動入賞に対する図柄変動数の割合を示し、通常スタート÷通常S入賞にて演算される。なお、通常だけでなく甘中の有効率を管理しても良い。
(4)BY、BYmin:BYは、図柄変動分を除いたベースを示し、BYminは、始動入賞分を除いたベースを示す。BYは、通常(甘中)ベース-通常(甘中)平均S×始動賞球にて、BYminは、通常(甘中)ベース-通常(甘中)平均S入賞×始動賞球にて演算される。なお、始動賞球は始動入賞1回当りのセーフを示し、本例では上記の通り3Pである。
(5)T1Y、T1O:T1Yは、平均大当り中出玉数を示し、(T1セーフ-T1アウト)÷合計大当り数にて演算される。T1Oは、平均大当り中アウトを示し、T1アウト÷合計大当り数にて演算される。なお、合計大当り数は、通常大当り数+甘中大当り数にて演算される。
(6)特T1Y、特T1O:特定大当りを対象としたT1Y、T1Oを示す。特T1Yは、(特T1セーフ-特T1アウト)÷特定大当り数、特T1Oは、特T1アウト÷特定大当り数にて演算される。
(7)出率、Bサ、客滞率:出率は、アウトに対するセーフの割合(払出率、付与率)を示し、セーフ÷アウトにて演算される。Bサは、通常時の差玉数を示し、BO-Bセーフにて演算される。客滞率は、売上玉に対するBサの割合を示し、Bサ÷売上玉にて演算される。
(8)粗利:遊技に応じた遊技場側の営業利益を示し、売上額-獲得玉×貸単価×原価率にて演算される。なお、獲得玉(獲得価値)は、売上玉+セーフ-アウト、売上額は、売上玉×貸単価にて演算される。ここで、貸単価は4円、原価率は75%である。
(9)玉単価、玉粗利:玉単価は、アウト1当りの売上額を示し、売上額÷アウトにて演算される。玉粗利は、アウト1当りの粗利を示し、粗利÷アウトにて演算される。
(10)営業割数:実際の売上額(売上玉)に対する遊技場側の損益額(損失玉)の割合を示し、獲得玉÷売上玉にて演算される。
【0088】
図6cは、特定の遊技機3の遊技履歴を示している。同図は、1番台の遊技履歴の例示であり、遊技状態の変化という履歴作成条件の成立毎に遊技情報を区分した遊技履歴(レコード)を示している。大当りが発生した場合に新たなレコードを作成しているが、同一レコードにて通常あるいは甘中と大当りとで遊技情報を区別し、大当り発生時に新たなレコードを作成しない所謂大当り履歴としても勿論良い。なお、時刻は、レコードの作成時刻や大当り発生時刻のようなレコードに対応する時刻が対応付けられ、レコード毎に対応する期間において特定された遊技情報が対応付けられる。
【0089】
そして遊技機3は、封入式の遊技機であって、200m秒という所定期間単位で遊技情報を集計し、遊技情報取得手段をなす遊技装置2に対して所定期間単位で集計した遊技情報(台データ)を送信し出力する。この遊技情報は、前回送信時(200m秒前)からの累計データであり、遊技装置2は、遊技機3から遊技情報を受信すると、その遊技情報に対して集計処理等を施してデータ化して中継装置54へ送信する。
【0090】
図7a、bのように遊技機3から送信される遊技情報には連番が採番されている。図7aは、遊技進行中のイベントの発生状況を表すタイムチャートを示している。図7bは、このタイムチャートの進行中に遊技機3が200m秒毎に遊技装置2に向けて出力する通信データを表している。
【0091】
図7aのタイムチャートは、遊技機3⇔遊技装置2の通信に関連しており、大当りやアウトなどの各項目に対応した折れ線はその発生状況を示し、縦線の最上部に付された丸囲み数字は遊技情報(台データ)の送信タイミングを示している。つまり、丸囲み数字2の送信タイミングであれば、丸囲み数字1~丸囲み数字2までの期間においてアウト、セーフ、スタートが其々1ずつ発生しているので、図7bの通り、アウト、セーフ、スタートの発生回数が1である旨の遊技情報(台データ)を送信する。また、状態については、送信タイミングにおいて発生中であればON、非発生中であればOFFが対応付けられる。また、図7bでは、大当り+甘中の状態を甘中と省略して示している。なお、丸囲み数字が、遊技機3にて採番される連番に対応し、この連番を示す連番情報が遊技情報(台データ)に対応付けられる。
【0092】
なお、遊技機3⇔遊技装置2にて断線が生じた場合には、その連番が欠落するため、遊技装置2は、その欠落した連番分の遊技情報を遊技機3に問合せることで、データを復旧する。つまり、遊技機3は断線時でも連番単位で遊技情報を記憶している。遊技機3は、遊技情報を送信したとき、その情報を一定期間保持した後、消去する。この一定期間は、遊技装置2からデータを受信した旨の応答があるまでの期間やデータ送信用の記憶領域が一杯となるまでの期間等が想定される。また、遊技者に遊技情報を提供するために必要となる累計データ等のデータを別途、遊技機3側で記憶することも良い。
【0093】
なお、図7a、bでは省略しているが、通信データに含まれる他の遊技情報としては、モードや始動入賞等の遊技情報がある。また、遊技装置2⇔管理装置10では、このような通信データに加えて、遊技装置2にて特定可能な売上玉のような他の遊技情報も併せて通信対象となる。
【0094】
遊技装置2は、管理装置10(中継装置54を経由)との通信が正常の場合には、遊技機3からの受信タイミングと同様のタイミングで、管理装置10に対してデータ送信する(図10を参照して後述する)。遊技装置2は、データ送信した場合、その情報を一定期間保持した後、消去する。この一定期間は、管理装置10からデータを受信した旨の応答があるまでの期間やデータ送信用の記憶領域が一杯となるまでの期間等が想定される。また、遊技者に遊技情報を提供するために必要となる累計データ等のデータを別途、遊技装置2側で記憶することも良い。
【0095】
遊技装置2⇔管理装置10でも上記と同様に連番単位で遊技情報を送信しているが、断線(オフライン状態)した場合の遊技装置2の振る舞いが、常に連番単位で遊技情報を記憶する遊技機3とは相違している。オフライン状態が発生した場合、遊技装置2は、連番単位で遊技情報を記憶しても良いが、遊技装置2は、遊技状態の変化単位で遊技情報を記憶して復旧対象とする第1処理(図8a)と、断線時における累計の遊技情報を記憶して復旧対象とする第2処理(図8b)と、を実行可能である。
【0096】
図8aは、遊技装置2⇔管理装置10でオフライン状態が発生した時、遊技装置2で記憶される第1処理による通信データを例示している。図8aは、オフライン状態が図7a、b中の丸囲み数字2~丸囲み数字14まで継続した場合の例であり、図8a中の丸囲み数字は図7と共通している。
【0097】
第1処理では、図7a、bにて示した丸囲み数字2~丸囲み数字14のうち、大当りや甘中の開始や終了などの状態変化が発生した時点および変化前のデータが記憶される(図8a)。そして、断線復旧時の通信データとして管理装置10へ通知し、復旧に利用される。このように第1処理では、状態に変化がない期間のデータをまとめて一つの通信データとするため、データ量を大幅に削減できる。図8aの第1処理の通信データによれば、図6a、bに示す状態により区分した遊技情報だけでなく、図6cに示す遊技履歴も特定可能である。
【0098】
例えば丸囲み数字4など、大当り発生時などの状態が変化したときのデータを一つの通信データとし、大当り中の通信データ(丸囲み数字5、6)と区別する理由は、できる限りオンライン時の処理と同等の判定処理が実施できるようにするため、および状態毎のデータを正確に取得できるようにするためである。これに代えて、図6cの区分のように変化前の遊技状態が終了することにより遊技情報を区分するだけ(例えば上記の場合であれば丸囲み数字4と丸囲み数字5、6とを統合する等)であっても、図6cの遊技履歴を含めて復旧可能となる。
【0099】
なお、通信量の削減の為、オンライン時でも第1処理を行っても良いが、それでは管理装置10における更新頻度が低減してしまうので、オンライン時については、図7bに示すように所定期間単位で送信することが望ましい。
【0100】
図8bは、遊技装置2⇔管理装置10でオフライン状態が発生した時、遊技装置2で記憶される第2処理による通信データを例示している。図8bは、オフライン状態が図7a、b中の丸囲み数字2~丸囲み数字14まで継続した場合の例であり、図8b中の丸囲み数字1、15は図7と共通している。
【0101】
オフライン状態の継続期間である丸囲み数字2~14までの期間では、回数データのみが累積され、断線復旧時のデータとして管理装置10へ通知されて復旧に利用される。第2処理による通信データは、累積値で示されるため、大幅にデータ量を削減できる。断線中累積データについては、変化が発生した初回日時、および最新の変化日時が記憶される。なお、データの種類単位で最新の変化日時を記憶しても良く、この場合には、さらに高精度なデータ復旧が可能になる。
【0102】
以上の第1処理による通信データ、第2処理による通信データは、いずれも、オフライン状態からオンライン状態に復帰した場合に、オフライン状態下の遊技データの復旧のために遊技装置2(遊技情報送信手段)によって送信される復旧用の遊技情報である。
【0103】
第1処理による通信データ(図8a)は、遊技機3にて発生する遊技状態が変化する時点によって区分される期間を対象期間とし、この対象期間の遊技情報を取得する第1処理によって生成される復旧用の遊技情報を示している。この第1処理は、オフライン状態の開始後に実行される。
【0104】
第2処理による通信データ(図8b)は、第1処理を実行する場合であれば複数の対象期間に区分され得る期間を一の対象期間とし、当該対象期間の遊技情報を取得する第2処理によって生成される復旧用の遊技情報を示している。第1処理による通信データ、第2処理による通信データは、いずれも、200m秒という所定期間を対象期間としオンライン状態下で200m秒毎に送信される通常の遊技情報とは、対象期間が異なっている。
【0105】
遊技装置2では、断線時(オフライン状態時)に第1処理と第2処理とのいずれの処理を実行するかが予め設定されている。遊技装置2は、遊技装置2⇔管理装置10間がオフライン状態となった場合に、予め設定された処理を実行すべく図8aあるいは図8bに例示の記憶処理を実行する。その後、オフライン状態からオンライン状態に移行した場合に、図8aあるいは図8bのように記憶した遊技情報を管理装置10へ送信する。
【0106】
第1処理と第2処理とを自動で切替えることも良い。例えば、オフライン状態の開始後、所定の切替条件が成立するまでは第1処理を実行し、所定の切替条件の成立後に第2処理を実行すると良い。所定の切替条件としては、例えば、オフライン状態の開始時に第1処理を行った後、オフライン状態が長時間に亘って継続し、第1処理による記憶量が閾値以上になったこと等の切替条件を設定できる。
【0107】
第1処理から第2処理への切替の際、それまで記憶していた第1処理に応じた記憶内容を保持しても良いし、第2処理に対応する記憶内容に変換しても良い。第1処理による記憶内容は、第2処理による記憶内容に変換可能な遊技情報であるからである。オンライン状態への復帰時に送信する通信データの連番については、図8aのように対応する連番を特定可能に送信しても良いし、図8bに示すようにオフライン状態に対応した遊技情報である旨を特定可能に送信しても良い。
同様にオフライン状態時となっても連番管理を継続し、その記憶量が閾値に達する等の切替条件が成立した場合に第1処理を行って、さらに第2処理への切替を上記の通り行うような3段階にて処理を切替えても良く、その切替時には上述した通り、次の処理に対応する記憶内容に変換しても良いし、変換しなくとも良い。このように処理することでオフライン状態がごく短い期間発生した場合にはオンライン時により近い処理を実行可能になる。
【0108】
オフライン状態からオンライン状態への復帰による断線復旧時には、断線状況を報知するが、第2処理を行った場合には図9に例示する判定の内容に応じて、復旧状況を報知する。図9は、オフライン状態下で第2処理を行った場合に想定される状況を示している。このような状況が想定されるため、断線復旧した場合には「不整合状況」に示す内容を別途報知することで、オフライン状態の発生(断線)による遊技情報の状況を管理装置10にて報知可能となる。この場合、「正常」である旨の報知は必須ではなく、報知してもしなくとも良い。
【0109】
遊技装置2⇔管理装置10にて通信される遊技情報(台データ)は、図8に例示した内容であるが、T1Yやベース等の遊技データを確保するため、オフライン状態下では、通常状態、大当り中、甘中の3区分によりデータを区分して記憶し、復旧するようにしても良い。なお、上記は単なる例示であり、例えば図6aに示す特T1アウトのような他の遊技情報を区分して復旧可能とするといったように、遊技装置2にて処理可能な範囲に応じて適宜対応すれば良い。
【0110】
第1処理による通信データに基づけば、オフライン状態が発生しても復旧時には図6a、b、cに示す遊技データを復旧可能である。一方、第2処理による通信データの場合、図9の不整合状況が「正常」を示す場合に限り、復旧可能となる。図9のようにデータを区分して記憶しておけば図6a、bを復旧可能になるだけでなく、断線時の大当り回数がゼロ回であれば「異常発生」を除いた全ての場合に図6cのような遊技履歴も復旧可能となる。なお、第1処理を行った場合についても、オフライン状態の継続期間を含む復旧状況を報知しても勿論よい。
【0111】
なお、遊技機3⇔遊技装置2では、図10aに示すように遊技情報の問い合わせ以外に遊技カード53が遊技装置2に挿入された場合など、遊技装置2から遊技機3へと情報伝達する必要がある場合にも連番が採番される。遊技機3⇔遊技装置2では、図10aの通り、所定期間(200m秒)単位にて、遊技装置2から「状態確認要求」送信→状態確認応答(遊技情報、台データ)返信といった通信が行われている。そして、この通信では、通信が実行される毎に通番が採番されている。遊技機3⇔遊技装置2では、この通番によりデータの受信漏れがないかが判定され、遊技装置2は、受信漏れがあれば遊技機3に対して問合せを実行し、これによりデータを正常に保つようにしている。つまり、遊技情報取得手段としての遊技装置2は、時間的な序列を表す識別情報である連番(通番)を付して遊技機3が出力する遊技情報を取得する。
【0112】
遊技装置2も同様に、管理装置10(中継装置54を経由)にデータ送信する場合、この通番をそのまま利用して管理装置10に対してデータ通知することが想定される。しかし、遊技機3⇔遊技装置2の通信では、図10aにおける通番:3のように遊技カード53が挿入された場合に遊技装置2がカード挿入通知を遊技機3に送信するが、このカード挿入通知に対する遊技機3のカード挿入応答でも採番される。この場合、応答の通番に対して遊技機3の遊技情報(台データ)が対応付けられず、例えば図10aにおける通番:4のように次の台データ送信時には、カード挿入応答の通番が欠番となり、その欠番の次の通番で台データが送信されてしまう虞がある。
【0113】
なお、遊技装置2が、カード挿入応答のデータを管理装置10に対して送信しないのは、遊技装置2⇔管理装置10での不必要な通信を省略するためである。カード挿入応答については、図10aにおける通番:4のデータ送信時にカード挿入があった旨がまとめてデータ通知される。つまり、通番:3が採番されることで、遊技機3⇔遊技装置2での通番に欠落が生じないものの、遊技装置2⇔管理装置10では通番:3の台データが受信できなかったのか、それとも上記の様にカード挿入通知のような送受信対象とならない通信に応じた採番により通番:3が欠落したのかの判定ができない。
【0114】
このように遊技装置2⇔管理装置10での不必要な通信を省略すると、図10aに示すように遊技装置2⇔管理装置10にて欠番が生ずる虞がある。そこで、本例の遊技装置2は、図10bのように遊技機3にて採番された連番とは異なる通番を採番して遊技情報(台データ)を送信する。つまり、本例の遊技場用システム1では、遊技情報送信手段としての遊技装置2は、遊技機3により連番(通番、識別情報)を付されて出力された遊技情報の一部を選択し、当該選択した一部の遊技情報に対して新たな通番(識別情報)を付して送信する。したがって、遊技装置2⇔管理装置10のデータ送受信に採用する通番としては、管理装置10に送信するデータについてのみの連番が採番される。それ故、この連番については、遊技機3⇔遊技装置2での通番とは異なる場合が生じている。なお、遊技機3⇔遊技装置2では通信されるが、遊技装置2⇔管理装置10での通信対象とならない状況としては、例えば遊技カード53の発行通知や貨幣の受入れ等、他の状況も十分に想定し得る。
【0115】
以上のように構成された遊技場用システム1は、遊技機3が複数設置された遊技場において遊技機単位の遊技データを管理するためのシステムである。管理対象の遊技データは、遊技機3の遊技期間の時間的な区分である対象期間の遊技情報に基づくものであり、回線(場内ネットワーク500)を介して送信されるこの遊技情報に演算処理を施して生成される。
【0116】
この遊技場用システム1は、回線を経由する遊技情報の送受信が不可能なオフライン状態に対応するための遊技データ復旧手段を含めて構成されている。この遊技データ復旧手段によれば、オフライン状態からオンライン状態に復帰した場合に回線経由で送信される復旧用の遊技情報を利用して遊技データを復旧可能である。
【0117】
遊技場用システム1では、オンライン状態において回線経由で送信される通常の遊技情報と、この復旧用の遊技情報とで、対象期間を異ならせている。これにより、オフライン状態からオンライン状態に復帰した場合に、遊技データの復旧のために送信する遊技情報のデータ量や、オフライン状態下で記憶する遊技情報のデータ量等を抑制し、遊技データの効率的な復旧が可能となっている。
【0118】
このように本例の遊技場用システム1は、データ通信用の回線がオフライン状態に陥った場合に、適切に対応し得る優れた特性のシステムである。
【0119】
復旧用の遊技情報に対応する対象期間のひとつは、遊技機3にて発生する遊技状態が変化する時点によって区分される対象期間である。遊技場用システム1では、この対象期間の遊技情報を取得する第1処理を実行可能であり、オフライン状態の開始後にこの第1処理を実行可能である。
【0120】
遊技状態が変化する時点によって区分される対象期間の遊技情報に基づけば、例えば図6a、bのような遊技データの生成も可能である。オフライン状態が発生したとき、この対象期間の遊技情報を取得する第1処理を実行すれば、その後、遊技状態の変化により区分した遊技情報によるデータ復旧が可能になる。第1処理を実行すれば、通信障害が生じた場合であっても送信対象となるデータ量を削減したまま遊技状態単位で区分して遊技情報を管理可能となる。
【0121】
遊技場用システム1は、例えば200m秒等の所定期間単位で遊技情報を集計し、遊技情報取得手段(例えば遊技装置2)に対して、この所定期間単位で集計した遊技情報を出力する遊技機3に対応するシステムである。遊技情報取得手段としての遊技装置2は、オフライン状態では遊技機3の遊技状態が変化した場合に、その変化前までの期間を対象期間として遊技情報を取得する一方、遊技状態の変化後から所定条件が成立するまでの期間を対象期間として遊技情報を取得する第1処理を行う。また、オンライン状態では、例えば200m秒等の所定期間を対象期間として、この対象期間の遊技情報を取得する。この場合には、オフライン復旧時にもオンライン状態中の処理と同等の処理とすることで、データ復旧に伴い仕様が複雑化する虞を低減可能である。
【0122】
また、遊技情報取得手段としての遊技装置2は、第1処理を実行する場合であれば複数の対象期間に区分され得る期間を一の対象期間とし、この対象期間の遊技情報を取得する第2処理を実行可能である。遊技情報取得手段としての遊技装置2は、オフライン状態の開始後、所定の切替条件が成立するまでは第1処理を実行し、所定の切替条件の成立後に第2処理を実行する場合がある。このようにオフライン状態の開始時に第1処理を行い、切替条件が成立した場合に第2処理を実行する場合であれば、切替条件が成立しなければ第1処理にてデータ復旧の度合いが高まる一方、切替条件が成立した場合には第2処理にて最低限必要な遊技情報をデータ復旧のために確保できる。
【0123】
なお、遊技情報取得手段としての遊技装置2は、時間的な序列を表す識別情報である連番(通番)を付して遊技機3が出力する遊技情報を取得する一方、遊技情報送信手段としての遊技装置2は、遊技機3により連番を付されて出力された遊技情報の一部を選択し、当該選択した一部の遊技情報に対して新たな識別情報である連番(通番)を付して送信する。このように遊技機3から連番管理された遊技情報を受信し、遊技装置2を送信元として、遊技機3にて採番された連番とは異なる連番を採番して遊技情報を管理装置10に送信すれば、管理装置10側で遊技情報の欠落がないかを判定可能となる。この場合には、例えば遊技装置2からカード挿入通知を送って遊技機3から送信される遊技情報に連番が割込発生した場合であっても、適切な連番によるデータ欠損の判定が可能となる。なお、遊技機3にて採番された連番とは異なる連番を遊技装置2が採番して管理装置10に遊技情報を送信する構成については、オフライン状態のデータ復旧のための第1処理、第2処理を実行する機能を具備しない遊技場用システム1に適用することもできる。
【0124】
なお、本例では、第2処理による通信データとして、図8bの通信データを例示したが、同図中のアウト、セーフ、スタートについて、図11に例示するように遊技状態単位で区別して記憶することも良い。このように遊技情報取得手段としての遊技装置2が、オフライン状態において、遊技状態単位で区分される期間を対象期間として遊技情報を取得することも良い。上記の通り、オンライン状態において遊技情報送信手段としての遊技装置2が送信する通常の遊技情報は、複数種類の遊技状態のうち、いずれかの遊技状態が対応付けられた遊技情報である。一方、図11に例示するように遊技状態単位で区別して記憶する場合には、オフライン状態からオンライン状態に復帰した場合に、オフライン状態下の遊技データの復旧のために遊技装置2が送信する復旧用の遊技情報が、遊技状態単位で区分された遊技情報であって、それぞれの遊技状態に対応付けられた遊技情報となる。このようにオンライン状態においては1つの遊技状態に対応した遊技情報を送信対象とする一方、オンライン状態への復帰に伴うデータ復旧時には、複数の遊技状態により区分した遊技情報を送信対象とすれば、第2処理によっても、例えば図6a、bの遊技情報の復旧が可能になる。
【0125】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
遊技装置2から中継装置54を経由して管理装置10にデータ送信することを例示したが、遊技装置2から直接管理装置10にデータ送信する構成に本例を採用しても良い。
本例では、第1処理と第2処理との双方を実行可能とした構成を例示したが、第1処理及び第2処理のうちのいずれか一方のみを実行対象としても良い。
【0126】
本例では、封入式遊技機3を例示したが、従来の遊技媒体を払出す遊技機を対象としても良い。また、各台計数機能を備える遊技装置2だけでなく、所謂島端に設けられる島端計数機を採用したシステムに対して本例の構成を適用しても良い。
記憶媒体としてはカードを想定できるが、コインや携帯メモリー、或いは紙等、どのような記憶媒体を採用しても良い。また、遊技価値の対応付けとしては記憶媒体に直接記録しても良いし、管理装置10にて記憶媒体のIDと対応する遊技価値とを対応付ける等しても良く、記憶媒体は対応する遊技価値を特定可能な情報が記録されていれば、どのような構成を採用しても良い。
【0127】
遊技機3の設定値は、管理者が任意に操作入力により設定しても良く、予め管理装置10の製造メーカにて設定しても良く、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。なお、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。また、過去の遊技情報を基準値として設定しても勿論良い。
【0128】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。また、遊技信号としてパルス信号やシリアル通信による電文情報等を例示したがどのような遊技信号を対象としても良い。
機種としては、例えばレート別やフロア別に機種をグループ化する等、どのような区分により構成しても良い。
【0129】
説明中の数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
対象となる遊技機3としては例示したパチンコ遊技機3以外のパチンコ遊技機や、スロットマシン等にも採用できる。なお、例示した封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
【0130】
遊技装置2が行う処理の一部を中継装置54、表示装置51、或いは管理装置10等にて行っても良い等、どの様に構成しても良い。さらに例示した構成は変形例も含めて、どのように組合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【0131】
(実施例2)
本例は、実施例1の遊技場用システム1に基づいて、遊技機3が出力する遊技情報の送信経路を変更した例である。
実施例1では、遊技機3→遊技装置2→中継装置54→管理装置10にて情報送信し、更に遊技機3から電文のようなデータ信号を送信する構成を前提とするシステムを例示したが、本例の遊技場用システム1は、遊技機3→中継装置54→表示装置51にて情報送信し、遊技機3→中継装置54への情報送信を従来と同様のパルス信号で出力する構成を前提としている。本例では、遊技機3から出力される信号だけでなく、使用された遊技玉を回収して計数するアウトBOXのような遊技機3以外の遊技機周辺機器からの出力も含め、遊技機3側から出力される信号と表現する。
【0132】
遊技機3側から出力される遊技信号がパルス信号の場合、所定期間単位で出力されず発生した時点で出力され、例えばアウト信号であれば1玉毎の出力に代えて10玉計数する毎に出力される信号が想定できる。また、想定されるオフライン状態は、中継装置54⇔表示装置51における断線によるオフライン状態であり、そのオフライン状態が生じた場合に中継装置54にて第1処理や第2処理のように遊技情報を記憶して、断線復旧時に遊技情報を復旧するものである。
【0133】
表示装置51は、遊技者に提供する遊技情報を表示可能としており、この遊技情報を特定するために中継装置54から情報を受信する。その遊技情報としては図6に示す遊技情報や遊技履歴を含んでも良い。
【0134】
本例では、中継装置54⇔表示装置51の断線によるオフライン状態を例示したが、中継装置54⇔管理装置10の断線によるオフライン状態も想定できる。また、図1のシステム構成図に例示するような管理装置10との通信用の中継装置54とは別に、表示装置51用の中継装置が設けられる構成も想定できる。この構成の場合、管理装置10との通信は中継装置54にて行うので、第1処理や第2処理を行うことにより、表示装置51用の中継装置のハードウェアコストを低減可能となる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0135】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0136】
1 遊技場用システム
10 管理装置(受信手段、遊技データ生成手段、遊技データ復旧手段)
2 遊技装置
20 制御部(遊技情報取得手段、遊技情報送信手段)
221 貨幣処理部(貨幣受付手段)
3 パチンコ遊技機(遊技機)
330 盤面(遊技領域)
357 計数ボタン(計数操作受付手段)
40 主回路(抽選手段、保留手段、読出手段、大当り状態発生手段、動作切替手段、通信手段)
43 記憶部(記憶手段)
45 演出制御回路(演出抽選手段)
47 確率設定部(設定手段)
500 場内ネットワーク(回線)
51 表示装置
53 遊技カード(記憶媒体)
54 中継装置
55 POS端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11