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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】開閉弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/60 20060101AFI20220909BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
F16K31/60 B
F16K5/06 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019073301
(22)【出願日】2019-04-08
(62)【分割の表示】P 2018070314の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019184067
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591068218
【氏名又は名称】麓技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 涼平
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠歩
(72)【発明者】
【氏名】山本 直行
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-135065(JP,U)
【文献】実開昭61-190080(JP,U)
【文献】実開平05-077677(JP,U)
【文献】実開平02-084863(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00-5/22
27/00-27/12
31/44-31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流通路に配置され、液体の流通と閉鎖を操作する開閉弁であって、
弁体を収容する弁室と、容器の排出口に接続される流入口と、下流側に位置する流出口とを有する本体と、
前記弁室に収容され、流入口と流出口とを連通状態とする開放位置と、流入口と流出口との流通を遮断する閉鎖位置との間で回動することにより液体の流通を切り替え可能な弁体と、
前記弁体の回動軸線に沿って接続される操作軸と、
中心部に前記操作軸が接続される接続部と、接続された前記操作軸の回動軸を中心線とする回転体形状に沿った形状の外周部とを有し、前記弁体を開放位置と閉鎖位置との間で、前記外周部に指の腹を接触させて回動操作される操作部材と、
前記本体に設けられ、円筒形状に形成された操作軸収容部とを有し、
前記操作部材には、前記操作軸収容部に嵌め合わされて外側に重なる円筒部が設けられ、該円筒部と前記操作軸収容部との間には、相互に重なり合う対向面の対向位置において、前記操作軸収容部側の対向面に凸部が、前記円筒部側の対向面には前記凸部に接触して前記操作部材の操作方向を規制する案内部が設けられていることを特徴とする開閉弁。
【請求項2】
前記案内部は、操作軸の軸方向に形成された縦溝と、前記縦溝の一端部に接続され周方向に形成された横溝とを有し、
前記凸部が縦溝内に位置する場合は、前記操作部材の回動が規制されるロック状態となり、前記凸部が横溝内に位置する場合には、操作部材を回動操作可能とする解除状態となる請求項1に記載の開閉弁。
【請求項3】
前記操作部材がロック状態となる方向に操作部材を付勢する付勢部材が、操作軸収容部内に設けられている請求項2に記載の開閉弁。
【請求項4】
前記操作部材は、前記操作軸が接続され、円盤状に形成された操作部本体を有し、前記円筒部は該操作部本体の外周端から本体側に延設されている請求項1~3のいずれか1に記載の開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の流通を開閉操作する開閉弁に係り、詳しくは開閉操作ハンドルに特徴を有する開閉弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来出願人は、液体容器の排出口に取り付けられる開閉弁を提案している。この開閉弁は、特許文献1に記載されているように、容器内液体の流入口を有する基端部と、開閉操作する操作レバーと、操作レバーの回動操作によって開閉させられる弁体と、開放時に流入口に連通する排出口を備えている。そして、基端に流入口が形成された基端部には、容器の排出口に形成されている雌ネジに螺号する雄ネジが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平05-83560号
【文献】特開2017-36828号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器の排出口に従来の開閉弁を装着した場合、容器の形状や排出口の位置によって、開閉弁の操作レバーが操作できない場合があるという欠点があった。例えば、図8に示されているように、排出口の周囲に隆起部などがあり、操作レバーが干渉して、開閉弁が取り付けられず、又は取り付けられたとしても、隆起部によって操作レバーの操作に支障をきたす、といった問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載されている開閉弁のように、取付姿勢を任意の方向に設定できる構成の開閉弁も提案されている。しかし、特許文献2に記載の開閉弁では、排出口の方向を所望の位置に設定すれば、操作レバーの向きは決まってしまうため、排出口の方向と、操作レバーの方向とを同時に所望の向きに固定させることはできないといった問題があった。
【0006】
さらに、操作レバーは弁本体から突出しているので、機器の外側に露出して開閉弁が取り付けられている場合には、外部と接触して操作レバーが折れる等の不都合があった。
この発明は、開閉弁の開閉操作を容易とするとともに、取付位置に関わりなく、取り付けが可能となる開閉弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような問題を解決する本発明は以下の構成を備える。
(1)液体の流通路に配置され、液体の流通と閉鎖を操作する開閉弁であって、
弁体を収容する弁室と、容器の排出口に接続される流入口と、下流側に位置する流出口とを有する本体と、
前記弁室に収容され、流入口と流出口とを連通状態とする開放位置と、流入口と流出口との流通を遮断する閉鎖位置との間で回動することにより液体の流通を切り替え可能な弁体と、
前記弁体の回動軸線に沿って接続される操作軸と、
中心部に前記操作軸が接続される接続部と、接続された前記操作軸の回動軸を中心線とする回転体形状に沿った形状の外周部とを有し、前記弁体を開放位置と閉鎖位置との間で、前記外周部に指の腹を接触させて回動操作される操作部材と、
前記本体に設けられ、円筒形状に形成された操作軸収容部とを有し、
前記操作部材には、前記操作軸収容部に嵌め合わされて外側に重なる円筒部が設けられ、該円筒部と前記操作軸収容部との間には、相互に重なり合う対向面の対向位置において、前記操作軸収容部側の対向面に凸部が、前記円筒部側の対向面には前記凸部に接触して前記操作部材の操作方向を規制する案内部が設けられていることを特徴とする開閉弁。
【0008】
(2)前記案内部は、操作軸の軸方向に形成された縦溝と、前記縦溝の一端部に接続され周方向に形成された横溝とを有し、
前記凸部が縦溝内に位置する場合は、前記操作部材の回動が規制されるロック状態となり、前記凸部が横溝内に位置する場合には、操作部材を回動操作可能とする解除状態となる上記(1)に記載の開閉弁。
【0009】
(3)前記操作部材がロック状態となる方向に操作部材を付勢する付勢部材が、操作軸収容部内に設けられている上記(2)に記載の開閉弁。
【0010】
(4)前記操作部材は、前記操作軸が接続され、円盤状に形成された操作部本体を有し、前記円筒部は該操作部本体の外周端から本体側に延設されている上記(1)~(3)のいずれか1にに記載の開閉弁。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、操作部材の外周形状は、回転体形状に沿った形状となっているので、操作軸を回転させる作用点が対称位置に2つとなり、回転操作をする際に操作部材に作用させるトルクを従来のレバー型よりも小さくできるので、操作が容易となる。また、従来のレバー型の操作部材に比較して、腕の長さ(操作部材の径)を小さくできるので、小型化を図ることができる。更に、操作レバーが外側に突出しないので、レバーの破損などの不都合も生じない。
案内部と凸部との接触によって操作部材の動きが規制されるので、誤操作が抑制される。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、凸部と溝との接触によって、操作部材の操作量と操作方向が規定されるので、誤操作が未然に抑制される。また、縦溝内に凸部が位置することで、操作部材がロック状態となるので、開閉弁を所望の状態で維持することができる。
請求項3に記載の発明によれば、付勢部材によって操作部材がロック位置方向に補正されるので、一層誤操作防止作用が強化される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、円盤状に形成された操作部本体の外周端から本体側に円筒部が延設される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の開閉弁において、弁体が閉鎖位置にある断面側面図である。
図2】本発明の開閉弁において、弁体が開放位置にある断面側面図である。
図3】本発明の開閉弁において、弁体が閉鎖位置にある部分断面平面図である。
図4】本発明の開閉弁の操作部材において、弁体が閉鎖位置にある正面断面図である。
図5】本発明の開閉弁の操作部材において、回動規制解除状態における全体斜視図である。
図6】本発明の開閉弁において、操作部材を取り付ける際の状態を示す正面断面図である。
図7】本発明の開閉弁において、操作部材の正面断面図である。
図8】従来の開閉弁の容器への取り付け状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適実施形態について、添付図面に基づいて詳説する。図1は、本発明の開閉弁の閉鎖状態における断面側面図、図2は同じく開放状態を示す断面側面図、図3は、平面図である。開閉弁1は、本体2と、締着部材3と、蓋体4と、弁体5と、操作軸6と、操作部材7とを備えている。本体2は、弁体5を収納する弁体収納部21と、締着部材3を収容する収容部22と、弁体5を開閉操作するための操作軸6と付勢部材としてのスプリング9が収納されている操作軸収容部23とを有している。
【0018】
弁体収納部21内には弁体5を内側に収納する弁室211が設けられ、弁室211の最奥部には、後述する収容部22に連通する流通路212が設けられており、流通路212に対向する反対側には、開口部213が形成され、内周面には雌ネジが形成されている。流通路212、弁室211、開口部213は、それぞれ横断面形状が円形であって、同一軸線上に配置される。これらの軸線に対して、直交する方向に軸線が位置するように形成されているのが、収容部22と、操作軸収容部23である。
【0019】
弁室211には球状の弁体5が収容されており、弁体5の中央には軸線に沿って形成された通路51が形成され、該通路51の軸線に対して直交する軸線上には、係合凹部52が形成されている。また、通路51の両端に形成された孔の周囲には、リング状のパッキン531、532がそれぞれ配置されており、弁室211の内壁と弁体5の外周面の間に介挿されている。弁体5は、パッキン531、532に挟まれた状態で、回動自在に保持されている。そして、通路51の両端開口部が流通路212と、開口部213に臨む位置が開放位置、開放位置における通路51の軸線に対して、通路51の軸線が直角の角度をなす位置が閉鎖位置となっており、開放位置と閉鎖位置との間で、回動角度90度の範囲で回動する構成となっている。弁体5の回動は、通路51の軸線に対して直角に交差する軸線を有する操作軸6の回動によって実現される。
【0020】
図4は、操作軸収容部23の正面断面図である。筒状に形成された操作軸収容部23は、内側に操作軸6やスプリング9を収容する収容空間231を有し、この収容空間231下端部は弁室211に連通している。収容空間231の軸線に沿って配置されている操作軸6は、前記弁体5の係合凹部52に係合する係合凸部61を有し、軸部62を介して、接続部63を有している。
【0021】
係合凸部61と係合凹部52の係合によって、操作軸6と弁体5は一体として回動する。接続部63の先端部には、操作部材7が接続される接続端631となっており、接続端631には操作部材7が着脱自在に接続される。接続部63は、横断面が多角形状、或いは少なくとも一対の平行な辺を有する形状に形成さている(図示の例では、相互に平行な面を一対有する軸)。
操作部材7は、円盤状に形成された操作部本体72と、操作部本体72の外周端から本体2側に延設された円筒部73と、円筒部73の内側に形成された内部71とを備え、操作部本体72の中心部には、接続部63の横断面形状と同形状の断面形状を有する挿入部721が設けられている。この挿入部721に接続部63の接続端631が接続されると、操作軸6と操作部材7は一体として回動できる構成となっている。また、内部71内において挿入部721の周囲には、円筒部73と同心円の溝が形成されて、スプリング受け部711が設けられている。
【0022】
図5は、操作部材7の全体斜視図であり、弁体5は閉鎖位置にある状態を示すものである。円筒部73には、中心軸を挟んで相互に対向する位置において、円筒部73の軸方向に形成された縦溝741A、741Bが形成されている。縦溝741A、741Bは、一端が円筒部73の開口端側に開放されており、他端には、横溝742A、742Bの一端がそれぞれ接続されている。横溝742A、742Bは、円周方向に形成されており、円筒部73の軸線上を中心とする扇の角度が90度となる範囲の円弧上に形成されている。この明細書では、溝とは、あい対する1対の案内面を有し、少なくとも片側が開放されたものであって、片側のみならず両側が開放されたもの(いわゆるスリット)も含むものとする。図1図6に示されている例では、スリット形状の溝(両側(内側と外側)が開放されている)が示されている。
【0023】
縦溝741Aと横溝742B及び縦溝741Bと横溝742Bとによって、それぞれ案内部74A、74Bが構成される。円筒部73の開口端の内周面には、内側に向けて突出する係合部731が全内周に渡って形成されている。係合部731の先端側面には、内側に向けて厚さが漸減するように傾斜部732が形成されている。円筒部73は、図1図2図4に示されているように、内側に操作軸収容部23が挿入される。円筒部73の内周面に、操作軸収容部23の外周面が対向して重なる。円筒部73の内側に挿入される操作軸収容部23の外周面には、軸線を中心として反対側の位置において、外側へ向けて突出した一対の凸部235A、235Bが形成されている。
【0024】
この凸部235A、235Bの径は、上記各案内部74A、74Bにおいて、平行に対向する一対の案内面の間隔より若干小さく形成され、円筒部73の内周面に操作軸収容部23が挿入された状態では、案内部74A、74B内に収容される。縦溝741A、741B内に凸部235A、235Bが位置している状態では、挿入部721と接続端631とが嵌合可能な向きとなるように、挿入部721の向きや、操作軸6の向きが設定されている。操作部材7を本体2の方向へ押し込むと、挿入部721に接続端631が嵌入され、同時に凸部235A、235Bが、縦溝741A、741Bと横溝742A、742Bの接続端に相対的に移動する。これにより、操作部材7は、回転可能となり、図3において右回転が可能となる。凸部235A、235Bが、横溝742A、742Bの他端に位置するまで、操作部材7を回転させる(図3及び図5において、右回転)ことにより、操作部材7は90度回転し、弁体5も、閉鎖位置(図1)から開放位置(図2)へ切り替わる。
【0025】
収容空間231の開口端外周部には、周方向に連続して形成された突出部233が形成され、その先端開口側には、傾斜部233aが、基端側には段部233bが形成されている。突出部233の外周径は、円筒部73の内周径と同程度に形成され、操作部材7は、この突出部233の外周に円筒部73の内周面を摺接させながら回動する構成となっている。また、操作部材7の係合部731の内側端部が、操作軸収容部23側の段部233bに係合することによって、操作部材7の操作軸収容部23からの抜脱が防止される。
収容空間231内には、操作軸6を中心に位置させた付勢部材としてのコイルスプリング9が収容されている。コイルスプリング9の一端は、収容空間231の底部に当接し、他端は操作部材7のスプリング受け部711の底部に当接しており、操作軸収容部23と操作部材7と間に圧縮状態で収容されている。このため、操作部材7は、コイルスプリング9によって、操作軸収容部23から離れる方向に常時付勢されており、係合部731と段部233bとが係合する位置が操作部材7が最も操作軸収容部23から離れた位置となっている。この位置で、上記凸部235A、235Bは、図1に示されているように、縦溝741A、741Bの中央位置から下部の間に位置し、縦溝741A、741B内の凸部235A、235Bによって、操作部材7は回動不可の状態となっている。
【0026】
以上のように構成された操作部材7を操作軸収容部23に取り付ける場合には、操作軸収容部23の開口部に対して、操作部材7の円筒部73の開口部を突き合わせるようにして、円筒部73に操作軸収容部23の開口部を挿入する。図6に示されているように、係合部731が操作軸収容部23の開口部の外周端に接触して、傾斜部732によって係合部731が外側に押し出され、円筒部73の開口端部が外側に押し開かれる、さらに、操作部材7を操作軸収容部23へ押し付けると、操作軸収容部23側の傾斜部233aと操作部材7側の傾斜部732が、接触して更に円筒部73の開口端部が外側に押し開かれ、円筒部73の開口部が拡径する方向に変形する。
【0027】
操作部材7の係合部731が突出部233を乗り越えると、操作部材7の変形が元の形状に戻り、図4に示されているように、段部234と係合部731が係合した状態となる。このように、操作軸収容部23側の傾斜部233aと操作部材7側の傾斜部732とによって、容易に操作部材7を操作軸収容部23に取り付けることが可能となる。
以上のような構成において、図1に示されているように、弁体5が閉鎖位置にある場合には、操作部材7は、コイルスプリング9によって操作軸収容部23から最も離れた位置にあり、凸部235A、235Bが縦溝741A、741Bに位置する、回動が規制された回動規制状態(ロック状態)となっている。コイルスプリング9にの付勢力に抗して、操作部材7を本体2側に押し込むと、図5に示されているように、凸部235A、235Bが横溝742A、742B内に位置し、回動可能な回動規制解除状態となる。
【0028】
係合部731と段部234は、既述の例では、いずれも周方向に連続して形成されているが、一方が連続して形成されてあれば、他方は、連続で形成されていなくとも良く、例えば、等間隔で複数個、周方向に配置されていてもよい。或いは、本実施形態の開閉弁では、操作部材7の操作回動範囲は、90度であるから、この回動範囲に合わせた範囲(この実施形態では、中心角が90度の扇の弧に相当する範囲)で、係合部731又は段部234、或いは両者が設けられていてもよい。この他、凸部を円筒部73の内周面に設け、案内部を操作軸収容部23の外周面に形成した縦溝と横溝で構成してもよい。
【0029】
次に、収容部22と、締着部材3について説明する。本体2に形成された収容部22は、断面形状が円形の孔であって、内側に締着部材3が収納される。収容部22内には、流通路212が開口する。収容部22の軸線は、流通路212、弁室211、開口部213を繋ぐ軸線に対して、直角となるように設定されている。収容部22の内径は、締着部材3が挿入される挿入口から順に、大径部221a、小径部221bが設けられており、締着部材3は、これらの径と略同径を有する円管状の部材である。
【0030】
締着部材3は、先端の排出口接続部33と、締着部材本体32と、基端の締着部31とを有している。排出口接続部33の外周には、容器排出口の内側に形成された雌ネジに螺合する雄ネジ331が形成されており、排出口接続部33の基端部の外径は、収容部22の小径部221bの内径に略一致する。締着部材本体32は、先端側の外径が、収容部22の大径部221aの内径に略一致する構成となっている。図1及び図2に示されているように、大径部には、外周に溝321が周方向に形成されており、該溝321の底部には、連通孔341、341、341、341が形成されている。
【0031】
各連通孔連通孔341、341、341、341は、締着部材3の内側において、排出口接続部33の先端から締着部材本体32に至るまで形成されている連通路34の基端部に連通している。溝321は、収容部22内に締着部材3を収容した状態で、流通路212に対向する位置に設けられている。溝32を挟んだ両側には、Oリング状のパッキン361、362が埋設されており、締着部材3と収容部22との間を液密に維持し、溝32からの液漏れを抑制する。
【0032】
締着部材本体32の基端側に締着部31が設けられている。締着部31は、収容部22の大径部221aの内径よりも大きい外径を有し、6角形のボルトヘッドを構成している。締着部31の中央には穴311が形成されている。この締着部31のボルトヘッド部分にスパナ等の工具を接続して締着部材3を、容器の排出口に対してねじ込むことによって、本体2の収容部22は、締着部31と排出口との間で締め付けられ、容器側に締着される。
【0033】
この際、排出口と収容部22の端面との間にパッキン35を介挿することによって、排出液の漏れを防止することができる。パッキン35を介挿した場合、Oリング状のパッキン361は必ずしも必要ない。同様に、図示されていないが、締着部31と収容部22の端面との間に、パッキンを介挿した場合にも、Oリング状のパッキン362は必ずしも必要ない。Oリング状のパッキン361、362を用いた場合には、本発明の開閉弁1を装着して、容器内の液体の排出作業をした後であっても、締着部材3を緩めて開閉弁1の向きを変える作業をしても、液体の漏れを抑制できる。Oリング状のパッキン361、362を用いず、収容部22の両端面にパッキンを介挿する構成とした場合には、Oリング状のパッキン361、362を埋設する構成が不要となるので、イニシャルコストの低減を図ることが可能となる。
【0034】
以上のような構成の本発明の開閉弁1において作用を説明する。図1に示されている操作部材7の位置は、弁体5を閉鎖位置とする位置である。開閉弁1を容器排出口に装着後、操作部材7を弁本体2の方向に押し付けると、図5に示されているように、凸部235A、235Bが縦溝741A、741B内を移動して、横溝742A、742Bとの接続位置に移動する。この位置で、操作部材7を握って右に90度回転させると、図2に示されているように、流通路212と排出路44とが、通路51を介して連通する。これにより、容器内の液体は、連通路34、連通孔341、341、341、341、溝321を通って、流通路212に達し、更に弁体5の通路51を通って排出路44から外部に排出される。溝321は、周方向に形成されているので、締着部材3に対して本体2がどの様な角度に位置していても、連通路34から流通路212への接続は確保され、液体の排出は滞りなく行われる。
【0035】
図3に示されているように、回転体形状の操作部材7を握って回転させると、矢印YA、YBで示されているように、外周部全体に回転方向の力を加えることになるので、従来例のようなレバー操作と異なり、回転力を加える力点と作用点との距離(操作部材の半径)が、従来のレバーの長さより小さくとも、容易に開閉操作(回動操作)することができる。また、従来のレバー構造よりも、力点と作用点との距離を短くできるので、開閉弁全体の大きさも、コンパクトにできる。さらに、操作レバーなどのように、本体から突出する部材がないので、突出する部分が外部に接触して破損する恐れも少ない。
【0036】
以上のような構成の他、操作軸6の接続部63の長さを、操作部材7の回動規制状態において(図1に示されている状態)、接続端631が操作部材7の挿入部721内に位置し、かつ先端面が操作部本体72の上面に一致するような長さに構成してもよい。この場合、操作部材7を回動規制解除状態とすると、図2及び図5において想像線で示されているように、接続部63の接続端631が、操作部材7の挿入部721から突出するので、接続部63の突出の有無によって、開閉弁1が閉鎖状態であるか否かを判断することができる。
【0037】
あるいは、図7に示されているように、案内部74A、74Bの外側の開口を側壁742AS、742BSで閉鎖し、また挿入部721を天井部721Sで閉鎖する構成としてもよい。このような構成とすることによって、案内部や挿入部を介して外部から埃や水分等が操作軸収容部23内に侵入することが抑制される。この他、締着部材3及び収納部22を設けず、流通路212に排出口接続部を直接形成し、排出口接続部から連通路を介して、流通路212に容器の排出口が接続される構成としてもよい。
【0038】
操作部材7の全体形状は、回転体形状ではあるが、外周部の形状は円形に沿ったものであればよく、操作部材を握り易くするために、指の腹の曲率に合わせた凹凸を設けたり、滑り止めのために周面に手触りを粗くする形状や表面処理を施してもよい。また、滑り止めとして、操作部材の表面に軟質の樹脂を覆い被せた構成としてもよい。
本発明の開閉弁1の取り付け位置は、上記説明した容器の排出口に限られず、流体の流通経路に設けて使用することもできる。
本明細書は、以下の構成を開示する。
[1]液体の流通路に配置され、液体の流通と閉鎖を操作する開閉弁であって、
弁体を収容する弁室と、流通路の上流側に接続される流入口と、下流側に位置する流出口とを有する本体と、
前記弁室に収容され、流入口と流出口とを連通状態とする開放位置と、流入口と流出口との流通を遮断する閉鎖位置との間で回動することにより液体の流通を切り替え可能な弁体と、
前記弁体の回動軸線に沿って接続される操作軸と、
中心部に前記操作軸が接続される接続部と、接続された前記操作軸の回動軸を中心線とする回転体形状に沿った形状の外周部とを有し、前記弁体を開放位置と閉鎖位置との間で回動操作する操作部材と、
前記本体に設けられ、円筒形状に形成された操作軸収容部とを有し、
前記操作部材には、前記操作軸収容部に嵌め合わされて内側又は外側に重なる円筒部が設けられ、該円筒部と前記操作軸収容部との間には、相互に重なり合う対向面の対向位置において、一方の対向面に凸部が、他方の対向面には前記凸部に接触して前記操作部材の操作方向を規制する案内部が設けられていることを特徴とする開閉弁。
[2]前記案内部は、操作軸の軸方向に形成された縦溝と、前記縦溝の一端部に接続され周方向に形成された横溝とを有し、
前記凸部が縦溝内に位置する場合は、前記操作部材の回動が規制されるロック状態となり、前記凸部が横溝内に位置する場合には、操作部材を回動操作可能とする解除状態となる上記[1]に記載の開閉弁。
[3]前記操作部材がロック状態となる方向に操作部材を付勢する付勢部材が、操作軸収容部内に設けられている上記[2]に記載の開閉弁。
[4]前記操作部材が解除状態に位置する場合に、前記操作軸の先端が操作部材の外側に突出している上記[2]又は[3]に記載の開閉弁。
[5]前記操作部材の円筒部下端部と、前記操作軸収容部上端部には、相互に対向する対向面の一方に、周方向に連続して形成された段部と、前記段部に係合する係合部と有し、前記段部と前記係合部との係合によって、前記操作部材を前記操作軸収容部に対して回動自在に係止する上記[1]~[4]のいずれか1に記載の開閉弁。
[6]前記係合部には、開口端方向に向けて肉厚が漸減するように形成された傾斜部が設けられている上記[5]に記載の開閉弁。
上記[1]に記載の構成によれば、操作部材の外周形状は、回転体形状に沿った形状となっているので、操作軸を回転させる作用点が対称位置に2つとなり、回転操作をする際に操作部材に作用させるトルクを従来のレバー型よりも小さくできるので、操作が容易となる。また、従来のレバー型の操作部材に比較して、腕の長さ(操作部材の径)を小さくできるので、小型化を図ることができる。更に、操作レバーが外側に突出しないので、レバーの破損などの不都合も生じない。案内部と凸部との接触によって操作部材の動きが規制されるので、誤操作が抑制される。
上記[2]に記載の構成によれば、凸部と溝との接触によって、操作部材の操作量と操作方向が規定されるので、誤操作が未然に抑制される。また、縦溝内に凸部が位置することで、操作部材がロック状態となるので、開閉弁を所望の状態で維持することができる。
上記[3]に記載の構成によれば、付勢部材によって操作部材がロック位置方向に補正されるので、一層誤操作防止作用が強化される。
上記[4]に記載の構成によれば、解除状態では、操作軸が操作部材から突出した状態となるので、外見から開閉弁の状態(開放状態又は閉鎖状態)を容易に把握することができる。
上記[5]に記載の構成によれば、段部と係合部の係合によって、操作部材は操作軸収容部から外れることなく、操作軸収容部の外周に外装された状態で、回動可能に保持される。
上記[6]に記載の構成によれば、操作部材の円筒部を操作軸収容部に嵌め込む際に、傾斜部によって段部と係合部とが容易に変形でき、係合位置まで到達することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 開閉弁
2 本体
21 弁体収納部
211 弁室
22 収容部
23 操作軸収容部
231 収容空間
233 突出部
233a 傾斜部
234 段部
235A、235B 凸部
3 締着部材
34 連通路
4 蓋体
44 排出路
5 弁体
51 通路51
52 係合凹部
6 操作軸
61 係合凸部
62 軸部
63 接続部
631 接続端
7 操作部材
71 内部
711 スプリング受け部
72 操作部本体
721 挿入部
73 円筒部
731 係合部
732 傾斜部
74A、74B 案内部
741A、741B 縦溝
742A、742B 横溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8