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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電解水システムの気液分離装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/04 20210101AFI20220908BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
C25B1/04
B01D19/00 A
B01D19/00 C
B01D19/00 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021131479
(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公開番号】P2022094902
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】109216682
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】▲はお▼ 家侃
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 冠廷
(72)【発明者】
【氏名】呂 忠諺
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-155692(JP,A)
【文献】実開平04-092559(JP,U)
【文献】特開2003-113487(JP,A)
【文献】実公昭55-020757(JP,Y2)
【文献】特開2009-178710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00、50/00
C01B 3/02
C25B 1/02-044
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水噴霧機と、
上方に前記給水噴霧機が設置されている気液分離チャンバーと、を備え、
ここでは、前記給水噴霧機は、
電解水システムによる電解反応を経た後の気液混合液を受け取ると共に加圧するために用いられている給水加圧チューブと、
前記給水加圧チューブに連結される噴霧ノズルヘッドであって、前記噴霧ノズルヘッドは前記給水加圧チューブにより加圧された後の気液混合液を霧状気液混合物に変換するための噴霧ノズルヘッドと、を含み、
前記噴霧ノズルヘッドは霧状気液混合物を前記気液分離チャンバー中に噴入し、前記気液分離チャンバーは、
前記気液分離チャンバーの内壁に設置されている螺旋状流路であって、霧状気液混合液が前記螺旋状流路に噴入されると、前記螺旋状流路により前記気液分離チャンバー内に注入されている霧状気液混合物が下に向けて前記気液分離チャンバーの底部に流される時間が延長される螺旋状流路と、
前記気液分離チャンバーの外壁に設置され、前記気液分離チャンバー内の霧状気液混合物を振動させるための超音波振動機構と、
前記気液分離チャンバーの底部に設置され、前記気液分離チャンバーの下層に蓄積している霧状気液混合物を高速に攪拌するための攪拌機と、
前記気液分離チャンバー内に位置し、霧状気液混合物中の気液分離後の液体を貯蔵すると共に排出するための液体貯蔵部と、
前記液体貯蔵部の頂部に位置し、霧状気液混合物中の未破裂の気泡を孔隙の差異により気液分離を行うためのフィルター機構と、を具備することを特徴とする電解水システムの気液分離装置。
【請求項2】
前記気液分離装置は、
前記液体貯蔵部に連結されている排水管であって、気液分離後の液体を前記排水管を経て前記気液分離チャンバーから排出するための排水管と、
前記気液分離チャンバーに連結されている排気管であって、気液分離されたガスを前記排気管を経て前記気液分離チャンバーから排出するための排気管と、
前記排気管に連結され、前記排気管を負圧に調整するための差圧弁と、
前記差圧弁に連結され、気液分離されたガスを収集するためのガス収集管と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項3】
前記気液分離装置は、
前記排水管及び前記差圧弁に連通し、前記気液分離チャンバーから排出された液体中の余剰の少量のガスを収集するための外管をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項4】
前記噴霧ノズルヘッドの噴射口の直径は0.5~5mmの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項5】
前記超音波振動機構の振動周波数は20kHz~50kHzの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項6】
前記超音波振動機構は板方式及び環状板方式のうちの少なくとも何れか1つの方式であり、前記気液分離チャンバーの外側に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項7】
前記攪拌機の攪拌方式はファンブレード、パドルボード、及びマグネチックスターラーによる攪拌のうちの何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項8】
前記フィルター機構の層数は1層以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項9】
前記フィルター機構は、メッシュサイズが16~400メッシュの間の範囲であり、または目開き寸法が0.05~1mmの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【請求項10】
前記螺旋状流路の表面は環形または溝形の突起物を呈し、且つ前記螺旋状流路のピッチは0.5~2.5mmの間の範囲であり、前記螺旋状流路の高さは0.5~1.5mmの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電解水システムの気液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分離装置に関し、更に詳しくは、電解水システムに適用される気液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水素エネルギー社会という言葉は第一次オイルショックの時代に誕生し、未来の水素が石油に取って代わってグローバル経済を支える主要なエネルギーとなった後、全水素エネルギーの生産、輸送、貯蔵、及び消費市場の運用体系を主に表現し、従来の石油経済体系に取って代わり、環境保護を達成することを目標としている。
【0003】
水素は下記特徴を有している。水素エネルギーは化石燃料にとって代わるグリーンエネルギーであり、内燃機関及びタービンの燃焼を主とする方式から化学エネルギーを運動エネルギー或いは電気エネルギーに変換する方式に転換し、エンジンの温室効果ガスの排出とこれによる汚染をなくす。
【0004】
水素の使用過程では温室効果ガス及び他の汚染物質が発生せず、従来の化石燃料に取って代わるクリーン燃料であり、無公害の発電用または輸送用燃料となる。水素は宇宙空間に普遍的に存在する化学元素であり、地球上の大部分の水素も水や有機化合物等のような分子形態で存在している。電解方式により水を水素と酸素に分離し、電解により水素を取得する。水素の単位当たりのエネルギー密度は極めて高く、応用範囲も極めて広く、燃料電池の燃料源や、工業や交通輸送用の燃料とすることもでき、交通分野や工業分野の動力設備の燃料として直接運用することも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在主流となっている電解水は固体高分子電解質膜電解(PEMEL, Polymer electrolyte membrane electrolysis)、アルカリ電解(AEL, Alkaline electrolysis)、及び固体酸化物形電解セル(SOEC, solid oxide electrolysis cell)の3種類に分けられる。エネルギー効率の点では、高分子電解質膜電解水は貴金属触媒を使用しているため電極の製造コストは高いが、高いプロトン伝導性を有し、低温及び高電流密度下で動作する。但し、高価なパーフルオロスルホン酸プロトン交換膜及び白金系触媒が必要であり、固体高分子電解質膜(PEM)電解槽の運用コストが高くなりすぎる。固体酸化物形電解セルは動作温度が高く、材料の選択が限られ、且つ設備の建設に相応のコストがかかる。
【0006】
現在、商業的に最も成熟した技術はアルカリ電解水であり、質量分率が20~30wt%の濃NaOHまたはKOH溶液を電解質として使用している。しかしながら、アルカリ性溶液は空気中のCO2と反応してK2CO3を生成しやすく、高いオーム抵抗損が発生し、通常は低い電流密度(200~400mA cm-2)で運用しなければならない。また、アルカリ性電解槽は過渡負荷を受容しにくく、再生可能電力と組み合わせる際に問題が発生した。アルカリ性陰イオン交換膜(AEM)電解技術は固体電解質を集合させるという単純で操作性が高いものであり、且つ低コストなアルカリ性互換電極及び炭化水素膜を使用し、広く注目を集めている。アルカリ性溶液下でAEM電解槽は高効率な水素生成性能を実現するが、さらなる研究開発が必要である。現在までのところ、多くの作業ではPEM電解槽と同じ高価な触媒を使用し、且つ非常に高濃度(0.1~1.0M)なNaOH / KOH電解質を継続的に循環使用し、高い動作電圧を避けている。
【0007】
高濃度のアルカリ性電解液を使用した状態では、濃度の増加により高まる導電率に追随して電解効率が上昇し、それに伴って電極が大量のガスを発生させ、泡を含んだ高濃度電解液の気液分離効果が低くなるという問題があった。このため、前記現象を考慮した解決方法を設計する必要があった。現在市場に存在する全ての技術は空調システムが純水及び空気に対し流動場をせん断する設計の分離方式のみであり、流速の差異をせん断エネルギーとし、電解水システムの電極片が発生するマイクロバブルを分離するシステムとしては不十分であり、全てのアルカリ電解水システムには適用できず、実務的に応用できなかった。
【0008】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、その目的は、電解水システムの気液分離装置を提供することにある。換言すれば、物理的に混合することで前述の発明の装置等の不足を補い、電解水またはアルカリ電解水のガス発生特性に対し、噴射、経路の延長、超音波、攪乱、及びサイズの篩い分けにより気液分離効果を実現する。
【0010】
本発明の他の目的は、物理的方法によりH2またはO2が混合された高濃度粘性液体のガス及び液体を高効率で分離する。その原理は混合気液溶液を適切な噴霧器により気液分離チャンバー中に噴射し、気液分離チャンバーの壁面の螺旋状流路によりその気液分離過程を延長し、流体を下に向けて流す過程では超音波による消泡及び底部の攪乱による消泡を含む。気液分離チャンバーの上縁の排気口では圧力差原理により一部を負圧とし、気液の脱離を効果的に補助する。最後に、ガスを上縁から分流して排気し、高純度のガスを取得する。下縁の液体は排出して回流させて使用すると共に最後にフィルター機構を経て、余剰のマイクロバブルをチャンバー内に進入させて重複して分離循環を行い、純粋なガス及び液体を別々に排出させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための主たる発明は、
給水噴霧機と、
上方に前記給水噴霧機が設置されている気液分離チャンバーと、を備え、
ここでは、前記給水噴霧機は、
電解水システムによる電解反応を経た後の気液混合液を受け取ると共に加圧するために用いられている給水加圧チューブと、
前記給水加圧チューブに連結される噴霧ノズルヘッドであって、前記噴霧ノズルヘッドは前記給水加圧チューブにより加圧された後の気液混合液を霧状気液混合物に変換するための噴霧ノズルヘッドと、を含み、
前記噴霧ノズルヘッドは霧状気液混合物を前記気液分離チャンバー中に噴入し、前記気液分離チャンバーは、
前記気液分離チャンバーの内壁に設置されている螺旋状流路であって、霧状気液混合液が前記螺旋状流路に噴入されると、前記螺旋状流路により前記気液分離チャンバー内に注入されている霧状気液混合物が下に向けて前記気液分離チャンバーの底部に流される時間が延長される螺旋状流路と、
前記気液分離チャンバーの外壁に設置され、前記気液分離チャンバー内の霧状気液混合物を振動させるための超音波振動機構と、
前記気液分離チャンバーの底部に設置され、前記気液分離チャンバーの下層に蓄積している霧状気液混合物を高速に攪拌するための攪拌機と、
前記気液分離チャンバー内に位置し、霧状気液混合物中の気液分離後の液体を貯蔵すると共に排出するための液体貯蔵部と、
前記液体貯蔵部の頂部に位置し、霧状気液混合物中の未破裂の気泡を孔隙の差異により気液分離を行うためのフィルター機構と、を具備することを特徴とする電解水システムの気液分離装置である。
【0012】
本発明の好適例において、前記気液分離装置は、前記液体貯蔵部に連結されている排水管であって、気液分離後の液体を前記排水管を経て前記気液分離チャンバーから排出するための排水管と、前記気液分離チャンバーに連結されている排気管であって、、気液分離後のガスを前記排気管を経て前記気液分離チャンバーから排出するための排気管と、前記排気管に連結され、前記排気管を負圧に調整するための差圧弁と、前記差圧弁に連結され、気液分離されたガスを収集するためのガス収集管と、をさらに備えている。
【0013】
本発明の好適例において、前記気液分離装置は、前記排水管及び前記差圧弁に連通し、前記気液分離チャンバーから排出された液体中の余剰の少量のガスを収集するための外管をさらに備えている。
【0014】
本発明の好適例において、前記噴霧ノズルヘッドの噴射口の直径は0.5~5mmの間の範囲である。
【0015】
本発明の好適例において、前記給水噴霧機の材質はステンレス、アルミニウム合金、ニッケル合金、チタン合金、及びジルコニウム合金のうちの何れか1つである。
【0016】
本発明の好適例において、前記気液分離チャンバーの内壁の材質はテフロンライナー、テフロンコーティング層、ポリエチレンライナー、及びポリエチレンコーティング層のうちの何れか1つである。
【0017】
本発明の好適例において、前記排水管、前記排気管路、及び前記外管の材質はテフロンライナー、テフロンコーティング層、ポリエチレンライナー、及びポリエチレンコーティング層のうちの何れか1つである。
【0018】
本発明の好適例において、前記螺旋状流路の材質はテフロン及びポリエチレンのうちの何れか1つである。
【0019】
本発明の好適例において、前記超音波振動機構の振動周波数は20kHz~50kHzの間の範囲である。
【0020】
本発明の好適例において、前記超音波振動機構は板方式及び環状板方式のうちの何れか1つであり、前記気液分離チャンバーの外側に貼付されている。
【0021】
本発明の好適例において、前記攪拌機の攪拌方式はファンブレード、パドルボード、及びマグネチックスターラーによる攪拌のうちの何れか1つである。
【0022】
本発明の好適例において、前記フィルター機構の層数は1層以上である。
【0023】
本発明の好適例において、前記フィルター機構は、メッシュサイズが16~400メッシュの間の範囲であり、または目開き寸法が0.05~1mmの間の範囲である。
【0024】
本発明の好適例において、前記フィルター機構の材質はステンレス、アルミニウム合金、ニッケル合金、チタン合金、及びジルコニウム合金のうちの何れか1つである。
【0025】
本発明の好適例において、前記気液混合液の液体粘度は10cps超である。
【0026】
本発明の好適例において、前記螺旋状流路の表面は環形または溝形の突起物を呈し、且つ前記螺旋状流路のピッチは0.5~2.5mmの間の範囲であり、前記螺旋状流路の高さは0.5~1.5mmの間の範囲である。
【0027】
本発明の好適例において、前記螺旋状流路の表面の環形または溝形の突起物の化学的特性は親水性である。
【0028】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る電解水システムの気液分離装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電解水システムの気液分離装置の内部を示す概略断面図である。
図3】本発明の単一のガス分離係数により電解槽でそれぞれ生成された水素の分離反応を行う反応図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る電解水システムの気液分離装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0031】
次に、図1図2を参照しながら、本発明に係る電解水システムの気液分離装置を詳しく説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電解水システムの気液分離装置を示す概略構成図である。図2は本発明の一実施形態に係る電解水システムの気液分離装置の内部を示す概略断面図である。
【0032】
本発明の電解水システム気液分離装置100は、給水加圧チューブ11及び噴霧ノズルヘッド13を有している給水噴霧機1を備え、噴霧ノズルヘッド13により電解液(気液混合液)を霧化して気液分離チャンバー2のチャンバー内に噴入する。気液分離チャンバー2は、気液分離チャンバー2の内壁に設置されている螺旋状流路21を備えている。螺旋状流路21はライナーを有し、電解液(気液混合液)は噴霧ノズルヘッド13を経て霧滴状に噴出され、霧状気液混合物となる。噴射角度は45~130度の間の範囲であり、60度を超える霧滴(霧状気液混合物)は全て螺旋状流路のライナーにより下に向けて流される。超音波振動機構23は装置の外壁に位置している超音波パッチであり、螺旋状流路21により流動された気液混合液に対し超音波振動機構23の超音波パッチにより第一プロセスの消泡を行う。攪拌機25は気液分離チャンバー2の最底部に設置され、第一プロセスの消泡プロセスを経た後の霧状気液混合物が気液分離チャンバー2の底部に集中した際に、攪拌機25により攪拌し、第二プロセスの消泡を行う。フィルター機構27は少なくとも1層のフィルターを有し、第二分離プロセスを経た後の霧状気液混合物が時間と共に液体貯蔵部29の頂部に満たされ、フィルター機構27へ流れると最後の気液分離を行い、最後の気液分離を経た後の液体は液体貯蔵部29に進入する。
【0033】
本発明に係る電解水システムは一般的な電解水システムまたはアルカリ電解水システムでもよく、システムの気液混合液(電解水)の液体粘度は10cps超であるが、但しこれに限られない。
【0034】
次に、図1図2を参照しながら、本発明に係る気液分離装置の構成要素を詳しく説明する。
〈給水噴霧機〉
【0035】
給水噴霧機1は、電解水システムによる電解反応を経た後の気液混合液を受け取ると共に加圧するために用いられている給水加圧チューブ11と、微小孔を有している噴霧ノズルであり、給水加圧チューブ11に連結されている噴霧ノズルヘッド13と、を備えている。噴霧ノズルヘッド13は前記給水加圧チューブ11のポンプ管路により加圧された後の気液混合液を霧状気液混合物に変換し、且つ気液分離チャンバー2中に噴入する。
【0036】
本実施例では、水動力は高速流動する流体が噴射機中の噴霧ノズルを通過することで負圧を発生し、噴出される高速流体が気液分離チャンバーの吸入チャンバー内で高速運動エネルギーを形成し、吸入チャンバー内の圧力を低下させ、一定の真空度に達する。次いで、泡沫が気液分離チャンバーの混合チャンバー内に吸入され、泡沫内外の圧力差により泡沫が膨張し、破裂する。
【0037】
本実施例では、噴霧ノズルヘッド13の噴射口の直径は0.5~5mmの間の範囲であり、気液混合液を霧状気液混合液に変換する。
【0038】
本実施例では、電解水の腐食を防止するため、給水噴霧機1の材質はステンレス、アルミニウム合金、ニッケル合金、チタン合金、及びジルコニウム合金のうちの何れか1つでもよいが、但しこれらに限られない。
〈気液分離チャンバー〉
【0039】
気液分離チャンバー2は螺旋状流路21と、超音波振動機構23と、攪拌機25と、フィルター機構27と、を備えている。
【0040】
本実施例では、気液分離チャンバー2は電解水の腐食を防止するため、気液分離チャンバー2の内壁の材質はテフロンライナー、テフロンコーティング層、ポリエチレンライナー、及びポリエチレンコーティング層のうちの何れか1つでもよいが、但しこれらに限られない。
【0041】
螺旋状流路21は気液分離チャンバー2の内壁に設置され、且つ霧状気液混合物が螺旋状流路21中に噴入されると、螺旋状流路により前記気液分離チャンバー2内に注入されている霧状気液混合物が下に向けて気液分離チャンバー2の底部に流される時間が延長される。
【0042】
本実施例では、螺旋状流路21の表面は環形または溝形の突起物を呈し、前記突起物は霧状気液混合物が流路に滞留する時間を延長し、気液分離チャンバー2本体の高さを短縮する効果を有している。また、環形または溝形の突起物の化学的特性は親水性または疎水性でもよく、分離するガス及び液体を組成する化学的特性に応じて選択可能である。
【0043】
本実施例では、螺旋状流路21のピッチは0.5~2.5mmの間の範囲であり、前記螺旋状流路の高さは0.5~1.5mmの間の範囲であり、ガス及び液体を含む流体の流速は0.5~1.5mm内の範囲に制御され、滞留時間の調製可能性を達成している。
【0044】
超音波振動機構23は気液分離チャンバー2の外壁に設置され、気液分離チャンバー2内の霧状気液混合物を振動させるため用いられている。本実施例では、超音波を利用した消泡は、2万5千回/秒~4万6千回/秒の高速振動で霧状気液混合物の液体中を伝導し、媒体の作用を促進し、液体の分子間での圧力変化を発生させ、液体内の気泡が超音波の振動に追随して徐々に生長及び増大し、その後に突然破壊されて分裂する。
【0045】
攪拌機25は気液分離チャンバー2の底部に設置され、容器の下層に蓄積している霧状気液混合物の高速攪拌を行う。高速攪拌過程で水流層に異なるせん断力現象が発生し、気泡を電解液中で破裂させるエネルギーを提供する。
【0046】
本実施例では、攪拌機25はファンブレード、パドルボード、またはマグネチックスターラーによる攪拌方式により攪拌を行うが、但しこれらに限られない。本実施例で使用する円心分離法は高速回転する遠心分離機のインペラーの遠心力の作用及びそれらの回転時に容器(例えば、気液分離チャンバー)の壁に対して与える十分な衝撃により、泡沫が破砕されて消泡する。また、本発明には他の消泡方法を組み合わせて統合的に運用し、全体的な消泡効果を高めている。
〈液体貯蔵部〉
【0047】
液体貯蔵部29は気液分離チャンバー2内に位置し、且つ霧状気液混合物を貯蔵すると共に気液分離された後の液体を排出するために用いられている。液体貯蔵部29の材質はテフロンライナー、テフロンコーティング層、ポリエチレンライナー、及びポリエチレンコーティング層のうちの何れか1つでもよいが、但しこれらに限られない。処理された霧状気液混合物の水素イオン指数に応じて適合する材質の液体貯蔵部29を選択する。
〈フィルター機構〉
【0048】
フィルター機構27は液体貯蔵部29の頂部に位置し、且つ霧状気液混合物中の未破裂の気泡に対し孔隙の差異により気液分離を行う。本実施例では、フィルター機構27の上層、中層、及び下層のフィルターは粗いフィルター、中程度のフィルター、細かいフィルターで構成され、異なる電流密度下で生じる気泡のサイズは0.05~1mmの間の範囲となり、小さすぎる目開き寸法では流体の圧力抵抗が過度に上昇する。このため、本発明のフィルター機構27ではメッシュサイズを16~400メッシュの間の範囲とするか、目開き寸法を0.05~1mmの間の範囲としている。また、腐食を防止するため、フィルター機構27の材質はステンレス、アルミニウム合金、ニッケル合金、チタン合金、及びジルコニウム合金のうちの何れか1つでもよい。本実施例に係るフィルター機構27は圧縮法の消泡原理を応用し、外力を用いて気泡を破壊されるまで圧縮する。泡沫に格子または網を載せ、格子または網を下に向けて圧縮する。格子または網目を用いる方法で泡沫を破壊し、気泡に接触する格子または網の材質は泡沫を破壊するのにも影響する。格子または網目が気泡より小さい場合、気泡が通過できないため泡を破壊するのに有利になり、よって、本実施例では、フィルター機構27は未破裂の気泡を孔隙の差異により破壊する。
【0049】
本実施例では、気液分離チャンバー2は排水管4に連結され、前記排水管4は前記液体貯蔵部29に連結されていると共に気液分離後の液体を排水管4を経て気液分離チャンバー2から排出する。
【0050】
本実施例では、排気管3は差圧弁5に連結され、差圧弁5は排気管3で圧力差原理を用いて一部に負圧を形成させ、気液の脱離を効果的に補助している。最終的に、気液分離後のガスを差圧弁5に連結されているガス収集管6に収集し、高純度のガスを取得する。
【0051】
本実施例では、ガス収集管6はガス貯蔵シリンダー(図示せず)に連結されていると共に収集したガスをガス貯蔵シリンダー(図示せず)に輸送して貯蔵する。
【0052】
本実施例では、電解水の腐食を防止するため、排水管4及び排気管3の材質はテフロンライナー、テフロンコーティング層、ポリエチレンライナー、及びポリエチレンコーティング層のうちの何れか1つでもよいが、但しこれらに限られない。
【0053】
他の実施例では、差圧弁5は外管7にさらに連結されている。差圧弁5は外管7の一部に負圧を形成し、気液分離チャンバー2から排出される液体中の余剰の少量のガスを外管7及び差圧弁5を経由してガス収集管6に輸送して収集する。
【0054】
さらに他の実施例では、外管7は電解水の腐食を防止するため、そのライナーの材質はテフロンライナー、テフロンコーティング層、ポリエチレン、及びポリエチレンコーティング層のうちの何れか1つでもよいが、但しこれらに限られない。
【0055】
さらなる他の実施例では、排水管4は電解液回流管(図示せず)に連結され、気液分離後の液体(電解液体)を電解液回流管を経て電解液貯蔵槽(図示せず)に回流させている。
【0056】
図3は単一のガス分離係数により電解槽でそれぞれ生成された水素の分離反応を行う反応図であり、単一のガス分離係数により電解槽でそれぞれ生成された水素の分離反応を行い、ガス発生流量を即時記録して監視する。同じ電解電圧下で、攪拌、濾過、及び超音波振動によってそれぞれ得られた気液分離効果はそれぞれ48%、48%、58%向上している。
【0057】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0058】
100(電解水システムの)気液分離装置
1 給水噴霧機
11 給水加圧チューブ
13 噴霧ノズルヘッド
2 気液分離チャンバー
21 螺旋状流路
23 超音波振動機構
25 攪拌機
27 フィルター機構
29 液体貯蔵部
3 排気管
4 排水管
5 差圧弁
6 ガス収集管
7 外管
図1
図2
図3