(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】導波路素子製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/377 20060101AFI20220908BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G02F1/377
G02B6/13
(21)【出願番号】P 2019020783
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 弘
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-236147(JP,A)
【文献】特開2015-087510(JP,A)
【文献】特開2005-221894(JP,A)
【文献】特開2011-064895(JP,A)
【文献】特開平05-315305(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0380327(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
G02B 6/12-6/14
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路素子のコアとなるコア基板と前記導波路素子のアンダークラッドとなるクラッド基板とを貼り合わせて複合基板を生成する接合工程と、
前記複合基板の前記コア基板側の面を研削し、前記コア基板を所望の厚みとする片面研削工程と、
前記複合基板の両面を押圧し、前記複合基板の両面を研磨する両面研磨工程と、
を行う導波路素子製造方法であって、
前記両面研磨工程を行うまでに、前記複合基板の前記クラッド基板側の面
のみに研磨耐性膜を形成する薄膜形成工程を行うことを特徴とする導波路素子製造方法。
【請求項2】
前記両面研磨工程後に、前記研磨耐性膜を除去する薄膜除去工程をさらに行うことを特徴とする請求項1に記載の導波路素子製造方法。
【請求項3】
前記コア基板が、周期分極反転構造が形成された二次非線形光学結晶の基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導波路素子製造方法。
【請求項4】
前記二次非線形光学結晶がニオブ酸リチウム(LiNbO
3)であり、
前記クラッド基板がタンタル酸リチウム(LiTaO
3)の基板であること
を特徴とする請求項3に記載の導波路素子製造方法。
【請求項5】
前記研磨耐性膜は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、ダイヤモンド(C)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、又は窒化ケイ素(Si
3N
4)の薄膜であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の導波路素子製造方法。
【請求項6】
前記薄膜形成工程では、蒸着又はスパッタで前記研磨耐性膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の導波路素子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コアとクラッドで構成される光導波路を有する導波路素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の波長を変換する波長変換素子として、半導体光増幅器を応用した素子や四光波混合を利用する素子等が知られている。しかしながら、これらの波長変換素子は、システムにおいて求められる、高効率、高速、広帯域、低ノイズ、偏波無依存などの条件を満足させることができなかった。
【0003】
一方、二次非線形光学効果の一種である疑似位相整合による第二高調波発生、和周波発生、ないし差周波発生を利用した波長変換素子の応用が期待されている。
図1は、疑似位相整合型の波長変換素子の構成を説明する図である。波長変換素子は、比較的小さな光強度を有する励起光Aと、比較的大きな光強度を有する励起光Bとを合波する合波器11と、分極反転構造を有する非線形光学結晶からなる導波路12と、和周波光または差周波光Cと励起光Bとを分離する分波器13とを備える導波路素子である。
【0004】
励起光Aは、導波路12において、別の波長を有する和周波光または差周波光Cへと変換され、励起光Bと共に出射される。もし、励起光Aおよび励起光Bが同一の波長であった場合、または励起光Aのみが出射された場合には、第二高調波発生によって励起光の2倍の周波数を有する第二高調波が導波路12から出射される。
【0005】
例えば、励起光Bの波長λ2=1300nmとした場合、波長λ1=980nmの励起光Aは、波長λ3=560nmの黄色の可視光である和周波光Cに変換される。このような波長変換素子を利用した可視レーザ光源は、遺伝子識別色素として使われる蛍光タンパクの高効率な励起光源として利用することができる。そして、この可視レーザ光源は、生体観測用機器の高感度化に著しい効果がある。
【0006】
例えば、励起光A、Bを波長λ1=λ2=976nmとした場合には、第二高調波発生によって、従来用いられているアルゴンレーザの主要な発信波長である、波長λ3=488nm可視光を得ることができる。このような波長変換素子を適用した可視レーザ光源は、アルゴンレーザを光源として用いる蛍光顕微鏡、DNAシーケンサ、サイトフローメータなどの分析機器に適用できる。そして、この可視レーザ光源は、これらの分析機器の小型化や低消費電力に寄与する。
【0007】
このような疑似位相整合の波長変換素子を作製するために、二次非線形結晶に、その分極方向が周期的に反転しているような周期分極反転構造を作製する必要がある。周期分極反転構造を作製するためには、シングルドメイン化された非線形強誘電体光学材料である厚さ500ミクロンのMgOドープニオブ酸リチウム(MgO-LiNbO3)基板を用いる。この基板の+Z面に、目的とするドメイン反転パターンに応じた所要の幅および間隔で作製された電極パターンを有する第1電極を配置する。一方、-Z面に第2電極を対向配置させ、液体電極によって第1電極に正の電圧を、第2電極に負の電圧を印加する。電圧の印加を停止した後には、電極パターンに対応するパターンの周期的ドメイン反転パターンを有するドメイン反転構造部が保持された周期分極反転構造基板(以下、QPM基板という)となる(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなQPM基板で作製する導波路素子は、導波路のサイズが変換効率に大きく影響する。具体的には、導波路のサイズを微小化すると変換効率が向上する。また、導波路のサイズのうち導波路の厚さは、コア層となる非線形材料とクラッド基板の屈折率差に依存して決定される。このため、例えば、導波路の厚さが不均一になると光の伝搬速度が揺らぎ、波長(温度)整合特性が著しく劣化する。つまり、QPM基板で作製する導波路素子には、所望の温度整合特性を得るために導波路の厚さを均一に作成する必要がある。
【0010】
本発明に関連する導波路素子は、
図2のように作成される。本発明に関連する導波路素子の製造方法は、
導波路素子のコアとなるコア基板11と前記導波路素子のアンダークラッドとなるクラッド基板12とを貼り合わせて複合基板13を生成する接合工程S01と、
研削板25で複合基板13のコア基板側の面を研削し、コア基板11を所望の厚みとする片面研削工程S02と、
2枚の研磨板27で複合基板13の両面を押圧し、複合基板13の両面を研磨する両面研磨工程S03と、
を行う。
【0011】
例えば、コア基板11は非線形材料のLiNbO
3、クラッド基板はLiTaO
3である。接合工程S01では、互いの接合面を親水性にして、ウエハ表面の水酸基間の水素結合により貼り合せを行い複合基板13を作成する(2-1)。通常、2段階に分けてコア基板11を薄膜化する。まず、第1段階として片面研削工程S02を行う。研削板25をコア基板11の表面に押し当て、コア基板11のみ目的の厚さまで荒削りを行う(2-2)。例えば、コア層側となる非線形材料基板のLiNbO3を導波路の厚さに合わせ3~15μmまで薄膜研削する。この時、コア層の厚さが正確に検出可能となるように裏面のクラッド基板は研削しない。荒削りされたコア基板11は表面の分子間構造の不連続性により、複合基板13は反ることになる(2-3)。続いて、第2段階として両面研磨工程S03を行う。両面研磨工程S03は、押圧力20で研磨板27を複合基板13の両面に押し当てて研磨する化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)である。例えば、研磨剤としてコロイダルシリカ、研磨装置としてプラネタリア方式研磨装置を使用する。
図2-3のように凸状に反った複合基板13をCMPで研磨すると、コア基板11は凸状に反った中心部から、クラッド基板12は凹状に反った周辺部から削れ始める(2-4)。このため、研磨が進むと、コア基板11、クラッド基板12の表面はフラットになるが、互いの接合面に
図2-3の沿った状態が残留してしまう(2-5)。そのため、コア基板11の厚さもクラッド基板12の厚さも均一にならない(2-6)。なお、
図2-6では、コア基板11とクラッド基板12の接合面をフラットな状態として表現した図である。
【0012】
図3は、本発明に関連する導波路素子の製造方法で作成された複合基板13のウエハに導波路素子31をパターニングした図である。複合基板13のウエハは直径3インチである。また、導波路素子31のサイズは、長さ40mm、幅2mmである。24個の導波路素子31が、ウエハ周辺部を除いた部分に配列される。
【0013】
本発明に関連する製造方法は、
図2で説明したように、ウエハ面内においてコア基板の厚さが均一ではない。
図4は、コア基板の厚さが均一ではない複合基板13のウエハから導波路素子31を作成した場合の温度整合特性を説明する図である。
図4(a)は、
図2の(2-6)の状態のウエハに複数の導波路素子31をパターニングし、ダイシングで個々の導波路素子31を切り出した時の側面図である。
図4(b)は、導波路素子31の整合温度と規格化変換特性との関係(温度整合特性)を説明する図である。
図4(b)は、コアの厚みT=6μm(中央部のコアの厚み)、両端部のコアの厚みのずれ量ΔT=0.2μm、幅W=6μm(一定値)、長さL=40mmの導波路素子31のデータである。
【0014】
導波路素子31の設計値は、コアの厚みT=6μm、幅W=6μm(一定値)、長さL=40mmであって、整合温度40℃で、976nmの入力波長を488nmの出力波長へ変換する(規格化変換特性が100%)。しかし、
図4(a)のように導波路素子31は両端部でコアが厚くなっているため、変換特性がずれ、例えば、整合温度40℃では規格化変換特性が19%程度、整合温度39.3℃では規格化変換特性が32%程度、整合温度37.5℃では規格化変換特性が18%程度、・・・のような温度整合特性となる。
このように、
図2の製造方法による複合基板から導波路素子を作成すると所望の温度整合特性を得ることが困難という課題があった。
【0015】
そこで本発明は、上記課題を解決するために、コア基板の厚さとクラッド基板の厚さがともに均一な複合基板を作成できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る導波路素子製造方法は、CMPの研磨剤に対して耐性のある研磨耐性膜をクラッド基板の表面にあらかじめ形成しておくこととした。
【0017】
具体的には、本発明に係る導波路素子製造方法は、
導波路素子のコアとなるコア基板と前記導波路素子のアンダークラッドとなるクラッド基板とを貼り合わせて複合基板を生成する接合工程と、
前記複合基板の前記コア基板側の面を研削し、前記コア基板を所望の厚みとする片面研削工程と、
前記複合基板の両面を押圧し、前記複合基板の両面を研磨する両面研磨工程と、
を行う導波路素子製造方法であって、
前記両面研磨工程を行うまでに、前記複合基板の前記クラッド基板側の面に研磨耐性膜を形成する薄膜形成工程を行うことを特徴とする。
【0018】
本導波路素子製造方法は、研磨耐性膜により複合基板をCMPで研磨してもクラッド基板がほとんど研磨されない。このため、クラッド基板の厚さを均一に維持できる。また、クラッド基板が削れないことからCMP中の押圧力により、複合基板の反りが解消され、フラットな状態でコア基板を研磨することができ、コア基板の厚さを均一とすることができる。従って、本発明は、コア基板の厚さとクラッド基板の厚さがともに均一な複合基板を作成できる製造方法を提供することができる。
【0019】
本発明に係る導波路素子製造方法は、前記両面研磨工程後に、前記研磨耐性膜を除去する薄膜除去工程をさらに行ってもよい。
【0020】
例えば、前記コア基板が、周期分極反転構造が形成された二次非線形光学結晶の基板である。この場合、前記二次非線形光学結晶がニオブ酸リチウム(LiNbO3)であり、前記クラッド基板がタンタル酸リチウム(LiTaO3)の基板である。また、例えば、前記研磨耐性膜は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、ダイヤモンド(C)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は窒化ケイ素(Si3N4)の薄膜である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、コア基板の厚さとクラッド基板の厚さがともに均一な複合基板を作成できる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】導波路素子である波長変換素子を説明する図である。
【
図3】ウエハに形成される導波路素子の配置を説明する図である。
【
図4】本発明に関連する波長路素子の特性を説明する図である。
【
図5】本発明に係る導波路素子製造方法を説明する図である。
【
図6】本発明に係る波長路素子の特性を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0024】
図5は、本実施形態の導波路素子製造方法を説明する図である。本導波路素子製造方法は、
導波路素子のコアとなるコア基板11と前記導波路素子のアンダークラッドとなるクラッド基板12とを貼り合わせて複合基板13を生成する接合工程S01と、
研削板25で複合基板13のコア基板側の面を研削し、コア基板11を所望の厚みとする片面研削工程S02と、
2枚の研磨板27で複合基板13の両面を押圧し、複合基板13の両面を研磨する両面研磨工程S03と、
を行う導波路素子製造方法であって、
両面研磨工程S03を行うまでに、複合基板13のクラッド基板側の面に研磨耐性膜17を形成する薄膜形成工程S15を行うことを特徴とする。
【0025】
接合工程S01の手順5-1は
図2で説明した手順2-1と同じである。片面研削工程S02の手順5-2及び5-3は、それぞれ
図2で説明した手順2-2及び203と同じである。コア基板11が、周期分極反転構造が形成された二次非線形光学結晶の基板であってもよい。この場合、前記二次非線形光学結晶がニオブ酸リチウム(LiNbO
3)であり、クラッド基板12がタンタル酸リチウム(LiTaO
3)の基板である。
【0026】
ここで、両面研磨工程S03の前に、薄膜形成工程S15として、クラッド基板12のコア基板11と反対の面に、耐酸・耐アルカリ性の金属、酸化膜又は窒化膜である研磨耐性膜17を形成する(5-A)。例えば、研磨耐性膜17は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、ダイヤモンド(C)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、又は窒化ケイ素(Si
3N
4)の薄膜である。研磨耐性膜17は、蒸着やスパッタ等でクラッド基板12のコア基板11と反対の面に製膜できる。なお、
図5では、片面研磨工程S02の後に薄膜形成工程S15を行うように記載しているが、薄膜形成工程S15は両面研磨工程S03の前であればいつ行っても構わない。例えば、接合工程S01の後でもよいし、接合工程S01の前に行ってもよい。
【0027】
両面研磨工程S03では、研磨耐性膜17付の複合基板13を
図2の手順2-4で説明したように両面研磨を行う。
図2で説明したように、研磨耐性膜17付の複合基板13は反っているが、研磨耐性膜17の存在によりクラッド基板12側は研磨されず、コア基板11のみ研磨される。研磨開始直後、コア基板11は凸状の中心部から研磨される(5-4)。しかし、クラッド基板12が研磨さないため、押圧力20によりクラッド基板12の研磨耐性膜17側の凹状が押しつぶされて、複合基板13はフラットになる(5-5)。手順5-5の状態で研磨を進めると、コア基板11はフラットに研磨され、厚みが均一なコア層を形成できる(5-6)。
【0028】
なお、導波路素子は、研磨耐性膜17が不要であるため、両面研磨工程S03後に、研磨耐性膜17を除去する薄膜除去工程をさらに行ってもよい。一方、工程数を削減する場合、薄膜除去工程を行わなくてもよい。
【0029】
図5で説明したように本実施形態の導波路素子製造方法は、コア層の膜厚均一性が高い高品質なQPM基板のウエハを作成することができる。この複合基板13のウエハに
図3のように導波路素子31をパターニングする。ウエハや導波路素子31のサイズは
図3で説明した通りである。
【0030】
図6は、本実施形態の導波路素子製造方法による複合基板13のウエハから導波路素子31を作成した場合の温度整合特性を説明する図である。本実施形態の導波路素子31は、アンダークラッド(クラッド基板12)と、前記アンダークラッド上のコア(コア基板11)と、前記コアを覆うオーバークラッド(
図6において不図示)と、前記アンダークラッドの前記コアと反対側の面に形成された研磨耐性膜17と、を備える。前記コアは、周期分極反転構造が形成された二次非線形光学結晶である。そして、前記二次非線形光学結晶がニオブ酸リチウム(LiNbO
3)であり、前記アンダークラッドがタンタル酸リチウム(LiTaO
3)である。また、研磨耐性膜17は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、ダイヤモンド(C)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、又は窒化ケイ素(Si
3N
4)の薄膜である。
【0031】
図6(a)は、
図5の(5-6)の状態のウエハに複数の導波路素子31をパターニングし、ダイシングで個々の導波路素子31を切り出した時の側面図である。
図6(b)は、導波路素子31の整合温度と規格化変換特性との関係(温度整合特性)を説明する図である。
図6(b)は、コアの厚みT=6μm(中央部のコアの厚み)、幅W=6μm(一定値)、長さL=40mmの導波路素子31のデータである。ここで、両端部のコアの厚みのずれ量ΔT=0μmとしている。
【0032】
図6(b)の通り、導波路素子31は、整合温度40℃で、976nmの入力波長を488nmの出力波長へ変換しており、他の整合温度ではほとんど波長変換していないことがわかる。すなわち、
図5に示す本発明の製造方法により、複合基板13(ウエハ)のコア基板11の厚みの均一性が向上したため、導波路素子31内のコアの厚みが均一化し、温度整合特性が向上したといえる。また、ウエハ全体のコア基板11の厚みの均一性も向上しているので、ウエハ面内での導波路素子31間の温度整合特性の相違も低減される。
なお、温度整合特性は、導波路素子31に研磨耐性膜17が存在することで向上するのではない。導波路素子31に研磨耐性膜17が無い状態であっても、
図6(b)のような特性を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本実施形態で説明した製造方法は、QPMが形成された二次非線形光学結晶のコアを有する波長変換素子を形成するウエハだけでなく、一般的な平面光波回路を形成するウエハにも適用できる。
【符号の説明】
【0034】
11:コア基板
12:クラッド基板
13:復号基板
17:研磨耐性膜
20:押圧力
25:研削板
27:研磨板
31:導波路素子