(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20220908BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20220908BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220908BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
H02J7/00 301D
H01F38/14
(21)【出願番号】P 2018138867
(22)【出願日】2018-07-24
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 良平
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-059141(JP,A)
【文献】特開2013-059239(JP,A)
【文献】特開平10-077611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/60
H02J 50/12
H02J 7/00
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルと、
該送電コイルの軸方向に直交する方向に沿って延びる一面を有し、前記送電コイルを収納するケースと、
前記送電コイルの径方向中央部にて前記送電コイルの軸方向に延び、一端部が、前記一面を貫通して前記一面の外側に突出した軸回りに回転可能な回転軸と、
該回転軸の一端部から径方向外向きに突出し、前記一面上を移動する異物除去部と、
前記ケースに収納され、磁性体によって構成されるシート状をなすシールドと
、
前記一面上の物体を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を処理することによって、前記異物除去部の破損を検出する破損検出部と
を備え、
前記シールドの一面に前記送電コイルが配置され、
前記回転軸に動力を供給するモータが前記シールドの他面側に配置される
送電装置。
【請求項2】
前記ケースの外周に沿って異物受けが取り外し可能に設けられる
請求項
1に記載の送電装置。
【請求項3】
送電コイルと、
該送電コイルの軸方向に直交する方向に沿って延びる一面を有し、前記送電コイルを収納するケースと、
前記送電コイルの径方向中央部にて前記送電コイルの軸方向に延び、一端部が、前記一面を貫通して前記一面の外側に突出した軸回りに回転可能な回転軸と、
該回転軸の一端部から径方向外向きに突出し、前記一面上を移動する異物除去部と、
前記ケースに収納され、磁性体によって構成されるシート状をなすシールドと
を備え、
前記シールドの一面に前記送電コイルが配置され、
前記回転軸に動力を供給するモータが前記シールドの他面側に配置され、
前記ケースの外周に沿って異物受けが取り外し可能に設けられる
送電装置。
【請求項4】
前記回転軸の径方向において、前記異物除去部の寸法は、前記送電コイルの半径よりも長い
請求項1から3のいずれか一つに記載の送電装置。
【請求項5】
前記回転軸の径方向において、前記異物除去部の寸法は、前記回転軸の中心と前記一面の縁との間の寸法よりも長い
請求項4に記載の送電装置。
【請求項6】
前記モータが、前記一面よりも前記回転軸の他端部側に配置されている
請求項1から5のいずれか一つに記載の送電装置。
【請求項7】
前記異物除去部を複数備える
請求項1から6のいずれか一つに記載の送電装置。
【請求項8】
前記異物除去部は樹脂部材又はワイヤを含む
請求項1から7のいずれか一つに記載の送電装置。
【請求項9】
前記一面上の異物を検出する異物検出部を備える
請求項1から8のいずれか一つに記載の送電装置。
【請求項10】
前記一面は、前記一面の縁に向けて下降するように傾斜している
請求項1から9のいずれか一つに記載の送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電力を送る送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形の給電面を有する非接触給電装置が提案されている。給電面には、二つのワイパー部が設けられている。給電面の対角線上において、二つの駆動軸が給電面の二つの角部に配されている。ワイパー部は駆動軸に連結され、駆動軸回りに回転する。ワイパー部の回転によって、給電面上に付着した異物が除去される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電装置は複数のワイパー部を必要としているので、大型化し易い。またワイパー部同士の干渉を防止する為に、順番に回転させる必要があり、ワイパーの制御が複雑化し易い。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、小型化を図り、異物を除去する為の制御を簡素化させることができる送電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る送電装置は、送電コイルと、該送電コイルの軸方向に直交する方向に沿って延びる一面を有し、前記送電コイルを収納するケースと、前記送電コイルの径方向中央部にて前記送電コイルの軸方向に延び、一端部が、前記一面を貫通して前記一面の外側に突出した軸回りに回転可能な回転軸と、該回転軸の一端部から径方向外向きに突出し、前記一面上を移動する異物除去部とを備える。
【0007】
本開示にあっては、回転軸の回転によって、異物除去部はケースの一面上を回転し、前記一面に付着した異物を除去し、人、犬又は猫などの生体の送電面への侵入を防止する。
【0008】
本開示に係る送電装置は、前記回転軸の径方向において、前記異物除去部の寸法は、前記送電コイルの半径よりも長い。
【0009】
本開示にあっては、異物除去部が異物を除去する領域は、少なくとも、送電コイルの面積よりも大きくなる。送電コイルの面積は、磁力線が通過する領域に対応し、異物除去部は、磁力線が通過する領域において、異物を除去することができる。また送電コイルの上側に生体が侵入することを防止する。
【0010】
本開示に係る送電装置は、前記回転軸の径方向において、前記異物除去部の寸法は、前記回転軸の中心と前記一面の縁との間の寸法よりも長い。
【0011】
本開示にあっては、異物除去部による異物を除去可能な領域は、前記一面よりも広い。そのため、前記一面全体から異物を除去することができる。
【0012】
本開示に係る送電装置は、前記回転軸に動力を供給するモータが、前記一面よりも前記回転軸の他端部側に配置されている。
【0013】
本開示にあっては、モータへの磁界の影響を抑制させることができる。前記送電面を地上に向けて配した場合、モータは地下に向けて配置され、モータに対する環境、例えば天候の影響を抑制させることができる。
【0014】
本開示に係る送電装置は、前記異物除去部を複数備える。
【0015】
本開示にあっては、複数の異物除去部を用いることによって、除去効果を向上させることができ、またいずれかの異物除去部が破損したとしても、他の異物除去部によって、異物を除去することができる。
【0016】
本開示に係る送電装置は、前記異物除去部は樹脂部材又はワイヤを含む。
【0017】
本開示にあっては、比較的柔軟な素材を使用することによって、異物除去部が生体に触れた場合に、生体に傷をつけることを防止することができる。また耐衝撃性を向上させることができる。例えば、人が誤って踏んだとしても、異物除去部の破損を防止することができる。
【0018】
本開示に係る送電装置は、前記一面上の異物を検出する異物検出部を備える。
【0019】
本開示にあっては、例えば、異物検出部が異物を検出した場合に、異物除去部を回転させることができる。
【0020】
本開示に係る送電装置は、記一面は、前記一面の縁に向けて下降するように傾斜している。
【0021】
本開示にあっては、傾斜した部分に異物が載った場合に、異物の下方への移動が促進され、異物を前記一面から離れさせることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示に係る送電装置にあっては、回転軸の回転によって、異物除去部はケースの一面上を回転し、前記一面に付着した異物を除去する。送電コイルの径方向中央部に回転軸が配置されているので、一つの異物除去部を駆動するだけで、前記一面から異物を除去することができる。そのため、送電装置の小型化を図り、異物除去部の制御を簡素化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1に係る送電装置を示す概略斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IV線を切断線とした断面図である。
【
図5】実施の形態2に係る送電ユニットを略示する平面図である。
【
図6】実施の形態3に係る送電ユニット、送電制御ユニット、ガイド及び車止めなどを示す模式図である。
【
図7】実施の形態4に係る送電ユニット及び送電制御ユニットなどを示す概略斜視図である。
【
図9】実施の形態5に係る送電ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下本発明を、実施の形態1に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。
図1は、送電装置を示す概略斜視図、
図2は、送電装置及び車両20を示す模式図である。
【0025】
送電装置は、送電ユニット1及び送電制御ユニット10を備える。送電制御ユニット10が地上に設置されている。送電制御ユニット10は、例えば、直方体状の筐体11を備える。筐体11には、例えば、高周波電源装置及び制御基板が収納されている。制御基板には、例えばCPU(Central processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどが実装されている。なおプロセッサに代えて、ロジック回路、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)を使用してもよい。筐体11の一側面11aから、車両20を案内する二つのガイド12が同じ方向に突出している。二つのガイド12は帯状をなし、地表に沿って延びている。二つのガイド12は、地表に対して略直角に配置され、間隔を空けて対向している。二つのガイド12の突出端部は、相互間距離が漸次長くなるように、外向きに曲がっている。
【0026】
送電制御ユニット10には、配線9を介して送電ユニット1が接続されている。送電ユニット1は地上に設置され、二つのガイド12の間に配置されている。送電ユニット1は、後述する送電コイル3(
図3、
図4参照)を備える。送電制御ユニット10は送電コイル3に電力を供給する。送電コイル3には電流が流れる。
【0027】
送電ユニット1と送電制御ユニット10との間、且つ二つのガイド12の間に、例えば二つの車止め30が配置される。二つのガイド12の対向間距離は、車両20の横幅に対応している。例えば、車両20を二つのガイド12の間に配置させて、送電制御ユニット10に向けて前進させた場合、ガイド12は車両20を案内する。車両20の運転者は、車両20の二つの前輪を二つの車止め30に接触させて、車両20を停止させることができる。
【0028】
車両20には、受電コイル21、受電ユニット22及びバッテリ23が搭載されている。受電コイル21は、受電ユニット22を介してバッテリ23に接続されている。受電コイル21は、車両20の底面に配置されており、所定位置に車両20を停止させた場合、例えば、車止め30に接触させて車両20を停止させた場合、送電ユニット1に対向するように、車両20に設置されている。受電ユニット22は、整流回路、共振コンデンサなどを備える。受電コイル21は送電コイル3と磁気結合し、送電コイル3から受電コイル21に、非接触給電が行われ、バッテリ23は蓄電する。
【0029】
図3は、送電ユニット1を略示する平面図、
図4は、
図3のIV-IV線を切断線とした断面図である。送電ユニット1は、偏平な直方体状をなすケース2を備える。ケース2は、互いに対向する矩形の第1面部2a及び第2面部2bと、該第1面部2a及び第2面部2bを連結し、第1面部2a及び第2面部2bの全周に配置された周面部2cとを有する。第1面部2aは第2面部2bよりも上側に配置される。第1面部2aを露出させて、送電ユニット1は地上に設置される。
【0030】
ケース2には、第1面部2a及び第2面部2bに略平行なシート状をなすシールド4と、該シールド4の一面に配置された平面視渦巻き状をなす送電コイル3とが収納されている。シールド4は、磁性体によって構成されており、例えばフェライト部材によって構成される。シールド4は、後述するモータ5への磁界の影響を抑制させる。送電コイル3は第1面部2aに対向し、シールド4は第2面部2bに対向する。
【0031】
第2面部2bの外面にモータ5が設けられている。モータ5には、軸回りに回転する回転軸6が接続されている。送電コイル3の径方向中央付近にコイルは存在せず、コイルに囲まれた空間が設けられている。回転軸6は、送電コイル3の径方向中央付近、即ちコイルに囲まれた空間に配置される。回転軸6は、送電コイル3の軸方向に延び、第1面部2a及び第2面部2bを貫通している。なお回転軸6と第1面部2aとの隙間、及び回転軸6と第2面部2bとの隙間には、シール部材2dがそれぞれ設けられており、液体がケース2内に侵入することを防止している。
【0032】
回転軸6の一端部は第1面部2aを貫通し、第1面部2aよりも外側に突出する。回転軸6の一端部からブレード7が突出している。ブレード7は、第1面部2aの外面に沿って、送電コイル3の径方向に延びる。前記径方向において、ブレード7の先端部はケース2よりも外側に位置する。即ち、ブレード7の寸法は、送電コイル3の半径よりも長く、また回転軸6の中心と第1面部2aの縁との間の寸法よりも長い。ブレード7は、第1面部2aの外面に接触する。ブレード7は、例えば、樹脂部材又はワイヤなどの柔軟性及び耐衝撃性の高い素材によって構成される。回転軸6の他端部は第2面部2bを貫通し、モータ5に接続されている。なおモータ5をケース2の内側に設けて、モータ5の回転を伝動部材、例えば傘歯車を介して回転軸6に伝達してもよい。またモータ5をケース2の外に配置し、ベルト及びプーリなどの伝動部材を介して、モータ5と回転軸6とを連結してもよい。
【0033】
送電制御ユニット10は、例えば、送電コイル3による送電の実行前又は実行中にモータ5を駆動させる。モータ5の駆動によって、回転軸6は回転し、ブレード7は、第1面部2aの外面に接触し、回転する。第1面部2aの外面にクリップ、葉、昆虫などの異物が付着している場合、ブレード7は異物を除去する。また第1面部2aに生体、例えば猫がいる場合、ブレード7の回転よって、生体を送電ユニット1から移動させることができる。またブレード7の回転中は、人、犬、猫などの生体が第1面部2aに侵入することを防止することができる。
【0034】
実施の形態に係る送電装置にあっては、ブレード7はケース2の第1面部2a上を回転し、第1面部2aに付着した異物を除去する。異物の除去によって、送電効率を向上させることができる。また金属製の異物、例えばクリップ、硬貨又はくぎなどが第1面部2aに存在する場合、送電時に異物が発熱するが、異物の除去によって、異物の発熱を防止し、安全性を高めることができる。またブレード7の回転中は、人、犬又は猫などの生体の送電面への侵入を防止することができる。
【0035】
またブレード7が異物を除去する領域は、少なくとも、平面視における送電コイル3の面積よりも大きくなる。送電コイル3の面積は、磁力線が通過する領域に対応するので、ブレード7は、磁力線が通過する領域において、異物を除去することができる。また送電コイルの上側に生体が侵入することを防止する。
【0036】
またブレード7の寸法は、回転軸6の中心と第1面部2aの縁との間の寸法よりも長く、ブレード7が異物を除去することが可能な領域は、第1面部2aの面積よりも広い。そのため、第1面部2a全体から異物を除去することができる。
【0037】
また第1面部2aを地上に向けて、第2面部2bを地下に向けている。モータ5は、第2面部2bの外面に配置されている。モータ5は外に露出せず、モータ5に対する環境、例えば天候の影響を抑制させることができる。また送電コイル3の反対側にモータ5が配置されているので、送電コイル3によるモータ5への磁界の影響を抑制させることができる。
【0038】
また樹脂部材又はワイヤなどの比較的柔軟な素材をブレード7に使用することによって、ブレード7が生体、例えば猫に触れた場合に、生体に傷をつけることを防止することができる。また耐衝撃性を向上させることができる。例えば、人が誤って踏んだとしても、ブレード7の破損を防止することができる。
【0039】
また送電の実行前又は実行中に第1面部2aから異物を除去することによって、効率的な送電を実現させることができる。
【0040】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。
図5は、送電ユニット1を略示する平面図である。実施の形態1においては、一つのブレード7が回転軸6から突出していたが、実施の形態2においては、三つのブレード7が回転軸6から突出している。三つのブレード7は、回転軸6の周方向に略等間隔を空けて並んでいる。
【0041】
実施の形態2にあっては、複数のブレード7を用いることによって、異物を除去する効果を向上させることができる。またいずれかのブレード7が破損したとしても、他のブレード7によって、異物を除去することができる。なおブレード7の数は二つでもよいし、四つ以上でもよい。
【0042】
実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。
図6は、送電ユニット1、送電制御ユニット10、ガイド12及び車止め30などを示す模式図である。実施の形態3においては、送電ユニット1、送電制御ユニット10、ガイド12及び車止め30が一体化されている。実施の形態3においては、横長の一つの車止め30が筐体11の一側面11aに一体的に設けられている。車止め30と、送電ユニット1との間に、車両20の車輪を嵌める為の凹部17が形成されている。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。
図7は、送電ユニット1及び送電制御ユニット10などを示す概略斜視図、
図8は、送電ユニット1の断面図である。筐体11の一側面11aの中央部には、近接センサ13が設けられている。近接センサ13は、例えば、車両20と送電ユニット1との間の距離を検出する。なお近接センサ13を送電ユニット1に設けてもよい。
【0045】
外側に突出した回転軸6の一端部に、同軸的にカメラ14が設けられている。カメラ14は、回転軸6の周囲360度の範囲を撮像することができ、例えば、全天球カメラ又は半天球カメラを含む。カメラ14は第1面部2aの外面全体を撮像する。夜間の撮像を考慮し、カメラ14は赤外線カメラ又は照明付きカメラを使用することができる。
【0046】
なおカメラ14を筐体11の一側面11aに設けてもよい。この場合、カメラ14を、一側面11aの地表に近い部分に配置することによって、車両20が送電ユニット1の上側に配置された場合でも、車両20の底部と、送電ユニット1との間から、カメラ14は第1面部2aの外面全体を撮像することができる。
【0047】
カメラ14に代えて、またはカメラ14と共に、熱センサ15を設けてもよい。熱センサ15は、例えば回転軸6の一端部に設けられ、第1面部2aの上方に配置される。熱センサ15は、例えば赤外線センサを備える。熱センサ15の検出領域は第1面部2a全体である。
【0048】
なお熱センサ15を筐体11の一側面11aに設けてもよい。熱センサ15を、一側面11aの地表に近い部分に配置することによって、車両20が送電ユニット1の上側に配置された場合でも、車両20の底部と、送電ユニット1との間に配置され、熱センサ15は第1面部2aの外面全体を検出領域とすることができる。近接センサ13、カメラ14及び熱センサ15の出力信号は、送電制御ユニット10に入力され、送電制御ユニット10は、入力された信号に基づいて、車両20及び異物の存否、ブレード7の破損の有無を判定する。
【0049】
実施の形態4に係る送電装置にあっては、送電制御ユニット10によって、送電ユニット1の上に車両20が存在すると判定された場合、即ち、近接センサ13によって、車両20と送電ユニット1との間の距離が所定距離以下であると判定された場合に、モータ5を駆動させて、ブレード7を回転させることができる。なお近接センサ13に代えて、例えば送電制御ユニット10にスイッチを設け、該スイッチをユーザがオンにした場合に、車両20が存在すると判定してもよい。またカメラ14が撮像した画像を処理することによって、車両20の存否を判定してもよい。
【0050】
またカメラ14が撮像した画像を処理することによって、第1面部2aに異物が存在するか否かを判定することができる。例えば、ブレード7を所定時間回転させた後に、異物が存在すると判定された場合に、再度ブレード7を回転させて、異物を確実に除去させることができる。またカメラ14が撮像した画像を処理することによって、ブレード7の破損の有無を判定することができる。ブレード7が破損していると判定した場合、送電制御ユニット10は、例えばネットワークを通じて、管理サーバに異常を通知してもよい。
【0051】
また熱センサ15を設けることによって、送電時に、第1面部2aに熱が発生しているか否か判定することができる。送電時に熱が発生している場合、第1面部2aに金属製の異物が存在していると考えられる。したがって、送電時に熱が発生していると判定された場合に、ブレード7を回転させて、異物を確実に除去し、安全性を向上させることができる。なおモータ5のトルク又は回転速度を検出するセンサを設け、該センサの出力を送電制御ユニット10に入力させて、例えば、トルクが大きくなった場合、又は回転速度が遅くなった場合に、送電制御ユニット10が、異物が存在すると判定してもよい。
【0052】
実施の形態4に係る構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
(実施の形態5)
図9は、送電ユニット1の断面図である。ケース2の第1面部2aは、底面が開口した円錐台状をなす。第1面部2aは、第2面部2bに略平行且つ第2面部2bよりも小径の平面視円形をなす頂部2fと、該頂部2fの外周全体から傘状に突出し、下向きに傾傾した傾斜部2gとを備える。傾斜部2gは、頂部2fから第1面部2aの縁に向けて下降するように傾斜している。第1面部2aは、開口を第2面部2bに向けて配置され、第1面部2aと第2面部2bとは、軸方向に離隔している。頂部2fは第2面部2bに対して同軸的に配置されている。第1面部2aの直径と、第2面部2bの直径とは略同じである。第1面部2aの外周部分と、第2面部2bの外周部分とは、周面部2cによって連結されている。周面部2cの外周に、円弧状をなす樋状の異物受け2hが取り外し可能に取り付けられている。なお異物受け2hに代えて、周面部2cの周囲の地面に、異物を受ける溝を形成するか又は溝状の部品を埋め込んでもよい。
【0054】
回転軸6の一端部は第1面部2aの頂部2fを貫通し、頂部2fよりも外側に突出する。回転軸6の一端部からブレード7が突出している。ブレード7は、傾斜部2gの外面、即ち傾斜面に沿って、送電コイル3の径方向に延びる。前記径方向において、ブレード7の先端部はケース2よりも外側に位置する。即ち、ブレード7の寸法は、第1面部2aの半径よりも長い。なおブレード7の寸法は第1面部2aの半径と略同じでもよく、前記半径よりも若干短くてもよい。ブレード7は、第1面部2aの外面に接触する。
【0055】
送電制御ユニット10は、例えば、送電コイル3による送電の実行前又は実行中にモータ5を駆動させる。モータ5の駆動によって、回転軸6は回転し、ブレード7は、第1面部2aの傾斜部2gに接触し、送電コイル3の軸心回りに回転する。傾斜部2gの外面にクリップ、葉、昆虫などの異物が付着している場合、ブレード7は異物を除去する。ブレード7によって、除去された異物は、異物受け2hに収納される。異物受け2hを周面部2cから取り外すことによって、異物受け2hから異物を容易に除去させることができる。第1面部2aに生体、例えば猫がいる場合、ブレード7の回転によって、生体を送電ユニット1から移動させることができる。
【0056】
また異物が第1面部2aの傾斜部2gに載った場合に、異物の下方への移動が促進され、異物を第1面部2aから離れさせることができる。実施の形態5に係る構成の内、実施の形態1~4と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 送電ユニット
2 ケース
2a 第1面部
2b 第2面部
2c 周面部
3 送電コイル
4 シールド
5 モータ
6 回転軸
7 ブレード(異物除去部)
10 送電制御ユニット
13 近接センサ
14 カメラ
15 熱センサ