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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】フィルター装置および給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 1/00 20060101AFI20220909BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20220909BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20220909BHJP
【FI】
F23L1/00 H
F24H9/02 301B
F23L1/00 B
F23L1/00 Z
F24H9/16 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021107313
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2017209920の分割
【原出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2021167717
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】大石 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松下 享平
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-136060(JP,A)
【文献】実開昭61-202797(JP,U)
【文献】特開平11-182838(JP,A)
【文献】特開平08-323124(JP,A)
【文献】特開平07-051526(JP,A)
【文献】実開平04-102619(JP,U)
【文献】特開2001-025623(JP,A)
【文献】特開2008-164194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 1/00
F23L 17/00
F24H 9/02
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気に通じる通気管と、
外気から前記通気管に給気する給気管と、
前記通気管が挿入されて外気に通じる通気空間を備え、該通気空間を前記通気管の外周側で閉塞し、前記通気管の開口部より高い位置に流出孔を備え、該流出孔から気体を流出させる筐体と、
前記給気管と前記筐体より突出させた前記通気管とを連結させる着脱可能な管接続部と、
前記流出孔に設置され、前記通気空間への流入物から前記気体を分離するフィルターと、
を備えるフィルター装置。
【請求項2】
前記筐体に溜まる少なくとも液体を前記筐体から流出する排出孔と、
前記排出孔に連結され、前記液体を排出する排出管と、
前記排出管に設置されて前記通気空間側への前記外気、前記液体または前記気体の逆流を阻止する逆止弁と、
を備える、請求項1に記載のフィルター装置。
【請求項3】
装置本体と、
前記装置本体に給気する給気管と、
前記装置本体に設置されて燃料ガスを燃焼させるバーナと、
前記バーナに給気する給気ファンと、
前記装置本体に設置され、前記給気ファンにより前記装置本体に取り込まれる外気から気体を分離するフィルター装置と、
を備え、前記フィルター装置が、
外気に通じる通気管と、
前記通気管が挿入されて外気を流入させる通気空間を備え、該通気空間を前記通気管の外周側で閉塞し、前記通気管の開口部より高い位置に流出孔を備え、該流出孔から気体を流出させる筐体と、
前記給気管の一部を収納させ、前記筐体より突出させた前記通気管と前記給気管とを連結させる管接続部と、
前記流出孔に設置され、前記通気空間への流入物から前記気体を分離するフィルターと、
を備え、前記通気管と前記管接続部との間に前記装置本体の本体部材を挟み込んで前記フィルター装置が前記装置本体に固定されている、給湯装置。
【請求項4】
さらに、前記フィルター装置が、前記筐体に溜まる少なくとも液体を前記筐体から流出する排出孔と、
前記排出孔に連結され、前記液体を排出する排出管と、
前記排出管に設置されて前記通気空間側への前記外気、前記液体または前記気体の逆流を阻止する逆止弁と、
を備える、請求項に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の外気を取り込んで燃焼手段に給気する給気手段の液体分離および分離した液体の排出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内設置型の給湯装置などの燃焼装置は、燃焼状態の安定化や燃焼に対する利用者の安全性を高めるために、屋外の外気を取り込んで給気し、また燃焼排気を屋外に排出させている。取り込んだ外気を燃焼空気として利用する場合、空気以外の物質の除去が重要となる。すなわち、屋外に開口部が配置された給気管には、浮遊する塵や埃などの空気以外の異物が取り込まれる場合がある。このような空気以外の異物は、たとえば給気ファンの回転異常や燃焼手段の異常燃焼などの原因になる可能性がある。
そのため、給気管の入口に異物の侵入を排除するフィルター装置を備えるもの(例えば、特許文献1)や、給湯装置の筐体に形成される給気部にフィルター装置を備えるもの(例えば、特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-034203号公報
【文献】特開平9-068346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給気管を利用する給気手段では、外気とともに固体状またはそれに近い状態の異物のほか、雨水などの液体の侵入が問題となる。このような液体は、給気管の取込み口側に設置されるメッシュフィルターなどでは侵入を阻止し難いほか、フィルターに付着することで外気の取込みに影響を及ぼすという課題がある。
給気管は、たとえば雨水などを侵入させ難くするために屋外の取込み口側を屈曲させた所謂エルボートップとし、開口部分を下方に向ける手法をとる場合がある。しかしながら、建物には燃焼装置を設置する位置が決められており、その設置位置に対して予め屋外に通じる給気管や排気管が配置されている。そのため、設置されている給気管の配置向きを変えるには、給気管が設置される壁などの建物の一部の改修までも行う場合があり、作業負荷やコストの増加を招くおそれがあるという課題がある。
また、外気に含まれる水分は、給気管の開口部分では気体またはそれに近い状態であったのに、屋内や給湯装置の内部に達したとき、温度変化などによって凝縮し、液状またはそれに近い状態となる場合がある。
そのほか、給湯装置では、給気・排気能力の向上により、給気部や排気部が小径化されるものがある。給気部の小径化に対し、燃焼空気を従来と同様の流量で給気する場合、給気管内に流れる外気の流速が増加する。このように給気管内の流速が増加すると、給気管の開口部を下方に配置したとしても、雨水やその他のものが吸い込まれやすくなるという課題がある。
【0005】
斯かる課題について、特許文献1、2には開示も示唆もされておらず、これらの文献に開示された構成では、解決することはできない。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、雨水などの液体を遮断して外気のみを燃焼手段側に流すことにある。
また、本発明の他の目的は、給湯装置を設置する建物などに対するフィルター装置の設置作業負荷をかけずに液体の除去を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のフィルター装置の一側面によれば、外気に通じる通気管と、外気から前記通気管に給気する給気管と、前記通気管が挿入されて外気に通じる通気空間を備え、該通気空間を前記通気管の外周側で閉塞し、前記通気管の開口部より高い位置に流出孔を備え、該流出孔から気体を流出させる筐体と、前記給気管と前記筐体より突出させた前記通気管とを連結させる着脱可能な管接続部と、前記流出孔に設置され、前記通気空間への流入物から前記気体を分離するフィルターとを備える。
【0007】
このフィルター装置において、前記筐体に溜まる少なくとも液体を前記筐体から流出する排出孔と、前記排出孔に連結され、前記液体を排出する排出管と、前記排出管に設置されて前記通気空間側への前記外気、前記液体または前記気体の逆流を阻止する逆止弁とを備えてもよい
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の給湯装置の一側面によれば、装置本体と、前記装置本体に給気する給気管と、前記装置本体に設置されて燃料ガスを燃焼させるバーナと、前記バーナに給気する給気ファンと、前記装置本体に設置され、前記給気ファンにより前記装置本体に取り込まれる外気から気体を分離するフィルター装置とを備え、前記フィルター装置が、外気に通じる通気管と、前記通気管が挿入されて外気を流入させる通気空間を備え、該通気空間を前記通気管の外周側で閉塞し、前記通気管の開口部より高い位置に流出孔を備え、該流出孔から気体を流出させる筐体と、前記給気管の一部を収納させ、前記筐体より突出させた前記通気管と前記給気管とを連結させる管接続部と、前記流出孔に設置され、前記通気空間への流入物から前記気体を分離するフィルターとを備え、前記通気管と前記管接続部との間に前記装置本体の本体部材を挟み込んで前記フィルター装置が前記装置本体に固定されている。
【0009】
この給湯装置において、さらに、前記フィルター装置が、前記筐体に溜まる少なくとも
液体を前記筐体から流出する排出孔と、前記排出孔に連結され、前記液体を排出する排出
管と、前記排出管に設置されて前記通気空間側への前記外気、前記液体または前記気体の
逆流を阻止する逆止弁とを備えてもよい
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) フィルター装置の気液分離機能により、取り込んだ外気から液状またはそれに近い状態の液体を分離して、燃焼に必要な外気を燃焼手段側に流すことができる。
(2) 燃焼手段や給気手段などに対して液体の付着や堆積などが阻止でき、燃焼手段の異常燃焼を防止できる。
(3) 分離された液体が排出管から排出されることで、液体とともに外気から分離された固形物なども排出されてフィルター機能の低下を防止するとともに、外気を燃焼手段側に通過させる通気性を維持することができる。
(4) 斯かるフィルター装置を用いれば、給湯装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係るフィルター装置の構成例を示す図である。
図2】フィルター本体部の内部構成例を示す断面図である。
図3】排出部を含むフィルター装置の構成例を示す図である。
図4】排出部を所定の管路に接続させる場合の構成例を示す図である。
図5】第2の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示す図である。
図6】第3の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示す図である。
図7】実施例に係る給湯装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るフィルター装置の構成例を示している。また、図2は、フィルター本体部の内部構成例を示している。図1図2に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
このフィルター装置2は、たとえば図1に示すように、給気管4を通じて流入する外気から液体(Lm)と空気(Air)を分離する手段の一例である。このフィルター装置2は、燃焼手段を備える給湯装置などの給気部に設置されており、取り込んだ外気から燃焼に必要な空気(Air)のみを燃焼手段側に流すとともに、分離した液体を排出する機能を備える。
給気管4は、屋外などに配置された開口部から外気を取込み、給湯装置の給気部側に流す手段の一例である。この給気管4は、たとえば塩化ビニールなどの樹脂材料、またはアルミニウムなどの金属材料で形成されればよい。給気管4は、たとえば外形が燃焼手段の燃焼に必要な空気量を取り込める所定の大きさの円管形状で形成されればよい。給気管4を通じて流れる外気には、空気(Air)のほか、雨水またはそれに近い蒸気の結露水などの液体(Lm)や、小型の虫や浮遊する塵や埃、砂などの固形物(Sm)などが含まれる場合がある。この液体(Lm)は、フィルター装置2による分離対象であり、雨水や結露水以外の液状物も含まれる。
フィルター装置2は、たとえば管接続部6、フィルター本体部8、排出部10を備える。
【0013】
<管接続部6の構成>
管接続部6は、本開示の給気導入部の一例であり、給気管4の一端側に接続させて外気をフィルター装置2内に取り込むとともに、給気管4の一部を支持する機能を備える。管接続部6は、たとえば給気管4の開口部側を内部に収納する給気管収納部12を備える。給気管収納部12は、給気管4の外形形状に応じた形状であって、その内径L1は給気管4が挿入可能な大きさに形成されている。また、給気管収納部12の内周面には、たとえば給気管4の外周部分に接触させて給気管4の脱落を阻止するとともに、給気管4との間から外気の漏洩を防止するパッキン16、およびパッキン16を設置する溝部18が備えられる。
また管接続部6には、給気管収納部12に連通しており、内部にフィルター本体部8の通気管28を収納する通気管収納部14が形成されている。通気管収納部14は、内部に収納された通気管28の開口部と給気管収納部12に配置された給気管4の開口部とを接続させ、外気の全部をフィルター本体部8内に流させる手段の一例である。通気管収納部14は、たとえば内壁面を凹凸形状に形成され、通気管28の外周部分に係止させる係止部20を備えている。通気管収納部14は、通気管28の外径に応じた大きさに開口されている。通気管収納部14の開口径は、たとえば給気管収納部12の内径L1と同等であってもよい。
また管接続部6は、たとえば図示しない給湯装置などの筐体外装部分に配置させるものであり、外装面に支持強度を高めるために複数枚のリブ22を備える。さらに、管接続部6は、フィルター本体部8に対向する面側に図示しない装置筐体に接触させて固定させるフランジ部を備えてもよい。
【0014】
<フィルター本体部8の構成>
フィルター本体部8は、たとえば外部筐体24や、その外部筐体24の内部に配置された通気管28を備える。外部筐体24は、本開示のフィルター装置2の筐体の一例であって、内部に外気を流す通流部を構成する通気空間26がある。外部筐体24は、たとえば金属材料や硬質の樹脂材料などで形成されればよい。通気空間26には、内部に通気管28の一端側が収納される。そして通気空間26は、通気管28の管内を通じて流された外気がその開口部30から流入する。すなわち通気空間26は、たとえば図2に示すように、外部筐体24の内径L3に対して通気管28の内径L2を除外した大きさで形成されており、開口部30側の周囲に外気を通流させる。
通気管28は、筒状に形成されており、その胴体部の一部であって、管接続部6と対向するフィルター本体部8の開口位置に径大な突起部32や、管接続部6の係止部20に係止させる係止凸部34が形成される。この通気管28の突起部32は、通気空間26を外部から遮断して封止する蓋部として機能する。
なお、通気空間26の蓋部は、通気管28の外周部分に一体に形成される場合のほか、通気管28の周面部分に樹脂材料などの別部材を設置して形成してもよい。
通気管28の内径L2は、たとえば給気管4の内径と同等に形成すればよく、または給気管4よりも小径に形成してもよい。
【0015】
外部筐体24には、通気空間26内に収納された通気管28の開口部30よりも高い位置に、通気空間26内の空気(Air)を流出させる流出孔36を備える。
このように流出孔36の位置を開口部30よりも高い位置に形成した構造が本開示の気液分離手段の一例である。すなわち通気空間26には、通気管28の外周に沿って開口部30から上方にある流出孔36に向けて外気を流す流路が形成される。このとき通気管28から流れ込んだ外気のうち、質量が小さい空気(Air)はこの流路に沿って上昇し、流出孔36に達することができる。しかし、質量が大きい液体(Lm)は、上昇できず、または上昇しても流出孔36まで達することができない。これにより外気に含まれる空気(Air)と液体(Lm)を分離することができる。
通気管28の開口部30と流出孔36との間は、たとえば液体(Lm)が空気(Air)とともに浮上したり、または外部筐体24の底部と接触して液体(Lm)が跳ね上がったりしても到達しない所定の高さH1に設定すればよい。
流出孔36には、その開口広さに応じたメッシュ状のフィルター38を備えている。このフィルター38は本開示のフィルターの一例である。このフィルター38は空気(Air)とともに通流する固形物(Sm)の通過を阻止するたとえば、固形フィルターの一例である。
【0016】
外部筐体24の底部には、分離された液体(Lm)や固形物(Sm)を回収して排出部10に流す排出孔40が形成されている。この排出孔40は、通気管28の開口部30よりも低い位置に形成され、たとえば開口部30と対向する位置に配置されればよい。排出孔40には、たとえば排出部10の一部である排出管44(図3)が接続される。また外部筐体24の底部には、たとえば排出孔40の周縁部分に液体回収手段としてテーパ部42を形成してもよい。テーパ部42は、排出孔40を中心とした傾斜状にすることで、液体を排出孔40に流し易くし、通気空間26内に留まるのを阻止できる。
さらに、排出孔40の開口径L4は、たとえば図2に示すように、通気管28の内径L2に比べて小さく形成されている。開口径L4は、給気する外気の状態に応じて大きさを異ならせてもよい。すなわち、このフィルター装置2を含む給気手段や給湯装置が設置される環境に応じて、外気に水分が多い場合や雨量の多い地域であって、外気の取込み時に液体(Lm)の混入が多い場合には、排出孔40の開口径L4を大きくすればよい。また開口径L4は、たとえばフィルター38によって遮断され、外部筐体24の底部に蓄積する固形物(Sm)を液体(Lm)に伴わせて排出させるために、液体(Lm)の排出量を少なくするように狭小に形成してもよい。これにより、外部筐体24には、テーパ部42に液体(Lm)が滞留し、この液体(Lm)に固形物(Sm)が混入する。これにより軽量な固形物(Sm)が空気(Air)によって舞い上がるのを防止できる。
【0017】
流出孔36の開口広さSは、たとえば給気管4の内径や通気管28の内径L2に応じて設定されればよい。すなわち、給気管4の内径や通気管28の内径L2は、給湯装置の燃焼手段に対して必要な流量の空気(Air)を流せる大きさに設定されている。ここでは、給気管4の内径は、たとえば2〔in〕以上に設定されている。流出孔36は、たとえば給気管4の開口面積と同等またはそれよりも広い面積で開口することで、燃焼手段に対する空気(Air)の供給不足とならないようにすればよい。
なお、流出孔36は、外部筐体24の周面方向の一部に形成する場合を示したが、これに限らない。流出孔36は、外部筐体24の周面方向の全体に開口してもよい。
【0018】
<排出部10の構成>
図3は、排出部10を含むフィルター装置2の構成例を示している。
外部筐体24の排出孔40には、図3に示すように、分離された液体を流す排出部10を構成する排出管44が接続されている。この排出管44は、フィルター装置2が設置される給湯装置の筐体内部の配置構造に応じて直管または屈曲管などが用いられる。また、排出部10は、たとえば排出流路上に逆流防止手段46を備えている。逆流防止手段46は、たとえばフィルター装置2の放出部56から排出孔40に対して空気が流入することを防止するとともに、液体がフィルター本体部8側に逆流するのを防止する手段の一例である。逆流防止手段46は、たとえば排出管44よりも径大に形成され、内部に液体や逆流した空気を滞留させるケース部48、排出管44に接続する接続管50、この接続管50の一端に設置され、排出管44からの流入によって開状態となる逆止弁52を備える。
さらに排出部10は、逆流防止手段46を通過した液体を流す排出管54、給湯装置の筐体などに設置されて、液体を放出する放出部56を備える。
【0019】
<排出部10の他の構成例>
図4は、排出部10を所定の管路に接続させる場合の構成例を示している。
また、排出部10は、独立して給湯装置などの外部に液体を排出する場合に限らない。排出部10は、たとえば図4に示すように、フィルター装置2が設置される装置に設置された排出手段を通じて液体を排出してもよい。この場合、排出管54は、たとえば図示しない装置の排出管60と分岐管62を介して合流し、共通の放出部56を利用して液体を排出してもよい。分岐管62は、たとえば常に開放状態の継手であってもよく、または開閉弁を備えたものであってもよい。
【0020】
〔第1の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) フィルター装置2が気液分離機能を備えるので、外気とともに流入する液体を分離して燃焼に必要な空気を供給することができる。
(2) 通気管28の開口部30よりも高い位置で空気を流す構造にすることで、質量の大きい液体を分離することができる。
(3) 雨水や外気から結露した水などの水分を分離することで、装置内部に液体の付着や堆積などが阻止できるほか、燃焼手段の異常燃焼を防止できる。
(4) フィルター38で分離された固形物が液体に混入して排出されるので、フィルター装置内部の固形物などの堆積が防止でき、フィルター機能の維持が図れる。
(5) 排出部10に逆流防止手段46を備えることで、液体などの排出部10からの逆流を防止できる。
【0021】
〔第2の実施の形態〕
図5は、第2の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。図5に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、図5において図1図4と同一部分に同一符号を付している。
図5に示す給湯装置70は、たとえば本開示のフィルター装置2を備える装置本体部72と、この装置本体部72に対して外気を給気する給気管74と、装置本体部72から排出される燃焼排気を排出する排気管76とを含む。
この給湯装置70は、装置本体部72が家屋や小屋などの建物内部に設置されており、その建物の壁78を介して屋外に給気管74や排気管76の一端側が配置されている。少なくとも給気管74は、屋外側の開口部80が下方に向けられている。このため給気管74は、たとえば壁78から屋外に出た部分または開口部80に近い位置で屈曲したエルボー82を備えている。このように開口部80を下方に向けることで直接、または図示しないものとの接触による跳ねによって間接的に雨水が流入するのを阻止している。そのほか、開口部80には、たとえば図示しない昆虫や落ち葉などの固形物の混入を阻止するフィルターを備えてもよい。
給気管74は、屋内側の開口部84側がフィルター装置2の管接続部6内に挿入されている。この管接続部6は、たとえば給気管74の開口部84側の周囲を固定する固定手段を備えてもよい。
また、管接続部6は、たとえば接続する給気管74の外径に応じて開口部分の径を調整する機能を備えてもよい。このとき管接続部6は、たとえば給気管74を収納する給気管収納部12(図1)と、フィルター装置2の通気管28を収納する通気管収納部14とがそれぞれ独立した部品で構成されればよい。
【0022】
<装置本体部72の構成例>
装置本体部72は、たとえば外装筐体90内に給湯処理を行う機能部を収納する収納部92が形成されている。この収納部92は、たとえば手段毎に区分けされてもよく、または単一の空間であってもよい。この収納部92には、たとえば給気ファン94、ガス供給管95、バーナ96、一次熱交換器98、二次熱交換器100、給水・給湯部102が備えられる。給気ファン94は、燃焼手段に対する燃焼空気の供給手段の一例であって、収納部92の空気(Air)を取り込んで燃焼手段側に流す。収納部92内には、フィルター装置2によって液体が除去された空気(Air)が流れる。
ガス供給管95は、装置本体部72の外部から供給される燃料ガスGをバーナ96側に流す管路の一例である。
バーナ96は、燃焼手段の一例であり、給気ファン94から供給される空気(Air)とガス供給管95を通じて供給される燃料ガスGとを所定の比率で混合させて燃焼させる。このバーナ96には、たとえばバーナに点火するイグナイターや燃焼状態を監視する温度センサなどを備えている。
一次熱交換器98および二次熱交換器100は、図示しない複数の管路がバーナ96の配置に合せて配管されており、バーナ96で生成された燃焼排気と管路内に流れる水や熱媒とを熱交換させる手段の一例である。
給水・給湯部102は、一次熱交換器98および二次熱交換器100側に上水を流す手段や、熱交換して加熱された湯や熱媒を図示しない給湯負荷側に流す手段の一例である。
また、装置本体部72には、たとえば外装筐体90の底部側にフィルター装置2の放出部56が設置されており、この放出部56から直接、または図示しない配管を通じて、分離された液体(Lm)や液体に混入した固形物(Sm)が排出される。
なお、放出部56の設置位置は、外装筐体90の底部側に限られず、たとえば側面部分や背面部分に設置されてもよい。フィルター装置2の排出部10は、外装筐体90に形成される放出部56の設置位置に応じて、排出管44、54の形状や配置位置、長さが調整されればよい。
【0023】
〔第2の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) フィルター装置2が気液分離機能を備えるので、外気とともに流入する液体を分離して燃焼に必要な空気を供給することができる。
(2) 給湯装置70の筐体内部にフィルター装置2を備えることで、給湯装置の設置時に、給気または排気用の管路の交換作業が不要となり、作業負荷の軽減や利用者の利便性、コストの低減を図ることができる。
(3) 既設の給気管74の外径に応じて管接続部6の径を調整可能にすることで、給湯装置を設置する建物に既設の給気管74を利用することができ、給湯装置の利便性が高められる。
(4) 給湯装置の筐体構造に応じて、排出部10の配置構成や放出部56の設置位置を調整できる。
(5) 給湯装置の収納部92内にフィルター装置2を備えることで、取り込んだ外気が筐体内部の温度と同等まで加熱された後に気液分離を行うことができる。これにより、フィルター装置2において空気から結露した水分を分離することができ、バーナ96に水分が混入するのを抑えることができる。
【0024】
〔第3の実施の形態〕
図6は、第3の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。図6に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、図6において図1図5と同一部分に同一符号を付している。
図6に示す給湯装置110は、たとえば一次熱交換器98や二次熱交換器100の熱交換において生成されるドレンを排出するドレン排出部112を備えており、このドレン排出部112に対してフィルター装置2の排出部10を合流させる場合を示している。
この一次熱交換器98や二次熱交換器100は、内部に流れる水や熱媒との熱交換によりバーナ96で生成された燃焼排気から顕熱や潜熱が回収される。このとき熱交換管には、燃焼排気の温度低下によって筐体内部の空気が結露したドレンが付着する。給湯装置110では、発生したドレンが排気通路に散布し、または付着するのを防止するほか、意図しない部分から筐体外部に排出されるのを防止するために、図示しないドレン回収手段を備えている。このドレン回収手段は、たとえば一次熱交換器98や二次熱交換器100の近傍に配置されたドレン回収トレイなどで構成される。回収されたドレンは、ドレン排出部112を通じて所定の位置から筐体外部に排出される。ドレン回収手段には、たとえば図示しないドレンの成分を中和する手段などが含まれる。
給湯装置110に設置されたフィルター装置2は、排出管54が分岐管114を介してドレン排出部112に接続させ、ドレンとともに、またはドレンの排出処理とは独立して、共通の放出部56を利用して液体を排出する。
【0025】
〔第3の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 給湯装置のユーザに直接触れさせないように、ドレンや液体などの廃棄物質をまとめて排出することで、給湯装置の安全性や利便性の向上が図れる。
(2) 給湯装置の筐体に廃棄物質の排出管を複数設けることがなくなり、装置の組立てや設置処理の簡易化が図れる。
【実施例
【0026】
図7は、実施例に係る給湯装置の構成例を示している。図7に示す構成は一例であり本発明が斯かる構成に限定されない。
図7に示す給湯装置120は、たとえばフィルター装置2の管接続部6とフィルター本体部8の設置位置が直線上に連通しない場合であって、管接続部6から取り込んだ外気をフィルター本体部8側に流す接続管122を備えている。
この接続管122は、たとえば管接続部6およびフィルター本体部8に密閉接続されており、給湯装置120の収納部92内に外気を漏洩させない構造となっている。また、接続管122の内部は、たとえば管接続部6の通気管収納部14内に挿入する図示しない管路や、フィルター本体部8の通気管28の開口部が接続される接続部が形成されればよい。
この給湯装置120では、たとえば外装筐体90内の収納部92の大きさや、収納部92内に設置される給湯機能部の配置や大きさなどにより、給気管74の設置位置に対するフィルター本体部8の設置位置が制限されており、給気管74の下部側にフィルター本体部8を配置することができない。そこで、このフィルター装置2は、管接続部6とフィルター本体部8とを接続管122を通じて接続させている。
【0027】
〔実施例の効果〕
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 外装筐体90の外部側に接続される給気管74に対し、接続管122を介在させて外気を取り込むことができるので、気液分離手段を含むフィルター本体部8の設置位置の自由度が増し、利便性が高められる。
(2) 給湯装置120の外装筐体の大きさに応じて、フィルター装置2の配置位置が調整できるので、装置の小型化に貢献することができる。
(3) 収納部92内に配置された接続管122を通じてフィルター本体部8側に外気を流すことで、取り込んだ外気を収納部92の温度に近い状態にすることができ、フィルター装置2において空気の結露水を分離することができる。
【0028】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態および実施例では、フィルター装置2で分離した液体(Lm)および液体に混入した固形物(Sm)を随時、排出部10から排出する場合を示したがこれに限らない。排出部10は、たとえば一時的に液体を貯留する手段を備え、所定のタイミング毎に外部に放出してもよい。液体の貯留手段は、たとえば排出管44に貯留手段や開閉弁などを備えてもよい。また、係る排出タイミングの制御は、フィルター装置2が独立した制御手段を備えてもよく、またはフィルター装置2が設置される給湯装置の制御部で行ってもよい。
また、液体を給湯装置110のドレン排出部112を通じて排出させる場合、給湯装置のドレン排出タイミングに連動して液体排出処理を行ってもよい。
【0029】
(2) フィルター装置2の外部筐体24および通気管28、流出孔36の大きさや配置位置は、フィルター装置2や給湯装置が設置される環境に応じて調整可能にしてもよい。すなわち、給気管を通じて取り込む外気の水分量や周囲の気候環境に応じて、気液分離手段を構成する高さH1を調整可能にするために、通気管28の内径や長さ、外部筐体24を大型化してもよい。斯かる構成によれば、気液分離機能の向上や給湯装置の利用環境に応じたフィルター機能が得られる。
【0030】
(3) 上記実施例では、管接続部6とフィルター本体部8とを接続させる接続管122が給湯装置120の外装筐体90内に設置される場合を示したがこれに限らない。接続管122は、たとえば管接続部6とともに外装筐体90の外装側に設置される構成であってもよい。
【0031】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のフィルター装置および給湯装置によれば、給気管を通じて屋外から取り込んだ外気から雨水や結露した水分を分離することができ、有用である。
【符号の説明】
【0033】
2 フィルター装置
4 給気管
6 管接続部
8 フィルター本体部
10 排出部
12 給気管収納部
14 通気管収納部
16 パッキン
18 溝部
20 係止部
22 リブ
24 外部筐体
26 通気空間
28 通気管
30 開口部
32 突起部
34 係止凸部
36 流出孔
38 フィルター
40 排出孔
42 テーパ部
44 排出管
46 逆流防止手段
48 ケース部
50 接続管
52 逆止弁
54、60 排出管
56 放出部
62、114 分岐管
70、110、120 給湯装置
72 装置本体部
74 給気管
76 排気管
78 壁
80 開口部
82 エルボー
84 開口部
90 外装筐体
92 収納部
94 給気ファン
95 ガス供給管
96 バーナ
98 一次熱交換器
100 二次熱交換器
102 給水・給湯部
112 ドレン排出部
122 接続管

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7