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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電子キー
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20220908BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20220908BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
E05B19/00 J
B60R25/24
E05B49/00 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019041651
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020143522
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】今田 真悟
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-247656(JP,A)
【文献】特開2017-220759(JP,A)
【文献】特開2008-045374(JP,A)
【文献】特開2012-082653(JP,A)
【文献】特開2018-204311(JP,A)
【文献】特開2016-079600(JP,A)
【文献】特開2013-181352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
E05B 49/00-49/04
E05B 77/00-85/28
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠を制御する電気錠制御装置からのリクエスト信号に対して認証コードを伴う錠操作信号を出力して電気錠を遠隔操作する電子キーであって、
利用者により操作可能なモード変換操作部を備えるとともに、
前記電気錠制御装置からのリクエスト信号に応答して錠操作信号を出力する通常モードに加えて、リクエスト信号に対する応答を禁止するパッシブ無効化モードを有し、
上記通常モードとパッシブ無効化モード間を、前記リクエスト信号の受信時におけるモード変換操作部への操作により変換操作可能な電子キー。
【請求項2】
前記パッシブ無効化モードには、施錠用の錠操作信号の出力を条件として開始され、開始後の所定の応答禁止期間のみリクエスト信号に対する応答が禁止され、その後通常モードに自動復帰する一定時間無効化モードが含まれる請求項1記載の電子キー。
【請求項3】
前記一定時間無効化モードには、応答禁止期間の開始直後から応答禁止期間内の範囲内に、リクエスト信号に対する応答が許容される猶予期間が設定される請求項2記載の電子キー。
【請求項4】
前記一定時間無効化モードは、解錠用の錠操作信号の出力により無効化が解除され、施錠用の錠操作信号の出力により再開する請求項2または3記載の電子キー。
【請求項5】
錠制御操作部を備え、該錠制御操作部への利用者による操作により施錠用、または解錠用のいずれかの錠操作信号を選択出力するリモコン動作が可能であり、
かつ、前記錠制御操作部が前記モード変換操作部を兼ねる請求項2から4のいずれかに記載の電子キー。
【請求項6】
前記一定時間無効化モードは、応答禁止期間中のリモコン動作による施錠操作により応答禁止期間が延長される請求項5記載の電子キー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子キーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気錠制御装置からのリクエスト信号に対する非応答モードを設定可能な電子キーとしては、特許文献1記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、電子キーは、車両に搭載された車載機(電気錠制御装置)から出力されるリクエスト信号に対して応答するモードと、応答しないモードとの間を変換可能であり、キー操作信号を受信した際には、応答モードから非応答モードに変換する。
【0004】
電気錠制御装置には、予め非応答モードへの変更を許容する電子キーが予め登録されており、登録済み電子キーからの錠操作信号を受信すると、受信した電子キーがモード変更設定キーである場合にはキー操作信号を送信して対象電子キーを非応答モードに変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-204311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例においては、予め非応答モードに対応する電子キーを電気錠制御装置に登録しておく必要があるために、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、電気錠制御装置への登録を要することなく、非応答モードにモード変更可能にして使い勝手を向上させた電子キーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
電気錠1を制御する電気錠制御装置2からのリクエスト信号(RQ)に対して認証コードを伴う錠操作信号(CS)を出力して電気錠1を遠隔操作する電子キーであって、
利用者により操作可能なモード変換操作部3を備えるとともに、
前記電気錠制御装置2からのリクエスト信号(RQ)に応答して錠操作信号(CS)を出力する通常モードに加えて、リクエスト信号(RQ)に対する応答を禁止するパッシブ無効化モードを有し、
上記通常モードとパッシブ無効化モード間を、前記リクエスト信号(RQ)の受信時におけるモード変換操作部3への操作により変換操作可能な電子キーを提供することにより達成される。
【0009】
電子キーは、電気錠制御装置2からのリクエスト信号(RQ)に対する応答信号として、認証コードを伴う錠操作信号(CS)を出力し、この錠操作信号(CS)の認証コードの電気錠制御装置2における認証を条件に電気錠制御装置2を介して電気錠1を遠隔操作する、いわゆるパッシブ動作が可能に構成される。
【0010】
本発明において、電子キーには、自局宛てのリクエスト信号(RQ)を受信した際に自動的に錠操作信号(CS)を出力する通常モードに加え、自局宛てのリクエスト信号(RQ)を受信した際にも錠操作信号(CS)を出力しないパッシブ無効化モードが用意され、利用者がいずれかのモードでの運用を行うかを選択することができる。
【0011】
一般に、パッシブ動作による錠操作は、電気錠制御装置2に配置されるリクエストスイッチ5を利用者が操作し、リクエストスイッチ5の操作により出力されるリクエスト信号(RQ)に対する応答信号として電子キーから出力される錠操作信号(CS)により電気錠1を操作するもので、利用者は、リクエストスイッチ5操作後の電気錠1の動作により錠操作を確認することができる。
【0012】
一方、利用者は、パッシブ動作による電子キーからの錠操作信号(CS)の出力を知ることができないために、例えば、リクエストスイッチ5から離れた位置に電子キーを所持した利用者がいる場合、不正に操作されたリクエストスイッチ5により出力されたリクエスト信号(RQ)に真正な電子キーが応答し、この電子キーから出力される錠操作信号(CS)により電気錠1が不正に操作される可能性は否定できない。
【0013】
パッシブ無効化モードを有する本発明において、電子キーがパッシブ無効化モードに設定されていると、不正なリクエストスイッチ5の操作により出力されたリクエスト信号(RQ)に電子キーが応答することがないために、安全性を向上させることができる上に、リクエスト信号(RQ)に対する応答信号を出力することがないために、バッテリの消耗を少なくすることが可能になる。
【0014】
また、通常モードのパッシブ無効化モードとの間の変換操作は、リクエスト信号(RQ)を受信した状態での電子キー上のモード変換操作部3への操作、すなわち、電子キーのモード変換操作部3を操作した状態で電気錠制御装置2のリクエストスイッチ5を操作するだけで実現でき、モード変換に複雑な操作を要せず、使い勝手が向上する。
【0015】
さらに、モード変換操作部3のみの操作ではモード変換はなされず、リクエスト信号(RQ)の出力操作、すなわち、リクエストスイッチ5の操作を要するために、誤ったモード変換操作部3の操作による不用意なモード変換を確実に防止することが可能になる。
【0016】
加えて、モードの設定、変換機能の追加には、電気錠制御装置2への何らの構成上の追加、変更を伴わないために、既設の施解錠制御システムへの適用を容易にすることができる。
【0017】
また、電子キーは、
前記パッシブ無効化モードには、施錠用の錠操作信号(CS)の出力を条件として開始され、開始後の所定の応答禁止期間のみリクエスト信号(RQ)に対する応答が禁止され、その後通常モードに自動復帰する一定時間無効化モードが含まれるように構成することができる。
【0018】
一定時間無効化モードを選択可能にすることにより、施錠動作直後の応答禁止期間のみをパッシブ無効とすることができる。この結果、利用者の所持する電子キーが、解錠信号の電気錠制御装置2への到達可能範囲にあるときには、パッシブ動作が禁止されるために、不正なリクエストスイッチ5の操作に応答することがなく、安全性が向上する。
【0019】
また、応答禁止期間を経過すると、利用者による何らの操作を要することなく通常モードに自動復帰するために、使い勝手を低下させることがない。
【0020】
この場合、
前記一定時間無効化モードには、応答禁止期間の開始直後から応答禁止期間内の範囲内に、リクエスト信号(RQ)に対する応答が許容される猶予期間が設定されるように構成することができる。
【0021】
猶予期間を設けることにより、施錠動作のパッシブ動作によるリトライ操作が可能になるために、使い勝手が向上する。
【0022】
さらに、前記一定時間無効化モードは、解錠用の錠操作信号(CS)の出力により無効化が解除され、施錠用の錠操作信号(CS)の出力により再開する電子キーを構成すると、解錠動作を行うことによって、初期状態に復帰し、施錠用の錠操作信号(CS)の出力まで実質的に通常モードに移行するために、使い勝手が向上する。
【0023】
さらに、電子キーは、
錠制御操作部4を備え、該錠制御操作部4への利用者による操作により施錠用、または解錠用のいずれかの錠操作信号(CS)を選択出力するリモコン動作が可能であり、
かつ、前記錠制御操作部4が前記モード変換操作部3を兼ねるように構成すると、別途モード変換操作部3を電子キー上に配置する必要がなくなるために、構造が簡単になる。
【0024】
さらに、前記一定時間無効化モードは、応答禁止期間中のリモコン動作による施錠操作により応答禁止期間が延長される電子キーを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の電子キーを使用した施解錠制御システムを示すブロック図である。
図2】パッシブ動作による施錠操作を行う際の電気錠制御装置の動作フローを示す図である。
図3】パッシブ動作による施錠操作を行う際の電子キーの動作フローを示す図である。
図4】モード間の設定変更処理を示す動作フローを示す図である。
図5】パッシブ動作による解錠操作を行う際の電気錠制御装置の動作フローを示す図である。
図6】パッシブ動作による解錠操作を行う際の電子キーの動作フローを示す図である。
図7】リモコン動作による施錠操作を行う際の動作フローで、(a)は電子キー、(b)は電気錠制御装置の動作フローである。
図8】リモコン動作による解錠操作を行う際の動作フローで、(a)は電子キー、(b)は電気錠制御装置の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に家屋の扉の施解錠を制御する施解錠制御システムを示す。
【0027】
施解錠制御システムは、扉に固定される電気錠1と、電気錠1の施解錠動作を制御する電気錠制御装置2、電気錠制御装置2との間で交信して電気錠1を遠隔操作する電子キー(K)とからなり、電子キー(K)から出力される錠操作信号(CS)の電気錠制御装置2における認証を条件に電気錠1が所定の動作をするように構成される。
【0028】
電気錠制御装置2は、制御部6により制御されて動作するLF送信部7、UHF受信部8、認証部9、電気錠制御部10、扉開閉検知部11、ID記憶部12、およびリクエストコード生成部13と、室外からの操作が可能なリクエストスイッチ5とを有し、LF帯の電波を出力するLF送信部7は、利用者によるリクエストスイッチ5への操作によりリクエスト信号(RQ)を出力する。
【0029】
後述するように、電子キー(K)は電気錠制御装置2から出力されるリクエスト信号(RQ)に対する応答信号として錠操作信号(CS)を出力するパッシブ動作と、電子キー(K)に配置された錠制御操作部4としての施解錠ボタン4A、4Bを操作して錠操作信号(CS)を出力するリモコン動作とのいずれかの動作による錠操作信号(CS)の出力が可能であり、リクエスト信号(RQ)には、当該電気錠制御装置2へのアクセスが許容される複数の電子キー(K)群内の一の電子キー(K)を特定するためのリクエストコードが含まれる。
【0030】
リクエストコードは、リクエストコード生成部13において生成され、電気錠制御部10は、異なったリクエストコードを含むリクエスト信号(RQ)を、所定時間間隔で出力することにより対応するリクエストコードに対応する電子キー(K)からの応答を待つポーリング方式を利用して電子キー(K)との交信を行う。
【0031】
電子キー(K)から出力される錠操作信号(CS)にはUHF帯の電波が使用され、UHF受信部8で受信される。受信された錠操作信号(CS)には認証コード(ID)が含まれており、認証部9は、この認証コードをID記憶部12に記憶された認証コードと比較し、一致する場合には認証成立信号を出力する。
【0032】
認証部9における認証成立信号の出力を検出した制御部6は、扉開閉検知部11、および錠状態検知部14の出力、さらには、錠操作信号(CS)が施解錠いずれかを指示しているかに基づいて、電気錠制御部10に施解錠いずれかのドライブ信号を出力して電気錠1を駆動する。
【0033】
パッシブ動作における施解錠種を知るために、本例において、リクエストスイッチ5が操作されると、制御部6は錠状態検知部14に錠状態を問い合わせ、施錠状態であるときには、解錠操作と判定し、解錠状態であるときには、施錠操作と判定して施解錠いずれかを指示するリクエスト信号(RQ)を出力する。
【0034】
リクエスト信号(RQ)を受信した電子キー(K)は、施解錠いずれを目的とするかを示す識別ビットを錠操作信号(CS)に含めたり、あるいはポーリング期間中に応答された錠操作信号(CS)を、リクエスト信号(RQ)出力時の施解錠情報に一致させることにより判別する。
【0035】
また、リモコン動作による場合には、認証コードに加えて施解錠識別信号が含まれており、認証が成立すると、閉扉、解錠状態で施解錠識別信号が施錠指示である場合には、電気錠制御部10に施錠ドライブ信号を、閉扉、施錠状態で施解錠識別信号が解錠指示である場合には、電気錠制御部10に解錠ドライブ信号をセットして電気錠1を駆動する。
【0036】
一方、電子キー(K)は、制御部15により制御されて動作するLF受信部16、UHF送信部17、時間計測部18、モード判定部19、モード設定部20、記憶部21、およびリクエストコード照合部22を含み、外部から操作可能な位置に錠制御操作部4としての施錠ボタン4Aと解錠ボタン4Bとが配置される。
【0037】
電子キー(K)は、パッシブ動作、およびリモコン動作により作動し、リモコン動作は、利用者が施錠ボタン4A、あるいは解錠ボタン4Bのいずれかを操作することにより作動し、施解錠ボタン4Bの操作を検出した制御部15は、記憶部21から認証コード(ID)を読み出すとともに、施解錠ボタン4A、4Bに対応した施解錠識別コードを付与してUHF送信部17から出力する。
【0038】
LF受信部16は、上述したように、電気錠制御装置2から出力されるリクエスト信号(RQ)を受信し、該リクエスト信号(RQ)が自局に向けたものかどうかを判別する。リクエスト信号(RQ)の判別は、リクエスト信号(RQ)に含まれるリクエストコードを記憶部21に格納されたリクエストコードとリクエストコード照合部22において比較して行われ、一致する場合、認証コード(ID)をUHF送信部17から出力する。
【0039】
以上のように、電子キー(K)は、リモコン動作とパッシブ動作を利用者が適宜選択して運用するモード(通常モード)に加え、パッシブ動作を無効化するパッシブ無効化モードによる運用が可能にされている。パッシブ無効化モードには、後述する利用者によるモード変換操作が実行されるまでパッシブ動作を無効化する完全無効化モードと、パッシブ動作を一定時間無効化し、所定の期間(応答禁止期間)経過後、通常モードに自動復帰する一定時間無効化モードが設定されており、現在のモードは、記憶部21の無効化設定格納部21aに記憶される。
【0040】
上記一定時間無効化モードは、当該モードへの変換と同時に開始することはなく、パッシブ動作による施錠動作、あるいはリモコン動作による施錠動作のいずれかが行われた際にのみ開始し、応答禁止期間中であるかは、時間計測部18において計測される。
【0041】
応答禁止期間を、施錠操作完了後、電子キー(K)からの錠操作信号(CS)が電気錠制御装置2に到達しない距離までの移動時間、例えば、5分程度に設定すると、利用者が気付かない場所で不正にリクエストスイッチ5が操作されても、錠操作信号(CS)の電気錠制御装置2への到達距離にいる間だけパッシブ動作が規制されるために、不正な解錠操作が行われることを確実に防止することができる。
【0042】
また、応答禁止期間を過ぎると利用者の手を煩わせることなく自動的に通常モードに復帰してパッシブ動作が可能になるために、例えば、帰宅時にはパッシブ動作による解錠操作が可能になるために、使い勝手が向上する。
【0043】
さらに、本例において、一定時間無効化モードには、パッシブ動作が許容される猶予期間が設定される。猶予期間は、応答禁止期間内で、モード開始直後から所定期間に設定され、この猶予期間を利用して、パッシブ動作による施錠動作が不完全だった場合の再操作を行うことができる。猶予期間は、施錠操作のリトライに要する時間、あるいは利用者がリクエストスイッチ5を見通せない場所まで移動するのに要する一般的に時間等を考慮して決定される。
【0044】
また、本例において、上記猶予期間内に電子キー(K)が解錠を指示する錠操作信号(CS)を出力した場合には、無効化動作を停止し、次に施錠用の錠操作信号(CS)が出力されるまでの間、通常モードと同様の運用が可能になる。
【0045】
さらに、一定期間無効化モードは、応答禁止期間中にリモコン動作による施錠用の錠操作信号(CS)を出力した際には、応答禁止期間をさらに延長するようにされており、リモコンを操作して施錠した後、解錠キーが応答禁止期間を過ぎてリクエスト信号(RQ)に対する応答が可能な状態になるセキュリティホールを塞ぐことができる。
【0046】
応答禁止期間の延長期間は、適宜設定することが可能であるが、応答禁止期間と同じ長さに設定すると、リモコンによる施錠操作をしてから応答が禁止されるまでの時間をパッシブ動作と同様にすることができるために、利用者にリモコン操作とパッシブ操作の違いを意識させることなく所定時間後にパッシブ動作を停止させることができる。
【0047】
さらに、一定期間無効化モードは、応答禁止期間中にリモコン動作による解錠用の錠操作信号(CS)を出力した際には、無効化動作を停止し、次に施錠用の錠操作信号(CS)が出力されるまでの間、通常モードと同様の運用が可能になる。
【0048】
このリモコン動作による解錠動作と、上述したリモコン動作による施錠操作による動作を追加することにより、パッシブ動作による動作と、リモコン動作による動作が等しくなり、動作の違いによる挙動の違いの発生を防止することができる。
【0049】
以上のように構成される施解錠制御システムの動作フローを図2以下に示す。
【0050】
図2はパッシブ動作時の施錠操作に対する電気錠制御装置2の動作を示すもので、制御部6がリクエストスイッチ5への操作を検知すると(ステップC1-1)、扉開閉検知部11と錠状態検知部14の出力を確認し、電気錠1が解錠状態で、かつ扉が閉塞状態であるときには(ステップC1-2)、施錠リクエスト信号(RQ)を送信する(ステップC1-3)。
【0051】
リクエスト信号(RQ)の送信に対してリクエストコードが一致する電子キー(K)からの応答があり、UHF受信部8が応答信号(錠操作信号(CS))を受信すると(ステップC1-4)、制御部6は錠操作信号(CS)から認証コード(ID)を抽出して認証部9において認証する。
【0052】
認証部9での認証が成立すると(ステップC1-5)、電気錠制御部10に施錠用ドライブ信号をセットして施錠動作を行い(ステップC1-6)、制御を終了する。
【0053】
これに対し、ステップC1-2の条件、あるいはステップC1-5の条件を満たさなかった場合には、そのまま制御を終了する。
【0054】
図3はパッシブ動作時の施錠操作に対する電子キー(K)の動作を示すもので、制御が開始され、LF受信部16でのリクエスト信号(RQ)の受信が検出されると(ステップK1-1)、自局宛のリクエスト信号(RQ)か否かをリクエストコード照合部22において照合し、一致する場合には、自局宛のリクエスト信号(RQ)とし(ステップK1-2)、後に詳述する設定変更処理を行う(ステップK1-3)。
【0055】
次いで、現在、パッシブ動作が禁止されていない場合、すなわち、完全無効化モードでなく、あるいは一定時間無効化モードにおける猶予期間、あるいは応答禁止期間経過後である場合には(ステップK1-4)、認証コードを含む施錠を指示する錠操作信号(CS)をUHF送信部17から出力する(ステップK1-5)。
【0056】
この後、一定時間無効化モード中である場合(ステップK1-6)、時間計測部18を作動させて応答禁止期間の計測を開始して制御を終了する(ステップK1-7)。上述したように、応答禁止期間中では、猶予期間を除きパッシブ動作が禁止され、その後通常モードに自動復帰する。
【0057】
これに対し、ステップK1-2、K1-4、K1-6で条件を満たさなかった場合には後続のステップを実行することなく制御を終了する。
【0058】
図4に上述したステップK1-3における設定変更処理を示す。設定変更処理は、電子キー(K)のモード変換操作部3を操作した状態で電気錠制御装置2からのリクエスト信号(RQ)を受信することにより開始され、施解錠ボタン4A、4Bをモード変換操作部3として使用する本例において、操作した施解錠ボタン4A、4Bの種類により変更先モードが決定される。
【0059】
モード変更操作は、自局宛のリクエスト信号(RQ)を受信していることを条件に開始され(ステップM1)、次いで、電子キー(K)の施解錠ボタン4A、4Bの双方が操作されている場合には(ステップM2)、モード設定部20において通常モードに変更される(ステップM3)。モード変更結果は記憶部21に格納され、次いで、時間計測部18をリセットして(ステップM4)変更処理を終了する。
【0060】
一方、リクエスト信号(RQ)を受信した状態で解錠ボタン4Bのみを操作している場合(ステップM5)、完全無効化モードに変更した後(ステップM6)、ステップM4を実行し、変更処理を終了する。
【0061】
さらに、リクエスト信号(RQ)を受信した状態で施錠ボタン4Aのみを操作している場合(ステップM7)、一定時間無効化モードに変更した後(ステップM8)、ステップM4を実行し、変更処理を終了する。
【0062】
また、リクエスト信号(RQ)を受信した状態で施解錠ボタン4A、4Bを操作していない場合には、モード変更をすることなく変更処理を終了する。
【0063】
図5はパッシブ動作時の解錠操作に対する電気錠制御装置2の動作を示すもので、制御が開始され、制御部6がリクエストスイッチ5への操作を検知すると(ステップC2-1)、錠状態検知部14の出力を確認し、電気錠1が施錠状態であるときには(ステップC2-2)、解錠リクエスト信号(RQ)を送信する(ステップC2-3)。
【0064】
リクエスト信号(RQ)の送信に対してリクエストコードが一致する電子キー(K)からの応答があり、UHF受信部8が応答信号(錠操作信号(CS))を受信すると(ステップC2-4)、制御部6は錠操作信号(CS)から認証コード(ID)を抽出して認証部9において認証する。
【0065】
認証部9での認証が成立すると(ステップC2-5)、電気錠制御部10に解錠用ドライブ信号をセットして施錠動作を行い(ステップC2-6)、制御を終了する。これに対し、ステップC2-1、C2-2の条件、あるいはステップC2-5の条件を満たさなかった場合には、そのまま制御を終了する。
【0066】
一方、パッシブ動作の解錠操作に対する電子キー(K)は、図6に示すように、電気錠制御装置2からのリクエスト信号(RQ)を受信すると(ステップK2-1)、自局宛のリクエスト信号(RQ)であるか否かを判定し、自局宛である場合(ステップK2-2)には図4に示す設定変更処理が行われる(ステップK2-3)。
【0067】
次いで、現在、パッシブ動作が許容されているか否かを判定し、許容されている場合には(ステップK2-4)、錠操作信号(CS)を出力し(ステップK2-5)、さらに、時間計測部18をリセットして(ステップK2-6)制御を終了する。
【0068】
時間計測部18のリセットにより、一定時間無効化モードである場合には、初期状態に戻り、施錠用の錠操作信号(CS)を出力するまで通常モードと同様に動作する。
【0069】
図7は、リモコン動作による施錠操作の動作フローを示すもので、電子キー(K)は、図7(a)に示すように、制御部15が施錠ボタン4Aに対する操作を検出し、かつ解錠ボタン4Bへの操作が行われていないことを検出すると(ステップK3-1)、施錠の錠操作信号(CS)を出力する(ステップK3-2)。
【0070】
その後、記憶部21の無効化設定格納部21aをチェックし、現在モードが一定期間無効化モード中で、かつ猶予期間を除く応答禁止期間中である場合(ステップK3-3、K3-4)、時間計測部18を現在の計時値を猶予期間の終了期間に更新して直ちに応答禁止状態に移行させて実質的に応答禁止状態を延長させた後(ステップK3-5)、制御を終了する。
【0071】
これに対し、ステップK3-4でパッシブ動作が無効状態でない場合には、時間計測部18による計測を開始し(ステップK3-6)、応答禁止期間を新たに設定する。
【0072】
一方、リモコン動作による解錠操作時の電気錠制御装置2は、図7(b)に示すように、電子キー(K)から施錠の錠操作信号(CS)とともに認証コードを受信すると(ステップC3-1)、認証部9において認証し、認証が成立すると(ステップC3-2)、電気錠制御部10に施錠用ドライブ信号をセットして施錠動作を行い(ステップC3-3)、制御を終了する。
【0073】
図8は、リモコン動作による解錠操作の動作フローを示すもので、電子キー(K)は、図8(a)に示すように、制御部15が解錠ボタン4Bに対する操作を検出し、かつ施錠ボタン4Aへの操作が行われていないことを検出すると(ステップK4-1)、解錠の錠操作信号(CS)を出力する(ステップK4-2)。
【0074】
この後、一定時間無効化モード時の計時を停止し、施錠の錠操作信号(CS)の出力による計時開始を待つため、時間計測部18をリセットして(ステップK4-3)、制御を終了する。
【0075】
これに対し、電気錠制御装置2は、図8(b)に示すように、電子キー(K)から解錠の錠操作信号(CS)とともに認証コードを受信すると(ステップC4-1)、認証部9において認証し、認証が成立すると(ステップC4-2)、電気錠制御部10に解錠用ドライブ信号をセットして電気錠1を解錠駆動し(ステップC4-3)、制御を終了する。
【0076】
なお、以上においては、家屋の扉の施解錠を制御する施解錠制御システムを例に挙げて説明したが、自動車のドアの施解錠制御システムにも利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 電気錠
2 電気錠制御装置
3 モード変換操作部
4 錠制御操作部
RQ リクエスト信号
CS 錠操作信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8