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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】画像検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020567345
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2019002539
(87)【国際公開番号】W WO2020152865
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100214514
【弁理士】
【氏名又は名称】鳴村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】唐木 功一
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 大輔
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-076218(JP,A)
【文献】特開2017-009383(JP,A)
【文献】特開2004-279282(JP,A)
【文献】特開昭62-042039(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056117(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107071221(CN,A)
【文献】特開2018-153910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - 21/958
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル形状の検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置であって、
前記検査対象に沿って移動しながら前記検査対象を順次撮像していくことで前記検査対象を走査するラインセンサカメラと、
前記ラインセンサカメラを支持する多関節ロボットと、
前記多関節ロボットを駆動し、前記ラインセンサカメラを前記検査対象に沿って移動させる駆動制御部と、
前記ラインセンサカメラによる走査により得られる前記検査対象の画像に基づいて前記欠陥の有無を検査する画像検査を行う画像検査部と、
前記多関節ロボットにより支持され、前記多関節ロボットにより前記ラインセンサカメラとともに移動し、前記検査対象のうち前記ラインセンサカメラにより撮像される領域を照明する照明ランプと、
を備え
前記駆動制御部は、前記検査対象の同一領域を、前記ラインセンサカメラにより、前記ラインセンサカメラ及び前記照明ランプの前記検査対象の表面に沿った一定方向に対する位置関係が異なる複数態様それぞれにて走査するよう、前記多関節ロボットを駆動し、
前記画像検査部は、前記複数態様それぞれでの各走査により得られる前記検査対象の画像それぞれに対して前記画像検査を行い、
前記複数態様は、前記ラインセンサカメラの進行方向が同方向又は逆方向で前記位置関係が互いに逆の第1態様及び第2態様と、前記ラインセンサカメラの進行方向が前記第1態様及び前記第2態様と直交する方向であり、前記位置関係が互いに逆の第3態様及び第4態様と、を含む、
像検査装置。
【請求項2】
前記多関節ロボットは、六軸以上の多関節ロボットである、
請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記照明ランプは、暗視野照明を行う位置及び向きで配置されている、
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
パネル形状の検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置であって、
前記検査対象に沿って移動しながら前記検査対象を順次撮像していくことで前記検査対象を走査するラインセンサカメラと、
前記ラインセンサカメラを支持する多関節ロボットと、
前記多関節ロボットを駆動し、前記ラインセンサカメラを前記検査対象に沿って移動させる駆動制御部と、
前記ラインセンサカメラによる走査により得られる前記検査対象の画像に基づいて前記欠陥の有無を検査する画像検査を行う画像検査部と、
前記多関節ロボットにより支持され、かつ、前記ラインセンサカメラが固定された固定部材と、
前記固定部材に固定されており、それぞれが前記検査対象のうち前記ラインセンサカメラにより撮像される領域を照明する複数の照明ランプと
を備え、
前記複数の照明ランプは、当該複数の照明ランプの各光軸が前記ラインセンサカメラの光軸に対して異なる角度で傾く位置及び向きで前記固定部材に固定されており、
前記駆動制御部は、前記検査対象の同一領域を、前記ラインセンサカメラにより複数回走査するよう、前記多関節ロボットを駆動し、
前記複数回の走査には、前記複数の照明ランプのうち点灯させる照明ランプが異なる2回以上の回数の走査が含まれ、
前記画像検査部は、前記複数回の走査それぞれにより得られる各画像それぞれに対して前記画像検査を行う、
像検査装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記複数回の走査のうちの2回以上の回数の走査それぞれにて、前記ラインセンサカメラの光軸の前記検査対象の表面の垂線に対する角度が異なるよう、前記多関節ロボットを駆動する、
請求項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記複数の照明ランプは、前記検査対象の表面の垂線に対して前記ラインセンサカメラの光軸と同じ方向に傾いた光軸にて暗視野照明を行う位置に設けられた第1照明ランプと、正反射照明を行う位置に設けられた第2照明ランプと、前記検査対象の表面の垂線に対して前記ラインセンサカメラの光軸と反対方向に傾いた光軸にて暗視野照明を行う位置に設けられた第3照明ランプと、を含む、
請求項又はに記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記固定部材は、前記ラインセンサカメラと前記複数の照明ランプとの位置関係を調整する調整機構を備える、
請求項のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記検査対象は、パネル状の基材の表面に膜が形成された基板である、
請求項1~のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に基づいて検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像に基づいて検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置が開発されている。このような画像検査装置として、特許文献1には、検査対象の基板に対して、UV照射器204aとカメラ204bとを備える計測ヘッドを移動させて検査を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-038346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、計測ヘッドを移動させる移動機構203が大掛かりでありサイズが大きい。
【0005】
この発明は、ラインセンサカメラを移動させる機構がコンパクトな画像検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像検査装置は、
パネル形状の検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置であって、
前記検査対象に沿って移動しながら前記検査対象を順次撮像していくことで前記検査対象を走査するラインセンサカメラと、
前記ラインセンサカメラを支持する多関節ロボットと、
前記多関節ロボットを駆動し、前記ラインセンサカメラを前記検査対象に沿って移動させる駆動制御部と、
前記ラインセンサカメラによる走査により得られる前記検査対象の画像に基づいて前記欠陥の有無を検査する画像検査を行う画像検査部と、
前記多関節ロボットにより支持され、前記多関節ロボットにより前記ラインセンサカメラとともに移動し、前記検査対象のうち前記ラインセンサカメラにより撮像される領域を照明する照明ランプと、
を備え
前記駆動制御部は、前記検査対象の同一領域を、前記ラインセンサカメラにより、前記ラインセンサカメラ及び前記照明ランプの前記検査対象の表面に沿った一定方向に対する位置関係が異なる複数態様それぞれにて走査するよう、前記多関節ロボットを駆動し、
前記画像検査部は、前記複数態様それぞれでの各走査により得られる前記検査対象の画像それぞれに対して前記画像検査を行い、
前記複数態様は、前記ラインセンサカメラの進行方向が同方向又は逆方向で前記位置関係が互いに逆の第1態様及び第2態様と、前記ラインセンサカメラの進行方向が前記第1態様及び前記第2態様と直交する方向であり、前記位置関係が互いに逆の第3態様及び第4態様と、を含む。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る画像検査装置は、
パネル形状の検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置であって、
前記検査対象に沿って移動しながら前記検査対象を順次撮像していくことで前記検査対象を走査するラインセンサカメラと、
前記ラインセンサカメラを支持する多関節ロボットと、
前記多関節ロボットを駆動し、前記ラインセンサカメラを前記検査対象に沿って移動させる駆動制御部と、
前記ラインセンサカメラによる走査により得られる前記検査対象の画像に基づいて前記欠陥の有無を検査する画像検査を行う画像検査部と、
前記多関節ロボットにより支持され、かつ、前記ラインセンサカメラが固定された固定部材と、
前記固定部材に固定されており、それぞれが前記検査対象のうち前記ラインセンサカメラにより撮像される領域を照明する複数の照明ランプと、
を備え、
前記複数の照明ランプは、当該複数の照明ランプの各光軸が前記ラインセンサカメラの光軸に対して異なる角度で傾く位置及び向きで前記固定部材に固定されており、
前記駆動制御部は、前記検査対象の同一領域を、前記ラインセンサカメラにより複数回走査するよう、前記多関節ロボットを駆動し、
前記複数回の走査には、前記複数の照明ランプのうち点灯させる照明ランプが異なる2回以上の回数の走査が含まれ、
前記画像検査部は、前記複数回の走査それぞれにより得られる各画像それぞれに対して前記画像検査を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ラインセンサカメラを移動させる機構がコンパクトな画像検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像検査装置の構成図である。
図2】多関節ロボットなどを示す概略図である。
図3】照明カメラユニットの斜視図である。
図4】照明カメラユニットを側方から見た図である。
図5】ラインセンサカメラ(マルチスペクトルカメラ)の構成例を示す図である。
図6】正反射照明を行うときの照明カメラユニットを側方から見た図である。
図7】反射暗視野照明を行うときの照明カメラユニットを側方から見た図である。
図8】同方向暗視野照明を行うときの照明カメラユニットを側方から見た図である。
図9】照明カメラユニットの第1経路を示す図である。
図10】照明カメラユニットの第2経路を示す図である。
図11】照明カメラユニットの第3経路を示す図である。
図12】照明カメラユニットの第4経路を示す図である。
図13】撮像画像の組み合わせ例等を示す図である。
図14】変形例に係る照明カメラユニットを側方から見た図である。
図15】変形例に係る照明カメラユニットを側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の一実施形態に係る画像検査装置100の構成)
本発明の一実施形態に係る画像検査装置100は、図1に示す構成を有し、検査対象S(図2等)について欠陥の有無を検査する。ここでは、検査対象Sが、液晶表示パネルに使用されるカラーフィルタ基板であるものとする。画像検査装置100は、カラーフィルタ基板の製造工程において使用され、当該製造工程において欠陥の有無の検査を行う。
【0010】
ここで、画像検査装置100を詳細に説明する前に、カラーフィルタ基板の製造工程及び発生し得る欠陥について簡単に説明する。
【0011】
カラーフィルタ基板の製造工程では、まず、ガラス基板を上下方向に立てた複数のピンにより裏側から支持し、その後、ガラス基板の表面に、ブラックマトリクス層を形成する。その後、カラーフィルタ層を形成する。その後、保護膜を形成する。保護膜は、ディスペンサー等により保護膜の材料を塗布し、スキージにより平らにのばし、のばした材料を乾燥させることにより形成される。保護膜形成後は、当該保護膜を洗浄液(水、又は油など)で洗浄し、洗浄後に保護膜上に残留した洗浄液を空気で吹き飛ばす。これにより、カラーフィルタ基板が完成する。
【0012】
上記製造工程において、ガラス基板は複数のピンで支持されるため、当該ガラス基板の自重により、当該ガラス基板における、当該複数のピンそれぞれで支持される各部分のうちの少なくとも1つが湾曲することがある。具体的に、当該部分が、ピンにより上方に盛り上がるように湾曲してしまうことがある。このような湾曲部分の上に保護膜を形成すると、当該保護膜において、前記湾曲部分の上に設けられた部分の膜厚が、周囲の正常部分よりも薄くなってしまう。このような薄い部分は、膜厚が異常であり、欠陥の一種として扱われる。
【0013】
上記製造工程において、前記のスキージの先端に欠け又は異物があると、これらにより保護膜にスジ状の欠陥(所定方向に延びた凹部又は凸部)が生じてしまうことがある。保護膜の材料をインクジェットプリンタにより塗布してもよいが、この場合であっても、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりにより、保護膜にスジ状の欠陥が生じてしまうこともある。
【0014】
上記製造工程において、保護膜の洗浄後に洗浄液を空気で吹き飛ばしたときに、その一部が残留してしまうこともある。この残留した洗浄液も欠陥の一種として扱われる。また、埃などの異物が保護膜に付着・残留し、異物の欠陥が発生してしまうこともある。
【0015】
上記製造工程では、カラーフィルタ層又はブラックマトリクス層の一部に形成異常が発生する場合がある。当該形成異常は、例えば、ある部分の幅が意図したものより狭い、ある部分のパターンのピッチがずれる、前記ある部分のパターン形状が崩れるなど、カラーフィルタ層又はブラックマトリクス層が所望の形状に形成されなかった場合に発生する。このような形成異常の上に保護膜を設けると、当該保護膜のうちの当該形成異常の部分の上に設けられた部分は、当該保護膜における正常部分とは屈折率等が異なり見え方が異なってしまうので、欠陥として扱われる。
【0016】
画像検査装置100は、上記各種の欠陥の有無を検査するための構成として、図1に示すように、多関節ロボット110と、移動機構120と、照明カメラユニット130と、制御部(コントローラ)140と、表示部150と、入力部160と、を備える。
【0017】
多関節ロボット110は、図2に示すように、6軸の垂直多関節ロボットであり、照明カメラユニット130を上下方向、左右方向(図2の紙面を貫く方向)、及び、前後方向に移動させることができ、さらに、照明カメラユニット130を回転させることもできる。このような移動ないし回転を実現するため、多関節ロボット110は、ベース111と、回転体112と、第1アーム(下腕)113と、第2アーム(上腕)114と、第3アーム(手首)115と、を備える。多関節ロボット110は、後述の各回転を行わせるための図示しない複数のモータも内蔵している。
【0018】
ベース111は、移動機構120の後述のスライド部材123に固定されている。回転体112は、ベース111に接続されており、当該ベース111に対して、軸R11を回転軸として回転する。軸R11は、上下方向に延びており、平面視したときの回転体112の中心を通っている。
【0019】
第1アーム113の一端部(図2では下端部)は、ベース111に接続されている。第1アーム113は、軸R21を回転軸として回転体112に対して回転可能に設けられている。軸R21は、第1アーム113の前記一端部を貫通し、軸R11に直交している。
【0020】
第2アーム114の一端部(図2では下端部)は、第1アーム113の他端部に接続されている。第2アーム114は、前記一端部を貫通し軸R21に平行な軸R22を回転軸として、第1アーム113に対して回転可能に設けられている。第2アーム114は、第2-1アーム114Aと、第2-2アーム114Bとを備える。第2-1アーム114Aが第1アーム113に接続されている。第2-2アーム114Bは、軸R12を回転軸として第2-1アーム114Aに対して回転可能に設けられている。軸R12は、第2アーム114が延びている方向(軸R22に直交する方向)に沿って延びており、前記延びている方向と直交する方向に第2アーム114を切った断面の中心を通っている。
【0021】
第3アーム115の一端部(図2では右端部)は、第2アーム114の他端部に接続されている。第3アーム115は、前記一端部を貫通し軸R12に直交する軸R23を回転軸として第2アーム114に対して回転可能に設けられている。第3アーム115は、第3-1アーム115Aと、第3-2アーム115Bとを備える。第3-1アーム115Aが第2アーム114に接続されている。第3-2アーム115Bは、軸R13を回転軸として第3-1アーム115Aに対して回転可能に設けられている。軸R13は、第3アーム115が延びている方向(軸R23に直交する方向)に沿って延びており、前記延びている方向に直交する方向に第3アーム115を切った断面の中心を通っている。第3-2アーム115Bには、照明カメラユニット130が固定されている。照明カメラユニット130は、後述のようにラインセンサカメラ135(図3及び図4など)を備え、支持装置Dにより直立状態で支持された検査対象Sの表面に沿って移動し、当該表面を撮像するためのものである。
【0022】
多関節ロボット110は、上記構成、特に、回転体112、第1アーム113~第3アーム115、第2-2アーム114B及び第3-2アーム115Bを回転させる構成等により、照明カメラユニット130を、上下方向、左右方向(図2の紙面を貫く方向)、及び、前後方向に移動させることができ、軸R13に回転させることができる。
【0023】
移動機構120は、多関節ロボット110を左右方向に移動させる機構である。移動機構120は、図2に示すように、ベース121と、レール122と、スライド部材123と、を備える。ベース121は、左右方向に沿って延びている。レール122は、ベース121上に配置されており、左右方向に沿って延びている。スライド部材123は、レール122と係合しており、レール122上を左右方向にスライド可能である。
【0024】
移動機構120は、上記部材の他に、スライド部材123を左右方向に移動させる移動装置(図示せず)を備える。移動装置としては、モータ及びボールネジを用いた装置、又は、プーリ、ベルト、及びモータを用いた装置などの適宜の装置を採用できる。スライド部材123には多関節ロボット110のベース111が固定されており、スライド部材123を左右方向に移動させることにより、多関節ロボット110を当該左右方向に移動させることができる。これにより、照明カメラユニット130の左右方向への移動範囲を、多関節ロボット110の位置が不動の場合よりも広げることができる。このような構成は、検査対象Sが左右方向に長尺な場合に特に有効である。なお、多関節ロボット110による照明カメラユニット130の左右方向への可動範囲が、検査対象Sよりも広ければ、移動機構120は不要である。
【0025】
照明カメラユニット130は、図1図3、及び、図4などに示すように、ベース131と、第1ランプ132と、第2ランプ133と、第3ランプ134と、ラインセンサカメラ135と、を備える。なお、照明カメラユニット130のうち多関節ロボット110の第3-2アーム115B側の一端を後端といい、その逆の他端を先端ともいう(図3図4など)。
【0026】
ベース131は、固定部131Aと、ランプ支持部131Bと、カメラ支持部131Cと、を備える。固定部131Aは、先後方向(先端-後端方向)に延びており、その後端が多関節ロボット110の第3-2アーム115Bに固定されている。固定部131Aの中心軸(照明カメラユニット130の中心軸でもある)は、軸R13と一致している。固定部131Aの先端部にはランプ支持部131Bが取り付けられている。ランプ支持部131Bは、一対の板状部材131BA、131BBと、3つの板状部材131BC~131BEと、から構成されている。一対の板状部材131BA、131BBは、先後方向に延びている。3つの板状部材131BC~131BEそれぞれは、先後方向に直交する方向に沿って延びており、一対の板状部材131BA、131BBに異なる位置で掛け渡され固定されている。板状部材131BCには第1ランプ132が固定され、板状部材131BDには第2ランプ133が固定され、板状部材131BEには第3ランプ134が固定されている。このようにして、第1ランプ132~第3ランプ134は、ランプ支持部131Bにより支持されている。固定部131Aの中央には、カメラ支持部131Cが固定されている。カメラ支持部131Cは、一対の板状部材を備え、当該板状部材によりラインセンサカメラ135を挟んで支持している。第1ランプ132~第3ランプ134と、ラインセンサカメラ135とは、照明カメラユニット130の移動中等に移動しないようかつ向きが変わらないよう、強固に固定・支持されている。
【0027】
第1ランプ132と、第2ランプ133と、第3ランプ134と、ラインセンサカメラ135とは、これらの各光軸L1~L4が一点で交わる位置及び向きでランプ支持部131B又はカメラ支持部131Cにより支持されている。第1ランプ132と、第2ランプ133と、第3ランプ134とは、互いに平行な長手方向(先後方向に直交する方向であり、図4における紙面を貫く方向)を有する帯状の光出射面132A、133A、又は、134Aを有する。第1ランプ132と、第2ランプ133と、第3ランプ134とのそれぞれは、前記長手方向に沿って配列された複数のLED、前記長手方向に沿って延びた蛍光管等を含んで構成され(適宜、出射する光の均一性等を確保するため、拡散板、導光板等を用いてもよい)、光出射面132A、133A、又は134Aから前記長手方向に沿って延びた帯状の照明光を出射し、検査対象Sの同一領域(帯状の領域)を照明可能である。
【0028】
第1ランプ132は、当該第1ランプ132の光軸L1が軸R13と一致する位置及び向きで支持されている。光軸L1は、第1ランプ132の光出射面132Aの中心を通りかつ光出射面132Aに直交した軸である。
【0029】
第2ランプ133は、当該第2ランプ133の光軸L2と光軸L1(軸R13)との間の角度θ1が20度となる位置及び向きで支持されている。光軸L2は、第2ランプ133の光出射面133Aの中心を通りかつ光出射面133Aに直交した軸である。
【0030】
第3ランプ134は、当該第3ランプ134の光軸L3と光軸L2との間の角度θ2が50度となる位置及び向きで支持されている。第3ランプ134は、第2ランプ133を挟んで第1ランプ132の反対側に配置されている。光軸L3は、第3ランプ134の光出射面134Aの中心を通りかつ光出射面134Aに直交した軸である。
【0031】
この実施の形態では、第1ランプ132~第3ランプ134のうちのいずれかを点灯させることで、複数態様の照明が可能となっている(詳細は後述)。
【0032】
ラインセンサカメラ135は、検査対象Sのうち、第1ランプ132から第3ランプ134のうちのいずれかにより照明された帯状の領域を、当該帯状の領域が延びた方向と同方向に延びたライン状に撮像し、当該検査対象Sのライン状の領域が写ったライン状の画像(一ライン分の撮像画像)を生成及び出力する。ここで、当該ライン状の画像をライン画像ともいう。ラインセンサカメラ135は、当該ラインセンサカメラ135の光軸L4と光軸L1(軸R13)との間の角度θ3が20度となる位置及び向きで支持されている。なお、ラインセンサカメラ135は、第1ランプ132を間に挟んで、第2ランプ133と第3ランプ134と反対側に配置されている。
【0033】
ラインセンサカメラ135は、マルチスペクトルカメラ(ハイパースペクトルカメラを含むものとする)でもある。マルチスペクトルカメラは、RGBの3つよりも多い数(例えば、10以上)の波長帯(バンド)のライン画像を得ることができるカメラである。なお、ラインセンサカメラ135は、100以上の波長帯のライン画像を生成することができるハイパースペクトルカメラであるとよい。ラインセンサカメラ135は、図5に示すように、レンズ135Aと、スリット部材135Bと、分光器135Cと、イメージセンサ135Dと、を備える。
【0034】
レンズ135Aは、集光レンズであり、第1ランプ132~第3ランプ134のうちのいずれかから出射され、検査対象Sで反射された照明光が入射する。入射した照明光は、レンズ135Aを透過して、スリット部材135Bに到達する。スリット部材135Bは、光出射面132A、133A、及び134Aの長手方向と平行な方向に延びたライン状のスリット135BAを備え、レンズ135Aを透過した照明光のうちの一部のみをスリット135BAを介して通過させる。スリット135BAを通過した照明光は、X方向(前記長手方向と平行な方向)に沿って延びたライン状の光である。このライン状の光は、検査対象Sのライン状部分で反射された光でもある。
【0035】
スリット135BAを通過した照明光(ライン状の光)は、グレーティング(回折格子)、レンズなどを備える光学系である分光器135CによりY方向に分光される。分光後の各光は、異なる波長帯の光である。分光後の各光の光量の波長分布は、ある波長をピークとして、上下に徐々に減っていく山形状の分布となっている。
【0036】
分光後の各波長帯の光は、イメージセンサ135Dにより受光され電気信号に変換される。イメージセンサ135Dとしては、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサなどを採用できる。イメージセンサ135Dは、受光した光を当該光の輝度を表す輝度データ(電気信号)に変換する複数の画素(フォトダイオードなど)135DAを備える。複数の画素135DAは、X方向及びY方向にマトリクス状に配置されている。X方向に一列に並んだ複数の画素135DAの集まりである受光部135DBそれぞれは、分光された複数の波長帯の光のうちの一の波長帯の光を受光する。つまり、Y方向における同じ位置でX方向に並んだ各画素135DA(一の受光部135DBが有する各画素135DA)により変換された各輝度データの集まりは、スリット135BAを通過したライン状の光のうちの一の波長帯のライン状の光のX方向上の輝度分布を示しており、当該一の波長帯の光の受光により得られる、前記検査対象Sのライン状の領域を撮像したライン画像を表す画像データでもある。当該ライン画像は、輝度データの集まりであるので、濃淡を示すグレースケールの画像でもある。X方向における同じ位置でY方向に並んだ各画素135DAにより変換された各輝度データの集まりは、検査対象Sのライン状の領域のある位置において反射された前記の照明光の波長帯ごとの輝度分布を示している。イメージセンサ135Dは、前記ライン画像の画像データを波長帯毎に制御部140に出力する。
【0037】
以上のような構成により、ラインセンサカメラ135は、前記検査対象Sで反射された照明光を複数の波長帯ごとに分光し、前記検査対象Sを前記複数の波長帯ごとに撮像した複数のライン画像(波長帯が異なる複数のライン画像)を生成する。なお、ラインセンサカメラ135は、検査対象Sに沿って移動しながら当該検査対象Sを順次撮像し(具体的には、一ラインごとに撮像し)、撮像毎により生成した一ライン分のライン画像の画像データそれぞれを順次出力する。前記のようにラインセンサカメラ135が検査対象Sに沿って移動しながら当該検査対象Sを順次撮像していくことを走査ともいう。前記移動しながらの撮像として、撮像時に移動を一時停止してもよい。つまり、ラインセンサカメラ135が移動しながら順次撮像していく態様として、ラインセンサカメラ135を連続的に移動させる態様の他、ラインセンサカメラ135が移動→一時停止して撮像→移動→一時停止して撮像を繰り返すことを採用してもよい。
【0038】
図1に戻り、制御部140は、駆動制御部141と、ランプ制御部142と、カメラ制御部143と、画像検査部144と、記憶部145と、を備える。例えば、駆動制御部141は、PLC(programmable logic controller)等により構成され、ランプ制御部142と、カメラ制御部143と、画像検査部144と、記憶部145と、は、1台のコンピュータ等により構成される。例えば、ランプ制御部142と、カメラ制御部143と、画像検査部144とは、記憶部145が記憶するプログラムを実行する、前記コンピュータのCPU等の各種プロセッサを含んで構成される。制御部140のハードウェア構成は、任意であり、例えば、駆動制御部141と、ランプ制御部142と、カメラ制御部143と、画像検査部144とのそれぞれを、別々のコンピュータ等により形成してもよいし、一台のコンピュータにより構成してもよい。記憶部145は、RAM(Random access memory)及びハードディスクなどから構成され、前記プログラムを記憶する他、駆動制御部141と、ランプ制御部142と、カメラ制御部143と、画像検査部144と、が使用するデータ等も記憶する。
【0039】
駆動制御部141は、多関節ロボット110及び移動機構120を制御する。ランプ制御部142は、照明カメラユニット130の第1ランプ132~第3ランプ134を制御する。カメラ制御部143は、照明カメラユニット130のラインセンサカメラ135を制御する。
【0040】
駆動制御部141は、多関節ロボット110を駆動し、例えば、回転体112、第1アーム113~第3アーム115、第2-2アーム114B、及び、第3-2アーム115Bそれぞれを回転させ、照明カメラユニット130を検査対象Sの表面に沿って移動させる。このとき、駆動制御部141は、移動機構120も適宜制御し、照明カメラユニット130を移動させる。ランプ制御部142は、照明カメラユニット130の移動時において、第1ランプ132~第3ランプ134のいずれかを点灯させる制御を行う。カメラ制御部143は、駆動制御部141により移動するラインセンサカメラ135に、検査対象Sを順次撮像させ(走査させ)、撮像ごとに前記ラインセンサカメラ135により生成されるライン画像(一ライン分の画像)の画像データを画像検査部144に出力させる。画像データは、複数の波長帯それぞれで個別に出力される。
【0041】
画像検査部144は、ラインセンサカメラ135から順次出力される複数のライン画像の画像データを順次受け取り、順次受け取った画像データを組み合わせ、一枚の撮像画像を生成する。当該一枚の撮像画像は、同じ波長帯の複数のライン画像を組み合わせることで生成される。その後、画像検査部144は、異なる波長帯の撮像画像同士を組み合わせ、所望の波長帯の撮像画像を生成する。画像検査部144は、異なる波長帯のライン画像同士を組みあわせ、組み合わせ後のライン画像同士を組みあわせて前記一枚の撮像画像を生成することにより前記所望の波長帯の撮像画像を生成してもよい。
【0042】
画像検査部144は、生成した一枚の撮像画像(前記所望の波長帯の撮像画像も含む。)に基づき、欠陥の有無の検査(画像検査)を実行する。当該検査は、波長帯の異なる複数枚の撮像画像それぞれごとに行われる(つまり、複数枚の撮像画像それぞれに対して個別に行われる)。画像検査部144は、複数枚の撮像画像のうち、少なくとも1枚の撮像画像で欠陥を検出した場合、検査の結果として検査対象に欠陥有りと判定する。画像検査の方法は、適宜の方法を採用すればよい。
【0043】
表示部150は、液晶ディスプレイなどを含んで構成されており、制御部140の制御のもとで、画像検査部144による検査の結果などを表示する。表示部150は、所定の入力画面(後述の波長帯の入力画面)なども表示する。
【0044】
入力部160は、マウス及びキーボード、又は、タッチパネル等からなり、例えば、画像検査部144が、異なる波長帯の撮像画像(ライン状又は一枚の画像)を組み合わせる際の、前記の所望の波長帯を指定するためのユーザの操作を受け付ける。
【0045】
(画像検査装置100の動作)
(ラインセンサカメラ135による走査)
画像検査装置100では、ラインセンサカメラ135による検査対象Sの走査は、複数の態様にて行われる。具体的に、画像検査装置100では、正反射照明(図6)での走査、反射暗視野照明(図7)での走査、及び、同方向暗視野照明(図8)での走査を行う。さらに、上記3つの走査それぞれについて、第1経路から第4経路での走査(図9図12)が行われる。なお、上記各走査において、駆動制御部141は、照明カメラユニット130の光軸L1~L4の交点が検査対象Sの表面上に位置するよう、多関節ロボット110及び移動機構120を制御し、照明カメラユニット130を移動させる。また、上記各走査では、第1ランプ132~第3ランプ134のいずれかからの照明光のみで、検査対象Sが照明されるよう、第1ランプ132~第3ランプ134のいずれかが点灯し、かつ、照明カメラユニット130等の周囲は遮光される。
【0046】
(正反射照明での走査)
正反射照明での走査を行う際、駆動制御部141は、多関節ロボット110及び移動機構120を駆動し、照明カメラユニット130を、図6に示す姿勢等を維持しながら、検査対象Sに沿って移動させる。正反射照明での走査では、図6に示すように、軸R13(照明カメラユニット130の中心軸)が検査対象Sの表面の垂線Hと一致するよう、照明カメラユニット130の姿勢が制御される。正反射照明での走査において、ランプ制御部142は、図6に示すように、第2ランプ133を点灯させ、第1ランプ132及び第3ランプ134を消灯させる。カメラ制御部143は、検査対象Sに沿って移動する照明カメラユニット130のラインセンサカメラ135に適宜のタイミング(詳細は後述)で撮像動作を行わせ、ラインセンサカメラ135に検査対象Sの走査を実行させる。正反射照明での走査では、点灯している第2ランプ133の光軸L2とラインセンサカメラ135の光軸L4とのそれぞれが垂線Hに対して反対方向に20度傾いている。ラインセンサカメラ135は、第2ランプ133が出射し、検査対象Sの表面が正反射した照明光を受光する。つまり、ラインセンサカメラ135は、正反射照明された検査対象Sを撮像(走査)する。
【0047】
(反射暗視野照明での走査)
反射暗視野照明での走査を行う際、駆動制御部141は、多関節ロボット110及び移動機構120を駆動し、照明カメラユニット130を、図7に示す姿勢等を維持しながら、検査対象Sに沿って移動させる。反射暗視野照明での走査では、図7に示すように、軸R13(照明カメラユニット130の中心軸)が検査対象Sの表面の垂線Hに対して10度傾くよう、照明カメラユニット130の姿勢が制御される。反射暗視野照明での走査において、ランプ制御部142は、第3ランプ134を点灯させ、第1ランプ132及び第2ランプ133を消灯させる。カメラ制御部143は、検査対象Sに沿って移動する照明カメラユニット130のラインセンサカメラ135に適宜のタイミングで撮像動作を行わせ、ラインセンサカメラ135に検査対象Sの走査を実行させる。反射暗視野照明での走査では、点灯している第3ランプ134の光軸L3が垂線Hに対して60度傾いており、ラインセンサカメラ135の光軸L4が垂線Hに対して光軸L3とは反対方向に30度傾いている。ラインセンサカメラ135は、第3ランプ134が出射し、検査対象Sの表面が反射した照明光を受光する。つまり、ラインセンサカメラ135は、反射暗視野にて検査対象Sを撮像(走査)する。
【0048】
(同方向暗視野照明での走査)
同方向暗視野照明での走査を行う際、駆動制御部141は、多関節ロボット110及び移動機構120を駆動し、照明カメラユニット130を、図8に示す姿勢等を維持しながら、検査対象Sに沿って移動させる。同方向暗視野照明での走査では、図8に示すように、軸R13(照明カメラユニット130の中心軸)が検査対象Sの表面の垂線Hに対して40度傾くよう、照明カメラユニット130の姿勢が制御される。同方向暗視野照明での走査において、ランプ制御部142は、第1ランプ132を点灯させ、第2ランプ133及び第3ランプ134を消灯させる。カメラ制御部143は、検査対象Sに沿って移動する照明カメラユニット130のラインセンサカメラ135に適宜のタイミングで撮像動作を行わせ、ラインセンサカメラ135に検査対象Sの走査を実行させる。同方向暗視野照明での走査では、点灯している第1ランプ132の光軸L1が垂線Hから40°傾いており、ラインセンサカメラ135の光軸L4が垂線Hから光軸L1と同方向に60°傾いている。ラインセンサカメラ135は、第1ランプ132が出射し、検査対象Sの表面が反射した照明光を受光する。つまり、ラインセンサカメラ135は、同方向暗視野にて検査対象Sを撮像(走査)する。同方向暗視野照明と反射暗視野照明とは、ラインセンサカメラ135と検査対象を照明するランプ(第1ランプ132又は第3ランプ134)との位置関係が異なる。具体的に、前者は、ラインセンサカメラ135の光軸L4と第1ランプ132の光軸L1とが、垂線Hに対して同じ方向に傾いている一方、ラインセンサカメラ135の光軸L4と第3ランプ134の光軸L3とが、垂線Hを挟んで反対方向に傾いている点で相違している。
【0049】
(第1経路~第4経路での走査)
画像検査装置100は、正反射照明で第1経路~第4経路の各経路での走査を行ったあと、反射暗視野照明で第1経路~第4経路の各経路での走査を行い、その後、同方向暗視野照明で第1経路~第4経路の各経路での走査を行う。
【0050】
(第1経路)
図9に第1経路K1を示す。第1経路K1は、検査対象Sの上方かつ左側に位置する照明カメラユニット130を、上から下に移動(実線参照)させ、その後、右方向にスライド(破線参照)させ、その後、下から上に移動させ(実線参照)、その後、右方向にスライド(破線参照)させ、以降、当該上下方向への移動(実線参照)及び右方向へのスライド(破線参照)を繰り返す経路である。駆動制御部141は、多関節ロボット110及び移動機構120を制御し、照明カメラユニット130を、第1ランプ132~第3ランプ134の長手方向が上下方向(走査時の進行方向)と直交し、かつ、第1ランプ132~第3ランプ134よりもラインセンサカメラ135の方が下方に位置する向きで、第1経路K1に沿って移動させる。駆動制御部141は、照明カメラユニット130を上から下及び下から上に移動させる期間(開始タイミング及び終了タイミング)をカメラ制御部143に通知する。カメラ制御部143は、前記通知に従って、ラインセンサカメラ135を制御し、照明カメラユニット130を上から下及び下から上に移動させる期間において、ラインセンサカメラ135に撮像動作を行わせ、これにより、第1ランプ132~第3ランプ134のいずれかにより照明された検査対象Sの表面をラインセンサカメラ135により走査する。カメラ制御部143は、照明カメラユニット130を右方向へスライド移動させるときは、走査を行わないようラインセンサカメラ135を制御する。つまり、ラインセンサカメラ135は、第1経路K1における実線部分において走査を行い、破線部分では走査を行わない。後述の第2経路K2~第4経路K4についても同様で、実線部分では走査が行われ、破線部分では走査が行われない。ラインセンサカメラ135は、走査時に、一ライン分のライン画像の画像データを波長帯ごとに個別に順次出力していく。
【0051】
(第2経路)
図10に第2経路K2を示す。第2経路K2は、検査対象Sの下方かつ右側に位置する照明カメラユニット130を、第1経路K1とは逆方向に移動させる経路である。駆動制御部141は、照明カメラユニット130を、第1ランプ132~第3ランプ134の長手方向が上下方向(走査時の進行方向)と直交し、かつ、第1ランプ132~第3ランプ134よりもラインセンサカメラ135の方が上方に位置する向き(つまり、各ランプとラインセンサカメラ135との検査対象Sの表面の所定方向(ここでは、例えば、上下方向)に対する位置関係が第1経路K1と逆の態様)で、第2経路K2に沿って移動させる。なお、第2経路K2は、第1経路K1と同じ経路であってもよい(但し、各ランプとラインセンサカメラ135との前記所定方向に対する位置関係は、第1経路K1と逆とする)。
【0052】
(第3経路)
図11に第3経路K3を示す。第3経路K3は、検査対象Sの左方かつ上側に位置する照明カメラユニット130を、左から右に移動(実線参照)させ、その後、下方にスライド(破線参照)させ、その後、右から左に移動させ(実線参照)、その後、下方にスライドさせ、以降、当該左右方向への移動(実線参照)及び下方へのスライド(破線参照)を繰り返す経路である。駆動制御部141は、照明カメラユニット130を、第1ランプ132~第3ランプ134の長手方向が左右方向(走査時の進行方向)と直交し、かつ、第1ランプ132~第3ランプ134よりもラインセンサカメラ135の方が右側に位置する向きで、第3経路K3に沿って移動させる。
【0053】
(第4経路)
図12に第4経路K4を示す。第4経路K4は、検査対象Sの右方かつ下側に位置する照明カメラユニット130を、第3経路K3とは逆方向に移動させる経路である。駆動制御部141は、照明カメラユニット130を、第1ランプ132~第3ランプ134の長手方向が左右方向(走査時の進行方向)と直交し、かつ、第1ランプ132~第3ランプ134よりもラインセンサカメラ135の方が左側に位置する向き(つまり、各ランプとラインセンサカメラ135との検査対象Sの表面の所定方向(ここでは、例えば、上下方向。左右方向としてもよい)に対する位置関係が第3経路K3と逆の態様)で、第4経路K4に沿って移動させる。なお、第4経路K4は、第3経路K3と同じ経路であってもよい(但し、第1ランプ132~第3ランプ134の各ランプとラインセンサカメラ135との前記所定方向に対する位置関係は、第3経路K3と逆とする)。
【0054】
(画像の生成)
画像検査部144は、ラインセンサカメラ135から走査時に順次出力されるライン画像の画像データを順次受け取り、記憶部145に格納していく。画像検査部144は、所定のタイミング(例えば、経路K1~K4における一つの実線部分の走査が終了したタイミング。駆動制御部141及びカメラ制御部143から通知されるものとする)で、記憶部145に格納した画像データを組み合わせ(一つの実線部分の走査で得られた複数のライン画像を組み合わせ)、一枚の撮像画像を生成する。ラインセンサカメラ135は、当該ラインセンサカメラ135が可能な最も狭い波長帯にて各ライン画像を出力するものとする(なお、全ての波長帯のライン画像を出力してもよいし、そのうちの一部の波長帯のライン画像を出力してもよい)。ここでのラインセンサカメラ135は、100以上(特に、100~600のうちのいずれかの数)の波長帯(バンド)のライン画像を出力できるハイパースペクトルカメラであるとよい。画像検査部144は、同じ波長帯の画像データ同士(一つの実線部分の走査で得られた複数のライン画像)を組み合わせ、一枚の撮像画像(ラインセンサカメラ135の走査により撮像された一枚の撮像画像)を生成する。画像検査部144は、例えば、第1経路K1での走査で、上から下に向けてラインセンサカメラ135による走査が行われたときには、記憶部145のRAM等に設けられた描画領域に、同じ波長帯のライン画像を古いものから順に上から下に配置し、一枚の撮像画像を生成する(この生成は、波長帯ごとに行われる)。画像検査部144は、例えば、第1経路K1での走査で、下から上にラインセンサカメラ135により走査が行われたときには、記憶部145のRAM等に設けられた描画領域に、同じ波長帯のライン画像を古いものから順に下から上に配置していく(この生成は、波長帯ごとに行われる)。これにより、各ランプとラインセンサカメラ135との前記所定方向に対する位置関係が同じであれば、ラインセンサカメラ135の走査方向によらず、同じ撮像画像が得られる。なお、前記位置関係が異なる場合には、ラインセンサカメラ135の走査方向が同じであっても、第1ランプ132~第3ランプ134による照明方向が異なるので異なる撮像画像が得られることになる(特に、暗視野照明の場合)。つまり、第1経路K1と第2経路K2とでは、異なる撮像画像が得られ、第3経路K3と第4経路K4とでも、異なる撮像画像が得られる。画像検査部144は、上記3つの照明態様(正反射照明、反射暗視野照明、同方向暗視野照明)それぞれ、及び、第1経路~第4経路それぞれについて、別々に撮像画像を生成する(同じ経路であっても、照明態様毎に異なる撮像画像が得られる)。
【0055】
画像検査部144は、例えば、波長帯A、波長帯B・・・・などの各波長帯それぞれについてラインセンサカメラ135からの画像データを組み合わせ、1回の走査について波長帯の異なる複数枚の撮像画像を生成する。これにより、図13に示すように、波長帯Aの撮像画像、波長帯Bの撮像画像、波長帯Cの撮像画像・・・・などの各波長帯の撮像画像が得られる。その後、画像検査部144は、図13に示すように、異なる波長帯の撮像画像を合成し、所望の波長帯の撮像画像を生成する。合成は、例えば、同じ位置の画素の輝度を平均化することにより行われる。前記所望の波長帯は、予め設定されるか、入力部160を介してユーザにより設定される。ユーザにより設定される場合には、ユーザが所望の波長帯を指定する。画像検査部144は、例えば、図13に示すように、波長帯A及びBの各撮像画像を合成し、波長帯A~Cの各撮像画像を合成し、波長帯C~Fの各撮像画像を合成する。これにより、図13に示すように、波長帯A~Bの撮像画像、波長帯A~Cの撮像画像、波長帯C~Fの撮像画像の3つの撮像画像などが得られる。このようにして、画像検査部144は、ラインセンサカメラ135が出力する画像データに基づく撮像画像よりも波長帯が広い又は一部重複する撮像画像を生成することができる。なお、画像検査部144は、生成した各撮像画像(合成前の撮像画像(波長帯Aの撮像画像等)及び合成後の撮像画像(波長帯A~Bの各撮像画像等))の画像データを記憶部145に格納する。前記の画像データそれぞれは、例えば、撮像画像生成時に格納される。画像検査部144は、撮像画像の合成時に、合成前の撮像画像を記憶部145から読み出し、合成を行う。
【0056】
(画像検査)
画像検査部144は、前記で生成した複数の撮像画像(合成後の撮像画像のみであってもよいし、合成前の撮像画像及び合成後の撮像画像の適宜の組み合わせであってもよい。合成前の撮像画像のみとしてもよい。また、合成前又は合成後の撮像画像の全ての撮像画像のうちの一部の複数の撮像画像であってもよい。)それぞれについて画像検査を行う(図13も参照)。例えば、画像検査部144は、記憶部145に格納した一の撮像画像に対して、エッジ強調等の画像処理を行い、その後、2値化処理を行う。上記正反射照明では、欠陥が生じた部分で他の正常な部分とは異なる光の干渉(例えば、透明な保護膜の上面で反射した照明光と、保護膜とカラーフィルタ層などとの境界で反射した照明光との光の干渉)等が生じ、又は、欠陥が生じた部分で照明光が正反射されず、撮像画像において当該欠陥が生じた部分が例えば暗く写る。このため、2値化の閾値としては、欠陥の部分が黒となる値を用意する(実験等により予め設定しておく)。上記反射暗視野照明及び同方向暗視野照明では、欠陥が生じた部分が照明光を乱反射等してラインセンサカメラ135に向けて反射するため、撮像画像において当該欠陥が生じた部分が明るく写る。このため、2値化の閾値としては、欠陥の部分が白となる値を用意する(実験等により予め設定しておく)。画像検査部144は、2値化後の画像における黒(正反射照明時)又は白(反射暗視野照明及び同方向暗視野照明時)の画素についてラベリング処理を行い、黒又は白の画素の集まりが所定の面積以上となった場合に、欠陥有りと判定する。なお、画像検査の方法として、例えば、欠陥形状を示すテンプレート画像を予め用意したパターンマッチング等を採用してもよい。
【0057】
画像検査部144は、照明態様(正反射照明であるか、反射暗視野照明であるか、同方向暗視野照明であるか)、照明カメラユニット130の経路(第1経路K1~第4経路K4)、波長帯が異なる複数の撮像画像それぞれに基づいて、当該複数の撮像画像それぞれについて個別に前記画像検査を行う。画像検査部144は、前記各撮像画像のうちのいずれか一つについて欠陥有りと判定した場合には、その検査対象S(ラインセンサカメラ135により走査を行った検査対象S)に欠陥があるとして、例えば、表示部140にその旨を表示する。また、画像検査部144は、欠陥有りと判定した(欠陥を検出した)撮像画像を、後のサンプル等にするため、記憶部145に格納するとよい。画像検査部144は、スピーカー等を介して欠陥有りと判定した旨の音声(警告音等)を出力してもよい。
【0058】
(実施形態上の効果)
この実施の形態では、第1ランプ132~第3ランプ134及びラインセンサカメラ135を有する照明カメラユニット130を多関節ロボット110により移動させるので、照明カメラユニット130を移動させる機構がコンパクトとなっている。
【0059】
また、画像検査装置100は、照明カメラユニット130を検査対象Sの同一領域に対して複数態様(第1経路K1から第4経路K4)にてラインセンサカメラによる走査を行うので、欠陥の有無の検査精度(欠陥の検出精度)が高い。第1ランプ132~第3ランプ134からの照明光の検査対象Sへの入射方向によっては、欠陥が目立たず検出できない場合がある。これは、特に、同方向暗視野照明、反射暗視野照明について言える。例えば、検査対象Sの表面に対する照明光の入射角及び入射方向に応じて、欠陥が照明光をラインセンサカメラ135に向けて反射できたり、反射できなかったりするからである。複数態様での照明及び走査により、前記複数態様のいずれかで欠陥を検出できる可能性が高くなり、従って、画像検査装置100では、欠陥の有無の検査精度が高くなっている。
【0060】
また、画像検査装置100は、検査対象Sを複数の照明態様(正反射照明、反射暗視野照明、同方向暗視野照明)で照明し、各照明態様でラインセンサカメラによる走査を行うので、欠陥の有無の検査精度(欠陥の検出精度)が高い。上記欠陥の種類によって、欠陥の検査に適した照明態様が異なる場合がある。例えば、上記ピンによる膜厚異常の欠陥、及び、スジ状の欠陥は、正反射照明により検出しやすい。これら欠陥は膜厚が周囲とは異なることになるので、前記光の干渉が生じやすいためである。また、これら欠陥は、照明光を正反射しないこともあるからである。残留した洗浄液又は異物の欠陥、上記カラーフィルタ層又はブラックマトリクス層の一部に形成異常が発生したことに起因する欠陥などは、反射暗視野照明や同方向暗視野照明により検出しやすい。前者の欠陥では、照明光を乱反射等し、前記形成異常に起因する欠陥は、保護膜における欠陥部分(形成異常の上に形成された部分)と非欠陥部分との屈折率の違い等により、照明光をラインセンサカメラ135の方向に反射することがあるからである。検出対象Sを照明する照明態様を複数用意することで、種々の欠陥の有無を検査でき、これにより、欠陥の有無の検査精度(欠陥の検出精度)が高くなっている。
【0061】
また、照明態様の変更を、第1ランプ132~第3ランプ134の点灯・非点灯及び照明カメラユニット130の向きを変更するだけで行うことができるので、当該変更が容易となっている。また、例えば、検査対象Sを照明するランプが一つの場合、照明態様の変更のたびにランプを動かす必要があるが、この場合、ランプを動かす度にその位置に誤差が生じ得る。上記では、第1ランプ132~第3ランプ134及びラインセンサカメラ135は、ベース131に固定されており、これらの位置関係は不動であるので、このような誤差が生じず、精度のよい画像検査を行うことができる。なお、照明カメラユニット130は、他の画像検査装置に適用してもよい。
【0062】
画像検査装置100は、検査対象Sとしてのカラーフィルタ基板を検査するので、従来目視で行っていたカラーフィルタ基板の検査を自動化できる。
【0063】
また、上記では、ラインセンサカメラ135として、マルチスペクトルカメラを採用し、異なる波長帯毎に画像検査を行うことにより、欠陥の有無の検査精度(欠陥の検出精度)が高くなっている。例えば正反射照明の場合、光の干渉を利用して欠陥を検出するが、波長によっては光の干渉(特に、透明な保護膜の上面で反射した照明光と、保護膜とカラーフィルタ層などとの境界で反射した照明光とが打ち消し合う干渉)が起こらない場合もある。そのため、複数の波長帯それぞれについて画像検査を行うことで、欠陥を検出しやすく、欠陥の有無の検査精度(欠陥の検出精度)が高くなっている。
【0064】
また、ラインセンサカメラ135は、当該ラインセンサカメラ135が出力可能な最も狭い波長帯のライン画像を出力し、画像検査部144は、当該ライン画像に基づく撮像画像を組み合わせ、波長帯が異なる複数の所望の撮像画像を生成する。前記波長帯は、入力部160によりユーザが指定可能なので、欠陥検査に適した波長帯の撮像画像を得ることができる(例えば、ユーザは、実験等により欠陥検査に適した波長帯を把握でき、その波長帯を指定できる)。また、複数の所望の撮像画像は、一部波長帯が重複するものを含むことで、欠陥検査に適した波長帯の撮像画像を得ることができる。
【0065】
また、画像検査部144は、異なる照明態様、異なる経路、及び、異なる波長帯の各撮像画像について個別に画像処理を行い欠陥の有無を検査し、1つでも欠陥有りと判定したときには、検査対象Sに欠陥があると判定するので、欠陥の有無の処理が簡単になっている。また、各撮像画像について、同じ画像処理を施して、当該撮像画像に基づく欠陥の有無の検査を行うので、欠陥の有無の処理が簡単になっている。
【0066】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態について種々の変更を施してもよい。
【0067】
(変形例1)
検査対象Sは、パネル状のもの(四角形状でも、楕円形、円形、多角形状であってもよい)であればよく、例えば、液晶表示装置などを構成する、ガラス製の基材に透明電極を設けた基板であってもよい。また、検査対象Sは、液晶表示装置などを構成する、ガラス製の基材に各種回路を設け、保護膜を形成したものなどであってもよい。なお、前記各種回路に形成異常があったとき(例えばある部分の幅が意図したものより狭いなどのとき)は、カラーフィルタ層又はブラックマトリクス層を設ける場合と同様、当該形成異常による保護膜の欠陥が生じ得る。また、検査対象Sは、シリコンウェハーに所定の膜(例えば透明膜)を形成したものなどであってもよい。
【0068】
(変形例2)
多関節ロボットは、水平多関節ロボットであってもよい。また、多関節ロボットの軸数は、任意であるが、6軸以上であることが好ましい。6軸以上であることにより、照明カメラユニット130を精密に移動させることができる。
【0069】
(変形例3)
照明の態様は、上記に限らず他の照明の態様であってもよい。また、上記各照明態様における、検査対象Sの表面の垂線Hに対するラインセンサカメラ135の光軸L4の傾き(角度)、及び、検査対象Sの表面の垂線Hに対する第1ランプ132~第4ランプ134の光軸L1~L3それぞれの傾きは、適宜変更してもよい。なお、正反射照明のためのラインセンサカメラ135等の配置は、検査対象Sの表面の垂線Hに対する、ラインセンサカメラ135の光軸L4の傾きの角度と第2ランプ133の光軸L2の傾きの角度とが同じで、ラインセンサカメラ135と第2ランプ133とが前記垂線Hを挟んで反対に位置する配置であればよい。反射暗視野照明のためのラインセンサカメラ135等の配置は、検査対象Sの表面の垂線Hに対する、ラインセンサカメラ135の光軸L4の傾きの角度と第3ランプ134の光軸L3の傾きの角度とが異なり、ラインセンサカメラ135と第2カメラ133とが前記垂線Hを挟んで反対に位置する配置であればよい。同方向暗視野照明のためのラインセンサカメラ135等の配置は、検査対象Sの表面の垂線Hに対する、ラインセンサカメラ135の光軸L4の傾きの角度と第1ランプ132の光軸L2の傾きの角度とが異なり、ラインセンサカメラ135と第1ランプ133とが前記垂線Hに対して同方向に位置する配置であればよい。
【0070】
(変形例4)
ベース131は、ラインセンサカメラ135と、第1ランプ132~第4ランプ134と、の位置関係を、照明カメラユニット130を移動させて走査を行う前(画像検査を行う前)に調整する調整機構を備えてもよい。例えば、図14及び15に示すように、カメラ支持部131Cにスリット孔131CAを設け、当該スリット孔131CAを通りラインセンサカメラ135に螺号するネジ131Dによりラインセンサカメラ135をカメラ支持部131Cに取り付ける。これにより、ネジ131Dをゆるめ、ラインセンサカメラ135の向きや位置を調整し、ネジ131Dを締めることにより、ラインセンサカメラ135の向きや位置を調整できる。第1ランプ132~第4ランプ134についても同様に、向きや位置を調整できる機構を設けるとよい。これにより、各光軸L1~L4の向き等を微調整できる。
【0071】
(変形例5)
画像検査部144は、複数のライン画像を組みあわせた撮像画像のみに基づいて画像検査を行ってもよい。つまり、画像検査部144は、前記所望の波長帯の撮像画像を生成しなくてもよい(上記波長帯の異なる複数の撮像画像を合成しなくてもよい)。
【0072】
(変形例6)
上記では、3つの照明態様すべてにおいて、波長帯の異なる複数の撮像画像それぞれについて画像検査を行っているが、反射暗視野照明及び/又は同方向暗視野照明については、所定の波長帯の1つの撮像画像に基づいて画像検査を行ってもよい(マルチスペクトルカメラを使用しなくてもよい)。複数経路にて走査を行うのは、反射暗視野照明及び/又は同方向暗視野照明のみとして、正反射については単一の経路にて走査を行ってもよい。これらのようにすることで、効率の良い欠陥検査が可能となる。
【0073】
反射暗視野照明及び/又は同方向暗視野照明でも、波長帯に応じて、撮像画像に写りやすい欠陥がある場合もあるので、反射暗視野照明及び/又は同方向暗視野照明でも波長帯の異なる複数の撮像画像それぞれについて画像検査を行うとよい。正反射照明においても、ある経路でのみ検出できる欠陥があることが想定されるので(ある方向でのみ暗く写る欠陥など)、正反射照明においても、複数経路での走査を行うとよい。
【0074】
(変形例7)
照明カメラユニット130は、多関節ロボット110以外の駆動装置により駆動させてもよい。複数の照明態様のうち少なくとも一部の照明態様は、ラインセンサカメラ135の向き(検査対象Sの表面の垂線Hに対する光軸L4の角度)を一定とし、点灯させるランプ(異なる向き及び位置に設けられたランプ。上記では第1ランプ132~第3ランプ134)を異ならせたものでもよい。複数の照明態様のうち少なくとも一部の照明態様は、点灯させるランプは共通で、ラインセンサカメラ135ないし照明カメラユニット130の向き(検査対象Sの表面の垂線Hに対する光軸L4の角度)が異なってもよい。
【0075】
(変形例8)
照明カメラユニット130に、検査対象Sとの距離を測定するためのセンサを取り付け、駆動制御部141は、検査対象Sに対する走査時において、当該センサにより、検査対象Sと照明カメラユニット130との距離が一定になるよう、多関節ロボット110を制御してもよい。
【0076】
(変形例9)
照明カメラユニット130側にて、ライン画像を組みあわせて一枚の撮像画像を生成するようにしてもよい。
【0077】
(本明細書で開示する構成)
本明細書で開示する構成を以下に列挙する。なお、下記(A)及び(B)の各構成は、互いに組みあわせてもよい。
【0078】
(A)パネル形状の検査対象(例えば、検査対象S)の欠陥の有無を検査する画像検査装置(例えば、画像検査装置100)であって、
前記検査対象に沿って移動しながら前記検査対象を順次撮像していくことで前記検査対象を走査するラインセンサカメラ(例えば、ラインセンサカメラ135)と、
前記ラインセンサカメラを支持する多関節ロボット(例えば、多関節ロボット110)と、
前記多関節ロボットを駆動し、前記ラインセンサカメラを前記検査対象に沿って移動させる駆動制御部(例えば、駆動制御部141)と、
前記ラインセンサカメラによる走査により得られる前記検査対象の画像(例えば、ライン画像、ライン画像を組みあわせた所定の波長帯の撮像画像、複数の波長帯の画像を組みあわせた撮像画像)に基づいて前記欠陥の有無を検査する画像検査を行う画像検査部(例えば、画像検査部144)と、
を備える画像検査装置。
【0079】
前記多関節ロボットは、六軸以上の多関節ロボットである、
ようにしてもよい。
【0080】
前記多関節ロボットにより支持され、前記多関節ロボットにより前記ラインセンサカメラとともに移動し、前記検査対象のうち前記ラインセンサカメラにより撮像される領域を照明する照明ランプ(例えば、第1ランプ132~第3ランプ134)をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記検査対象の同一領域(例えば、検査対象Sの一部の領域)を、前記ラインセンサカメラにより、前記ラインセンサカメラ及び前記照明ランプの前記検査対象の表面に沿った一定方向(例えば、上下方向又は左右方向)に対する位置関係が異なる複数態様(例えば、第1経路K1~第4経路K4での走査)それぞれにて走査するよう、前記多関節ロボットを駆動し、
前記画像検査部は、前記複数態様それぞれでの各走査により得られる前記検査対象の画像それぞれに対して前記画像検査を行う、
ようにしてもよい。
【0081】
前記照明ランプは、暗視野照明を行う位置及び向きで配置されている(例えば、第2ランプ143)、
ようにしてもよい。
【0082】
前記複数態様は、前記ラインセンサカメラの進行方向が同方向又は逆方向で前記位置関係が互いに逆の第1態様及び第2態様(例えば、第1経路K1及び第2経路K2での走査)と、前記ラインセンサカメラの進行方向が前記第1態様及び前記第2態様と直交する方向であり、前記位置関係が互いに逆の第3態様及び第4態様(例えば、第3経路K3及び第4経路K4での走査)と、を含む、
ようにしてもよい。
【0083】
前記多関節ロボットにより支持され、かつ、前記ラインセンサカメラが固定された固定部材(例えば、ベース131)と、
前記固定部材に固定されており、それぞれが前記検査対象のうち前記ラインセンサカメラにより撮像される領域を照明する複数の照明ランプ(例えば、第1ランプ132~第3ランプ134)と、をさらに備え、
前記複数の照明ランプは、当該複数の照明ランプの各光軸が前記ラインセンサカメラの光軸に対して異なる角度で傾く位置及び向きで前記固定部材に固定されており、
前記駆動制御部は、前記検査対象の同一領域を、前記ラインセンサカメラにより複数回走査するよう(例えば、正反射照明、反射暗視野照明、同方向暗視野照明による走査)、前記多関節ロボットを駆動し、
前記複数回の走査には、前記複数の照明ランプのうち点灯させる照明ランプが異なる2回以上の回数の走査が含まれ(例えば、第1ランプ132~第3ランプ134のいずれかを点灯させる)、
前記画像検査部は、前記複数回の走査それぞれにより得られる各画像それぞれに対して前記画像検査を行う、
ようにしてもよい。
【0084】
前記駆動制御部は、前記複数回の走査のうちの2回以上の回数の走査それぞれにて、前記ラインセンサカメラの光軸の前記検査対象の表面の垂線(例えば、垂線H)に対する角度が異なるよう(例えば、同方向暗視野照明、正反射照明、反射暗視野照明)、前記多関節ロボットを駆動する、
ようにしてもよい。
【0085】
前記複数の照明ランプは、前記検査対象の表面の垂線に対して前記ラインセンサカメラの光軸と同じ方向に傾いた光軸にて暗視野照明(例えば、同方向暗視野照明)を行う位置に設けられた第1照明ランプ(例えば、第1ランプ132など)と、正反射照明(例えば、正反射照明)を行う位置に設けられた第2照明ランプ(例えば、第2ランプ133など)と、前記検査対象の表面の垂線に対して前記ラインセンサカメラの光軸と反対方向に傾いた光軸にて暗視野照明(例えば、反射暗視野照明)を行う位置に設けられた第3照明ランプ(例えば、第3ランプ134など)と、を含む、
ようにしてもよい。
【0086】
前記固定部材は、前記ラインセンサカメラと前記複数の照明ランプとの位置関係を調整する調整機構(例えば、スリット孔131CA及びネジ131Dなど)を備える、
ようにしてもよい。
【0087】
前記検査対象は、パネル状の基材(例えば、ガラス基板)の表面に膜(例えば、透明膜)が形成された基板(例えば、カラーフィルタ基板)である、
ようにしてもよい。
【0088】
(B)検査対象の欠陥の有無を検査する画像検査装置であって、
検査対象を撮像するマルチスペクトルカメラ(例えば、ラインセンサカメラ135)と、
前記マルチスペクトルカメラにより前記検査対象を撮像して得られる、波長帯が異なる複数の画像(例えば、波長帯A~Bの撮像画像、波長帯A~Cの撮像画像、及び、波長帯C~Fの撮像画像・・・など。波長帯A、B、C・・・F・・・の各撮像画像すべて又はこれらのうちの一部の複数枚の撮像画像であってもよい。)それぞれごとに前記欠陥の有無を検査する画像検査を行う画像検査部(例えば、画像検査部144)と、
を備える画像検査装置。
【0089】
前記画像検査部は、前記複数の画像それぞれについて同じ画像処理を行うことにより前記画像検査を行う、
ようにしてもよい。
【0090】
前記複数の画像には、前記波長帯が一部重複する2以上の第1画像(例えば、波長帯A~Bの撮像画像、波長帯A~Cの撮像画像、及び、波長帯C~Fの撮像画像)が含まれる、
ようにしてもよい。
【0091】
前記画像検査部は、前記第1画像の波長帯よりも狭い幅の波長帯の複数の第2画像(例えば、波長帯A、B、C・・・F・・・の各撮像画像それぞれ)を取得し、当該複数の第2画像を組み合わせることで、前記第1画像を生成する(例えば、図13参照)、
ようにしてもよい。
【0092】
前記画像検査部は、前記複数の画像のいずれかにおいて欠陥を検出した場合に前記検査対象に欠陥があると判別する、
ようにしてもよい。
【0093】
前記検査対象は、基板であり、
前記マルチスペクトルカメラは、前記検査対象からの正反射光を受光することで前記検査対象を撮像し、
前記画像検査部は、前記マルチスペクトルカメラが前記正反射光を受光して得られる前記複数の画像それぞれごとに欠陥の有無を検査する、
ようにしてもよい。
【0094】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0095】
100・・・画像検査装置、110・・・多関節ロボット、120・・・移動機構、130・・・照明カメラユニット、131・・・ベース、132・・・第1ランプ、133・・・第2ランプ、134・・・第3ランプ、140・・・制御部、141・・・駆動制御部、142・・・ランプ制御部、143・・・カメラ制御部、144・・・画像検査部、145・・・記憶部、150・・・表示部、160・・・入力部、L1~L4・・・光軸、R11~R13,R21~R23・・・軸
図1
図2
図3
図4
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図6
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図10
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