(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
H04N5/64 541N
(21)【出願番号】P 2018119631
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-05-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 Mono-Coto Innovation 2017 FINAL(開催日:平成29年12月27日)
(73)【特許権者】
【識別番号】518185978
【氏名又は名称】株式会社XrossVate
(74)【代理人】
【識別番号】100101982
【氏名又は名称】久米川 正光
(72)【発明者】
【氏名】砂野 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 茉里
(72)【発明者】
【氏名】原 なつ美
(72)【発明者】
【氏名】坂内 佳永
(72)【発明者】
【氏名】菊池 文秀
(72)【発明者】
【氏名】細金 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ケンプスター 真綾
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-155144(JP,A)
【文献】特開2018-041180(JP,A)
【文献】特開2009-160390(JP,A)
【文献】特開2000-090288(JP,A)
【文献】特開平07-261112(JP,A)
【文献】特開2009-069364(JP,A)
【文献】特開平09-049999(JP,A)
【文献】特開2013-198071(JP,A)
【文献】特開2016-086321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0000580(US,A1)
【文献】特開平08-152576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴者のプライバシーを確保しつつ視聴者に映像を提示する映像表示装置において、
設置面上に置かれる開口底部と、前記設置面上に仰向けに横たわった視聴者の頭部を覆い隠す内部空間
とを有する遮蔽体と、
前記遮蔽体の側部に設けられ、前記内部空間に前記頭部を挿入するための一つの出入口と、
前記遮蔽体の内部空間に設けられた映像表示部とを有
し、
前記遮蔽体は、前記一つの出入口を除いて、前記開口底部から頂部に向かって閉じた形状を有することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記遮蔽体に設けられた防音材をさらに有することを特徴とする請求項
1に記載された映像表示装置。
【請求項3】
、
前記映像表示部の表示面は、平面または前記頭部に向かって湾曲していることを特徴とする請求項1
または2に記載された映像表示装置。
【請求項4】
前記頭部に対する前記映像表示部の表示面の相対的な位置を調整自在、または、前記遮蔽体の高さを伸縮自在な位置調整機構をさらに有することを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載された映像表示装置。
【請求項5】
前記遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者に音声を提示するスピーカ、および、前記遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者の発声音を集音するマイクの少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載された映像表示装置。
【請求項6】
前記遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者以外の人の立体映像を表示する立体像表示部、および、前記遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者の立体映像を撮影するカメラの少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載された映像表示装置。
【請求項7】
前記立体像表示部は、双方向通信の相手方の顔を少なくとも含む立体映像を表示し、
前記カメラは、双方向通信の相手方に自己の顔を少なくとも含む立体映像を送信するために、当該自己の立体映像を撮影することを特徴とする請求項
6に記載された映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴者に対して映像を提示する映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常のテレビなどとは異なる特殊な使用態様で視聴者に対して映像を提示する映像表示装置が知られている。例えば、特許文献1には、寝室の天井に設置されたシルバースクリーンに立体映像を表示し、仰向けに横たわった観察者に対して立体映像を提示する映像表示システムが開示されている。この映像表示システムでは、映像出力手段として、左眼用および右眼用の映像を投影する一対のプロジェクタが用いられ、仰向けに横たわった観察者がシルバースクリーンを見たときに、実際のシルバースクリーンよりも手前または奥に認識されるような仮想立体スクリーンが表示される。また、特許文献2には、横たわった視聴者に対するものではないが、入院患者のように自由に活動できない人に疑似体験を提供するヘッドマウントディスプレイ型の映像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-151676号公報
【文献】特開2004-129180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、病院の相部屋に入院する場合や、災害時に避難所に寝泊まりする場合のように、個人の占有空間が限られている環境では、自己の行動が衆目に晒されることが多い。また、視聴環境によっては、周囲への音漏れや光漏れなどを配慮しなければならない場合がある。このような状況で映像を個人的に視聴する場合、視聴者本人の表情が衆目に晒されることになるので、プライバシーを確保できないばかりか、周囲に気を配ってしまうため、映像や音声に対する十分な没入感を得ることができない。
【0005】
本発明は、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、視聴者のプライバシーを確保しつつ、映像に対する没入感を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、本発明は、遮蔽体と、一つの出入口と、映像表示部とを有し、視聴者のプライバシーを確保しつつ視聴者に対して映像を提示する映像表示装置を提供する。遮蔽体は、開口底部と、内部空間とを有する。開口底部は、設置面上に置かれる。内部空間は、設置面上に仰向けに横たわった視聴者の頭部を覆い隠す。一つの出入口は、遮蔽体の側部に設けられ、内部空間に視聴者の頭部が挿入される。映像表示部は、遮蔽体の内部空間に設けられている。また、遮蔽体は、一つの出入口を除いて、開口底部から頂部に向かって閉じた形状を有する。
【0007】
ここで、本発明において、遮蔽体に防音材を設けてもよい。また、映像表示部の表示面は、平面または頭部に向かって湾曲していることが好ましい。さらに、頭部に対する映像表示部の表示面の相対的な位置を調整自在、または、遮蔽体の高さを伸縮自在な位置調整機構を設けてもよい。
【0008】
また、本発明において、スピーカおよびマイクの少なくとも一方を設けてもよい(両方を含む。)。スピーカは、遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者に音声を提示する。マイクは、遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者の発声音を集音する。
【0009】
本発明において、立体像表示部およびカメラの少なくとも一方を設けてもよい(両方を含む。)。立体像表示部は、遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者以外の人の立体映像を表示する。カメラは、遮蔽体の内部空間に設けられ、視聴者の立体映像を撮影する。この場合、立体像表示部は、視聴者の横方向近傍に配置されており、双方向通信の相手方の顔を少なくとも含む立体映像を表示すると共に、カメラは、双方向通信の相手方に自己の顔を少なくとも含む立体映像を送信するために、自己の立体映像を撮影してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、視聴者の顔が遮蔽体によって覆われているため、視聴者の表情が衆目を晒されることを回避でき、周囲への光漏れを気にすることなく、視聴者は映像に集中できる。したがって、病院や公の集合場所のように個人の占有空間が限られた状況でも、視聴者のプライバシーを確保できると共に、映像に対する没入感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る映像表示装置の使用例を示す外観斜視図である。この映像表示装置1は、例えば、病院のベッドや避難所の床面といった平坦な設置面2上に常時またはその都度設置される。映像表示装置1は、図示したような水平な設置面2上に横たわった視聴者Uに対して映像を提示する。映像表示装置1は遮蔽体3を備えている。視聴者Uの頭部は、この遮蔽体3によって覆い隠され、外部から視聴者Uの表情を読み取ることができなくなる(外界より遮断される。)。顔が覆い隠された視聴者Uは、遮蔽体3の内側に設置された電子機器類4を介して、映像や音声などを視聴する。遮蔽体3への視聴者Uの頭部の出し入れは、遮蔽体3の側面に設けられた出入口3aを介して行われる。また、遮蔽体3は、全体の高さを調整可能とする高さ調整機構(例えば、蛇腹のようなもの)や、遮光体3に頭を入れる出入口3を遮蔽するためのカーテン(遮蔽物)を有してもよい。なお、以下の説明では、水平な設置面2上に横たわった視聴者Uを想定した例について説明するが、視聴者Uの視聴姿勢は、斜めの設置面2にもたれ掛かった姿勢、または、垂直な設置面2に沿って起き上がった姿勢であってもよい。
【0013】
図2は遮蔽体3の上面図であり、
図3はその正面図、
図4はその側面図である。遮蔽体3は、略ドーム状、すなわち、ドーム形状を部分的に鉛直方向に切り落とした外観形状を有しており、その内部には、視聴者Uの頭部を収容するための内部空間が設けられている。ただし、遮蔽体3の外観形状は、略ドーム状に限るものではなく、略半球状,略立方体状や略アーチ状を含めて、視聴者Uの頭部を収容可能な内部空間を確保できる限り、どのような外観形状であってもよい。また、遮蔽体3は、少なくとも視聴者Uの頭部を覆い隠すための内部空間を有していれば足りるので、視聴者Uの頭部のみならず胸部や腰部まで覆うようなものや、視聴者Uの全身を覆う開閉式の箱状体を遮蔽体3として用いてもよい。
【0014】
遮蔽体3の材質は、視聴者Uの表情が外部から看取できないようなものであれば、どのような材質を用いてもよいが、一例として、軽量で成形性にも優れた合成樹脂製とすることが好ましい。遮光ドーム3を用いる意義は、一義的には、視聴者Uの表情が外部から看取できないようにすることにあるが、良好な視聴環境を実現するという観点も併せて考慮した場合、遮光ドーム3内は暗室であることが好ましく、そのためには遮光性を有する材質を用いることが望ましい。
【0015】
遮蔽体3の正面には、遮蔽体3の内部空間に視聴者Uの頭部を挿入するための出入口3aが、遮蔽体の内外を連通するように設けられている。出入口3aを設けることで、視聴者Uは映像表示装置1を持ち上げることなく、遮蔽体3内に頭部を簡単に入れることができる。これは、特に、映像表示装置1が重く、持ち上げるのが困難な場合において有利である。また、出入口3aの開口形状は、これを正面から見た場合(
図3の正面視)、視聴者U(本映像表示装置1の使用が想定される者)の頭部の断面よりも大きく、かつ、遮蔽体3の内部空間の断面よりも小さく設定されている。視聴者Uの頭部を出し入れが可能な範囲内で開口形状を極力狭くすることで、視聴者Uの視認範囲がより広く遮蔽されるため、視聴者Uの没入感をより高めることができる。
【0016】
本実施形態において、遮蔽体3のサイズは、一例として、幅900mm、高さ600mm、奥行き600mmに設定されており、出入口3aのサイズは、一例として、幅600mm、高さ300mmに設定されている。
【0017】
また、
図2に示したように、遮蔽体3には防音材3bが設けられている。具体的には、防音材3bは、遮蔽体3の内面における略全体(出入口3a等の開口部を除く。)が設けられている。この防音材3bは、遮蔽体3と一体成型してもよいし、別部材としての防音材を貼り付け、あるいは、ねじなどの固定具で取り付けてもよい。これにより、遮蔽体3内の音声が外部に漏れ出ることを抑制し、あるいは、遮蔽体3外の騒音が内部に漏れ入ることを抑制する。防音材3bとしては、石膏ボードや合板などの遮音材、グラスウールやミネソックスなどの吸音材、ゴム製の防振材などが知られており、いずれを用いてもよいが、遮光ドーム3の曲面に追従可能なものを用いることが好ましい。
【0018】
図5は、遮蔽体3内における電子機器類4の配置図である。本実施形態では、遮蔽体3の内部空間に設置される電子機器類4として、映像表示部4aと、スピーカ4bと、マイク4cと、立体像表示部4dと、カメラ4eとが存在する。ただし、映像表示部4aは、視聴者Uに映像を提示するという機能を実現する上で必須であるものの、スピーカ4bはヘッドフォンで代替可能なので省略してもよい。また、マイク4c、立体像表示部4dおよびカメラ4eについては、映像表示装置1に実装すべき機能に応じて、必要なものを設置すれば足りる。
【0019】
映像表示部4aは、横たわった視聴者Uと対向する位置に配置されており、視聴者Uに対して映像を提示する。映像表示部4aとしては、表示面が平面である、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのように表示面が平面な自発光型ディスプレイ、あるいは、表示面(投射面)が平面なプロジェクタを用いてもよい。特に、有機ELモニタを用いる場合、その特性を活かして、表示面を視聴者Uの頭部に向かって湾曲させてもよい。これは、遮蔽体3のような限られた空間内でも表示面のワイド化を図れる点、および、視聴者Uの視点から等距離に表示面を設定できる点で有利である。
【0020】
映像表示部4aは、基本的に、仰臥位(仰向けに横たわった状態)の視聴者Uの頭部に対して正対する位置に配置されていると共に、表示面までの距離も適切に設定されている。なお、アーム機構やスライド機構といった位置調整機構を設けて、視聴者Uの頭部に対する映像表示部4aの表示面の相対的な位置を調整自在にしてもよい。また、このような位置調整機構としては、遮蔽体3の高さに伸縮自在とするような機構であってもよい。これにより、側臥位(側方を向いて横たわった状態)を含めて、視聴者Uの顔がどこを向いていても、映像表示部4aの表示面の位置を調整できる。
【0021】
一対のスピーカ4bは、横たわった視聴者Uの左右の耳の近傍に位置するように配置されており、視聴者Uに対して音声を提示する。それぞれのスピーカ4bは、その形状に制限はなく、どのような形状であってもよい。また、遮蔽体3外への音漏れを抑制すべく、右側のスピーカ4bは右耳、左側のスピーカ4bは左耳といった如く、視聴者Uの耳を向いた指向性を有することが好ましい。なお、スピーカ4bの個数は2つに限るものではなく、少なくとも一つ存在すれば足り、当然ながら、3つ以上であってもよい。
【0022】
マイク4cは、横たわった視聴者Uより発せられた発声音を集音する。立体映像部4dは、双方向通信時に用いられ、視聴者Uの相手方(通信相手)立体映像(3Dホログラム)を表示する。立体像表示部4dの種類は、特に限定するものではないが、
図5に示すように、アクリル板などの透明板と映写部とを有するペッパーズ・ゴースト式の立体像装置を用いることができる。カメラ4eは、双方向通信時に用いられ、視聴者Uの立体映像(3Dホログラム)を撮影する。
【0023】
図6は、映像表示装置1のシステム構成図である。映像表示部4a、スピーカ4b、マイク4c、立体像表示部4dおよびカメラ4eは、入出力インターフェース4fを介して外部のシステムとの間でデータの授受を行う。具体的には、映像表示部4aは、外部より入力された映像信号に基づいて映像を表示する。スピーカ4bは、外部より入力された音声信号に基づいて音声を出力する。マイク4cは、自己が集音した音声信号を外部に出力する。立体像表示部4dは、外部より入力された立体像信号に基づき立体映像を表示する。カメラ4eは、自己が撮影した立体像信号を外部に出力する。映像表示装置1の使用形態としては、視聴者Uが個人的に映像音響を視聴する映像音響装置としての形態と、視聴者Uが他者と双方向通信を行うコミュニケーションツールとしての形態とが存在する。もちろん、視聴者Uが映像音響を視聴しながら、他者とコミュニケーションをとることも可能である。
【0024】
本実施形態では、映像表示装置1が行う双方向通信の一例として、
図7に示すような「添い寝モード」が実装されている。なお、
図7において、
図5に示した電子機器4a~4eのうち、マイク4c、立体像表示部4dおよびカメラ4d以外については省略されている。「添い寝モード」とは、離れた場所にいる視聴者U同士が互いの存在を身近に感じるように、自己(視聴者U)に寄り添って横たわっているように相手方の立体映像(破線で示す像)を提示することである。自己および相手方の両方が「添い寝モード」を実現するためには、それぞれが立体像表示部4dおよびカメラ4eを有していれば足りる。すなわち、この前提を満たす限り、相手方が使用する装置は本映像表示装置1である必要は必ずしもなく、スマートフォンのようなものであってもよい。
【0025】
図7の位置的関係から分かるように、立体像表示部4dによって表示される相手方の映像は、視聴者Uの横近傍に位置しており、視聴者Uから見て、この表示場所の延長線上にマイク4cおよびカメラ4eが配置されていることが好ましい。これにより、自己のみならず相手方においても、互いの存在が身近に感じられる実感的な添い寝を実現することができる。
【0026】
この場合、立体映像部4dは、視聴者Uの横方向近傍、換言すれば、視聴者Uが横向きに横たわった場合、この視聴者Uの顔の正面近傍において、相手方の顔を少なくとも含む立体映像(その他、風景などを含んでいてもよい。)を表示する。また、マイク4cおよびカメラ4eは、横向きに横たわった視聴者Uと正対する位置に配置されていることが好ましい。カメラ4eは、視聴者Uの顔を少なくとも含む立体映像(その他、風景などを含んでいてもよい。)を撮影する。この立体映像は双方向通信の相手方に自己が寄り添って横たわっているように感じさせるために用いられる。
【0027】
自己のカメラ4eによって撮像された自己の立体映像は、自己の入出力インターフェース4fによって相手方に送信される。この送信された立体映像は、相手方の入出力インターフェース4fによって受信され、相手方の立体像表示部4d(ただし、相手方は立体像表示でなくてもよい。)を介して相手方に提示される。同様に、相手方のカメラ4eによって撮像された相手方の立体映像は、相手方の入出力インターフェース4fによって自己に送信される。この送信された立体映像は、自己の入出力インターフェース4fによって受信され、自己の立体像表示部4dを介して自己に提示される。一方、自己のマイク4cによって集音された自己の発声音は、自己の入出力インターフェース4fによって相手方に送信される。この送信された発声音は、相手方の入出力インターフェース4fによって受信され、相手方のスピーカ4b(または、スピーカを有するデバイス)を介して相手方に提示される。同様に、相手方のマイク4cによって集音された相手方の発声音は、相手方の入出力インターフェース4fによって自己に送信される。この送信された発声音は、自己の入出力インターフェース4fによって受信され、自己のスピーカ4b、イヤフォン、ヘッドフォンなどを介して自己に提示される。なお、このような双方向通信は、有線通信および無線通信の別を問わず、携帯電話通信網やインタネット通信網などを介して行ってもよい。また、スマートフォンなどの端末装置の機能を利用することも可能である。
【0028】
また、上記コミュニケーション時において、自己および相手方が双方の映像表示部4aで同一のコンテンツを共有して視聴できるような同期機能を実装してもよい。このようなコンテンツとしては、映画、テレビ番組、Webコンテンツなどが挙げられる。コンテンツの共有形態としては、自己および相手方の入出力インターフェース4fが共通のサーバからそれぞれ受信する形態や、自己が再生中のコンテンツを複製して、相手方に送信する形態などが考えられる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、横たわった視聴者Uの頭部が遮蔽体3によって覆われており、外部からは視聴者Uの顔の表情を認識することができなくなる。したがって、視聴者Uは、自己の顔の表情が衆目を晒されること回避でき、周囲への光漏れを気にすることなく、視聴者Uは映像に集中できる。その結果、病院や公の集合場所のように個人の占有空間が限られた状況でも、視聴者Uのプライバシーを確保できると共に、寝たまま等の状態で気兼ねなく、映像(その他、双方向コミュニケーションなど)に対する没入感や感情移入(例えば、孤立した状態で悲しみに浸るなど)を高めることができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、遮蔽体3の内部空間に視聴者Uの頭部を挿入するための出入口3aを設けることで、視聴者Uは、遮蔽体3を持ち上げ得ることなく、簡単に頭部の出し入れを行うことができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、遮蔽体3に防音材3bを設けることで、遮蔽体3内の音声が外部に漏れ出すこと、あるいは、遮蔽体3外の騒音が内部に漏れ入ることを抑制でき、より良好な視聴環境を実現できる。
【0032】
さらに、本実施形態によれば、映像表示装置1に立体像表示部4dおよびカメラ4eを実装することで、上述した双方向のコミュニケーションが実現できる。特に、上述した「添い寝モード」を実装すれば、コミュニケーションの相手方(親友や恋人など)が添い寝しているような感覚を視聴者Uに体感させることができる。このように、本実施形態に係る映像表示装置1は、病院や避難での個人空間、一人での映画鑑賞、遠距離の家族や友人とのコミュニケーションといった様々な用途で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 映像表示装置
2 設置面
3 遮蔽体
3a 出入口
3b 防音材
4 電子機器類
4a 映像表示部
4b スピーカ
4c マイク
4d 立体像表示部
4e カメラ
4f 通信部