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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】鶏のせせり肉切剥機構
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019116719
(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公開番号】P2021000059
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592051187
【氏名又は名称】マトヤ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益留 福一
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝博
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512837(JP,A)
【文献】特開2017-169465(JP,A)
【文献】特開2010-252764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏の首部が載置可能な溝条を備えた台盤を複数個配列し、前記台盤を水平方向に間欠的に一定速度で割り出し移動させ、移動が停止した状態で、前記台盤に鶏の首ガラを載置する第1ステージと、台盤に載置された鶏の首ガラの付け根部を係止体で上方から突き刺すか又は挟み付けて前記台盤に固定し、押圧矯正部により前記鶏の首ガラの首部を上方から真っ直ぐ矯正しながら前記溝条に沿って押圧すると共に、首の先端部を切断面より下方に沈下させる第2ステージと、首部の両側から一対のブレードを備えたクランプにより挟み付ける共に、前記ブレードの挟み付けにより上方に盛り上がったせせり肉を、切剥部により切剥する第3ステージとからなることを特徴とする鶏のせせり肉切剥機構。
【請求項2】
円盤状のターンテーブルの中心方向に沿って鶏の首部が載置可能な溝条を備えた台盤を有するケーシングを複数個配列し、前記ターンテーブルを水平方向に間欠的に一定速度で割り出し回転させ、回転が停止した状態で、前記台盤に鶏の首ガラを載置する第1ステージと、台盤に載置された鶏の首ガラの付け根部を係止体で上方から突き刺すか又は挟み付けて前記台盤に固定し、押圧矯正部により前記鶏の首ガラの首部を上方から真っ直ぐ矯正しながらターンテーブルの半径内側方向に押圧すると共に、首の先端部を切断面より下方に沈下させる第2ステージと、首部の両側から一対のブレードを備えたクランプにより挟み付ける共に、前記ブレードの挟み付けにより上方に盛り上がったせせり肉を、切剥部により切剥する第3ステージとからなることを特徴とする鶏のせせり肉切剥機構。
【請求項3】
係止体が少なくとも一対の針又は断面W字状の楔であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鶏のせせり肉切剥機構。
【請求項4】
押圧矯正部に首部に嵌合する凹所を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の鶏のせせり肉切剥機構。
【請求項5】
台盤に首ガラの首部を載置するガイドとなる断面半円弧形状の凹所が形成された首部載置溝条とV字型の首ガラ胸部載置溝条とを設け、前記半円型の首部載置溝条内に首ガラの首部を載置すると共に、当該首部載置溝条と前記首ガラ胸部載置溝条との間に、首ガラの移動を規制する係止段部と、首ガラの先端が載置される位置に前記首部載置溝条よりも深く窪んだ凹所を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鶏のせせり肉切剥機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食用鶏の頸部にあるせせり肉(小肉ともいう)は、鶏の頸椎の周りを覆っている一羽の鶏からほんの僅かしか取れない希少な可食部位で、鶏の中でも柔らかく低脂肪で、噛み応えがあり、焼き鳥などで食される貴重な部位である。本発明はこのせせり肉を鶏の首部(頸椎)から切剥する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
食肉から除骨する装置として、例えば、食肉をミンチに加工するチョッパーにおいて、食肉内に混在する軟骨や筋などの骨片類を除去する骨片類除去装置を付設したもの(特許文献1参照。)や所定の骨片等の異物の通過を防ぐ複数のスリットが形成され、このスリットを通過したミンチ状の食肉をスクーレパーで掻き取ることによって除骨する装置(特許文献2参照。)が提案されている。また、投入ステーションより下流に向け、投入ステーションと所定間隔を持つ肩甲骨脱骨ステーションと、同一所定間隔を持つ上腕骨脱骨ステーションの順に等間隔直線状に配設し、上腕骨脱骨ステーションの下流に上腕骨を排出する骨部排出ステーションを設け、固定、可動搬送路を介してワークを懸架状態でタクト搬送させ、その搬送過程で脱骨処理して最終ステーション(排出ステーション)より脱骨した上腕骨を排出する構成の食肉脱骨装置(特許文献3参照。)。他にも、懸架吊部により骨付き肉の露出した首部を把持し、懸架した状態で、骨の長手方向に沿って筋入れ加工を行った後、骨の周囲の肉を引き剥がすことで脱骨する骨付き肉の自動脱骨装置(特許文献4参照。)等が提案されている。
【0003】
本発明者もまた、円盤の中心を支軸に円周方向に複数個配列した受け皿(ダイスカップ)を水平方向に間欠的に一定速度で割り出し回転する回転搬送機構と、この回転搬送機構が停止した状態で、受け皿に載置された鶏のボンジリからボンジリ内の尾骨を打ち抜いて除去する打ち抜きパンチ機構と、除骨後のボンジリを、受け皿を反転させることで装置外に搬出する処理肉払い出し機構とからなる鶏のボンジリ内にある尾骨の除去作業を行う装置を提案している(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-44024号公報
【文献】特許第3191024号公報
【文献】特許第4327099号公報
【文献】特許第4908148号公報
【文献】特開2017-169465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
せせり肉の切剥作業については、未だ機械化が図られておらず、鶏の細い首からナイフで剥がすという手作業に委ねられたまま現在に至っている。せせり肉は美味しい部位なので需要が多いが、1日に数万羽を処理する工場では人手が足りず廃棄処分されるものが大量にあった。このため、せせり肉の切剥作業の機械化が嘱望されていた。
そこで、本発明者らは、上記従来技術の課題に鑑み、鶏のせせり肉切剥機構を(特願2018-107655)をもって先に提案している。
【0006】
この鶏のせせり肉切剥機構は、円盤状のターンテーブルの中心方向に鶏の首部が載置可能な溝条を備えた台盤を有するケーシングを複数個配列し、前記ターンテーブルを水平方向に間欠的に一定速度で割り出し回転させ、回転が停止した状態で、前記台盤に鶏の首部を載置する第1ステージと、台盤に載置された鶏の首部を両側から一対のブレードを備えたクランプにより挟み付ける共に、押圧板により上方から押圧して真っ直ぐ矯正する第2ステージと、前記ブレードの挟み付けによりさらに上方に盛り上がったせせり肉を、切剥部により切剥する第3ステージとからなることを主たる構成としており、前記台盤にV字型溝条と一対のガイド壁を設け、このV字型溝条とガイド壁内に鶏の首部を載置すると共に、首部の端面の脊髄孔又は食道孔を台盤に設けた針棒に差し込んで、鶏の首部の曲がりを真っ直ぐに矯正し、前記台盤に首部をセットした状態で、さらに、首部の上方から先端に断面がV字状に尖った凸条を有する押圧板により押圧矯正することで、鶏のせせり肉の切剥作業における労力を軽減し、安全かつ効率的に切剥作業を行うことができようにしたものである。
【0007】
本発明は、上記鶏のせせり肉切剥機構の改良に関するものであり、切剥する肉の量が増加して歩留まりを向上させると共に、首の先端側にある硬骨を除去することができる鶏のせせり肉切剥機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明の鶏のせせり肉切剥機構は、鶏の首部が載置可能な溝条を備えた台盤を複数個配列し、前記台盤を水平方向に間欠的に一定速度で割り出し移動させ、移動が停止した状態で、前記台盤に鶏の首ガラを載置する第1ステージと、台盤に載置された鶏の首ガラの付け根部を係止体で上方から突き刺すか又は挟み付けて前記台盤に固定し、押圧矯正部により前記鶏の首ガラの首部を上方から真っ直ぐ矯正しながら前記溝条に沿って押圧すると共に、首の先端部を切断面より下方に沈下させる第2ステージと、首部の両側から一対のブレードを備えたクランプにより挟み付ける共に、前記ブレードの挟み付けにより上方に盛り上がったせせり肉を、切剥部により切剥する第3ステージとからなることを第1の特徴とする。
【0009】
また、円盤状のターンテーブルの中心方向に沿って鶏の首部が載置可能な溝条を備えた台盤を有するケーシングを複数個配列し、前記ターンテーブルを水平方向に間欠的に一定速度で割り出し回転させ、回転が停止した状態で、前記台盤に鶏の首ガラを載置する第1ステージと、台盤に載置された鶏の首ガラの付け根部を係止体で上方から突き刺すか又は挟み付けて前記台盤に固定し、押圧矯正部により前記鶏の首ガラの首部を上方から真っ直ぐ矯正しながらターンテーブルの半径内側方向に押圧すると共に、首の先端部を切断面より下方に沈下させる第2ステージと、首部の両側から一対のブレードを備えたクランプにより挟み付ける共に、前記ブレードの挟み付けにより上方に盛り上がったせせり肉を、切剥部により切剥する第3ステージとからなることを第2の特徴とする。
【0010】
さらに、係止体が少なくとも一対の針又は断面W字状の楔であることを第3の特徴とする。さらにまた、押圧矯正部に首部に嵌合する凹所を設けたことを第4の特徴とする。加えて、台盤に首ガラの首部を載置するガイドとなる断面半円弧状の凹所が形成された首部載置溝条と断面V字型の首ガラ胸部載置溝条とを設け、この首部載置溝条内に首ガラの首部を載置すると共に、当該首部載置溝条と前記首ガラ胸部載置溝条との間に、首ガラの移動を規制する係止段部と、首ガラの先端が載置される位置に前記首部載置溝条よりも深く窪んだ凹所を設けたことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明機構によれば、鶏のせせり肉の切剥作業を手作業の数倍の速さで極めて効率良く行うことができる。さらに、切剥する肉の量が増加して歩留まりを向上させると共に、首の先端側にある硬骨を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る鶏せせり肉切剥機構の全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明に係る鶏せせり肉切剥機構の要部拡大斜視図である。
図3】台盤の正面側斜視図である。
図4】台盤の背面側斜視図である。
図5】(a)は台盤の正面図、(b)は台盤の背面図である。
図6】切削板の平面図である。
図7】台盤に鶏の首ガラをセットした状態を示す側面図である。
図8】台盤にセットした首部の押圧状態を示す側面図である。
図9】首の先端部を押圧して沈下させた状態を示す側面図である。
図10】クランプを解放した状態を示す側面図である。
図11】押圧沈下体の他の駆動機構を示す(a)は上死点、(b)は下死点にある状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面にしたがって本発明機構の一実施例を説明する。便宜上、同様の構成要件には同一の参照符号を付して説明する。
【実施例
【0014】
図1及び図2に示すように、鶏のせせり肉の切剥機構は、床上80cm~90cmの高さに設置された円盤状のターンテーブル5の中心を支軸5aに円周方向に鶏の首ガラ1(以下、単に首ガラという)が載置可能な溝条2aを備えた台盤2有するケーシング7を複数個配列し、ターンテーブル5を水平方向に間欠的に一定速度で割り出し回転させ、回転が停止した状態で、台盤2に鶏の首ガラ1を載置する第1ステージと、台盤2に載置された鶏の首ガラ1を両側から一対の先端が尖ったブレード4aを備えたクランプ部4により挟み付ける共に、台盤2に載置された首ガラ1の付け根部1cを係止体8aで上方から突き刺すか又は挟み付けて前記台盤2に固定し、押圧矯正部6により首ガラ1の首部を上方から真っ直ぐ矯正しながらターンテーブル5の半径内側方向に押圧すると共に、首ガラの先端部1aを切断面より下方に沈下させる第2ステージと、首ガラ1の両側から一対のブレード4aを備えたクランプ4により挟み付ける共に、ブレード4aの挟み付けにより上方に盛り上がったせせり肉1aを、図6に示す切剥部3により切剥する第3ステージとから構成されている。
【0015】
ケーシング7は矩形の底プレート7bの前後に立設した一対の縦プレート7aを一体に有する台座であり、このケーシング7内に、台盤2、一対のブレード4a及びクランプ4が取り付けられている。クランプ4の駆動は上下駆動装置(シリンダー、カムなど:図示せす)で押し上げて行う。
【0016】
台盤2にセットする前の首ガラ1はU字状又はJ字状に曲がっているので、これを真っ直ぐに矯正する必要がある。このため台盤2上には、図3乃至図5に示すように、首部をガイドする断面半円弧状の凹所2gが形成された首部載置溝条2aと断面V字型の首ガラ胸部載置溝条2bが設けられており、載置した首ガラ1が左右に振れないように規制する。首ガラ1の付け根1cより胴体側(背中の肋骨部)の湾曲部分は台盤2から連続して下方に傾斜した胸肉載置傾斜部2fに載せる。
【0017】
さらに詳しく説明すると、台盤2は、首部をガイドする断面半円弧状凹所2gが形成された首部載置溝条2aと首ガラ胸部載置溝条2bとの間に係止段部2cを形成し、その前後が階段状に形成され、首部載置溝条2aの前端側には、さらに窪んだ首先端部沈下逃げ溝2d及び首先端部沈下段部2eが形成されている。また、首ガラ胸部載置溝条2bは載置した首ガラ1を安定させるために断面略V字型状に形成されると共に、その後端側には首ガラ1の胸肉載置傾斜部2fが形成されている。
【0018】
首ガラ1が移送されて来たら、最初に係止体である一対の係止針棒8aで首ガラ1の付け根1cを上方から突き刺して台盤2に固定する。その際、針1本では背骨の中央の骨に当たり不安定になるため、少なくとも2本の針を用いることが好ましい。また、係止体の先端は首ガラ1の骨を避けて台盤2に挟み付けて固定できる形状、例えば、断面W字状の板や楔のようなものでもよい。
【0019】
図6は、切削部3の平面図であり、回転丸刃3aを外殻壁3dで三方が囲まれている。切剥されたせせり肉1aは図中の矢印AからB方向に引っ張られて切削部3の外殻壁3d内を移動して、壁が無くなる開放部分で外に振り飛ばされる。このため肉が外に振り出されずに、再度切削側Aへ戻ることを防止するための戻り防止板3cが設けられている。
【0020】
図7乃至図10にしたがって、本実施例装置の作業動作を説明する。先ず、第1ステージで首ガラ1を台盤2の上にクランプ4の間を滑らせるように、首ガラ1の胸部が、台盤2の首ガラ胸部係止段部2c段に当接するまで進めて配置する。テーブル5はインデックスで断続的に90度回転(本実施例では、ステーションは4箇所であるが4箇所には限らない)し、第2ステージに移送される。
【0021】
第2ステージでは、押圧牽引矯正部である昇降アーム6とそのリンク機構6cが駆動し、首ガラ1の首部は牽引矯正板6bの裏側内部に形成された溝条凹所6dに案内されて台盤2の中心線上に位置する。この後、タイミングがずれないようにカム9でコントロールされた係止体駆動バー8が駆動し、一対の係止針棒8aが降下して首ガラ1の付け根1cを突き刺して台盤2上に固定する。この状態で押圧矯正板6bが動き始め、斜め上方から首部を真っ直ぐに案内しながら前に押さえて矯正して行く。尚、押圧矯正板6bの裏側の溝条凹所6fは肉の押さえ過ぎを防止する機能も兼ねている。
【0022】
押圧牽引矯正部(昇降アーム)6の押圧牽引板6bは首ガラ1に沿って首ガラ1の付け根(背側)1cから首の先端1bに向かって上方から真っ直ぐ矯正しながらターンテーブル5の半径内側方向に首部載置溝条2aに沿って押圧する。つまり、付け根1cが固定された首ガラ1を押さえながら引っ張るため位置ずれが発生するおそれがある。この位置ずれを防止するために前記係止針棒8aによる固定が必要になる。
【0023】
牽引矯正板6bが伸びきった状態になったら、首ガラの先端1bをクランプ4のブレード4aの先端より下方に押圧沈下させる押圧沈下体6aが下降する。首ガラの先端1bは、台盤2の首先端部沈下逃げ溝2dに当接するまで押し下げられる。首ガラの先端1bには硬骨があり、製品となるせせり肉に入ると異物となるので排除するためである。押圧沈下体6aの下降タイミングは押圧沈下体6aと同時にコントロールできない。このため。図11に示すカム10駆動が必要になる。
【0024】
押圧矯正板6bがさらに下降すると、押圧沈下体6aが首ガラの先端1bをせせり肉1aの切断面より下方に沈下させる。押圧沈下体6aが前死点まで出切ると、係止針棒8aが上昇して抜ける。この状態で、クランプ4は閉じ始め首ガラのせせり肉1aを掴んで斜め上にせり上げる。このように、せせり肉1aが上方に押し上げられ盛り上がった状態を保持して次行程に移行しながら、押圧沈下体6aは上昇動作する。
【0025】
クランプ4のブレード4aの首先端側にはわずかな凸部4bが設けてあり、この凸部4bは首ガラの先端1bを押圧していた押圧沈下体6aが上方に離反するときに首が持ち上がろうとするのを阻止する。この状態で押圧沈下体6aは離反する。尚、クランプ4の左右のブレード4aの間隔は、クランプしたときでも押圧沈下体6aと干渉しない間隔になっている。尚、昇降アーム6と押圧沈下体6aは本実施例には限定されず、図11に示すように、リンク6cと昇降バー6を押圧沈下体駆動カム10で直接駆動させ昇降バー6を設けて上下動させる機構がより好ましい。
【0026】
第2ステージでクランプされた首ガラ1は、第3ステージに移送されて停止すると、モーター3bにより駆動する回転丸刃3aが待機位置から水平方向に直線的にブレード4aの上端を境界ぎりぎりのラインを移動することで、せせり肉1aは切剥され、切剥されたせせり肉1a部分は首ガラ1から離反し、同時にコンベア(図示せず)に滑落して払い出される。切剥されたせせり肉1aは回転丸刃3aの配転方向に引っ張られて刃の上で遠心力を伴い、AからB方向に回転する。外殻壁3dが無くなったところでB方向に飛び出す。せせり肉1aが万が一Bに出なかったとき、戻り防止板3cで回り込みを防止する。せせり肉1aが切剥されるとせせり肉1a部分を盛り上げていた一対のブレード4aは拡開動作して首ガラ1は解放される。そして、次行程でせせり肉1aを切剥された首ガラ1は排出用スクレパー(図示せず)で払い落とされる。
【0027】
本発明は以上のように構成したので、作業者はせせり肉の付いた首ガラ1をクランプ4に載置するだけで、せせり肉の切剥、せせり肉の切剥後の首ガラの排出を自動的かつ連続的に行うことができる。尚、本実施例では、円盤状のターンテーブルに配置した装置を記載しているが、本発明は、本実施例に限定されることなく、鶏の首部が載置可能な溝条を備えた台盤を複数個配列し、前記台盤を水平方向に間欠的に一定速度で割り出し移動させ、移動が停止した状態で、前記台盤に鶏の首ガラを載置する第1ステージと、台盤に載置された鶏の首ガラの付け根部を係止体で上方から突き刺すか又は挟み付けて前記台盤に固定し、押圧矯正部により前記鶏ガラの首部を上方から真っ直ぐ矯正しながら前記溝条に沿って押圧すると共に、首の先端部を切断面より下方に沈下させる第2ステージと、首部の両側から一対のブレードを備えたクランプにより挟み付ける共に、前記ブレードの挟み付けにより上方に盛り上がったせせり肉を、切剥部により切剥する第3ステージとからなることを要旨とするものであり、例えば、各ステージを直線状に配置してチェーン、ベルト、エスケープメント機構で移送させることもできる。
【0028】
また、本実施例の係止体駆動バー8をコントロールするカム9や押圧沈下体駆動カム10はテーブル5の架台内のカムボックスにすべてまとめて収納するものでもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 鶏の首ガラ
1a せせり肉(小肉)
1b 首の先端部
1c 首ガラの付け根部
2 台盤
2a 首部載置溝条
2b 首ガラ胸部載置溝条
2c 首ガラ胸部係止段部
2d 首先端部沈下逃げ溝
2e 係止段部
2f 胸肉載置傾斜部
2g 半円弧状凹所
3 切剥部
3a 回転丸刃
3b モーター
3c 戻り防止板
3d 外殻壁
4 クランプ
4a ブレード
4b 首の持ち上がり阻止凸部
5 ターンテーブル(円盤)
5a ターンテーブルの支軸
6 押圧牽引矯正部(昇降アーム)
6a 首の先端部の押圧沈下体
6b 押圧矯正板
6c リンク機構
6d 押圧矯正体の溝条凹所
7 ケーシング
7a ケーシングの縦プレート
7b ケーシングの底プレート
8 係止体駆動バー
8a 係止針棒
9 係止体駆動カム
10 押圧沈下体駆動カム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11