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特許7138236個人用クレンジング組成物(personal cleansing compositions)の製造に関する改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】個人用クレンジング組成物(personal cleansing compositions)の製造に関する改善
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20220908BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220908BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220908BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20220908BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20220908BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20220908BHJP
   C11D 1/34 20060101ALI20220908BHJP
   C09K 23/34 20220101ALI20220908BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/37
A61Q19/10
C11D17/06
C11D1/12
C11D1/28
C11D1/34
C09K23/34
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021507752
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 GB2019052266
(87)【国際公開番号】W WO2020035671
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】1813273.8
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509112501
【氏名又は名称】トス. ベントレー アンド サン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Thos. Bentley & Son Limited
【住所又は居所原語表記】Brookfoot House Low Lane Horsforth Leeds West Yorkshire LS18 5PU United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ストーリー ジョン マイケル
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5919578(JP,B1)
【文献】国際公開第2010/090354(WO,A1)
【文献】特表2002-525393(JP,A)
【文献】特表2002-526601(JP,A)
【文献】特開2002-097495(JP,A)
【文献】米国特許第05372751(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
C09K 23/00-23/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体クレンジング組成物を製造する方法であって、前記組成物が下記成分(a)~(d)を含み:
(a)少なくとも15重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも10重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも1重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも重量%の水;
ここで、担体(b)はトリグリセリドであり;
前記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体であり;
前記組成物は、脂肪酸の塩であるセッケンを含まず;
かつ、前記方法は下記(i)および(ii)を含む、方法:
(i)成分(a)~(d)を含むが、固体クレンジング組成物中よりも多量の水が存在し、温度が少なくとも45℃であるエマルジョンを調製すること、
(ii)エマルジョンを冷却および固化させ、冷却および固化中に水分量を減少させること。
【請求項2】
エマルジョンを冷却し、固化させて、固体クレンジング組成物の粒子を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも45℃の温度でのエマルジョンは自由流動性液体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
固体クレンジング組成物が、ヌードル、ペレット、フレークまたは粉末の形態である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、(iii)固体クレンジング組成物をブロック、バーまたは錠剤に固化することをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
エマルジョン中に最初に存在する水の質量が、固体クレンジング組成物中に存在する水の質量よりも少なくとも40%高い、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
成分(A)が、硫酸塩、スルホネート、アンホアセテート、スルホアセテート、スルホサクシネート、ホスフェートまたはカルボキシレートの非セッケンアニオン性界面活性剤を含み、それぞれの場合において45℃を超える融点を有するように選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
非セッケンアニオン性界面活性剤が、固体クレンジング組成物の少なくとも20重量%および最大で60重量%を構成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
成分(b)が、水素化菜種油、水素化大豆油、水素化ヒマワリ油、水素化パーム油、水素化ヒマシ油、水素化ベニバナ油および水素化ピーナッツ油のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
担体(b)が、固体クレンジング組成物の少なくとも15重量%および最大で40重量%を構成する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
成分(c)である乳化剤が、少なくとも6および最大で12のHLB値を有する、ここで、2種以上の乳化剤が存在する場合には、HLB値は、前記2種以上の乳化剤の個々のHLB値および量を考慮した重量平均である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
乳化剤(c)が、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、および、脂肪酸のグリセロールまたはポリグリセロールエステルから選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
乳化剤(c)が、C8-C24脂肪酸のグリセロールまたはポリグリセロールエステルを含むか、またはそれからなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
成分(c)である乳化剤が、下記のエステル化反応生成物である、請求項13に記載の方法:
(A)トリグリセリド、脂肪酸、または脂肪酸のメチルエステル(またはそれらの任意の組み合わせ)、および
(B)下記を含む多価アルコール:
(B1)少なくとも3個のグリセロール単位を有するポリグリセロール、ここで、成分(B1)中の少なくとも3個のグリセロール単位を有するポリグリセロールの平均分子量は220~500g/molの範囲である、および
(B2)グリセロールおよび/またはジグリセロール。
【請求項15】
成分(c)である乳化剤が、固体クレンジング組成物の少なくとも2重量%および最大で9重量%を構成する、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
成分(d)である水が、固体クレンジング組成物の少なくとも7重量%および最大で16重量%を構成する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
固体クレンジング組成物が下記成分(a)~(d)を含み、成分(a)~(d)が固体クレンジング組成物の重量の少なくとも70%および最大で100%を構成する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法:
(a)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、少なくとも45℃の融点を有するトリグリセリド
(c)少なくとも2重量%および最大で9重量%の乳化剤;
(d)少なくとも重量%および最大で16重量%の水。
【請求項18】
固体クレンジング組成物が下記成分(a)~(d)を含み、成分(a)~(d)が固体クレンジング組成物の重量の少なくとも80%および最大で100%を構成する、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法:
(a)少なくとも35重量%および最大で55重量%の、少なくとも50℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で40重量%の、少なくとも50℃の融点を有するトリグリセリド;
(c)少なくとも3重量%および最大で8重量%の乳化剤;
(d)少なくとも8重量%および最大で12重量%の水。
【請求項19】
下記成分(a)~(d)を含み、0℃~40℃の範囲にわたって固体であり、かつ脂肪酸の塩であるセッケンを含まない、固体クレンジング組成物:
(a)少なくとも15重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも10重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも3重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも重量%の水
ここで、担体(b)はトリグリセリドである
【請求項20】
成分(c)である乳化剤が、少なくとも6および最大で12のHLB値を有する、ここで、2種以上の乳化剤が存在する場合には、HLB値は、前記2種以上の乳化剤の個々のHLB値および量を考慮した重量平均である、請求項19に記載の固体クレンジング組成物。
【請求項21】
下記成分(a)~(d)を含み、成分(a)~(d)が固体クレンジング組成物の重量の少なくとも70%および最大で100%を構成し、0℃~40℃の範囲にわたって固体である、請求項19または20に記載の固体クレンジング組成物:
(a)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、少なくとも45℃の融点を有するトリグリセリド担体;
(c)少なくとも3重量%および最大で9重量%の乳化剤;
(d)少なくとも重量%および最大で14重量%の水。
【請求項22】
固体クレンジング組成物が、ヌードル、ペレット、フレークまたは粉末の形態であるか、或いは、ブロック、バーまたは錠剤の形態に固化されている、請求項19~21のいずれか1項に記載の固体クレンジング組成物。
【請求項23】
0℃~40℃の範囲にわたって固体である固体クレンジング組成物を調製するためのエマルジョンであって、下記成分(a)~(d)を含み、成分(a)~(d)がエマルジョンの重量の少なくとも70%および最大で100%を構成し、少なくとも45℃の温度である、エマルジョン:
(a)少なくとも20重量%および最大で50重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で50重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも2重量%および最大で9重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも22重量%および最大で50重量%の水
ここで、担体(b)はトリグリセリドであり;
前記エマルジョンは、脂肪酸の塩であるセッケンを含まない
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヌードル、フレーク、ペレットもしくは粉末などの微粒子形態、または、例えば、ブロック、バーもしくは錠剤形態などの固結形態である固体形態の個人用クレンジング組成物の製造に関する改善に関する。本発明はさらに、そのような製造によって製造される固体組成物、およびそのような製造に使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セッケン(Soap)(すなわち、脂肪酸塩)は、安価な固体の個人用クレンジング組成物である。セッケンの大規模製造は効率的である。しかしながら、セッケンは、消費者が普遍的に好む製品ではない。ほとんどのセッケンのpHは約9~10であるが、皮膚の自然のpHは約5.5である。セッケンは有効な洗浄剤であるが、皮膚に有害であると広く考えられている。この理由から多くの消費者は、セッケンを避け、代わりに、セッケンを含まないかまたはセッケンの割合が低い「クレンジングバー(cleansing bars)」を使用する。
【0003】
多くのクレンジングバー(「洗剤バー(detergent bars)」または「シンデットバー(syndet bars)」とも呼ばれる)は、主成分としてイセチオネート界面活性剤(isethionate surfactant)を含有する。しかしながら、成分の費用に関連する理由、または製造に関連する理由、またはその両方のために、クレンジングバーは、典型的にはセッケンバーよりもかなり高価である。
【0004】
英国特許出願公開第783027号明細書は、アルカリ金属アシルイセチオネート(alkali metal acyl isethionate)およびさらなる成分を含有する洗剤錠剤を記載し、これは、25%までのアルカリ金属セッケンを含み得る。アルカリ金属アシルイセチオネートとセッケンとの間の反応を避けるように注意しなければならないことは、当技術分野で知られている。実施例では、成分を混合して熱いペースト状の塊を形成し、次いでこれを粉砕し、混練することができることが記載されている。アルカリ金属アシルイセチオネートおよびセッケンは、熱いペースト状の塊では反応しないと推測され得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、より効率的で安価な方法によって固体クレンジング組成物を製造することである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、固体クレンジング組成物の製造方法が提供され、この組成物は以下を含む:
(a)少なくとも15重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも10重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも1重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも3重量%の水;
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である;
かつ、この方法は以下を含む:
(i)成分(a)~(d)を含むが、固体クレンジング組成物中よりも多量の水が存在するエマルジョンを調製すること、エマルジョンの温度は少なくとも45℃である、
(ii)エマルジョンを冷却および固化させ、冷却および固化中に水分量を減少させて、規定された量の成分(a)~(d)を有する固体クレンジング組成物を製造すること。
【0007】
適切には、第1の態様の方法によって製造される固体クレンジング組成物が完全にまたは主として均一な微細構造を有する。
【0008】
適切には、工程(i)で形成されたエマルジョンおよび固体クレンジング組成物がセッケンを含有しない。適切には、工程(i)で形成されたエマルジョンおよび固体クレンジング組成物がデンプンを含有しない。適切には、工程(i)で形成されたエマルジョンおよび固体クレンジング組成物がセッケンまたはデンプンを含有しない。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、以下を含む固体クレンジング組成物が提供される:
(a)少なくとも15重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも10重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも1重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも3重量%の水;
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、以下を含む固体クレンジング組成物が提供される:
(a)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも2重量%および最大で9重量%の乳化剤;
(d)少なくとも5重量%および最大で16重量%の水;
また、セッケンまたはデンプンを含まないことが好ましい;
ここで、成分(a)~(d)は、固体クレンジング組成物の重量の少なくとも70%および最大で100%を構成する;
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0011】
適切には、第2の態様および第3の態様の固体クレンジング組成物が完全にまたは主として均一な微細構造を有する。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、固体クレンジング組成物を調製するためのエマルジョンが提供され、そのエマルジョンは以下を含む:
(a)少なくとも12重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも8重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも1重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも16重量%の水;
ここで、エマルジョンは少なくとも45℃の温度である。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、固体クレンジング組成物の調製のための前駆体組成物が提供され、その前駆体組成物は以下を含む:
(a)少なくとも12重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも8重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも1重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも16重量%の水;
ここで、前駆体組成物は、少なくとも45℃の温度でエマルジョンである。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、固体クレンジング組成物を調製するためのエマルジョンが提供され、そのエマルジョンは以下を含む:
(a)少なくとも20重量%および最大で50重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で50重量%の、少なくとも45℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも2重量%および最大で9重量%の乳化剤;および
(d)少なくとも16重量%の水;
ここで、エマルジョンは、少なくとも45℃の温度であり、かつ
成分(a)~(d)は、エマルジョンの重量の少なくとも70%および最大で100%を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下のさらなる定義は本発明のすべての局面に適用され、それらが方法であろうと、固体クレンジング組成物であろうと、エマルジョン(または前駆体組成物)であろうと、他のことが記載されるべきでないか、または文脈が他のことを要求しない限り、適用される。
【0016】
好適には第1、第4および第5の態様において、エマルジョンはそれが自由流動性液体である温度である。
【0017】
本発明の第1、第4または第5の態様の好ましい特徴において、非セッケンアニオン性界面活性剤(a)は少なくとも50℃の融点を有し、担体(b)は少なくとも50℃の融点を有し、エマルジョンは少なくとも50℃の温度であり、この温度において、エマルジョンは、自由流動性液体である。
【0018】
本発明の第1、第4または第5の態様の好ましい特徴において、非セッケンアニオン性界面活性剤(a)は少なくとも55℃の融点を有し、担体(b)は少なくとも55℃の融点を有し、エマルジョンは少なくとも55℃の温度であり、この温度において、エマルジョンは、自由流動性液体である。
【0019】
本発明の第1、第4または第5の態様の好ましい特徴において、非セッケンアニオン性界面活性剤(a)は少なくとも60℃の融点を有し、担体(b)は少なくとも60℃の融点を有し、エマルジョンは少なくとも60℃の温度であり、この温度において、エマルジョンは、自由流動性液体である。
【0020】
好適には、第1の態様の方法ではエマルジョンを冷却し、凝固させて、例えばヌードル、ペレット、フレークまたは粉末などの微粒子を形成し、これを塊に固化させ、ブロック、バー、錠剤などに分離することができる。
【0021】
最終的に、クレンジングバーの消費者に提供される製品は、従来のサイズ、例えば50~200g、典型的には80~130gのバーまたは錠剤であってもよい。あるいは製品がヌードル、ペレット、粒子、フレーク、チップなどの形態で提供され得、製造業者はこれらからそのようなバーまたは錠剤を作製し得る。
【0022】
微粒子および得られる固体の固結塊は、異種ではなく、その微細構造が適切に均一である。好ましい実施形態では、固体クレンジング材料へのいかなる成分の凝固後添加(post-solidification addition)もなく、プロセス全体は好ましくは液相で起こる。
【0023】
好ましくは第1の態様、ならびに第4および第5の態様において、エマルジョンは少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃、好ましくは少なくとも75℃、好ましくは少なくとも80℃、好ましくは少なくとも85℃の温度である。
【0024】
好ましくは第1の態様、ならびに第4および第5の態様において、エマルジョンは最大で100℃、好ましくは最大で95℃、より好ましくは最大で90℃の温度である。
【0025】
好ましくは第1の態様、ならびに第4および第5の態様において、エマルジョンは80℃~95℃の範囲、最も好ましくは85℃~90℃の範囲の温度である。
【0026】
好ましくは、非セッケンアニオン性界面活性剤(a)が選択された高温である水(d)に添加される。乳化剤(c)は、好ましくは界面活性剤(a)と同時に、または続いて添加され、担体(b)は、界面活性剤(a)および乳化剤(c)の添加後に水に添加される。担体の前に乳化剤を加えることで、乳化剤が存在して担体の乳化を直ちに開始し、プロセスを阻害する可能性のある膜の形成を防ぐことができる。
【0027】
他の成分が存在する場合には、好都合なときに添加することが好ましい。しばしば、アニオン性界面活性剤と共に、またはその前に、それらを水に添加することが適切である。
【0028】
固体クレンジング組成物の含水量と比較してエマルジョンが過剰の水を含有することが、この方法において重要である。過剰の水の存在は、塊の温度を制御することを可能にする。水は、典型的には冷却および凝固の間にエマルジョンから失われる。これは、噴霧乾燥機、または、エマルジョンを液滴またはペレットに分離し、これらを空気に曝露し、そしてこれらが冷却することにつれて急速に熱を失い得る任意の他の方法を使用することによって実施され得る。
【0029】
好ましくは、製造方法のために使用される水の質量は、固体クレンジング組成物中に存在する水の質量よりも少なくとも30%多く、好ましくは少なくとも40%多く、好ましくは少なくとも50%多く、好ましくは少なくとも60%多く、いくつかの好ましい実施形態では少なくとも70%多い。いくつかの特に好ましい実施形態では、その水の質量は、固体クレンジング組成物中の水の質量よりも少なくとも100%多く、少なくとも125%多くてもよい。
【0030】
好ましくは、製造方法に使用される水の質量は、固体クレンジング組成物中に存在する水の質量より300%以下で多く、好ましくは250%以下で多く、好ましくは200%以下で多い。
【0031】
上記の規定は、製造プロセスで使用される水の質量、すなわちエマルジョン中の水の質量を、固体クレンジング組成物中に存在する水の質量と比較することに留意されたい。これらは、エマルジョン中の成分の総質量で表されるエマルジョン中の水の質量や、固体クレンジング組成物中の成分の総質量で表される固体クレンジング組成物中の水の質量を規定するものではない。そのような規定は、本明細書において後に与えられる。
【0032】
これまで使用されてきた方法によるシンデットバーの製造は、セッケンバーの製造と比較して遅かった。これは、シンデットバーがセッケンバーと比較して高価である1つの理由である。使用される成分およびプロセスパラメータのおかげで、第1の態様の方法は本質的に、従来のセッケン製造の装置および技術を使用することができ、これにより、シンデットバーについて、従前に達成されているものよりも著しく高い生産速度がもたらされる。
【0033】
適切には、成分(a)は、硫酸塩、スルホネート、アンホアセテート、スルホアセテート、スルホサクシネート、ホスフェートまたはカルボキシレートの非セッケンアニオン性界面活性剤を含むことができ、それぞれの場合において、少なくとも45℃の融点を有するように選択される。
【0034】
適切には、成分(a)は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは少なくとも60℃の融点を有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、成分(a)は、少なくとも65℃の融点を有する。
【0035】
硫酸塩非セッケンアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、脂肪アルコール硫酸塩、およびアルキルエーテル硫酸塩、例えばラウレス硫酸ナトリウム(SLES)、マイレス硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル硫酸塩、を含み得る。
【0036】
スルホネート非セッケンアニオン性界面活性剤は、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルケニルスルホネート、アルキルサクシネートスルホネート、アルキルフェノールスルホネート、パーフルオロアルキルスルホネートおよびアシルイセチオネートを含み得る。適当なアルキルサクシネートスルホネートは、ラウレススルホサクシネートジナトリウムである。
【0037】
アンホアセテート、スルホアセテート、およびスルホサクシネート類の非セッケンアニオン性界面活性剤は、ラウリルスルホアセテートナトリウムおよびラウレススルホサクシネートジナトリウムを含み得る。
【0038】
ホスフェート非セッケンアニオン性界面活性剤は、アルキル-アリールエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルホスフェートを含み得る。
【0039】
カルボキシレート非セッケンアニオン性界面活性剤は、サルコシネート、例えばラウロイルサルコシネートナトリウム、およびカルボキシレート系フルオロ界面活性剤、例えばパーフルオロノナノエートおよびパーフルオロオクタノエート(PFOAまたはPFO)を含み得る。
【0040】
本発明で使用するのに好ましい非セッケンアニオン性界面活性剤(a)は、アシルイセチオネートである。
【0041】
本発明で使用するためのアシルイセチオネートは、適切には次式のものである
【化1】
【0042】
式中、R1は、8~24個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である;
2は、水素原子、または1~8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である;
3は、水素原子、または1~8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である;
4は、水素原子、または1~8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である;
5は、水素原子、または1~8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である;
+はカチオンである。
【0043】
好ましくはM+は、任意に置換されたアンモニウムカチオン、または最も好ましくは金属カチオンを表す。好適なアンモニウムカチオンとしては、NH4 +およびトリエタノールアミンのアンモニウムカチオンが挙げられる。好適な金属カチオンには、アルカリ金属カチオン、例えばナトリウム、リチウムおよびカリウムカチオン、ならびにアルカリ土類金属カチオン、例えばカルシウムおよびマグネシウムカチオンが含まれる(ここで、M+がアルカリ土類金属カチオンを表す場合、M+は二価の正電荷を有し、化合物は2つのアニオンを有することに留意されたい)。好ましくは、M+は、カリウムカチオン、とりわけナトリウムカチオンを表す。
【0044】
1は、アルキル基またはアルケニル基であってもよい。好ましくは、R1はアルキル基である。いくつかの実施形態では、構成要素(a)は、脂肪酸の混合物から誘導された界面活性剤を含み、R1が異なっていてもよい式(I)の化合物の混合物を形成してもよい。
【0045】
1は、好ましくは脂肪酸の残基である。天然油から得られる脂肪酸はしばしば、脂肪酸の混合物を含む。例えば、ココナッツ油から得られる脂肪酸は、C12ラウリン酸、C14ミリスチン酸、C16パルミチン酸、C8カプリル酸ならびにC18ステアリン酸およびオレイン酸を含む脂肪酸の混合物を含有する。
【0046】
1は、1つ以上の天然に存在する脂肪酸および/または1つ以上の合成脂肪酸の残基を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、R1は、単一の脂肪酸の残基から本質的に構成される。
【0047】
1を誘導することができるカルボン酸の例には、ココ酸、酪酸、ヘキサン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ベヘン酸、エルシン酸、ドコサヘキサンリグノセリン酸、および、ココナッツ油、獣脂、パーム核油、乳脂、パーム油、オリーブ油、トウモロコシ油、アマニ油、ピーナッツ油、魚油および菜種油から得られるものなどの天然に存在する脂肪酸;単一の長さのまたは選択された鎖長分布の鎖群として作製された合成脂肪酸;ならびにそれらの混合物が含まれる。最も好ましくは、R1は、12個の炭素原子を有する飽和脂肪酸であるラウリン酸の残基、またはラウリン酸鎖が優勢であるココナッツ油に由来する混合脂肪酸の残基を含む。
【0048】
2は、好ましくは水素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。最も好ましくは、R2は水素原子である。
【0049】
3は、好ましくは水素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。最も好ましくは、R3は水素原子である。
【0050】
4は、好ましくは水素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。最も好ましくは、R2は水素原子である。
【0051】
6は、好ましくは水素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。最も好ましくは、R2は水素原子である。
【0052】
いくつかの実施形態では、これらの構成要素R2、R3、R4およびR5のうちの3つは水素であり、1つのみが、1~8個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。このような実施形態において、好ましくはR3、R4およびR5は水素であり、R2はアルキルまたはアルケニル基である。
【0053】
しかしながら、特に好ましい実施形態では、R2、R3、R4およびR5はすべて水素である。
【0054】
いくつかの特に好ましい実施形態では成分(a)は、ラウロイルイセチオネートナトリウム(SLI)、オレオイルイセチオネートナトリウム、およびココイルイセチオネートナトリウム(SCI)のうちの1つ以上またはすべてを含み、これらはSLIに密接に関連するが、同一ではない。
【0055】
最も好ましくは、本発明の組成物の成分(a)は、ココイルイセチオネートナトリウムおよび/またはラウロイルイセチオネートナトリウムを含むか、またはそれからなる。
【0056】
アシルイセチオネートは、成分(a)の唯一の構成要素として機能することができる。しかしながら、いくつかの許容可能な実施形態では、成分(a)は、1つ以上のさらなる非セッケンアニオン性界面活性剤、例えば、上記で規定したもののいずれかと混合したアシルイセチオネートを含んでもよい。このような混合物の実施形態において、アシルイセチオネートは、成分(a)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも65重量%を構成することが適切である。
【0057】
適切には、非セッケンアニオン性界面活性剤は、固体クレンジング組成物の少なくとも20重量%を構成する。
【0058】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の少なくとも24重量%を構成する。
【0059】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の少なくとも28重量%を構成する。
【0060】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の少なくとも32重量%を構成する。
【0061】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の少なくとも35重量%を構成する。
【0062】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の最大で60重量%を構成する。
【0063】
適切には、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の最大で55重量%を構成する。
【0064】
適切には、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の最大で50重量%を構成する。
【0065】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤は固体クレンジング組成物の最大で45重量%を構成する。
【0066】
適切には、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの少なくとも15重量%を構成する。
【0067】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの少なくとも18重量%を構成する。
【0068】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの少なくとも22重量%を構成する。
【0069】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの少なくとも24重量%を構成する。
【0070】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの少なくとも26重量%を構成する。
【0071】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの最大で50重量%を構成する。
【0072】
適切には、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの最大で40重量%を構成する。
【0073】
適切には、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの最大で36重量%を構成する。
【0074】
適切にはいくつかの実施形態において、非セッケンアニオン性界面活性剤はエマルジョンの最大で32重量%を構成する。
【0075】
適切には、成分(b)は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは少なくとも60℃の融点を有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、成分(b)は少なくとも65℃の融点を有し得る。
【0076】
適切には、成分(b)である担体はトリグリセリド、脂肪酸、脂肪アルコールまたはワックス(これらの成分のいずれかの混合物を含む)から選択される。
【0077】
適切には、成分(b)である担体は蜜蝋であってもよく、またはトリグリセリド、脂肪酸、脂肪アルコールまたは植物由来のワックスであってもよい。
【0078】
好ましくは、成分(b)は、脂肪酸鎖がC8脂肪酸または高級脂肪酸の残基であるトリグリセリドである。好ましくはC8-C32脂肪酸の残基、好ましくはC10-C24脂肪酸の残基、好ましくはC12-C20脂肪酸の残基、最も好ましくはC12-16脂肪酸の残基である。
【0079】
好ましくは、成分(b)は飽和トリグリセリドである。好ましくは、トリグリセリド中の実質的に全ての脂肪酸鎖が飽和している。好ましくは、それは水素化トリグリセリドである。
【0080】
適切には、成分(b)は、水素化菜種油、水素化大豆油、水素化ヒマワリ油、水素化パーム油、水素化ヒマシ油、水素化ベニバナ油および水素化ピーナッツ油のうちの少なくとも1つを含む。このような油は、単独で、またはこれらの水素化油の2つ、3つ、4つまたはそれ以上またはすべての混合物として使用することができる。適切には、これらの油(1種より多く使用される場合には合計される)は、担体、成分(b)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、および好ましくは100重量%を構成する。
【0081】
適切な担体はまた、脂肪酸、適切にはC8脂肪酸、または高級脂肪酸;例えばC8-C32脂肪酸、好ましくはC10-C24脂肪酸、好ましくはC12-C20脂肪酸、および最も好ましくはC12-C16脂肪酸を含む。
【0082】
適切な担体はまた、脂肪アルコール、適切にはC16脂肪アルコール、または高級脂肪アルコール;例えばC8-C32脂肪アルコール、好ましくはC10-C24脂肪アルコール、好ましくはC12-C20脂肪アルコール、および最も好ましくはC16-C18脂肪アルコールを含む。
【0083】
本明細書で、脂肪酸または脂肪アルコールの残基Cxxは、Cxxが残基の平均を表すか、または残基Cxxが全脂肪酸または脂肪アルコール残基の重量の半分以上を構成する、脂肪酸または脂肪アルコールの残基を意味する。これらの定義のいずれかが満たされる場合、本明細書で与えられる定義が適用される。
【0084】
適切なワックスとしては、植物由来のワックス、例えばカルナウバワックス、および蜜蝋が挙げられる。
【0085】
適切には、成分(b)である担体は、固体クレンジング組成物の少なくとも15重量%を構成する。
【0086】
適切にはいくつかの実施形態において、担体は固体クレンジング組成物の少なくとも20重量%を構成する。
【0087】
適切にはいくつかの実施形態において、担体は固体クレンジング組成物の少なくとも25重量%を構成する。
【0088】
適切にはいくつかの実施形態において、担体は固体クレンジング組成物の少なくとも30重量%を構成する。
【0089】
適切には、担体は固体クレンジング組成物の最大で50重量%を構成する。
【0090】
適切には、担体は固体クレンジング組成物の最大で45重量%を構成する。
【0091】
適切には、担体は固体クレンジング組成物の最大で40重量%を構成する。
【0092】
適切にはいくつかの実施形態において、担体はエマルジョンの少なくとも12重量%を構成する。
【0093】
適切にはいくつかの実施形態において、担体はエマルジョンの少なくとも20重量%を構成する。
【0094】
適切にはいくつかの実施形態において、担体はエマルジョンの少なくとも24重量%を構成する。
【0095】
適切には、担体はエマルジョンの最大で45重量%を構成する。
【0096】
適切には、担体はエマルジョンの最大で40重量%を構成する。
【0097】
適切には、担体はエマルジョンの最大で36重量%を構成する。
【0098】
適切には、担体はエマルジョンの最大で32重量%を構成する。
【0099】
適切には、固体クレンジング組成物中で、非セッケンアニオン性界面活性剤(a)の重量%は、担体(b)の重量%を超える。
【0100】
適切には、成分(c)である乳化剤は、少なくとも6、好ましくは少なくとも7、最も好ましくは少なくとも8のHLB値を有する。
【0101】
適切には、乳化剤は、最大で12、好ましくは最大で11、最も好ましくは最大で10のHLB値を有する。
【0102】
従って、乳化剤に適した範囲は6~12であり、好ましい範囲は8~10である。
【0103】
所望のHLB値は単一の乳化剤のものであってもよいし、または組み合わせて(それらの個々のHLB値およびブレンド中のそれらの量を考慮に入れて加重平均として計算して)6~12または8~10の好ましい範囲内の所望のHLB値を達成する2つ以上の乳化剤の選択によって達成されてもよい。したがって、乳化剤A1、A2、A3・・・の加重平均は、次の式を使用して計算できる。
【0104】
【数1】
【0105】
適切な乳化剤(c)には、ソルビタン脂肪酸エステルおよびエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。適切な非エトキシル化のソルビタン脂肪酸エステルには、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレートおよびソルビタントリステアレートが含まれる。適切なエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルには、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタントリステアレートが含まれる。
【0106】
適切な乳化剤(c)には、脂肪酸のグリセロールエステル、すなわち、脂肪酸とグリセロールまたはポリグリセロールとのエステルが含まれる。グリセロールまたはポリグリセロールとC6-C36脂肪酸、例えばC12-C24脂肪酸との反応により、非常に広範囲の適当なグリセロールエステルを製造することができる。脂肪酸は、脂肪酸として、または、前駆体エステル化合物、例えばトリグリセリドとしてエステル化反応に供給することができる。本発明での使用に適した例には、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールパルミテートおよびグリセロールモノラウレートが含まれる。
【0107】
脂肪酸とソルビタン脂肪酸エステルまたはポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルとのグリセロールエステルのブレンドを使用して、乳化剤(c)について上記で定義したHLB値を(加重平均として)達成することが有用であることが見出された。
【0108】
本発明者らは、以下に記載されるグリセロールエステルの1つの特定のサブクラスが本発明において特に有益であることを見出した。
【0109】
本発明のそのような実施形態では、乳化剤、成分(c)は、(A)トリグリセリド、または脂肪酸、または脂肪酸のメチルエステル(またはそれらの任意の組み合わせ)、ならびに、(B)(B1)少なくとも3つのグリセロール単位を有するポリグリセロールおよび(B2)グリセロールおよび/またはジグリセロールを含む多価アルコール、のエステル化反応生成物であってもよい。
【0110】
好ましくは、トリグリセリド(A)は、(18℃の周囲温度で液体である)植物由来の油である。好ましくは、それは、構造がエステル化反応の前に化学的に修飾されていない、天然に存在する油または脂肪である。
【0111】
トリグリセリドのバッチは、それらの平均分子量および成分の分布において変化し得るが、本明細書に記載される値は典型的な状況を規定する。
【0112】
トリグリセリド、または、脂肪酸もしくは脂肪酸のメチルエステルの親トリグリセリド(parent triglyceride)は、単一のトリグリセリド源、例えば、単一の命名された油または脂肪から、または、ブレンドされた複数のトリグリセリド源からであってもよい。
【0113】
トリグリセリドの、または脂肪酸の、または脂肪酸のメチルエステルの脂肪酸部分は、それぞれR-CO-部分を有し、ここでRはヒドロカルビル部分を表す。好ましくはR-CO-部分に少なくとも6個の炭素原子、好ましくは少なくとも8個の炭素原子;好ましくは少なくとも10個の炭素原子;最も好ましくは少なくとも12個の炭素原子が存在する。好ましくはR-CO-部分に最大で36個の炭素原子、好ましくは最大で28個の炭素原子、好ましくは最大で24個の炭素原子、より好ましくは最大で20個の炭素原子が存在する。
【0114】
エステル化反応に使用するのに適した脂肪または油は、下記の1つまたは複数から選択することができる:アーモンド油、ババス油、ボラージ油、カノーラ油、ココアバター、ココナッツ油、コーン油(トウモロコシ油)、綿実油、亜麻仁油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、イリッペ、オートミール油、オリーブ油、パーム油、パームオレイン、パーム核油、ピーナッツ油、菜種油、サフラワー油、ゴマ油、シアナッツ、大豆油(soybean oil)、ホシダネヤシ油、ヒマワリ油、クルミ油、アプリコット油、スイートアーモンド油、アボカド油、バオバブ油、ブルーベリー種子油、カレンジュラ油、ツバキ油、チェリー核油、クランベリー種子油、ヘンプ油、ホホバ油、ククルナッツ油、マカデミアナッツ油、マンケッティ油、メロン種子油、モリンジ油、モモ核油、ピスタチオ油、ラズベリー種子油、米ぬか油、ローズヒップ油、大豆油(soya oil)、小麦胚芽油、ヤング油(yangu oil)およびそれらの水素添加物。油または脂肪のブレンドを使用してもよい。
【0115】
エステル化反応に使用することができる脂肪酸または脂肪酸のメチルエステルは、上記の脂肪または油のいずれかから誘導される脂肪酸またはメチルエステルを含むことができる。
【0116】
エステル化反応に使用され得る、または油脂によってエステル化反応に「搬送」されたとみなされ得る脂肪酸は、下記の1つまたは複数から選択することができる:カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、ワクテン酸、リノール酸、α-リノレン酸(ALA)、γ-リノレン酸(GLA)、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸(AA)、EPA(5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸)、ベヘン酸、エルシン酸、DHA(4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、リグノセリン酸およびこれらの酸のメチルエステル。脂肪酸および/または脂肪酸メチルエステルのブレンドを使用してもよい。
【0117】
特に好ましい酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸(ALA)およびγ-リノレン酸(GLA)が挙げられる。特に好ましいメチルエステルは、このような脂肪酸のメチルエステルであり得る。このような脂肪酸を生じる油または脂肪は、好ましい油または脂肪である。特に好ましい油は、亜麻仁(亜麻)油(α-リノレン酸、ALAを生成することができる)、ボラージ種子(ボラージ)油(γ-リノレン酸、GLAを生成することができる)およびパーム核油(パルミチン酸を生成することができる)である。
【0118】
脂肪酸部分は、遊離酸またはそのメチルエステルとしてか、またはトリグリセリドの成分としてかにかかわらず、飽和または不飽和であり得る。不飽和ならば、それらは、適切には1~6の二重結合、好ましくは1~3の二重結合を持ち得る。脂肪酸またはメチルエステルまたは親油(parent oils)または脂肪は、水素化されていてもよい。
【0119】
一実施形態では、脂肪酸部分は、遊離酸またはそのメチルエステルであろうと、トリグリセリドの成分であろうと、282g/mol未満、好ましくは260g/mol未満、好ましくは240g/mol未満の平均分子量を有する飽和脂肪酸部分である。
【0120】
一実施形態では、脂肪酸部分は、遊離酸またはそのメチルエステルであろうと、トリグリセリドの成分であろうと、320g/mol未満、好ましくは300g/mol未満の平均分子量を有する不飽和脂肪酸部分である。
【0121】
ポリグリセロールのバッチは、それらの平均分子量および成分の分布において変化し得るが、本明細書に記載される値は典型的な状況または典型的な平均値を規定する。
【0122】
好ましくは、ポリグリセロール成分(B1)はポリグリセロール-4を含む。
【0123】
ポリグリセロール-4は、その名称で販売されている市販の製品である。ポリグリセロール-4は、ポリグリセロールの平均分子量がポリグリセロール-4を中心とするポリグリセロール化合物の分散物(distribution)である。
【0124】
好ましくは、ポリグリセロール成分(B1)は、3~6個のグリセロール単位で構成されるポリグリセロール化合物を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも85重量%で含む。
【0125】
好ましくは、ポリグリセロール成分(B1)は、化合物テトラグリセロールを少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%で含む。
【0126】
トリグリセロールはまた、ポリグリセロールの平均分子量がポリグリセロール-4を中心とする場合でさえ、重要な成分であり得る。好ましくは、ポリグリセロール成分(B1)は、化合物トリグリセロールを少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%で含む。
【0127】
好ましくは、化合物テトラグリセロールは、化合物ペンタグリセロールよりも高い重量でポリグリセロール成分(B1)中に存在する。
【0128】
いくつかの実施形態において、化合物テトラグリセロールは、ポリグリセロール成分(B1)中に重量比で最大の割合で存在する単一の化合物であり得る。
【0129】
本発明において好ましい成分(B1)として使用され得るポリグリセロール-4の商業的供給源において、化合物の重量による割合は、典型的には以下の通りである:
トリグリセロール、20~50重量%
テトラグリセロール、20~50重量%
高級ポリグリセロール、合計で15~40重量%
他の化合物は、20重量%以下、典型的には12重量%未満である。
【0130】
本明細書において高級ポリグリセロールは、5以上のグリセロール単位から形成されるポリグリセロール化合物を意味する。
【0131】
他の化合物としては、水およびジグリセロールが挙げられる。少量のグリセロールが存在することもある。
【0132】
グリセロールおよび/またはジグリセロールがポリグリセロール源中に存在する場合、それらは成分(B2)の一部または全部を供給することができる。しかしながら、ポリグリセロール源中のグリセロールおよびジグリセロールの量は一般に低い。したがって、このような実施形態では、一般に、所望の量に達するためにグリセロールおよび/またはジグリセロールを供給することが必要である。これは、グリセロールおよび/またはジグリセロールの単純な追加によって行うことができる。トリグリセリドが使用される場合、それは、エステル化反応におけるグリセロールの遊離によって生じ得る。
【0133】
好ましくは、少なくとも3つのグリセロール単位を有する成分(B1)中のポリグリセロールの平均分子量は、220~500g/mol、好ましくは230~450g/mol、好ましくは240~420g/mol、好ましくは250~400g/mol、好ましくは260~370g/mol、280~350g/mol、最も好ましくは300~330g/molの範囲である。
【0134】
好ましくは、グリセロールは、成分(B2)を少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%で含む。
【0135】
好ましくは、成分(B1)に対する成分(B2)の重量比は、少なくとも4部の(B1)に対して1部の(B2)、好ましくは少なくとも6部の(B1)に対して1部の(B2)、最も好ましくは少なくとも8部の(B1)に対して少なくとも1部の(B2)である。
【0136】
好ましくは、成分(B1)に対する成分(B2)の重量比は、最大で24部の(B1)に対して1部の(B2)、好ましくは最大で20部の(B1)に対して1部の(B2)、最も好ましくは最大で16部の(B1)に対して1部の(B2)である。
【0137】
好ましくは、成分(B1)および(B2)は、機能性流体の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%を構成する。
【0138】
成分(c)を製造するためにトリグリセリド(A)を使用する場合、この反応はエステル交換反応とみなすことができる。上記のように、反応で遊離したグリセロールは、成分(B2)の一部または全部を提供することができる。好ましくは、成分(B2)に含まれるグリセロールの全てを提供する。グリセロールを除去または添加してもよい。好ましくは、グリセロールは除去されない。好ましくは、トリグリセリドが使用される場合、グリセロールは添加されない。
【0139】
脂肪酸または脂肪酸メチルエステルをエステル化反応に使用して成分(c)を製造する場合、成分(B2)を、好適には、上記した(B1):(B2)の規定の少なくとも1つを満たすような量で反応混合物に添加する。
【0140】
トリグリセリドを使用する場合、平均分子量に基づいて、反応混合物中のトリグリセリドに対するポリグリセロールのモル比は、好ましくは0.5~5対1、好ましくは1~4対1、好ましくは1.5~3対1、最も好ましくは2~2.5対1である。平均分子量は、通常の測定によって決定することができる。トリグリセリドの場合、これは、GC結果に由来し得る。ポリグリセロールの場合、原料仕様を使用することができる。
【0141】
脂肪酸または誘導体を使用する場合、反応混合物中の脂肪酸に対するポリグリセロールのモル比は、平均分子量に基づいて、0.2~3対1、好ましくは0.3~2対1、好ましくは0.5~1.5対1、最も好ましくは0.7~1.3対1である。
【0142】
本明細書における「エステル化」は、トランスエステル交換(transesterification)またはインターエステル交換(interesterification)を含む。
【0143】
グリセロールエステル乳化剤の製造には、標準的なエステル化条件を用いることができる。トリグリセリドを使用する適切な反応は、アルカリ性条件下(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの添加による)および高温、例えば、少なくとも150℃、好ましくは200~250℃で実施される。適切には、反応混合物に追加される脂肪酸を使用する反応は、酸性条件下(例えば、スルホン酸またはオルトリン酸の添加による)および高温、例えば、少なくとも150℃、好ましくは200~250℃で実施される。
【0144】
好ましくは、この方法は、トリグリセリドを使用する場合であっても、ワンポット法である。
【0145】
好ましくは、乳化剤は、後処理(存在する触媒の中和以外)を行っていないエステル化反応の生成物である。好ましくは、それは18℃の周囲温度で液体である。
【0146】
好ましくは、乳化剤は、油または脂肪中に存在するトリグリセリドの範囲(またはそのようなトリグリセリドから得られる脂肪またはメチルエステルの範囲)、および、供給されたままの「ポリグリセロール」源中に存在するポリグリセロール化合物の範囲から形成される、複数のエステルを含む。乳化剤は、多くのエステル、例えば20を超えるエステル化合物、または50を超えるエステル化合物、または100を超えるエステル化合物を含むことができる。適切には乳化剤は、モノグリセロール脂肪酸エステル、トリグリセロール脂肪酸エステルおよびテトラグリセロール脂肪酸エステルを含み、適切にはエステル化反応に使用される異なるグリセロールおよびポリグリセロール成分の量に応じてである。
【0147】
本明細書に記載の方法を使用することにより、上記の範囲のHLB値を有するか、または他の乳化剤と混合した場合に加重平均HLB値を提供することができる乳化剤を製造することができ、本発明での使用に好適であることが見出されている。
【0148】
好適には、エマルジョンは水中油型エマルジョンである。
【0149】
エマルジョンは、WO2014/170641に開示された方法に従って調製することができる。
【0150】
適切には、成分(c)である乳化剤は、固体クレンジング組成物の少なくとも2重量%を構成する。
【0151】
適切には、乳化剤は固体クレンジング組成物の少なくとも3重量%を構成する。
【0152】
適切には、乳化剤は固体クレンジング組成物の少なくとも4重量%を構成する。
【0153】
適切には、乳化剤は固体クレンジング組成物の少なくとも5重量%を構成する。
【0154】
適切には、乳化剤は固体クレンジング組成物の少なくとも6重量%を構成する。
【0155】
乳化剤は、いくつかの実施形態において、固体クレンジング組成物の最大で9重量%を構成し得る。
【0156】
乳化剤は、いくつかの実施形態において、固体クレンジング組成物の最大で8重量%を構成し得る。
【0157】
乳化剤は、いくつかの実施形態において、固体クレンジング組成物の最大で7重量%を構成し得る。
【0158】
乳化剤は、いくつかの実施形態において、固体クレンジング組成物の最大で6重量%を構成し得る。
【0159】
適切には、成分(c)である乳化剤はエマルジョンの少なくとも2重量%を構成する。
【0160】
適切には、成分(c)である乳化剤はエマルジョンの少なくとも3重量%を構成する。
【0161】
適切には、乳化剤はエマルジョンの少なくとも4重量%を構成する。
【0162】
適切には、乳化剤はエマルジョンの少なくとも5重量%を構成する。
【0163】
適切にはいくつかの実施形態では、乳化剤はエマルジョンの少なくとも6重量%を構成する。
【0164】
いくつかの実施形態では、乳化剤はエマルジョンの最大で9重量%を構成する。
【0165】
いくつかの実施形態では、乳化剤はエマルジョンの最大で8重量%を構成する。
【0166】
いくつかの実施形態では、乳化剤はエマルジョンの最大で7重量%を構成する。
【0167】
いくつかの実施形態では、乳化剤はエマルジョンの最大で6重量%を構成する。
【0168】
適切には、乳化剤はエマルジョンの最大で5重量%を構成する。
【0169】
適切には、成分(d)である水は固体クレンジング組成物の少なくとも5重量%を構成する。
【0170】
適切には水は固体クレンジング組成物の少なくとも6重量%を構成する。
【0171】
適切には水は固体クレンジング組成物の少なくとも7重量%を構成する。
【0172】
適切には水は固体クレンジング組成物の少なくとも8重量%を構成する。
【0173】
適切には水は固体クレンジング組成物の少なくとも9重量%を構成する。
【0174】
適切には水は固体クレンジング組成物の最大で16重量%を構成する。
【0175】
適切には水は固体クレンジング組成物の最大で14重量%を構成する。
【0176】
適切には水は固体クレンジング組成物の最大で12重量%を構成する。
【0177】
適切には水は固体クレンジング組成物の最大で11重量%を構成する。
【0178】
適切には水は固体クレンジング組成物の最大で10重量%を構成する。
【0179】
適切には、成分(d)である水はエマルジョンの少なくとも12重量%を構成する。
【0180】
適切には、水はエマルジョンの少なくとも16重量%を構成する。
【0181】
適切には、水はエマルジョンの少なくとも20重量%を構成する。
【0182】
適切には、水はエマルジョンの少なくとも22重量%を構成する。
【0183】
適切には、水はエマルジョンの少なくとも24重量%を構成する。
【0184】
適切には、水はエマルジョンの最大で50重量%を構成する。
【0185】
適切には、水はエマルジョンの最大で40重量%を構成する。
【0186】
適切には、水はエマルジョンの最大で36重量%を構成する。
【0187】
適切には、水はエマルジョンの最大で32重量%を構成する。
【0188】
適切には、水はエマルジョンの最大で30重量%を構成する。
【0189】
その他の成分
任意のさらなる成分は、(限定されるものではないが)多価アルコール、キレート剤、脂肪アルコールおよび両性界面活性剤を含み得る。さらなる成分は、製造利益、例えば、製造中の泡制御、および/または最終生産物使用者利益、例えば、クレンジング中の泡制御、または皮膚軟化性を提供し得る。さらなる成分は、合計で、好ましくは固体クレンジング組成物の最大で30重量%の量で存在してもよい。
【0190】
適切な多価アルコールには、C2-C4アルコール、とりわけグリコールおよびグリセロール、例えばモノプロピレングリコールおよびグリセリンが含まれる。多価アルコールは、存在する場合、合計で、固体クレンジング組成物の最大で15重量%、好ましくは最大で10重量%の量で存在してもよい。
【0191】
適切なキレート剤には、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)、HEDP(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸)、NTA(ニトリロトリ酢酸)、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、EDDS(エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸)、GLDA(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩)およびPDTA(プロピレンジニトリロテトラ酢酸);ならびに上記のいずれかの類似体であるキレート剤が含まれる。キレート剤は、存在する場合、合計で、適切には固体クレンジング組成物の最大で0.5重量%、好ましくは最大で0.2重量%の量で存在し得る。
【0192】
両性界面活性剤には、ベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン(CAPB)が含まれる。両性界面活性剤は、存在する場合、合計で、固体クレンジング組成物の最大で10重量%、好ましくは最大で6重量%の量で存在してもよい。
【0193】
好ましくは、本発明の固体クレンジング組成物は、いかなるセッケン(脂肪酸の塩)も含有しない。
【0194】
好ましくは、本発明の固体クレンジング組成物は、いかなるデンプンも含有しない。
【0195】
本発明の固体クレンジング組成物のpH(水への5重量%希釈で測定)は、好ましくは8未満、より好ましくは7未満、より好ましくは6.5未満である。適切には、固体クレンジング組成物のpH(20%)は、4より大きく、好ましくは5より大きく、好ましくは5.5より大きい。
【0196】
第1の態様の好ましい方法において、固体組成物は以下を含む:
(a)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、好ましくは少なくとも30重量%および最大で50重量%の、少なくとも45℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で60重量%の、好ましくは少なくとも30重量%および最大で50重量%の、少なくとも60℃の融点を有する担体;
(c)少なくとも2重量%および最大で9重量%の、好ましくは少なくとも3重量%および最大で8重量%の乳化剤;
(d)少なくとも5重量%および最大で16重量%の、好ましくは少なくとも8重量%および最大で12重量%の水;
好ましくは、セッケンまたはデンプンを含まない;
ここで、成分(a)~(d)は、固体クレンジング組成物の重量の少なくとも70%および最大で100%を構成する。任意のさらなる成分は存在する場合、好ましくは上記のさらなる成分から選択される。
【0197】
第1の態様のさらに好ましい方法において、固体クレンジング組成物は以下を含む:
(a)少なくとも30重量%および最大で55重量%の、少なくとも50℃の融点を有する非セッケンアニオン性界面活性剤;
(b)少なくとも20重量%および最大で40重量%の、少なくとも60℃の融点を有するトリグリセリド;
(c)少なくとも5重量%および最大で9重量%の乳化剤;
(d)少なくとも8重量%および最大で12重量%の水;
好ましくは、セッケンまたはデンプンを含まない;
ここで、成分(a)~(d)は、固体クレンジング組成物の重量の80~100%を構成する。任意のさらなる成分は、存在する場合、上記のさらなる成分から適切に選択され得る。
【0198】
第1の態様の固体クレンジング組成物は、0~40℃の範囲にわたって固体である。好ましくは、それは均質であり、光学顕微鏡下の100倍の倍率で切断面を検査した場合に、微粒子は見られない。均質な性質は、固体クレンジング組成物の調製のための溶融プロセスの結果である。
【0199】
上記で規定した量の上記で規定した成分を有する棒状の固体クレンジング組成物は、水の量が最終固体クレンジング組成物よりも多いそれら成分のエマルジョンを調製し、それを冷却および乾燥し、それを固化させて、粒子状の塊(particulate mass)を形成し、その粒子状の塊をモノリシックな塊(monolithic mass)に固化し、そのモノリシックな塊を棒状に分離することによって製造される。
【0200】
当業者であれば、本発明の組成物の成分、特に成分(a)および(b)は、天然由来のものであってもよく、平均炭素値に関する分子の分布を含んでいてもよいことが理解されるであろう。このような成分は、鋭い融点を有するのではなく、ある温度範囲にわたって溶融することが予想される。本明細書で規定される融点は、材料が完全に溶融する温度を指す。Renata Tieko NassuおよびLireny Aparecida Guaraldo Goncalvesによる示差走査熱量測定(DSC)技術による植物油および脂肪の融点の決定、Grasas y Aceites Vol.50. Fase. 1 (1999), 16-22という論文に記載されている方法を参照されたい。この論文に記載されているDSCは、材料が完全に液体状態にあるときを決定するために使用することができる。
【0201】
明細書を通して、「重量%」は、規定される組成物の重量基準のパーセントを意味する。
【実施例
【0202】
本発明は、以下の実施例を参照して、例示としてさらに記載される。
【0203】
実施例1
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して、記載した順序で行った。
【0204】
【表1】
【0205】
DISSOLVINE GL 47Sは、オランダのAkzo Nobelの商標である。それは、N,N-ビス(カルボキシラトメチル)-L-グルタミン酸四ナトリウム(GLDA)であるキレート剤である。
【0206】
PUREACT I-78は、イギリス、エレスメア・ポートのInnospec Performance Chemicalsの商標である。その主成分は、ココイルイセチオネートナトリウム(SCI)、83~89重量%であり、一般に<1重量%の水、<14重量%のココナッツ脂肪酸および4~7重量%のイセチオネートナトリウムも有する。
【0207】
DUROSOFT PK-SGは、英国、リーズのStephenson Group Limitedの商標である。これは、パーム核油とポリグリセロール-4(平均Mw=250)のエステルである。DUROSOFT PK-SGのHLB値は8.8である。この生成物の調製は、WO2014/170641に与えられている。
【0208】
ココイルイセチオネートナトリウム(SCI)および水素化ヒマワリ油は、融解し、90℃の水に添加した。他の成分を順番に添加し(水素化ヒマワリ油が最後)、塊を、まだ溶けていない状態で約5時間作業した。次いで、容易に流動可能な液体であるエマルジョンを、0.5mmメッシュを有するニードルプレートに2回ポンプで通し、粒子として固化させた。処理のこの段階の間に、水は蒸発によって失われ、それによって水含有量は、得られた固体クレンジング組成物の重量に対して約9.5重量%に減少した。粒子を冷却した後、独自の押出機(plodder)に通した。典型的な押出機は、イタリア、ブスト・アルシーツィオのMazzoni S.P.a.によって製造されたDuplex Model M400-2/M400-4押出機である。押出の間、固体クレンジング組成物の温度を38℃~42℃の間に維持した。押出によって作製され、まだ38~42℃であるビレットを、チルドダイス上で棒状にプレスした。
【0209】
固体クレンジング組成物のpHは、市販のpH計によって測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0210】
得られた生成物は高品質であり、使用に完全に適していた。
【0211】
実施例2
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して記載した順序で行い、実施例1について記載したプロセスパラメータを適用した。
【0212】
【表2】
【0213】
DEQUESTは、イタリア、ジェノヴァのItalmatch Chemicals S.P.a.の商標である。
【0214】
クレンジング錠剤の調製は、実施例1に記載した通りであった。
【0215】
固体クレンジング組成物のpHは、市販のpH計によって測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0216】
実施例3
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して、記載した順序で行った。
【0217】
【表3】
【0218】
クレンジング錠剤の調製は、実施例1に記載した通りであった。
【0219】
クレンジング組成物のpHは、市販のpH計によって測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0220】
得られた錠剤は非常に柔らかかったが、依然として使用に適していた。
【0221】
実施例4
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して、記載した順序で行った。
【0222】
【表4】
【0223】
クレンジング錠剤の調製は、実施例1に記載した通りであった。
【0224】
クレンジング組成物のpHは、市販のpH計によって測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0225】
得られた錠剤は、最適とは言えないほど溶解が不均一であったが(当業者の用語では「ザラザラ」)、依然として使用に適していた。
【0226】
実施例5
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して、記載した順序で行った。
【0227】
【表5】
【0228】
NAFOLは、南アフリカのサンドントンのSasolの商標である。
【0229】
クレンジング錠剤の調製は、実施例1に記載した通りであった。
【0230】
クレンジング組成物のpHは、市販のpH計によって測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0231】
得られた錠剤は非常に柔らかかったが、依然として使用に適していた。
【0232】
実施例6
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して、記載した順序で行った。
【0233】
【表6】
【0234】
VERSENEXは、米国ミシガン州オーバーンのDow Chemicalsの商標である。
【0235】
SPAN 20は、英国ヨークシャーのCroda Internationalの商標である。
【0236】
SPAN 20は、8.6のHLB値を有する。
【0237】
クレンジング錠剤の調製は、実施例1に記載した通りであった。
【0238】
クレンジング組成物のpH(20%)は、市販のpH計で測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0239】
得られた錠剤は高品質であり、使用に完全に適していた。
【0240】
実施例7
以下の成分を、第2カラムに記載された量で添加し、第3カラムに記載された量で最終生成物中に残存させた。成分の添加は、水から開始して、記載した順序で行った。
【0241】
【表7】
【0242】
ポリソルベート20は16.7のHLB値を有する。ステアリン酸グリセリルは3.8のHLB値を有する。
これらの乳化剤の重量平均は、上記の式によって8.8として計算される。
【0243】
クレンジング錠剤の調製は、処理中に少量の水を加えて泡を抑えたことを除いて、実施例1に記載した通りであった。
【0244】
クレンジング組成物のpH(20%)は、市販のpH計で測定した場合、5%希釈で6~7であった。
【0245】
得られた錠剤は、我々が最適と考えるよりも柔らかかったが、使用には依然として適していた。