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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】テープフィーダおよび実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021534884
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2019028642
(87)【国際公開番号】W WO2021014529
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
(72)【発明者】
【氏名】細井 規生
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-054697(JP,A)
【文献】特開2014-220396(JP,A)
【文献】特開2017-092271(JP,A)
【文献】特開2013-206963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容するボトムテープと該ボトムテープに貼着されたカバーテープとにより構成されたキャリアテープを送り出して前記部品を供給するテープフィーダであって、
前記部品の供給位置よりも手前で前記カバーテープを前記ボトムテープから剥離させる剥離部と、
前記ボトムテープから剥離された前記カバーテープを回収するために、モータの駆動により該カバーテープに張力を付与する張力付与部と、
前記テープフィーダの電源オフ時に前記剥離部と前記張力付与部との間で前記カバーテープを挟んで保持し、前記テープフィーダの電源オン時に前記カバーテープの保持を解除する保持部と、
を備えるテープフィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のテープフィーダであって、
押付部材と、前記押付部材を前記剥離部と前記張力付与部との間で前記カバーテープに押し付ける方向に付勢するスプリングとを有し、前記押付部材を押し付けることにより前記カバーテープの張力を調整する調整部を備え、
前記保持部は、前記カバーテープに押し付けられた前記押付部材との間で前記カバーテープを挟んで保持するように、前記テープフィーダの本体に固定された固定部材である
テープフィーダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のテープフィーダであって、
前記張力付与部は、前記カバーテープを挟んだ状態で前記モータの駆動により回転する一対の回転部材により、前記カバーテープを所定の回収箇所に引き込むように構成され、
前記キャリアテープは、前記部品の供給位置に送り出される方向とは逆方向に送られる場合がある
テープフィーダ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテープフィーダが着脱可能に装着され、
前記テープフィーダから前記供給位置に供給された前記部品を採取部材で採取して基板に実装する実装処理を行う
実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープフィーダおよび実装装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテープフィーダとしては、部品を収容したボトムテープとボトムテープの上面に貼着されたカバーテープ(トップテープ)で構成されたテープ(部品収納テープ)を送り出し、ボトムテープからカバーテープを剥離させることで、実装装置で採取可能に部品を供給するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このテープフィーダは、カバーテープを挟持するための引取ローラおよび押さえローラと、引取ローラを回転させるモータとを有するテープ引取機構と、テープ引取機構の後方に配置された回収ボックスとを備える。そして、テープフィーダは、テープ引取機構のモータの駆動により引取ローラを回転させてカバーテープを後方へ引き込むことで、回収ボックスにカバーテープを回収する。また、テープフィーダは、テープ引取機構のモータの駆動により、カバーテープに所定の張力を付与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-54967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したテープフィーダは、例えば実装装置から取り外されるなど、テープフィーダの電源がオフされる際、テープ引取機構のモータによる張力がカバーテープに付与されないことになる。そのため、テープフィーダが取り外されるまでの間にカバーテープに弛みが生じ、その弛みによって部品の供給位置の近傍でカバーテープが浮き上がる場合がある。その場合、浮き上がったカバーテープが、実装装置の部品の採取動作に干渉するおそれがあり、好ましくない。
【0005】
本開示は、テープフィーダの電源オフ時にカバーテープが弛むのを適切に防止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のテープフィーダは、
複数の部品を収容するボトムテープと該ボトムテープに貼着されたカバーテープとにより構成されたキャリアテープを送り出して前記部品を供給するテープフィーダであって、
前記部品の供給位置よりも手前で前記カバーテープを前記ボトムテープから剥離させる剥離部と、
前記ボトムテープから剥離された前記カバーテープを回収するために、モータの駆動により該カバーテープに張力を付与する張力付与部と、
前記テープフィーダの電源オフ時に前記剥離部と前記張力付与部との間で前記カバーテープを挟んで保持し、前記テープフィーダの電源オン時に前記カバーテープの保持を解除する保持部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示のテープフィーダは、カバーテープをボトムテープから剥離させる剥離部と、モータの駆動によりカバーテープに張力を付与する張力付与部との間で、テープフィーダの電源オフ時にカバーテープを挟んで保持し、電源オン時にカバーテープの保持を解除する保持部を備える。このため、電源オフ時には、モータへの通電が停止されて張力付与部によるカバーテープの張力(保持力)が解除されても、カバーテープが弛むのを防止することができる。また、電源オン時には、張力付与部によるカバーテープの引っ張りが保持部によって阻害されることもない。したがって、テープフィーダの電源オフ時にカバーテープが弛むのを適切に防止することができるから、部品の供給位置の近傍でカバーテープが浮き上がることによる不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装装置10の構成の概略を示す構成図。
図2】フィーダ20の構成の概略を示す構成図。
図3】電源オン時のフィーダ20の作動の様子を示す斜視図。
図4】電源オン時の張力調整機構31の作動の様子を示す拡大斜視図。
図5】電源オフ時のフィーダ20の作動の様子を示す斜視図。
図6】電源オフ時の張力調整機構31の作動の様子を示す拡大斜視図。
図7】カバーテープ22cが浮き上がる様子の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。図1は実装装置10の構成の概略を示す構成図であり、図2はフィーダ20の構成の概略を示す構成図である。本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)および上下方向(Z軸)は、図1に示す通りとする。
【0011】
実装装置10は、図1に示すように、筐体11と、フィーダ台12と、基板搬送装置13と、実装ヘッド14と、ヘッド移動機構15とを備える。フィーダ台12は、部品を供給するための複数のフィーダ(テープフィーダ)20が着脱可能に並列に配置される。基板搬送装置13は、ベルトコンベア装置であり、基板Sを左から右へと搬送する。実装ヘッド14は、吸着ノズルを保持し、フィーダ台12に配置されたフィーダ20が供給した部品を供給位置Pで吸着ノズルに吸着し、基板S上の実装位置に部品を実装する。ヘッド移動機構15は、実装ヘッド14をXY方向に移動させる。
【0012】
フィーダ20は、図2に示すように、キャリアテープ22aが巻回されたテープリール22がフィーダ本体21にセットされている。キャリアテープ22aは、長手方向に所定間隔で複数のキャビティ(凹部)が形成され各キャビティに部品が収容されるボトムテープ22bと、各キャビティに部品が収容されたボトムテープ22bの表面を覆うようにボトムテープ22bに貼着されたカバーテープ22cとにより構成される。また、フィーダ20は、テープ送り機構23と、テープ剥離部26と、張力調整機構31と、引込機構41と、回収部45と、クランプ機構46と、フィーダ制御部49とを備える。
【0013】
テープ送り機構23は、キャリアテープ22aの係合穴に係合する係合爪が外周に設けられたスプロケット24と、スプロケット24を駆動するサーボモータやステッピングモータなどの駆動モータ25とを備える。このテープ送り機構23は、キャリアテープ22aをスプロケット24に係合させた状態で、駆動モータ25の正回転によりスプロケット24を間欠回転させることで、キャリアテープ22aを部品の供給位置Pに向けてピッチ送りする。また、テープ送り機構23は、駆動モータ25の逆回転により、キャリアテープ22aをテープリール22に引き戻すことも可能である。
【0014】
テープ剥離部26は、部品の供給位置Pの手前でボトムテープ22bからカバーテープ22cを剥がしてキャビティ内の部品を露出させるように構成されている。このテープ剥離部26により剥がされたカバーテープ22cは、折り返すように引き出され、張力調整機構31を経て、引込機構41に引き込まれることで回収部45に回収される。また、カバーテープ22cが剥がされたボトムテープ22bは、部品を露出した状態で供給位置Pまで移動して実装ヘッド14(吸着ノズル)に部品が採取され、フィーダ本体21内を下方へ誘導される。そして、ボトムテープ22bは、フィーダ本体21の下方のテープ排出口29から外部へ排出され、テープ排出口29から離れた所定の切断位置で図示しないテープ切断機構により切断されて、ダストボックス17(図1参照)に回収される。また、外部に排出されたボトムテープ22bは、フィーダ20が実装装置10から一旦取り外され、次に取り付けられた場合に、フィーダ台12などに引っ掛かることなく、再びダストボックス17上に位置させる必要がある。このため、フィーダ20を取り外す前には、テープ送り機構23の駆動モータ25を逆回転させてキャリアテープ22aを引き戻すことにより、ボトムテープ22bをフィーダ本体21内に収納する処理が行われる。
【0015】
張力調整機構31は、テープ剥離部26と引込機構41との間で、カバーテープ22cに作用する張力を調整する機構である。張力調整機構31は、張力レバー32と、ガイドローラ33と、センサ基板34と、スプリング35と、固定部材36とを備える。張力レバー32は、一端の支点32aがフィーダ本体21に回動可能に支持され、他端にカバーテープ22cをガイドするガイドローラ33と、ガイドローラ33からカバーテープ22cが外れるのを防止するガイド板33a(図4参照)とが取り付けられている。この張力レバー32が、支点32a回りに上下に回動することにより、ガイドローラ33が円弧状に上下に移動する。なお、フィーダ本体21には、張力レバー32の他端(ガイドローラ33)の移動をガイドする円弧状の長穴21aが形成されている。また、フィーダ本体21には、長穴21aの上端の縁近傍に固定部材36が固定されている。
【0016】
また、張力レバー32は、一端から他端に向かう方向に対して直交する上方向に周縁部から延在する検知片32b(図4参照)と、検知片32bの一部から垂直に立設する係止片32c(図4参照)とが設けられている。検知片32bは、張力レバー32が支点32a回りに上方に回動すると、センサ基板34が備えるセンサ34aの検知範囲内に位置し、張力レバー32が支点32a回りに下方に回動すると、センサ34aの検知範囲外に位置する(図4参照)。センサ基板34は、センサ34aによる検知片32bの検知の有無即ち張力レバー32の有無を検知してフィーダ制御部49に検知信号を出力する。スプリング35は、一端がフィーダ本体21に取り付けられると共に他端が張力レバー32の係止片32cに取り付けられており、張力レバー32が上方に回動するように張力レバー32を付勢する。即ち、スプリング35は、ガイドローラ33をカバーテープ22cに押し付ける方向に、張力レバー32を付勢する。
【0017】
引込機構41は、サーボモータやステッピングモータなどの駆動モータ42と、駆動モータ42の駆動により回転する駆動ギヤ43aと、駆動ギヤ43aの回転に伴って従動回転する従動ギヤ43bと、従動ギヤ43bを駆動ギヤ43a側に付勢するスプリング44とを備える。この引込機構41は、一対の駆動ギヤ43aと従動ギヤ43bとの間にカバーテープ22cを挟んだ状態で、駆動モータ42で駆動ギヤ43aを回転させることによりカバーテープ22cを引き込んで後方に送り出す。引込機構41の後方には回収部45が配置されており、引込機構41に引き込まれて送り出されたカバーテープ22cは回収部45に回収される。引込機構41は、電源オン時には駆動モータ42の停止中であっても、駆動モータ42の保持トルクにより一対の駆動ギヤ43aと従動ギヤ43bとの回転位置を保持することができる。
【0018】
また、フィーダ本体21には、テープ剥離部26と張力調整機構31との間に、カバーテープ22cをガイドするガイドローラ28が固定されている。ガイドローラ28は、ガイドローラ33と同じ形状に形成されている。カバーテープ22cは、ガイドローラ28に下方から接触すると共に、ガイドローラ33に上方から接触するように架け渡された状態で、テープ剥離部26から引込機構41まで送られることになる。
【0019】
クランプ機構46は、フィーダ本体21の上端面から斜め上方向に進退可能に設けられたクランプピン47と、フィーダ本体21の端面から突出しクランプピン47を進退させるために上下方向に操作可能なクランプレバー48とを備える。このクランプ機構46は、クランプレバー48が下方に傾くように操作されるとクランプピン47がフィーダ本体21から進出した状態となり(図2参照)、クランプレバー48が上方に傾くように操作されるとクランプピン47をフィーダ本体21内に収納した状態となる。
【0020】
フィーダ20には、実装装置10の後方側となるフィーダ本体21の端面から突出するコネクタ37,38および2つの位置決めピン39とが設けられている。また、図示は省略するが、実装装置10には、フィーダ20のクランプピン47や各位置決めピン39がそれぞれ係合可能なピン穴と、コネクタ37,38がそれぞれ接続可能なコネクタとが設けられている。このため、クランプピン47をフィーダ本体21内に収納した状態でフィーダ20がフィーダ台12に装着されると、位置決めピン39がピン穴に係合すると共に各コネクタ37,38が実装装置10の各コネクタにそれぞれ接続される。その状態で、クランプレバー48が下方に傾くように操作されると、クランプピン47がピン穴に係合し、フィーダ20がフィーダ台12から抜けないようにロックされる。また、クランプレバー48が上方に傾くように操作されると、クランプレバー48をピン穴から引き抜くことにより、フィーダ20は、ロックが解除されてフィーダ台12から取り外し可能となる。なお、フィーダ20の着脱は、操作者により行われてもよいし、フィーダ20を自動で交換可能な交換ロボットにより行われてもよい。また、クランプ機構46は、クランプピン47の進退状態を検知可能であり、その検知信号をフィーダ制御部49に出力する。
【0021】
フィーダ制御部49は、CPUやROM,RAMなどからなるマイクロプロセッサとして構成されており、フィーダ20の全体を制御する。フィーダ制御部49は、テープ送り機構23の駆動モータ25への駆動信号や引込機構41の駆動モータ42への駆動信号などを出力する。また、フィーダ制御部49には、張力調整機構31のセンサ基板34からセンサ34aの検知信号やクランプ機構46からの検知信号などを入力する。なお、フィーダ20は、コネクタ37,38と実装装置10のコネクタとの接続を介して、フィーダ制御部49が実装装置10の制御部と通信したり実装装置10から給電を受けたりする。
【0022】
以下は、フィーダ20の動作、特にボトムテープ22bから剥離されたカバーテープ22cの張力を調整したり保持したりする動作の説明である。図3は電源オン時のフィーダ20の作動の様子を示す斜視図であり、図4は電源オン時の張力調整機構31の作動の様子を示す拡大斜視図である。フィーダ20が実装装置10から給電を受けている電源オン時には、フィーダ制御部49が、張力調整機構31のセンサ基板34から入力されるセンサ34aの検知信号に基づいて引込機構41を制御して、カバーテープ22cの張力を調整する。フィーダ制御部49は、センサ34aの検知信号に基づいて張力レバー32が上方にあることを検知すると、引込機構41がカバーテープ22cを引き込むように駆動モータ42に駆動指示を出力する引込制御を行う。これにより、張力が大きくなったカバーテープ22cは、スプリング35の付勢力に抗して張力調整機構31のガイドローラ33を下方に押し下げる。そして、張力レバー32は、カバーテープ22cの張力とスプリング35の付勢力とが釣り合う位置で停止する。
【0023】
また、フィーダ制御部49は、センサ34aの検知信号に基づいて、検知片32bがないこと即ち張力レバー32が下方にあることを検知すると、駆動モータ42に停止指示を出力する。上述したように、駆動モータ42の保持トルクにより駆動ギヤ43aと従動ギヤ43bとの回転位置を保持するから、駆動モータ42の停止中もカバーテープ22cの弛みを防止することができる。そして、テープ送り機構23によるキャリアテープ22aの送り出しを伴ってフィーダ20が部品の供給動作を行うと、テープ剥離部26でカバーテープ22cが剥離される分だけカバーテープ22cが長くなって張力が小さくなる。このため、張力レバー32は、スプリング35の付勢力により上方に回動しガイドローラ33でカバーテープ22cを押し上げて、カバーテープ22cの張力とスプリング35の付勢力とが釣り合う位置で停止する。そして、張力レバー32がセンサ34aに検知されると、上述した引込制御が行われる。フィーダ20は、電源オン時には、これらの処理を行うことにより、カバーテープ22cに適切な張力を付与して、カバーテープ22cが弛むのを防止している。
【0024】
次に、フィーダ20の電源オフ時について説明する。図5は電源オフ時のフィーダ20の作動の様子を示す斜視図であり、図6は電源オフ時の張力調整機構31の作動の様子を示す拡大斜視図である。電源オフ時には、引込機構41の駆動モータ42の保持トルクが出力されず、一対の駆動ギヤ43aと従動ギヤ43bとの間でカバーテープ22cを保持することができない。このため、張力レバー32は、スプリング35の付勢力により上方に回動する。本実施形態では、ガイドローラ33の上方に固定部材36が配置されており、上方に回動した張力レバー32は、ガイドローラ33がカバーテープ22cを介して固定部材36に当接する位置で停止する。これにより、ガイドローラ33と固定部材36とは、その間にカバーテープ22cを挟んだ状態で、カバーテープ22cを保持することになる。このため、電源オフ時に、テープ剥離部26から、ガイドローラ33と固定部材36との挟持位置までの間で、カバーテープ22cが弛むのを防止することができる。
【0025】
ここで、図7はカバーテープ22cが浮き上がる様子の一例を示す説明図である。カバーテープ22cが弛むと、図示するように、部品の供給位置Pの近傍でカバーテープ22cが浮き上がる場合がある。その場合、隣接するフィーダ20などで実装ヘッド14が吸着ノズルで部品を吸着する際に、浮き上がったカバーテープ22cと吸着ノズルが干渉するなどの不具合が発生する。特に、複数の吸着ノズルが同一円周上に並ぶロータリーヘッドとして実装ヘッド14が構成されている場合、吸着動作中に吸着ノズルが周方向に移動するから、上述の不具合が発生しやすく実装装置10の故障のおそれが高いものとなる。本実施形態では、フィーダ20の電源オフ時に、ガイドローラ33と固定部材36とでカバーテープ22cを挟んで保持するから、カバーテープ22cが浮き上がるのを防止して、上述の不具合を防止することができる。なお、引込機構41から、ガイドローラ33と固定部材36との挟持位置までの間は、カバーテープ22cが弛むことになるが、フィーダ本体21内でカバーテープ22cが弛むだけであり外部に影響が及ぶことはない。また、上述したように、電源オン時には、センサ34aが検知片32bを検知すると引込制御が行われて、張力レバー32が下方へ回動するから、ガイドローラ33と固定部材36との間でカバーテープ22cを保持することはない。即ち、ガイドローラ33と固定部材36とによるカバーテープ22cの保持は、電源オン時には解除されるから、電源オン時にカバーテープ22cの張力の調整や回収が妨げられることはない。
【0026】
なお、フィーダ20は、実装装置10から取り外される際、例えばクランプ機構46によるクランプが解除されていることを条件として電源がオフとされる。フィーダ20の電源がオフとされても、その近傍のフィーダ20で実装ヘッド14が部品吸着動作を行っていることがあり、電源オフとされたフィーダ20が取り外されるまでの間に上述の不具合を防止することができる。また、フィーダ台12には、複数の部品種のフィーダ20をセット可能であり、現在の生産に必要なフィーダ20だけでなく、次の生産に必要なフィーダ20がセットされる場合がある。その場合、消費電力を抑えるために、次の生産に必要なフィーダ20の電源をオフとしていても、上述の不具合を防止することができる。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ20が本開示のテープフィーダに相当し、テープ剥離部26が剥離部に相当し、引込機構41が張力付与部に相当し、張力調整機構31のガイドローラ33との間でカバーテープ22cを保持する固定部材36が保持部に相当する。また、ガイドローラ33が押付部材に相当し、スプリング35がスプリングに相当し、張力調整機構31が調整部に相当し、固定部材36が固定部材に相当する。また、一対の駆動ギヤ43aと従動ギヤ43bとが一対の回転部材に相当し、回収部45が所定の回収箇所に相当する。また、実装装置10が実装装置に相当する。
【0028】
以上説明したフィーダ20では、テープ剥離部26と引込機構41との間で、張力調整機構31のガイドローラ33と固定部材36とが、電源オフ時にカバーテープ22cを挟んで保持し、電源オン時にカバーテープ22cの保持を解除する。このため、フィーダ20の電源オフ時にカバーテープ22cが弛むのを簡易な構成で防止して、部品の供給位置Pの近傍でカバーテープ22cが浮き上がることによる不具合を防止することができる。
【0029】
また、ガイドローラ33を、電源オフ時のカバーテープ22cの保持と、電源オン時のカバーテープ22cの張力の調整とに兼用して部品数を抑えることができる。また、フィーダ20は、ボトムテープ22bをフィーダ本体21内に収納するためにキャリアテープ22aを逆方向に回転させる場合があり、駆動ギヤ43aや従動ギヤ43bにワンウェイクラッチのような逆回転防止機構を設けることができない。このため、ガイドローラ33と固定部材36とでカバーテープ22cが弛むのを防止する意義が高いものとなる。
【0030】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、ガイドローラ33を、電源オフ時のカバーテープ22cの保持と、電源オン時のカバーテープ22cの張力の調整とに兼用するものとしたが、これに限られず、電源オフ時のカバーテープ22cの専用の保持部を、テープ剥離部26と張力調整機構31との間に設けてもよい。例えば、専用の保持部が、押付部材と、押付部材をカバーテープ22cに押し付ける方向に付勢するスプリングと、電磁力によりスプリングの付勢力に抗して押付部材を移動させる電磁部と、押付部材との間でカバーテープ22cを挟む固定部材とを備える構成とする。この保持部は、電源オン時には電磁部の電磁力により押付部材を固定部材から離間させてカバーテープ22cの保持を解除し、電源オフ時には電磁部の電磁力が解除されスプリングの付勢力で押付部材をカバーテープ22cに押し付け、固定部材との間でカバーテープ22cを挟んで保持するものとする。
【0032】
上述した実施形態では、ボトムテープ22bをフィーダ本体21内に収納するためにキャリアテープ22aを逆方向に回転させたが、これに限られず、供給位置Pの微調整など他の目的のためにキャリアテープ22aを逆方向に回転させてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、引込機構41が回収部45側にカバーテープ22cを引き込むものとしたが、これに限られず、カバーテープ22cを回収するための所定箇所にカバーテープ22cを引き込むものであればよい。例えば、ボトムテープ22bのように外部に排出して回収するものでは、その排出口に向けてカバーテープ22cを引き込むものなどとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、引込機構41が回収部45側にカバーテープ22cを引き込むことにより張力を付与したが、これに限られず、カバーテープ22cを巻き取りながら回収することにより張力を付与するなど、カバーテープ22cを回収するためにモータの駆動によりカバーテープ22cに張力を付与するものであればよい。
【0035】
ここで、本開示のテープフィーダは、以下のように構成してもよい。本開示のテープフィーダにおいて、押付部材と、前記押付部材を前記張力付与部と前記剥離部との間で前記カバーテープに押し付ける方向に付勢するスプリングとを有し、前記押付部材を押し付けることにより前記カバーテープの張力を調整する調整部を備え、前記保持部は、前記カバーテープに押し付けられた前記押付部材との間で前記カバーテープを挟んで保持するように、前記テープフィーダの本体に固定された固定部材であるものとしてもよい。こうすれば、調整部の押付部材を、電源オフ時のカバーテープの保持と、電源オン時のカバーテープの張力の調整とに兼用して部品数を抑えることができる。また、調整部の押付部材と本体に固定された固定部材とでカバーテープを挟んで保持するから、簡易な構成で電源オフ時にカバーテープが弛むのを防止することができる。
【0036】
本開示のテープフィーダにおいて、前記張力付与部は、前記カバーテープを挟んだ状態で前記モータの駆動により回転する一対の回転部材により、前記カバーテープを前記所定箇所に引き込むように構成され、前記キャリアテープは、前記部品の供給位置に送り出される方向とは逆方向に送られる場合があるものとしてもよい。キャリアテープが逆方向に送られる場合、カバーテープやボトムテープも逆方向に送られることになる。このため、張力付与部の回転部材には、ワンウェイクラッチのような逆回転防止機構を設けることができないから、本開示の内容を適用する意義が高いものとなる。なお、キャリアテープが逆方向に送られる場合の一例として、ボトムテープが部品の供給位置を超えるとテープフィーダの本体の下方から外部に排出され、所定の切断位置でボトムテープが切断されるものにおいて、テープフィーダの電源オフの前に、逆方向にキャリアテープを送ることで、外部に露出しているボトムテープを本体内に戻す場合が挙げられる。
【0037】
本開示の実装装置は、上述したいずれかのテープフィーダが着脱可能に装着され、前記テープフィーダから前記供給位置に供給された前記部品を採取部材で採取して基板に実装する実装処理を行うことを要旨とする。
【0038】
本開示の実装装置では、上述したテープフィーダと同様に、テープフィーダの電源オフ時にカバーテープが弛むのを適切に防止することができる。このため、部品の供給位置の近傍でカバーテープが浮き上がることにより、採取部材と干渉するなどの不具合の発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示は、テープフィーダやテープフィーダが装着される実装装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 実装装置、11 筐体、12 フィーダ台、13 基板搬送装置、14 実装ヘッド、15 ヘッド移動機構、17 ダストボックス、20 フィーダ、21 フィーダ本体、21a 長穴、22 テープリール、22a キャリアテープ、22b ボトムテープ、22c カバーテープ、23 テープ送り機構、24 スプロケット、25 駆動モータ、26 テープ剥離部、28 ガイドローラ、29 テープ排出口、31 張力調整機構、32 張力レバー、32a 支点、32b 検知片、32c 係止片、33 ガイドローラ、33a ガイド板、34 センサ基板、34a センサ、35 スプリング、36 固定部材、37,38 コネクタ、39 位置決めピン、41 引込機構、42 駆動モータ、43a 駆動ギヤ、43b 従動ギヤ、44 スプリング、45 回収部、46 クランプ機構、47 クランプピン、48 クランプレバー、49 フィーダ制御部、S 基板、P 供給位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7