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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 D
B25F5/00 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018168818
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2020040157
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上條 敬一郎
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-512967(JP,A)
【文献】米国特許第04342216(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0214861(US,A1)
【文献】特開2018-086696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B25B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に設けられたシリンダ内に往復動可能に収容されて流体の圧力によって押動されるピストンと、前記本体部の先端に連結されて前記ピストンの押動により所定動作を行う工具ヘッドとを備え、電気モータによって駆動される電動工具であって、
前記シリンダから前記流体を貯留する流体タンクへ連通して、前記流体を通流させるリターン流路と、
前記リターン流路の開閉を行うリターン弁と、
所定方向への押動により前記リターン弁を開き位置とする戻しピンと、を備え、
前記戻しピンは、一部が前記流体タンクの内部に配設され、
前記戻しピンは、本体部と、前記本体部の一端に設けられた押動面とを有しており、前記本体部が前記流体タンクの外壁部を挿通すると共に前記押動面が前記流体タンクの前記外壁部より外側に露出するように配設され、
前記本体部は、前記流体タンクの前記外壁部を挿通すると共に一端に前記押動面が設けられた第1本体部と、前記第1本体部の他端に対して所定距離離隔し且つ当接可能に設けられた第2本体部とを有して構成されており、前記第1本体部が前記所定距離押動された際に前記第2本体部と当接して前記第1本体部および前記第2本体部が一体となって移動可能な状態となること
を特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記流体タンクの前記外壁部は、エラストマー材料を用いて形成されていること
を特徴とする請求項記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に関し、さらに詳細には、本体部に設けられたシリンダ内に往復動可能に収容されて流体の圧力によって押動されるピストンと、本体部の先端に連結されてピストンの押動により所定動作を行う工具ヘッドとを備え、電気モータによって駆動される電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤ、ケーブルを切断する切断工具や、ワイヤ、ケーブルに圧着端子を固定するための圧着工具等、電気モータによって駆動されて所定動作を行う電動工具が知られている。
【0003】
一例として、特許文献1(特開2016-175148号公報)記載の電動工具が提案されている。この電動工具は、本体部に着脱式のバッテリを備えるコードレスタイプであって、作業者が起動スイッチノブを押動している間、電気モータによって油圧ポンプが駆動される。この油圧によってピストンが押動されて工具ヘッドにおける口金の先端部が閉じられる作用が得られる。一例として、切断用の工具ヘッドを用いれば、ワイヤ、ケーブルを切断する切断工具として使用することができる。あるいは、圧着用の工具ヘッドを用いれば、ワイヤ、ケーブルに圧着端子を固定する圧着工具として使用することもできる。さらに、切断あるいは圧着の作業が終了したときに、ピストンを起動位置まで後退させ、次の作業の待機状態とするために、シリンダ内の液体(作動油)を流体タンクへ戻す流路を開通させる戻しピンを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-175148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に例示される従来の電動工具のように、戻しピンを備える構造とするためには、当然そのスペースを本体部に確保しなければならず、電動工具が大型化、特に長手方向に長尺化してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、戻しピンを備える構造を実現しつつ、小型化を図ることが可能な電動工具を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る電動工具は、本体部に設けられたシリンダ内に往復動可能に収容されて流体の圧力によって押動されるピストンと、前記本体部の先端に連結されて前記ピストンの押動により所定動作を行う工具ヘッドとを備え、電気モータによって駆動される電動工具であって、前記シリンダから前記流体を貯留する流体タンクへ連通して、前記流体を通流させるリターン流路と、前記リターン流路の開閉を行うリターン弁と、所定方向への押動により前記リターン弁を開き位置とする戻しピンと、を備え、前記戻しピンは、一部が前記流体タンクの内部に配設され、前記戻しピンは、本体部と、前記本体部の一端に設けられた押動面とを有しており、前記本体部が前記流体タンクの外壁部を挿通すると共に前記押動面が前記流体タンクの前記外壁部より外側に露出するように配設され、前記本体部は、前記流体タンクの前記外壁部を挿通すると共に一端に前記押動面が設けられた第1本体部と、前記第1本体部の他端に対して所定距離離隔し且つ当接可能に設けられた第2本体部とを有して構成されており、前記第1本体部が前記所定距離押動された際に前記第2本体部と当接して前記第1本体部および前記第2本体部が一体となって移動可能な状態となることを要件とする。
【0009】
これによれば、戻しピンの一部が流体タンクの内部に配設されていることによって、流体タンクの外部に設けられていた戻しピンのスペースを削減することができるため、電動工具の全長を短縮させ、小型化を実現することができる。これに伴って、戻しピンの配設部位に設けられていた部材を削減することができ、電動工具を軽量化し、材料コストを削減することができる。
【0012】
また、前記戻しピンは、本体部と、前記本体部の一端に設けられた押動面とを有しており、前記本体部および前記押動面がいずれも前記流体タンクの外壁部より内側に配設されていることが好ましい。
【0013】
また、前記戻しピンは、前記押動面が、前記流体タンクの弾性変形可能に構成された前記外壁部の外面に設けられた押動点が所定距離押動された際に前記押動点に対して表裏の位置関係にある内面に設けられた当接点と当接可能となるように配設されていることが好ましい。
【0014】
また、前記流体タンクの前記外壁部は、エラストマー材料を用いて形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、戻しピンの全体が流体タンクの外部に配設される従来の電動工具に対して、戻しピンの一部が流体タンクの内部に配設される構成によって電動工具の全長を短縮させ、小型化を実現することができる。これに伴って、電動工具における部材の削減が可能となって、電動工具を軽量化することができ、材料コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る電動工具の例を示す正面図(概略図)である。
図2図1に示す電動工具のピストンの押動機構に関連する部分を中心とする拡大図(概略図)である。
図3図1に示す電動工具のピストンの後退機構に関連する部分を中心とする拡大図(概略図)である。
図4図3に示す戻しピンの他の例(変形例1)を示す拡大図(概略図)である。
図5図3に示す戻しピンの他の例(変形例2)を示す拡大図(概略図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は電動工具10の例を示す正面図(概略図)である。また、図2は電動工具10のピストン30の押動機構に関連する部分を中心とする拡大図(概略図)である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態に係る電動工具10は、図1に示すように、作業者が片手で把持して作業可能なコードレスタイプの電動工具である。先端の工具ヘッドは交換可能に構成されている。例えば、先端に切断用の工具ヘッド(カッタを有する口金16)を連結することにより、ケーブル等を切断する切断工具として用いることができる。一方、先端に圧着用の工具ヘッド(口金(不図示))を連結することにより、ケーブル等と圧着端子をカシメにより圧着する圧着工具として用いることもできる。以下、本実施形態に係る電動工具10として、切断工具の場合を例に挙げて説明を行う。
【0019】
この電動工具10は、作業者が把持を行う棒状の本体部12と、その先端に固定された取付部14と、この取付部14に交換可能に装着された工具ヘッド16(口金16)と、着脱可能な充電式のバッテリ18とを有する。本体部12は、起動スイッチノブ22と戻しレバー31とを有している。また、口金16は、一例としてシャンク20を中心軸として回動可能に取付部14に支持されている。また、本体部12の内部には、バッテリ18の電源で駆動される電気モータ23、この電気モータ23により駆動されて流体(一例として、作動油)の加圧を行う流体ポンプ(一例として、油圧ポンプ)26が設けられている(図2)。その他、流体を貯留する流体タンク34、駆動等の制御を行う制御部(不図示)等が設けられている。なお、流体タンク34の外壁部34aは、エラストマー材料(一例として、ニトリルゴム)によって形成され、流体の出入りに応じて弾性変形される構成となっている。
【0020】
上記の構成を備える電動工具10は、流体ポンプ26により加圧された流体の圧力によって口金16が切断動作を行うものである。以下、一連の動作を具体的に説明する。
【0021】
先ず、作業者が本体部12の起動スイッチノブ22を押すことによって、電気モータ23が駆動される(図2)。このとき、電気モータ23から減速機構24を介して回転力が伝達され、斜板カム25によって直動式の流体ポンプ26の駆動力に変換される。流体ポンプ26によって加圧された流体は、本体部12に設けられたシリンダ28内へと流入する。この流体の圧力を受けて、シリンダ28内に往復動可能に収容されているピストン30が本体部12から取付部14に向かう方向に押動される。このとき、ピストン30の先端に設けられたローラ29が口金16の後端部16bに形成された開口部(不図示)を押し広げるように進入する。これによって、後端部16bが開く方向に動作すると共に、シャンク20で軸支された先端部16aが閉じる方向に動作する。したがって、口金の先端部16aに形成された凹部16c内にケーブル等を収納しておくことにより、これらを切断する作用を得ることができる。
【0022】
なお、本実施形態においては、本体部12に設けられた起動スイッチノブ22が押動されている間のみ、バッテリ18から電源が供給されて電気モータ23が駆動される構成となっている。ただし、この構成に限定されるものではなく、起動スイッチノブ22が押動されたときに、電気モータ23の駆動が開始され、次に起動スイッチノブ22が押動されたときに、電気モータ23の駆動が停止される等の構成としてもよい。
【0023】
また、電動工具10は、作業が終了したときに、戻しレバー31の操作によってピストン30を起動位置まで後退させ、次の作業の待機状態とすることができる機能を備えている。すなわち、後述するシリンダ28内の流体を流体タンク34へ戻すリターン流路36を開通させる戻しピン32の押動面32aが、電動工具10外部の戻しレバー31に対応する内部に設けられている。したがって、作業者は戻しレバー31を押すことによって戻しピン32の押動面32aを押圧することが可能になっている。ここで、戻しピン32の操作によるピストンの後退機構について詳しく説明する。図3は、電動工具10のピストン30の後退機構に関連する部分を中心とする拡大図(概略図)である。
【0024】
図3に示すように、本体部12には、シリンダ28から流体を貯留する流体タンク34へ連通して、流体を通流させるリターン流路36が配設されている。また、リターン流路36途中には、リターン流路36の開閉を行うリターン弁40が設けられている。より詳しくは、先ず、シリンダ28内から第1流路36aが連通している。次いで、第1流路36aはリターン弁40を介して第2流路36bへ連通している。第2流路36bは後述する戻しピン32の本体部33の一部がDカットされて流路が形成され、流体タンク34内へと連通している。これらの流路を構成する管路は、いずれも流体タンク34と長手方向で重なる位置に配設されているが、これに限定されず、その一部が流体タンク34と長手方向で重ならない位置に配設される構成としてもよい。
【0025】
ここで、第1流路36aと第2流路36bとの間に設けられるリターン弁40は、球状の弁体40bを有しており、常時は付勢部材40aによって第2流路36bへ向かう方向に付勢され、弁体40bは閉じ位置となっている。これに対して、第1流路36aへ向かう方向に向けた作動部32bを弁体40bに当接または近接した状態で設けられた戻しピン32を備えている。この戻しピン32は、一例として略円柱部材として形成された本体部33と、その一端に設けられた押動面32aと、他端に設けられた作動部32bとによって構成されている。そして、作動部32bは流体タンク34の内部に配設されている一方、本体部33が流体タンク34の外壁部34aを挿通すると共に押動面32aが流体タンク34の外壁部34aより外側に露出するように配設されている。本体部33の挿通部位は、固定リング48によって流体タンク34の外壁部34aに密着固定されて流体タンク34からの流体の漏れが防止されている。ただし、エラストマー材料によって形成された外壁部34aの柔軟性によって移動流体タンク34内外に向けての移動が可能となっている。なお、固定リング48の部材は限定されず、例えば金属リング、ゴムリング等を用いることができる。
【0026】
この構成によれば、流体ポンプ26によって加圧された流体は、シリンダ28内へ流入すると共に、シリンダ28内の流体の一部が第1流路36aに流入する。しかしながら、リターン弁40の弁体40bは閉じ位置となっているため、流体は第1流路36a終端までは到達するが、リターン弁40を介した第2流路36b内には流入されない。したがって、第1流路36aおよびシリンダ28内が流体で満たされた後、さらにシリンダ28内に流入しようとする流体の圧力を受けて、ピストン30が本体部12から取付部14に向かう方向に押動され、口金16による切断動作が行われる。
【0027】
口金16による切断動作が行われた後、作業者が戻しレバー31を介して戻しピン32の押動面32aを押圧する。これによって、戻しピン32の作動部32bが第1流路36aへ向かう方向、すなわち付勢部材40aによりリターン弁40の弁体40bが閉じ位置となるように付勢されている方向の逆方向に、弁体40bを押動させる。したがって、弁体40bが開き位置となって第2流路36bが開通する。その結果、第1流路36a内から第2流路36b内へ、加圧された流体が流入する作用が得られる。こうして、シリンダ28内の流体がリターン流路36を通流して、流体タンク34へと通流する作用が得られる。これにより、シリンダ28内の流体が流体タンク34へと流出することでシリンダ28内の流体の圧力が低下する。したがって、シリンダ28内に設けられた付勢部材42の付勢力が当該圧力を上回る状態となり、ピストン30は取付部14から本体部12に向かう方向に押動される作用が生じる。すなわち、ピストン30を起動位置まで後退させる作用が得られる。
【0028】
以上のピストン30の後退機構に係る戻しピン32は、特許文献1に例示される従来の電動工具10においては、その全体が流体タンク34の外部(一例として、流体タンク34のバッテリ18側)に配設される構成であった。これに対して、本発明においては戻しピン32を、押動面32aが流体タンク34の外壁部34aより露出される構成としつつ、それ以外の部位が流体タンク34の内部に配設される構成としている。この構成によれば、本体部12における戻しピン32が設けられていたスペースを削減することができるため、電動工具10の全長を短縮させ(最大で15%程度)、小型化を実現することができる。またこれに伴って、本体部12における戻しピン32の配設部位に設けられていた部材、例えば金属部材(一例として、鉄)を用いて形成される中心部材44を削減し、さらには流体ポンプ26の全長を短縮することができる。これによって、材料コストを削減することができ、軽量化を図ることができるため、作業者の操作負担も軽減することができる。
【0029】
(変形例1)
また、変形例として、図4に示すように、戻しピン32の本体部33を、流体タンク34の外壁部34aを挿通すると共に一端に押動面32aが設けられた第1本体部33aと、当該第1本体部33aの他端に対して所定距離離隔し且つ当接可能に設けられた第2本体部33bとを有する構造をする構成も考えられる。一例として、第1本体部33aは、第2本体部33bの一端に延設された軸32cに外嵌されて、相互に往復動可能に連結されると共に、第2本体部33bの他端に作動部32bが設けられた構成となっている。
【0030】
この構成によれば、第1本体部33aが所定距離押動された際に第2本体部33bと当接したときに、初めて第1本体部33aおよび第2本体部33bが一体となって移動可能な状態となる。すなわち、第1本体部33aが押動された場合であっても、第2本体部33bに当接するまでは、戻しピン32の押動が開始されない。したがって、本例によれば、流体タンク34の変形または振動によって本体部33の挿通部位が流体タンクの内部に向けて移動した場合であっても、これに伴って戻しピン32(軸32c)が移動するのを防止することができる。その結果、戻しピン32(軸32c)が意図せず移動することによってリターン弁40の弁体40bが開き位置となって、流体が流体タンク34からリターン流路36へ逆流する等の弊害を防止することができる。
【0031】
(変形例2)
さらに、別の変形例として、図5に示すように、戻しピン32を、本体部33および当該本体部33の一端に設けられた押動面32aがいずれも流体タンク34の外壁部34aより内側に配設されている構成とすることも考えられる。すなわち、戻しピン32の全体が流体タンク34の内部に配設される構成である。より具体的には、戻しピン32は、押動面32aが、流体タンク34のエラストマー材料によって弾性変形可能に形成された外壁部34aの外面に設けられた押動点34bが所定距離押動された際に当該押動点34bに対して表裏の位置関係にある内面に設けられた当接点34cと当接可能となるように配設される構造に構成されている。なお、押動点34bは電動工具10外部の戻しレバー31に対応する内部に設けられているため、作業者は戻しレバー31を押すことによって押動点34bを押圧することができる。
【0032】
本例によれば、流体タンク34の外壁部34aに本体部33の挿通部位を設けない構成とすることができるため、当該挿通部位からの流体の流出事故を防止することができる。また、戻しピン32の全体が流体タンク34の内部に配設されることによって、戻しピン32の全長を短縮することができる。これによって、電動工具10を軽量化し、材料コストを削減することができる。さらに、戻しピン32の外気への接触がなくなるため、金属部材(一例として、鉄)によって形成される戻しピン32の表面処理(一例として、酸化被膜処理、めっき等)工程を省略することができる。これによって、製造コストも削減することができる。
【0033】
以上、説明した通り、本発明に係る電動工具によれば、ピストンの後退機構に係る戻しピンは、全体もしくは一部が前記流体タンクの内部に配設される。また、直接もしくは前記流体タンクの弾性変形可能に構成された外壁部を介して押動される位置に配設される。これによって、戻しピンの全体が流体タンクの外部に配設される構成であった従来の電動工具に比べて、本体部における戻しピンが設けられていたスペースを削減することができる。したがって、電動工具の全長を短縮させ、小型化を実現することができる。またこれに伴って、本体部における戻しピンの配設部位に設けられていた中心部材を削減し、さらには流体ポンプの全長を短縮することができる。これによって、材料コストを削減することができ、軽量化を図ることができるため、作業者の操作負担も軽減することが可能になる。
【0034】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 電動工具
12 本体部
14 取付部
16 工具ヘッド(口金)
18 バッテリ
22 起動スイッチノブ
23 電気モータ
26 流体ポンプ
28 シリンダ
30 ピストン
31 戻しレバー
32 戻しピン
32a 押動面
32b 作動部
32c 軸
33 本体部
33a 第1本体部
33b 第2本体部
34 流体タンク
34a 外壁部
34b 押動点
34c 当接点
36 リターン流路
36a 第1流路
36b 第2流路
40 リターン弁
図1
図2
図3
図4
図5