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特許7138125炭素複合材料から作製されたスクリーンを含む分離デバイスのための液体ディストリビューター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】炭素複合材料から作製されたスクリーンを含む分離デバイスのための液体ディストリビューター
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/32 20060101AFI20220908BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B01D3/32 A
B01D53/18 130
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019571511
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2018065456
(87)【国際公開番号】W WO2018234092
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】17176977.1
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515169326
【氏名又は名称】ズルツァー マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
(73)【特許権者】
【識別番号】519452666
【氏名又は名称】エスゲーエル カーボン エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】アオスナー、イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】クチャー、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュプラー、ラルフ
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104383789(CN,A)
【文献】特開2000-167301(JP,A)
【文献】特表平4-505422(JP,A)
【文献】特開昭54-135665(JP,A)
【文献】特開2000-167302(JP,A)
【文献】特開2003-313082(JP,A)
【文献】特開2005-060497(JP,A)
【文献】特開平01-304038(JP,A)
【文献】Column internals Our complete program for optimal performance,Rvt,2014年,P.1-20,https://www.rvtpe.com/fileadmin/documents/print_and_publications/RVT_Column_internals_141124.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 3/32
B01D 53/14-53/18
B01J 4/00
B01J 10/00
B01J 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離デバイスのための液体ディストリビューター(14)であって、前記液体ディストリビューター(14)は、少なくとも1つのディストリビューター部材(18)を含み、前記ディストリビューター部材(18)は、ジェット(46)の形態の液体(24)の流出のための2つ以上の出口開口部(28)を有しており、前記液体ディストリビューター(14)は、少なくとも1つのスクリーン(30)をさらに含み、前記少なくとも1つのスクリーン(30)は、前記出口開口部(28)の前に配置されており、前記ディストリビューター部材(18)の前記出口開口部(28)を通って流出する液体ジェット(46)が、前記少なくとも1つのスクリーン(30)の表面の上に衝突し、前記少なくとも1つのスクリーン(30)の表面の上で薄流性の液体フィルム(48)へと変形させられるようになっており、前記少なくとも1つのスクリーン(30)のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に繊維強化カーボンから作製されている、液体ディストリビューター(14)。
【請求項2】
前記繊維強化カーボンは、炭素繊維強化カーボンである、請求項1に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスクリーン(30)のうちの少なくとも1つは、前記繊維強化カーボンから構成されている、請求項1または2に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスクリーン(30)のすべては、少なくとも部分的に繊維強化カーボンから作製されている、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項5】
前記繊維強化カーボンは、5%から30%のポロシティを有している、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項6】
前記液体ディストリビューター(14)は、パッキング・カラム(10)のために設計されており、前記少なくとも1つのディストリビューター部材(18)は、チューブ状またはトラフ状になっており、前記少なくとも1つのスクリーン(30)は、上向きに流れるガス・ストリーム(20)に対抗して前記出口開口部を遮蔽するように配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスクリーン(30)は、前記出口開口部(28)の前に配置されており、液体の最大流出の場合に、前記ディストリビューター部材(18)の前記出口開口部(28)を通って流出する前記液体ジェット(46)が、60°未満の角度で、前記少なくとも1つのスクリーン(30)の前記表面の上に衝突するようになっており、前記角度は、前記出口開口部(28)を通って流出する前記液体ジェット(46)の方向と、前記スクリーン(30)の前記表面の、前記液体ジェット(46)が衝突するポイントにおける接線との間の角度である、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスクリーン(30)のうちの少なくとも1つは、垂直方向において、および、前記ジェットと平行の断面において、シグモイド曲線の形状を有しており、前記シグモイド曲線は、下向きに湾曲しており、および/または、前記液体ジェット(46)が前記少なくとも1つのスクリーン(30)の前記表面の上に衝突する領域(32)において、大部分は一定の曲率を有している、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスクリーン(30)は、前記出口開口部(28)の前に配置されており、前記ディストリビューター部材(18)の前記出口開口部(28)を通って流出する液体ジェット(46)が、前記少なくとも1つのスクリーン(30)の前記表面の上に本質的に接線方向に衝突するようになっている、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項10】
前記ディストリビューター部材(18)は、金属またはプラスチックから作製されており、または、前記ディストリビューター部材(18)は、繊維強化カーボンら作製されている、請求項1からのいずれか一項に記載の液体ディストリビューター(14)。
【請求項11】
物質移動のためのカラム(10)であって、前記カラム(10)は、少なくとも1つのパッキングと、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの液体ディストリビューター(14)とを含み、前記少なくとも1つのディストリビューター部材(18)は、チューブ状またはトラフ状になっており、前記少なくとも1つのスクリーン(30)は、前記カラム(10)を通って上向きに流れるガス・ストリーム(20)に対抗して前記出口開口部(28)を遮蔽するように配置されている、カラム(10)。
【請求項12】
前記カラム(10)は、2つ以上の並列のディストリビューター部材(18)を含み、前記1つまたは複数のスクリーン(30)のそれぞれは、ドリップ縁部(38)を含み、前記ディストリビューター部材(18)は、前記ディストリビューター部材(18)が前記カラムの中を上向きに流れるガス・ストリーム(20)を複数の部分的なストリーム(22、22’)へと細分するように配置されており、よどみゾーン(56)が、前記ディストリビューター部材(18)の下に形成するようになっており、前記スクリーン(30)の前記ドリップ縁部(38)は、前記よどみゾーン(56)の内側に配置されている、請求項11に記載のカラム(10)。
【請求項13】
分離デバイスのための液体ディストリビューター(14)のためのスクリーン(30)であって、ジェット(46)の形態の液体(24)の流出のための2つ以上の出口開口部(28)を有する少なくとも1つのディストリビューター部材(18)をさらに含む液体ディストリビューター(14)の中に、前記スクリーン(30)が据え付けられており、前記スクリーンが前記出口開口部(28)の前に配置されているときには、前記ディストリビューター部材(18)の前記出口開口部(28)を通って流出する液体ジェット(46)が、前記スクリーン(30)の表面の上に衝突し、前記スクリーン(30)の表面の上で薄流性の液体フィルム(48)へと変形させられるように、前記スクリーン(30)が設計されており、前記スクリーン(30)は、少なくとも部分的に繊維強化カーボンから作製されている、スクリーン(30)。
【請求項14】
腐食性成分を伴う分離プロセスを実施するための、および/または、20m/m・h未満の液体イリゲーション密度によって分離プロセスを実施するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の液体ディストリビューター、または、請求項11または12に記載のカラム(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離デバイスのための、たとえば、物質移動カラムなどのための、とりわけ、吸収、ストリッピング、スクラビング、または蒸留に関するパッキング・カラム(packing column)のための液体ディストリビューターに関し、また、そのような液体ディストリビューターを含む物質移動のためのそれぞれのカラムに関し、また、そのような分離デバイスおよびカラムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
物質移動カラムは、たとえば、とりわけ、吸収、ストリッピング、スクラビング、蒸留、および抽出などのような、多種多様なプロセスの中の集約的なガス-液体接触または液体-液体接触のために用いられている。たとえば、蒸留カラムは、選択的な蒸発および凝縮によって、2つ以上の物質を含む液体混合物から特定の物質を分離するように設計されている。この目的のために、蒸留カラムは、底部においてボイラーを含み、また、上部において凝縮器を含み、動作の間に、蒸気が上向きに上昇し、液体が下降するようになっており、両方の相の間の物質移動を実現するためのガス-液体接触を可能にするようになっている。より高い沸点を有する物質は、液相で濃縮することとなり、より低い沸点を有する物質は、ガス相で濃縮することとなる。集約的なガス-液体接触を実現するために、そのようなカラムは、典型的に、内部部品によって充填され、ガス-液体物質移動を最適化する。そのような内部部品に関する例は、トレイおよびパッキング、たとえば、ランダム・パッキングおよび構造化されたパッキング、たとえば、とりわけ、クロス・チャネル構造体を備えたパッキングなどである。両方の相の間の最適な物質移動に関する本質的な要件は、液体がそれぞれトレイまたはパッキングの断面にわたって均一に分配されるということである。そのうえ、とりわけ、パッキング・カラムにとって、すなわち、ランダム・パッキングまたは構造化されたパッキングを含むカラムにとって、液体が薄いフィルムとしてパッキングの表面の上を流れ、液相とガス相との間の接触面積および接触時間を最大化するようになっているということがさらに重要である。両方の上述の目的のために、通常は、液体ディストリビューターは、パッキングの上部に、または、パッキング層のそれぞれの上部に、それぞれ設けられている。
【0003】
そのような液体ディストリビューターは、いくつかの主要な構築設計において利用可能である。これらの主要な設計のうちの1つは、液体をその中に収集するための1つまたは複数のディストリビューター部材(たとえば、トラフの形態などの)を含む液体ディストリビューターであり、トラフのそれぞれは、2つ以上の(すなわち、通常は、複数の)出口開口部をトラフ壁部の中に含み、出口開口部は、それらが液体レベルの下にあるように、トラフ壁部の中に位置付けされており、液体レベルは、液体ディストリビューターの動作の間にトラフの内側で調節される。したがって、動作の間に、トラフの中に収集された液体は、出口開口部を通ってジェットの形態で流出する。薄い液体フィルムを形成するために、特別に形成されたガイド壁部の形態の1つまたは複数のスクリーンが、出口開口部の前に(または、それぞれ前方に)配置されており、液体ジェットが、1つまたは複数のスクリーンの上に特定のインパクト角度で衝突し、スクリーンの上のインパクトの部位における小さい液滴のスプラッシュの形成を少なくとも実質的に回避するようになっている。傾向的には、スクリーンの上への液体のインパクト角度は、そのようなスプラッシュを回避するために小さくなっているべきである。液体フィルム(液体フィルムは、スクリーン表面の上に形成されている)は、スクリーンの下側端部へスクリーン表面を下に流れ、スクリーンの下側端部は、ドリップ縁部を形成しており、液体が、ドリップ縁部からそれぞれパッキングまたはパッキング層の表面の上に液滴の形態で流れ落ち、パッキングまたはパッキング層は、スクリーンのドリップ縁部の下に近くに位置付けされている。
【0004】
これらのスクリーンは、動作の間に液体と恒久的な接触をしているので、それらは、高い耐薬品性、および、とりわけ、(腐食性の媒体の中で使用される場合には)高い耐腐食性、ならびに、高い機械的な安定性(たとえば、十分に高い剛性など)を有する材料から作製されることが必要である。これらの理由に起因して、そのようなスクリーンは、通常は、とりわけ、チタン、タンタル、またはジルコニアなどのような、金属から作製されている。しかし、それらの高い密度および価格に起因して、そのような材料から作製されたスクリーンは、比較的に重くて高価である。そのうえ、これらの材料の湿潤性は、優れたものではなく、そのような材料から作製されたスクリーンの上に、広くて滑らかな液体フィルムを形成することは、不可能でないとしても困難であるようになっている。均一で薄い液体フィルムの形成は、カラムの中の低い液体ローディング(たとえば、5m/m・h未満)のケースでは、とりわけ困難である。しかし、広くて滑らかな液体フィルムの形成は、有利であることとなる。その理由は、スクリーンがより良好に液体によってカバーされるほど、液体ディストリビューターの下方に配置されているパッキングの上への液体の分配が良好になることとなるからである。そのようなスクリーンの湿潤性が、メッシュを備えた金属スクリーンをカバーすることによって改善され得るということが知られているとしても、これは、コストの増分につながる。その理由は、そのようなメッシュは、一般的に、仮に利用可能であったとしても、非常に高価であるからである。加えて、金属から作製されたスクリーンは、たとえば、金属を曲げるかもしくは折り畳むこと、または、金属製ピースを一緒に組み立てて接合することによって、容易かつ安価に、複雑な形状へと形状決めされることができない。しかし、複雑な形状は、最適化された形態/幾何学形状のためのスクリーン構築を最適化するために必要であり、したがって、その所望の機能を最適化するために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを考慮して、本発明の根底にある目的は、物質移動カラムのための、とりわけ、それぞれの複数の出口開口部を含む1つまたは複数のディストリビューター部材を含み、出口開口部の前に配置されている少なくとも1つのスクリーンをさらに含むタイプのパッキング・カラムのための液体ディストリビューターであって、液体ディストリビューター、および、とりわけスクリーンは、優れた耐薬品性、とりわけ、優れた耐腐食性、優れた機械的な安定性、たとえば、とりわけ、優れた剛性、および、改善された湿潤性などを有しており、スクリーンは、比較的に軽くてコスト効率的である、液体ディストリビューターを提供することである。そのうえ、スクリーンは、スクリーンを容易で安価に複雑な形状へと形状決めすることを可能にする材料から作製されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、分離デバイスのための、たとえば、物質移動カラムなどのための、とりわけ、吸収、ストリッピング、スクラビング、または蒸留に関するパッキング・カラムのための液体ディストリビューターであって、液体ディストリビューターは、少なくとも1つのディストリビューター部材を含み、ディストリビューター部材は、ジェットの形態の液体の流出のための2つ以上の出口開口部を有しており、液体ディストリビューターは、少なくとも1つのスクリーンをさらに含み、少なくとも1つのスクリーンは、出口開口部の前に配置されており、ディストリビューター部材の出口開口部を通って流出する液体ジェットが、少なくとも1つのスクリーンの表面の上に衝突し、少なくとも1つのスクリーンの表面の上で薄流性の液体フィルムへと変形させられるようになっており、少なくとも1つのスクリーンのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に炭素複合材料から作製されている、液体ディストリビューターを提供することによって、本特許出願にしたがって満たされる。
【0007】
炭素複合材料は、本発明の意味において、2つ以上の構成材料から作製された材料を示しており、構成材料のうちの1つは、それぞれ、プラスチックまたは炭素のマトリックスであり、残りの構成材料が、マトリックスの中に分散されている。したがって、顕著な例は、繊維強化プラスチックおよび繊維強化カーボンであり、それらは、繊維を含み、繊維は、それぞれ、カーボンまたはプラスチック・マトリックス、たとえば、炭素繊維強化プラスチックおよび炭素繊維強化カーボンなどの中に埋め込まれており、それらは、炭素繊維を含み、炭素繊維は、それぞれ、炭素またはプラスチック・マトリックスの中に埋め込まれている。
【0008】
そのうえ、スクリーンは、本発明の意味において、たとえば、物質移動カラムの液体ディストリビューターにおいて、その表面の上に衝突する液体ジェットを下向きに流れる薄い液体フィルムへと変形させる機能、および、液体ディストリビューターの下に位置付けされている物質移動エレメント(たとえば、パッキングなど)に液体フィルムの液体を分配する機能を満たすのに適切な任意のエレメントを示している。そのようなスクリーンは、本技術分野において、スカート、ドレイン・エレメント、メッシュ、またはウェビングと称されるときもある。
【0009】
この解決策は、炭素複合材料の(たとえば、とりわけ、炭素繊維強化カーボンなどの)液体ディストリビューターのスクリーンを作り出すことによって、スクリーン表面の湿潤性が著しく増加されるという驚くべき発見に基づいている。任意の理論に拘束されることなく、これは、炭素複合材料の炭素表面のポロシティと組み合わせて、炭素表面の化学的な性質に起因していると考えられる。スクリーン表面のこの優れた湿潤性は、スクリーン表面の上に衝突する液体が、スクリーン表面の上に広くて滑らかな液体フィルムを形成することを実現し、液体ディストリビューターの下方に物質移動カラムの中に配置されているパッキングの上への液体の均一な液体分配を可能にする。そのうえ、そのような材料から作製されたスクリーンは、優れた耐薬品性、および、優れた機械的な安定性を有しており、とりわけ、優れた耐腐食性、および、優れた剛性を有している。加えて、炭素複合材料は、劇的により低い密度を有しており、チタン、タンタル、またはジルコニアなどのような金属よりも安価であり、本発明による液体ディストリビューターが、また、比較的に軽くてコスト効率的になるようになっている。その別の利点は、金属を曲げるかもしくは折り畳むこと、または、金属製ピースを一緒に組み立てて接合することと比較して、金属と比較して複雑な形状へと炭素複合材料を形状決めすることが、より容易にかつより安価に可能であるということである。そして、複雑な形状は、最適化された形態/幾何学形状のためのスクリーン構築を最適化することを可能にし、したがって、その所望の機能を最適化することを可能にする。すべてのこれらの特性に起因して、本発明による液体ディストリビューターは、物質移動カラムの中で、および、とりわけ、それぞれの複数の出口開口部を含む1つまたは複数のディストリビューター部材を含み、出口開口部の前に配置されている少なくとも1つのスクリーンをさらに含むタイプのパッキング・カラムの中で使用されるのに、完璧に良く適している。
【0010】
炭素複合材料(本発明による液体ディストリビューターの少なくとも1つのスクリーンは、少なくとも部分的に炭素複合材料から作製されている)は、繊維強化プラスチックであることが可能である。繊維強化プラスチック手段は、本特許出願の意味において、プラスチックのマトリックスの中に、たとえば、本ケースでは、好ましくは、フェノール樹脂ベースのプラスチックなどの中に、繊維が埋め込まれている任意の複合材料である。
【0011】
炭素複合材料(本発明による液体ディストリビューターの少なくとも1つのスクリーンは、少なくとも部分的に炭素複合材料から作製されている)が繊維強化カーボンであるときには、機械的な特性に関して、および、特に剛性に関して、とりわけ良好な結果が取得される。とりわけ、湿潤性に関して、繊維強化カーボンは、繊維強化プラスチックよりも著しく良好な結果を示す。繊維強化カーボンは、本特許出願の意味において、それぞれ炭素またはグラファイトのマトリックスの中に繊維が埋め込まれている任意の複合材料を意味している。
【0012】
一般的に、本発明は、繊維強化カーボンまたは繊維強化プラスチックの繊維の化学的な性質に関して限定されない。例は、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維、セラミック繊維、金属コーティングされた繊維、金属繊維、および、それらの組み合わせである。繊維は、織布などのようなテキスタイルの形態の、および、とりわけ好ましくは、いくつかの炭素繊維ロービングから作製された一方向織物の形態の、繊維強化カーボンまたは繊維強化プラスチックの中に含まれ得る。
【0013】
しかし、炭素複合材料(本発明による液体ディストリビューターの少なくとも1つのスクリーンは、少なくとも部分的に炭素複合材料から作製されている)が炭素繊維強化カーボンであるときには、湿潤性に関して、および、機械的な特性に関して、とりわけ良好な結果が取得される。
【0014】
本発明のとりわけ好適な実施形態によれば、液体ディストリビューターの少なくとも1つのスクリーンは、炭素複合材料から、および、より好ましくは、炭素繊維強化カーボンから構成されており、すなわち、それらから完全に作製されている。それによって、スクリーンの機械的な特性の、ならびに、耐薬品性および耐腐食性の本発明の有利な効果、すなわち、とりわけ、スクリーン表面の湿潤性の改善が、高い程度に取得される。
【0015】
同じ理由に起因して、液体ディストリビューターが2つ以上のスクリーンを含む場合には、液体ディストリビューターのそれぞれのスクリーンが、少なくとも部分的に、および、より好ましくは完全に、炭素複合材料から作製されているということが好適である。最も好ましくは、液体ディストリビューターのそれぞれのスクリーンは、炭素繊維強化カーボンから構成されている。
【0016】
少なくとも1つのスクリーンのいずれかは、閉じられたまたは少なくとも部分的に多孔性の固体であることが可能である。随意的に、少なくとも1つのスクリーンのいずれかは、チャネルなどのような1つまたは複数の表面構造体を有することが可能である。
【0017】
スクリーン表面の湿潤性を所望の範囲の中に調節するために、本発明の思想のさらなる発展例において、液体ディストリビューターのスクリーンの炭素複合材料は、5%から30%のポロシティを有するということがさらに提案される。
【0018】
原理的には、本発明による液体ディストリビューターは、それがジェットの形態の液体の流出のための2つ以上の出口開口部を有する少なくとも1つのディストリビューター部材を含む限りにおいて、任意の設計を有することが可能であり、液体ディストリビューターは、上述の複合材料から作製された少なくとも1つのスクリーンをさらに含み、少なくとも1つのスクリーンは、出口開口部の前に配置されており、ディストリビューター部材の出口開口部を通って流出する液体ジェットが、少なくとも1つのスクリーンの表面の上に衝突し、少なくとも1つのスクリーンの表面の上で薄流性の液体フィルムへと変形させられるようになっている。とりわけ、本発明による液体ディストリビューターは、パッキング・カラムのために設計され得り、すなわち、構造化されたパッキングまたはランダム・パッキングなどのような、1つまたは複数のパッキングを含むカラムのために設計され得り、少なくとも1つのディストリビューター部材は、少なくとも実質的にチューブ状になっているか、または、少なくとも実質的にトラフ状になっており、少なくとも1つのスクリーンは、カラムの中を上向きに流れるガス・ストリームに対抗して出口開口部を遮蔽するように配置されている。
【0019】
傾向的には、液体ディストリビューターの動作の間に、ディストリビューター部材の出口開口部を通って流出する液体ジェットが、少なくとも1つのスクリーンの表面の上に衝突し、少なくとも1つのスクリーンの表面の上で薄流性の液体フィルムへと変形させられることを確保する限りにおいて、本発明は、スクリーンの出口開口部の配向に関して限定されない。とりわけ適切なのは、少なくとも1つのスクリーンが、出口開口部の前に配置されており、最大流出の場合に、ディストリビューター部材の出口開口部を通って流出する液体ジェットが、60°未満の角度で、好ましくは、30°未満の角度で、より好ましくは、10°未満の角度で、少なくとも1つのスクリーンの表面の上に衝突するようになっており、角度は、出口開口部を通って流出する液体ジェットの方向と、スクリーンの表面の、液体ジェットが衝突するポイントにおける接線との間の角度である、という設計である。これは、スクリーンのインパクトの部位における小さい液滴のスプラッシュの形成なしに、または、少なくとも本質的になしに、均一な薄い液体フィルムがスクリーン表面の上に形成されることを確保する。
【0020】
液体ディストリビューターのスクリーンの上に形成される液体フィルムが、液体ディストリビューターの下のパーツ(それは、パッキングされたカラムの中へのその組み立ての後に、パッキングになることとなる)の断面にわたって均一に分配されるように下向きに通ることを可能にするために、本発明のさらに好適な実施形態によれば、液体ディストリビューターのスクリーンの下側端部が、ドリップ縁部として形成されることがさらに提案される。この目的のために、少なくとも1つのスクリーンのうちの少なくとも1つ、および、さらに一層好適には、少なくとも1つのスクリーンのそれぞれが、垂直方向に、および、ジェットと平行の断面で見たときに、シグモイド曲線の形状を有することが好適である。さらにより好ましくは、シグモイド曲線は、下向きに湾曲しており、ドリップ縁部がスクリーンの最も低いポイントに形成されるようになっている。随意的に、下側ドリップ縁部は、ギザギザになっていることが可能であり、または、波形を有することが可能であり、強力な凝集力を有する液体(水など)が、ドリップ縁部の波状のまたはギザギザの縁部先端部に収集することができるようになっており、次いで、滴が垂れるようになっている。
【0021】
しかし、本発明は、少なくとも1つのスクリーンがその下側端部においてドリップ縁部として形成されることを必要としないということが留意されなければならない。これは、スクリーンが炭素複合材料(それは、優れた湿潤性を有する)から作製されているという事実に起因して、スクリーンの上に衝突する液体のジェットが、広がって放物線の形態に留まり、液体が広いフィルムとしてスクリーン表面を下へ流れるようになっており、広い液体フィルムが、液体ディストリビューターの下にそれぞれ位置付けされているトレイまたはパッキングの断面にわたって均一に分配されるようになっているということを、本発明の中で使用されるスクリーンが実現するという事実に起因する。それとは対照的に、金属から作製された従来のスクリーンの上に衝突する液体のジェットは、広がる傾向があり、次いで、再凝結または再接合し、幅の狭い液体ストリームを与える。
【0022】
そのうえ、特定の均一な薄い液体フィルムがスクリーン表面の上に形成されることを確保するために、スクリーンは、液体ジェットが少なくとも1つのスクリーンの表面の上に衝突する領域において、大部分は一定の曲率を有しているということが好適である。
【0023】
また、特定の均一な薄い液体フィルムがスクリーン表面の上に形成されることを確保するために、少なくとも1つのスクリーンが、出口開口部の前に配置されており、ディストリビューター部材の出口開口部を通って流出する液体ジェットが、少なくとも1つのスクリーンの表面の上に本質的に接線方向に衝突するようになっていることが好適である。
【0024】
原理的には、液体ディストリビューターのディストリビューター部材は、任意の材料から作製され得り、たとえば、チタン、タンタル、またはジルコニアなどのような金属から、または、プラスチックから作製され得る。しかし、コスト効率の観点、重量低減の観点、優れた耐薬品性の観点および耐腐食性の観点、ならびに、機械的な安定性の観点から、本発明のさらに好適な実施形態によれば、また、液体ディストリビューターのディストリビューター部材は、炭素複合材料から、好ましくは、繊維強化カーボンから、最も好ましくは、炭素繊維強化カーボンから作製されるということが提案される。
【0025】
本発明のさらなる態様は、物質移動のための、とりわけ、吸収、ストリッピング、スクラビング、または蒸留のためのカラムであり、カラムは、少なくとも1つのパッキングと、少なくとも1つの上述の液体ディストリビューターとを含む。
【0026】
そのようなパッキング・カラムに関して、少なくとも1つのディストリビューター部材が、チューブ状またはトラフ状になっており、少なくとも1つのスクリーンは、カラムを通って上向きに流れるガス・ストリームに対抗して出口開口部を遮蔽するように配置されているということが好適である。これは、好ましくは、シグモイドの湾曲したスクリーンによって実現され、シグモイド曲線は、下向きに湾曲しており、好ましくは、シグモイド曲線は、液体ジェットが少なくとも1つのスクリーンの表面の上に衝突する領域において、大部分は一定の曲率を有している。
【0027】
好ましくは、カラムは、2つ以上の並列のディストリビューター部材を含み、1つまたは複数のスクリーンのそれぞれは、ドリップ縁部を含み、ディストリビューター部材は、ディストリビューター部材がカラムの中を上向きに流れるガス・ストリームを複数の部分的なストリームへと細分するように配置されており、よどみゾーンが、ディストリビューター部材の下に形成するようになっており、スクリーンのドリップ縁部は、よどみゾーンの内側に配置されている。
【0028】
さらなる態様によれば、本発明は、分離デバイスのための、たとえば、物質移動カラムなどのための、とりわけ、吸収、ストリッピング、スクラビング、または蒸留に関するパッキング・カラムのための液体ディストリビューターのためのスクリーンであって、ジェットの形態の液体の流出のための2つ以上の出口開口部を有する少なくとも1つのディストリビューター部材をさらに含む液体ディストリビューターの中に、スクリーンが据え付けられており、スクリーンが出口開口部の前に配置されているときには、ディストリビューター部材の出口開口部を通って流出する液体ジェットが、スクリーンの表面の上に衝突し、スクリーンの表面の上で薄流性の液体フィルムへと変形させられるように、スクリーンが設計されており、スクリーンは、少なくとも部分的に炭素複合材料から作製されている、スクリーンに関する。
【0029】
さらなる態様によれば、本発明は、吸収、ストリッピング、スクラビング、または蒸留などのような、分離プロセスを実施するための、上述の液体ディストリビューターの使用、または、上述のカラムの使用に関する。
【0030】
繊維強化プラスチック、および、とりわけ炭素繊維強化カーボンなどのような、炭素複合材料の優れた耐腐食性に起因して、本発明による使用は、腐食性成分が伴われる用途にとりわけ適切である。
【0031】
そのうえ、繊維強化カーボン、および、とりわけ炭素繊維強化カーボンなどのような、炭素複合材料から作製されたスクリーン表面の優れた湿潤性に起因して、本発明による使用は、比較的に低い液体ローディングによって分離プロセスを実施するために、たとえば、20m/m・h未満の、好ましくは、10m/m・h未満の、より好ましくは、14m/m・h未満の、最も好ましくは、5m/m・h未満の液体イリゲーション密度によって分離プロセスを実施するなどのために、とりわけ適切である。イリゲーション密度は、カラムの断面に関する液体の体積流量で表現される。
【0032】
続いて、本特許出願が、有利な実施形態および添付の図面を参照して、例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の1つの実施形態による、パッキングおよび液体ディストリビューターを含む物質移動カラムの概略縦断面図である。
図2図1に示されている物質移動カラムのスクリーンを備えた液体ディストリビューターの概略断面図である。
図3a図1に示されている物質移動カラムの液体ディストリビューターの詳細図である。
図3b図1に示されている物質移動カラムの液体ディストリビューターの詳細図である。
図4】本発明の別の実施形態による物質移動カラムのスクリーンを備えた液体ディストリビューターの概略断面図である。
図5a】水のジェットがその上に衝突させられている、本発明の実施形態による炭素繊維強化カーボンから作製されたスクリーンの表面の上の概略図である。
図5b】水のジェットがその上に衝突させられている、先行技術による金属から作製されたスクリーンの表面の上の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示されている物質移動カラム10は、パッキング12および液体ディストリビューター14を含む。液体ディストリビューター14は、プレ・ディストリビューター16およびいくつかのディストリビューター部材18を含み、ディストリビューター部材18のそれぞれは、ジェットの形態の液体の流出のために、図2図3a、および図4に示されている複数の出口開口部を有している。物質移動カラム10の動作の間に、ガス20は、物質移動カラム10を上昇し、ディストリビューター部材18の周りを通り、ディストリビューター部材18によって、複数の部分的なガス・ストリーム22’、22へと分割される。液体24は、給送ライン26を介して液体ディストリビューター14の中へ給送され、プレ・ディストリビューター16を通してディストリビューター部材18の中へガイドされる。
【0035】
図2に示されているように、ディストリビューター部材18のそれぞれは、トラフの形態を有しており、その下側端部において出口開口部28を提供している。出口開口部28の前には、スクリーン30が配置されており、出口開口部28を通って流出する液体ジェットが、スクリーン30の表面の上に衝突するようになっており、薄流性の液体フィルムへとその上で変形させられる。本発明によれば、スクリーン30のそれぞれは、炭素複合材料から作製されており、とりわけ、炭素繊維強化カーボンから作製されている。図2に示されているように、スクリーンは、断面において、シグモイド曲線を有しており、シグモイド曲線は、下向きに湾曲しており、シグモイド曲線は、衝突領域32において大部分は一定の曲率を有しており、衝突領域32において、液体ジェットが、スクリーン30の表面の上に衝突する。スクリーン30は、その上側端部34において、スクリュー36によってディストリビューター部材18に付着されており、その下側端部において、ドリップ縁部38として設計されている。物質移動カラム10の動作の間に、液体は、液体ジェットの形態で出口開口部28から流出し、液体ジェットは、衝突領域32において、スクリーン30の表面の上に本質的に接線方向に衝突し、薄流性の液体フィルムを形成するようになっており、薄流性の液体フィルムは、スクリーンを下へドリップ縁部38へ流れ落ちる。液滴またはしずく(それは、ドリップ縁部38において形成する)は、パッキング12の表面の上に流れ落ち、パッキング12は、スクリーン30のドリップ縁部38の下に近くに位置付けされている。曲率に起因して、液体フィルムは、上昇するガス20によって分配されないか、または、少なくとも小さい程度にしか分配されない。その理由は、ガス20が、スクリーンの表面を下へ流れる薄い液体フィルムから離れるように、スクリーン30によってガイドされるからである。それに起因して、ドリップ縁部38において形成された液滴は、液滴のいずれかが上昇するガス20によって離れるように運搬されることなく、または、少なくとも本質的にそのようなことがなく、パッキング12の下に流れ落ちる。
【0036】
図3aは、ディストリビューター部材18の出口開口部28のエリアをより詳細に示している。より具体的には、出口開口部28は、壁部40の中に設けられており、壁部40は、垂直方向46に対して角度αだけ傾けられている。液体24は、物質移動カラム10の動作の間に出口開口部28を通って流れ、液体ジェット46を形成し、液体ジェット46は、スクリーン30の表面の上の衝突領域32の上に衝突角度βで衝突し、薄流性の液体フィルム48を形成するようになっている。衝突すると、最小程度に微細な液滴50が、スプラッシュとして形成される。インパクト角度が小さければ小さいほど、形成される液滴50の量は少なくなる。図3bに示されているように、形成される液体フィルム48は、スクリーン30の表面を下へドリップ縁部38へ流れ、ドリップ縁部38において、液滴52が形成され、液滴52は、パッキング12の表面の上に下へ流れ、パッキング12は、スクリーン30のドリップ縁部38の下に近くに位置付けされている。
【0037】
図4に示されているスクリーン30を備えた液体ディストリビューター18は、図4に示されている実施形態のスクリーン30を備えた液体ディストリビューター18が2つのスカート54、54’をさらに含有するということを除いて、図2に示されているものと同様である。第1のスカート54はスクリーン30に付着されているが、第2のスカート54’は、液体ディストリビューター18に付着されている。両方のスカート54、54’は、ガス20のストリームに有利に影響を与えることを可能にし、すなわち、よどみゾーン56が、ディストリビューター部材18の下に形成されるようになっており、スクリーン30のドリップ縁部38は、よどみゾーンの内側に配置されている。
【0038】
さらに上記に述べられているように、本発明にしたがって液体ディストリビューターの中で使用されるような、炭素複合材料から作製されたスクリーンは、スクリーン表面の上に衝突する液体ジェットがスクリーン表面の上に広くて滑らかな液体フィルムを形成することを実現する優れた湿潤性を有している。これは、図5aに示されており、図5aにおいて、ウォータージェット46が、炭素繊維強化カーボンから作製されたプレートの表面の上に衝突させられており、そのプレートは、本発明の実施形態によるスクリーン30を模擬している。示されているように、スクリーンの上に衝突するウォータージェット46は、広がって放物線の形態に留まり、液体が広い水フィルム48としてスクリーン表面を下へ流れるようになっている。
【0039】
それとは対照的に、金属から作製された従来のスクリーンの上に衝突する液体のジェットは、広がる傾向があり、次いで、再凝結または再接合し、幅の狭い液体ストリームを与える。これは、図5bに概略的に示されており、図5bでは、ウォータージェット46が、金属から作製されたプレートの表面の上に衝突させられており、このプレートは、先行技術によるスクリーンを模擬している。示されているように、スクリーンの上に衝突するウォータージェット46は、広がり、次いで、それぞれ、再凝結または再接合し、幅の狭い液体ストリーム48を与える。
【符号の説明】
【0040】
10 物質移動カラム
12 パッキング
14 液体ディストリビューター
16 プレ・ディストリビューター
18 ディストリビューター部材
20 ガス
22、22’ 部分的ガス・ストリーム
24 液体
26 給送ライン
28 出口開口部
30 スクリーン
32 衝突領域
34 スクリーンの上側端部
36 スクリュー
38 ドリップ縁部
40 ディストリビューター部材の壁部
42 垂直方向
46 液体ジェット
48 液体フィルム
50 液滴/スプラッシュ
52 縁部ドリップに形成された液滴
54、54’ スカート
56 よどみゾーン
α 壁部と垂直方向との間の角度
β 衝突角度
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b