(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】プローブカード保持具
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20220908BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20220908BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
(21)【出願番号】P 2018183116
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】廣田 英輝
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴生
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】菊地 義徳
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-251813(JP,A)
【文献】特開2011-064659(JP,A)
【文献】特開2003-324132(JP,A)
【文献】特開2014-103358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のフレーム部の下面側にプローブカードを保持するプローブカード保持具であって、
上記フレーム部は、板状部材の中央部に、上記プローブカードと同程度の大きさの開口部を有しており、
上記フレーム部における上記開口部の周縁部に設けられ、上記プローブカードの周縁部の下面を、上方向に付勢しながら保持する複数のカード下面保持部と、
上記フレーム部における上記開口部の周縁部の下面に設けられ、上記複数のカード下面保持部により保持される上記プローブカードの周縁部の上面を支持する複数のカード上面支持部と
を備え、
上記各カード下面保持部が、
上記フレーム部の下面から上面に向けて設けられる基部と、上記フレーム部の下面側にある下面支持部とを有するL字部材と、
上記L字部材の上記基部の先端部と連結するつまみ部と、
上記つまみ部と上記フレーム部の上面との間に設けられ、上記フレーム部の下面に対して上記L字部材の上記下面支持部を上向きに付勢する付勢部材と
を有する
ことを特徴とするプローブカード保持具。
【請求項2】
上記各カード下面保持部の上記つまみ部が回転可能なものであり、
上記つまみ部の回転により、上記つまみ部と連結する上記L字部材の上記下面支持部が、上記フレーム部の上記開口部側に突出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブカード保持具。
【請求項3】
上記各カード下面保持部の上記つまみ部が上記フレーム部の上記開口部側にスライド可能なものであり、
上記つまみ部のスライドにより、上記つまみ部と連結する上記L字部材の上記下面支持部が、上記フレーム部の上記開口部側に突出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブカード保持
具。
【請求項4】
上記各カード上面支持部が、上記プローブカードの周縁部の上面を支持する上面支持部と、上記プローブカードの周縁部の端面を支持する段差部とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のプローブカード保持具。
【請求項5】
上記複数のカード下面保持部が、上記フレーム部における上記開口部の周縁部の周方向に略等間隔に設けられ、
上記複数のカード上面支持部が、上記フレーム部における上記開口部の周縁部の周方向に略等間隔に、かつ、上記各カード下面保持部と対向する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のプローブカード保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカード保持具に関し、例えば、検査装置に使用されるプローブカードを保持するプローブカード保持具に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ上に形成された多数の集積回路は、半導体ウェハから切断分離される前に、検査装置によって電気的特性が検査される。このような検査装置には、各集積回路の電極端子と電気的に接触させる複数のプローブが配設されたプローブカードを用いている。
【0003】
従来、作業者が検査装置にプローブカードを装着したり又は検査装置からプローブカードを取り外したりする際、作業者はプローブカードを手でハンドリングすることが多く、誤ってプローブカードに設けられているプローブに触れてしまい、プローブが欠損してしまうこともある。
【0004】
特許文献1には、プローブカードの取り扱いを容易にするために、プローブカードを収納するプローブカード搬送ケースが開示されている。特許文献1に開示されるプローブカード搬送ケースは、上側ケースと下側ケースとで構成されるものである。より具体的に、作業者は、下側ケースの底部にプローブカードを位置決めしながら載置し、プローブカードを載置した状態で、下側ケースの上に上側ケースを被せて固定するものである。つまり、特許文献1に開示されるプローブカード搬送ケースは、上側ケースと下側ケースとでプローブカードを固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるプローブカード搬送ケースの上側ケースには板状の天板部が設けられているため、天板部がプローブカードの上面に多数配置されている電子部品と接触(干渉)してしまうことがあるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示されるプローブカード搬送ケースは、上側ケースと下側ケースの2つの部材でプローブカードを固定するものであるので、操作性が複雑であり、より取り扱い易いものが要求されている。
【0008】
そのため、プローブカードの上面に設けられている複数の電子部品に対する干渉を回避することができ、プローブカードを保持するための操作性をより簡単に、かつ、安定的にプローブカードを保持することができるプローブカード保持具が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明に係るプローブカード保持具は、板状のフレーム部の下面側にプローブカードを保持するプローブカード保持具であって、(1)フレーム部は、板状部材の中央部に、プローブカードと同程度の大きさの開口部を有しており、(2)フレーム部における開口部の周縁部に設けられ、プローブカードの周縁部の下面を、上方向に付勢しながら保持する複数のカード下面保持部と、(3)フレーム部における開口部の周縁部の下面に設けられ、複数のカード下面保持部により保持されるプローブカードの周縁部の上面を支持する複数のカード上面支持部とを備え、各カード下面保持部が、(1-1)フレーム部の下面から上面に向けて設けられる基部と、フレーム部の下面側にある下面支持部とを有するL字部材と、(1-2)L字部材の基部の先端部と連結するつまみ部と、(1-3)つまみ部とフレーム部の上面との間に設けられ、フレーム部の下面に対してL字部材の下面支持部を上向きに付勢する付勢部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プローブカードの上面に設けられている複数の電子部品に対する干渉を回避することができ、プローブカードを保持するための操作性をより簡単に、かつ、安定的にプローブカードを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係るプローブカード保持具の平面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るプローブカード保持具の側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るプローブカードの構成を示す構成図である。
【
図4】第1の実施形態に係るカード下面保持部の構成を示す構成図である。
【
図5】第1の実施形態に係るカード上面支持部の構成を示す構成図である。
【
図6】第2の実施形態に係るプローブカード保持具の平面図である。
【
図7】第2の実施形態に係るプローブカード保持具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係るプローブカード保持具の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(A-1)第1の実施形態の構成
[プローブカードの構成]
まず、第1の実施形態に係るプローブカード保持具を用いて搬送するプローブカードの構成の一例を例示する。
【0014】
図3は、第1の実施形態に係るプローブカードの構成を示す構成図である。
図3(A)は、プローブカードの平面図であり、
図3(B)は、プローブカードの側面図である。
【0015】
図3(A)において、第1の実施形態に係るプローブカード200は、例えば円形又は多角形(例えば、16角形)の板状の本体部201と、本体部201の上面周縁部において周方向に等間隔に配置されている複数の係合部202a~202fとを有する。
【0016】
各係合部202a~202fは、検査装置(図示しない)のテーブルにプローブカード200をセットする際に、検査装置のテーブルに設けられている複数の被係合部(図示しない)と係合する部分である。複数の係合部202a~202fのうち、係合部202b、202d、202fは、略三角形状の切り欠き部206とU字形状の係合部207とを有する。各係合部202a~202fが、検査装置のテーブルにおける、対応する各被係合部と係合することにより、テーブル上でプローブカード200を位置決めすると共に、プローブカード200を検査装置のテーブルに固定することができる。
【0017】
本体部201には、多数のプローブ205が設けられており、
図3(B)に示すように、本体部201の下面204において、各プローブ205の一端(下端部)が突出している。プローブカード200が検査装置のテーブルにセットされて、プローブカード200が被検査体(半導体ウェハ上の各集積回路)に対して上から下に向けて押さえ込まれることにより、本体部201の下面204から突出している各プローブ205の一端が被検査体の各電極に電気的に接触する。
【0018】
本体部201の上面203には、当該上面203のほぼ一面に多数の電極(図示しない)が配置されている。
図3(A)では図示しないが、被検査体の電気的特性を検査するために、本体部201の上面には複数の電子回路が設けられており、各プローブ205の他端(上端部)が電子回路の電極と接触する。
【0019】
なお、上述したプローブカード200の構成は一例であり、
図3に例示したものに限定されるものではない。後述するプローブカード保持具を用いて保持可能なものであれば種々のプローブカード200を用いることができる。
【0020】
[プローブカード保持具の構成]
図1は、第1の実施形態に係るプローブカード保持具の平面図である。
図2は、第1の実施形態に係るプローブカード保持具の側面図である。
【0021】
図1及び
図2において、第1の実施形態に係るプローブカード保持具100は、フレーム部101、複数(例えば4個)の位置決めブロック部102(102a~102d)、複数(例えば3個)のカード下面保持部103(103a~103c)、複数(例えば3個)のカード上面支持部104(104a~104c)、複数(例えば2個)の把手部105a及び105bを有する。
【0022】
なお、
図1及び
図2では、プローブカード保持具100がプローブカード200を保持している状態を示している。
【0023】
プローブカード保持具100は、例えば、ケースに収納されているプローブカード200を取り出して検査装置のテーブルにプローブカード200をセットする場合や、メンテナンスのために検査装置のテーブルからプローブカード200を取り外すような場合に、作業者が、プローブカード保持具100を用いてプローブカード200をハンドリングするときに利用されるものである。
【0024】
プローブカード保持具100は、
図2に示すように、各カード下面保持部103a~103cがプローブカード200の周縁部の下面部分を支持し、各カード上面支持部104a~104cがプローブカード200の周縁部の上面部部分を支持することにより、プローブカード200を安定して保持するものである。
【0025】
[フレーム部101の開口部101a]
フレーム部101は、プローブカード200のサイズよりも大きい板状部材であり、フレーム部101の外形は略矩形形状である。なお、フレーム部101の外形は、特に限定されるものではなく、例えば、プローブカード200を収納しているケースにおいて、プローブカード200を収納しているケース内部の形状等に応じて適宜変えるようにしてもよい。
【0026】
また、板状部材のフレーム部101の中央部には、プローブカード200の外形サイズと同程度であり、プローブカード200の外形形状に対応させた開口形状の開口部101aが設けられている。このように、フレーム部101の中央部に開口部101aを設けることにより、プローブカード保持具100を用いてプローブカード200を保持したときに、プローブカード200の上面203にある複数の電子部品が、プローブカード保持具100の部材との接触(干渉)を回避することができる。その結果、プローブカード200に設けられている電子部品の欠損等を防止できる。
【0027】
また、フレーム部101の中央部に開口部101aがあることにより、作業者は、当該開口部101aに下に保持されるプローブカード200の上面203の状態を確認することができる。例えば、プローブカード200の上面203に異物等の有無を確認することができる。
【0028】
ここで、
図2に示すように、この実施形態では、フレーム部101の開口部101aの開口形状が、プローブカード200の外形形状と同程度又はわずかに大きく、且つ、プローブカード200の外形形状に対応させた形状である場合を例示している。これは、
図3(A)に示すように、プローブカード200において電子部品が配置される領域が上面203のほぼ一面に亘る広い範囲であるためである。しかし、少なくとも、電子部品との干渉を回避することができるのであれば、開口部101aの開口形状は
図2に例示する形状に限定されるものではない。
【0029】
[位置決めブロック部102]
複数の位置決めブロック部102a~102dはそれぞれ、プローブカード保持具100でプローブカード200を保持する際、又は、プローブカード保持具100からプローブカード200を取り外す際に、プローブカード保持具100を位置決めする部材である。
【0030】
この実施形態では、位置決めブロック部102a及び102dは、フレーム部101の4辺のうちのある1辺に設けられており、位置決めブロック部102b及び102cは、位置決めブロック部102a及び102dに対向する辺に設けられている場合を例示している。
【0031】
例えば、プローブカード200を収納しているケース内部には、プローブカード保持具100の各位置決めブロック部102a~102dの位置と対応する位置に、複数の位置決め部(図示しない)が設けられている。ケースに収納されているプローブカード200をプローブカード保持具100で取り出す際に、作業者は、プローブカード保持具100の各位置決めブロック部102a~102dを、ケース内部の各位置決め部(図示しない)に嵌合させる。これにより、ケースに対してプローブカード保持具100の位置を決めることができ、正しい位置及び正しい姿勢で、ケースに収納されているプローブカード200を取り出すことができる。
【0032】
また、ケース内部に設けられている複数の位置決め部(図示しない)は、ケース内部の底面から所定の高さ位置に設けられている。従って、プローブカード保持具100の各位置決めブロック部102a~102dを、ケース内部の各位置決め部(図示しない)に嵌合させたときに、プローブカード保持具100の開口部101aの下に、プローブカード200が位置すると共に、後述する各カード下面保持部103のL字部材25(
図4参照)を下向きに引き出したときに十分な高さを確保することができる。
【0033】
また例えば、検査装置においてテーブルにも同様、プローブカード保持具100の各位置決めブロック部102a~102dの位置と対応する位置に、複数の位置決め部(図示しない)が設けられている。プローブカード保持具100で保持しているプローブカード200を、検査装置のテーブルに装着する際、作業者は、プローブカード保持具100の各位置決めブロック部102a~102dを、テーブルの各位置決め部(図示しない)に嵌合させる。これにより、検査装置のテーブルに対して、プローブカード保持具100の位置を決めることができ、正しい位置及び正しい姿勢で、プローブカード200をテーブルに装着することができる。
【0034】
また、テーブルに設けられている複数の位置決め部(図示しない)は、テーブルの底面から所定の高さ位置に設けられている。従って、プローブカード保持具100の各位置決めブロック部102a~102dを、ケース内部の各位置決め部(図示しない)に嵌合させたときに、プローブカード保持具100の開口部101aの下に、プローブカード200が位置すると共に、後述する各カード下面保持部103のL字部材25(
図4参照)を下向きに引き出したときに十分な高さを確保することができる。
【0035】
[カード下面保持部103]
複数のカード下面保持部103(103a~103c)はそれぞれ、保持対象のプローブカード200の周縁部の下面部分を、下から上に向けて付勢しながら保持するものである。各カード下面保持部103(103a~103c)は、「OPEN」位置と「LOCK」位置との間で回転可能である。「LOCK」位置では、各カード下面保持部103を構成するL字部材25のカード支持部251(
図4参照)が開口部101aから突出し、プローブカード200の周縁部の下面を付勢しながら支持することができる状態となる。「OPEN」位置では、各カード下面保持部103を構成するL字部材25のカード支持部251が開口部101aから非突出となる状態となる。なお、カード下面保持部103の構成の詳細な説明は
図4を用いて後述する。
【0036】
各カード下面保持部103(103a~103c)は、開口部101aに対するフレーム部101の周縁部において周方向に略等間隔(略等角度の間隔)で配置されている。例えば、
図1の例では、略60°の間隔でフレーム部101の周縁部に各カード下面保持部103a~103cが配置されている。
【0037】
なお、カード下面保持部103の数は特に限定されるものではなないが、プローブカード200を均等に安定して保持するために、2個以上のカード下面保持部103を設けることが望ましい。
【0038】
図4は、第1の実施形態に係るカード下面保持部103の構成を示す構成図である。
図4(A)は、下向き荷重がかかっていないときのカード下面保持部103の状態を示す図であり、
図4(B)は、下向き荷重がかかっているときの下方押下時のカード下面保持部103の状態を示す図である。
【0039】
図4(A)及び
図4(B)において、カード下面保持部103は、主として、つまみ部21、第1の受け部22、付勢部材23、第2の受け部24、L字部材25を有する。
【0040】
例えば、プローブカード保持具100のフレーム部101に対して垂直方向の延びるL字部材25の基部252は、フレーム部101の下面から、フレーム部101の貫通孔に差し込まれ、基部252の上部がフレーム部101の上面から突出する。フレーム部101の上面に突出しているL字部材25の基部252には、第2の受け部24の中央部に設けられた孔部(図示しない)が差し込まれ、さらに例えばコイルバネ等の付勢部材23が設けられる。つまり、L字部材25の基部252が、付勢部材23であるコイルバネに内挿される。
【0041】
さらに、基部252の上部を内挿している付勢部材23の上端部を支持する第1の受け部22が、付勢部材23の上に設けられる。L字部材25の基部252の上端部とつまみ部21とは、例えば螺合等の連結可能な構造となっており、つまみ部21がL字部材25の基部252の上端部と連結される。
【0042】
つまみ部21は、作業者により操作される部分であり、付勢部材23に対して下向き荷重を加えたり、又は、L字部材25を回動させたりするものである。
【0043】
図4(A)に示すように、カード下面保持部103が「OPEN」位置にあるときは、付勢部材23による付勢力を受けて、L字部材25と連結しているつまみ部21はフレーム部101から離れる方向に付勢するので、L字部材25のカード支持部251が、プローブカード保持具100のフレーム部101に対して上向きに付勢しながら、フレーム部101の下面に接している。
【0044】
プローブカード保持具100でプローブカード200を保持する場合、作業者は、つまみ部21を下向きに押し込みながら、つまみ部21を「OPEN」位置から「LOCK」位置に回転させる。具体的には、作業者により下向き荷重がつまみ部21に加えられると、付勢部材23が圧縮(蓄勢)する。このとき、L字部材25も下向きに移動するので、「OPEN」の位置でフレーム部101の下面と接していたL字部材25のカード支持部251は、フレーム部101の下面から離れる方向に移動する。付勢部材23が圧縮している状態で、作業者によりつまみ部21が回転すると、つまみ部21と連結しているL字部材25も回動する。これにより、「LOCK」位置では、L字部材25のカード支持部251が開口部101a側に突出し、L字部材25のカード支持部251が、プローブカード200の周縁部の下側に位置する。その後、つまみ部21を下向きに押し込んでいる作業者がつまみ部21を放すと、下向き荷重が開放され、圧縮(蓄勢)していた付勢部材23が復元し、L字部材25が上方向に移動し、L字部材25のカード支持部215がプローブカード200の周縁部の下面部分を付勢しながら支持する。
【0045】
このようにして、各カード下面保持部103(103a~103c)は、プローブカード200の周縁部の下面部分を下から上に向けて保持する。また、各カード下面保持部103(103a~103c)は、例えば略60°の間隔で配置されているので、プローブカード保持具100の下側にあるプローブカード200を安定して保持することができる。
【0046】
[カード上面支持部104]
複数のカード上面支持部104a~104cはそれぞれ、複数のカード下面保持部103(103a~103c)が下から上に向けて保持するプローブカード200の周縁部の上面部分を支持するものである。
【0047】
各カード上面支持部104(104a~104c)は、開口部101aに対するフレーム部101の周縁部の下面に設けられる。各カード上面支持部104(104a~104c)は、開口部101aに対するフレーム部101の周縁部において周方向に略等間隔(略等角度の間隔)に配置され、かつ、各カード下面保持部103(103a~103c)と対向する位置に配置される。例えば、
図1の例では、略60°の間隔でフレーム部101の周縁部に各カード上面支持部104a~104cが配置されている。
【0048】
なお、カード上面支持部104の数は特に限定されるものではなないが、プローブカード200を均等に安定して保持するために、2個以上のカード上面支持部104を設けることが望ましい。
【0049】
また、プローブカード200を安定して保持するために、各カード上面支持部104は、各カード下面保持部103と対向する位置に配置されることが望ましい。
図1の例の場合、3個のカード下面保持部103a~103cがプローブカード200の周縁部を下から上に向けて付勢しながら支持し、各カード下面保持部103a~103cと対向する位置にある3個のカード上面支持部104a~104cがプローブカード200の周縁部の上面部分を支持する。これにより、バランスを保ちながらプローブカード200を安定して保持することができる。
【0050】
図5は、第1の実施形態に係るカード上面支持部104の構成を示す構成図である。
図5(A)は、カード上面支持部104の側面図であり、
図5(B)は、カード上面支持部104の底面図である。
【0051】
カード上面支持部104は、上面支持部31、端面支持部32を有し、上面支持部31及び端面支持部32は、例えば合成樹脂等で形成されたものが好ましい。上面支持部31及び端面支持部32は、それぞれ異なる部材であってもよいし、一体的に形成された部材であってもよい。
【0052】
上面支持部31は、各カード下面保持部103により下から上に向けて付勢されたプローブカード200の周縁部の上面部分を支持するものである。
図5(A)に示すように、上面支持部31の端部(
図5(A)の左側の端部)が、フレーム部101の開口部101a側の端部からわずかに突出した状態で、上面支持部31はフレーム部101の下面に固定される。
【0053】
端面支持部32は、上面支持部31の下方に設けられており、上面支持部31の下面311に対して下方側に段差部321を形成している。端面支持部32の段差部321の位置は、プローブカード200のサイズを考慮して、プローブカード200のサイズに対してわずかに余裕を持たせた位置に設けられている。そのため、上面支持部31に接しているプローブカード200の周縁部の端面は、端面支持部32の段差部321に接触可能となっている。換言すると、上面支持部31に接しているプローブカード200の周縁部の端面は、端面支持部32の段差部321に必ず接触するというものではなく、プローブカード200がわずかに左右方向に移動したときに、プローブカード200の周縁部の端面が端面支持部32の段差部321に当たり、プローブカード200の左右方向のブレを抑えることができる。
【0054】
なお、端面支持部32の段差部321は、カード上面支持部104の長手方向に沿って直線的にした場合を例示したが、プローブカード200の形状に応じて、円弧状の段差部321としてもよい。
【0055】
(A-2)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、プローブカード保持具のフレームの中央部には開口部が設けられているので、保持しているプローブカードの上面の状態を作業員が確認することができる。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、複数のカード下面保持部がプローブカードの周縁部を下から上に向けて付勢しながら支持し、各カード下面保持部と対向する位置にある複数のカード上面支持部がプローブカードの周縁部の上面部分を支持することにより、バランスを保ちながらプローブカードを安定して保持することができる。
【0057】
さらに、第1の実施形態によれば、プローブカード保持具の下面側で、プローブカードを保持するものであり、各カード下面保持部のつまみ部を下向きに押しながら回転させ、その後作業員はつまみ部を離すという簡単な操作で、プローブカードを安定的に保持することができる。
【0058】
また、第1の実施形態によれば、プローブカードの周縁部の上面部分を支持するカード上面支持部が段差部を有しているので、保持しているプローブカードの左右方向のズレを抑えることができる。
【0059】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係るプローブカード保持具の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0060】
(B-1)第2の実施形態の構成
図6は、第2の実施形態に係るプローブカード保持具の平面図である。
図7は、第2の実施形態に係るプローブカード保持具の側面図である。
【0061】
第2の実施形態に係るプローブカード保持具100Aは、フレーム部101、複数(例えば4個)の位置決めブロック部102(102a~102d)、複数(例えば3個)のカード下面保持部303(303a~303c)、複数(例えば3個)のカード上面支持部104(104a~104c)、複数(例えば2個)の把手部105a及び105bを有する。
【0062】
第2の実施形態のプローブカード保持具100Aは、各カード下面保持部303の構成が、第1の実施形態と異なる。従って、以下では、各カード下面保持部303の構成を中心に説明する。
【0063】
第1の実施形態の各カード下面保持部103は、つまみ部21でL字部材25を回転させることで、L字部材25のカード支持部251を開口部101a側に突出させるようにした。
【0064】
これに対して、第2の実施形態の各カード下面保持部303は、フレーム部101において各カード下面保持部303自体をスライドさせることで、L字部材25のカード支持部251を開口部101a側に突出させる。
【0065】
各カード下面保持部303の基本的な構成は、第1の実施形態の
図4(A)及び
図4(B)と対応するものを適用できる。従って、ここでも必要に応じて
図4(A)及び
図4(B)を参照しながら、各カード下面保持部303の構成を説明する。
【0066】
プローブカード保持具100Aのフレーム部101において、各カード下面保持部303(303a~303c)の位置には、「OPEN」位置から「LOCK」位置までスライドする各カード下面保持部303(303a~303c)をガイドするガイド部306(306a~306c)が設けられている。ガイド部306(306a~306c)は、例えば、長穴等とすることができる。
【0067】
各カード下面保持部303が「OPEN」位置にあるときは、付勢部材23による付勢力を受けて、L字部材25と連結しているつまみ部21はフレーム部101から離れる方向に付勢するので、L字部材25のカード支持部251が、プローブカード保持具100Aのフレーム部101に対して上向きに付勢しながら、フレーム部101の下面に接している。
【0068】
プローブカード保持具100Aでプローブカード200を保持する場合、作業者は、つまみ部21を下向きに押し込みながら、つまみ部21を「OPEN」位置から「LOCK」位置にスライドさせる。
【0069】
具体的には、作業者により下向き荷重がつまみ部21に加えられると、付勢部材23が圧縮(蓄勢)する。L字部材25も下向きに移動するので、フレーム部101の下面と接していたL字部材25のカード支持部251は、フレーム部101の下面から離れる方向に移動する。付勢部材23が圧縮している状態で、作業者によりつまみ部21を開口部101a側に移動させることで、つまみ部21と連結しているL字部材25も開口部101a側に移動する。「LOCK」位置では、L字部材25のカード支持部251が開口部101a側に突出し、L字部材25のカード支持部251が、プローブカード200の周縁部の下側に位置する。その後、つまみ部21を下向きに押し込んでいる作業者がつまみ部21を放すと、下向き荷重が開放され、圧縮(蓄勢)していた付勢部材23が復元し、L字部材25が上方向に移動し、L字部材25のカード支持部215がプローブカード200の周縁部の下面部分を付勢しながら支持する。
【0070】
このように、各カード下面保持部303a~303cは、プローブカード200の周縁部の下面部分を下から上に向けて付勢しながら支持することができる。
【0071】
また、第1の実施形態と同様に、各カード上面支持部104は、プローブカード200の周縁部の上面部分を支持するので、バランスを保ちながらプローブカードを安定して保持することができる。
【0072】
(B-2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0073】
また、第2の実施形態によれば、各カード下面保持部のつまみ部を下向きに押しながらスライドさせるという簡単な操作で、プローブカードを安定的に保持することができる。
【符号の説明】
【0074】
100及び100A…プローブカード保持具、101…フレーム部101…開口部、102(102a~102c)…位置決めブロック部、
103(103a~103c)及び303(303a~303c)…カード下面保持部、21…つまみ部、22…第1の受け部、23…付勢部材、24…第2の受け部、25…L字部材、251…カード支持部、252…基部、
104(104a~104c)…カード上面支持部、31…上面支持部、311…下面、32…端面支持部、321…段差部、
105a及び105b…把手部、306a~306c…ガイド部。