(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】モータグレーダの作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 3/76 20060101AFI20220908BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20220908BHJP
【FI】
E02F3/76 A
F16H57/04 J
F16H57/04 Q
(21)【出願番号】P 2019513460
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2018016852
(87)【国際公開番号】W WO2019207694
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 康太
(72)【発明者】
【氏名】浅井 雄士
(72)【発明者】
【氏名】米 俊宏
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0135866(US,A1)
【文献】特開2016-125587(JP,A)
【文献】特開2012-163215(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203309(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/76
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に沿って延びるドローバプレートを有するドローバと、
平面視で環状をなして前記ドローバプレートの下面に固定された外輪、及び、平面視で環状をなし前記外輪の内側に配置されているとともに該外輪に対して周方向に回転可能に接続されて内周面に内歯車が設けられた内輪を有するベアリングと、
前記内歯車に噛み合う外歯車が設けられて該外歯車を回転させる回転機本体、及び、該回転機本体に設けられて前記外歯車を外周側から覆い、該外歯車との間に空間を形成し、前記ドローバプレートに固定された歯車カバーを有するサークル回転機と、
前記歯車カバーに設けられて前記空間に潤滑剤を供給する回転機潤滑部と、
前記内輪の下端に前記周方向にわたって固定されるとともに、前記空間に連通して該空間の下方に開口部を形成するサークルと、
を備え
、
前記歯車カバーは、
前記外歯車における該外歯車と前記内歯車とが噛み合う位置を除く部分を外周側から覆う側面部と、
前記側面部の下端に一体に設けられ、前記外歯車を下方から覆い、前記サークルとの間に前記空間と前記開口部とを連通する隙間を形成する下面部と、
を有するモータグレーダの作業機。
【請求項2】
前記回転機潤滑部は、前記歯車カバーの前記側面部を前記外歯車の径方向に貫通する供給孔に設けられるとともに前記空間に向けて開口する少なくとも一つの供給部を有する請求項
1に記載のモータグレーダの作業機。
【請求項3】
前記回転機潤滑部は、前記供給部に接続されて前記ドローバプレートの上方に開口し、前記潤滑剤を前記供給部へ導入可能な導入部をさらに有する請求項
2に記載のモータグレーダの作業機。
【請求項4】
前記ドローバプレートには、上下に貫通する貫通孔が形成され、
前記サークル回転機は、前記歯車カバーから突出し、前記サークル回転機が前記貫通孔に挿入された状態で前記ドローバプレートの上面上に固定され、前記貫通孔から下方に露出する露出部を備えるフランジ部をさらに有し、
前記回転機潤滑部における前記導入部は、前記露出部を上下に貫通して前記フランジ部に設けられ、該フランジ部の上面に開口する請求項
3に記載のモータグレーダの作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータグレーダの作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータグレーダが開示されている。モータグレーダには作業機が設けられている。作業機は、ブレードを支持するサークルを有する。サークルはブレードを支持するとともにドローバに回転可能に支持されている。モータ等の回転機に設けられた外歯車(ピニオン)と、サークルの内周面に設けられた内歯車とが噛み合っていることで回転機によってサークルを回転させることが可能となっている。そしてサークルの回転によってブレードも回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転機の外歯車とサークルの内歯車との噛み合い部分の焼き付きや摩耗を抑制するため、定期的な潤滑剤の供給(給脂)が必要となる。しかし、作業者が直接噛み合い部分へ潤滑剤を塗布するようなことが必要な作業機構造の場合、作業性が悪く、作業中の作業者姿勢がきつい姿勢であったり、作業そのものに手間がかかるといった課題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、メンテナンス性向上と耐久性の確保を図ることができるモータグレーダの作業機を提供することを目的とする。つまり、容易に回転機の外歯車とサークルの内歯車の噛み合い部分へ潤滑剤を供給でき、サークルが円滑な動作を可能とするモータグレーダの作業機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るモータグレーダの作業機は、水平面に沿って延びるドローバプレートを有するドローバと、平面視で環状をなして前記ドローバプレートの下面に固定された外輪、及び、平面視で環状をなし前記外輪の内側に配置されているとともに該外輪に対して周方向に回転可能に接続されて内周面に内歯車が設けられた内輪を有するベアリングと、前記内歯車に噛み合う外歯車が設けられて該外歯車を回転させる回転機本体、及び、該回転機本体に設けられて前記外歯車を外周側から覆い、該外歯車との間に空間を形成し、前記ドローバプレートに固定された歯車カバーを有するサークル回転機と、前記歯車カバーに設けられて前記空間に潤滑剤を供給する回転機潤滑部と、前記内輪の下端に前記周方向にわたって固定されるとともに、前記空間に連通して該空間の下方に開口部を形成するサークルと、を備え、前記歯車カバーは、前記外歯車における該外歯車と前記内歯車とが噛み合う位置を除く部分を外周側から覆う側面部と、前記側面部の下端に一体に設けられ、前記外歯車を下方から覆い、前記サークルとの間に前記空間と前記開口部とを連通する隙間を形成する下面部と、を有する。
【0007】
モータグレーダの作業機は、サークル回転機の回転機本体と歯車カバーとの間の空間に潤滑剤を供給可能な回転機潤滑部を備えている。このため、作業者が直接に内歯車と外歯車の噛み合い部分にアクセスして潤滑剤を供給(塗布)することなく、噛み合い部分に潤滑剤を供給することが可能となる。さらに、外歯車と歯車カバーとの空間に供給された潤滑剤は、外歯車の回転に伴って外歯車の全周にいきわたった後、サークルによって形成された開口部を通じて外歯車と歯車カバーとの間の空間から排出される。よって、古くなった潤滑剤を排出しつつ、新しい潤滑剤を上記の空間に供給することが可能となり、内歯車と外歯車の噛み合い部分の潤滑性を向上することができる。また、外歯車を覆う歯車カバーが設けられていることで外歯車に土砂が直接流入してしまうことを回避でき、噛み合い部分の摩耗を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
上記態様のモータグレーダの作業機によれば、メンテナンス性向上と耐久性の確保を図ることができるモータグレーダの作業機を提供するができる。つまり、容易に回転機の外歯車とサークルの内歯車の噛み合い部分へ潤滑剤を供給でき、サークルの円滑な動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るモータグレーダの側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機のドローバ、ベアリング、サークル、サポート、及び底部カバーの分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機を上方から見た平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機を下方から見た平面図であって、底部カバーを外した状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機の縦断面図であって、
図3のX-X断面を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機の縦断面図であって、
図5のY部の拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機におけるサークル回転機の歯車カバーを含む部分の平面図であって、
図6のZ矢視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るモータグレーダの作業機の回転機の歯車カバーを含む部分を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について
図1から
図8を参照して詳細に説明する。
<モータグレーダ>
図1示すように実施形態に係るモータグレーダ1は、走行輪2,3、車体フレーム4、キャブ8及び作業機10を主に備えている。作業機10はブレード90を有している。モータグレーダ1は、ブレード90で整地作業、除雪作業、軽切削、材料混合等の作業を行なう。モータグレーダ1は、走行輪2,3としての前輪2及び後輪3を有している。本実施形態のモータグレーダ1は、片側1輪ずつの2つの前輪2と、片側2輪ずつの4つの後輪3を有している。
【0011】
以下では、前後方向とは、モータグレーダ1の前後方向を意味する。即ち、前後方向とは、キャブ8の運転席に着座した運転者から見た前後方向を意味する。車幅方向とは、モータグレーダ1の車幅方向を意味する。即ち、車幅方向とは、キャブ8の運転席に着座した運転者から見た左右方向を意味する。
【0012】
車体フレーム4は、リアフレーム5、フロントフレーム6、及び外装カバー7を有する。リアフレーム5は、外装カバー7やエンジン室に配置されたエンジン等の構成部品(図示省略)を支持している。外装カバー7はキャブ8の後方でエンジン室を覆っている。リアフレーム5には、上記の4つの後輪3の各々がエンジンからの駆動力によって回転駆動可能に取付けられている。フロントフレーム6は、リアフレーム5の前方に取り付けられている。フロントフレーム6の先端には、カウンタウェイト6aが取り付けられている。フロントフレーム6の先端下部には、上記の2つの前輪2が回転可能に取り付けられている。
【0013】
キャブ8はリアフレーム5の前部に載置されている。キャブ8の内部には、ハンドル、変速レバー、作業機10の操作レバー、ブレーキ、アクセルペダル、インチングベダルなどの操作部(図示省略)が設けられている。
【0014】
<作業機>
作業機10は、上記ブレード90に加えて、
図2~
図4に示すように、ドローバ20、内歯車30aが設けられたベアリング30、外歯車50aが設けられたサークル回転機50、サークル60、及び、潤滑剤Lを外歯車50aに供給する回転機潤滑部40、及び底部カバー70を備えている。
【0015】
<ドローバ>
図2~
図5に示すように、ドローバ20は、ドローバプレート21、横リブ22、縦リブ23、湾曲リブ26、及び湾曲リブ凹部26aを有している。
【0016】
<ドローバプレート>
ドローバプレート21は、水平面に沿って延びる板状をなしている。ドローバプレート21の上面及び下面は、水平面に沿う平面状をなしている。ドローバプレート21は、前後方向を長手方向として延びている。ドローバプレート21の前方側の部分は、平面視にて前方側に向かうに従って先細りとなるプレート前部21aとされている。ドローバプレート21の後方側の部分は、プレート前部21aよりも車幅方向の寸法が大きくされたプレート後部21bとされている。プレート後部21bは、プレート前部21aの後端から後方側に向かうにしたがって車幅方向の寸法が漸次大きくなった後に、さらに後方に向かうにしたがって車幅方向の間隔が小さくなる形状をなしている。
【0017】
<横リブ>
横リブ22は、ドローバプレート21におけるプレート後部21bの上面から突出するとともに車幅方向に延びる板状をなしている。横リブ22は、プレート後部21bにおける車幅方向が最大となる前後方向位置に設けられている。
【0018】
<縦リブ>
縦リブ23は、ドローバプレート21上から突出するとともに、該ドローバプレート21のプレート前部21a及びプレート後部21bとにわたって前後方向に延びる板状をなしている。縦リブ23は、車幅方向に間隔をあけて一対が設けられている。各縦リブ23は、後端が横リブ22の前面に接続されている。各縦リブ23の先端の前後方向位置は、プレート前部21aの先端と一致している。一対の縦リブ23は、前方側に向かうにしたがってこれら一対の縦リブ23の車幅方向の間隔が小さくなるように設けられている。一対の縦リブ23におけるプレート前部21a上の部分は、平面視で該プレート前部21aの車幅方向の側縁部と一致して延びている。
【0019】
ここで、ドローバプレート21上の領域のうち、一対の縦リブ23及び横リブ22によって区画される前部及び中央の部分は、前部領域A1とされている。前部領域A1には、ドローバプレート21を上下方向に貫通する貫通孔21cが形成されている。貫通孔21cは、車幅方向の中央付近の位置に形成されている。
【0020】
ドローバプレート21上の領域のうち、横リブ22の後方側の部分は、後部領域A2とされている。ドローバプレート21上の領域のうち、各縦リブ23の車幅方向外側を向く面と横リブ22の前面との間の部分は、側部領域A3とされている。側部領域A3は、車幅方向に間隔をあけて一対が形成されている。
【0021】
一対の縦リブ23の前端及びドローバプレート21の前端との間には連結部24が設けられている。連結部24には、図示を省略する摺動部材が接続されている。摺動部材は、フロントフレーム6に接続されている。ドローバ20は、後述するように各油圧シリンダに接続されている。ドローバ20は、各油圧シリンダの伸縮に応じてフロントフレーム6に対して揺動可能とされている。
【0022】
<湾曲リブ>
図3~
図5に示すように、湾曲リブ26は、ドローバプレート21におけるプレート後部21bの下面から下方に突出するように設けられている。湾曲リブ26は、上下方向に延びる軸線Oを中心とした仮想円の周方向(以下、単に周方向と称する)に湾曲して延びる板状をなしている。軸線Oは、プレート後部21bの中央部に位置している。湾曲リブ26は、上記軸線Oを中心とした仮想円の径方向(以下、単に径方向と称する)を板厚方向とする板状をなしてしている。本実施形態の湾曲リブ26は、前方側の一部分を除く大部分が、平面視で軸線Oを中心とした環状に延びている。
【0023】
湾曲リブ26の前方側の一部分(湾曲リブ凹部26a)は、平面視にて貫通孔21cを避けるように後方側に凹むように延びている。湾曲リブ凹部26aは、歯車カバー52の側面部52aの外周を覆うように配置される。湾曲リブ凹部26aの端部26aEと湾曲リブ26とは溶接によって接続されている。湾曲リブ26の突出長さ、即ち、湾曲リブ26の上下方向の寸法は、周方向にわたって一定とされている。湾曲リブ凹部26aの突出長さや板厚は、湾曲リブ26と同等である。
【0024】
図3に示すように、湾曲リブ26は、平面視にてドローバ20上面における前部領域A1、後部領域A2及び側部領域A3を通過するように延びている。即ち、湾曲リブ26は、平面視で横リブ22及び一対の縦リブ23と重なり、かつ、これら横リブ22及び一対の縦リブ23を跨ぐように延びている。また湾曲リブ凹部26aは前部領域A1内に配置されている。
【0025】
図1に示すように、ドローバ20は、左右一対のリフトシリンダ101及びドローバシフトシリンダ102によってフロントフレーム6に接続されている。一対のリフトシリンダ101によって、ドローバ20の昇降及び前後方向に沿う軸回りの揺動が可能とされている。ドローバシフトシリンダ102によって、ドローバ20はフロントフレーム6に対して左右に相対移動可能とされている。
【0026】
<ベアリング>
図2、
図4、及び
図5に示すように、ベアリング30は、軸線Oを中心とした環状をなす部材であってドローバ20とドローバ20の下方のサークル60との間の空間に設けられている。
図5に示すように、ベアリング30は、サークル回転機50が設置されているところ以外の周方向において、ドローバ20の下方における外周側の端部に設けられた外周側壁部62と、湾曲リブ26との間でこれら外周側壁部62及び湾曲リブ26に挟まれるように設けられている。ベアリング30は、外輪31、内輪32及び転動体33を有する。
【0027】
<外輪>
外輪31は、平面視で軸線Oを中心とした環状をなす部材である。
図5及び
図6に示すように、外輪31は、周方向に直交する断面形状が矩形状をなしている。外輪31の上端面は水平面に沿う平坦状をなしている。外輪31の上端面は周方向にわたってドローバ20におけるプレート後部21bの下面に固定されている。外輪31は、ドローバプレート21を上下に貫通して周方向に複数配置されたボルト(図示省略)によってドローバプレート21と固定されて一体化されている。外輪31の下端面は、水平面に沿う平坦状をなしている。外輪31の下端面は、外周側壁部62の上端面よりも下方に位置している。
【0028】
外輪31の内周面及び外周面は、軸線Oに平行をなす円筒面状をなしている。外輪31の内周面には、該内周面から凹んで周方向にわたって延びる外輪凹溝31aが形成されている。外輪31には、該外輪31の内周面と外周面とを径方向に貫通する供給孔31bが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。供給孔31bは外輪凹溝31aに連通している。
【0029】
外輪31の外周面は、サークル60の外周側壁部62の内周面に対して径方向内側に間隔をあけて対向している。これより、外輪31の外周面と外周側壁部62の内周面との間には、外周側空間S1が形成されている。
【0030】
<内輪>
図5及び
図6に示すように、内輪32は、平面視で軸線Oを中心とした環状をなす部材である。内輪32は、外輪31よりも一回り小さい直径を有しており、外輪31の径方向内側に配置されている。
図5及び
図6に示すように、内輪32は、周方向に直交する断面形状が矩形状をなしている。内輪32の上端面は、外輪31の上端面よりも一段下方に位置している。これにより内輪32の上端面とドローバプレート21の下面との間には、上部空間R1が形成されている。内輪32の下端面は、外輪31の下端面よりも一段下方に位置している。
【0031】
内輪32の外周面は、軸線Oを中心とした円筒面状をなしている。内輪32の外周面は、外輪31の内周面に対してわずかなクリアランスをあけて配置されている。内輪32の外周面には、該外周面から径方向内側に凹んで周方向にわたって延びる内輪凹溝32aが形成されている。内輪凹溝32aの上下方向位置は、外輪凹溝31aの上下方向位置に対応している。
【0032】
内輪32の内周側の部分には、軸線Oを中心する環状をなすように周方向に凹凸が連続する内歯車30aが周方向及び上下方向にわたって設けられている。
【0033】
<内歯車>
内歯車30aは、内輪32の内周面から径方向内側に突出するように内輪32に一体に設けられている。内歯車30aはドローバ20の湾曲リブ凹部26aの外周面と径方向に間隔をあけて配置されている。内歯車30aと湾曲リブ凹部26aとの間の空間は、上下方向及び周方向に延びる内周側空間R2とされている。内周側空間R2の上端と上部空間R1とは連通している。
【0034】
<転動体>
転動体33は、外輪31と内輪32との間に設けられており、これら外輪31及び内輪32に摺接することで外輪31と内輪32とを周方向に相対回転可能としている。本実施形態の転動体33は球状をなすボールである。転動体33は、外輪凹溝31aと内輪凹溝32aとによって区画して形成される収容空間に、周方向にわたって複数が収容されている。転動体33としては、棒状をなすころを用いてもよい。この場合、ころの中心軸が上下方向を向いた状態で、周方向にわたって複数のころが配置される。
【0035】
図6に示すように、ベアリング30には、外輪31及び内輪32の間に潤滑剤Lを供給するベアリング潤滑部34が設けられている。ベアリング潤滑部34は、貫通配管35及び接続部36を有する。貫通配管35は、上下方向に延びる配管である。貫通配管35は、ドローバプレート21を貫通してドローバプレート21の上方に開口している。貫通配管35の下部は、外周側空間S1内に位置している。ドローバプレート21の上方に設けられた貫通配管35の開口部35a(
図3参照)からは、潤滑剤(グリース)Lが圧送されることで、ベアリング30に潤滑剤Lが供給される(給脂される)。
【0036】
接続部36は、外周側空間S1に複数設けられており、外輪31の外周面における各供給孔31bの開口箇所にそれぞれ取り付けられている。接続部36には、貫通配管35の下端が接続されている。接続部36は、貫通配管35と供給孔31bとを連通するように接続する。これにより、貫通配管35の開口部から導入された潤滑剤Lが、貫通配管35及び接続部36を介して供給孔31bに供給される。
【0037】
<サークル回転機>
サークル回転機50は、
図2及び
図3に示すように、ドローバプレート21の貫通孔21cを上下に貫通するように設けられている。サークル回転機50は、回転機本体51と、歯車カバー52と、フランジ部53とを有している。
【0038】
<回転機本体>
図6に示すように回転機本体51は、筐体51aと、ウォーム51bと、ウォームホイール51cと、シャフト51dとを有している。
【0039】
筐体51aは、ウォーム51bとウォームホイール51cとを収容している。ウォーム51bは水平方向に沿って配置される円筒状部材である。ウォーム51bは油圧装置(不図示)によって回転させられる。ウォーム51bの外周面にはねじ歯51eが形成されている。
【0040】
ウォームホイール51cは、円筒状をなし、ドローバプレート21の上方に配置されている。ウォームホイール51cは上下方向に延びる軸線O1回りに回転可能となっている。ウォームホイール51cの外周面には、ウォーム51bのねじ歯51eに噛み合う歯部51fが形成されている。ウォーム51bの回転によってウォームホイール51cが回転する。
【0041】
シャフト51dは、円柱状をなし、ドローバプレート21を上下方向に貫通するように配置されている。シャフト51dはウォームホイール51cに挿通され一体化されている。シャフト51dは、軸線O1を中心としてウォームホイール51cとともに回転可能に筐体51aに支持されている。シャフト51dの下部には外歯車50aが設けられている。
【0042】
<外歯車>
外歯車50aはピニオンギアであって、ドローバプレート21の下方に配置されている。外歯車50aにはシャフト51dが挿通され一体化されている。外歯車50aは、軸線O1を中心としてシャフト51d及びウォームホイール51cとともに回転可能となっている。外歯車50aの上面には、外歯車50aよりも外径が小さい筒状の上突出部50a1が外歯車50aと一体に設けられている。上突出部50a1の上面は筐体51aの下面に対向して配置されて上突出部50a1の上面と、筐体51aの下面との間にはOリング55が設けられている。また外歯車50aの下面には、上突出部50a1と同様の外径を有する下突出部50a2が外歯車50aと一体に設けられている。
【0043】
<歯車カバー>
図5及び
図6に示すように、歯車カバー52は、筐体51aと一体に設けられている。歯車カバー52は、側面部52aと、側面部52aに一体に設けられた下面部52bとを有している。
【0044】
側面部52aは、外歯車50aにおける外歯車50aと内歯車30aとが噛み合う位置を除く部分を外周側から覆う。側面部52aは、軸線O1を中心とした仮想円の径方向に外歯車50aと離れて配置されて外歯車50aを外周側から覆い、外歯車50aとの間に空間T1を形成している。
図4に示すように側面部52aは、外歯車50aは軸線O1の方向から見て、軸線O1を中心とした環状部材の一部を欠損させたような形状をなしている。
【0045】
下面部52bは、軸線O1を中心とした円盤状をなし側面部52aの下端に側面部52aと一体に設けられている。下面部52bは、軸線O1の方向に外歯車50aと離れて配置されて外歯車50aの下方から覆って、外歯車50aとの間に空間T2を形成している。下面部52bは
図6に示すように一部が内輪32の下方に配置されている。即ち、平面視で下面部52bの一部は側面部52aから内輪32側に突出している。下面部52bには、上下方向に貫通する貫通孔52cが設けられている。貫通孔52cには下方から蓋部材54が挿通されてボルト(不図示)によって下面部52bに固定されている。蓋部材54の上面は、外歯車50aに一体に設けられた下突出部50a2の下面に対向して配置されている。蓋部材54の上面と下突出部50a2の下面との間には、Oリング56が設けられている。
【0046】
<フランジ部>
図5及び
図6に示すようにフランジ部53は、歯車カバー52の上端から、軸線O1を中心とした仮想円の径方向の外側、即ち外歯車50aの径方向外側に突出している。フランジ部53は、サークル回転機50がドローバプレート21の貫通孔21cに挿入された状態でドローバプレート21の上面に接触した状態で固定されている。
図6及び
図8に示すようにフランジ部53の下面の一部は、貫通孔21cから下方に露出している。フランジ部53が貫通孔21cから下方に露出する部分が露出部53aとなっている。フランジ部53は歯車カバー52及び筐体51aとともに一体で貫通孔21cに抜き差しすることが可能となっている。
【0047】
<回転機潤滑部>
図6、
図7、及び
図8に示すように、回転機潤滑部40は、複数の供給部41(41a,41b)と、一つの導入部42と、接続部43とを有している。供給部41は、側面部52aと湾曲リブ凹部26aとの間で、内周側空間R2に設けられている。供給部41同士は、外歯車50aの周方向、即ち歯車カバー52の側面部52aの周方向に間隔をあけて複数か所(本実施形態では二か所)に設けられている。各々の供給部41は、側面部52aの上端寄りの位置で同じ上下方向の位置に設けられている。各々の供給部41は歯車カバー52の側面部52aを、外歯車50aの径方向に貫通する供給孔52dに設けられて、空間T1に向けて開口している。供給部41からは空間T1へ潤滑剤(グリース)Lが圧送されて供給される(給脂される)。
【0048】
接続部43は複数の供給部41a,41bを接続するとともに、潤滑剤Lが流通する管状部材である。接続部43は歯車カバー52の側面部52aの周方向に、側面部52aに沿って側面部52aと間隔をあけて湾曲して延びている。
【0049】
導入部42は、
図8に示すように一つの供給部41aのみに接続されて供給部41aから下方に延び、かつ、フランジ部53の露出部53aを貫通してフランジ部53の上方、即ちドローバプレート21の上方に開口するU字状の管状部材である。導入部42へは、ドローバプレート21の上面の開口部42a(
図3参照)から潤滑剤Lが導入される。開口部42aから導入された潤滑剤Lは、導入部42、供給部41、及び接続部43を通じて空間T1へ供給される。
【0050】
<サークル>
サークル60は、
図2、及び
図4~
図6に示すように、ドローバ20の下方でベアリング30を介して軸線O回りに回転可能に設けられている。サークル60は、サークルプレート61、外周側壁部62、及び下側壁部64を有している。
【0051】
<サークルプレート>
サークルプレート61は、平面視で軸線Oを中心とした環状をなすとともに水平方向に延びる板状をなしている。サークルプレート61の上面及び下面は、水平面に沿う平面状をなしている。
図5及び
図6に示すように、サークルプレート61は、内輪32の下端面に周方向にわたってボルト等の固定部材(図示省略)によって固定されている。これにより、サークルプレート61は、内輪32と一体に軸線O回りに回転する。即ち、サークルプレート61は、ベアリング30を介してドローバプレート21に対して軸線O回りに相対回転可能とされている。サークルプレート61の下面は、ドローバ20の湾曲リブ26の下端よりも上方に位置している。
【0052】
サークルプレート61の内周縁部61aは、軸線Oを中心とした円形をなしている。サークルプレート61の内周縁部61aは、ドローバ20の湾曲リブ26の外周面に対して径方向外側から対向している。
【0053】
サークルプレート61の内周縁部61aの径方向位置は、内歯車30aの歯先と内輪32の外周面との間の位置である。サークルプレート61は、内周縁部61aから径方向外側に向かって張り出すように配置されている。サークルプレート61の上面と外輪31の下端面とは、互いに上下方向に間隔をあけて対向している。
【0054】
図2、
図5~
図6に示すように、サークルプレート61には上記の外周側壁部62が設けられている。外周側壁部62は、軸線Oを中心とした円筒状をなしている。外周側壁部62の内周面は、サークルプレート61の外周側に接続されている。外周側壁部62は、サークルプレート61の外周から上方及び下方の双方に向かって延びている。外周側壁部62は、ベアリング30を外周側から囲っている。外周側壁部62の上端は、ドローバプレート21の下面と上下方向に間隔をあけて対向している。即ち、外周側壁部62の上端とドローバプレート21の下面との間には、周方向にわたって径方向に貫通するクリアランスCが形成されている。
【0055】
図2及び
図4に示すように、サークル60の外周面となる外周側壁部62の外周面に車幅方向に離間して一対のサポート80が固定されている。各サポート80は、サークル60の外周面に沿って後方に延びた後に下方に向かって湾曲して延びている。
【0056】
図5に示すように、サークルプレート61には下側壁部64が設けられている。下側壁部64は、サークルプレート61の下面から下方に突出して周方向に延びている。下側壁部64は、平面視で軸線Oを中心とした環状をなしている。下側壁部64の径方向位置は、サークルプレート61の内周縁部61aと外周側壁部62との間の位置となっている。下側壁部64の径方向位置は、内輪32の外周面よりも径方向外側であり、かつ、外輪31の外周面よりも径方向内側の位置となっている。
【0057】
図5及び
図6に示すようにサークルプレート61の内周縁部61aと歯車カバー52の下面部52bの径方向外側の端部とは径方向に離れて配置され、内周縁部61aと下面部52bの間に隙間G1が形成されている。
【0058】
<底部カバー>
図2及び
図5に示すように、底部カバー70は、平面視で軸線Oを中心とした外形が全体として環状をなすとともに水平方向に延びる板状をなしている。底部カバー70は、周方向に複数に分割されている。分割された各々の底部カバー70は、隣り合う底部カバー70のつなぎ目で折り重なるような構造となっている。底部カバー70は、底部カバー70の上面側にあるベアリング30や歯車カバー52、サークル回転機50などに、直接、土砂や水がかかることを回避する。また、岩などが、直接、ベアリング30や歯車カバー52、サークル回転機50などに接触して、それらの機器が破損することを回避する。底部カバー70の上面及び下面は、水平面に沿う平面状をなしている。底部カバー70は、ドローバ20の湾曲リブ26、湾曲リブ凹部26aの下端に周方向にわたってボルト(図示省略)によって固定されている。底部カバー70は、湾曲リブ26、湾曲リブ凹部26aに対してブラケット等を介して固定されていてもよい。底部カバー70が周方向に複数に分割されているため、例えば、ベアリング30のメンテナンスを行う際、点検が必要な周方向の所定箇所に対応する底部カバー70のみを外すことができ、作業機10のメンテナンス性が向上する。また、一部の底部カバー70が損傷した場合、当該底部カバー70のみを交換するだけでよく、メンテナンスコストを含めたメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0059】
底部カバー70の内周は、湾曲リブ26、湾曲リブ凹部26aに沿って配置されている。底部カバー70は、湾曲リブ26、湾曲リブ凹部26aとの固定箇所から径方向外側に張り出すように延びている。底部カバー70の外周縁部71は、サークル60の下側壁部64の内周面に対して径方向内側から対向している。これによって、底部カバー70の外周縁部71と下側壁部64の内周面との間には、周方向にわたって上下に貫通する開口部G2が形成されている。この開口部G2は、歯車カバー52の内側の空間T1に上記の隙間G1、空間T2、及び後述の底部空間R3を介して連通している。底部カバー70の外周縁部71の下端よりも、サークル60の下側壁部64の下端がわずかに下方に位置している。即ち、底部カバー70の外周縁部71よりも下方に向かって下側壁部64が突出している。
【0060】
さらに底部カバー70には、
図6に示すようにサークル回転機50の下方の位置で、下方に凹む部分(凹部72)が形成されている。凹部72内には、歯車カバー52の下面部52bに設けられた蓋部材54が配置されている。
【0061】
湾曲リブ凹部26aの外周面、サークルプレート61の下面、下側壁部64の内周面及び底部カバー70の上面によって区画される空間は、底部空間R3とされている。底部空間R3は、隙間G1を介して内周側空間R2に連通している。また、底部空間R3は、開口部G2にも連通している。
【0062】
<ブレード>
図1に示すようにブレード90は、サークル60の下方で水平方向に延びている。ブレード90は一対のサポート80に支持されている。即ち、ブレード90は、サポート80を介してサークル60に支持されている。ブレード90は、ブレードシフトシリンダ(図示省略)によって、サークル60に対してブレード90の延在方向に相対移動可能とされている。ドローバ20は、
図1に示すチルトシリンダ103によって、ブレード90の延在方向に沿う軸回りに揺動可能とされている。
【0063】
<作用効果>
上記構成のモータグレーダ1の作業機10では、サークル回転機50の駆動によって外歯車50aが回転すると外歯車50aに内歯車30aに噛み合って、内輪32が外輪31に対して軸線O回りに相対回転する。これによって、内輪32に一体に固定されたサークル60が軸線O回りに回転し、併せてサポート80を介してサークル60に固定支持されたブレード90が軸線O回りに回転する。これにより、サークル回転機50に設けられた外歯車50aの回転角度を調整することで、ブレード90の推進角を任意に設定することができる。
【0064】
ここで、サークル回転機50では、歯車カバー52の内側の空間T1へ回転機潤滑部40の供給部41を通じて潤滑剤Lを供給することができる。このため、作業者が直接に内歯車30aと外歯車50aの噛み合い部分にアクセスして潤滑剤Lを供給(塗布)する必要がなくなる。従って容易に潤滑剤Lを内歯車30aと外歯車50aの噛み合い部分に供給することができ、メンテナンス性向上を図ることができるとともに耐久性を確保でき、円滑なサークル60の回転動作が可能となる。
【0065】
さらに、外歯車50aと歯車カバー52との空間T1に供給された潤滑剤Lは、外歯車50aの回転に伴って外歯車50aの全周にいきわたる。その後、空間T2へ向かって潤滑剤Lが流れ、
図5及び
図6に示すようにサークルプレート61の内周縁部61aと歯車カバー52の下面部52bとの間の隙間G1、及び、底部カバー70の外周縁部71と下側壁部64の内周面との間の開口部G2を通じて潤滑剤Lが排出される。
【0066】
ここでベアリング潤滑部34からベアリング30に供給された潤滑剤Lは、外輪31の供給孔31bを通じて内輪の上方の上部空間R1に流入した後に隙間G1に向かって流れ、歯車カバー52の内側の空間T1から隙間G1に向かって流れる潤滑剤Lと合流して開口部G2から排出され、一部の潤滑剤Lは底部カバー70の凹部72に流下する。
【0067】
従って、古くなった潤滑剤Lを開口部G2から排出しつつ、新しい潤滑剤Lを歯車カバー52の内側の空間T1に供給することが可能となり、内歯車30aと外歯車50aの噛み合い部分の潤滑性をさらに向上することができる。また、外歯車50aを覆う歯車カバー52が設けられていることで、外歯車50aに土砂や水が直接流入してしまうことを回避でき、土砂による摩耗を回避するとともに水による潤滑剤Lの流出を回避し、外歯車50aと内歯車30aとの噛み合い部分の摩耗を抑制できる。
【0068】
さらに歯車カバー52の側面部52aには潤滑剤Lを供給する供給部41が周方向に離れた位置で複数設けられている。このため供給部41から空間T1へ周方向にわたって広い範囲に潤滑剤Lを供給することができる。また、潤滑剤Lを供給部41へ導入する導入部42はドローバプレート21の上方に開口している。従って、例えばドローバプレート21の下に作業者が潜り込んで潤滑剤Lを内歯車30aと外歯車50aの噛み合い部分へ導入する必要がなくなる。よって本実施形態によれば、導入部42から潤滑剤Lを導入する作業が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0069】
さらに導入部42は一つだけ設けられているが、接続部43によって複数の供給部41の間が接続されている。従って一つの導入部42から潤滑剤Lを導入すれば、すべての供給部41から空間T1へ潤滑剤Lを供給することができる。これにより非常に容易に、空間T1へ潤滑剤Lを供給することができる。
【0070】
また歯車カバー52は下面部52bを有し、下面部52bに蓋部材54が設けられている。従って、開口部G2を通じて土砂や水が底部空間R3に流入した場合であっても、歯車カバー52の内側の空間T1まで土砂が流入してしまうことを回避できる。これにより外歯車50aと内歯車30aとの噛み合い部分で土砂による摩耗の発生を抑制できる。
【0071】
さらに、サークル回転機50はフランジ部53を有している。そしてフランジ部53の下面の一部はドローバプレート21の貫通孔21cから下方に露出して、フランジ部53が露出部53aを有している。またこの露出部53aに導入部42が設けられている。よって、ドローバプレート21を貫通して導入部42を設ける必要がなくなる。このため、本実施形態のように導入部42をドローバプレート21の上方に開口させる場合であっても、導入部42を容易に設置ができる。さらに、サークル回転機50をドローバプレート21の貫通孔21cから抜き差しすることで、サークル回転機50と一体で回転機潤滑部40の供給部41、導入部42、及び接続部43の設置、取り外しが可能となる。このため、回転機潤滑部40のメンテナンス性も向上できる。
【0072】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
実施形態では、回転機潤滑部40によって空間T1へ供給される潤滑剤L、及びベアリング潤滑部34によってベアリング30に供給される潤滑剤Lはグリースよりも粘性の低い潤滑油等の他の潤滑剤を用いてもよい。潤滑剤Lの供給は自動で行ってもよいし、作業者が例えばグリースガンを用いて手動で行ってもよい。
【0073】
また、回転機潤滑部34の供給部41は一つのみ設けられていてもよい。即ち、供給部41は少なくとも一つ設けられていればよい。回転機潤滑部34の導入部42は、サークル回転機50はフランジ部53ではなく、ドローバプレート21を貫通して設けられていてもよい。また、導入部42はドローバプレート21の上方に開口している場合に限られず、潤滑剤Lを導入可能な位置に開口していればよい。
【0074】
上記の実施形態では、歯車カバー52は側面部52aと下面部52bとを有しているが、例えば側面部52aのみを有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のモータグレーダの作業機によれば、メンテナンス性向上と耐久性の確保を図ることができる。つまり、容易に回転機の外歯車とサークルの内歯車の噛み合い部分へ潤滑剤を供給でき、サークルの円滑な動作が可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1…モータグレーダ、2,3…走行輪、4…車体フレーム、5…リアフレーム、6…フロントフレーム、6a…カウンタウェイト、7…外装カバー、8…キャブ、10…作業機、20…ドローバ、21…ドローバプレート、21a…プレート前部、21b…プレート後部、21c…貫通孔、22…横リブ、23…縦リブ、26…湾曲リブ、30…ベアリング、30a…内歯車、31…外輪、31a…外輪凹溝、31b…供給孔、32…内輪、32a…内輪凹溝、33…転動体、34…ベアリング潤滑部、35…貫通配管、35a…開口部、36…接続部、40…回転機潤滑部、41(41a,41b)…供給部、42…導入部、43…接続部、50…サークル回転機、50a…外歯車、50a1…上突出部、50a2…下突出部、51…回転機本体、51a…筐体、51b…ウォーム、51c…ウォームホイール、51d…シャフト、51e…ねじ歯、51f…歯部、52…歯車カバー、52a…側面部、52b…下面部、52c…貫通孔、52d…供給孔、53…フランジ部、53a…露出部、54…蓋部材、55,56…Oリング、60…サークル、61…サークルプレート、61a…内周縁部、62…外周側壁部、64…下側壁部、80…サポート、70…底部カバー、71…外周縁部、72…凹部、90…ブレード、A1…前部領域、A2…後部領域、A3…側部領域、O…軸線、O1…軸線、101…リフトシリンダ、102…ドローバシフトシリンダ、S1…外周側空間、R1…上部空間、R2…内周側空間、R3…底部空間、T1…空間、T2…空間、C…クリアランス、G1…隙間、G2…開口部