(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】シリンダ弁並びにシリンダ及びシリンダ弁内の汚染物質の形成を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
(21)【出願番号】P 2020567139
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 US2019032385
(87)【国際公開番号】W WO2019245674
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-01
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519288685
【氏名又は名称】リンデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Linde GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.-Carl-von-Linde-Str. 6-14, 82049 Pullach i. Isartal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ミトネット、ポール
(72)【発明者】
【氏名】マー、ツゥー
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-538301(JP,A)
【文献】特表2013-508563(JP,A)
【文献】特表2020-537036(JP,A)
【文献】特表2006-512200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0084882(US,A1)
【文献】米国特許第05237967(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0126991(US,A1)
【文献】米国特許第04475348(US,A)
【文献】米国特許第05917140(US,A)
【文献】特開2008-304056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素を含有する閉鎖されたガスシリンダにおけるカルボニル化合物の形成を抑制するための方法であって、前記ガスシリンダが、弁アセンブリと流体連通し、前記弁アセンブリが、ねじ付きアセンブリによって前記ガスシリンダのねじ付き開口部に接続し、前記方法が、
前記弁アセンブリの入口ポート、出口ポート、及び下側スピンドル
である構成要素
の少なくとも一部をアモルファス水素化シリコン化合物でコーティングすることを含む、方法。
【請求項2】
前
記構成要素が、化学蒸着プロセスによって前記アモルファス水素化シリコンでコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前
記構成要素は、前記弁アセンブリが前記ガスシリンダに接続される前に、前記アモルファス水素化シリコンでコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記入口ポート、前記出口ポート、及び前記下側スピンドルが、鉄及びニッケルからなる群から選択される材料でできている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前
記構成要素が、ダイヤフラムを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アモルファス水素化シリコン化合物が、追加の官能化基を更に含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記追加の官能化基が、酸素及び炭素からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガスシリンダが、アルミニウム、ニッケル、内側がニッケルで覆われたもの、鋼及びステンレス鋼からなる群から選択される材料でできている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
弁アセンブリにおけるカルボニル化合物の形成を抑制するための方法であって、前記弁アセンブリが、一酸化炭素と接触し、前記方法が、
前記弁アセンブリの入口ポート、出口ポート、及び下側スピンドル
である構成要素
の少なくとも一部をアモルファス水素化シリコン化合物でコーティングすることを含む、方法。
【請求項10】
前
記構成要素が、化学蒸着プロセスによって前記アモルファス水素化シリコンでコーティングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前
記構成要素は、前記弁アセンブリが前記ガスシリンダに接続される前に、前記アモルファス水素化シリコンでコーティングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記入口ポート、前記出口ポート、及び前記下側スピンドルが、鉄及びニッケルからなる群から選択される材料でできている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前
記構成要素が、ダイヤフラムを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記アモルファス水素化シリコン化合物が、追加の官能化基を更に含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記追加の官能化基が、酸素及び炭素からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガスシリンダが、アルミニウム、ニッケル、内側がニッケルで覆われたもの、鋼及びステンレス鋼からなる群から選択される材料でできている、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
弁アセンブリであって、入口及び出口ポートを有する、内部
を通る流体通路を有する弁本体と、前記弁本体の前記入口及び出口ポートと流体連通している弁チャンバと、前記流体通路を開閉して前記流体通路を通るガスの流れを制御するための第1の弁と、前記流体通路と流体連通しているねじ付きアセンブリ
であって、前記出口ポートと連通しているねじ付きアセンブリと、を備え、前記弁が、下側スピンドル、中間スピンドル、及び上側スピンドルを備える、ねじ付きロッドの形態の弁部材を備え、前記ねじ付きロッドが、前記弁閉鎖位置において前記ねじ付きロッドが係合する弁座及びダイヤフラムと接触し、前記弁は、前記ねじ付きロッドが前記弁座に係合していないときに、前記入口ポートから前記流体通路を通って前記出口ポートへ前記ガスが通過することを許容し、前記入口ポート、前記出口ポート、及び前記弁座が、アモルファス水素化シリコン化合物でコーティングされる、弁アセンブリ。
【請求項18】
前記水素化シリコン化合物が、化学蒸着プロセスによって、前記入口ポート、前記出口ポート、及び前記弁座の表面にコーティングされる、請求項17に記載の弁アセンブリ。
【請求項19】
前記弁アセンブリがガスシリンダに接続される前に、前記入口ポート、前記出口ポート、前記弁座、及び前記ダイヤフラムが、前記アモルファス水素化シリコンでコーティングされる、請求項17に記載の弁アセンブリ。
【請求項20】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記ダイヤフラム、及び前記下側スピンドルが、鉄及びニッケルからなる群から選択される材料でできている、請求項17に記載の弁アセンブリ。
【請求項21】
前記アモルファス水素化シリコン化合物によってコーティングされたダイヤフラムを更に備える、請求項17に記載の弁アセンブリ。
【請求項22】
前記アモルファス水素化シリコン化合物が、追加の官能化基を更に含有する、請求項17に記載の弁アセンブリ。
【請求項23】
前記追加の官能化基が、酸素及び炭素からなる群から選択される、請求項22に記載の弁アセンブリ。
【請求項24】
前記ガスシリンダが、アルミニウム、ニッケル、内側がニッケルで覆われたもの、鋼及びステンレス鋼からなる群から選択される材料でできている、請求項17に記載の弁アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本明細書は、2018年6月22日出願の米国仮出願第62/688,588号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素は、様々な工業的用途を有する。一酸化炭素の1つの難点は、特定の金属と接触して金属カルボニルを形成し得ることである。例えば、クロミウム、モリブデン、鉄、ニッケル、及びコバルトは全て、一酸化炭素と反応して、それらのそれぞれのカルボニル化合物を形成し得る。
【0003】
この問題は、高圧シリンダにおいて深刻になり得る。鉄及び特にニッケルはどちらも、周囲温度及び約200バールの高圧で鋼及びステンレス鋼に露出させたときに、低レベルのカルボニルを形成する。
【0004】
一酸化炭素は、高圧及び高純度でアルミニウムシリンダ内に貯蔵され得るが、特定の弁機構は、シリンダ内に導入され得る鉄及びニッケルを含有し得、それによって、シリンダ内に存在する一酸化炭素と反応し得る。
【0005】
提案された1つの解決策は、弁を黄銅で製作し、それによって、一酸化炭素と反応し得る鉄及びニッケルを排除することであった。しかしながら、黄銅製の弁は、弁とそこに載置されたシリンダとの間の気密接続を低下させることになり得る材料の柔軟度及び変形の可能性を考えると、使用が困難であり得る。銅合金は、概して、半導体用途では受け入れ難い。多くの状況では、ガスの顧客は、構造物の潜在的材料として黄銅又は他の銅合金を除外している。
【0006】
また、弁の内部は、弁が黄銅で作製されるかステンレス鋼で作製されるかにかかわらず、鉄及びニッケル合金で作製される。
【0007】
本発明は、シリンダ内の一酸化炭素のカルボニル形成を抑制するための方法である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ガスシリンダが、弁アセンブリと流体連通し、ねじ付きアセンブリによって弁アセンブリをガスシリンダのねじ付き開口部に接続する、一酸化炭素を含有する閉鎖されたガスシリンダにおけるカルボニル化合物の形成を抑制するための方法であって、入口ポート、出口ポート、及び下側スピンドルからなる群から選択される弁アセンブリの内部及び外部構成要素をアモルファス水素化シリコンでコーティングすることを含む、方法を提供する。
【0009】
代替的な実施形態では、本発明は、弁アセンブリが一酸化炭素と接触する、弁アセンブリ内のカルボニル化合物の形成を抑制するための方法であって、入口ポート、出口ポート、及び下側スピンドルからなる群から選択される弁アセンブリの内部及び外部構成要素をアモルファス水素化シリコンでコーティングすることを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の目的を達成するために、弁アセンブリの内部及び外部構成要素、すなわち、入口ポート、出口ポート、ダイヤフラム、及び下側スピンドルは、不活性バリアを提供するためにアモルファス水素化シリコンでコーティングされる。アモルファス水素化シリコン化合物は、異なる種類のガスに対して異なる耐食特性を提供するために、官能化基によって更に増強することができる。官能化バージョンは、SilcoTek社からDursan商標で入手することができる。非官能化シリコン化合物は、SilcoTek社からSilcolloyで入手することができる。
【0011】
本発明の目的を達成するために、アモルファス水素化シリコンは、官能化基の有無にかかわらず、保護される弁アセンブリの表面に化学蒸着プロセスを介してコーティングされる。
【0012】
典型的に、弁アセンブリの内部及び外部構成要素は、ねじ付きアセンブリがガスシリンダのねじ付き開口部に挿入される前に、アモルファス水素化シリコン化合物でコーティングされる。
【0013】
本発明の別の実施形態では、弁アセンブリの内部及び外部構成要素は、ダイヤフラムを更に備え、ダイヤフラムは、アモルファス水素化シリコン化合物でコーティングすることができる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、弁アセンブリを開示し、該弁アセンブリは、入口及び出口ポートを有するそこを通る流体通路を有する弁本体と、弁本体の入口及び出口ポートと流体連通している弁チャンバと、流体通路を開閉して流体通路を通るガスの流れを制御するための第1の弁と、流体通路と流体連通しているねじ付きアセンブリと、出口ポートと連通しているねじ付きアセンブリと、を備え、弁は、ねじ付きロッドの形態の弁部材を含み、ねじ付きロッドは、弁閉鎖位置においてロッドが係合する弁座と接触し、弁は、ロッドが弁座に係合していないときに、流体通路を通して入口ポートから出口ポートへのガスの通過を可能にし、弁座、入口ポート、及び出口ポートは、不活性バリアでコーティングされている。
【0015】
形成されるカルボニル化合物は、典型的に、金属及び一酸化炭素との直接接触によって形成される。本発明の目的に対して、カルボニル化合物は、Fe(CO)5、Ni(CO)4などの、ニッケルカルボニル、鉄カルボニル、及びコバルトカルボニル(例えば)である。他のカルボニルとしては、Cr(CO)6、W(CO)6、及びMO(CO)6が挙げられ得る。
【0016】
弁は、典型的に、ステンレス鋼で製作される。弁はまた、ハステロイ及びモネルという商品名で入手することができるものなどの、高ニッケル耐食合金も含有し得る。いくつかの事例では、純粋なニッケル成分が存在する。湿潤構成要素、すなわち、一酸化炭素に接触する構成要素は、一酸化炭素がシリンダ内部にあるときに、鋼又はステンレス鋼とのいかなる接触も存在しないように、不活性バリアによってコーティングされる。
【0017】
典型的なガスシリンダは、シリンダ内に存在する一酸化炭素と反応し得る、ニッケル、内側がニッケルで覆われたもの、鋼又はステンレス鋼を有し得る。シリンダの構造材料としてのアルミニウムの使用は、一酸化炭素とシリンダ自体との反応を軽減するために使用することができるが、ステンレス鋼又は鋼製の弁の使用は、それでも、シリンダ弁が閉鎖されているときに、一酸化炭素のための反応性材料源を提供する。
【0018】
腐食の影響を受けやすい内部構成要素は、アモルファス水素化シリコン(αSi:H)である不活性バリアでコーティングされる。典型的に、アモルファス水素化シリコンは、化学気相蒸着によってコーティングされる。代替的な実施形態では、不活性バリアは、同様にそれらのフィルム内に炭素及び/又は酸素を含有する不活性シリコンコーティングであり得る。
【0019】
化学蒸着プロセスは、典型的に、比較的低い温度であり、アモルファス水素化シリコンコーティングを生成するためのプラズマの有無にかかわらず、形成することができる。
【0020】
プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、熱転換、及び電気めっきなどの他のコーティング技術を使用することができる。
【0021】
他の実施形態では、他のアモルファス水素化シリコンコーティングは、異なる官能基を含有することができる。基部のシリコン表面は、そうしなければガスシリンダ内に存在し得る高純度ガス生成物中の不純物の形成を防止するために、官能基によって修飾され得る。典型的な官能基は、-SiH3、-H、-OH、-CH3、及び-Fからなる群から選択される。
【0022】
不活性バリアを使用する利点は、特に半導体製造システムにおいて、高純度の一酸化炭素ガスの完全送達システムを更に増強することであり得る。この完全送達システムは、ガスシリンダと、シリンダ弁と、圧力調整器と、質量流量コントローラと、送達加圧ステンレス鋼線と、を備えることができる。
【0023】
上記の化学物質に基づいて、これらの個々のユニットの動作は全て、カルボニル構造の影響を受けやすくなり得、それによって、バリアコーティングで処理して、固有の構成要素の腐食を抑制することができる。
【0024】
内部構成要素は、化学蒸着プロセスによってアモルファス水素化シリコンでコーティングされる。内部構成要素は、弁アセンブリがガスシリンダに接続される前に、アモルファス水素化シリコンでコーティングされる。
【0025】
入口ポート、出口ポート、ダイヤフラム、及び下側スピンドルは、鉄及びニッケルからなる群から選択される材料でできている。
【0026】
アモルファス水素化シリコン化合物は、追加の官能化基を更に含有し、追加の官能化基は、酸素及び炭素からなる群から選択される。
【0027】
ガスシリンダは、アルミニウム、ニッケル、内側がニッケルで覆われたもの、鋼又はステンレス鋼からなる群から選択される材料でできている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の方法によって処理することができる弁アセンブリの概略図である。
【0029】
【
図2】一酸化炭素に露出される弁の経路を示す切断した弁、及び不活性バリアを適用した陰影付きの領域の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
弁アセンブリは、入口及び出口ポートを有するそこを通る流体通路を有する弁本体と、弁本体の入口及び出口ポートと流体連通している弁チャンバと、流体通路を開閉して流体通路を通るガスの流れを制御するための第1の弁と、流体通路と流体連通しているねじ付きアセンブリと、出口ポートと連通しているねじ付きアセンブリと、を備え、弁は、下側スピンドルと、中間スピンドルと、上側スピンドルと、を備える含む弁部材をねじ付きロッドの形態で備え、ねじ付きロッドは、弁閉鎖位置においてねじ付きロッドが係合する弁座及びダイヤフラムと接触し、弁は、ねじ付きロッドが弁座に係合していないときに、流体通路を通して入口ポートから出口ポートへのガスの通過を可能にする。
【0031】
図1には、典型的な弁アセンブリ10を示している。本体1は、適切なガスが、陥凹開口部又は入口ポート20を通って中へ、及び陥凹開口部又は出口ポート25を通って外へ、の両方で通過することを可能にするように凹設されている。下側スピンドル3は、シートディスクホルダ又は弁座4及びシートディスク2に接触している。ダイヤフラム5及び5.1は、シートディスクホルダ4とブッシング7との間に着座して、弁アセンブリ10が閉鎖されようとしているときに、ガスの通過を遮断するのを支援する。
【0032】
弁アセンブリ10が閉鎖位置にあるときに、入口ポート20は、典型的に、ガスシリンダの頂部凹部に嵌合及び噛合して、図示していないシリンダから少なくとも入口ポートへとガスの流れが通過するように構成され得る。
【0033】
下側スピンドル3は、中間スピンドル6に接触している。Oリング13は、中間スピンドル6の溝内に円周方向に着座して、中間スピンドル6の周囲のガスの通過を抑制する。ワッシャ29は、中間スピンドル6と物理的に接触し、上側スピンドル9と接触して中間スピンドル6の頂部に着座する。
【0034】
グランド8は、本体1内に物理的に載置され、また、同心の頂部開口部を通して上側スピンドル9を受容するように構成されている。ブッシング7は、グランド8の陥凹溝内に着座して、適切なガスの通過を抑制する。Oリング28は、グランド8の溝内に円周方向に着座して、グランド8周辺の周囲のガスの通過を抑制する。
【0035】
中間スピンドル6は、上側スピンドル9の凹部内に着座する。
図1に示すように、中間スピンドル6は、その頂部に「T字」形状の部材を備えている。この「T字」形状の部材は、上側スピンドル9の凹部内に着座し、上側スピンドル9が上昇及び下降することを可能にし、よって、下側部分は、上側スピンドル9の底部を中間スピンドル6の「T字」形状の部材に接触させる。この構成は、弁10が閉鎖位置にあるときに生じる。上側スピンドル9は、グランド8内を上昇してワッシャ29との接触を断ち、それによって、ガスが流れることを可能にする。中間スピンドル6の「T字」形状の部材が適切な手段によって上方に押されたときに、上側スピンドル9は、ワッシャ29に接触し、それによって、ガスの流れを開く。
【0036】
中間スピンドル6の「T字」形状の部材と上側スピンドル9の開口部との間の移動量又は遊びはまた、下で更に詳述するように、上側スピンドル9を移動させる手段がどのくらい移動するのかに関する制限も提供する。
【0037】
下側スピンドル3、中間スピンドル6、及び上側スピンドル9は、弁部材又はねじ付きロッドを含む。
【0038】
ねじ付きナットアセンブリ30は、ねじ付きナットアセンブリ30が係合したときに、本体1のねじ山と接触して下向きにねじ込まれて、グランド8の下で係止するように設計されている。
【0039】
ボール24は、上側スピンドル9の適切な開口部に位置し、また、スピンドル9の頂部と接触している。更に、Oリング12が、グランド8に存在する溝の上側スピンドル9の周囲に位置付けられている。
【0040】
上側スピンドル9は、その頂部でナット11に取り付けられている。ナット11は、キャップ14に係合するようにキャップ14内に取り付けられている。キャップは、ユーザが、キャップ14を時計回り方向に回して、上側スピンドル9をワッシャ29の中へ下方に押圧させ、それによって、弁10を閉鎖することを可能にする。ユーザはまた、キャップ14を反時計回り方向にも回し得、これは、中間スピンドル6を上側スピンドル9のボールに係合させて、弁座4及びシートディスク2が入口ポート20を上昇させ、それによって、弁を開き、ガスが開口部20及び25を通って流れることを可能にする。
【0041】
入口ポート20を通る出口ポート25へのガスの通過は、ねじ付きロッドが弁座4に係合していないときに生じる。代替的に、ねじ付きロッドが弁座4に係合しているときには、入口ポート20から出口ポート25へのガスの流れが止まる。
【0042】
図1に示すように、流れる状態の間、弁が開くと、開口部20及び25は、弁10が着座するシリンダ内に存在するガスによって明らかに湿潤される。この接触領域は、5及び5.1によって表されるダイアフラムアセンブリの底部及び下側スピンドルアセンブリ3を通るシートディスクホルダ4を更に含む。弁アセンブリ10のこれらの領域は、しばしば、鉄、又はニッケルを含有すること、及びそれらによってコーティングすることができ、カルボニル化合物の形成が抑制される。弁アセンブリ10が閉鎖されているときの静的状態の間は、開口部20及び下側スピンドルアセンブリ3の底部のみがガスによって湿潤される。シリンダ接続部から弁アセンブリへの入口開口部20、並びにガスを送達するための出口ポート開口部25がコーティングされている。
【0043】
弁アセンブリのこれらの領域は、本発明の方法で使用される典型的な弁の内部を切断した概略図である
図2において更に強調されている。
図1の説明に関して上記したように、シリンダ接続部から弁アセンブリへの入口ポート、一酸化炭素を取り出すための出口ポート、及び「湿潤構成要素」の全てを見ることができる。下側スピンドルアセンブリ及びダイヤフラムもまた、
図2において強調されており、弁のこれらの構成要素は、本発明の方法によってコーティングして、カルボニル化合物の形成を抑制することができる。
【0044】
特定の実施形態では、弁アセンブリを動作させて流体通路内のガス圧力を調整するための圧力調整器は、弁アセンブリと流体連通している。
【0045】
直線状のアモルファス水素化シリコンは、シリンダ及び弁アセンブリの通常の使用法で利用することができる。一酸化炭素以外の他の腐食性ガスが使用される場合、官能化バージョンのアモルファス水素化シリコン化合物を使用することができる。
【0046】
官能化バージョンの使用は、一酸化炭素とは反応しないが、他の腐食性ガスとは反応し得るアルミニウムからシリンダが作製されるときに、特に有用であるので、アルミニウムシリンダの内部をコーティングすることは、ガスの品質並びにシリンダ及び弁アセンブリの適切な動作に関する問題を生じさせ得る、カルボニル化合物以外の他の反応生成物の形成を抑制する。
【0047】
カルボニルの形成を抑制し、システムに進入する不純物を最小にする結果として、エンドユーザが、特に半導体製造施設において、シリンダ及び弁の配設を、充填時に測定したときに、供給されている製品がpptレベルの不純物を含有すること、及び貯蔵中にシリンダ又は弁の内部での更なるカルボニルの形成が行われないことを知っているそれらの動作に置き換えることを可能にする。
【0048】
本発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明の数多くの他の形態及び修正が当業者に明白になることは明らかである。本発明の添付の特許請求の範囲は、概して、本発明の真の趣旨及び範囲の範囲内である全てのそのような明白な形態及び修正を網羅するものと解釈されるべきである。
したがって、本発明を説明してきたが、以下、特許請求する。