(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】光コネクタ及びこれを備えたレーザ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20220908BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220908BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20220908BHJP
H01S 3/23 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G02B6/42
G02B6/02 B
H01S3/00 B
H01S3/23
(21)【出願番号】P 2021504936
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2020008632
(87)【国際公開番号】W WO2020184248
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2019043356
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】坂元 明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智久
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223782(JP,A)
【文献】特開昭63-159815(JP,A)
【文献】国際公開第2011/122566(WO,A1)
【文献】特開2017-223897(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0013532(US,A1)
【文献】特開2017-156633(JP,A)
【文献】特開2018-129452(JP,A)
【文献】中国実用新案第207081848(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/045811(US,A1)
【文献】特開2018-004834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
6/30-6/34
6/42-6/43
H01S 3/00
3/02
3/067
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光伝搬空間が形成された筐体と、
前記筐体の端部に配置されるガラスブロックと、
前記ガラスブロックに接続されるブリッジファイバであって、
中実の第1のコアと、
前記第1のコアの周囲に位置し、前記第1のコアよりも屈折率の低い第1のクラッドと
を含むブリッジファイバと、
前記筐体の外部から前記光伝搬空間を通って前記
ブリッジファイバに接続される出力光ファイバであって、出力レーザ光を伝搬させる
第2のコアと、前記
第2のコアの周囲に位置する
第2のクラッドとを含む出力光ファイバと、
前記光伝搬空間の内部から前記筐体の外部に延びる少なくとも1つの戻り光ファイバであって、前記光伝搬空間を伝搬する光が結合可能な
第3のコアを含む少なくとも1つの戻り光ファイバと
を備えた、光コネクタ。
【請求項2】
前記出力光ファイバは、前記
第2のクラッドの周囲を覆う被覆をさらに含み、
前記出力光ファイバの前記被覆の一部が前記光伝搬空間内で除去されて前記
第2のクラッドが前記光伝搬空間に露出する、
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記光伝搬空間に露出する前記
第2のクラッドの表面は粗面である、請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記ブリッジファイバ
は、前記出力光ファイバの前記
第2のクラッドの外径よりも大きい最大外径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記ブリッジファイバは、前記出力光ファイバに接続される部分から前記ガラスブロックに向かって次第に外径が大きくなるテーパ部を含む、請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの戻り光ファイバの前記
第3のコアの径は、前記出力光ファイバの前記
第2のコアの径よりも大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの戻り光ファイバは複数の戻り光ファイバを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記光伝搬空間内における前記複数の戻り光ファイバの前記
第3のコアの端部の軸方向の位置が同一である、請求項7に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記光伝搬空間内における前記複数の戻り光ファイバの前記
第3のコアの端部の軸方向の位置が異なる、請求項7に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記複数の戻り光ファイバに対応して設けられる複数の光フィルタ部であって、前記複数の戻り光ファイバの前記
第3のコアを伝搬する戻り光から異なる波長の光を分離する複数の光フィルタ部をさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの戻り光ファイバの前記
第3のコアを伝搬する戻り光から所定の波長の光を分離する少なくとも1つの光フィルタ部をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光フィルタ部は、前記戻り光から前記出力レーザ光の波長の光を分離するように構成される、請求項11に記載の光コネクタ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光フィルタ部は、前記少なくとも1つの戻り光ファイバの端部に取り付けられる、請求項11又は12に記載の光コネクタ。
【請求項14】
前記筐体は、前記光伝搬空間の周囲に冷却媒体を循環させる冷却流路を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの戻り光ファイバは、紫外域の波長の光の透過率が高いファイバから構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の光コネクタと、
前記出力レーザ光を生成する少なくとも1つのレーザ光源であって、前記光コネクタの前記出力光ファイバに接続される少なくとも1つのレーザ光源と、
前記光コネクタの前記光伝搬空間で前記少なくとも1つの戻り光ファイバの前記
第3のコアに入射した戻り光を検出する少なくとも1つの光検出部と
を備える、レーザ装置。
【請求項17】
前記光コネクタの前記少なくとも1つの戻り光ファイバは複数の戻り光ファイバを含み、
前記少なくとも1つの光検出部は、前記光コネクタの前記複数の戻り光ファイバのそれぞれの前記
第3のコアに入射した戻り光を検出する複数の光検出部を含む、
請求項16に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ及びレーザ装置に係り、特に光コネクタを備えたレーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファイバレーザなどのレーザ光源で生成したレーザ光を光コネクタから加工対象物に照射して加工対象物の溶接や切断を行うレーザ装置が知られている。このようなレーザ装置を用いたプロセスにおいては、加工対象物に照射されたレーザ光の反射光や加工点で生じるプラズマ光や赤外光などを含む光が光コネクタに戻ることがあるが(以下、このような光を「戻り光」ということがある)、このような戻り光の光量は、その時点でのプロセス条件及びプロセス状態に応じて変化するため、この戻り光の変化を検出することにより、加工プロセスの良否を判定したり、加工プロセスに対するフィードバックを行ったりすることができる。このような観点から、加工に用いるレーザ光を伝搬させるコアとは別に、戻り光を伝搬させる複数のコアを設け、これらのコアを伝搬する戻り光を光コネクタの筐体の内部に設けた光検出器で検出する光コネクタも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような従来の光コネクタにおいて用いられている光ファイバは、加工用のレーザ光を伝搬させるコアに加えて、戻り光を伝搬させる複数のコアを含んでいる。このような複数のコアを含む光ファイバを作製することは難しいため、より簡易な構造で戻り光を検出できる光コネクタが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構造で戻り光を検出できる光コネクタ及びレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、簡易な構造で戻り光を検出できる光コネクタが提供される。この光コネクタは、内部に光伝搬空間が形成された筐体と、上記筐体の端部に配置されるガラスブロックと、上記ガラスブロックに接続されるブリッジファイバであって、中実の第1のコアと、上記第1のコアの周囲に位置し、上記第1のコアよりも屈折率の低い第1のクラッドとを含むブリッジファイバと、上記筐体の外部から上記光伝搬空間を通って上記ブリッジファイバ接続される出力光ファイバと、上記光伝搬空間の内部から上記筐体の外部に延びる少なくとも1つの戻り光ファイバとを備える。上記出力光ファイバは、出力レーザ光を伝搬させる第2のコアを含む。上記少なくとも1つの戻り光ファイバは、上記光伝搬空間を伝搬する光が結合可能な第3のコアを含む。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、簡易な構造で戻り光を検出できるレーザ装置が提供される。このレーザ装置は、上述した光コネクタと、上記出力レーザ光を生成する少なくとも1つのレーザ光源と、上記光コネクタの上記光伝搬空間で上記少なくとも1つの戻り光ファイバの上記第3のコアに入射した戻り光を検出する少なくとも1つの光検出部とを備える。上記少なくとも1つのレーザ光源は、上記光コネクタの上記出力光ファイバに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるレーザ装置の全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すレーザ装置における出力光ファイバの構成を示す模式的断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すレーザ装置における戻り光ファイバの構成を示す模式的断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すレーザ装置における光コネクタの構成を示す模式的断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態における光コネクタの構成を示す模式的断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3の実施形態における光コネクタの構成を示す模式的断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第4の実施形態におけるレーザ装置の全体構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の第5の実施形態における光コネクタの構成を示す模式的断面図である。
【
図9】
図9は、
図8の光コネクタの変形例を示す模式的断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第6の実施形態における光コネクタの構成を示す模式的断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第6の実施形態におけるレーザ装置の全体構成の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、本発明の第7の実施形態における光コネクタの構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る光コネクタ及びレーザ装置の実施形態について
図1から
図12を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図12において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図12においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるレーザ装置1の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態におけるレーザ装置1は、装置本体10と、加工対象物Wを保持するステージ20と、ステージ20上の加工対象物Wに向けて出力レーザ光Lを照射する光コネクタ30と、光コネクタ30と装置本体10とを接続するケーブル40とを含んでいる。本実施形態におけるレーザ装置1は、高出力の出力レーザ光Lを加工対象物Wに照射することで加工対象物Wの表面を加工するために用いられるが、本発明は、このようなレーザ装置に限られず種々のレーザ装置に適用できるものである。
【0011】
装置本体10の内部には、複数のレーザ光源12と、これらのレーザ光源12からのレーザ光を結合する光コンバイナ14と、加工対象物Wに照射された出力レーザ光Lの反射光及び加工点やその近傍で生じるプラズマ光や赤外光などを含む戻り光を検出する光検出部16とが収容されている。レーザ光源12は、それぞれ所定の波長(例えば1100nm)の出力レーザ光を生成するものであり、例えば主発振器出力増幅器(MOPA)型のファイバレーザや共振器型のファイバレーザにより構成することができる。
【0012】
レーザ光源12と光コンバイナ14とはそれぞれ光ファイバ13によって互いに接続されている。また、光コンバイナ14には出力光ファイバ15が接続されており、この出力光ファイバ15によって光コンバイナ14と光コネクタ30とが互いに接続されている。
図2に示すように、この出力光ファイバ15は、光コンバイナ14で結合された出力レーザ光を伝搬させるコア51と、コア51の周囲に位置し、コア51よりも屈折率の低いクラッド52と、クラッド52の周囲を覆う被覆53とを含んでいる。
【0013】
また、光検出部16には戻り光ファイバ17が接続されており、この戻り光ファイバ17によって光検出部16と光コネクタ30とが互いに接続される。
図3に示すように、この戻り光ファイバ17は、戻り光を伝搬させるコア61と、コア61の周囲に位置し、コア61よりも屈折率の低いクラッド62と、クラッド62の周囲を覆う被覆63とを含んでいる。例えば、戻り光ファイバ17のコア61を純シリカから構成し、クラッド62にフッ素を添加することでクラッド62の屈折率をコア61よりも下げてもよい。このような光ファイバはいわゆるピュアシリカコアファイバと呼ばれ、紫外域の波長の光の透過率が高い。なお、装置本体10と光コネクタ30との間では、出力光ファイバ15及び戻り光ファイバ17はケーブル40の内部に収容される。
【0014】
図4は、光コネクタ30の構成を示す模式的断面図である。
図4に示すように、光コネクタ30は、二重管構造を有する筐体31と、筐体31の下端部に配置されたガラスブロック32と、筐体31の上端部に装填されたスペーサ33とを有している。スペーサ33には、装置本体10から延びる出力光ファイバ15及び戻り光ファイバ17が貫通している。ガラスブロック32は、例えば円柱状の石英から構成される。
【0015】
筐体31は、外壁34と、外壁34の半径方向内側に配置される内壁35とを含んでいる。筐体31の内壁35の下端及び上端は、それぞれガラスブロック32及びスペーサ33によって封止されており、これによって筐体31の内壁35の半径方向内側には光伝搬空間Sが形成されている。
【0016】
高出力の出力レーザ光Lを出射する場合には、光コネクタ30が高温になるため、外壁34と内壁35との間には、光伝搬空間Sの周囲に冷却媒体C(例えば冷却水)を循環させる冷却流路36が形成されている。筐体31は、冷却流路36に冷却媒体Cを導入するための入口ポート37と、冷却流路36から冷却媒体Cを排出するための出口ポート38とを有している。このような冷却流路36に冷却媒体Cを循環させることで筐体31を冷却することができるため、出力レーザ光Lによる筐体31の温度上昇を抑制することができる。このため、光コネクタ30から出射される出力レーザ光Lの出力を上げることが可能となる。
【0017】
図4に示すように、出力光ファイバ15の端部では被覆53が除去されており、光伝搬空間S内でクラッド52が露出している。この露出したクラッド52(及びコア51)の端面がガラスブロック32に融着されている。これにより、出力光ファイバ15のコア51を伝搬してきた出力レーザ光は、ガラスブロック32に入射してガラスブロック32を透過した後、図示しない集光レンズによってステージ20上の加工対象物Wの表面に集光される。このように出力レーザ光Lが加工対象物Wの表面に照射されることで加工対象物Wの表面の加工(例えば溶接や切断)が行われる(
図1参照)。
【0018】
ここで、加工対象物Wの表面に照射された出力レーザ光Lの一部は、加工対象物Wで反射して反射光となってガラスブロック32から光伝搬空間Sに入射する。また、加工対象物Wの加工点においては、加工により生じる高温の金属蒸気(プルーム)を出力レーザ光Lが通過するときにプルームが過熱されてプラズマ光が発生する。また、輻射により赤外光も生じる。これらのプラズマ光や赤外光もガラスブロック32を通って端面32Aから光伝搬空間Sに入射する。上述した筐体31内の光伝搬空間Sには、これらの反射光やプラズマ光、赤外光などの戻り光Mが伝搬するようになっている。
【0019】
この戻り光Mの光量は、出力レーザ光Lのパワーの変動、アシストガスの状態、加工対象物Wの表面の汚れ、加工されている材料の組成の変化、加工している接合点間の隙間の変化といったプロセス条件及びプロセス状態に応じて変化することが知られている。したがって、戻り光Mの光量の変化を検出することで、そのときのプロセス条件及びプロセス状態を把握することができ、これによってレーザ加工の良否を判定したり、レーザ加工に対するフィードバックを行ったりすることが可能となる。
【0020】
図4に示すように、戻り光ファイバ17の端部17Aは光伝搬空間S内に位置しており、戻り光ファイバ17は光伝搬空間Sの内部から筐体31の外部の装置本体10まで延びている。戻り光ファイバ17のコア61の端面は、光伝搬空間Sに露出しており、ガラスブロック32を通って光伝搬空間Sに入射した戻り光Mは、このコア61の端面からコア61に結合できるようになっている。戻り光ファイバ17のコア61に入射した戻り光Mは、コア61を伝搬して装置本体10の光検出部16に至る。光検出部16では、公知の光センサを用いて戻り光Mの光量が検出される。なお、光検出部16における戻り光Mの検出感度を向上させるために、戻り光ファイバ17のコア61の径は、出力光ファイバ15のコア51の径よりも大きいことが好ましい。
【0021】
本実施形態では、単一のコア51を有する出力光ファイバ15をガラスブロック32に融着させればよいため、上述した従来の光コネクタに比べて光コネクタ30の組立作業が容易である。また、従来の光コネクタでは、戻り光を検出する光検出器が光コネクタの筐体の内部に位置しているため、光検出器が高出力の出力レーザ光による熱に耐えられなくなるおそれがあるが、本実施形態では、光検出部16が光コネクタ30の外部(装置本体10の内部)に設けられているため、光検出部16が出力レーザ光による熱の影響を受けにくい。
【0022】
また、従来の光コネクタにおいては、光検出器を含む電気回路を光コネクタの筐体の内部に収容する必要があるため、光コネクタを小型化することが難しいが、本実施形態では、光コネクタ30に細径の戻り光ファイバ17を追加するだけで戻り光の検出が可能となるため、光コネクタ30を小型化及び軽量化することができる。
【0023】
さらに、従来の光コネクタにおいては、光コネクタ内の光検出器から光コネクタ外部の制御部までの電気的経路が長くなるため、光検出器で得られた検出信号が制御部に送られるまでにノイズの影響を受けやすいが、本実施形態では、戻り光Mが光コネクタ30から光の形態で装置本体10の光検出部16まで送られるためノイズの影響を受けにくい。
【0024】
ガラスブロック32の端面32Aを粗面にしてもよい。このような粗面は、例えばガラスブロック32の端面32Aにエッチングを施すことによって形成することができる。このようにガラスブロック32の端面32Aを粗面とすることで、ガラスブロック32の端面32Aで戻り光Mが散乱するため、戻り光Mのパワー密度が位置に依存しにくくなる。このため、戻り光ファイバ17の端部17Aの位置によって戻り光Mの検出感度が変化することが抑制され、戻り光Mをより安定的に検出することができる。
【0025】
図5は、本発明の第2の実施形態における光コネクタ530の構成を示す模式的断面図である。本実施形態では、出力光ファイバ15とガラスブロック32との間にブリッジファイバ540が接続されており、出力光ファイバ15は、ブリッジファイバ540を介してガラスブロック32に接続されている。ブリッジファイバ540は、出力光ファイバ15のコア51と光学的に結合されるコア(図示せず)と、このコアの周囲に位置し、コアよりも屈折率の低いクラッドとを含んでいる。このブリッジファイバ540のコアの径は、出力光ファイバ15のコア51と同一であることが好ましく、このブリッジファイバ540のコアがガラスブロック32と光学的に結合されている。また、このブリッジファイバ540の外径(クラッドの外径)は、出力光ファイバ15のクラッド52の外径よりも大きい。ブリッジファイバ540の外径は、ガラスブロック32の外径よりも小さくてもよく、あるいはガラスブロック32の外径と同一であってもよい。
【0026】
このような構成において、戻り光Mがガラスブロック32に入射すると、その一部はガラスブロック32の端面32Aから光伝搬空間Sに入射するが、その大部分がブリッジファイバ540に入射する。光伝搬空間S中の空気の屈折率はブリッジファイバ540の屈折率よりも低いため、ブリッジファイバ540の外側にエアクラッドが形成される。したがって、ブリッジファイバ540に入射した戻り光Mは、ブリッジファイバ540の内部を伝搬してブリッジファイバ540の端面540Aから光伝搬空間Sに出射される。このように、本実施形態では、第1の実施形態に比べて戻り光ファイバ17の端部17Aにより近い位置で戻り光Mを光伝搬空間Sに出射することができるので、戻り光ファイバ17のコア61に結合する戻り光Mの光量を多くすることができ、光検出部16における戻り光Mの検出感度を高めることができる。
【0027】
また、ブリッジファイバ540の外径をガラスブロック32の外径よりも小さくすれば、ブリッジファイバ540の端面540Aから出射される光の単位面積当たりの光強度を、第1の実施形態におけるガラスブロック32の端面から出射される光の単位面積当たりの光強度よりも高めることが容易になるので、戻り光ファイバ17のコア61に結合する戻り光Mの光量を増加させやすい。
【0028】
この場合において、ブリッジファイバ540の端面540Aを粗面にしてもよい。このような粗面は、例えばブリッジファイバ540の端面540Aにエッチングを施すことによって形成することができる。このようにブリッジファイバ540の端面540Aを粗面とすることで、ブリッジファイバ540の端面540Aで戻り光Mが散乱するため、戻り光Mのパワー密度が位置に依存しにくくなる。このため、戻り光ファイバ17の端部17Aの位置によって戻り光Mの検出感度が変化することが抑制され、戻り光Mをより安定的に検出することができる。
【0029】
図6は、本発明の第3の実施形態における光コネクタ630の構成を示す模式的断面図である。本実施形態では、第2の実施形態と同様に、出力光ファイバ15とガラスブロック32との間にブリッジファイバ640が接続されており、出力光ファイバ15は、ブリッジファイバ640を介してガラスブロック32に接続されている。ブリッジファイバ640は、出力光ファイバ15のコア51と光学的に結合されるコア(図示せず)と、このコアの周囲に位置し、コアよりも屈折率の低いクラッドとを含んでいる。このブリッジファイバ640のコアの径は、出力光ファイバ15のコア51と同一であることが好ましく、このブリッジファイバ640のコアがガラスブロック32と光学的に結合されている。
【0030】
このブリッジファイバ640は、出力光ファイバ15のクラッド52に接続される部分からガラスブロック32に向かって次第に外径が大きくなるテーパ部641を有している。ブリッジファイバ640の最大外径(ブリッジファイバ640がガラスブロック32に接続されている部分のクラッドの外径)は、出力光ファイバ15のクラッド52の外径よりも大きい。また、ブリッジファイバ640の最大外径は、ガラスブロック32の外径よりも小さくてもよく、あるいはガラスブロック32の外径と同一であってもよい。
【0031】
このような構成によっても、第2の実施形態と同様に、ガラスブロック32に入射した戻り光Mの大部分がブリッジファイバ640の内部を伝搬し、ブリッジファイバ640のテーパ部641のテーパ面641Aから光伝搬空間Sに出射される。このように、本実施形態では、第1の実施形態に比べて戻り光ファイバ17の端部17Aにより近い位置で戻り光Mを光伝搬空間Sに出射することができるので、戻り光ファイバ17のコア61に結合する戻り光Mの光量を多くすることができ、光検出部16における戻り光Mの検出感度を高めることができる。
【0032】
また、ブリッジファイバ640の最大外径がガラスブロック32の外径よりも小さくすれば、ブリッジファイバ640のテーパ部641のテーパ面641Aから出射される光の単位面積当たりの光強度を、第1の実施形態におけるガラスブロック32の端面から出射される光の単位面積当たりの光強度より高くすることが容易になるので、戻り光ファイバ17のコア61に結合する戻り光Mの光量を増加させやすい。
【0033】
この場合において、ブリッジファイバ640のテーパ面641Aを粗面にしてもよい。このような粗面は、例えばブリッジファイバ640のテーパ面641Aにエッチングを施すことによって形成することができる。このようにブリッジファイバ640の端面であるテーパ面641Aを粗面とすることで、ブリッジファイバ640のテーパ面641Aで戻り光Mが散乱するため、戻り光Mのパワー密度が位置に依存しにくくなる。このため、戻り光ファイバ17の端部17Aの位置によって戻り光Mの検出感度が変化することが抑制され、戻り光Mをより安定的に検出することができる。
【0034】
図7は、本発明の第4の実施形態におけるレーザ装置101の全体構成を示す模式図である。本実施形態におけるレーザ装置101は、光コネクタ30と光検出部16との間の装置本体10内の戻り光ファイバ17上に光フィルタ部170を備えている。この光フィルタ部170は、戻り光ファイバ17のコア61を伝搬する戻り光Mから所定の波長の光を分離するものである。例えば、このような光フィルタ部170を用いて戻り光Mから検出したい波長の光を分離して検出することによって、所望のプロセス条件又はプロセス状態が反映されやすい特定の波長の光のみを抽出して検出することができる。したがって、より的確にプロセス条件又はプロセス状況を把握して、きめ細かなプロセス制御を行うことができる。光フィルタ部170により抽出される光の例としては、可視光(波長380nm~750nm)、紫外光(波長380nm未満)、赤外光(波長750nm超)、誘導ラマン光などが挙げられる。特に、光フィルタ部170により紫外光を抽出する場合には、戻り光ファイバ17として上述したピュアシリカコアファイバ(例えばコア径が100μm以上)を用いることが好ましい。
【0035】
また、光フィルタ部170で戻り光Mから複数の波長の光(例えば、紫外光と赤外光と反射光)を分離してもよい。この場合には、光検出部16に複数の受光素子(センサ)を設け、分離された複数の波長の光をこれらの受光素子で同時に検出するようにしてもよい。
【0036】
また、光フィルタ部170は、戻り光Mから出力レーザ光Lの波長の光を分離するように構成されていてもよい。このように、光フィルタ部170を用いて戻り光Mから出力レーザ光Lの波長成分を除去することで、出力レーザ光Lのパラメータ(パワー密度など)が戻り光Mに与える影響を小さくすることができ、より精度の高い検出が可能となる。
【0037】
図7に示す例では、光フィルタ部170を装置本体10内に設けているが、このような光フィルタ部170に代えて、戻り光ファイバ17の端部17Aに誘電体多層膜からなる光フィルタを取り付けることも可能である。
【0038】
図8は、本発明の第5の実施形態における光コネクタ230の構成を示す模式的断面図である。本実施形態では、光伝搬空間S内で露出される出力光ファイバ15のクラッド52の表面252が粗面とされている。このような粗面は、例えばクラッド52の表面252にエッチングを施すことによって形成することができる。
【0039】
このような構成により、第1の実施形態と同様に、戻り光Mの一部がガラスブロック32を透過して直接光伝搬空間Sに入射するとともに、戻り光Mの他の一部がガラスブロック32から出力光ファイバ15のクラッド52に入射し、
図8の矢印で示すように、クラッド52の表面252で散乱して光伝搬空間Sに入射する。したがって、第1の実施形態の光コネクタ30よりも多くの戻り光Mが光伝搬空間S内を伝搬することとなり、この戻り光Mを戻り光ファイバ17のコア61に結合させることができる。したがって、より高精度に戻り光Mを検出することができる。
【0040】
また、本実施形態では、クラッド52の表面252を粗面としているため、クラッド52の表面252によって戻り光Mが散乱し、この結果、戻り光Mのパワー密度が位置に依存しにくくなる。このため、戻り光ファイバ17の端部17Aの位置によって戻り光Mの検出感度が変化することが抑制され、戻り光Mをより安定的に検出することができる。
【0041】
なお、クラッド52の表面252を粗面にする代わりに、例えば光伝搬空間Sにクラッド52よりも屈折率の高い樹脂を充填してもよい。このような樹脂は耐熱性に優れていることが好ましい。このような樹脂を光伝搬空間Sに充填することにより、出力光ファイバ15のクラッド52を伝搬する戻り光Mの一部を樹脂に入射させ、戻り光ファイバ17のコア61に入射させることができる。
【0042】
また、本実施形態のように戻り光ファイバ17のコア61の端面を光伝搬空間Sに露出させることにより光伝搬空間Sを伝搬する戻り光Mをコア61に結合させてもよいが、例えば、
図9に示すように、光伝搬空間Sを伝搬する戻り光Mを戻り光ファイバ17のコア61に導くキャップ部材220を戻り光ファイバ17の端部17Aに取り付けてもよい。
図9に示す例では、キャップ部材220は、出力光ファイバ15のクラッド52で散乱する戻り光Mを戻り光ファイバ17のコア61に結合させるために傾斜面を有している。
【0043】
図10は、本発明の第6の実施形態における光コネクタ330の構成を示す模式的断面図である。上述した第1から第5の実施形態では、光コネクタに1つの戻り光ファイバ17を設けた例を説明したが、戻り光ファイバ17の数はこれに限られるものではなく、本実施形態のように光コネクタ330内に2つ以上の戻り光ファイバ17(317A,317B)を設けてもよい。このように複数の戻り光ファイバ317A,317Bからの戻り光Mを光検出部16で検出することで、戻り光Mの検出感度を向上させることができ、プロセス条件及びプロセス状態をより精度よく把握することができる。
【0044】
また、例えば、出力レーザ光Lが照射される加工対象物Wの表面や光コネクタ330が傾いていると、戻り光Mが発生する位置も変化する。この場合には、光伝搬空間S内の位置によって戻り光Mの光強度も変化すると考えられるため、本実施形態のように複数の戻り光ファイバ317A,317Bの端部17Aを光伝搬空間S内に配置することにより、光伝搬空間S内の位置に応じた戻り光Mの光強度を検出することが可能となり、プロセス条件及びプロセス状態をより精度よく把握することができる。
【0045】
本実施形態では、2つの戻り光ファイバ317A,317Bの端部17Aの軸方向の位置、すなわち光伝搬空間Sに露出する戻り光ファイバ317A,317Bのコアの軸方向の位置が同一となっている。このような構成によれば、2つの戻り光ファイバ17によって光伝搬空間S内の戻り光Mの軸方向に垂直な平面内の光強度分布を把握することができる。このため、例えば、これらの戻り光ファイバ317A,317Bからの戻り光Mを光検出部16で検出することで、戻り光Mの角度成分などを検出することができる。この場合において、戻り光ファイバ317A,317Bの端部17Aを同心円上に配置してもよい。
【0046】
この場合において、
図11に示すように、それぞれの戻り光ファイバ317A,317Bに対応して光検出部16A,16B及び光フィルタ部170A,170Bを設けてもよい。また、これらの光フィルタ部170A,170Bは、異なる波長の光を分離するように構成されていてもよい。この場合には、複数の光フィルタ部170A,170Bで異なる波長の光を分離し、戻り光の異なる波長成分をそれぞれ光検出部16A,16Bで検出することができる。したがって、例えば、図示しない演算部においてそれぞれの光検出部16A,16Bにおける出力の比を算出することにより戻り光の波長スペクトルを得ることができる。
【0047】
図12は、本発明の第7の実施形態における光コネクタ430の構成を示す模式的断面図である。本実施形態では、上述の第6の実施形態とは異なり、光伝搬空間Sに露出する戻り光ファイバ417A,417Bのコアの軸方向の位置が異なっている。このような構成によれば、光伝搬空間S内の戻り光Mの軸方向における光強度分布を把握することができる。このため、例えば、これらの戻り光ファイバ417A,147Bからの戻り光Mを光検出部16で検出することで、戻り光Mの集光状態などを検出することができる。
【0048】
上述した実施形態における戻り光ファイバでは、戻り光が伝搬するコアがクラッドで被覆されているが、戻り光が伝搬するコアは必ずしもクラッドで被覆されている必要はない。
【0049】
なお、本明細書において使用した用語「上」及び「下」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
【0050】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0051】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、簡易な構造で戻り光を検出できる光コネクタが提供される。この光コネクタは、内部に光伝搬空間が形成された筐体と、上記筐体の端部に配置されるガラスブロックと、上記筐体の外部から上記光伝搬空間を通って上記ガラスブロックに直接的又は間接的に接続される出力光ファイバと、上記光伝搬空間の内部から上記筐体の外部に延びる少なくとも1つの戻り光ファイバとを備える。上記出力光ファイバは、出力レーザ光を伝搬させるコアと、上記コアの周囲に位置するクラッドとを含む。上記少なくとも1つの戻り光ファイバは、上記光伝搬空間を伝搬する光が結合可能なコアを含む。
【0052】
このような構成によれば、加工対象物に照射された出力レーザ光の反射光や加工点で生じるプラズマ光や赤外光などを含む戻り光がガラスブロックを通して光伝搬空間に入射し、この戻り光が光伝搬空間の内部に位置する戻り光ファイバの端部から戻り光ファイバのコアに入射することとなる。したがって、この光コネクタの戻り光ファイバに光検出器を接続するだけで、戻り光ファイバのコアを伝搬する戻り光を検出することができ、簡易な構造により戻り光を検出することが可能となる。
【0053】
上記出力光ファイバは、上記クラッドの周囲を覆う被覆をさらに含んでいてもよい。この場合において、上記出力光ファイバの上記被覆の一部が上記光伝搬空間内で除去されて上記クラッドが上記光伝搬空間に露出していてもよい。このような構成により、戻り光の一部がガラスブロックを透過して直接光伝搬空間に入射するとともに、戻り光の他の一部がガラスブロックから出力光ファイバのクラッドに入射し、クラッドの表面から光伝搬空間に入射することとなる。これにより、より多くの戻り光を戻り光ファイバのコアに入射させることができ、戻り光をより高精度に検出することができる。
【0054】
この場合において、上記光伝搬空間に露出する上記クラッドの表面を粗面としてもよい。クラッドの表面を粗面とすることで、戻り光をクラッドの表面で散乱させることができ、戻り光のパワー密度が位置に依存しにくくなる。このため、戻り光ファイバの端部の位置によって戻り光の検出感度が変化することが抑制され、戻り光をより安定的に検出することができる。
【0055】
上記光コネクタは、前記出力光ファイバと前記ガラスブロックとの間に接続されるブリッジファイバをさらに備えていてもよい。このブリッジファイバは、前記出力光ファイバの前記クラッドの外径よりも大きい最大外径を有する。このブリッジファイバは、前記出力光ファイバに接続される部分から前記ガラスブロックに向かって次第に外径が大きくなるテーパ部を含んでいてもよい。このようなブリッジファイバを設けることにより、ガラスブロックに入射した戻り光の大部分がブリッジファイバの内部を伝搬して、戻り光ファイバの端部により近い位置から戻り光を光伝搬空間に出射することができる。したがって、戻り光ファイバのコアに結合する戻り光の光量を多くすることができ、戻り光の検出感度を高めることができる。
【0056】
また、ブリッジファイバの最大外径をガラスブロックの外径よりも小さくすれば、ブリッジファイバから出射される光の単位面積当たりの光強度を高めることが容易になるので、戻り光ファイバのコアに結合する戻り光の光量を増加させやすい。
【0057】
戻り光の検出感度を向上させるために、上記少なくとも1つの戻り光ファイバの上記コアの径は、上記出力光ファイバの上記コアの径よりも大きいことが好ましい。
【0058】
上記少なくとも1つの戻り光ファイバは複数の戻り光ファイバを含んでいてもよい。このように複数の戻り光ファイバからの戻り光を検出することで、戻り光の検出感度を向上させることができるとともに、光伝搬空間内の位置に応じた戻り光の光強度を検出することが可能となる。
【0059】
この場合において、上記光伝搬空間内における上記複数の戻り光ファイバの上記コアの端部の軸方向の位置が同一であってもよい。このような構成によれば、複数の戻り光ファイバによって光伝搬空間内の戻り光の軸方向に垂直な平面内の光強度分布を把握することができる。あるいは、上記光伝搬空間内における上記複数の戻り光ファイバの上記コアの端部の軸方向の位置が異なっていてもよい。この場合には、複数の戻り光ファイバによって光伝搬空間内の戻り光の軸方向における光強度分布を把握することができる。
【0060】
上記光コネクタは、上記複数の戻り光ファイバに対応して設けられる複数の光フィルタ部をさらに備えていてもよく、この複数の光フィルタ部は、上記複数の戻り光ファイバの上記コアを伝搬する戻り光から異なる波長の光を分離するように構成されていてもよい。このような構成により、戻り光の異なる波長成分を検出することができる。したがって、それぞれの波長において検出された出力の比を算出することにより戻り光の波長スペクトルを得ることができる。
【0061】
上記光コネクタは、上記少なくとも1つの戻り光ファイバの上記コアを伝搬する戻り光から所定の波長の光を分離する少なくとも1つの光フィルタ部をさらに備えていてもよい。このような光フィルタ部を用いて戻り光から検出したい波長の光を分離して検出することによって、所望のプロセス条件又はプロセス状態が反映されやすい特定の波長の光のみを抽出して検出することができるので、よりきめ細かなプロセス制御を行うことができる。
【0062】
また、上記少なくとも1つの光フィルタ部は、上記戻り光から上記出力レーザ光の波長の光を分離するように構成されていてもよい。このように、光フィルタ部を用いて戻り光から出力レーザ光の波長成分を除去することで、出力レーザ光のパラメータ(パワー密度など)が戻り光に与える影響を小さくすることができ、より精度の高い検出が可能となる。なお、上記少なくとも1つの光フィルタ部を上記少なくとも1つの戻り光ファイバの端部に取り付けてもよい。
【0063】
上記筐体は、上記光伝搬空間の周囲に冷却媒体を循環させる冷却流路を有することが好ましい。このような冷却流路に冷却媒体を循環させることで筐体を冷却することができるため、出力レーザ光による筐体の温度上昇を抑制することができる。このため、光コネクタから出射される出力レーザ光の出力を上げることが可能となる。
【0064】
上記少なくとも1つの戻り光ファイバを紫外域の波長の光の透過率が高いファイバから構成してもよい。戻り光のうち紫外域の波長の光を特に検出したい場合には、このようなファイバを用いることが好ましい。
【0065】
本発明の第2の態様によれば、簡易な構造で戻り光を検出できるレーザ装置が提供される。このレーザ装置は、上述した光コネクタと、上記出力レーザ光を生成する少なくとも1つのレーザ光源と、上記光コネクタの上記光伝搬空間で上記少なくとも1つの戻り光ファイバの上記コアに入射した戻り光を検出する少なくとも1つの光検出部とを備える。上記少なくとも1つのレーザ光源は、上記光コネクタの上記出力光ファイバに接続される。
【0066】
このような構成によれば、上述した光コネクタの戻り光ファイバに光検出器を接続するだけで、戻り光ファイバのコアを伝搬する戻り光を検出することができ、簡易な構造により戻り光を検出することが可能となる。
【0067】
また、上記光コネクタの上記少なくとも1つの戻り光ファイバは複数の戻り光ファイバを含んでいてもよく、上記少なくとも1つの光検出部は、上記光コネクタの前記上記の戻り光ファイバのそれぞれの前記コアに入射した戻り光を検出する複数の光検出部を含んでいてもよい。
【0068】
本発明によれば、加工対象物に照射された出力レーザ光の反射光や加工点で生じるプラズマ光や赤外光などを含む戻り光がガラスブロックを通して光伝搬空間に入射し、この戻り光が光伝搬空間の内部に位置する戻り光ファイバの端部から戻り光ファイバのコアに入射することとなる。したがって、この光コネクタの戻り光ファイバに光検出器を接続するだけで、戻り光ファイバのコアを伝搬する戻り光を検出することができ、簡易な構造により戻り光を検出することが可能となる。
【0069】
本出願は、2019年3月11日に提出された日本国特許出願特願2019-043356号に基づくものであり、当該出願の優先権を主張するものである。当該出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、光コネクタを備えたレーザ装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0071】
1,101,301 レーザ装置
10 装置本体
12 レーザ光源
14 光コンバイナ
15 出力光ファイバ
16 光検出部
17,317A,317B,417A,417B 戻り光ファイバ
20 ステージ
30,230,330,430,530,630 光コネクタ
31 筐体
32 ガラスブロック
33 スペーサ
34 外壁
35 内壁
36 冷却流路
37 入口ポート
38 出口ポート
40 ケーブル
51 コア
52 クラッド
53 被覆
61 コア
62 クラッド
63 被覆
170 光フィルタ部
220 キャップ部材
C 冷却媒体
L 出力レーザ光
M 戻り光
S 光伝搬空間
W 加工対象物