(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】組立式簡易ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 17/64 20060101AFI20220909BHJP
A47C 17/68 20060101ALI20220909BHJP
A47C 19/00 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
A47C17/64 Z
A47C17/68
A47C19/00 B
(21)【出願番号】P 2021011680
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000111867
【氏名又は名称】パール金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】高波 文雄
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-110204(JP,U)
【文献】特開2014-91046(JP,A)
【文献】登録実用新案第3148347(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102018200606(DE,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1766456(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/64-17/82
A47C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド布及びベッド布の両側に配置連結される水平側杆からなるベッド部と、前記水平側杆の対向位置間に架設してベッド部を支持する複数の脚部材とで構成される組立式簡易ベッドにおいて、
脚部材が、水平側杆の対向位置の下方に配置する連結体と、上端を水平側杆との連結構造とし、基端を連結体に水平軸で枢結した縦杆部と、対向する連結体間を連結する二本の横杆とを備え、
前記縦杆部を、上端が水平側杆と対応する位置で制止されると共に、連結体の外側方を通過して横杆下方位置まで回動可能となるように水平軸で枢結し、
前記横杆は、対向する連結体にそれぞれ一方の端部を連結固定し、一方の横杆の他方端は、固定連結した連結体と対向する連結体に水平軸で枢結し、他方の横杆の他方端は対向する連結体に係止着脱可能に設けてなることを特徴とした組立式簡易ベッド。
【請求項2】
縦杆部の縦杆先端に水平側杆に係止する係止部を設けて、縦杆部と水平側杆との連結構造とした請求項1記載の組立式簡易ベッド。
【請求項3】
水平側杆に受筒部を設け、縦杆先端を前記受筒部に差込装着して、縦杆部と水平側杆との連結構造とした請求項1記載の組立式簡易ベッド。
【請求項4】
連結体の外側面に縦杆の回動を制止する当接面を設けると共に、前記当接面の下方部分で縦杆を枢結してなる請求項2又は3記載の組立式簡易ベッド。
【請求項5】
連結体の外側面に当接面を底面とした縦杆が嵌合する溝部を設けてなる請求項4記載の組立式簡易ベッド。
【請求項6】
連結体に、横杆の固定部と横杆が嵌合する上方開口の係止溝を設け、係止溝に嵌合した一方の横杆端部を枢結してなる請求項1乃至5記載の何れかの組立式簡易ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式簡易ベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
組立式簡易ベッドは、ベッド面を帆布のような厚布地(ベッド布)を採用し、ベッド布の両側縁を水平側杆に連結し、前記両水平側杆に着脱自在とした脚部材で支持してなるもので、特に脚部材には、ベッド布を緊張させる緊張機構を設けているものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1,2には、縦杆部分と横杆部分を備えた上方開口コの字状の脚部材において、一方の縦杆の上方部分をベッド布緊張方向に回動可能とした緊張操作杆に形成し、前記緊張操作杆の上端に水平側杆との係止部を設けると共に、緊張操作杆と縦杆との間とを連結固定する適宜なロック部を設けた緊張機構が開示されている。
【0004】
また前記特許文献2には、収納時における脚部材のコンパクト化の構造が開示されている。同文献
図5には、縦杆と横杆をパイプとして、差し込み連結構造に形成すると共に、両パイプ内部にゴムロープを内在させて連結保持し、収納・携帯時には差し込み解除する構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭47-26082号公報。
【文献】特開2014-91046号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した組立式簡易ベッドのベッド布の緊張機構は、緊張操作杆が縦杆の長さ(ベッドの高さ)の範囲に限定されるために、緊張操作杆の回動半径を長くすることができずにベッド布の緊張に強い力を必要とする。
【0007】
また収納・携帯時の折畳み構造においても、ゴムロープを採用した差し込み連結構造では、パイプ自体に挿し込み固定構造に形成する必要があり、また組立時や分離時(折畳み時)の操作はゴムロープを引っ張りながら行うことになり操作が煩瑣である。
【0008】
そこで本発明は、操作性に優れた緊張機構を備えた組立式簡易ベッドを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る請求項1記載の組立式簡易ベッドは、ベッド布及びベッド布の両側に配置連結される水平側杆からなるベッド部と、前記水平側杆の対向位置に係止してベッド部を支持する複数の脚部材とで構成される組立式簡易ベッドにおいて、脚部材が、水平側杆の対向位置の下方に配置する連結体(回動連結体、係止連結体)と、上端を水平側杆との連結構造とし、基端を連結体に水平軸で枢結した縦杆部と、対向する連結体間を連結する二本の横杆(連結横杆、操作横杆)とを備え、前記縦杆部を、上端が水平側杆と対応する位置で制止されると共に、連結体の外側方を通過して横杆下方位置まで回動可能となるように水平軸で枢結し、前記横杆は、対向する連結体にそれぞれ一方の端部を連結固定し、一方の横杆(連結横杆)の他方端は、固定連結した連結体(係止連結体)と対向する連結体(回動連結体)に水平軸で枢結し、他方の横杆(操作横杆)の他方端は対向する連結体(係止連結体)に係止着脱可能に設けてなることを特徴としたものである。
【0010】
また本発明の請求項2,3記載に係る組立式簡易ベッドは、前記ベッドにおける縦杆部と水平側杆との連結構造を、縦杆部の縦杆先端に水平側杆に係止する係止部を設けてなる係止連結構造、或いは水平側杆に受筒部を設け、縦杆先端を前記受筒部に差込装着する差し込み連結構造としたものである。
【0011】
而して上記ベッドの組立は、ベッド部を広げ、脚部材の両側の縦杆部の上端を水平側杆と連結し、操作横杆を下方から上方(係止位置)へ回動すると、連結横杆と枢結した回動連結体及び当該回動連結体に基部を枢結した縦杆とが、前記操作横杆の回動に伴って回動動作をなし、対向する縦杆部の上端の間隔を広げる動作となる。
【0012】
従って操作横杆を回動して対向する縦杆部の上端間隔を広げた状態で操作横杆の開放端を係止連結体に係止すると、ベッド布が緊張した状態で脚部材が装着され、ベッドが組み上がるものである。
【0013】
また本発明の請求項4,5記載に係る組立式簡易ベッドは、前記ベッドにおいて特に連結体の外側面に縦杆の回動を制止する当接面を設けると共に、前記当接面の下方部分で縦杆を枢結してなるものであり、また特に連結体の外側面に当接面を底面とした縦杆が嵌合する溝部を設けてなるもので、連結体の形状・構造を簡素化できる。
【0014】
また本発明の請求項6記載に係る組立式簡易ベッドは、更に前記のベッドにおいて、連結体に、横杆の固定部と横杆が嵌合する上方開口の係止溝部を設け、係止溝に嵌合した一方の横杆端部を枢結してなるもので、連結体に同一形状の部材を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成は上記のとおり、ベッド組立時に操作横杆を操作してベッド布を緊張させながら脚部材をベッド部に装着するもので、操作横杆が従前の縦杆の上方部分に設けた緊張操作杆より十分に長い回動半径で操作され、軽い操作力でベッド布が緊張したベッドを組み立てることができ、更に縦杆部を横杆に添うように簡単に折畳むことができ、収納・携帯時のコンパクト化及び操作容易性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一の実施形態の全体図で(イ)は斜視図(ロ)はベッド布の除いた骨組みの斜視図。
【
図5】同図で(イ)は組立操作途中(ロ)は組立後。
【
図7】同第二実施形態のベッド布を除いた一部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態について説明する。
図1乃至
図6は第一実施形態を示したもので、この組立式簡易ベッドは、ベッド部Aと複数の脚部材Bで構成され、ベッド部Aは、帆布や厚地布で形成されたベッド布1を、両側部分を筒状に形成し、水平側杆2を挿通して形成したもので、特にベッド布1の両側には、脚部材Bが装着される水平側杆2が露出する切欠部11が形成されている。
【0018】
脚部材Bは、同一形状で左右・表裏対称に配置される連結体(係止連結体3a,回動連結体3b)と、連結体3a,3bに対向して装着される縦杆部4と、連結体3a,3b間を連結する二本の横管(連結横杆5a、操作横杆5b)とで形成される。
【0019】
連結体3a,3bは、横杆に対応する装着穴からなる横杆固着部31と、横杆固着部31と平行に設けた上方開口の係止溝32と、外側面及び底面に連続して形成した収納溝33と、底面部分の足面部34を備えたものである。
【0020】
縦杆部4は、縦杆41と係止部42と縦杆支軸43からなり、縦杆41の上端に水平側杆2の内側から嵌合する凹状部を備えた係止部42を設け、左右の連結体3a,3bの外側面の収納溝33内に、係止部42の凹状部が外側方に向くように配置すると共に、回動動作によって底面側の収納溝33内に納まるように、縦杆41の基端を連結体に水平軸である縦杆支軸43で連結体3a,3bに軸結してなるものである。
【0021】
横杆5a,5bは、対向する連結体3a,3bにそれぞれ一方の端部を連結固定したものである。すなわち連結横杆5aは係止連結体3aの装着穴(横杆固着部31)に装着して連結固定し、操作横杆5bは回動連結体3bの横杆固着部31に連結固定する。
【0022】
更に連結横杆5aの一方端は、回動連結体3bの係止溝32に嵌合して水平軸である操作軸51で枢結する。
【0023】
而して上記ベッドの組立に際しては、ベッド部Aを広げ、脚部材Bの操作横杆5bを係止連結体3aから離脱状態で
図4に示すように操作軸51を中心に操作横杆5bを回動することで、連結横杆5aと操作横杆5bとがなす角度を大きくしておく。当該状態では対向する縦杆部4の係止部42の距離は組み上げ状態に比べて短くなっている。尚両縦杆41は、収納溝33に納まって、対向方向に近接回動することが抑止されている。
【0024】
次に組立作業を行うもので、
図5(イ)に示すように両側の縦杆部4の各係止部42を対向する水平側杆2に係止する。当該状態で操作横杆5bを連結横杆5aに添うように操作軸51を中心に回動すると、回動連結体3b及び当該回動連結体3bに基部を枢結した縦杆41とが前記操作横杆5bの回動に伴って操作軸51を中心に回動動作をなし、対向する縦杆部4の係止部42の間隔を広げ、操作横杆5bの開放端を係止連結体3aの係止溝32の側壁部分を越えて開度した後、係止溝32に納めると、操作横杆5bの復帰回動(組立前の状態への回動)が阻止され、当該状態で安定する。
【0025】
従って操作横杆5bの回動操作によって、縦杆部4の係止部42の対向距離を大きくしてベッド布1を緊張させ、脚部材Bをベッド部Aに装着してベッドが組み立てられるものである。
【0026】
また縦杆41は、使用時に各連結体3a,3bの外側面に設けた収納溝33に納まり、その基部を縦杆支軸43で枢結しているもので、起立時の内方(対向方向)への回動は収納溝33によって阻止されているが、逆方向回動は許容されるもので、ベッドを使用しない場合には、縦杆41を各連結体3a,3bの底面側に回動すると、脚部材Bは収納・形態に便利なようにコンパクトに纏まる(
図6)。
【0027】
図7,8は第二実施形態を示したもので、この実施形態は、水平側杆2と縦杆部4aの連結構造が前記第一実施形態と相違する脚部材B1を採用したもので、他の構造は第一実施形態と同様である(同一図番は同一構成を示す)。
【0028】
脚部材B1の縦杆部4aと水平側杆2との連結構造は、水平側杆2の所定位置(脚部材装着位置)に、縦杆41の先端が差込装着される受筒部44を設けたもので、脚部材B1をベッド部Aに装着してベッドを組み立てるには、受筒部44に縦杆41の先端を差し込み連結し、当該状態で操作横杆5bを連結横杆5aに添うように操作軸51を中心に回動すると、第一実施形態のものと同様にベッド布1を緊張して組み立てられるものである。
【符号の説明】
【0029】
A ベッド部
B,B1 脚部材
1 ベッド布
11 切欠部
2 水平側杆
3a 係止連結体
3b 回動連結体
31 横杆固着部
32 係止溝
33 収納溝
34 足面部
4,4a 縦杆部
41 縦杆
42 係止部
43 縦杆支軸
44 受筒部
5a 連結横杆
5b 操作横杆
51 操作軸