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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
B60C13/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018241648
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020100371
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】石川 直子
(72)【発明者】
【氏名】氷室 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 聡太郎
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523763(JP,A)
【文献】特開2003-246209(JP,A)
【文献】特開2017-001439(JP,A)
【文献】特開2016-084041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0174928(US,A1)
【文献】特開2014-037158(JP,A)
【文献】特開平09-048217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの外面に形成され、ベース部を有するパターン領域を有し、
前記パターン領域は、前記ベース部から0.02mm超0.1mm未満の高さで突出した複数の凸条を有し、
前記パターン領域は、前記複数の凸条を密集配置した単位パターンを有し、
前記単位パターンは、前記単位パターンに含まれる前記複数の凸条の延在長さの和Lsと、前記単位パターンの全体の面積Sとの比Ls/Sが、1.5~5.5(mm/mm )であり、
前記単位パターン内において、前記複数の凸条は、隣り合う前記凸条間の距離が、前記凸条の延在方向の一方向に向かって漸減することを特徴とする、タイヤ。
【請求項2】
前記単位パターン内において、前記凸条の延在長さが、250~350mmである、請求項に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記パターン領域は、平面視で扇形の単位パターンの繰り返しからなる、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記パターン領域のうち、前記パターン領域外に隣接する領域を端部領域とし、前記端部領域に囲まれた領域を中央領域とするとき、
前記端部領域の少なくとも一部の前記凸条の突出高さが、前記中央領域の前記凸条の突出高さよりも低い、請求項1~のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記端部領域の少なくとも一部の前記凸条の突出高さは、前記中央領域側から前記パターン領域外側へ向かって漸減する、請求項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの外面に、模様等が加工されたパターン領域を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/086363号パンフレット
【文献】特表2013/505872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術では、パターン領域における濃淡のコントラストを得ることが望まれる場合がある。また、加工されたパターンによるタイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤの外面におけるクラックの発生を抑制することも望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、タイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤの外面におけるクラックの発生を抑制しつつも、タイヤの外面のパターン領域におけるコントラストを得ることができる、タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のタイヤは、
タイヤの外面に形成され、ベース部を有するパターン領域を有し、
前記パターン領域は、前記ベース部から0.02mm超0.1mm未満の高さで突出した複数の凸条を有することを特徴とする。
本発明のタイヤによれば、タイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤ外面におけるクラックの発生を抑制しつつ、タイヤの外面のパターン領域におけるコントラストを得ることができる。
【0007】
ここで、凸条の「高さ」とは、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした際に、ベース部から該ベース部に垂直な方向に計測した高さをいうものとする。
「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、後述の「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0008】
本発明のタイヤでは、前記パターン領域は、前記複数の凸条を密集配置した単位パターンを有し、
前記単位パターンは、前記単位パターンに含まれる前記複数の凸条の延在長さの和Lsと、前記単位パターンの全体の面積Sとの比Ls/Sが、1.5~5.5(mm/mm2)であることが好ましい。
この構成によれば、コントラストをより効果的に得ることができる。
【0009】
本発明のタイヤでは、前記単位パターンにおいて、前記複数の凸条は、隣り合う前記凸条間の距離が、前記凸条の延在方向の一方向に向かって漸減することが好ましい。
この構成によれば、コントラストをさらに効果的に得ることができる。
【0010】
本発明のタイヤでは、前記単位パターンにおいて、前記凸条の延在長さが、250~350mmであることが好ましい。
上記の範囲とすることにより、コントラストをより効果的に得ることができる。
【0011】
本発明のタイヤでは、前記パターン領域は、平面視で扇形の単位パターンの繰り返しからなることが好ましい。
この構成によれば、単位パターンを密に配置して、パターン領域全体の多くの箇所でコントラストを得ることができる。
【0012】
本発明のタイヤでは、前記パターン領域のうち、前記パターン領域外に隣接する領域を端部領域とし、前記端部領域に囲まれた領域を中央領域とするとき、前記端部領域の少なくとも一部の前記凸条の突出高さが、前記中央領域の前記凸条の突出高さよりも低いことが好ましい。
この構成によれば、パターン領域からパターン領域外へと段階的にコントラストが消失するようにすることができる。
【0013】
本発明のタイヤでは、前記端部領域の少なくとも一部の前記凸条の突出高さは、前記中央領域側から前記パターン領域外側へ向かって漸減することが好ましい。
この構成によれば、パターン領域からパターン領域外へとグラデーション状にコントラストが消失するようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤ外面におけるクラックの発生を抑制しつつ、タイヤの外面のパターン領域におけるコントラストを得ることができる、タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかるタイヤを側面側から見た図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるタイヤの外面のパターン領域を示す平面図である。
図3図2のパターン領域のうち、4つの単位パターンを示す部分平面図である。
図4】本発明の他の実施形態にかかるタイヤの外面のパターン領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。なお、タイヤの内部構造等については、従来のそれと同様である。従って、詳細な説明は省略するが、一例としては、一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部とトレッド部とを有し、該一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側にベルト等の補強構造を有する構成とすることができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかるタイヤ1を側面側から見た図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、タイヤの外面(本実施形態ではサイドウォール部2)に、図示例で2つの標章部3が(タイヤ1の周上で互いにタイヤ周方向に180°離れて)形成されている。標章部3は、パターン領域(パターンが加工された加工部)3a(図1においては、パターン領域3aの詳細は図示されておらず、図2図3で詳細に示している)と、図示例で「ABCDEFGH」との文字からなる標章3bとを有している。この例では、文字は、平滑面で構成されているが、レーザー等の加工によって形成された凹凸等を有する構成とすることもできる。また、標章3bは、文字の他、図形や記号等で構成することもでき、この場合も平滑面で構成したり、凹凸等を有する構成としたりすることができる。なお、標章部3は、文字等の標章3bを有していなくても良く、パターン領域3aのみから構成して、パターン領域3aのみに標章としての機能を発揮させることもできる。
なお、標章部3は、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした際に、タイヤ最大幅位置(タイヤ幅方向の幅が最大となる位置)を含む、サイドウォール部2のタイヤ径方向領域の1/4以上1以下のタイヤ径方向領域にわたって形成されていることが好ましい。ここでいう「サイドウォール部」とは、ビードコアのタイヤ径方向外側端から接地端までのタイヤ径方向領域をいうものとする。また、「接地端」とは、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した際に、路面と接することとなる接地面のタイヤ幅方向両外側端をいう。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態にかかるタイヤ1の外面のパターン領域3aを示す平面図である。図2においては、説明の便宜上、「ABCDEFGH」との文字からなる標章3bは、省略している。図3は、図2のパターン領域3bのうち、4つの単位パターン6(6a、6b、6c、6d)を示す部分平面図である。
【0019】
図2図3に示すように、本実施形態において、パターン領域3aは、底面を形成するベース部4と、ベース部4から0.02mm超0.1mm未満の高さで突出した複数の凸条(細長く平面方向に延びる凸部)5と、を有している。図示例では、凸条5は、当該凸条5の延在方向に垂直な断面視で台形状の形状をなしており、図示例では、凸条5の頂部の幅は、0.01~0.03mmであり、上記凸条5の底部の幅は、0.02~0.04mmであり、凸条5の頂部の幅と底部の幅との差は、0.01mm程度である。なお、凸条5の頂部の幅及び底部の幅は、上記の範囲に限定されない。
また、図示例では、凸条5は、断面視で台形状であるが、矩形状、三角形状等、他の形状とすることもできる。凸条5は、いずれの断面形状である場合も、ベース部4から0.02mm超0.1mm未満の高さで突出したものである。凸条5が矩形状の場合の凸条の幅は、特に限定されないが、例えば、0.015~0.035mmとすることができ、凸条5が三角形状の場合の凸条の幅は、特に限定されないが、例えば、0.02~0.04mmとすることができる。
上記のような凸条5は、例えば、レーザー加工により形成することができる。
【0020】
図2に示すように、本実施形態では、パターン領域3aは、平面視で扇形の単位パターン6の繰り返しからなっている。具体的には、図3に示すように、1つの単位パターン6は、ベース部4と、該ベース部4から0.02mm超0.1mm未満の高さで突出し、平面視で各扇形の中心から放射状に延びる複数の凸条5が密集配置されている。図3に示すように、この例では、平面視で扇形の中心角は90°であり、それを20分割するように、同一延在長さの19本の凸条5が設けられている。すなわち、本例では、各扇形は、平面視で円の1/4である。本例では、凸条5の延在長さは、各扇形間でも同一とされている。図2図3に示すように、複数の凸条5は、隣り合う凸条5間の距離が、凸条5の延在方向の一方向に向かって(この例では扇形の中心に向かって)漸減(連続的に減少)している。なお、本例では、平面視で、各扇形の外周縁をなす、1つの弧及び2つの径線も、凸条5とされている。
そして、図2図3に示すように、平面視で扇形である1つの単位パターン6aの一辺と、平面視で扇形である他の単位パターン6b、6cの一辺とが、扇形の中心同士が離間するように互いに180°回転させた状態で合わせられている。また、1つの単位パターン6aと同じ向きの他の単位パターン6dが、その孤が、上記他の単位パターン6b、6cの孤と接するように配置されている。そして、図3に示した状態の単位パターン6a~6dの組を、図2に示すように、各扇形の孤の中央と交わる凸条5がタイヤ径方向に対して45°傾斜するように繰り返し配置して、パターン領域3aが形成されている。図示例では、隣り合う凸条5の間隔が小さい(密な)箇所が、タイヤ径方向に傾斜した方向にジグザグ状に延びている。具体的には、暗めに見える箇所が直線状に位置しつつも、平面視略三角形状の暗く見える箇所が、その直線を基準として、上記タイヤ径方向に傾斜した方向に隣り合う単位パターン6ごとに、交互に逆向きになるように形成されている。
以下、本実施形態のタイヤ1の作用効果について説明する。
【0021】
本実施形態のタイヤ1によれば、パターン領域3aは、ベース部4から0.02mm超の高さで突出した複数の凸条5を有しているため、ベース部4及び凸条5における光の反射により、コントラスト(濃淡)を得ることができる。特に、本実施形態では、複数の凸条5は、隣り合う凸条5間の距離が、凸条5の延在方向の一方向に向かって漸減しているため、隣り合う凸条5間の距離に疎密が生じ、密な箇所が暗く見えて、疎な箇所が明るく見えるというコントラストを得ることができる。そして、本実施形態では、パターン領域3aは、平面視で扇形の単位パターン6を上記のように繰り返し配置しているため、単位パターン6を密に配置して、パターン領域3a全体の多くの(規則的に位置した)箇所でコントラストを得ることができる。さらに、本実施形態では、隣り合う凸条5の間隔が小さい(密な箇所)が、タイヤ径方向に傾斜した方向にジグザグ状に延びているため、単位パターン6間でもコントラストを得ることができる。
そして、上記複数の凸条5は、0.1mm未満の高さで突出したものであるため、タイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤ外面(本実施形態では、サイドウォール部2)におけるクラックの発生を抑制することもできる。
以上のように、本実施形態のタイヤ1によれば、タイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤ外面におけるクラックの発生を抑制しつつ、タイヤの外面のパターン領域におけるコントラストを得ることができる。
【0022】
本発明では、複数の凸条5は、ベース部4から0.03mm以上0.1mm未満の高さで突出してなることが好ましい。複数の凸条5の高さを0.03mm以上とすることにより、コントラスト効果をさらに得ることができるからである。同様の理由により、複数の凸条5は、ベース部4から0.04mm以上0.1mm未満の高さで突出してなることがより好ましく、複数の凸条5は、ベース部4から0.05mm以上0.1mm未満の高さで突出してなることがさらに好ましい。
一方で、本発明では、ベース部4から0.02mm超0.08mm以下の高さで突出してなることが好ましい。複数の凸条5の高さを0.08mm以下とすることにより、タイヤ走行時の空気抵抗の増大やタイヤ外面におけるクラックの発生をさらに抑制することができるからである。同様の理由により、複数の凸条5は、ベース部4から0.02mm超0.07mm以下の高さで突出してなることがより好ましく、複数の凸条5は、ベース部4から0.02mm超0.06mm以下の高さで突出してなることがさらに好ましい。
なお、複数の凸条5間では、高さや幅を一定にすることが好ましい。高さや幅が異なることにより生じ得るコントラストをなくすことにより、上述したコントラストを目立たせることができるからである。
【0023】
上記の例では、平面視で扇形の単位パターン6の中心角を90°としたが、中心角は、特にこれに限定されるものではない。ただし、パターン領域3aに単位パターン6を略規則的に配置する観点からは、平面視で扇形の単位パターン6の中心角は、80°~100°とすることが好ましく、上記の例のように90°とすることが最も好ましい。
上記の例では、平面視で扇形の単位パターン6の中心角を90°とし、扇形の外周縁を除き、凸条5を19本配置しているが、凸条5の本数は、特に限定されず、例えば、10~25本とすることができる。中心角の大小に応じて、適宜凸条5の本数を増減させることができる。
【0024】
図4は、本発明の他の実施形態にかかるタイヤの外面のパターン領域を示す平面図である。図4に示すように、パターン領域3aのうち、パターン領域3a外に隣接する領域を端部領域7(7a~7d)とし、端部領域7に囲まれた領域を中央領域8とする。このとき、本例では、図4に示すように、端部領域7の少なくとも一部の凸条5の突出高さが、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くなっている。図示例では、端部領域7のうち、パターン領域3a外に、タイヤ径方向内側及び外側に隣接する端部領域7a、7bにおいて、凸条5の突出高さが、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くなっており、端部領域7a、7bにおける凸条5の突出高さは、中央領域8側からパターン領域外側へ向かって漸減(連続的に減少)している。
【0025】
図4に示す実施形態のタイヤ1によれば、端部領域7の少なくとも一部の凸条5の突出高さが、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くなっているため、パターン領域3aからパターン領域3a外へと段階的にコントラストが消失する。特に、図4に示す例では、端部領域7の少なくとも一部の凸条5の突出高さが、中央領域8側からパターン領域外側へ向かって漸減しているため、パターン領域3aからパターン領域3a外へとグラデーション状にコントラストが消失するようになっている。
【0026】
図4に示す例では、端部領域7のうち、パターン領域3a外に、タイヤ径方向内側及び外側に隣接する端部領域7a、7bにおいて、凸条5の突出高さを、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くしたが、上記端部領域7a及び7bのうちいずれか一方のみにおいて、凸条5の突出高さを、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くする(例えば、中央領域8側からパターン領域外側へ向かって漸減させる)こともできる。このとき、端部領域7のうち、パターン領域3a外に、タイヤ周方向両側に隣接する端部領域7c及び/又は7dについては、凸条5の突出高さを、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くすることも高くすることもできるし、中央領域8の凸条の突出高さと同じ高さとすることもできる。
また、上記端部領域7c、7dの少なくとも一方のみにおいて、凸条5の突出高さを、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くする(例えば、中央領域8側からパターン領域外側へ向かって漸減させる)こともできる。このとき、上記端部領域7a及び/又は7bについては、凸条5の突出高さを、中央領域8の凸条の突出高さよりも低くすることも高くすることもできるし、中央領域8の凸条の突出高さと同じ高さとすることもできる。
なお、中央領域8においては、複数の凸条5間で高さや幅を一定にすることが好ましい。高さや幅が異なることにより生じ得るコントラストをなくすことにより、上述したコントラストを目立たせることができるからである。また、端部領域7においては、複数の凸条5の幅を一定にすることが好ましい。幅が異なることにより生じ得るコントラストをなくすことにより、上述したコントラストを目立たせることができるからである。
凸条5の突出高さを上記のように低くする端部領域7a及び/又は7bのタイヤ径方向の幅は、特に限定されないが、中央領域8の面積を確保しつつ、上記のコントラスト消失の視覚も得る観点から、それぞれ、パターン領域3aのタイヤ径方向の幅の3~20%とすることが好ましい。同様に、端部領域7c及び/又は7dのタイヤ周方向の幅は、それぞれ、パターン領域3a全体のタイヤ周方向の幅の3~20%とすることが好ましい。
【0027】
本発明では、パターン領域は、複数の凸条を密集配置した単位パターンを有し、単位パターンは、単位パターンに含まれる複数の凸条の延在長さの和Lsと、単位パターンの全体の面積Sとの比Ls/Sが、1.5~5.5(mm/mm2)であることが好ましい。比Ls/Sを1.5(mm/mm2)以上とすることにより、単位パターンにおいて密な箇所を有効に形成することができ、一方で、比Ls/Sを5.5(mm/mm2)以下とすることにより、単位パターン全体における密な箇所の面積が大きくなり過ぎないようにすることができる。これにより、コントラストをより効果的に得ることができる。
同様の理由により、上記比Ls/Sは、2.5~4.5(mm/mm2)とすることがより好ましい。
また、本発明では、単位パターンの全体の面積Sに対する、凸条の本数は、3~21(本/mm2)とすることが好ましい。3(本/mm2)以上とすることにより、単位パターンにおいて密な箇所を有効に形成することができ、一方で、21(本/mm2)以下とすることにより、単位パターン全体における密な箇所の面積が大きくなり過ぎないようにすることができる。これにより、コントラストをより効果的に得ることができる。
同様の理由により、単位パターンの全体の面積Sに対する、凸条の本数は、9~15(本/mm2)とすることがより好ましい。
【0028】
本発明では、単位パターンにおいて、複数の凸条は、隣り合う凸条間の距離が、凸条の延在方向の一方向に向かって漸減することが好ましい。隣り合う凸条間の距離に疎密が形成されるようにして、密な箇所が暗く、疎な箇所が明るいグラデーションの効果を得ることができるからである。これにより、コントラストをさらに効果的に得ることができる。
【0029】
本発明では、単位パターンにおいて、凸条の延在長さが、250~350mmであることが好ましい。凸条の延在長さLを250mm以上とすることにより、密な箇所を有効に形成することができ、一方で、350mm以下とすることにより、密な箇所の面積が大きくなり過ぎないようにすることができる。これにより、コントラストをより効果的に得ることができる。
同様の理由により、凸条の延在長さは、275~325mmとすることがより好ましい。
【0030】
本発明では、パターン領域は、平面視で扇形の単位パターンの繰り返しからなることが好ましい。単位パターンを密に配置して、パターン領域全体の多くの箇所でコントラストを得ることができるからである。
特に、上記実施形態のように、平面視で扇形の単位パターン6に扇形の中心から放射状に延びる複数の凸条5を形成することにより、疎密を形成することが、コントラスト効果を得る上でより好ましい。
【0031】
本発明では、パターン領域のうち、パターン領域外に隣接する領域を端部領域とし、端部領域に囲まれた領域を中央領域とするとき、端部領域の少なくとも一部の凸条の突出高さが、中央領域の凸条の突出高さよりも低いことが好ましい。パターン領域からパターン領域外へと段階的にコントラストが消失するようにすることができるからである。
【0032】
本発明では、端部領域の少なくとも一部の凸条の突出高さは、中央領域側からパターン領域外側へ向かって漸減することが好ましい。パターン領域からパターン領域外へとグラデーション状にコントラストが消失するようにすることができるからである。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、標章部3は、タイヤ1の外面の、周上の互いにタイヤ周方向に180°離れた2箇所に形成されているが、標章部3は、タイヤ1の外面の、周上の1箇所以上に形成されていれば良い。上記の実施形態では、表示している標章(文字)3bが2箇所とも同じであるが異ならせることもでき、特に複数の種類の標章(文字等)3bを設ける場合に、標章部3を2箇所以上設けることが好ましい。一方、1つの標章(文字等)3bを設ける場合には、標章部3を2箇所以上とすることも、1箇所とすることもできる。標章(文字等)3bを設けずに、パターン領域3aのみで標章部3を構成する場合には、タイヤ1の外面の、周上全域にわたってパターン領域3aを設けることもできる。
【0034】
さらに、上記の実施形態では、単位パターン6は、平面視で扇形としていたが、他にも、平面視で三角形状、矩形状、円形状、楕円形状等様々な形状とすることができる。いずれの形状においても、凸条5を例えば放射状に配置することにより、疎密を形成して、コントラストを得ることができる。
【符号の説明】
【0035】
1:タイヤ
2:サイドウォール部
3:標章部、 3a:パターン領域、 3b:標章
4:ベース部
5:凸条
6、6a、6b、6c、6d:単位パターン
7、7a、7b、7c、7d:端部領域
8:中央領域
図1
図2
図3
図4