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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】デジタル移相器
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/185 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
H01P1/185
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022051668
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-04-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】上道 雄介
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0157754(US,A1)
【文献】特許第7072118(JP,B1)
【文献】特許第7076662(JP,B1)
【文献】特許第7076663(JP,B1)
【文献】Yahya Tousi,"A Ka-band Digitally-Controlled Phase Shifter with sub-degree Phase Precision",2016 IEEE Radio Frequency Integrated Circuits Symposium,2016年,pp.356-359
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/185
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線路、当該信号線路の両側に設けられた一対の内側線路、当該内側線路の外側に各々設けられた一対の外側線路、前記内側線路及び前記外側線路の各一端に接続された第1の接地導体、前記外側線路の各他端に接続された第2の接地導体、前記内側線路の各他端と前記第2の接地導体との間に各々設けられる一対の電子スイッチを少なくとも備えた複数のデジタル移相回路が縦続接続されてなるデジタル移相器であって、
互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、隣り合う前記外側線路は離間し、かつ、隣り合う前記第1の接地導体と前記第2の接地導体とが離間している、
デジタル移相器。
【請求項2】
互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、隣り合う前記第1の接地導体と前記第2の接地導体とが絶縁層を挟んで異なる導電層に形成される、
請求項1に記載のデジタル移相器。
【請求項3】
互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、隣り合う前記外側線路も異なる導電層に形成される、
請求項2に記載のデジタル移相器。
【請求項4】
互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、前記信号線路と前記外側線路との距離が異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデジタル移相器。
【請求項5】
互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、前記外側線路が前記信号線路に対して位置関係が逆となるように、前記一対の外側線路の一方が削除されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデジタル移相器。
【請求項6】
互いに隣り合う前記デジタル移相回路の一方は、前記信号線路に対する距離が異なる複数の個別線路を連接した前記外側線路を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデジタル移相器。
【請求項7】
前記デジタル移相回路は、上部電極が前記信号線路に接続され、下部電極が前記第1の接地導体及び前記第2の接地導体の少なくとも一方に接続されるコンデンサを備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載のデジタル移相器。
【請求項8】
前記デジタル移相回路は、前記コンデンサの下部電極と前記第1の接地導体及び前記第2の接地導体の少なくとも一方との間にコンデンサ用電子スイッチをさらに備える、
請求項7に記載のデジタル移相器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル移相器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記非特許文献1には、マイクロ波、 準ミリ波あるいはミリ波を対象とするデジタル制御型の移相回路(デジタル移相回路)が開示されている。このデジタル移相回路は、非特許文献1の図2に示されているように、信号線路(signal line)、当該信号線路の両側に設けられた一対の内側線路(inner lines)、一対の内側線路の外側に各々設けられた一対の外側線路(outer lines)、一対の内側線路及び一対の外側線路の各一端に接続された第1接地バー、一対の外側線路の各他端に接続された第2接地バー、一対の内側線路の各他端と第2接地バーとの間に各々設けられる一対のNMOSスイッチ等を備える。
【0003】
このようなデジタル移相回路は、信号線路における信号波の伝送に起因して一対の内側線路あるいは一対の外側線路に流れるリターン電流を一対のNMOSスイッチの開/閉に応じて切り替えることにより、動作モードを低遅延モードと高遅延モードとに切り替える。すなわち、デジタル移相回路は、一対の内側線路にリターン電流が流れる場合に動作モードが低遅延モードとなり、一対の外側線路にリターン電流が流れる場合に動作モードが高遅延モードとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】A Ka-band Digitally-Controlled Phase Shifter with sub-degree Phase Precision (2016,IEEE,RFIC)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したデジタル移相回路は、例えばフェイズドアレイアンテナ等を用いた5G通信網の基地局に適用されるものであり、実際には多数が縦続接続された状態で半導体基板上に実装される。すなわち、上記デジタル移相回路は、実際の位相器の構成における単位ユニットであり、数十個が縦続接続されることによって所望の機能を発揮するデジタル移相器を構成する。
【0006】
しかしながら、このようなデジタル移相器では、回路定数の1つであるインダクタンスについて、高遅延モード時の値(インダクタンス値)を低遅延モード時のインダクタンス値に対して十分に大きくすることが望ましいが、インダクタンス値を大きくするとサイズが大きくなるという問題があった。この結果、従来のデジタル移相器では、低遅延モードの移相量と高遅延モードの移相量との差を十分に確保することが特に低い周波数において難しい。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、高遅延モード時のインダクタンス値を従来よりも増大させることが可能なデジタル移相器の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、デジタル移相器に係る第1の解決手段として、信号線路、当該信号線路の両側に設けられた一対の内側線路、当該内側線路の外側に各々設けられた一対の外側線路、前記内側線路及び前記外側線路の各一端に接続された第1の接地導体、前記外側線路の各他端に接続された第2の接地導体、前記内側線路の各他端と前記第2の接地導体との間に各々設けられる一対の電子スイッチを少なくとも備えた複数のデジタル移相回路が縦続接続されてなるデジタル移相器であって、互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、隣り合う前記外側線路は離間し、かつ、隣り合う前記第1の接地導体と前記第2の接地導体とが離間している、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、デジタル移相器に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、隣り合う前記第1の接地導体と前記第2の接地導体が絶縁層を挟んで異なる導電層に形成される、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、デジタル移相器に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、隣り合う前記外側線路も異なる導電層に形成される、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、デジタル移相器に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、前記信号線路と前記外側線路との距離が異なる、という手段を採用する。
【0012】
本発明では、デジタル移相器に係る第5の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、互いに隣り合う前記デジタル移相回路において、前記外側線路が前記信号線路に対して位置関係が逆となるように、前記一対の外側線路の一方が削除されている、という手段を採用する。
【0013】
本発明では、デジタル移相器に係る第6の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、互いに隣り合う前記デジタル移相回路の一方は、前記信号線路に対する距離が異なる複数の個別線路を連接した前記外側線路を備える、という手段を採用する。
【0014】
本発明では、デジタル移相器に係る第7の解決手段として、上記第1~第6のいずれかの解決手段において、前記デジタル移相回路は、上部電極が前記信号線路に接続され、下部電極が前記第1の接地導体及び前記第2の接地導体の少なくとも一方に接続されるコンデンサを備える、という手段を採用する。
【0015】
本発明では、デジタル移相器に係る第8の解決手段として、上記第7の解決手段において、前記デジタル移相回路は、前記コンデンサの下部電極と前記第1の接地導体及び前記第2の接地導体の少なくとも一方との間にコンデンサ用電子スイッチをさらに備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高遅延モード時のインダクタンス値を従来よりも増大させることが可能なデジタル移相器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るデジタル移相器A1の構成を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態における基本デジタル移相回路Bの機能構成を示す概念図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るデジタル移相器A1の移相特性を示すグラフである。
図4】本発明の第2実施形態に係るデジタル移相器A2の構成を示す正面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るデジタル移相器A3の構成を示す正面図である。
図6】本発明の第4実施形態に係るデジタル移相器A4の構成を示す正面図である。
図7】本発明の第5実施形態に係るデジタル移相器A5の構成を示す正面図である。
図8】本発明の第6実施形態に係るデジタル移相器A6の構成を示す正面図である。
図9】本発明の第7実施形態に係るデジタル移相器A7の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態に係るデジタル移相器A1は、マイクロ波、 準ミリ波あるいはミリ波等の高周波信号を入力とし、所定の移相量だけ位相シフトした複数の高周波信号を外部に出力する高周波回路である。
【0019】
このデジタル移相器A1は、図1に示すように、n個(複数)のデジタル移相回路B~Bを縦続接続したものである。すなわち、このデジタル移相器A1は、第1のデジタル移相回路B、第2のデジタル移相回路B、(中略)、第nのデジタル移相回路Bが直線状に縦続接続されてなる。このようなデジタル移相器A1は、第1のデジタル移相回路Bまたは第nのデジタル移相回路Bから高周波信号を外部に出力する。
【0020】
ここで、第1~第nのデジタル移相回路B~Bは、デジタル移相器A1を構成する単位ユニットであり、直線状に縦続接続されることによって互いに隣り合う関係にある。このような第1~第nのデジタル移相回路B~Bは、非特許文献1に開示されたデジタル制御型の移相回路と略同様な機能を備える。
【0021】
すなわち、第1~第nのデジタル移相回路B~Bは、図2に代表符号Bとして示すように、信号線路1、一対の内側線路2a,2b、一対の外側線路3a,3b、一対の接地導体4a,4b、コンデンサ5、7つの接続導体6a~6g、4つの電子スイッチ7a~7d及びスイッチ制御部8を備える。以下では、第1~第nのデジタル移相回路B~Bを総称して基本デジタル移相回路Bという。
【0022】
信号線路1は、図2に示すように所定方向に延在する直線状の帯状導体である。すなわち、この信号線路1は、一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体である。このような信号線路1には、手前側から奥側に向かって、つまり手前側の端部(入力端)から奥側の端部(出力端)に向かって信号電流が流れる。この信号電流は、上述したマイクロ波、 準ミリ波あるいはミリ波の波長域を有する高周波信号である。
【0023】
このような信号線路1は、電気的には分布回路定数としてのインダクタンスL1を有する。このインダクタンスL1は、信号線路1の長さ等、信号線路1の形状に応じた大きさの寄生インダクタンスである。また、この信号線路1は、電気的には分布回路定数としての静電容量C1をも有する。この静電容量C1は、信号線-内側、外側線路間あるいはシリコン基板間の寄生容量である。
【0024】
一対の内側線路2a,2bは、上記信号線路1の両側に設けられた直線状の帯状導体である。このような一対の内側線路2a,2bのうち、第1の内側線路2aは、信号線路1の一方側(図2における右側)に離間配置され、一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体である。すなわち、この第1の内側線路2aは、信号線路1と所定距離を隔てて平行に設けられており、信号線路1の延在方向と同一な方向に延在する。
【0025】
第2の内側線路2bは、上記信号線路1の他方側(図2における左側)に離間配置され、第1の内側線路2aと同様に一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体である。この第2の内側線路2bは、信号線路1に対して第1の内側線路2aと同様な距離を隔てて平行に設けられており、第1の内側線路2aと同様に信号線路1の延在方向と同一な方向に延在する。
【0026】
第1の外側線路3aは、上述した信号線路1の一方側において第1の内側線路2aの外側に設けられた直線状の帯状導体である。すなわち、第1の外側線路3aは、一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体であり、信号線路1の一方側において第1の内側線路2aよりも信号線路1から遠い位置に設けられている。
【0027】
また、第1の外側線路3aは、図示するように第1の内側線路2aを挟んだ状態で信号線路1から所定距離を隔てて平行に設けられている。すなわち、第1の外側線路3aは、上述した第1の内側線路2a及び第2の内側線路2bと同様に信号線路1の延在方向と同一な方向に延在する。
【0028】
第2の外側線路3bは、上述した信号線路1の他方側つまり第1の外側線路3aとは異なる側において、第2の内側線路2bの外側に設けられた直線状の帯状導体である。すなわち、第2の外側線路3bは、一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体であり、信号線路1の他方側において第2の内側線路2bよりも信号線路1から遠い位置に設けられている。
【0029】
また、第2の外側線路3bは、図示するように第2の内側線路2bを挟んだ状態で信号線路1から所定距離を隔てて平行に設けられている。すなわち、第2の外側線路3bは、上述した第1の内側線路2a及び第2の内側線路2b並びに第1の外側線路3aと同様に、信号線路1の延在方向と同一な方向に延在する。
【0030】
第1の接地導体4aは、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの各一端側に設けられる直線状の帯状導体である。すなわち、第1の接地導体4aは、一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体であり、電気的に接地されている。
【0031】
また、第1の接地導体4aは、同一方向に延在する第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bに対して直交するように設けられている。すなわち、第1の接地導体4aは、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの各一端側において、左右方向に延在するように設けられている。
【0032】
さらに、第1の接地導体4aは、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bから所定距離を隔てた下方に設けられている。すなわち、第1の接地導体4aと第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの各端部との間には、上下方向に一定の距離が設けられている。
【0033】
ここで、第1の接地導体4aは、左右方向における一端(図2における右端)が第1の外側線路3aの右側縁部と略同一位置となるように長さ設定されている。また、この第1の接地導体4aは、左右方向における他端(図2における左端)が第2の外側線路3bの左側縁部と略同一位置となるように長さ設定されている。
【0034】
第2の接地導体4bは、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの各他端側に設けられる直線状の帯状導体である。すなわち、第2の接地導体4bは、一定幅、一定厚及び所定長さを有する長尺板状の導体であり、電気的に接地されている。
【0035】
また、第2の接地導体4bは、同一方向に延在する第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bに対して直交するように設けられている。すなわち、第2の接地導体4bは、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの各他端側において、左右方向に延在するように設けられている。
【0036】
さらに、第2の接地導体4bは、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bから所定距離を隔てた下方に設けられている。すなわち、第2の接地導体4bと第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの各端部との間には、上下方向に一定の距離が設けられている。
【0037】
ここで、第2の接地導体4bは、左右方向における一端(図2における右端)が第1の外側線路3aの右側縁部と略同一位置となるように長さ設定されている。また、第2の接地導体4bは、左右方向における他端(図2における左端)が第2の外側線路3bの左側縁部と略同一位置となるように長さ設定されている。すなわち、第2の接地導体4bは、左右方向における位置が第1の接地導体4aと同一である。
【0038】
コンデンサ5は、上部電極が第7の接続導体6gを介して信号線路1に接続され、下部電極が第4の電子スイッチ7dを介して第2の接地導体4bに接続される平行平板である。このコンデンサ5は、平行平板の対向面積に応じた静電容量Caを有する。すなわち、この静電容量Caは、信号線路1と第2の接地導体4bとの間に設けられる回路定数である。
【0039】
第1の接続導体6aは、第1の内側線路2aの一端と第1の接地導体4aとを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、この第1の接続導体6aは、上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が第1の内側線路2aの下面に接続し、他端(下端)が第1の接地導体4aの上面に接続する。
【0040】
第2の接続導体6bは、第2の内側線路2bの一端と第1の接地導体4aとを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、この第2の接続導体6bは、第1の接続導体6aと同様に上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が第2の内側線路2bの下面に接続し、他端(下端)が第1の接地導体4aの上面に接続する。
【0041】
第3の接続導体6cは、第1の外側線路3aの一端と第1の接地導体4aとを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、この第3の接続導体6cは、上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が第1の外側線路3aの一端における下面に接続し、他端(下端)が第1の接地導体4aの上面に接続する。
【0042】
第4の接続導体6dは、第1の外側線路3aの他端と第2の接地導体4bとを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、この第4の接続導体6dは、上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が第1の外側線路3aの他端における下面に接続し、他端(下端)が第2の接地導体4bの上面に接続する。
【0043】
第5の接続導体6eは、第2の外側線路3bの一端と第1の接地導体4aとを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、この第5の接続導体6eは、上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が第2の外側線路3bの一端における下面に接続し、他端(下端)が第1の接地導体4aの上面に接続する。
【0044】
第6の接続導体6fは、第2の外側線路3bの他端と第2の接地導体4bとを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、この第6の接続導体6fは、上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が第2の外側線路3bの他端における下面に接続し、他端(下端)が第2の接地導体4bの上面に接続する。
【0045】
第7の接続導体6gは、信号線路1とコンデンサ5の一端とを電気的かつ機械的に接続する導体である。すなわち、第7の接続導体6gは、上下方向に延在する導体であり、一端(上端)が信号線路1の下面に接続し、他端(下端)がコンデンサ5の一端(上面)に接続する。
【0046】
第1の電子スイッチ7aは、第1の内側線路2aの他端と第2の接地導体4bとを開閉自在に接続するトランジスタである。この第1の電子スイッチ7aは、図示するように例えばMOS型FETであり、ドレイン端子が第1の内側線路2aの他端に接続され、ソース端子が第2の接地導体4bに接続され、またゲート端子がスイッチ制御部8に接続されている。
【0047】
このような第1の電子スイッチ7aは、スイッチ制御部8からゲート端子に入力されるゲート信号に基づいてドレイン端子とソース端子との導通状態を開状態あるいは閉状態に切替える。すなわち、第1の電子スイッチ7aは、スイッチ制御部8によって第1の内側線路2aの他端と第2の接地導体4bとの接続をON/OFFする。
【0048】
第2の電子スイッチ7bは、第2の内側線路2bの他端と第2の接地導体4bとを開閉自在に接続するトランジスタである。この第2の電子スイッチ7bは、第1の電子スイッチ7aと同様にMOS型FETであり、ドレイン端子が第2の内側線路2bの他端に接続され、ソース端子が第2の接地導体4bに接続され、またゲート端子がスイッチ制御部8に接続されている。
【0049】
このような第2の電子スイッチ7bは、スイッチ制御部8からゲート端子に入力されるゲート信号に基づいてドレイン端子とソース端子との導通状態を開状態あるいは閉状態に切替える。すなわち、第2の電子スイッチ7bは、スイッチ制御部8によって第2の内側線路2bの他端と第2の接地導体4bとの接続をON/OFFする。
【0050】
第3の電子スイッチ7cは、信号線路1の一端と第1の接地導体4aとを開閉自在に接続するトランジスタである。この第3の電子スイッチ7cは、上述した第1の電子スイッチ7a及び第2の電子スイッチ7bと同様にMOS型FETであり、ドレイン端子が信号線路1に接続され、ソース端子が第1の接地導体4aに接続され、またゲート端子がスイッチ制御部8に接続されている。なお、第3の電子スイッチ7cについては、信号線路1の一端と第1の接地導体4aとの間ではなく、信号線路1の他端と第2の接地導体4bとの間に設けてもよい(図2参照)。
【0051】
このような第3の電子スイッチ7cは、スイッチ制御部8からゲート端子に入力されるゲート信号に基づいてドレイン端子とソース端子との導通状態を開状態あるいは閉状態に切替える。すなわち、第3の電子スイッチ7cは、スイッチ制御部8によって信号線路1の一端と第1の接地導体4aとの接続をON/OFFする。
【0052】
第4の電子スイッチ7dは、コンデンサ5の他端と第2の接地導体4bとを開閉自在に接続するトランジスタである。この第4の電子スイッチ7dは、上述した第1の電子スイッチ7a、第2の電子スイッチ7b及び第3の電子スイッチ7cと同様にMOS型FETであり、ドレイン端子がコンデンサ5の他端に接続され、ソース端子が第2の接地導体4bに接続され、またゲート端子がスイッチ制御部8に接続されている。
【0053】
このような第4の電子スイッチ7dは、スイッチ制御部8からゲート端子に入力されるゲート信号に基づいてドレイン端子とソース端子との導通状態を開状態あるいは閉状態に切替える。すなわち、第4の電子スイッチ7dは、スイッチ制御部8によってコンデンサ5の他端と第2の接地導体4bとの接続をON/OFFする。なお、第4の電子スイッチ7dは、本発明のコンデンサ用電子スイッチに相当する。
【0054】
スイッチ制御部8は、上述した第1の電子スイッチ7a、第2の電子スイッチ7b、第3の電子スイッチ7c及び第4の電子スイッチ7dを制御する制御回路である。このスイッチ制御部8は、4つの出力ポートを備えており、各出力ポートから第1の電子スイッチ7a、第2の電子スイッチ7b、第3の電子スイッチ7c及び第4の電子スイッチ7dの各ゲート端子にゲート信号を個別に出力する。すなわち、このスイッチ制御部8は、上記ゲート信号によって第1の電子スイッチ7a、第2の電子スイッチ7b、第3の電子スイッチ7c及び第4の電子スイッチ7dのON/OFF動作を制御する。
【0055】
ここで、図2では基本デジタル移相回路B(つまり第1~第nのデジタル移相回路B~B)の機械的構造が解り易いように基本デジタル移相回路Bを斜視した模式図を示しているが、実際の基本デジタル移相回路Bは、半導体製造技術を利用することにより、絶縁層を挟んで複数の導電層が積層された積層構造物として形成される。
【0056】
例えば、基本デジタル移相回路Bは、信号線路1、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bが第1の導電層に形成され、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bは、絶縁層を挟んで第1の導電層と対向する第2の導電層に形成される。
【0057】
第1の導電層の構成要素、第2の導電層の構成要素、コンデンサ5並びに第1~第4の電子スイッチ7a~7dは、ビア(スルーホール)によって接続される。すなわち、これらビアは、絶縁層内に埋設され、上述した第1の接続導体6a、第2の接続導体6b、第3の接続導体6c、第4の接続導体6d、第5の接続導体6e、第6の接続導体6f及び第7の接続導体6gとして機能する。
【0058】
このような基本デジタル移相回路B(第1~第nのデジタル移相回路B~B)からなるデジタル移相器A1は、図1に示すように複数のデジタル移相回路B~Bが第1の接地導体4aと第2の接地導体4bとが所定距離を隔てて対峙するように配置されたものである。すなわち、第1実施形態に係るデジタル移相器A1において、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bは、対峙関係にある第1の接地導体4aと第2の接地導体4bとの間に隙間Pが形成されている。
【0059】
続いて、第1実施形態に係るデジタル移相器A1の動作について詳しく説明する。
【0060】
この基本デジタル移相回路Bは、第1~第4の電子スイッチ7a,7b,7dの導通状態に応じて動作モードが切替えられる。すなわち、基本デジタル移相回路Bの動作モードには、スイッチ制御部8によって第1の電子スイッチ7a及び第2の電子スイッチ7bのみがON状態に設定される低遅延モードと、スイッチ制御部8によって第4の電子スイッチ7dのみがON状態に設定される高遅延モードとがある。
【0061】
低遅延モードにおいて、スイッチ制御部8は、第1の電子スイッチ7a及び第2の電子スイッチ7bをON状態に設定し、また第4の電子スイッチ7dをOFF状態に設定する。すなわち、低遅延モードでは、高周波信号が信号線路1の入力端(他端)から出力端(一端)まで伝搬するまで第1の伝搬遅延時間Tによって、高遅延モードにおける第2の位相差θよりも小さな第1の位相差θが発生する。
【0062】
この低遅延モードについてさらに詳しく説明すると、第1の内側線路2aは、第1の電子スイッチ7aがON状態に設定されることにより、他端が第2の接地導体4bと接続された状態となる。すなわち、第1の内側線路2aは、一端が第1の接続導体6aを介して第1の接地導体4aに常時接続されており、他端が第1の電子スイッチ7aを介して第2の接地導体4bと接続されることによって一端と他端との間に電流が流れ得る第1の通電経路を形成する。
【0063】
一方、第2の内側線路2bは、第2の電子スイッチ7bがON状態に設定されることにより、他端が第2の接地導体4bと接続された状態となる。すなわち、第2の内側線路2bは、一端が第2の接続導体6bを介して第1の接地導体4aに常時接続されており、他端が第2の電子スイッチ7bを介して第2の接地導体4bと接続されることによって一端と他端との間に電流が流れ得る第2の通電経路を形成する。
【0064】
そして、このような第1の内側線路2a及び第2の内側線路2bの両端接続状態において、信号線路1に入力端から出力端に向かって信号電流が流れると、当該伝搬に起因して第1の内側線路2a及び第2の内側線路2bには、一端から他端に向かって信号電流のリターン電流が流れる。
【0065】
すなわち。第1の通電経路を形成する第1の内側線路2aには、信号線路1における信号電流の通電によって信号電流の通電方向とは逆方向の第1のリターン電流が流れる。また、第2の通電経路を形成する第2の内側線路2bには、信号線路1における信号電流の通電によって信号電流の通電方向とは逆方向、つまり第1のリターン電流と同方向に第2のリターン電流が流れる。
【0066】
ここで、第1の内側線路2aに流れる第1のリターン電流及び第2の内側線路2bに流れる第2のリターン電流は、いずれも信号電流の通電方向に対して逆方向である。したがって、第1のリターン電流及び第2のリターン電流は、信号線路1と第1の内側線路2a及び第2の内側線路2bとの電磁気的な結合に起因して、信号線路1のインダクタンスL1を減少させるように作用する。このインダクタンスL1の低減量をΔLsとすると、信号線路1の実効的なインダクタンスLmは(L1-ΔLs)となる。
【0067】
また、信号線路1は、上述したように寄生容量としての静電容量C1を有している。低遅延モードでは、第4の電子スイッチ7dがOFF状態に設定されるので、コンデンサ5は、信号線路1と第2の接地導体4bとの間に接続されていない状態である。すなわち、コンデンサ5の静電容量Caは、信号線路1を伝搬する高周波信号に影響を与えない。したがって、信号線路1を伝搬する高周波信号には、(Lm×C1)1/2に比例した第1の伝搬遅延時間Tが作用する。
【0068】
そして、信号線路1の出力端(一端)における高周波信号は、このような第1の伝搬遅延時間Tに起因して信号線路1の入力端(他端)における高周波信号より位相が第1の位相差θだけ遅れたものとなる。すなわち、低遅延モードでは、第1のリターン電流及び第2のリターン電流によって信号線路1のインダクタンスL1がインダクタンスLmに低減されることによって、信号線路1が有する本来の伝搬遅延時間が減少し、この結果として信号線路1が本来有する位相差よりも小さな第1の位相差θが実現される。
【0069】
ここで、低遅延モードでは、第3の電子スイッチ7cがON状態に設定されることにより、信号線路1の損失を意図的に増加させている。この損失付与は、低遅延モードにおける高周波信号の出力振幅を高遅延モードにおける出力振幅に近付けるためのものである。
【0070】
すなわち、低遅延モードにおける高周波信号の損失は、高遅延モードにおける高周波信号の損失よりも明確に小さい。この損失差は、動作モードを低遅延モードと高遅延モードとに切り替えた場合に基本デジタル移相回路Bから出力される高周波信号の振幅差を招来させるものである。このような事情に対して、基本デジタル移相回路Bでは、低遅延モードで第3の電子スイッチ7cをON状態に設定することにより、上記振幅差を解消している。
【0071】
一方、高遅延モードにおいて、スイッチ制御部8は、第1の電子スイッチ7a、第2の電子スイッチ7b、第3の電子スイッチ7cをOFF状態に設定し、また第4の電子スイッチ7dをON状態に設定する。すなわち、高遅延モードでは、高周波信号が信号線路1の入力端(他端)から出力端(一端)まで伝搬するまで第2の伝搬遅延時間Tによって、低遅延モードにおける第1の位相差θよりも大きな第2の位相差θが発生する。
【0072】
この高遅延モードでは、第1の電子スイッチ7a及び第2の電子スイッチ7bがOFF状態に設定されるので、第1の内側線路2aには第1の通電経路が形成されず、また第2の内側線路2bには第2の通電経路が形成されない。したがって、第1の内側線路2aに流れる第1のリターン電流は極めて小さくなり、また第2の内側線路2bに流れる第2のリターン電流は極めて小さくなる。
【0073】
これに対して、第1の外側線路3aは、一端が第3の接続導体6cを介して第1の接地導体4aに接続され、また他端が第4の接続導体6dを介して第2の接地導体4bに接続されている。すなわち、第1の外側線路3aには一端と他端との間に電流が流れ得る第3の通電経路が予め形成されている。したがって、高遅延モードでは、信号線路1における信号電流に起因して、第1の外側線路3aの一端から他端に向かって第3のリターン電流が流れる。この第3のリターン電流は、信号線路1における信号電流の通電方向に対して逆方向である。したがって、第3のリターン電流は、信号線路1と第1の外側線路3aとの電磁気的な結合に起因して信号線路1のインダクタンスL1を減少させ得る。
【0074】
また、第2の外側線路3bは、一端が第5の接続導体6eを介して第1の接地導体4aに接続され、また他端が第6の接続導体6fを介して第2の接地導体4bに接続されている。すなわち、第2の外側線路3bには一端と他端との間に電流が流れ得る第4の通電経路が予め形成されている。したがって、高遅延モードでは、信号線路1における信号電流に起因して、第2の外側線路3bの一端から他端に向かって第4のリターン電流が流れる。この第4のリターン電流は、信号線路1における信号電流の通電方向に対して逆方向である。したがって、第4のリターン電流は、信号線路1と第2の外側線路3bとの電磁気的な結合に起因して信号線路1のインダクタンスL1を減少させ得る。
【0075】
ここで、信号線路1と第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bとの距離は、信号線路1と第1の内側線路2a及び第2の内側線路2bとの距離よりも大きい。したがって、第3のリターン電流及び第4のリターン電流は、第1のリターン電流及び第2のリターン電流よりもインダクタンスL1を減少させる作用が小さい。第3のリターン電流及び第4のリターン電流に起因するインダクタンスL1の低減量をΔLhとすると、信号線路1の実効的なインダクタンスLpは(L1-ΔLh)となる。
【0076】
一方、信号線路1は寄生容量としての静電容量C1を有している。また、高遅延モードでは、第4の電子スイッチ7dがON状態に設定されるので、信号線路1と第2の接地導体4bとの間にはコンデンサ5が接続されている。すなわち、信号線路1は、コンデンサ5の静電容量Caと静電容量C1(寄生容量)とを合算した静電容量Cbを有する。したがって、信号線路1を伝搬する高周波信号には、(Lp×Cb)1/2に比例した第2の伝搬遅延時間Tが作用する。
【0077】
そして、信号線路1の出力端における高周波信号は、このような第2の伝搬遅延時間Tに起因して信号線路1の入力端における高周波信号より位相が第2の位相差θだけ遅れたものとなる。すなわち、高遅延モードでは、第3のリターン電流及び第4のリターン電流によって信号線路1のインダクタンスL1がインダクタンスLnに弱く低減されることによって、また第4の電子スイッチ7dがON状態に設定されることによって、低遅延モードの第1の位相差θよりも大きな第2の位相差θが実現される。
【0078】
なお、高遅延モードでは、第3の電子スイッチ7cがOFF状態に設定される。すなわち、高遅延モードでは、信号線路1の損失を意図的に増加させる処置は施されない。この結果、高遅延モードにおける高周波信号の出力振幅は、低遅延モードにおける出力振幅に近づく。
【0079】
このような第1実施形態に係るデジタル移相器A1では、直線状に縦続接続されることによって互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bにおいて、互いに隣り合う外側線路3aと外側線路3aとが隙間Pを持って対峙し、互いに隣り合う第2の外側線路3bと第2の外側線路3bとが隙間Pを持って対峙する。また、このデジタル移相回路Bでは、互いに隣り合う第1の接地導体4aと第2の接地導体4bとが隙間Pを持って配置されている。
【0080】
すなわち、このデジタル移相回路Bでは、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a及び互いに隣り合う2つの第2の外側線路3b,3bは、直接接触することなく隙間Sを持って配置されている。また、互いに隣り合う第1の接地導体4aと第2の接地導体4bとは、直接接触することなく隙間Sを持って配置されている。
【0081】
例えば、図1に示す第1のデジタル移相回路B、第2のデジタル移相回路B及び第3のデジタル移相回路Bに着目すると、第1のデジタル移相回路Bにおける第1の外側線路3aと第2のデジタル移相回路Bにおける第1の外側線路3aとは互いに隣り合う関係にある。また、第1のデジタル移相回路Bにおける第2の外側線路3bと第2のデジタル移相回路Bにおける第2の外側線路3bとは互いに隣り合う関係にある。
【0082】
さらに、第1のデジタル移相回路Bの第1の接地導体4aと第2のデジタル移相回路Bの第2の接地導体4bとは互いに隣り合う関係にある。これら第1のデジタル移相回路B及び第2のデジタル移相回路Bについて、2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bは、接触することなく隙間Sを持って配置されている。
【0083】
また、第2のデジタル移相回路Bにおける第1の外側線路3aと第3のデジタル移相回路Bにおける第1の外側線路3aとは、互いに隣り合う関係にある。また、第2のデジタル移相回路Bにおける第2の外側線路3bと第3のデジタル移相回路Bにおける第2の外側線路3bとは、互いに隣り合う関係にある。
【0084】
さらに、第2のデジタル移相回路Bの第1の接地導体4aと第3のデジタル移相回路Bの第2の接地導体4bとは、互いに隣り合う関係にある。これら第2のデジタル移相回路B及び第3のデジタル移相回路Bについても、2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bは、接触することなく隙間Sを持って配置されている。
【0085】
このようなデジタル移相器A1では、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが直接接触していないので、高遅延時の1ユニットあたりの正味のリターンパス合計(4b,3b,4bの合計)を長くすることができ、インダクタンス値を高くすることができる。直接接触していれば高遅延時の隣りあう第2の接地導体4bに流れる逆方向のリターン電流が互いに打ち消され、第2の接地導体4bの正味のリターンパス長は0(ゼロ)となる。
【0086】
したがって、第1実施形態によれば、高遅延モード時のインダクタンス値を従来よりも増大させることが可能なデジタル移相器A1の提供が可能である。したがって、第1実施形態によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異を従来よりも増大させることが可能である。
【0087】
ここで、図3の実線は、第1実施形態に係るデジタル移相器A1の移相特性を示すグラフである。この図3に示すように、第1実施形態に係るデジタル移相器A1によれば、周波数が高くなる程に大きな移相量を確保することが可能である。また、第1実施形態に係るデジタル移相器A1によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異を十分に確保することが可能である。
【0088】
なお、図3の点線は、比較例として示すものであり、導電層を変えた場合の移相特性である。すなわち、この点線は、第1の接地導体4aを第2の接地導体4bとは違う層に形成した場合の移相特性であり、高遅延モード時の移相量を実線よりもさらに大きくすることができる。
【0089】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して説明する。第2実施形態に係るデジタル移相器A2は、図4に示すように、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bにおいて、信号線路1に対する第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの距離が異なる。
【0090】
第1実施形態に係るデジタル移相器A1は、図1に示すように互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bにおいて、信号線路1に対する第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの距離が同一である。これに対して、第2実施形態に係るデジタル移相器A2は、信号線路1に対する第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの距離が基本デジタル移相回路Bとは異なる第1変形デジタル移相回路aBを採用し、基本デジタル移相回路B及び第1変形デジタル移相回路aBを交互に配置したものである。
【0091】
すなわち、第2実施形態に係るデジタル移相器A2は、図4に示すように、基本デジタル移相回路Bを第1のデジタル移相回路B,第3のデジタル移相回路B,(中略)、第nのデジタル移相回路Bに採用する。また、このデジタル移相器A2は、信号線路1に対する第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの位置が基本デジタル移相回路Bとは異なる第1変形デジタル移相回路aBを第2のデジタル移相回路B,(中略)、第n-1のデジタル移相回路Bn-1に採用する。
【0092】
より具体的には、第1変形デジタル移相回路aBは、図4に示すように、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの位置が基本デジタル移相回路Bの第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bよりも信号線路1に近い。すなわち、第1変形デジタル移相回路aBは、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bの長さが基本デジタル移相回路Bの第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bよりも短い。
【0093】
このようなデジタル移相器A2では、互いに隣り合う第1の外側線路3aと第1の外側線路3aとの距離、及び、互いに隣り合う第2の外側線路3bと第2の外側線路3bとの距離が第1実施形態に係るデジタル移相器A1よりも長い。
【0094】
このようなデジタル移相器A2では、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが直接接触せず、しかも、第1実施形態に係るデジタル移相器A1よりもさらに離間しているので、高遅延モード時のインダクタンス値をさらに高くすることができる。
【0095】
したがって、第2実施形態によれば、高遅延モード時のインダクタンス値をさらに増大させることが可能なデジタル移相器A2の提供が可能である。したがって、第2実施形態によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異をさらに増大させることが可能である。
【0096】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して説明する。第3実施形態に係るデジタル移相器A3は、図5に示すように、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bにおいて、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが異なる導電層に形成される。
【0097】
第1実施形態で説明したように、基本デジタル移相回路Bは、実際には絶縁層を挟んで複数の導電層が積層された積層構造物として形成される。例えば、基本デジタル移相回路Bは、信号線路1、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bが第1の導電層に形成され、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが絶縁層を挟んで第1の導電層と対向する第2の導電層に形成される。
【0098】
これに対して、第3実施形態に係るデジタル移相器A3は、基本デジタル移相回路Bに加えて、導電層が基本デジタル移相回路Bとは異なる第2変形デジタル移相回路bBを採用し、また基本デジタル移相回路B及び第2変形デジタル移相回路bBを交互に配置したものである。
【0099】
すなわち、第3実施形態に係るデジタル移相器A3は、図5に示すように、基本デジタル移相回路Bを第1のデジタル移相回路B,第3のデジタル移相回路B,(中略)、第nのデジタル移相回路Bに採用する。また、このデジタル移相器A3は、導電層が基本デジタル移相回路Bとは異なる第2変形デジタル移相回路bBを第2のデジタル移相回路B,(中略)、第n-1のデジタル移相回路Bn-1に採用する。
【0100】
第2変形デジタル移相回路bBは、より具体的には、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bが基本デジタル移相回路Bの第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bとは異なる導電層に形成される。また、第2変形デジタル移相回路bBは、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが基本デジタル移相回路Bの第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bとは異なる導電層に形成される。
【0101】
このようなデジタル移相器A3では、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが直接接触せず、しかも、第1実施形態に係るデジタル移相器A1よりもさらに離間しているので、高遅延モード時のインダクタンス値をさらに高くすることができる。
【0102】
したがって、第3実施形態によれば、高遅延モード時のインダクタンス値を第1実施形態に係るデジタル移相器A1よりも増大させることが可能である。そして、この結果として、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異をデジタル移相器A1よりも増大させることが可能である。
【0103】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して説明する。第4実施形態に係るデジタル移相器A4は、図6に示すように、第2実施形態に係るデジタル移相器A2の構造上の特徴と第3実施形態に係るデジタル移相器A3の構造上の特徴とを併せ持つものである。
【0104】
このデジタル移相器A4は、基本デジタル移相回路Bに加えて、信号線路1に対する第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの距離が異なり、かつ、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが異なる導電層に形成された第3変形デジタル移相回路cBを採用する。また、このデジタル移相器A4は、基本デジタル移相回路B及び第3変形デジタル移相回路cBを交互に配置したものである。
【0105】
すなわち、第4実施形態に係るデジタル移相器A4は、図6に示すように、基本デジタル移相回路Bを第1のデジタル移相回路B,第3のデジタル移相回路B,(中略)、第nのデジタル移相回路Bに採用する。また、このデジタル移相器A4は、第3変形デジタル移相回路cBを第2のデジタル移相回路B,(中略)、第n-1のデジタル移相回路Bn-1に採用する。
【0106】
このようなデジタル移相器A4では、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3b並びに第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが直接接触せず、しかも、第2実施形態に係るデジタル移相器A2及び第3実施形態に係るデジタル移相器A3よりもさらに離間しているので、高遅延モード時のインダクタンス値をさらに高くすることができる。
【0107】
したがって、第4実施形態によれば、高遅延モード時のインダクタンス値をさらに増大させることが可能なデジタル移相器A4の提供が可能である。したがって、第4実施形態によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異をさらに増大させることが可能である。
【0108】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について図7を参照して説明する。第5実施形態に係るデジタル移相器A5は、図7に示すように、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bは、信号線路1に対する位置関係が逆となるように第1の外側線路3a及び第2の外側線路3b(一対の外側線路)の一方を削除したものである。また、このデジタル移相器A5は、上記第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bの一方の削除に伴って、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bの長さが短く設定されたものである。
【0109】
このデジタル移相器A5は、図7に示すように、第4変形デジタル移相回路dBと第5変形デジタル移相回路eBとを採用し、第4変形デジタル移相回路dBと第5変形デジタル移相回路eBとを交互に配置したものである。すなわち、デジタル移相器A5は、第4変形デジタル移相回路dBを第1のデジタル移相回路B,第3のデジタル移相回路B3,(中略)、第nのデジタル移相回路Bに採用する。また、このデジタル移相器A5は、第5変形デジタル移相回路eBを第2のデジタル移相回路B,(中略)、第n-1のデジタル移相回路Bn-1に採用する。
【0110】
第4変形デジタル移相回路dBは、基本デジタル移相回路Bにおける第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bのうち、第1の外側線路3aを削除したものである。また、この第4変形デジタル移相回路dBは、第1の外側線路3aの削除に伴って、基本デジタル移相回路Bにおける第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bよりも短い第1の接地導体4a’及び第2の接地導体4b’を備える。これら第1の接地導体4a’及び第2の接地導体4b’は、図示するように第2の外側線路3bの外側縁部と第1の内側線路2aの外側縁部とに亘って延在する。
【0111】
第5変形デジタル移相回路eBは、基本デジタル移相回路Bにおける第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bのうち、第2の外側線路3bを削除したものである。また、この第5変形デジタル移相回路eBは、第2の外側線路3bの削除に伴って、基本デジタル移相回路Bにおける第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bよりも短い第1の接地導体4a”及び第2の接地導体4b”を備える。これら第1の接地導体4a”及び第2の接地導体4b”は、図示するように第1の外側線路3aの外側縁部と第2の内側線路2bの外側縁部とに亘って延在する。
【0112】
このようなデジタル移相器A5では、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3bは存在しない。また、互いに隣り合う第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bは、第1の内側線路2aと第2の内側線路2bとの間にしか存在しない。したがって、高遅延モード時のインダクタンス値を高くすることができる。
【0113】
したがって、第5実施形態によれば、高遅延モード時のインダクタンス値を第2実施形態に係るデジタル移相器A2よりも増大させることが可能である。そして、この結果として、第5実施形態によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異をデジタル移相器A1よりも増大させることが可能である。
【0114】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について図8を参照して説明する。第6実施形態に係るデジタル移相器A6は、図8に示すように、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bの一方が信号線路1に対する距離が異なる複数の個別線路3c~3hを連接した第1の外側線路3a’及び第2の外側線路3b’を備える。
【0115】
すなわち、このデジタル移相器A6は、基本デジタル移相回路Aに加えて、信号線路1に対する距離が異なる複数の個別線路3c~3hが連接された第1の外側線路3a’及び第2の外側線路3b’を備える第6変形デジタル移相回路fBを採用する。また、このデジタル移相器A6は、基本デジタル移相回路B及び第3変形デジタル移相回路cBを交互に配置したものである。
【0116】
第6実施形態に係るデジタル移相器A6は、図8に示すように、基本デジタル移相回路Bを第1のデジタル移相回路B,第3のデジタル移相回路B,(中略)、第nのデジタル移相回路Bに採用する。また、このデジタル移相器A6は、第6変形デジタル移相回路fBを第2のデジタル移相回路B,(中略)、第n-1のデジタル移相回路Bn-1に採用する。
【0117】
第6変形デジタル移相回路fBにおいて、第1の外側線路3a’は、3つの個別線路3c~3eを2つの接続線路9a,9bを用いて連接したものである。3つの個別線路3c~3eは、信号線路1と同一方向に延在する直線状の帯状導体である。
【0118】
3つの個別線路3c~3eのうち、一対の個別線路3c,3eは、図示するように信号線路1に対して同一距離に配置されている。また、一対の個別線路3c,3eのうち、一方の個別線路3cは、一端が第1の接地導体4aに接続され、他端が一方の接続線路9aの一端に接続されている。また、他方の個別線路3eは、一端が第2の接地導体4bに接続され、他端が他方の接続線路9bの一端に接続されている。
【0119】
残りの個別線路3dは、一対の個別線路3c,3eよりも信号線路1から遠い位置に配置されており、一端が一方の接続線路9aの他端に接続され、他端が他方の接続線路9bの一端に接続されている。2つの接続線路9a,9bは、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bと同一方向に延在する直線状の帯状導体である。
【0120】
すなわち、第1の外側線路3a’は、3つの個別線路3c~3e及び2つの接続線路9a,9bが個別線路3c→接続線路9a→個別線路3d→接続線路9b→個別線路3eの順に連接されたものである。
【0121】
一方、第2の外側線路3b’は、3つの個別線路3f~3hを2つの接続線路9c,9dを用いて連接したものである。3つの個別線路3f~3hは、信号線路1と同一方向に延在する直線状の帯状導体である。
【0122】
3つの個別線路3f~3hのうち、一対の個別線路3f,3hは、図示するように信号線路1に対して同一距離に配置されている。また、一対の個別線路3f,3hのうち、一方の個別線路3fは、一端が第1の接地導体4aに接続され、他端が一方の接続線路9cの一端に接続されている。また、他方の個別線路3hは、一端が第2の接地導体4bに接続され、他端が他方の接続線路9dの一端に接続されている。
【0123】
残りの個別線路3gは、一対の個別線路3f,3hよりも信号線路1から遠い位置に配置されており、一端が一方の接続線路9cの他端に接続され、他端が他方の接続線路9dの他端に接続されている。2つの接続線路9c,9dは、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bと同一方向に延在する直線状の帯状導体である。
【0124】
すなわち、第2の外側線路3b’は、3つの個別線路3f~3h及び2つの接続線路9c,9dが個別線路3f→接続線路9c→個別線路3g→接続線路9d→個別線路3hの順に連接されたものである。
【0125】
このようなデジタル移相器A6では、互いに隣り合う2つの第1の外側線路3a,3a、2つの第2の外側線路3b,3bの距離は、第1実施形態のデジタル移相器A1より長い。また、互いに隣り合う第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bにおいても、第6変形デジタル移相回路fBの第1の接地導体及び第2の接地導体が、基本デジタル移相回路Bの第1の接地導体及び第2の接地導体より短いので、第1実施形態のデジタル移相器A1よりも隣接部分が少ない。したがって、高遅延モード時のインダクタンス値を高くすることができる。
【0126】
したがって、第6実施形態によれば、高遅延モード時のインダクタンス値を増大させることが可能なデジタル移相器A6の提供が可能である。したがって、第6実施形態によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異をさらに増大させることが可能である。
【0127】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態について図9を参照して説明する。第7実施形態に係るデジタル移相器A7は、第3実施形態の変形例と言えるものである。
【0128】
上述したように第3実施形態に係るデジタル移相器A3は、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bにおいて、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bに加えて第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bを異なる導電層に形成した。これに対して、第7実施形態に係るデジタル移相器A7は、互いに隣り合うデジタル移相回路B~Bにおいて、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bのみを異なる導電層に形成したものである。
【0129】
このデジタル移相器A7は、図9に示すように、基本デジタル移相回路Bと第7変形デジタル移相回路gBとを採用し、基本デジタル移相回路B及び第7変形デジタル移相回路gBを交互に配置したものである。すなわち、デジタル移相器A7は、基本デジタル移相回路Bを第1のデジタル移相回路B,第3のデジタル移相回路B,(中略)、第nのデジタル移相回路Bに採用する。また、このデジタル移相器A7は、第7変形デジタル移相回路gBを第2のデジタル移相回路B,(中略)、第n-1のデジタル移相回路Bn-1に採用する。
【0130】
第7変形デジタル移相回路gBは、信号線路1、第1の内側線路2a、第2の内側線路2b、第1の外側線路3a及び第2の外側線路3bが第1の導電層に形成される。また、この第7変形デジタル移相回路gBは、第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが絶縁層を挟んで第1の導電層と対向する第2の導電層に形成される。
【0131】
このような第7実施形態に係るデジタル移相器A7によれば、互いに隣り合う第1の接地導体4a及び第2の接地導体4bが異なる導電層に形成されているので、第3実施形態に係るデジタル移相器A3と略同様に、高遅延モード時のインダクタンス値をさらに高くすることができる。
【0132】
したがって、第7実施形態によれば、高遅延モード時の移相量と低遅延モード時の移相量との差異を第1実施形態のデジタル移相器A1よりも増大させることが可能である。
【符号の説明】
【0133】
A1~A7…デジタル移相器、B,B~B…基本デジタル移相回路、aB,aB~aBn-1…第1変形デジタル移相回路、bB,bB~bBn-1…第2変形デジタル移相回路、cB,cB~cBn-1…第3変形デジタル移相回路、dB,dB~dBn-1…第4変形デジタル移相回路、eB,eB~eBn-1…第5変形デジタル移相回路、fB,fB~fBn-1…第6変形デジタル移相回路、gB,gB~gBn-1…第7変形デジタル移相回路、1…信号線路、2a…第1の内側線路、2b…第2の内側線路、3a…第1の外側線路、3b…第2の外側線路、4a…第1の接地導体、4b…第2の接地導体、5…コンデンサ、6a…第1の接続導体、6b…第2の接続導体、6c…第3の接続導体、6d…第4の接続導体、6e…第5の接続導体、6f…第6の接続導体、6g…第7の接続導体、7a…第1の電子スイッチ、7b…第2の電子スイッチ、7c…第3の電子スイッチ、7d…第4の電子スイッチ(コンデンサ用電子スイッチ)、8…スイッチ制御部
【要約】
【課題】高遅延モード時のインダクタンス値を従来よりも増大させることが可能なデジタル移相器を提供する。
【解決手段】信号線路、当該信号線路の両側に設けられた一対の内側線路、当該内側線路の外側に各々設けられた一対の外側線路、内側線路及び外側線路の各一端に接続された第1の接地導体、外側線路の各他端に接続された第2の接地導体、内側線路の各他端と第2の接地導体との間に各々設けられる一対の電子スイッチを少なくとも備えたデジタル移相回路が複数縦続接続されてなるデジタル移相器であって、互いに隣り合うデジタル移相回路において、隣り合う外側線路同士及び第1の接地導体と前記第2の接地導体とが離間している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9