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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】営業推進支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220909BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220909BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q30/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022043253
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2022-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508289888
【氏名又は名称】ゼネリックソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】小西 亮介
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-345971(JP,A)
【文献】特開2013-246694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0236131(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0098000(US,A1)
【文献】特開2000-020583(JP,A)
【文献】特開2004-362289(JP,A)
【文献】特開2003-345966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オムニチャネルによる顧客アプローチを支援する営業支援装置であって、
複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報を取得する取得手段と、
前記接触履歴情報に基づいて、前記接触チャネルの種別毎に、該接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値を算出する算出手段と、
前記値に応じて、顧客アプローチに選択されるチャネルの種別を出力する出力手段と、を有し、
前記接触履歴情報は、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの商品成約結果に関する情報を含み、
前記算出手段は、前記接触チャネルにおける前記商品成約結果が成約に近いステータスを示す程、前記値を高く算出すること、
を特徴とする営業推進支援装置。
【請求項2】
オンラインバンキング、SMS又はメールの少なくとも何れかの種類のチャネルにより配信されたリンク情報に対するアクセスログを記録する記録手段を有し、
前記アクセスログは、前記商品成約結果に関する情報を含むこと、
を特徴とする請求項に記載の営業推進支援装置。
【請求項3】
オムニチャネルによる顧客アプローチを支援する営業支援装置であって、
複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報を取得する取得手段と、
前記接触履歴情報に基づいて、前記接触チャネルの種別毎に、該接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値を算出する算出手段と、
前記値に応じて、顧客アプローチに選択されるチャネルの種別を出力する出力手段と、を有し、
前記接触履歴情報は、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触実績回数に関する情報を含み、
前記算出手段は、前記接触チャネルにおける前記接触実績回数が多い程、前記値を高く算出すること、
を特徴とする営業推進支援装置。
【請求項4】
オンラインバンキング、SMS又はメールの少なくとも何れかの種類のチャネルにより配信されたリンク情報に対するアクセスログを記録する記録手段を有し、
前記算出手段は、前記アクセスログが記録されたリンク情報を配信したチャネルの種別毎に、前記接触実績回数として前記アクセスログの記録回数を算出すること、
を特徴とする請求項に記載の営業推進支援装置。
【請求項5】
オムニチャネルによる顧客アプローチを支援する営業支援装置であって、
複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報を取得する取得手段と、
前記接触履歴情報に基づいて、前記接触チャネルの種別毎に、該接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値を算出する算出手段と、
前記値に応じて、顧客アプローチに選択されるチャネルの種別を出力する出力手段と、を有し、
前記接触履歴情報は、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの動機となった接触動機実績回数に関する情報を含み、
前記算出手段は、前記接触チャネルにおける前記接触動機実績回数が多い程、前記値を高く算出すること、
を特徴とする営業推進支援装置。
【請求項6】
オムニチャネルによる顧客アプローチを支援する営業支援装置であって、
複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報を取得する取得手段と、
前記接触履歴情報に基づいて、前記接触チャネルの相異なる種別の組み合わせ及び順序からなる接触チャネルのパターンを決定するパターン決定手段と、
前記接触履歴情報に基づいて、前記接触チャネルのパターン毎に、該接触チャネルのパターンが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値を算出する算出手段と、
前記値に応じて、顧客アプローチに選択される接触チャネルのパターンを出力する出力手段と、を有し、
前記接触履歴情報は、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの種別と、該接触が実現した時間と、該接触が実現した接触チャネルの動機となった接触動機チャネルの種別とを含み、
前記パターン決定手段は、前記接触動機チャネルの種別及び前記接触チャネルの種別の組み合わせ及び順序からなる接触チャネルのパターンを決定すること、
を特徴とする営業推進支援装置。
【請求項7】
前記接触履歴情報は、過去に顧客との接触が実現した前記接触チャネルの成約ステータスを示す商品成約結果を含むこと、
を特徴とする請求項に記載の営業推進支援装置。
【請求項8】
コンピュータ、請求項1ないし何れか一項に記載の営業推進支援装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業推進支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関の間では顧客が必要とする金融商品を適切なタイミングで提案するEBM(イベントベースドマーケティング)に注目がされ始めている。EBMは、顧客(ターゲット)の属性情報や取引行動上の変化を顧客データベースから検知し、これを金融ニーズ発生の契機(イベント)であると予測して、顧客が求める金融商品の提案を実施するマーケティング手法である。
【0003】
これに関する技術として、例えば特許文献1には、金融機関における顧客のトランザクションデータを取得する取得手段と、過去に金融商品を購入した時点における顧客の第1トランザクションデータと、現時点における当該顧客の第2トランザクションデータとの関連を判定する関連判定手段と、第1トランザクションデータと第2トランザクションデータとが関連すると判定された顧客を抽出する抽出手段と、抽出された顧客を出力する出力手段と、を有する営業支援装置が記載されている。当該営業支援装置によれば、投資信託等の金融商品にニーズが見込める顧客を精度よく抽出し、金融機関における効率的な営業活動を支援することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6556969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年では銀行等の金融機関においても、顧客とつながる様々なチャネル(販売活動における顧客との接点)を連携し組み合わせて顧客にアプローチする販売戦略として、オムニチャネル戦略が重要視されている。例えば店舗相談窓口、顧客訪問、電話(コールセンターコール)、DM(ダイレクトメール)等の従来型チャネルに加え、オンラインバンキング、SMS(ショートメッセージサービス)又はEメール等のオンラインチャネルにより、金融機関が顧客との接点の種別が増えたことが背景にある。
【0006】
しかしながら、金融機関側が顧客に対してアプローチするに際し、チャネルの選択方法が、画一的・固定的なルールベースであったり、営業担当者の恣意的選択に依存していたため、例えば上記特許文献1記載の発明等により、せっかく顧客ニーズに叶う金融商品を精度よく抽出したにも関わらず、当該商品提案が選択チャネルによっては当該顧客に対して適切に届かないことも多く、この場合にEBMの成果が上がりにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面において、複数のチャネルを接点として顧客に対するアプローチを効果的に支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る営業支援装置は、オムニチャネルによる顧客アプローチを支援する営業支援装置であって、複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報を取得する取得手段と、前記接触履歴情報に基づいて、前記接触チャネルの種別毎に、該接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値を算出する算出手段と、前記値に応じて、顧客アプローチに選択されるチャネルの種別を出力する出力手段と、を有し、前記接触履歴情報は、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの商品成約結果に関する情報を含み、前記算出手段は、前記接触チャネルにおける前記商品成約結果が成約に近いステータスを示す程、前記値を高く算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施の形態によれば、一つの側面において、複数のチャネルを接点として顧客に対するアプローチを効果的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る営業支援システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る営業推進支援システムにおけるサーバ装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る営業推進支援システムにおけるサーバ装置のソフトウェア構成例を示す図である。
図4A】本実施形態に係る顧客DBのデータ項目の一例を示す図である。
図4B】本実施形態に係るチャネル発信履歴DBのデータ項目の一例を示す図である。
図4C】本実施形態に係る顧客対応履歴DBのデータ項目の一例を示す図である。
図4D】本実施形態に係る反応ログDBのデータ項目の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係るチャネル種別毎のDB対応を示す図である。
図6】本実施形態に係る営業推進支援システム20のチャネル選択処理を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る営業先優先度リストの一例を示す。
図8】本実施形態に係るチャネル選択画面の一例を示す。
図9】本変形例に係るチャネル選択画面の一例を示す。
図10】本変形例に係るチャネル選択画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る営業支援システムの構成例を示す図である。図1の営業支援システム100は、金融機関システム10、営業推進支援システム20、見込顧客抽出システム30、営業端末50、及び各種DB等を含み、ネットワーク70を介して接続されている。
【0013】
金融機関システム10は、銀行等の金融機関が保有する各種システム及びDB(データベース)ある。金融機関システムは、例えば、顧客の普通預金や定期預金などの各種預金を管理する基幹システム、金融商品(例えば投資信託や各種ローン)の販売実績を管理する販売管理システム、及びその他各システムに伴う各種DBを含む(非図示)。
【0014】
営業推進支援システム20は、金融機関における営業担当者の営業活動を支援・サポートするためのシステムである。例えば、営業担当者が、顧客先の担当案件を管理したり、訪問予定等の行動スケジュールを管理したり、当期の目標及び実績管理したり等、営業担当者の営業進捗状況を管理し営業推進を支援する。システム上、担当者間で情報を共有し意見交換したり、上司に情報を報告し指示のやり取りも可能である。また本実施形態に係る営業推進支援システム20は、見込顧客抽出システム30により抽出された見込み顧客に対して、店舗相談窓口、訪問営業、電話(コールともいう)、DM、オンラインバンキング、SMS/メール等の複数のチャネルの中から、当該見込み顧客を金融商品購入等の成約に導く影響度・寄与度(以下単に顧客影響度ともいう)の高いチャネルを選択すべきチャネルとして特定し出力する。
【0015】
見込顧客抽出システム30は、顧客ニーズを検知するサーバ装置である。より具体的に見込顧客抽出システム30は、預金預入の可能性や金融商品(例えば各種ローンや投資信託)の購入可能性が高いと予測される見込み顧客を、その優先度(可能性の高い順序)とともに共に抽出する。見込顧客抽出システム30は、営業担当者の営業端末50上に、優先度に基づいて営業先優先度リストを作成(生成)する。なお、見込顧客抽出システム30の見込み顧客抽出処理に関して詳しくは、例えば本出願人による特許第6556969号(特許公報)を参照することができる。
【0016】
営業端末50は、例えばPC(パーソナル・コンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末などであって、営業所又は外出先において営業担当者が使用するユーザ端末である。本実施形態において、営業担当者は営業端末50を用いて営業推進支援システム20にアクセスし、見込顧客抽出システム30から見込み顧客を抽出し例えば営業先優先度リストとして表示すると共に、当該顧客にとって顧客影響度の高いチャネルを選択の上、選択チャネルを通じて商品提案・商品セールスなどの顧客アプローチを行う。
【0017】
なお、営業端末50には、営業推進支援システム20にアクセスするための所定のアプリケーション・プログラム、又はウェブブラウザ等が予めインストールされうる。
【0018】
ネットワーク70は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク70は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)などを含む。
【0019】
また、営業支援システム100は、金融機関の顧客情報を管理する顧客DB20a、電話、DM、オンラインバンキング、SMS/メールなど発信チャネルに応じた情報発信履歴を管理するチャネル発信履歴DB20b、店舗相談窓口(オンライン(ビデオ)相談窓口を含む)、顧客訪問、電話など対話型チャネルによる顧客との直接的なコミュニケーション対応履歴を管理する顧客対応履歴DB20c、及び、非対話型チャネルのうちオンラインバンキング、SMS/メールなどのデジタルチャネルによる顧客の反応ログを管理する反応ログDB20dを含む。詳しくは後述する。
【0020】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係る営業推進支援システムにおけるサーバ装置のハードウェア構成例を示す図である。図2に示されるように、営業推進支援システム20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、HDD(Hard Disk Drive)24、及び通信装置25を有する。
【0021】
CPU21は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM22は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM23は、CPU21での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD24は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置25は、ネットワーク70を介して他装置との通信を行う。
【0022】
<ソフトウェア構成>
図3は、本実施形態に係る営業推進支援システムにおけるサーバ装置のソフトウェア構成例を示す図である。本実施形態に係る営業推進支援システム20は、主な機能部として、ログ記録部201、接触履歴取得部202、チャネルパターン決定部203、スコア算出部204、チャネル種別出力部205、及び記憶部206を含む。
【0023】
ログ記録部201は、オンラインバンキング、SMS又はメールの少なくとも何れかの種類のチャネルにより配信されたリンク情報に対するアクセスログを記録する機能を有している(図4Dの反応ログDB20d等)。
【0024】
接触履歴取得部202は、複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報(例えば図4Cの顧客対応履歴情報、図4Dの反応ログ情報等)を取得する機能を有している。
【0025】
チャネルパターン決定部203は、接触履歴情報に基づいて、接触チャネルの相異なる種別の組み合わせ及び順序からなる接触チャネルのパターンを決定する機能を有している。
【0026】
スコア算出部204は、接触履歴情報に基づいて、接触チャネルの種別毎に、接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値(例えば顧客影響度スコア)を算出する機能を有している(図6のS3)。またスコア算出部204は、接触履歴情報に基づいて、接触チャネルのパターン毎に、接触チャネルのパターンが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値(例えば顧客影響度スコア)を算出する機能を有している。
【0027】
チャネル種別出力部205は、接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値(例えば顧客影響度スコア)に応じて、顧客アプローチに選択されるチャネルの種別を出力する機能を有している(図6のS4、図8~10)。
【0028】
記憶部206は、顧客DB20a、チャネル発信履歴DB20b、顧客対応履歴DB20c、反応ログDB20dを記憶する機能を有している。各DBについては後述する。
【0029】
なお、各機能部は、営業推進支援システム20の各サーバ装置を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。また、各DBは、各サーバ装置のHDD24やネットワーク70上の外部記憶装置に配置してもよい。また、各サーバ装置の各機能部は単一のサーバ装置のみにより実現されるのみならず、機能分散させて複数の装置からなるシステムとして実現してもよい。
【0030】
(顧客DB)
図4Aは、本実施形態に係る顧客DBのデータ項目の一例を示す図である。顧客DB20aは、金融機関の顧客情報(顧客属性情報)が登録されたDBである。図4Aに示すように、顧客DB20aは、「店番号」、「顧客番号」、「預金者区分」、「氏名」、「性別」、「生年月日」、「住所」、「電話番号」、「FAX番号」、「電子メールアドレス」、「職業」、「勤務先」、「勤務先電話番号」、「家族構成」、「年収」、「オンラインバンキング口座」、「DM要否」、「案内SMS/メール要否」などのデータ項目を有する。
【0031】
このうち「電話番号」は、顧客の電話番号である。固定電話及び携帯電話及びSMSの番号を含む。「電子メールアドレス」は、顧客のEメールアドレスである。「オンラインバンキング口座」は、オンラインバンキング(ネットバンキングともいう)の口座を開設している場合、オンラインバンキング口座に係る情報である。「DM要否」は、金融機関からの商品案内やお知らせに関するDM(ダイレクトメール)送付の要否(可否)を示す。「案内SMS/メール要否」は、金融機関からの商品案内やお知らせに関するSMS(ショートメッセージサービス)/Eメール送付の要否(可否)を示す。例えば顧客は所定の申込書(口座開設申込書等)において金融機関からのDM・SMS/メールを希望する場合、要欄にチェックを入れることができる。
【0032】
なお、当該データ項目はあくまで一例であり、その他のデータ項目があってもよい。また顧客からの申請等に基づいて顧客情報が変更された場合、当該顧客の顧客情報は最新の情報に更新される。
【0033】
(チャネル発信履歴DB)
図4Bは、本実施形態に係るチャネル発信履歴DBのデータ項目の一例を示す図である。チャネル発信履歴DB20bは、DM、オンラインバンキング、SMS/メール、電話(コールセンターコールを含む)など発信チャネルに応じて発信した商品案内情報の発信履歴を管理するためのDBである。本実施形態に係るチャネル発信履歴DB20bは、チャネル種別に応じてDM発送履歴情報、配信ログ情報、コール履歴情報を含む。
【0034】
図4Bに示すように、顧客へのDM発送時に記録されるDM発送履歴情報は、「発送番号」、「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」、「発送年月日時」、「チャネル種別」、「DMコード」、「商品コード」、「商品名」、「DM結果」などのデータ項目を有する。
【0035】
このうち「発送番号」は、管理上、DM発送履歴を一意に識別するための番号である。「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」は、送付先の顧客の属する店番号、顧客番号、顧客名である。「発送年月日時」は、顧客にDM発送を行った年月日時である。「チャネル種別」は、顧客に商品案内・商品セールスを行ったチャネルの種別を示すので、DMとなる。「DMコード」は、DM種類毎に付与されたコードであり、今回顧客にDM発送を行ったDMのコードである。「商品コード」、「商品名」は、顧客にDMチャネルを通じて案内した金融商品の商品コード、商品名である。
【0036】
「DM結果」は、DM同封の申し込み用紙や申し込みハガキにより顧客が金融商品等を購入した場合、事後的な購入成立のタイミングで顧客が金融商品等を購入したことを示す成約が入力される。また、DM同封の申し込み用紙や申し込みハガキにより成約ではなく顧客とのアポイント申し込みがあった場合には、アポイントが取れたチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話等)やその予定対応年月日なども入力される。
【0037】
また図4Bに示すように、顧客へのオンラインバンキング、SMS/メール配信時に記録される配信ログ情報は、「配信番号」、「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」、「配信年月日時」、「チャネル種別」、「コンテンツコード」、「商品コード」、「商品名」などのデータ項目を有する。
【0038】
このうち「配信番号」は、管理上、オンラインバンキング、SMS/メール配信履歴を一意に識別するための番号である。「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」は、配信先の顧客の属する店番号、顧客番号、顧客名である。
【0039】
「配信年月日時」は、顧客に配信を行った年月日時である。「チャネル種別」は、オンラインバンキング又はSMS/メールとなる。
【0040】
「コンテンツコード」は、配信コンテンツ種類毎に付与されたコードであり、今回顧客に配信を行ったコンテンツのコードである。「商品コード」、「商品名」は、顧客にオンラインバンキング又はSMS/メールチャネルを通じて案内した金融商品の商品コード、商品名である。
【0041】
ここで、オンラインバンキング配信は、顧客がウェブブラウザや銀行アプリを介したオンラインバンキングの自口座へのログイン後において、例えばお知らせウインドウ、お知らせメッセージ(テキスト文)又はバナー表示等の形式で、商品案内情報を配信するものである。ターゲット広告の一種ともいえる。SMS/メール配信は、顧客のSMS番号やEメールアドレスに対して、例えばそれぞれショートメッセージもしくはEメール等の形式で、商品案内情報を配信するものである。
【0042】
また、オンラインバンキング配信、SMS/メール配信においていずれの場合も、商品案内情報は、例えばより詳しい当該金融商品のウェブサイト等へのリンク情報が含まれている。顧客が当該金融商品に興味を持つなどしてリンク情報を操作した場合、リンク情報には当該顧客のログイン認証情報に基づく顧客番号を含むので、営業推進支援システム20側では顧客の反応行動を示す反応ログ(後述)としてのアクセスログがロギングされる。なお、リンク情報には、当該ログイン顧客の顧客番号を含むので、
【0043】
また図4Bに示すように、顧客への電話コール時に記録されるコール履歴情報は、「コール履歴番号」、「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」、「コール年月日時」、「チャネル種別」、「商品コード」、「商品名」、「担当者ID」、「担当名」、「通話結果」などのデータ項目を有する。
【0044】
このうち「コール履歴番号」は、管理上、電話コール履歴を一意に識別するための番号である。「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」は、コール先の顧客の属する店番号、顧客番号、顧客名である。「コール年月日時」は、顧客にコールを行った年月日時である。「チャネル種別」は、電話となる。「商品コード」、「商品名」は、顧客に電話チャネルを通じて案内した金融商品の商品コード、商品名である。「担当者ID」、「担当者名」は、顧客に電話チャネルを通じて電話コールを行った金融機関側担当者(例えば営業担当者やコールセンターオペレータ)のユーザID、氏名である。
【0045】
「通話結果」は、例えば顧客と通話できたことを示す通話可、顧客と繋がったが実質的に通話ができなかったことを示す通話不可、顧客と繋がらなかったことを示す不在のステータスがある。なお顧客と通話できた場合、その具体的な通話内容については、後述の顧客対応履歴情報の「対応結果」「対応内容」の方に記録される。
【0046】
(顧客対応履歴DB)
図4Cは、本実施形態に係る顧客対応履歴DBのデータ項目の一例を示す図である。顧客対応履歴DB20cは、店舗相談窓口(オンライン相談窓口を含む)、顧客訪問、電話などの対話型チャネルによる顧客との直接的なコミュニケーション対応履歴情報を管理するためのDBである。金融機関側が顧客とのコミュニケーション対応を行った場合に、そのときの顧客対応履歴情報が記録される。
【0047】
図4Cに示すように、顧客対応履歴DB20cは、「顧客対応履歴番号」、「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」、「対応年月日時」、「チャネル種別」、「動機チャネル種別」、「商品コード」、「商品名」、「担当者ID」、「担当者名」、「対応結果」、「対応内容」などのデータ項目を有する。
【0048】
「顧客対応履歴番号」は、管理上、顧客対応履歴DB20cの対応履歴を一意に識別するための番号である。「店番号」、「顧客番号」、「顧客名」は、対応顧客の属する店番号、顧客番号、顧客名である。「対応年月日時」は、店舗相談窓口、顧客訪問又は電話などの対話型チャネルを通じて顧客との顧客対応を行った年月日時である。
【0049】
「チャネル種別」は、顧客と顧客対応を行ったチャネルの種別を示すので、店舗相談窓口(又はオンライン相談窓口)、顧客訪問、又は電話となりうる。「動機チャネル種別」は、顧客が対話型チャネル実現の動機・キッカケとなったチャネル種別である。顧客対応した担当者が顧客からヒアリングするなどして、電話、DM、オンラインバンキンク、SMS/メール、その他の中から、顧客が来店・相談の動機やキッカケとなったチャネルを特定して記録する。なお顧客がDMを持参したり、SMS/メールを提示した場合は、それぞれ「動機チャネル種別」はDM、SMS/メールでありうる。また、「動機チャネル種別」が無く顧客が自発的に来店した場合等には、空欄となりうる。
【0050】
「商品コード」、「商品名」は、顧客に案内した金融商品の商品コード、商品名である。「担当者ID」、「担当者名」は、顧客に顧客対応を行った金融機関側担当者(例えば営業担当者や窓口担当者)のユーザID、氏名である。
【0051】
「対応結果」及び「対応内容」には、具体的に顧客対応の結果及び内容が記録される。特に「対応結果」には、店舗窓口相談(又はオンライン窓口相談)、顧客訪問、又は電話をした結果、顧客が金融商品等を購入した場合、顧客が金融商品等を購入したことを示す成約(成約ステータス)が入力される。また、顧客との再アポイントが取れた場合には、再アポイントが取れた次回のチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は再電話等)やその予定対応年月日なども入力される。
【0052】
(反応ログDB)
図4Dは、本実施形態に係る反応ログDBのデータ項目の一例を示す図である。反応ログDB20dは、オンラインバンキング、SMS/メールなど非対話型のデジタルチャネルにより発信された商品案内情報に対する顧客の反応履歴情報を管理するためのDBである。上述したように、オンラインバンキング配信、SMS/メール配信において、顧客が配信された商品案内情報に興味を持つなどしてリンク情報を操作した場合、そのリンク先に対するアクセスログが顧客の反応行動を示す反応ログとして記録される。
【0053】
図4Dに示すように、反応ログDB20dは、「ログ番号」、「ログ年月日時」、「配信番号」、「商品コード」、「商品名」、「反応結果」などのデータ項目を有する。
【0054】
「ログ番号」は、管理上、反応ログDB20dの反応ログを一意に識別するための番号である。「ログ年月日時」は、顧客がリンク先に対するアクセスを行った年月日時である。「配信番号」は、配信元オンラインバンキング、SMS/メール配信に紐付けられた配信番号を示し、配信ログ情報の「発信番号」に対応する。配信された商品案内情報のリンク情報には、配信元のオンラインバンキング、SMS/メールに対応する配信番号が含まれており、どのオンラインバンキング、どのSMS/メール配信に対応する反応ログであるかを特定するために用いられる。「商品コード」、「商品名」は、顧客にオンラインバンキング、SMS/メールチャネルを通じて案内した金融商品の商品コード、商品名である。
【0055】
「反応結果」は、オンラインバンキング、SMS/メール配信に対する反応行動内容のステータスが追跡記録される。例えばリンク先の金融商品のウェブサイトからの成約(申し込み)、資料請求、閲覧のみなどがある。またリンク先の金融商品のウェブサイトからアポイント申し込みがあった場合には、アポイントが取れたチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話等)やその予定対応年月日なども入力される。
【0056】
図5は、本実施形態に係るチャネル種別毎のDB対応を示す図である。本実施形態に係る「チャネル種別」は、例えば店舗相談窓口(オンライン相談窓口を含む)、顧客訪問、電話(コールセンターコールを含む)、DM、オンラインバンキング、SMS及びメールがある。
【0057】
このうち、チャネル発信履歴DB20bは、発信チャネルに応じて発信した商品案内情報の発信履歴を管理するため、管理対象「チャネル種別」は、電話、DM、オンラインバンキング、SMS/メールとなっている。
【0058】
顧客対応履歴DB20cは、対話型チャネルによる顧客との直接的なコミュニケーション対応履歴を管理するため、管理対象「チャネル種別」は、店舗相談窓口(オンライン相談窓口を含む)、顧客訪問、電話となっている。
【0059】
反応ログDB20dは、非対話型のデジタルチャネルにより発信された商品案内情報に対する顧客の反応ログを管理するため、管理対象「チャネル種別」は、オンラインバンキング、SMS/メールなどのデジタルチャネルとなっている。
【0060】
<チャネル選択処理>
図6は、本実施形態に係る営業推進支援システム20のチャネル選択処理を示すフローチャートである。CPU11が当フローチャートを実現可能なプログラムを読み込んで実行させることで、各ステップ(以下「S」と表記する)を実現することができる。
【0061】
本実施形態に係る営業推進支援システム20は、見込顧客抽出システム30により金融商品(例えば各種ローンや投資信託)の購入可能性が高いと予測される見込み顧客が抽出されたタイミングにおいて、その金融商品案内を顧客にしっかり届けるため、複数のチャネルの中からその顧客が特に顧客影響度(顧客寄与度)の高いチャネルを選択・推奨するものである。また、営業推進支援システム20がチャネル選択処理を実行する前提として、金融機関においては一定期間既にオムニチャネル戦略が実施されており、チャネル発信履歴DB20b、顧客対応履歴DB20c、及び反応ログDB20dに一定以上のデータが蓄積されている。
【0062】
S1:営業推進支援システム(サーバ装置)20は、見込顧客抽出システム30により抽出された見込み顧客の「顧客番号」を取得しこれをキーとして、顧客DB20a(図4A)から当該顧客の顧客情報を取得する。
【0063】
S2:営業推進支援システム20は、顧客の選択可能チャネルを特定する。具体的に、顧客情報において「電話番号」を有し、「案内SMS/メール」要である場合、選択可能チャネルはSMS配信である。また「電子メールアドレス」を有し、「案内SMS/メール」要である場合、選択可能チャネルはEメール配信である。また「オンラインバンキング口座」を有する場合、選択可能チャネルはオンラインバンキング配信である。また「DM要否」要である場合、選択可能チャネルはDM送付である。このように顧客情報に基づいて金融機関側が選択可能な(顧客側が利用可能な)チャネルを特定する。なお、店舗相談窓口チャネル及び顧客訪問チャネルは、基本的に金融機関側が選択可能な(顧客側が利用可能な)顧客共通のチャネルと特定してよい。
【0064】
S3:営業推進支援システム20は、特定した顧客の選択可能チャネルを対象として、チャネル種別毎に顧客影響度の高低を計るための影響度スコアを算出する。影響度スコア算出処理については後述する。
【0065】
S4:営業推進支援システム20は、S3で算出した影響度スコアに基づいて、選択可能チャネルのうち、推奨されるべき選択チャネルを出力する。営業担当者は営業先優先度リストに抽出された見込顧客について、当該顧客にとって顧客影響度の高いチャネルを選択の上、選択チャネルを通じて商品提案・商品セールスなどの顧客アプローチを行う。
【0066】
(影響度スコア算出処理)
S3の影響度スコア算出処理は、対象となる顧客について(顧客毎に)、チャネル種別毎に顧客を成約に至らしめる影響度の高低を計るためのスコア(以下影響度スコアという)を算出する処理である。営業担当者は営業先優先度リストに抽出された見込顧客について、算出された影響度スコアを顧客影響度を示す指標として用いることで、顧客が成約に至る影響度の高いと推定される有効なチャネルを選択の上、当該選択チャネルを通じて商品提案・商品セールスなどの顧客アプローチを行う。
【0067】
(1)顧客対応履歴情報に基づく影響度スコア算出
一つに、影響度スコアは過去の接触実績回数に基づいて算出することができる。具体的に、営業推進支援システム20は、顧客対応履歴DB20cから対象となる当該顧客の顧客対応履歴情報(図4C)を取得し、顧客の選択可能チャネルを対象に、顧客対応履歴情報の「チャネル種別」を種別毎にカウントする。顧客対応履歴情報の「チャネル種別」(店舗相談窓口、顧客訪問及び電話)は、当該顧客との接触が実現した実績があるチャネルであり、そのカウント値は接触実績回数である。営業推進支援システム20は、接触実績回数が多いほどそのチャネルに高い影響度スコアを付与する。接触実績回数は成約に至りうるポジティブな顧客反応を計る一つの指標だからである。
【0068】
また、営業推進支援システム20は、顧客対応履歴情報の「対応結果」に応じて影響度スコアを決定する。上述したように「対応結果」には、店舗窓口相談、顧客訪問又は電話をした結果、顧客が金融商品等を購入した場合、顧客が金融商品等を購入したことを示す成約が入力される。また、顧客との再アポイントが取れた場合には、再アポイントが取れた次回のチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は再電話等)やその予定対応年月日なども入力される。よって、営業推進支援システム20は、「対応結果」が成約を示す場合、そのチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話)に対して、より高い影響度スコアを付与する。もしくは「対応結果」が顧客との再アポイントが取れたことを示す場合、そのチャネルにもより高い影響度スコアを付与する。再アポイントも成約に近いステータスであり、成約に至りうるポジティブな顧客反応だからである。なお「対応結果」が成約を示す場合の方が、顧客との再アポイントが取れたことを示す場合よりも高い影響度スコアを付与する。このように、「対応結果」を影響度スコアに反映させるのは、店舗相談窓口、顧客訪問、又は電話が実現し成約や再アポイントが得られた場合に、そのチャネルは顧客影響度を発揮した実績のあるチャネルといえるためである。
【0069】
また、「対応結果」が成約でなかった場合であっても、顧客対応履歴情報の「対応内容」に応じて影響度スコアを更に決定してもよい。「対応内容」は具体的に顧客対応の内容が記録されるため、顧客とのコミュニケーションの具体的な対話記録が含まれている。営業推進支援システム20は、対話記録に対して自然言語処理解析処理を実行し、今回の顧客対応においては成約が取れなかったとしても、対話記録に購入意向に関するポジティブな対話が含まれていたりと購入への関心度が高いと推定される場合、少なからず一定の影響度スコアを付与する。購入意向に関するポジティブな対話もまた成約に至りうるポジティブな顧客反応だからである。
【0070】
また、営業推進支援システム20は、当該顧客の顧客対応履歴情報の「動機チャネル種別」を種別毎にカウントする。上述したように「動機チャネル種別」は、電話、DM、オンラインバンキンク、SMS/メールがあり、顧客が来店や相談の動機・キッカケとなったチャネル種別を示す。営業推進支援システム20は、接触動機実績回数が多いほどそのチャネル(電話、DM、オンラインバンキンク、SMS/メール、)に対して、高い影響度スコアを付与する。このように、顧客と対話型チャネルでの接点が実現したキッカケとなった動機チャネルもカウントするのは、動機チャネルに対して顧客が反応行動を示した結果として対話型チャネルが実現したことから、動機チャネルもまた顧客影響度を発揮した実績のあるチャネルといえるためである。
【0071】
(2)反応ログ情報に基づく影響度スコア算出
さらに、営業推進支援システム20は、反応ログDB20dから当該顧客の反応ログ情報(図4D)を取得する。上述したように、オンラインバンキング配信、SMS/メール配信において、顧客が配信された商品案内情報に興味を持つなどしてリンク情報を操作した場合に、そのリンク先に対するアクセスログが顧客の反応行動を示す反応ログとして記録されている。営業推進支援システム20は、顧客の選択可能チャネルを対象に、取得した当該顧客の反応ログ情報(図4D)の「配信番号」をキーとし対応する配信ログ情報(図4B)の「チャネル種別」を種別毎にカウントする。配信ログ情報(図4B)の「チャネル種別」は、当該顧客との接触が実現した実績があるチャネルであり、そのカウント値は接触実績回数である。営業推進支援システム20は、接触実績回数が多いほどそのチャネルに高い影響度スコアを付与する。
【0072】
また、営業推進支援システム20は、配信ログ情報の「反応結果」に応じて影響度スコアを決定する。上述したように「反応結果」は、オンラインバンキング、SMS/メール配信に対する反応行動内容が追跡記録される。例えばリンク先の金融商品のウェブサイトで成約(申し込み)、資料請求、閲覧のみなどがある。またリンク先の金融商品のウェブサイトからアポイント申し込みがあった場合には、アポイントが取れたチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話等)やその予定対応年月日なども入力される。よって、営業推進支援システム20は、「反応結果」が成約、資料請求、及び閲覧を示す場合、そのチャネル(オンラインバンキング、SMS又はメール)に対して、成約、資料請求、閲覧の順に、より高い影響度スコアを付与する。資料請求及び閲覧も将来的に成約に近いステータスであり、成約に至りうるポジティブな顧客反応だからである。また「対応結果」がアポイント申し込みを示す場合、アポイントが取れたそのチャネルにもより高い影響度スコアを付与する。このように、「反応結果」を影響度スコアに反映させるのは、オンラインバンキング、SMS/メール配信により成約、資料請求、アポイントが得られた場合に、そのチャネルは顧客影響度を発揮した実績のあるチャネルといえるためである。
【0073】
(3)DM発送履歴情報に基づく影響度スコア算出
さらに、営業推進支援システム20は、DM発送履歴情報(図4B)の「DM結果」に応じて影響度スコアを決定する。上述したように、「DM結果」は、DM同封の申し込み用紙や申し込みハガキにより顧客が金融商品等を購入した場合、事後的な購入成立のタイミングで顧客が金融商品等を購入したことを示す成約が入力される。また、DM同封の申し込み用紙やハガキにより顧客とのアポイント申し込みがあった場合には、アポイントが取れたチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話等)やその予定対応年月日なども入力される。よって、営業推進支援システム20は、「DM結果」が成約を示す場合、そのチャネル(DM)に対して、より高い影響度スコアを付与する。もしくは「DM結果」が顧客とのアポイントが取れたことを示す場合、そのチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話等)にもより高い影響度スコアを付与する。アポイントも成約に近いステータスであり、成約に至りうるポジティブな顧客反応だからである。このように、「DM結果」を影響度スコアに反映させるのは、DMにより成約やアポイントが得られた場合に、そのチャネル(DM)は顧客影響度を発揮した実績のあるチャネルといえるためである。
【0074】
なお、DMについては、顧客対応履歴(店舗相談窓口、顧客訪問、電話)及び反応ログオンラインバンキング、SMS/メール配信)とは異なり、顧客が実際開封したか否かは分からないため、DM発送のみを以って、配送回数のカウント値を接触実績回数としない。あくまで「DM結果」のみに応じて影響度スコアを決定するものである。但しその一方、DM発送履歴情報において、例えば「DM未到達」をいうデータ項目を設けておき、住所違い等でDMが戻ってきたといったようにDM未到達の場合についてフラグを付しておくことも可能である。そして「DM未到達」にフラグが無い場合(DMが戻ってきていない場合等)、DM発送されたこと(顧客にDMが届いたこととみなす)を以って、配送回数のカウント値を接触実績回数としてもよい。
【0075】
以上のように営業推進支援システム20は、見込顧客抽出システム30により抽出された金融商品ニーズの高い当該見込み顧客について、過去の当該顧客との有効接触が実現した実績に基づいて、チャネル種別毎に顧客に与える成約影響度の高低を示す影響度スコアを算出することができる。言い換えると、影響度スコアは、各チャネル毎の、過去に顧客の商品成約に影響(寄与)した度合いを示す値であり、対話型チャネル及び非対話型チャネルにおける接触実績回数、接触動機実績回数、及び接触の結果から、その度合いを計ることができる。
【0076】
(画面例)
図7は、本実施形態に係る営業先優先度リストの一例を示す。営業担当者は営業端末50上、営業推進支援システム20から営業先優先度リスト画面51Aを取得し表示する。営業担当者が、営業支店52、営業担当者53、金融商品54等の条件を入力すると、見込顧客抽出システム30により当該金融商品の購入可能性が高いと予測されるニーズの高い見込み顧客が抽出されてリスト形式で表示される。
【0077】
リスト56は、選択された営業支店に口座を有し選択された営業担当者が担当する顧客のうち、選択された金融商品(例えばSP投資信託)に関して、見込顧客抽出システム30の見込み顧客抽出処理により抽出した顧客を優先度順に並べた営業先リストである。また、リスト56は、優先度56a、スコア56b、顧客情報56c・・などの項目を有する。
【0078】
優先度56aは、営業すべき優先順序を示す。優先度56aが上位ほど選択された金融商品に関して購入見込みが高いので、営業担当者は優先度56aの上位から順番に顧客へアプローチすることによって、効率的な営業が可能となる。スコア56bは、見込顧客抽出システム30により算出された金融商品に関して購入見込みの度合いを示すスコアである。営業担当者がそれぞれの顧客毎の購入見込みの程度を具体的な数値により把握することができる。なおスコア56bは上述の影響度スコアとは別物である。顧客情報56cは、顧客の顧客番号、氏名、年齢・・などを含む顧客の属性情報である。
【0079】
営業先優先度リスト51によれば、営業先優先度リスト51を作成した現時点において当該金融商品の購入見込みが高い顧客をリスト化することが可能である。営業担当者は、当該金融商品の購入見込みが高い顧客を対象に当該金融商品の案内・営業等を行なうためのチャネルを選択すべく、営業先優先度リスト51中から一又は複数の顧客を選択する。具体的に、営業担当者が営業先優先度リスト51中の見込み顧客のうち、例えば優先度が最も高い顧客番号176287である山田花子を選択した場合、選択された顧客に対するチャネル選択処理(図6)が実行されて、図7の営業先優先度リスト画面51Aは、図8のチャネル選択画面51Bに遷移する。
【0080】
図8は、本実施形態に係るチャネル選択画面の一例を示す。図8に示すチャネル選択画面51Bにおいては、例えば見込顧客山田花子に対するチャネル選択処理が実行された結果、金融機関の有するチャネル57dが、上述の影響度スコアに対応する影響度スコア57cの高い順に、優先度57bが付されて並べられて出力表示されている。チャネル選択画面51Bによれば、営業担当者は、見込顧客山田花子のニーズに叶う金融商品「SP投資信託」の商品案内情報を届けるに際し、見込顧客山田花子に成約に至らしめる影響度の高いチャネルは、推定期待度順に、オンラインバンキング(0.921)、メール(0.554)、電話(0.319)、窓口(0.224)、DM(0.213)、訪問(0.106)、SNS(0)であることを容易に把握することが可能である。営業担当者は、所望チャネルの選択欄57aにチャックを入れ、「実行」58を押下操作することで、選択チャネルを通じて当該顧客に金融商品情報を伝達することが可能である。
【0081】
なお、営業担当者は、例えば影響度スコア57cの最も高いチャネルのみを選択するといったように、適宜所望するチャネルの選択欄57aにチャックを入れてもよい。またデフォルト設定として、少なからず反応が期待できると推定されるチャネル全て、例えば影響度スコア値が所定値以上の全チャネルの選択欄57aにチャックがついていてもよい。
【0082】
また、チャネル57dは影響度スコア57cの高い順に並べられるが、影響度スコア57cが所定値以下のチャネル57dは、反応があまり期待できず選択すべきチャネルではないものとして、チャネル選択画面51B上においてチャネル非表示としてもよい。
【0083】
また、図8のチャネル選択画面51Bにおいて、窓口及び訪問チャネルについてもスコアを表示したが、これは顧客影響度の高いチャネルを示した結果であり、これにより営業担当者は、顧客が店舗相談窓口又は顧客訪問など対面型チャネルが顧客影響度の高いことを含め把握することができる。但し上述したように店舗相談窓口や顧客訪問チャネルに関しては、その前に他の動機チャネルが存在した結果として成立するという側面があるので、他チャネル(この場合は、DM,オンラインバンキング、メール又は電話など)のうち顧客影響度の高いチャネルを通じて顧客にまずアプローチし、その後、店舗相談窓口や顧客訪問チャネルに結び付けるようにするとよい。
【0084】
<変形例1>
図9は、本変形例に係るチャネル選択画面の一例を示す。図9に示すチャネル選択画面51Cは、「お客様に商品をご案内したいチャネルを選択して下さい。」を表示されているように、顧客に商品案内したい商品(商品名:SP投資信託)と、選択可能な複数のチャネル(DM、電話、オンラインバンキング、メール、SNS)59とを有する。営業担当者は、金融商品「SP投資信託」の商品案内情報を所定チャネル(例えばDM)によって届けるに際し、所定チャネルを選択すると、まず見込顧客抽出システム30により当該金融商品の購入可能性が高いと予測されるニーズの高い見込み顧客が抽出されて、さらに抽出されたその見込み顧客が、選択した所定チャネル(例えばDM)に対応する顧客毎の影響度スコアが高い順に、優先度が付され並べられて出力表示されている。これにより、チャネルという側面から選択チャネルを通じて複数の見込み顧客に対しまとめて金融商品情報を伝達することが可能である。
【0085】
また、営業担当者は選択した所定チャネルによって商品案内したい顧客上限数を設定することも可能である。チャネルに係るコストに上限があるような場合、例えばDM配信数の上限が100しか打てないという制約条件がある場合、営業担当者は顧客上限数60に「100」を選択入力することで、抽出されたその見込み顧客のうち、選択した所定チャネル(例えばDM)に対応する影響度スコアが高い順の上位100人の顧客に対してDMが配送される。これにより影響度が高い顧客順に優先してそのチャネルで顧客アプローチが可能である。
【0086】
<変形例2>
店舗相談窓口、顧客訪問、電話、DM、オンラインバンキンク、SMS/メールといった各チャネルは、それぞれ単独チャネルによるアプローチからコンタクト(有効接触)に成功し金融商品の成約に至ることもあるが、金融商品の種類(特に高額商品や説明が必要な特殊商品等)によっては成約に至るまでに複数チャネルによるアプローチを経て、成約に至るケースもある。典型的には例えばまず電話、DM、オンラインバンキンクないしSMS/メールによるアプローチから顧客を誘導し、店舗相談窓口でのコンタクトが実現した結果、成約に至るというケースである。また例えばまずDMによるアプローチからはじまり、次に電話、そして店舗相談窓口でのコンタクトが実現した結果、成約に至るというケースである。また例えばまず電話によるアプローチからはじまり、次にDM(資料送付)、そして再度電話でのコンタクトが実現した結果、DM同封の申し込み用紙やハガキにより成約に至るというケースである。ときに例えばまず店舗相談窓口によるアプローチからはじまり、再度の店舗相談窓口で成約に至るというケースもある。
【0087】
即ち営業推進支援システム20は、上述のように単独のチャネル別に影響度スコアを算出するのみならず、複数チャネルの組み合わせ及びその順序のパターンによる影響度スコアを算出することも可能である。具体的には、チャネル発信履歴DB20b、顧客対応履歴DB20c及び反応ログDB20dから、当該顧客において各チャネルによるアプローチを行った年月日(配送・配信(ログ)・コール・対応年月日)、そのチャネル種別(店舗相談窓口、顧客訪問、電話、DM、オンラインバンキンク、SMS/メール)、その結果(DM・反応・対応結果)を取得する。このうち結果(DM・反応・対応結果)が成約となっているチャネルを最終チャネルとし、時系列に遡り所定期間内にアプローチがあった一以上のチャネル(例えば一つ前の第2チャネル、二つ前の第1チャネル)を特定する。この場合、時系列順に「第1チャネル、第2チャネル及び最終チャネル」の組み合わせ及びその順序のパターンと決定し、同時に上述実施形態のようにそれぞれの接触チャネルごとの「対応結果」や「反応内容」を加味し、各チャネル及び前後関係における接触実績回数、接触動機実績回数、接触の結果(但し最終チャネル以外は成約ではなく、資料請求やアポイント等である)、並びに、チャネルアプローチの時間間隔(成約ケースが多いサンプルを模範とし高スコアとなる時間間隔)、更に最初の接触チャネルと最後の接触チャネルとの時間間隔(時間距離)、現在時との時間間隔から、それぞれまたは一つ以上の変数をもとにチャネルパターンの有効度を評価し、総合的に接触の影響度を評価する影響度スコアを算出することができる。
【0088】
この場合、影響度スコアは、接触するチャネル間の前後性も含め影響度の有効性を決める指標である。前後性は先に接触したチャネルの「対応結果」とその後の経過時間、後続して接触するチャネルとの因果・依存関係であり、評価された因果・依存関係に応じて後続して接触するチャネルの有効性を評価する。
【0089】
また、チャネルの組み合わせ及びその順序のパターンを決定する場合に、上述の「動機チャネル種別」を用いることもできる。ある顧客の顧客対応履歴情報において、「チャネル種別」が電話、「動機チャネル種別」がDM且つ「対応結果」が成約となった過去実績がある場合、明確に高い影響度スコアを付与しうる組み合わせ及びその順序のパターンの因果関係が存在するので、この場合、時系列順にDM、電話とする組み合わせ及びその順序のパターンを決定できる。
【0090】
図10は、本変形例に係るチャネル選択画面の一例を示す。図10に示すチャネル選択画面51Dにおいては、例えば見込顧客山田花子に対するチャネル選択処理が実行された結果、金融機関の有する複数チャネルの組み合わせ及びその順序のパターン61d(単にチャネルパターンともいう)が、各チャネルパターンに対応する影響度スコア61cの高い順に、優先度61bが付されて並べられて出力表示されている。
【0091】
チャネル選択画面51Dによれば、営業担当者は、見込顧客山田花子のニーズに叶う金融商品「SP投資信託」の商品案内情報を届けるに際し、見込顧客山田花子に成約に至らしめる影響度の高い複数チャネルの組み合わせ及びその順序のパターンは、推定期待度順に、「DM→電話→窓口」(0.951)、「電話→DM→窓口」(0.924)、「電話→窓口」(0.709)、「DM→電話」(0.564)であることを容易に把握することが可能である。営業担当者は、所望チャネルパターンの選択欄61aにチャックを入れ、「実行」58を押下操作することで、選択チャネルパターンを通じて当該顧客に金融商品情報を伝達することが可能である。
【0092】
なお、営業担当者は、例えば影響度スコア61cの最も高いチャネルパターンのみを選択するといったように、適宜所望するチャネルパターンの選択欄61aにチャックを入れてもよい。またデフォルト設定として、少なからず反応が期待できると推定されるチャネルパターン全て、例えば影響度スコア値が所定値以上の全チャネルパターンの選択欄61aにチャックがついていてもよい。
【0093】
また、チャネルパターン61dは影響度スコア61cの高い順に並べられるが、影響度スコア61cが所定値以下のチャネルパターン61dは、反応があまり期待できず選択すべきチャネルではないものとして、チャネル選択画面51D上においてチャネル非表示としてもよい。
【0094】
なお、以下の形態についても言及する。
・顧客影響度を示す影響度スコア算出は、あくまで説明を容易にするための一例であり、顧客対応履歴情報、反応ログ情報及びDM発送履歴情報など過去のオムニチャネル施策実績に基づいて、当該見込み顧客を金融商品購入等の成約に導きうる一以上の要素からスコアを総合的に算出することができる。どの要素にスコア比重を置くか等は、影響度スコア算出プログラムのアルゴリズムに応じて適宜定められる。
【0095】
・チャネルに応じて顧客影響度の高い時間帯を推定してもよい。チャネルに応じて顧客によっては顧客影響度の高い・顧客が反応しやすい時間(又は時間帯)があるからである。顧客対応履歴DB20c(図4C)から当該顧客の「対応年月日時」の曜日や時刻から当該顧客が反応しやすい時間(又は時間帯)をチャネル種別毎に推定できる。即ち、顧客対応履歴DB20cにおける当該顧客の「対応年月日時」が当該顧客が反応しやすい時間(又は時間帯)と推定できる。
【0096】
・また電話(コール)チャネルに関して、顧客情報やコール履歴情報に基づいて、顧客にコールを行うべき時間帯を推定しうる。顧客DB20a(図4A)から当該顧客の顧客情報を取得し、例えば顧客情報の「職業」が会社員である場合、平日の日中時間帯は反応しにくい時間であり、平日の夜時間帯や土日祭日は反応しやすい時間である。顧客情報の「職業」が主婦である場合、例えば平日の日中時間帯は反応しやすい時間であり、平日の夜時間帯や土日祭日は反応しにくい時間である。また、チャネル発信履歴DB20b(図4B)から当該顧客のコール履歴情報を取得し、「通話結果」が顧客と通話できたことを示す通話可となっている「コール年月日時」の時刻から当該顧客が反応しやすい時間(又は時間帯)を推定できる。
【0097】
・なお、オンラインバンキング、SMS/メールのチャネルに関しては、顧客側が自ら都合のよい時間にログイン、閲覧等の行動を行うものであるものの、電話(コール)チャネルと同様、オンラインバンキング、SMS/メールについても、顧客情報や反応ログ情報(「ログ年月日時」の時刻)に基づいて、反応しやすい時間においてタイムリーに配信してもよい。
【0098】
・顧客の顧客情報(顧客属性)に応じて関係性の高いチャネルについては、重み付けをすることで、影響度スコアが高くなるように補正してもよい。例えば顧客DB20a(図4A)から当該顧客の顧客情報を取得し、顧客情報の「年齢」が所定年齢未満である場合、比較的ITリテラシーが高い傾向になることから、オンラインバンキング、SMS/メールチャネルについて影響度スコアが高くなるように補正する。逆に顧客情報の「年齢」が所定年齢以上である場合、比較的ITリテラシーが高くない傾向になることから、DM、電話チャネルについて影響度スコアが高くなるように補正する。また顧客情報の「職業」がITリテラシー向上に関連する職業である場合、年齢に関わらずオンラインバンキング、SMS/メールチャネルについて影響度スコアが高くなるように補正する。
【0099】
・チャネルをチャネル属性や性質等の所定観点から分類する。例えばデジタルチャネルグループ(オンラインバンキング、SMS/メールチャネル)と、アナログチャネルグループ(DM、電話チャネル)との2グループに分類する。上述のチャネル選択処理により、例えばSMS/メールチャネルに対して優先度の高い影響度スコアが所定よりも高く、その一方で同一チャネルグループのオンラインバンキングチャネルチャネルについて影響度しスコアが付かない又は所定よりも低い場合に、同一チャネルグループのオンラインバンキングチャネルについて影響度スコアが高くなるように補正する。つまり同一チャネルグループ内のあるチャネルが顧客の反応が期待できるチャネルであれば、同一チャネルグループ内の他のチャネルについても、顧客の影響度・反応が期待できるチャネルである蓋然性が高い。よって、当該顧客が、顧客対応履歴DB20c(図4C)や反応ログ情報(図4D)において当該顧客の反応行動が実績ベースで記録されていない場合であっても、同一チャネルグループ内の顧客の反応が期待できるチャネルと組み合わせて選択させることで、当該顧客の反応が期待できるチャネルを適切に選択することができる。
【0100】
・店舗相談窓口や顧客訪問チャネルに関しては、その前に他チャネル(事前の電話や、DM、オンラインバンキング又はメール/SMSからの相談申込など)が存在し、その結果として成立するという側面がある。従って商品案内情報を発信するための選択チャネルの中から、店舗相談窓口チャネル及び顧客訪問チャネルを除外することもシステム設定等により可能である(図6のS2)。
【0101】
・影響度スコアは、さらに当該顧客と担当者との相性関係を考慮してもよい。具体的に、営業推進支援システム20は、顧客対応履歴情報(図4C)の「対応結果」及び「担当者名」(又は「担当者ID」)に応じて影響度スコアを決定する。「担当者名」がAさん且つ「対応結果」が成約を示す場合、そのチャネル(店舗相談窓口、顧客訪問又は電話)に対して、影響度スコアを、更に担当者別に対応付けて付与する。こうすることで、当該顧客に対してチャネル別且つ担当者別に店舗相談窓口、顧客訪問又は電話が付与されているので、例えば図8において、電話のチャネルが選択された場合、複数の担当者の中から、最も高い影響度スコアが対応付けられた担当者Aさんが山田花子に電話を行うことで、より金融商品成約に至る可能性を高めることができる。
【0102】
・選択チャネルによるアプローチを継続することも可能である(頻度コントロール)。例えば営業担当者により選択されたチャネルによりアプローチが1回実現された場合に、制約に至らなければ、所定日後(14日後等)において再度選択されたチャネルにより自動的に2回目のアプローチ、所定月後(3か月後等)において再々度選択されたチャネルにより自動的に3回目のアプローチを行う。営業推進支援システム20は、見込み顧客リストにおいて、その顧客が所定上位に挙がり続けている限り(つまり顧客ニーズが高い状態が継続される限り)、営業担当者により手動操作がなくとも自動的に連続でアプローチする。なお、例えば見込み顧客リストにおいて、1回目はその顧客が所定上位(又は所定スコア以上)に挙がっていた一方、3回目の時点ではその顧客が所定上位に挙がらなくなっている場合、当該顧客ニーズが減退したことを示すので、チャネルに係るコスト等の無駄を防止すべくアプローチは停止する。
【0103】
・アプローチとは、顧客に接触しようとすることをいうものとする。アプローチは、コンタクトを試みたものともいえる。一方、コンタクトは、実際に顧客と接触(有効接触)を持つことをいうものとするが、ときにコンタクトはプローチ及びコンタクトを含む概念である。例えば、顧客に電話をしたときに、顧客と繋がらず不在の場合には単なるアプローチに留まるものであり、顧客と通話できた場合にはコンタクトであると共に、アプローチ及びコンタクトでもある。なお、顧客と繋がったが実質的に通話ができなかった場合には、形式的にはコンタクトである一方、実質的には単なるアプローチに留まるものともいうことができる。
【0104】
・本実施形態に係る「チャネル種別」は、一例として店舗相談窓口(オンライン相談窓口を含む)、顧客訪問、電話(コールセンターコールを含む)、DM、オンラインバンキング、SMS及びメールがあるが、この他のチャネルがあってもよい。
【0105】
・本実施形態に係る営業推進支援システム20は、他に例えばオムニチャネル施策システム、推奨チャネル選択システムなどと呼ぶこともできる。
【0106】
・DM配送履歴情報の「DM未到達」がフラグ有り、コール履歴情報の「通話結果」が通話不可、不在、配信ログ情報に配信はあるものの反応ログ情報にログが無し等といったように、過去に顧客との接触が実現しない接触履歴情報も活用可能である。より具体的には、これらチャネルに対して影響度スコアを逆に低くなるように決定する。
【0107】
<総括>
従来、金融機関側が顧客に対してアプローチするに際し、チャネルの選択方法が、画一的・固定的なルールベースであったり、営業担当者の恣意的選択に依存していたため、せっかく顧客のニーズに叶う金融商品を精度よく抽出したにも関わらず、当該商品提案が選択チャネルによっては当該顧客に対して適切に届かないことも多かった。本実施形態に係る営業推進支援システム20のチャネル選択処処理によれば、営業担当者が顧客毎に顧客影響度の高いチャネルが分かるので、複数のチャネルの中から顧客の金融商品成約可能性が期待できるチャネルを優先的に選択することが可能である。これにより当該顧客のニーズに叶う金融商品を当該顧客にレコメンドする場合、効率よく商品案内情報を当該顧客に伝達することができる。また顧客影響度の低いチャネル選択(図8のSMSチャネル等)をしないようにすることができるため、チャネルに係るコスト等の無駄を防止できる。
【0108】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0109】
10 金融機関システム
20 営業推進支援システム
30 見込顧客抽出システム
50 営業端末
70 ネットワーク
100 営業支援システム
201 ログ記録部
202 接触履歴取得部
203 チャネルパターン決定部
204 スコア算出部
205 チャネル種別出力部
206 記憶部

【要約】      (修正有)
【課題】複数のチャネルを接点として顧客に対するアプローチを効果的に支援する営業推進支援装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】金融機関システム10、営業推進支援システム20、見込顧客抽出システム30、営業端末50及び各種DB20a~20d等を含み、ネットワーク70を介して接続されている営業支援システム100であって、営業推進支援システムにおけるサーバ装置は、オムニチャネルによる顧客アプローチを支援し、複数種別のチャネルの中から、過去に顧客との接触が実現した接触チャネルの接触履歴情報を取得する接触履歴取得部と、接触履歴情報に基づいて、接触チャネルの種別毎に、接触チャネルが過去に顧客の商品成約に影響した度合いに関する値を算出するスコア算出部と、値に応じて、顧客アプローチに選択されるチャネルの種別を出力するチャネル種別出力部と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10