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特許7138184電流経路の直流電流を遮断するための断路装置、及び、自動車の車載給電システム
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  • 特許-電流経路の直流電流を遮断するための断路装置、及び、自動車の車載給電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電流経路の直流電流を遮断するための断路装置、及び、自動車の車載給電システム
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20220908BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20220908BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20220908BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220908BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20220908BHJP
【FI】
H01H33/59 D
H01H9/54 A
H02H3/08 A
H02J1/00 309H
B60L3/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020545765
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019051718
(87)【国際公開番号】W WO2019170317
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】102018203636.5
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509031497
【氏名又は名称】エレンベルガー ウント ペンスケン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】ベッシェ ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルクナン エルンスト-ディーター
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-338239(JP,A)
【文献】特開2015-096016(JP,A)
【文献】国際公開第2011/034140(WO,A1)
【文献】特開昭61-259416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28 - 33/59
H01H 9/54 - 9/56
H02H 3/08 - 3/253
H02J 1/00 - 1/06
B60L 1/00 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的には自動車(2)の車載給電システム(4)用の、電流経路(8)の直流電流を遮断するための断路装置(12)であって、
通電用の機械接点システム(18)とこれに並列接続された第1の半導体スイッチ(20)とを有するハイブリッドスイッチ(14)と、
前記ハイブリッドスイッチ(14)の前記接点システム(18)に並列接続された、少なくとも1つのオーム抵抗器(24)を含む切替可能な抵抗カスケード(22)と、を備え、
前記抵抗カスケード(22)は、前記少なくとも1つのオーム抵抗器(24)に直列接続された少なくとも1つの第2の半導体スイッチ(26)を備え、
前記ハイブリッドスイッチ(14)、具体的にはその接点システム(18)は、前記抵抗カスケード(22)と第3の半導体スイッチ(28)との直列接続によって、短絡可能である、
断路装置(12)。
【請求項2】
前記抵抗カスケード(22)は、カスケード状の電源停止過電圧リミッタとして構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の断路装置(12)。
【請求項3】
前記半導体スイッチ(20、26、28)の各々は、制御側において共通のコントローラ(30)に繋がっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の断路装置(12)。
【請求項4】
前記ハイブリッドスイッチ(14)の前段には、過電流保護装置(16)が接続されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の断路装置(12)。
【請求項5】
前記過電流保護装置(16)は、ヒューズとして構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の断路装置(12)。
【請求項6】
エネルギー貯蔵部(6)と電流経路(8)とを含む直流電流回路を備える自動車(2)用の車載給電システム(4)であって、前記電流経路(8)は、請求項1~5のいずれか1項に記載の断路装置(12)を備える車載給電システム(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には自動車の車載給電システム用の、電流経路の直流電流を遮断するための断路装置に関する。本発明はさらに、このような断路装置を備える、自動車用の車載給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載給電システムは、電化製品及び電気装置に、車載給電システムの動作電圧を供給するためのものである。このような車載給電システムは、通常、例えば電気化学電池システムの形のエネルギー貯蔵部により給電される。このような電池システムは、システムに応じて、一方では持続的に動作電流を供給すると共に、動作電圧を供給する。動作電圧は、低ボルト領域(NV)では12V~48V(DC)であり、高ボルト領域(HV)では最大約1500V(DC)及びそれ以上である。ここで例えば、設置、取り付け、又は、メンテナンス目的のため、及び具体的には、一般的な人的保護のためにも、電気部材又は装置を、直流源として機能する電池システムから確実に分離することが望まれている。対応する断路装置は、この場合、負荷下の遮断、つまり事前に直流源をオフせずに遮断することを、確実かつ動作的に安全に行うことが可能でなければならない。
【0003】
負荷を分離するために、機械スイッチ(開閉接点、接点システム)を使用することが可能であり、この場合、接点開放を行う際に、電気装置(電化製品)の直流源(電池システム)からのガルバニック分離が行われることが利点である。これに対して、負荷を分離するために、パワー半導体スイッチを使用するならば、通常動作においても、避けることができない動力損失が半導体スイッチに発生する。さらにこのようなパワー半導体では、一般的には、ガルバニック分離、したがって確実な人的保護を確保することは不可能である。
【0004】
DE第102 25 259 B3号からは、負荷分離器として構成されたプラグイン電気コネクタが知られている。これは、ハイブリッドスイッチの技術に従い、半導体スイッチ、並びに、一次接点及び二次接点を有しており、これらは直流源に接続されている。この、プラグを抜く工程において先に動作する一次接点は、後に動作する、半導体スイッチに直列接続された二次接点に並列接続されている。ここで、半導体スイッチは、アークを回避するため、又は、アークを消弧するために、周期的にオン及びオフされるように制御される。
【0005】
WO第2010/108565 A1号からは、機械接点システム及びこれに並列接続された半導体スイッチを備えるハイブリッド断路装置が知られている。この半導体スイッチは、追加的なエネルギー源を有さない制御電子装置に結合されている。機械接点システムが閉じられている場合、この制御電子装置又は半導体スイッチは、電流が停止されており、これは実質的に無電流及び無電圧であることを意味している。制御電子装置は、その動作に必要とされるエネルギーを、断路装置から、つまり断路スイッチシステム自体から得ることになり、ここでは、機械接点システムを開放した時に生じるアークのエネルギーが利用される。ここで、制御電子装置は、制御側において機械接点システムに接続されており、接点システムが開放された時に、アークによるその開閉接点上のアーク電圧が、制御電子装置、したがって半導体スイッチを電流導通状態に切り替えるようになっている。
【0006】
制御電子装置が電流導通状態に切り替えられるとすぐに、アーク電流は、機械接点システムから半導体スイッチへの転流を開始する。これによって、接点システムの開閉接点間のアークは消弧する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、具体的には自動車の車載給電システム用の、電流経路の直流電流を遮断するために特に適した断路装置(ハイブリッドスイッチ又は電子装置)を提供することにある。ここで、具体的には、高い車載給電システム電圧を切り替える際にも、改善された動作安全性を有する断路装置が提供される必要がある。本発明のさらなる課題は、このような断路装置を備える、特に適した自動車の車載給電システムを提供することにある。
【0008】
この課題は、本発明によれば、断路装置については請求項1の特徴により解決され、車載給電システムについては請求項8の特徴により解決される。有効な形態及び発展形態については、各従属請求項の対象である。
【0009】
本発明に係る断路装置は、具体的には自動車の車載給電システム用の、電流経路の直流電流を遮断するための断路スイッチシステムとして好適であると共に、そのように構成されている。ここで、断路装置は、通電用の機械接点システム(スイッチ)とこれに並列接続された第1の半導体スイッチとを有するハイブリッドスイッチを備える。この並列接続された第1の半導体スイッチは、ここでは、機械接点システムが閉じられた状態において開放され、すなわち停止又は非導通状態にされ、その結果電流は、機械接点システムのスイッチング経路を介して流れる。これによって、通常動作において、断路装置の通過損失を特に少なくすることを確保する。
【0010】
断路装置はさらに、少なくとも1つのオーム抵抗器を有する切替可能な抵抗カスケードを備える。ここで、抵抗カスケードは、ハイブリッドスイッチの接点システムに並列接続されている。したがって、抵抗カスケードは、ハイブリッドスイッチの保護回路として機能する。これによって、特に好適かつ動作的に安全な断路装置が実現される。
【0011】
接点システムが開放されると、発生したアークが、確実かつ動作的に安全に消弧される。半導体スイッチを閉じる、又は、導通状態にすることにより、接点システムのスイッチング経路は短絡され、これによって、アーク電流が、半導体スイッチ及び抵抗カスケードを通って転流され、これによって消弧される。
【0012】
本発明に係る断路装置により、具体的には、特に省スペース化された小型の断路スイッチシステムが実現される。これは結果的に、特に、自動車の車載給電システムにおける狭小な取付条件に対して有利である。
【0013】
断路装置を車載給電システムにおいて使用する際には、例えば、抵抗カスケード又は少なくとも1つの抵抗器を、追加的に、中間回路キャパシタ用の充電及び/又は放電抵抗器として使用可能とすることが想定可能である。
【0014】
有効な一態様では、抵抗カスケードは、カスケード状の電源停止過電圧リミッタ(過電圧リミッタ)として構成されている。これによって、確実かつ動作的に安全なアークの消弧を確保することが可能である。
【0015】
好適な一発展形態では、抵抗カスケードは、該少なくとも1つの抵抗器に直列接続された少なくとも1つの第2の半導体スイッチを備えている。ここで、抵抗カスケードは、このような抵抗器及び半導体スイッチの複数の対を有していることが好ましく、これらは、カスケード状に連続して接続されている。これによって、生じた電流を、徐々に又は連続的にゼロにすることが可能である。ここで、該又は各半導体スイッチは、第1の半導体スイッチとほぼ同時に導通状態に切り替えられるように構成されていることが好ましい。
【0016】
好ましい第1の形態では、ハイブリッドスイッチ、具体的にはその機械接点システムは、抵抗カスケードと第3の半導体スイッチとの直列接続によって、短絡可能である。これによって、ガルバニック分離がなされていない場合でも、接点システムにおける危険な接触電圧は確実に回避される。これによって、特に効果的かつ動作的に安全な人的保護(指安全保護)が確保される。
【0017】
有効な形態では、該又は各半導体スイッチは、制御側において共通のコントローラに繋がっている。ここでコントローラは、具体的には、第1、第2の、及び、第3の半導体スイッチ用の共通の制御ユニットとして構成されている。これによって、半導体スイッチをまとめて、かつ、確実に切り替えることが確保される。したがって、特に動作的に安全かつ迅速なアークの消弧が確保される。
【0018】
コントローラは、一般に、プログラム技術的及び/又は回路技術的に、機械接点システムの開閉工程の間の半導体スイッチの制御に適していると共に、そのように構成されている。したがってコントローラは、正確には、接点システムの接点を閉じる閉鎖工程においては、接点システムが無電圧でオンされることが可能であるように、半導体スイッチを制御するように構成されている。開放工程では、コントローラは、接点システムの開かれた接点間のアークが、確実かつ迅速に消弧されるように、つまり、具体的には十分な「指安全保護」が意味するところの接触保護が確保されるように、半導体スイッチを制御する。
【0019】
好ましい形態では、コントローラは、少なくともコアにおいて、プロセッサ及びメモリを含むマイクロコントローラによって形成されており、そのため、この制御を実行するための機能が、オペレーティングシステム(ファームウェア)の形でプログラム技術的に実施されている。したがって、(場合によっては、ユーザとの相互作用における)制御は、このオペレーティングシステムをマイクロコントローラにおいて実行する時に、自動的に実施される。
【0020】
しかしながら本発明の範囲では、コントローラは、選択的に、プログラム可能でない電子部材、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)によって形成されていてもよい。この場合、この方法を制御するための機能は、回路技術的な手段により実施される。
【0021】
特に動作的に安全な一形態では、ハイブリッドスイッチの前段に、過電流保護装置が接続されている。これによって、断路装置の切替タスクは、負荷下では半導体スイッチが行い、短絡時には過電流保護装置が行う。具体的には、これによって、故障時の電流経路の安全なガルバニック遮断が確保される。
【0022】
有効な一態様では、過電流保護装置は、例えば通電用の弾性ワイヤ又はヒューズワイヤの形の迅速な安全装置として構成されている。これによって、故障時の電流経路のガルバニック分離が確保される。
【0023】
本発明の追加的又はさらなる態様は、上述の断路装置の、自動車の車載給電システムにおける使用に関する。ここで、車載給電システムは、1つのエネルギー貯蔵部及び少なくとも1つの電流経路を有する直流電流回路を備える。エネルギー貯蔵部は、例えば電気化学電池システムとして実施されており、これは、直流源として電流経路に接続されている。ここで電流経路は、例えば、車載給電システムの中間回路に繋がっている。ここで断路装置は、電流経路に接続されている。これによって、特に動作的に安全な、かつ、確実に切替可能な車載給電システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】自動車用の車載給電システムを概略化かつ簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。図1は、自動車2を概略化かつ簡略化した図において示すものである。自動車2は、部分的に示される車載給電システム4を備えている。車載給電システム4は、エネルギー貯蔵部又は直流源としての電気化学電池システム6を有して実施されている。電池システム6の極には、それぞれ、電流経路8、10が接続されている。電池システム6の正極に繋がった電流経路8は、以下では正極路とも呼ばれ、電池システム6の負極に繋がった電流経路10は、以下では、対応して負極路とも呼ばれる。
【0026】
図示される実施形態では、直流電流遮断用の断路装置12は、正極路8に接続されている。断路装置12は、ハイブリッドスイッチ14と、この前段に接続された過電流保護装置16とを備えている。ここでは、過電流保護装置16は、例えばヒューズとして実施される。
【0027】
ハイブリッドスイッチ14は、スイッチの形をした通電用の機械接点システム18を有している。この機械接点システム18には、半導体スイッチ20が並列接続されている。半導体スイッチ20、及び、接点システム18のスイッチング経路に並列に、抵抗カスケード22が、断路装置12のカスケード状の電源停止過電圧リミッタとして、さらに並列接続されている。
【0028】
図示される実施形態では、抵抗カスケード22は、オーム抵抗器24と、これに直列接続された半導体スイッチスイッチ26とを有している。抵抗カスケード22に直列に、さらなる半導体スイッチ28が接続されており、さらなる半導体スイッチ28は、出力側では負極路10に繋がっている。半導体スイッチ20、26、28は、制御側において共通のコントローラ30に繋がっている。
【0029】
半導体スイッチ20、26、及び、28は、パワー半導体として、具体的にはトランジスタとして、好ましくはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として実施されている。ここで、半導体スイッチ20及び26の入力端子又はコレクタ端子は、過電流保護装置16と接点システム18との間に接続されている。ここで、半導体スイッチ26の出力端子又はエミッタ端子は、抵抗器24と、半導体スイッチ28の入力端子又はコレクタ端子との間に接続されている。半導体スイッチ28は、出力側又はエミッタ側において負極路10に繋がっている。
【0030】
断路装置12のオン動作時又は通電動作時には、半導体スイッチ20、26、及び、28はオフされる、すなわち停止状態又は非導電状態になり、機械接点システム18は閉じられる。これによって、電池システム6の直流電流は、接点システム18の機械接点だけを介して導かれる。これによって、断路装置12の通過損失を特に少なくすることが確保される。
【0031】
断路装置12の電源オフ工程、すなわち断路工程の間に、電流が流れている接点システム18が開放される。接点システム18が開放されると、印加される車載給電システム4の動作電圧又は車載給電システム電圧によって、アークが形成される。
【0032】
接点システム18が開放されると、コントローラ30は、半導体スイッチ20を導通状態に切り替え、その結果、発生したアーク電流は半導体スイッチ20に転流し、これによって消弧する。コントローラ30は、半導体スイッチ20とほぼ同時に、抵抗カスケード22の半導体スイッチ26もオンする。
【0033】
接点システム18のスイッチング経路が十分な電気的安定性を有するとすぐに、半導体スイッチ20はオフされ、これによって、電流は、抵抗カスケード22を流れ、抵抗器24を介して徐々にゼロにされる。ここで、十分な電気的安定性とは、具体的には、アークが消弧することであると理解される。ガルバニック分離がなされていない場合でも、接点システム18における人間にとって危険な接触電圧を確実に回避するために、半導体スイッチ28が、コントローラ30によって導通状態に切り替えられる。これによって、接点システム18は、抵抗器24及び半導体スイッチ28による直列接続によって短絡される。こうして、この直列接続は、正極路8と負極路10との間の低オーム抵抗の接続を形成する。したがって、故障時には、過電流保護装置16が作動することになり、これによって、正極路8を、確実にかつ動作的に安全にガルバニック分離することになる。
【0034】
断路装置12の電源オン工程では、まず半導体スイッチ28が、コントローラ30によってオフされる、すなわち停止状態に制御される。続いて、半導体スイッチ26がオンされ、これによって、車載給電システム4に接続された負荷回路又は中間回路が、抵抗カスケード22の抵抗器24を介して事前に充電される。この時、流れている充電電流が所定の値まで低下すると、半導体スイッチ20がコントローラ30によってオンされる。充電電流を監視するために、コントローラ30は、例えば詳細には図示されていない電流測定器を、正極路8に有している。
【0035】
導通状態に切り替えられた半導体スイッチ20によって、機械接点システム18が橋絡され、これによって、半導体スイッチ20は無電圧になり得る。これによって、接点システム18の機械接点が閉鎖されることが、確実にかつ簡単に回避される。機械スイッチング経路の通過電圧が低いため、電流は、完全に半導体スイッチ20から接点システム18に転流する。その後、半導体スイッチ20及び26は、コントローラ30によって、無電流にオフされる。
【0036】
したがって、半導体スイッチ20、26、及び、28は、断路装置12の動作状態において、短時間かつ低い負荷にしか曝されない。これによって、半導体スイッチ20、26、及び、28の熱損失が低減されるので、断路装置12にヒートシンクを設けることを実質的に省くことが可能になる。
【0037】
断路装置12の切替タスクは、負荷下では半導体スイッチ22、26、及び、28が行い、短絡又は故障時には過電流保護装置16が行う。これによって、接点システム18の切り替え点の寸法を、車載給電システムを流れることになる電流だけに関して設定可能になる。
【0038】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。むしろ、本発明の他の変形例も、当業者により、本発明の対象から逸脱することなく導かれ得る。具体的には、本実施形態に関連して説明した全ての個々の特徴を、他の方法で、本発明の対象から逸脱することなく互いに組み合わせることも可能である。
【0039】
具体的には、例えば、抵抗カスケード22が、カスケード状に接続された複数対の抵抗器24及び半導体スイッチ26を有していることが想定可能であり、これによって、抵抗器24は、半導体スイッチ26によって、徐々に又は連続的に接続又は分離されることが可能である。こうして、特に効果的かつ動作的に安全に、電流転流中の熱損失を排出することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
2 自動車
4 車載給電システム
6 電池システム/エネルギー貯蔵部
8 電流経路/正極路
10 電流経路/負極路
12 断路装置
14 ハイブリッドスイッチ
16 過電流保護装置
18 接点システム
20 半導体スイッチ
22 抵抗カスケード
24 抵抗器
26 半導体スイッチ
28 半導体スイッチ
30 コントローラ
図1