(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】加工用機械
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20220908BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B08B3/02 A
B23Q11/08 Z
(21)【出願番号】P 2021011905
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】P 2020100624
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】晴▲まき▼ 大樹
(72)【発明者】
【氏名】川森 巧曜
(72)【発明者】
【氏名】松井 大貴
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-317766(JP,A)
【文献】特開2007-190623(JP,A)
【文献】特開2014-213431(JP,A)
【文献】特開平06-148033(JP,A)
【文献】特開2007-075994(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047766(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
B23Q 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーであって、
側板と、
前記側板と接続し、前記側板の下方に配置された張り出し部と、
前記側板に配置された矩形の正面開口と、
前記張り出し部の上面に配置され、前記正面開口と接続する半円形状の平面開口と、
を有するカバーと、
第1扉体であって、
合わせ面の第1側に配置され、前記平面開口と略同一の曲率の円筒面を有する第1ドラムと、
前記第1ドラムに接続する第1突き当て面と、
前記第1ドラム及び前記第1突き当て面と接続する第1天板と、を有し、
前記合わせ面の第2側にオフセットした第1軸を支点として回転し、前記カバーに収容される第1扉体と、
第2扉体であって、
前記合わせ面の前記第2側に配置され、前記平面開口と略同一の曲率の円筒面を有する第2ドラムと、
前記第2ドラムと接続し、前記合わせ面において前記第1突き当て面と突き当たる第2突き当て面と、
前記第2ドラム及び前記第2突き当て面と接続する第2天板と、を有し、
前記合わせ面の前記第1側にオフセットした第2軸を支点として回転し、前記カバー内に収容される
第2扉体と、
を有し、
前記第1扉体及び前記第2扉体を閉めたときに、
前記第1ドラムの中心軸は、前記第1軸と前記合わせ面の間であって、
前記第1軸よりも正面よりに位置し、
前記第2ドラムの中心軸は、前記第2軸と前記合わせ面の間であって、
前記第2軸よりも正面よりに位置する、
加工用機械。
【請求項2】
前記第1軸と前記合わせ面との間の第1オフセット距離は、前記第2軸と前記合わせ面との間の第2オフセット距離と等しい、
請求項1に記載の加工用機械。
【請求項3】
前記第1扉体は、前記第1突き当て面の先端部に配置され、前記合わせ面から離れる方向に前記第1突き当て面から垂直に延びる第1内折り返しを有し、
前記第2扉体は、前記第2突き当て面の先端部に配置され、前記合わせ面から離れる方向に前記第2突き当て面から垂直に延びる第2内折り返しを有する、
請求項1又は2に記載の加工用機械。
【請求項4】
前記第1突き当て面及び前記第2突き当て面の一方に配置され、前記第1扉体と前記第2扉体が閉じたときに、前記第1突き当て面及び前記第2突き当て面の他方の内側に入り込む第3内折り返しを更に有する、
請求項1~3のいずれかに記載の加工用機械。
【請求項5】
前記第1軸の第1端部に配置され、前記第1扉体に接続し、前記第1軸を中心に回動可能に支持された第1アームと、
前記第1軸の第2端部に配置され、前記第1扉体に接続し、前記第1軸を中心に回動可能に支持された第2アームと、
前記第2軸の第1端部に配置され、前記第2扉体に接続し、前記第2軸を中心に回動可能に支持された第3アームと、
前記第2軸の第2端部に配置され、前記第2扉体に接続し、前記第2軸を中心に回動可能に支持された第4アームと、を更に有する、
請求項1~4のいずれかに記載の加工用機械。
【請求項6】
前記第1軸の前記第1端部に配置され、前記第1アームに接続するモータと、
前記第1軸を中心に前記第1アームに接続された原動歯車と、
前記第2軸を中心に前記第3アームに配置され、前記原動歯車と同一の回転速度で反対方向に回転する従動歯車と、を更に有する、
請求項5に記載の加工用機械。
【請求項7】
前記原動歯車と前記従動歯車の間に設けられた偶数個のアイドラ歯車を更に有する、
請求項6に記載の加工用機械。
【請求項8】
前記第1突き当て面及び前記第2突き当て面のいずれか一方に配置された扉パッキンを更に有する、
請求項1~7のいずれかに記載の加工用機械。
【請求項9】
前記第1ドラムは、前記第1突き当て面と反対側の端面に、円筒面の外側に配置された第1外折返し部を有し、
前記第2ドラムは、前記第2突き当て面と反対側の端面に、円筒面の外側に配置された第2外折返し部を有する、
請求項1~8のいずれかに記載の加工用機械。
【請求項10】
前記第1扉体は、前記第1突き当て面と反対側の端面に、前記第1天板と接続し、前記第1天板の上方に延びる第1上折り返し部を有し、
前記第2扉体は、前記第2突き当て面と反対側の端面に、前記第2天板と接続し、前記第2天板の上方に延びる第2上折り返し部を有する、
請求項1~9のいずれかに記載の加工用機械。
【請求項11】
前記正面開口の下方に、前記第1軸を中心とする円弧に沿って配置された第1レールと、
前記正面開口の下方に、前記第2軸を中心とする円弧に沿って配置された第2レールと、
前記第1レールを転がる第1車輪を有し、前記第1レールに沿って走行する第1台座と、
前記第2レールを転がる第2車輪を有し、前記第2レールに沿って走行する第2台座と、
前記第1軸の上端部に配置され、前記第1扉体に接続し、前記第1軸を中心に回動可能に支持された第2アームと、
前記第2軸の上端部に配置され、前記第2扉体に接続し、前記第2軸を中心に回動可能に支持された第4アームと、を更に有し、
前記第1扉体は、前記第1台座の上方に設置され、前記第1台座と一体となって移動し、
前記第2扉体は、前記第2台座の上方に設置され、前記第2台座と一体となって移動する、
請求項1~4のいずれかに記載の加工用機械。
【請求項12】
前記第1軸の前記上端部に配置され、前記第2アームに接続されるモータと、
前記第1軸を中心に前記第2アームに接続された原動歯車と、
前記第2軸を中心に前記第4アームに配置され、前記原動歯車と同一の回転速度で反対方向に回転する従動歯車と、を更に有する、
請求項11に記載の加工用機械。
【請求項13】
前記原動歯車と前記従動歯車の間に設けられた偶数個のアイドラ歯車を更に有する、
請求項12に記載の加工用機械。
【請求項14】
前記正面開口を囲むように、前記正面開口に沿って配置された開口パッキンを更に有し、
前記第1扉体は、前記第1突き当て面と反対側の端面に、前記第1ドラム及び前記第1天板の外側に配置された第1パッキン受けを有し、
前記第2扉体は、前記第2突き当て面と反対側の端面に、前記第2ドラム及び前記第2天板の外側に配置された第2パッキン受けを有し、
前記第1扉体及び前記第2扉体が閉まったときに、前記第1パッキン受けは前記開口パッキンと当接し、前記第2パッキン受けは前記開口パッキンと当接する、
請求項11~13のいずれかに記載の加工用機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
加工用機械の搬入口には、引き込み扉、グライドスライドドアが利用されている(例えば、特許第4725319号公報、特開2009-214214号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、正面幅に対して開口部の大きい加工用機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の観点は、
カバーであって、
側板と、
前記側板と接続し、前記側板の下方に配置された張出し部と、
前記側板に配置された矩形の正面開口と、
前記張り出し部の上面に配置され、前記正面開口と接続する半円形状の平面開口と、
を有するカバーと、
第1扉体であって、
合わせ面の第1側に配置された第1ドラムと、
前記第1ドラムに接続する第1突き当て面と、
前記第1ドラム及び前記第1突き当て面と接続する第1天板と、を有し、
前記合わせ面の第2側にオフセットした第1軸を支点として回転し、前記カバーに収容される第1扉体と、
第2扉体であって、
前記合わせ面の前記第2側に配置された第2ドラムと、
前記第2ドラムと接続し、前記合わせ面において前記第1突き当て面と突き当たる第2突き当て面と、
前記第2ドラム及び前記第2突き当て面と接続する第2天板と、を有し、
前記合わせ面の前記第1側にオフセットした第2軸を支点として回転し、前記カバー内に収容される第2の扉体と、
を有する加工用機械である。
【0005】
加工用機械は、対象物を機械加工する切削機械、バリ取り機、噴流によって対象物をバリ取り又は洗浄するバリ取り機、洗浄機やエアブロ機を含む。切削機械は、例えば、立型旋盤、立型マシニングセンター、横型マシニングセンターである。洗浄機は、例えば、テーブル回転型洗浄機、かご回転型洗浄機、狙い撃ち洗浄機である。
【0006】
開口は、搬入口や搬出口である。第1扉体および第2扉体が閉じられたときに、平面開口は、扉装置とわずかの隙間を空けるように設置される。このとき、正面開口は、第1扉体及び第2扉体によって正面開口の内側から閉じられる。
【0007】
平面開口の上方とカバーの内部で対象物が加工され、又は洗浄される。平面開口の上方とカバーの内方が、第1扉体及び第2扉体の旋回域となる。扉を開いたときに、第1扉体及び第2扉体の大部分又は全部がカバー内部に収容される。
好ましくは、扉を開放したときに、対象物が設置されるテーブルは、平面図において平面開口に露出される。
【0008】
第1扉体及び第2扉体は、張り出し部の上面よりも下方に延びる。例えば、第1ドラム及び第2ドラムは、1/4円筒面体である。
第1突き当て面及び第2突き当て面は、それぞれ、第1ドラム及び第2ドラムの半径方向の端面に配置される。好ましくは、第1突き当て面は、第1天板及び第1ドラムに沿ってL字状に延びる。好ましくは、第1内折り返し、及び第3打ち返し部も、第1天板及び第1ドラムに沿ってL字状に延びる。好ましくは、第2突き当て面は、第2天板及び第2ドラムに沿ってL字状に延びる。好ましくは、第2内折り返しも、第2天板及び第2ドラムに沿ってL字状に延びる。
好ましくは、第1軸、第2軸、第1アーム、第2アーム、第3アーム及び第4アームは、側板に向かって見たときに、側板の背面に配置される。
扉パッキンが配置されたときは、第1突き当て面は、扉パッキンを挟んで第2突き当て面に突き当てられる。扉パッキンが配置されたときは、扉パッキンが第1突き当て面と第2突き当て面との間を封止する。
合わせ面は、側板と垂直である。例えば、合わせ面は、正面開口の中央に設置される。
【0009】
好ましくは、正面開口に向かって側板の背面に、正面開口の他方の側方に沿って、第1隙間調整部材が配置される。第1隙間調整部材は、第1ドラムや外折り返しの形状に沿って設けられた接触面を有する。第1扉体が閉じられたときに、第1隙間調整部材は、第1ドラムや外折り返しと密着する。第2隙間調整部材は、一方の側方に沿って設置される。第2隙間調整部材は、第2扉体の形状に沿って構成される。第2隙間調整部材の構造は、第1隙間調整部材と実質的に同一である。
【0010】
望ましくは、第1扉体及び第2扉体が閉じたときに、平面開口は、第1扉体及び第2扉体との隙間が一定になるように形成される。このとき、この隙間は、第1扉体及び第2扉体が張り出し部と衝突しない程度に小さく設けられる。
【0011】
原動歯車、偶数のアイドラ歯車、従動歯車の順に噛み合う。原動歯車と従動歯車の歯数は同一である。
【0012】
第1パッキン受けは、平面上に広がる。第2パッキン受けも、平面上に広がる。
第1扉体及び第2扉体が閉まったときに、第1パッキン受けと第2パッキン受けは一平面に配置されて良い。このとき、第1パッキン受けと第2パッキン受けは、開口パッキンを押しつぶしても良い。
【0013】
第1扉体と第1台座は、一体に構成されても良いし、別体でも良い。第1扉体が第1台座と別体であり、第1扉体が第1台座に締結されている時は、好ましくは、第1扉体と第1台座との位置が調整可能である。
第2扉体と第2台座は一体に構成されても良いし、別体でも良い。第2扉体が第2台座と別体であり、第2扉体が第2台座に締結されている時は、好ましくは、第2扉体と第2台座との位置が調整可能である。
【0014】
好ましくは、一対の第1車輪が、第1レールの上下に配置される。好ましくは、複数の第1車輪が円周方向に配置される。上下一対の第1車輪が、円周方向に複数配置されて良い。
好ましくは、一対の第2車輪が、第2レールの上下に配置される。好ましくは、複数の第2車輪が、円周方向に配置される。上下一対の第2車輪が、円周方向に複数配置されて良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、正面幅に対して開口部の大きい加工用機械を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】第1実施形態の開いた状態の扉装置を示す斜視図
【
図3】第1実施形態の閉じた状態の扉装置を示す斜視図
【
図8】第2実施形態の開いた状態の扉装置を示す斜視図
【
図9】第2実施形態の閉じた状態の扉装置を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の洗浄機(加工用機械)10は、カバー11と、扉装置23と、テーブル19と、ノズルパイプ15と、ノズル17とを有する。カバー11は、側板12と、張り出し部14と、開口13とを有する。側板12は、洗浄機10の正面であって、張り出し部14の上方部分である。張り出し部14は、側板12の下方に配置され、正面方向に張り出す。便宜上、張り出し部14の上面をテーブル面18と呼ぶ。
【0018】
開口13は、側板12とテーブル面18にわたって配置される。開口13は、正面開口13aと平面開口13bを有する。正面開口13aは、側板12のほぼ全面を占め、側板12の下端に達する。正面開口13aは、長方形である。平面開口13bは、ほぼ半円形である。平面開口13bは、テーブル面18に配置される。平面開口13bの横幅は、正面開口13aの横幅と同一であり、正面から見て正面開口13aと同じ位置に配置される。
【0019】
テーブル19は、平面開口13bの中心付近に配置される。対象物21は、テーブル19に設置される。テーブル19は、平面開口13bの中心付近に位置するテーブル軸20を中心に回転する。
ノズル17は、ノズルパイプ15に設置される。ノズルパイプ15はL字状で、ノズル軸16を中心に揺動する。ノズル17は、テーブル19に同期して揺動する。ノズル17は、洗浄流体を対象物21に向けて噴出する。
【0020】
図2は、扉装置23を正面斜め上方から見た斜視図である。
図2に示すように、扉装置23は、第1扉体29と、第1アーム31と、第2アーム26と、第1軸体32と、第2軸体27と、第2扉体34と、扉パッキン30と、隙間調整部材22と、第3アーム38と、第4アーム35と、歯車ケース37と、モータ49を有する。
【0021】
第1扉体29は、第1ドラム29aと、第1天板29bと、第1突き当て面29cと、第1外折り返し部29fと、底板29dと、上折り返し29gと、を有する。
第1ドラム29aは、鉛直な円筒面を、平面視でおよそ1/4にカットした円筒面に沿って曲げられた板である。第1ドラム29aは、テーブル面18の下方まで延びる。第1天板29bは、扇形状の板であり、第1ドラム29aの上方を閉じる。第1天板29bの形状は、扉装置23が閉じた状態において、第1ドラム29a、合わせ面28、側板12の背面より後方の直線29nで定められる(
図4参照)。底板29dは、第1ドラム29aの底板であり、第1ドラム29aに沿って円弧状である。第1ドラム29aと、第1天板29bと、底板29dは接合されて、第1扉体29の主要部を形成する。
【0022】
第1突き当て面29cは、ドラムの正面側の側面開口部に沿って設けられた平面である。
第1外折り返し部29fは、第1ドラム29aの背面側の端部に配置された、第1ドラム29aの折り返しである。第1外折り返し部29fは、第1ドラム29aの接線方向から20度~90度外方へ向いて延びる。好ましくは、第1天板29b及び底板29dは、第1外折り返し部29fと接続する。
図4に示すように、第1扉体29が閉じられたときに、第1外折り返し部29fは、側板12の裏側に第1ドラム29aと正面開口13aとの隙間を覆うように位置する。
【0023】
上折り返し29gは、第1天板29bの第1突き当て面の反対側の端部で、第1天板29bから上方に向かって延びる。上折り返し29gは、第1天板29bの半径方向全幅にわたって設置される。上折り返し29gは、扉装置23が閉じたときに、正面開口13aの洗浄室側に側板12とわずかな隙間を開けて面する。
【0024】
図4及び
図5に示すように、第1扉体29は、内折り返し29hと、第1内折り返し29jと、第3内折り返し29kとを有する。第1段目の内折り返し29hは、第1ドラム29aからほぼ垂直に立ち上がる。扉装置23が開いたときの、内折り返し29hの前端側の平面が第1突き当て面29cである。第2段目の第1内折り返し29jは、内折り返し29hの先端部から垂直方向に、第1ドラム29aの中央寄りに折り返される。第1内折り返し29jは、
内折り返し29hの先端を起点として、第1突き当て面29cから遠ざかるように
延びる。
更に、第3段目の第3内折り返し29kが、
第1内折り返し29jに沿って配置される。第3内折り返し29kは、合わせ面28を超えて突出する。第1内折り返し29j、第3内折り返し29kは、合わせ面28と垂直に延びる。扉装置23が閉じたときに、第3内折り返し29kは、第2扉体の内折り返し34h、34j(後述)の半径方向内側に入り込む。
内折り返し29h、29j、29kは、第1扉体の前方端部の上方及び側方の内側に沿って連続して配置される。
【0025】
例えば、扉パッキン30は、断面が半円状である。扉パッキン30は、第1突き当て面29cの全長にわたって配置される。扉パッキン30が配置されるときは、第1突き当て面29cは、扉パッキン30の潰れ代55だけ合わせ面28から離れて配置される。
【0026】
図4に示すように、隙間調整部材22は、接触面22aを有する。隙間調整部材22は、正面開口13aの側面に沿って、側板12の背面に設置される。接触面22aは、第1扉体29が閉じたときに、第1ドラム29aや第1外折り返し部29fの形状に沿った形状を有する。全体として隙間調整部材22の断面形状は、台形状である。扉装置23が閉じたときに、接触面22aは、第1ドラム29aや第1外折り返し部29fと接触して、隙間調整部材22は、第1扉体29と正面開口13aとの隙間を埋める。
隙間調整部材22は、第2扉体34側にも配置される。
【0027】
図2~
図5に示すように、第2扉体34は、第3段目の第3内折り返し29kを有さず、扉パッキン30が配置されない他、第1扉体29と実質的に同一の構造である。第2扉体34は、合わせ面28に対して、第1扉体29とほぼ対称の構造を有する。第2扉体34は、第2ドラム34aと、第2天板34bと、第2底板34dと、第2外折り返し34fと、第2突き当て面34cと、内折り返し34hと、第2内折り返し34jと、上折り返し34gとを有する。
【0028】
内折り返し34hは、第2ドラム34aの前端縁から、半径方向内側に延びる。内折り返し34hの外側(第2扉体34が開いたときの前端)は、第2突き当て面34cとなる。第2扉体34が閉じたときに、第2突き当て面34cは、合わせ面28と一致する。内折り返し34hの半径方向内側の端部から、第2内折り返し34jが延びる。第2扉体34及び第1扉体29が閉じたときに、第2内折り返し34jは、第3内折り返し29kとわずかな隙間を開けて面する。
【0029】
図2に示すように、第1軸体32は、歯車ケース37に軸受46(
図7参照)を介して支持されて、第2扉体34の下方に配置される。第1軸体32は、第1軸25を中心に回動する。第1アーム31は、第1軸体32と底板29dの後端部とを接続する。
第2軸体27は、第2扉体34の上方に配置される。第2軸体27は、軸受(不図示)によって、カバー11に支持される。第2軸体27は、第1軸25を中心に回動する。第2アーム26は、第2軸体27と第1天板29bの後端部とを接続する。
【0030】
図4に示すように、第1扉体29が閉じられているときに、第1アーム31は、第1扉体29の後方に位置する。
第1軸25は、合わせ面28から距離51だけオフセットしている。第1ドラム29aの中心軸29mは、合わせ面28から距離52だけオフセットしている。距離52は、距離51より小さい。また、中心軸29mは、第1軸25から、前後方向正面よりに距離53だけオフセットしている。
中心軸29mが第1軸25よりも合わせ面28より、かつ、正面よりにオフセットしているため、第1扉体29が回転して閉じるにしたがって、第1ドラム29aと正面開口13aとの隙間及び第1ドラム29aと平面開口13bとの隙間が小さくなる。そして、第1扉体29が閉じ切ったときに、第1ドラム29aと正面開口13aとの隙間が最小になる。第2扉体34は、第1扉体29と実質的に同一である。
【0031】
第3軸体36、第4軸体44、第3アーム38及び第4アーム35の構造は、それぞれ第1軸体32、第2軸体27、第1アーム31及び第2アーム26と実質的に同一である。第3軸体36は、軸受40を介して歯車ケース37に支持される。
【0032】
図6及び
図7に示すように、洗浄機10は、カップリング47と、原動歯車45と、2つのアイドラ歯車41、43と、従動歯車39とを有する。
歯車ケース37は、中空の直方体状である。歯車ケース37は、カップリング47と、原動歯車45と、2つのアイドラ歯車41、43と、従動歯車39を収納する。
【0033】
モータ49は、歯車ケース37に配置される。モータ49は、例えば、サーボモータ、ステッピングモータである。モータ49は、ブレーキ付モータでも良い。
モータ49の出力軸は、カップリング47により第1軸体32と結合される。
【0034】
原動歯車45は、第1軸体32に配置される。アイドラ歯車41、43は、軸受42によって、歯車ケース37に支持される。従動歯車39は、第3軸体36に配置される。従動歯車39の歯数は、原動歯車45の歯数と同じである。原動歯車45、アイドラ歯車43、アイドラ歯車41、従動歯車39は、順に噛み合う。従動歯車39は、原動歯車45と同一の回転数、回転量で、原動歯車45と反対方向に回転する。
【0035】
カバー11の内部で洗浄流体が跳ねたときに、洗浄流体は、内折り返し29j、29h、29kに衝突して、第1扉体29と第2扉体34との合わせ部に直接衝突することを抑制する。第3内折り返し29kにより、洗浄流体が扉パッキン30に衝突することを抑制される。第1内折り返し29jにより、洗浄流体が内折り返し29hに衝突して跳ね返ったときに、第1ドラム29aに沿って洗浄流体が飛ぶ。第3内折り返し29kと第2内折り返し34jが近接して配置されているため、洗浄流体が第1突き当て面29c、第2突き当て面34cや扉パッキン30に衝突することを抑制する。
【0036】
カバー11の内部で洗浄流体が跳ねたときに、洗浄流体は、上折り返し29gに衝突してカバー11の内部に跳ね返る。上折り返し29gが側板12と近接して配置されているため、洗浄流体が第1天板29bと開口13との隙間から、カバー11の外部に飛び出すことを抑制される。
カバー11の内部で洗浄流体が跳ねたときに、洗浄流体は、第1外折り返し部29fに衝突してカバー11の内部に跳ね返る。第1外折り返し部29fが側板12と近接して配置されているため、洗浄流体がドラム29a、34aと開口13との隙間から、カバー11の外部に飛び出すことを抑制される。
【0037】
隙間調整部材22が設置されているため、扉装置23が閉じたときに、扉体29、34と正面開口13aとの隙間が埋められる。隙間調整部材22は、扉体29、34と正面開口13aとの間から洗浄流体が飛び出すことを抑制する。
【0038】
扉体29、34は、底板29d、34dを有するため、洗浄液は、底板29d、34dに衝突してドラム29a、34aの外側上方には直接飛散しない。さらに、ドラム29a、34aがテーブル面18よりも下方に延びて、かつ、平面開口13bとドラム29a、34aとの隙間が小さい。これにより、洗浄液が扉体29、34とテーブル面18との隙間から飛び出ることが抑制される。
【0039】
扉装置23を開放したときに、第1扉体29及び第2扉体34の大部分又は全部がカバー11の内部に収容される。扉装置23を閉じたときに、カバー11、第1扉体29、第2扉体34、張り出し部14が一体となって閉空間を形成する。洗浄機10は、扉装置23を閉めて形成された閉空間を洗浄室とする。そして、扉装置23を開放したときに、洗浄室の正面側部分が、側板12の正面及び張り出し部14の上方において露出する。
【0040】
扉装置23を開放したときに、テーブル19及び対象物21の上方及び前方が大きく露出する。そのため、洗浄機10は、天吊り走行ロボット、床走行ロボットやガントリーローダと容易に組み合わせられる。
扉装置23は、両開き式の扉であり、2枚の扉体29、34が同じ量だけ開くため、開閉時間が短い。
扉装置23は、開口13を十分に閉じるため、対象部品の加工や洗浄で発生した騒音を抑制できる。
【0041】
(第2実施形態)
図8及び
図9に示すように、本実施形態の扉装置123は、第1扉体129と、第2扉体134と、第1レール71と、第2レール75と、第1台座59と、第2台座73と、を有する。扉装置123は、開口パッキン122を有しても良い。本実施形態の扉装置123は、第1実施形態の第1軸体32と、第
3軸体
36と、第1アーム31と、第
3アーム
38と、隙間調整部材22と、を有さない。扉装置123は、歯車ケース37と、モータ49とを有する。歯車ケース37とモータ49は、扉装置123の上部に配置される。
【0042】
第1扉体129は、パッキン受け29nを有して良い。パッキン受け29nは、L字状の平板であり、第1ドラム29aおよび第1天板29bの外方に広がる。
第2扉体134は、パッキン受け34nを有する。パッキン受け34nは、パッキン受け29nと実質的に同一の構成である。
第1扉体129及び第2扉体134が閉じたときに、パッキン受け29nとパッキン受け34nは、同一の平面を構成する。
【0043】
開口パッキン122は、正面開口13aの側方と上方を囲むように、正面開口13aの外側に沿って、逆U字状に配置される。開口パッキン122は、例えば後方に向かって凸の、断面半円形である。開口パッキン122は、例えば、ゴムやゴムスポンジで構成される。開口パッキン122は、中空構造でも良い。第1扉体129と第2扉体134とが閉じたときに、パッキン受け29nとパッキン受け34nとが、開口パッキン122と接触する。パッキン受け29nとパッキン受け34nとが、開口パッキン122を押しつぶしても良い。そして、開口パッキン122は、第1扉体129と正面開口13aとの間、及び、第2扉体134と正面開口13aとの間とを封止する。
【0044】
第1レール71は、第1レール71aと、第1レールベース71bと、を有する。第1レール71は、正面開口13aの下方に配置される。レール71aは、縦に長い長方形断面を持ち、第1軸25を中心とする円筒面に沿って延びる。第1レール71aの中心角は、例えば130度~170度である。第1レールベース71bは、水平に延びた平板であり、第1レール71aと張り出し部14とを接続する。第1レールベース71bは、第1レール71aを支持する。
第2レール75は、第1レール71と合わせ面28に対して対称である。第2レール75は、第2レール75aを有する。第2レール75aは、第2軸33を中心とする円筒面上に延びる。
【0045】
第1台座59は、フレーム61と、車輪ベース63と、軸受65と、車輪69と、を有する。第1台座59は、第1扉体129と分離し、第1扉体129に締結されても良い。第1台座59は、第1扉体129の下方に設置される。
フレーム61は、例えば、1/4円筒である。フレーム61は、多角形でも良い。フレーム61は、第1扉体129と一体でも良いし、別体でもよい。
【0046】
車輪ベース63は、フランジ63bと、シャフト63aと、を有する。フランジ63bは、フレーム61に締結される。シャフト63aは、フランジ63bと一体に形成される。シャフト63aは、段付き軸である。軸受65は、シャフト63aに設置される。
図10及び
図11に示すように、車輪69は、円錐台を向い合せに配置した形状である。言い換えると、車輪69は、その円周に沿って、断面V型の溝を有する。車輪69は、軸受65によってシャフト63aに支持される。
【0047】
第1レール71aを挟むように、第1レール71の上下に1対ずつ車輪ベース63と、軸受65と、車輪69とが配置される。上下の車輪69のV溝がそれぞれ、第1レール71aの上下端と接触し、第1レール71a上を転がる。例えば、2対の車輪69が円周方向に配置される。
第2台座73は、第1台座59と合わせ面28に対して対称である。
【0048】
本実施形態によれば、第1台座59が、第1扉体129と一体になって、第1レール71上を安定して走行する。第2台座73は、第2扉体134と一体となって、第2レール75上を走行する。そのため、第1扉体129と第2扉体134は、安定した姿勢を保ちやすい。
第1扉体129と第2扉体134とが閉まったときに、パッキン受け29nとパッキン受け34nは一平面を形成し、開口パッキン122を押しつぶす。パッキン122は、弾性変形し、第1扉体129と第2扉体134と正面開口13aとの隙間を封止する。そのため、第1扉体129と正面開口13aとの隙間、及び、第2扉体134と正面開口13aとの隙間から、洗浄液や騒音が外部へ漏出しにくい。
【0049】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10 洗浄機(加工用機械)
11 カバー
12 側板
13 開口
25 第1軸
28 合わせ面
29 第1扉体
33 第2軸
34 第2扉体