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特許7138033印刷機及び印刷機の制御方法並びに印刷機のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】印刷機及び印刷機の制御方法並びに印刷機のプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41F 27/12 20060101AFI20220908BHJP
   B41F 33/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B41F27/12 D
B41F33/00 620
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018231583
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020093427
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲太
(72)【発明者】
【氏名】折本 真二
(72)【発明者】
【氏名】久保 良典
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-007597(JP,A)
【文献】特開2008-221487(JP,A)
【文献】特開2001-277472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0109228(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008049474(DE,A1)
【文献】特開2014-117920(JP,A)
【文献】特開2015-020310(JP,A)
【文献】特開平09-174820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 21/00-33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷版を版胴に向けて給版するための給版装置を備え、該給版装置は、刷版を案内する刷版案内板と、刷版を刷版案内板に吸引する吸引器と、刷版を吸引した該吸引器を版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させるための伸縮装置と、を備え、該伸縮装置の伸縮量を検出する検出手段を設け、前記伸縮装置を駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、前記検出手段により検出される伸縮装置の検出伸長量が、前記伸縮装置を正常時において伸長駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの該伸縮装置の正規の伸長量を越えたときに、報知する報知手段を設けたことを特徴とする印刷機。
【請求項2】
前記位置決めした状態からの経過時間となる前記所定時間よりも短い第2の所定時間が経過するまでに、前記検出伸長量が前記正規の伸長量を越えたときに、版挿入エラーと判断して給版装置の駆動を中断する中断手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
前記版胴の回転位置を検出する回転位置検出手段を設け、前記伸縮装置で刷版を前記くわえクランプ装置側に向けて移動させる際に、前記回転位置検出手段から検出される版胴の回転位置が、前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部が位置決め可能となる所定範囲から外れている場合に、前記伸縮装置の伸長量を調整する微調整手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機。
【請求項4】
刷版を案内する刷版案内板に該刷版を吸引器により吸引した状態で該吸引器を伸縮装置の伸長作動により版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させる移動ステップと、前記伸縮装置の伸縮量を検出する検出ステップとを備えている印刷機の制御方法であって、
前記伸縮装置を駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、前記検出ステップにより検出される伸縮装置の伸縮量が、前記伸縮装置を正常時の前記移動ステップにおいて伸長駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの該伸縮装置の正規の伸長量を越えたときに、報知する報知ステップと、を設けたことを特徴とする印刷機の制御方法。
【請求項5】
刷版を版胴に向けて給版するための給版装置を備え、該給版装置は、刷版を案内する刷版案内板と、刷版を刷版案内板に吸引する吸引器と、刷版を吸引した該吸引器を版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させるための伸縮装置と、を備えている印刷機において、
前記伸縮装置を伸長作動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を給版方向で位置決めする処理を、コンピュータを用いて自動で行うための印刷機のプログラムであって、
前記コンピュータを、前記伸縮装置の伸縮量を検出する検出手段、前記伸縮装置を駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、前記検出手段により検出される伸縮装置の検出伸長量が、前記伸縮装置を正常時において伸長駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの該伸縮装置の正規の伸長量を越えたときに、報知する報知手段、
として機能させるための印刷機のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刷版を版胴に巻き付けるために版胴に向けて給版する給版装置を備えている印刷機及び印刷機の制御方法並びに印刷機のプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる印刷機では、給紙部と排紙部との間に給紙部から搬送される用紙(枚葉紙)に印刷を行う印刷部を備えている。この印刷部は、版胴に刷版を巻き付けて印刷を行う部分である。そして、前記印刷部には、刷版を版胴に巻き付けるために版胴に向けて給版する給版装置を備えている。この給版装置は、刷版を案内する刷版案内板と、刷版を刷版案内板に吸引する吸引器と、刷版を吸引した吸引器を版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させるための伸縮装置であるエアシリンダと、を備えている。したがって、エアシリンダの伸長作動により、吸引器に吸引した刷版のくわえ側端部に設けた被位置決め部を、版胴側に設けた位置決め部に給版方向で位置決めした後、版胴を回転することにより刷版を版胴に巻き付けるようにしている。
【0003】
また、前記印刷部には、刷版のくわえ側端部の被位置決め部が、版胴側の位置決め部に給版方向で位置決めしたことを検出するリードスイッチを備えている。このリードスイッチは、エアシリンダのピストンが予め設定された所定位置(刷版のくわえ側端部が位置決め部に当接する位置に対応する位置)に到達しているかどうかを検出し、その検出信号により、前記刷版側の被位置決め部が、前記版胴側の位置決め部に給版方向で位置決めされたと判断している(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、版胴側に設けた位置決め部に、刷版のくわえ側端部に設けた被位置決め部を給版方向で位置決めした状態において、エアシリンダのピストンが最大伸長側へ伸びないように、刷版に対する吸引器の吸引力がエアシリンダの伸長力よりも大きい吸引力に構成されている。そのため、エアシリンダのピストンは、前記位置決め状態の位置で伸長が阻止された状態になっている。しかしながら、吸引器の経時的劣化や吸引器へ供給するポンプの圧力低下等の原因により、位置決めした状態から所定時間が経過したときに、吸引器と刷版との間に滑りが発生してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-7597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記滑りが発生すると、前記位置決め状態で伸長が阻止されているピストンが伸長してしまう。このピストンの伸長に伴い、吸引器が刷版よりもくわえクランプ装置側に移動してしまうことになる。しかし、前記リードスイッチは、エアシリンダのピストンの位置を検出情報により検出することができるものの、滑りの状態まで検出情報だけでは確認することができない。ところで、吸引器の経時的劣化や吸引器へ供給するポンプの圧力低下が経時的に変化して大きくなってしまうと、前記所定時間が経過するまでに吸引器が刷版を滑ってしまう。すると、その勢いで位置決めされている刷版が版胴側の位置決め部から外れてしまうことがあり、刷版を版胴に巻き付けることができない事態が発生することがある。そのため、吸引器と刷版との間に滑りが生じていることをオペレータに把握させる必要があり、改善の余地があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、吸引器と刷版との間に滑りが生じていることをオペレータに把握させることができる印刷機及び印刷機の制御方法並びに印刷機のプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機は、刷版を版胴に向けて給版するための給版装置を備え、該給版装置は、刷版を案内する刷版案内板と、刷版を刷版案内板に吸引する吸引器と、刷版を吸引した該吸引器を版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させるための伸縮装置と、を備え、該伸縮装置の伸縮量を検出する検出手段を設け、前記伸縮装置を駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、前記検出手段により検出される伸縮装置の検出伸長量が、前記伸縮装置を正常時において伸長駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの該伸縮装置の正規の伸長量を越えたときに、報知する報知手段を設けたことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、伸縮装置を駆動させて版胴側の位置決め部に刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、検出手段により検出される伸縮装置の検出伸長量が、伸縮装置を正常時において伸長駆動させて版胴側の位置決め部に刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの伸縮装置の正規の伸長量を越えた場合に、吸引器と刷版との間に滑りが発生していると判断することができる。その滑りが発生していることを報知手段により報知することで、オペレータが、吸引器と刷版との間に滑りが発生していることを把握することができる。
【0010】
また、本発明に係る印刷機は、前記位置決めした状態からの経過時間となる前記所定時間よりも短い第2の所定時間が経過するまでに、前記検出伸長量が前記正規の伸長量を越えたときに、版挿入エラーと判断して給版装置の駆動を中断する中断手段を更に備えていてもよい。
【0011】
上記のように、所定時間よりも短い第2の所定時間が経過するまでに、検出伸長量が正規の伸長量を越えたときには、機器の損傷や不具合等のトラブルにより刷版に対する吸引器の吸引力の低下が大きい状態と判断することができる。その場合には、版挿入エラーと判断して、中断手段により給版装置の駆動を中断して、点検や部品の交換等を的確に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る印刷機は、前記版胴の回転位置を検出する回転位置検出手段を設け、前記伸縮装置で刷版を前記くわえクランプ装置側に向けて移動させる際に、前記回転位置検出手段から検出される版胴の回転位置が、前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決め可能となる所定範囲から外れている場合に、前記伸縮装置の伸長量を調整する微調整手段を備えていてもよい。
【0013】
伸縮装置で刷版をくわえクランプ装置側に向けて移動させる際に、機械精度(例えばモータの性能や組み付け誤差)のバラツキにより、版胴の停止位置が所定範囲からずれてしまうことがある。この状態では、刷版を版胴に巻き付けていく際に支障を来たすことがある。そこで、上記のように版胴の回転位置を検出する回転位置検出手段を設け、伸縮装置で刷版をくわえクランプ装置側に向けて移動させる際に、回転位置検出手段から検出される版胴の回転位置が、版胴側の位置決め部に刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決め可能となる所定範囲から外れている場合に、伸縮装置の伸長量を調整することによって、刷版を版胴に良好に巻き付けることができる。
【0014】
また、本発明に係る印刷機の制御方法は、刷版を案内する刷版案内板に該刷版を吸引器により吸引した状態で該吸引器を伸縮装置の伸長作動により版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させる移動ステップと、前記伸縮装置の伸縮量を検出する検出ステップとを備えている印刷機の制御方法であって、前記伸縮装置を駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、前記検出ステップにより検出される伸縮装置の伸縮量が、前記伸縮装置を正常時の前記移動ステップにおいて伸長駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの該伸縮装置の正規の伸長量を越えたときに、報知する報知ステップと、を設けたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る印刷機のプログラムは、刷版を版胴に向けて給版するための給版装置を備え、該給版装置は、刷版を案内する刷版案内板と、刷版を刷版案内板に吸引する吸引器と、刷版を吸引した該吸引器を版胴に設けたくわえクランプ装置側に向けて移動させるための伸縮装置と、を備えている印刷機において、前記伸縮装置を伸長作動させて版胴側の前記位置決め部に刷版のくわえ側端部の前記被位置決め部を給版方向で位置決めする処理を、コンピュータを用いて自動で行うための印刷機のプログラムであって、前記コンピュータを、前記伸縮装置の伸縮量を検出する検出手段、前記伸縮装置を駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、前記検出手段により検出される伸縮装置の検出伸長量が、前記伸縮装置を正常時において伸長駆動させて前記版胴側の位置決め部に前記刷版のくわえ側端部の被位置決め部を位置決めしたときの該伸縮装置の正規の伸長量を越えたときに、報知する報知手段、として機能させるための印刷機のプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置決めした状態から所定時間が経過するまでに、検出手段により検出される伸縮装置の検出伸長量が、伸縮装置の正規の伸長量を越えた場合に、吸引器と刷版との間に滑りが発生していると判断することによって、吸引器と刷版との間に滑りが生じていることをオペレータに把握させることができる印刷機及び印刷機の制御方法並びに印刷機のプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】印刷機に備える給版装置の駆動を制御するブロック図である。
図2】刷版セット姿勢にした刷版案内板に刷版をセットした状態を示す給版装置の概略断面図である。
図3】刷版がセットされた刷版案内板を給版姿勢に姿勢変更した状態を示す給版装置の概略断面図である。
図4】給版姿勢の刷版案内板の刷版を版胴に位置決めした状態を示す給版装置の概略断面図である。
図5】給版装置の背面図である。
図6】給版装置の動作を示すフローチャートである。
図7】給版装置の動作前の版胴の位置合わせ動作を示すサブフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の印刷機を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
印刷機は、上流側に給紙部(図示せず)を備え、下流側に排紙部(図示せず)を備え、それら中間に印刷部(印刷ユニットとも呼ばれる)を配設している。印刷部は、印刷に使用するインキの色の数だけ設けられるが、ここでは、1個の印刷部のみを説明する。
【0020】
印刷部は、図2に示すように、本体カバー1と、本体カバー1に内装され刷版3を巻き付けるための版胴2と、版胴2にインキを供する複数のインキローラを有するインキ装置(図示せず)と、刷版3を版胴2に供給するための給版装置4と、を備えている。版胴2は、本体カバー1の両側壁1A,1Aに支軸2Aを介して回転自在に支持されている。また、ゴム胴(ブランケット胴とも呼ばれる)が、版胴2に転接可能に配置されている。
【0021】
本体カバー1は、両側板1A,1A間の下流側に配置される下流側前板1Fを備え、下流側前板1Fは、両側板1A,1A間に上下動可能に取り付けられることで、両側板1A,1A間の下流側を開閉可能に構成されている。
【0022】
版胴2は、刷版3をくわえるための公知のくわえクランプ装置6を備えている。このくわえクランプ装置6は、刷版3のくわえ側端部(図1では下端部)3Aをくわえるくわえ側版締部6Aと、刷版3の尻側端部(図1では上端部)3Bをくわえる尻側版締部6Bと、を周方向に対となるように備えている。くわえ側版締部6Aは、位置決め部として、版胴2の軸心方向(以下において幅方向という)に互いに所定距離だけ離間した円柱状で一対の突起6T,6T(図5参照)を備えている。また、刷版3のくわえ側端部3Aに、位置決め用凹部として、突起6T,6Tに係止する被位置決め部としての半円状の切欠3K,3K(図5参照)が形成されている。後述するエアシリンダ12を伸長作動させることにより、刷版3のくわえ側端部3Aの切欠3K,3Kが版胴2の突起6T,6Tに係止して両者が位置決めされる。
【0023】
下流側前板1Fの下部には、前記給版装置4を備えている。この給版装置4は、図2及び図5に示すように、刷版3を案内する刷版案内板7と、刷版3を刷版案内板7側に吸引する吸引器8を有する吸引装置11と、刷版3を吸引した吸引器8を版胴2に設けたくわえクランプ装置6側に向けて移動させるための伸縮装置としての左右のエアシリンダ12と、を備えている。
【0024】
刷版案内板7は、上端部の支軸13により揺動自在に構成され、下流側前板1Fの両側部にそれぞれ備えた伸縮自在なシリンダ装置14(図5参照)により揺動されて、版胴2から遠ざかって刷版3をセットする刷版セット姿勢(図2に示す下流側前板1Fと面一となる姿勢)と、前記版胴2に近づいて刷版3を版胴2に給版するための給版姿勢(図3及び図4参照)とに姿勢変更可能に構成されている。
【0025】
吸引装置11は、図5に示すように、刷版案内板7の裏面側に設けられ、刷版案内板7に幅方向に所定間隔を置いて形成された複数の縦長状の長孔7Aのそれぞれに前方に一部が突出するように挿通された前記吸引器(サッカーともいう)8と、それら吸引器8に接続される幅方向に長い吸引パイプ9と、吸引パイプ9の幅方向中間部に接続された吸引継手10を介して接続される吸引ポンプ(サッカーポンプともいう、図1参照)Pと、を備えている。
【0026】
前記吸引パイプ9には、図5に示す刷版案内板7に固定された一対の支持装置15(特開2006-7597号公報に記載のものと同一であるため、詳細説明は省略する)にそれぞれ支持された伸縮装置である前記エアシリンダ12のシリンダチューブ12Bの下端部が連結されている。左右のエアシリンダ12のピストン12Aを伸縮させることによって、吸引パイプ9を給版方向で移動させることができる。この吸引パイプ9の移動に伴って複数(図5では4個)の吸引器8がそれぞれに対応する長孔7A内を移動する。具体的には、吸引器8が長孔7Aの上方に位置して刷版3を吸引する吸引位置A1(図2及び図3並びに図5の実線参照)と、吸引器8が長孔7Aの下方に位置してくわえクランプ側に位置する給版位置A2(図4及び図5の2点鎖線)との2位置に、エアシリンダ12の伸縮作動により切り替え可能に構成されている。ここで、エアシリンダ12の伸長作動により、版胴2側に設けた位置決め部である一対の突起6T,6Tに、刷版のくわえ側端部に設けた被位置決め部である切欠3K,3Kを給版方向で位置決めした状態において、エアシリンダ12が最大伸長側へ伸びないように、刷版3に対する吸引器8の吸引力がエアシリンダ12の伸長力よりも大きい吸引力に構成されている。そのため、エアシリンダ12のピストン12Aは、前記位置決め状態の位置で伸長が阻止される。しかしながら、吸引器8の経時的劣化や吸引器へ供給する後述のサッカーポンプPの圧力低下等の原因により、位置決めした状態から所定時間(後述するx秒)が経過したときに、吸引器8と刷版3との間に滑りが発生してしまうことがある。
【0027】
図2図4に示すように、エアシリンダ12のシリンダチューブ12Bに、ピストン12Aの伸縮量を検出する検出手段としての位置センサ16が取り付けられている。この位置センサ16は、ピストン12Aが伸縮した時に変化する磁気に基づいて位置センサ16に供給されている電圧値又は電流値をアナログ出力することによりピストン12Aの伸縮量を検出する。位置センサとしては、位置検出用の磁気センサを用いている。
【0028】
印刷機の給版装置4を駆動する制御装置17のブロック図を、図1に示している。この制御装置17を構成するインターフェース18には、エアシリンダ12の電磁弁19、印刷機の駆動用のモータ20、この駆動用のモータ20とベルト連結されて回転する給紙胴(図示せず)に設けられた回転位置検出用のエンコーダ21、サッカーポンプ(吸引ポンプ)P、位置センサ16、報知手段22、中断手段27が接続されるとともに、それらエンコーダ21、位置センサ16からの出力信号に基づいて演算や各種の指令信号を出力するためのマイクロプロセッサ23が接続されている。マイクロプロセッサ23には、読み出し専用のROM24及び読み書きが可能なRAM25が接続されている。
【0029】
印刷機では、前記駆動用のモータ20により給紙胴及び版胴2が一体回転されるように構成されている。そのため、給紙胴の回転位置を検出する前記エンコーダ21の回転位置情報を演算することにより、版胴2の回転位置を検出することができる。つまり、エンコーダ21が、版胴2の回転位置を検出する回転位置検出手段を構成している。そして、エアシリンダ(伸縮装置)12で刷版3をくわえクランプ装置6側に向けて移動させる際に、エンコーダ21から検出される版胴2の回転位置が所定範囲(刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)が版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に位置決め可能となる範囲)から外れている場合に、前記伸縮装置の伸長量を調整する微調整手段26を備えている。ところで、エアシリンダ(伸縮装置)12で刷版3をくわえクランプ装置6側に向けて移動させる際に、機械精度(例えばモータの性能や組み付け誤差)のバラツキにより、版胴2の停止位置が僅かに所定の停止位置(所定範囲)からずれてしまうことがある。この状態では、刷版3を版胴2に巻き付けていく際に支障を来たすことがある。そこで、エアシリンダ12で刷版3をくわえクランプ装置6側に向けて移動させる際に、エンコーダ21から検出される版胴2の回転位置が、版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)が位置決め可能となる所定範囲から外れている場合に、前記微調整手段26によりエアシリンダ12の伸長量を調整するのである。このエアシリンダ12の伸長量を調整するとは、版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)が位置決めできるように、版胴2の回転位置に応じたエアシリンダ12の伸長量を演算することである。具体的には、図3には、位置決め可能となる所定範囲に版胴2が位置している正規の位置である場合を示している。この正規の位置から例えばくわえクランプ装置6が上側に少し移動した回転位置に版胴2が位置している場合には、刷版3からくわえクランプ装置6までの距離が正規の位置よりも短くなる。その短くなった距離をエンコーダ21の検出値から求め、その求めた距離に基づいてエアシリンダ12の伸長量を演算し、その伸長量だけエアシリンダ12を伸長させることによって、刷版3を版胴2に良好に巻き付けることができる。これとは逆に、正規の位置から例えばくわえクランプ装置6が下側に少し移動した回転位置に版胴2が位置している場合には、刷版3からくわえクランプ装置6までの距離が正規の位置よりも長くなる。その長くなった距離をエンコーダ21の検出値から求め、その求めた距離に基づいてエアシリンダ12の伸長量を演算し、その伸長量だけエアシリンダ12を伸長させることによって、刷版3を版胴2に良好に巻き付けることができる。ここでは、版胴2の回転位置に応じてエアシリンダ12の伸長量を調整するようにしているが、版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)が位置決め可能となる所定範囲に入るように、版胴2を回転させるようにしてもよい。
【0030】
報知手段22は、エアシリンダ12を駆動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を位置決めした状態から所定時間(後述するx秒)が経過するまでに、検出手段である位置センサ16により検出されるエアシリンダ12の検出伸長量が、エアシリンダ12を正常時において伸長駆動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を位置決めしたときのエアシリンダ12の正規の伸長量を越えたときに、報知する手段である。報知手段22としては、ブザーを起動する、オペレータが印刷機を操作するための操作画面にメッセージを表示する、あるいは警告灯を点滅又は点灯する等が挙げられる。
【0031】
刷版3を版胴2のくわえクランプ装置6側に向けて移動させる給版装置4の駆動制御を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
まず、オペレータが版を挿入して図示しないスイッチを押すと、まず図7に示すサブフローに移行する。ここでは、版胴2が前述した所定範囲に位置しているかどうかを判断する(ステップS20)。版胴2が所定範囲に位置していない場合には、前述したように、エアシリンダ12の伸長量を版胴2の回転位置に応じて調整(演算)する(ステップ21)。調整後、又はステップS20で版胴2が所定範囲に位置している場合には、図6に戻って、版交換を開始する(ステップS1)。すると、刷版案内板7をシリンダ装置14により給版姿勢にした後、版挿入用のエアシリンダ12を伸長作動させる(ステップS2)。伸長作動しているエアシリンダ12のピストン12Aが予め設定されている所定位置に位置しているかどうかを位置センサ16からの検出信号に基づいて判断する(ステップS3)。なお、版胴2が前述した所定範囲に位置しているかどうかを判断するタイミングは、オペレータが版を挿入した後でかつエアシリンダ12の伸長作動が開始するまでであれば、どのようなタイミングであってもよい。
【0033】
ステップS3でエアシリンダ12のピストン12Aが所定位置に位置していない場合には、第1設定時間であるt1秒経過しているかどうかを判断し(ステップS4)、t1秒が経過していない間は、エアシリンダ12のピストン12Aが所定位置に位置しているかどうかを位置センサ16からの検出信号に基づいて確認する。そして、エアシリンダ12のピストン12Aが所定位置に位置していない状態で、t1秒が経過すると、エアシリンダ12の動作不足であると判断して、版挿入エラーを図示していない表示部に表示するとともに、中断手段27により、給版装置4の駆動を中断するとともに点検を行う(ステップS5)。前記所定位置とは、エアシリンダ12を伸長作動させて版胴2側に設けた位置決め部である突起6T,6Tに、刷版3のくわえ側端部3Aに設けた被位置決め部である切欠3K,3Kを給版方向で位置決めした状態になったときの正常時の伸長位置(正規位置)である。そして、位置決めした状態になったときのエアシリンダ12は、伸長作動しようとしても、前述のように、刷版3に対する吸引器8の吸引力がエアシリンダ12の伸長力よりも大きい吸引力に構成されているため、それ以上の伸長を行うことができず、その位置決め状態が維持される。なお、第1設定時間であるt1秒は、エアシリンダ12の伸長作動を開始した時から、前記所定位置に到達するまでの時間である。
【0034】
ステップS3でt1秒が経過するまでに、エアシリンダ12のピストン12Aが所定位置(前記位置決め状態となる位置に相当する位置)に位置していると判断した場合には、エアシリンダ12のピストン12Aが前記所定位置に位置した状態を第2設定時間であるt2秒経過するまでの間維持できるかどうかを判断する(ステップS6、S7)。t2秒が経過するまでに、エアシリンダ12のピストン12Aが前記所定位置に位置していない場合、つまりエアシリンダ12のピストン12Aが前記所定位置から余分に伸長している場合には、エアシリンダ12の動作過多としてステップS5に移行して版挿入エラーを図示していない表示部に表示するとともに、中断手段27により、給版装置4の駆動を中断するとともに点検を行う。前記t2秒が経過するまでに、エアシリンダ12のピストン12Aが伸長してしまう場合には、機器の損傷や不具合等の突発的なトラブルにより刷版3に対する吸引器8の吸引力の低下が大きくなっていると考えられる。この状態は、吸引器8の経時的劣化や吸引器8へ供給するサッカーポンプPの圧力低下が小さい初期状態(経年劣化により徐々に吸引力が低下していき、吸引器8の吸引力とエアシリンダ12の伸長力とのバランスが崩れそうな状態をいう)の場合に比べて、第2設定時間t2秒という短い時間内にエアシリンダ12のピストン12Aの伸長が開始され、しかもそのスピードも速いスピードとなって吸引器8が刷版3を滑ってしまうため、その勢いで位置決めされている刷版3のくわえ側端部3Aの切欠3K,3Kが版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)から外れてしまう(係止解除される)ことが発生することがある。また、突起6T,6Tの破損や刷版3の変形等により位置決めが正しく行われずに切欠3K,3Kが突起6T,6Tを通過してしまうこともある。このようなトラブルを回避するために、この実施形態では、コンピュータ(制御装置17)が版挿入エラーと判断して、中断手段27(図1参照)により給版装置4の駆動を中断して、点検や部品の交換等を的確に行うようにしている。ここでは、第2設定時間であるt2秒が、前記所定位置に到達してからの第2の所定時間としているが、t1秒に第2の所定時間を加算した時間であってもよい。
【0035】
ステップS6でエアシリンダ12のピストン12Aが所定位置に位置した状態でt2秒が経過すると、エアシリンダ12が所定位置を越えたかどうかを再度判断する(ステップS8)。所定位置を越えていない場合には、予め設定されている所定時間x秒が更に経過するまでエアシリンダ12の動作量が所定値を越えたかどうかを確認する(ステップS9)。所定時間x秒経過していないのにエアシリンダ12の動作量が所定値を越えたと判断されると、吸引器8と刷版3との間に滑りが生じていると判断し、サッカーポンプのエア圧の低下又はサッカーの劣化(経年劣化)が発生していることを図1の報知手段22により報知して次工程へ移行する(ステップS10)。所定時間x秒経過しても、エアシリンダ12の動作量が所定値を越えていない場合には、サッカーポンプ及びサッカーに問題なしと判断して次工程へ移行する(ステップS11)。前記所定時間x秒は、吸引器の経時的劣化や吸引器へ供給するポンプの圧力低下が小さく、前述した初期状態での滑り(異常)が発生すると推定される時間に設定されている。このように、刷版3の位置決め状態から所定時間x秒が経過した後に滑りが発生していることから、前述した突発的なトラブル発生ではなく、吸引器8の経時的劣化や吸引器8へ供給するサッカーポンプPの圧力低下が小さい初期状態であると判断することができる。その初期状態を報知手段22により報知することで、オペレータが、吸引器8と刷版3との間に滑りが発生していることを把握することができる。ここでは、前記所定時間x秒が、前記所定位置に到達してからの第2の所定時間よりも長い第3の所定時間としているが、t1秒に第3の所定時間を加算した時間であってもよい。
【0036】
また、本発明は、刷版3を案内する刷版案内板7側に刷版3を吸引器8により吸引した状態で吸引器8を伸縮装置(エアシリンダ12)の伸長作動により版胴2に設けたくわえクランプ装置6側に向けて移動させる移動ステップを備え、移動ステップは、刷版3に対する吸引器8の吸引力が伸縮装置(エアシリンダ12)の伸長力よりも大きくなるように構成された状態において伸縮装置(エアシリンダ12)の伸長作動により、版胴2側に設けた位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aに設けた被位置決め部(切欠3K,3K)を給版方向で位置決めさせるステップを含んでいる印刷機の制御方法であって、伸縮装置(エアシリンダ12)の伸縮量を検出する検出ステップと、伸縮装置(エアシリンダ12)を駆動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を位置決めした状態から所定時間が経過した後に、検出ステップにより検出される伸縮装置(エアシリンダ12)の伸縮量が、伸縮装置(エアシリンダ12)を正常時において伸長駆動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を位置決めしたときの伸縮装置(エアシリンダ12)の正規の伸長量を越えたときに、オペレータに報知する報知ステップと、を設けたことを特徴とする印刷機の制御方法であってもよい。
【0037】
また、本発明は、刷版3を版胴2に向けて給版するための給版装置4を備え、給版装置4は、刷版3を案内する刷版案内板7と、刷版3を刷版案内板7側に吸引する吸引器8と、刷版3を吸引した吸引器8を版胴2に設けたくわえクランプ装置6側に向けて移動させるための伸縮装置(エアシリンダ12)と、を備え、伸縮装置(エアシリンダ12)の伸長作動により、版胴側に設けた位置決め部(突起6T,6T)に、刷版3のくわえ側端部3Aに設けた被位置決め部(切欠3K,3K)を給版方向で位置決めした状態において、伸縮装置(エアシリンダ12)が最大伸長側へ伸びないように、刷版3に対する吸引器8の吸引力が伸縮装置(エアシリンダ12)の伸長力よりも大きい吸引力に構成されている印刷機において、伸縮装置(エアシリンダ12)を伸長作動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を給版方向で位置決めする処理を、コンピュータを用いて自動で行うための印刷機のプログラムであって、前記コンピュータを、伸縮装置(エアシリンダ12)の伸縮量を検出する検出手段(位置センサ16)、伸縮装置(エアシリンダ12)を駆動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を位置決めした状態から所定時間が経過した後に、検出手段(位置センサ16)により検出される伸縮装置(エアシリンダ12)の検出伸長量が、伸縮装置(エアシリンダ12)を正常時において伸長駆動させて版胴2側の位置決め部(突起6T,6T)に刷版3のくわえ側端部3Aの被位置決め部(切欠3K,3K)を位置決めしたときの伸縮装置(エアシリンダ12)の正規の伸長量を越えたときに、オペレータに報知する報知手段、として機能させるための印刷機のプログラムであってもよい。
【0038】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
前記実施形態では、伸縮装置としてエアシリンダ12を用いたが、油圧シリンダや伸縮式の電動モータ等を用いてもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、エアシリンダ12のピストン12Aの伸縮量を検出するために、位置検出用の磁気センサを用いたが、光学式や超音波式のセンサであってもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、回転位置検出手段を給紙胴の回転位置を検出するエンコーダ21から構成したが、版胴2の回転位置を直接検出する版胴用エンコーダから構成してもよい。この版胴用エンコーダを用いる場合には、版胴2の回転位置を精度よく検出することができ、好ましい。
【0042】
また、前記実施形態では、刷版案内板7をシリンダ装置14の伸縮により揺動させることにより、版胴2から遠ざかって刷版3をセットする刷版セット姿勢と、版胴2に近づいて刷版3を版胴2に給版するための給版姿勢とに刷版案内板7を姿勢変更させるようにしたが、刷版案内板7をアクチュエータによりスライド移動させることにより、版胴2から遠ざかって刷版3をセットする刷版セット姿勢と、版胴2に近づいて刷版3を版胴2に給版するための給版姿勢とに刷版案内板7を姿勢変更させてもよい。また、刷版案内板7を刷版3を版胴2に給版するための給版姿勢に固定した状態にしてもよい。この場合、刷版3を給版後に、刷版案内板7の下端が版胴2に干渉しないように、刷版案内板7と版胴2との間に十分な隙間を確保しておく必要がある。
【0043】
また、前記実施形態では、突発的なトラブル解消を行うために、図6のステップS7でt2秒経過する前にエアシリンダ12が伸びた場合(ステップS7)に、版挿入エラーを表示して中断する(ステップS5)ように構成したが、これらのうちのステップS6、S7を省略して、ステップS3からステップS8に移行する構成にして実施してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…本体カバー、1A,1A…両側壁、1F…下流側前板、2…版胴、2A…支軸、3…刷版、3A…くわえ側端部(下端部)、3B…尻側端部(上端部)、3K…切欠(被位置決め部)、4…給版装置、6…クランプ装置、6A…くわえ側版締部、6B…尻側版締部、6T…突起(位置決め部)、7…刷版案内板、7A…長孔、8…吸引器(サッカー)、9…吸引パイプ、10…吸引継手、11…吸引装置、12…エアシリンダ(伸縮装置)、12A…ピストン、12B…シリンダチューブ、13…支軸、14…シリンダ装置、15…支持装置、16…位置センサ(検出手段)、17…制御装置、18…インターフェース、19…電磁弁、20…モータ、21…エンコーダ、22…報知手段、23…マイクロプロセッサ、26…微調整手段、27…中断手段、A1…吸引位置、A2…給版位置、P…サッカーポンプ(吸引ポンプ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7