(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】磁性流体自己補充型磁性流体シール装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/43 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
F16J15/43
(21)【出願番号】P 2022072601
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】202110454457.X
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲とく▼才
(72)【発明者】
【氏名】楊 紀顕
(72)【発明者】
【氏名】王 玉明
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-30562(JP,A)
【文献】特開昭55-139559(JP,A)
【文献】特開2002-5308(JP,A)
【文献】特開2002-5307(JP,A)
【文献】特開2003-269623(JP,A)
【文献】特開平10-220595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/40-15/453
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを有する筐体と、
前記チャンバ内に回転可能に設けられ、その少なくとも一端が前記チャンバ内から突出する軸と、
前記軸に外嵌され且つ前記チャンバ内に位置する軸スリーブであって、前記軸スリーブの内周面及び前記軸の外周面の少なくとも一方に取付溝が設けられ、前記軸スリーブには、その径方向に沿って前記軸スリーブを貫通する第1の貫通穴が設けられ、前記第1の貫通穴が流体入口及び流体出口を有し、前記流体入口が前記取付溝に連通する軸スリーブと、
前記取付溝内に設けられ、その内部に磁性流体が充填されている多孔質媒体と、
前記軸スリーブに外嵌され、前記軸の径方向において前記流体出口に対向しているシールユニットと、を含む、ことを特徴とする磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項2】
前記軸スリーブの一端及び前記軸の一端の少なくとも一方には、その軸方向に延在する第2の貫通穴が設けられ、前記第2の貫通穴の一端は前記取付溝に連通し、前記磁性流体自己補充型磁性流体シール装置は、前記第2の貫通穴の他端に嵌合されて前記多孔質媒体内の磁性流体を前記シールユニット内に吹き込むための吸気アセンブリをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項3】
前記吸気アセンブリは、その少なくとも一部が第2の貫通穴内に挿設され且つ前記第2の貫通穴の長さ方向に沿って移動可能なピストンロッドを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項4】
前記多孔質媒体の外周面が前記取付溝の内周面に接着されることにより、前記多孔質媒体は前記軸スリーブと同期して回転する、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項5】
前記シールユニットは、少なくとも2つのポールピースと、永久磁石とを含み、少なくとも2つの前記ポールピースは、前記軸スリーブに外嵌され且つ前記軸スリーブの軸方向に離間して設けられ、前記ポールピースの内周面と前記軸スリーブの外周面とは、前記軸スリーブの径方向に離間して設けられ、前記軸スリーブと前記ポールピースとの間に磁性流体が充填されており、
前記永久磁石は、前記軸スリーブに外嵌され且つ隣接する前記ポールピースの間に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項6】
前記第1の貫通穴の前記流体出口は、前記ポールピースの内周面に対向している、ことを特徴とする請求項5に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項7】
前記多孔質媒体は、前記ポールピースに対向している、ことを特徴とする請求項5に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項8】
前記第1の貫通穴の内径は、0.1mm~0.2mmである、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項9】
前記軸スリーブ及び前記軸を一体に取り付ける留め具をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【請求項10】
前記軸スリーブと前記軸との間に設けられる第1のシール部材をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の磁性流体自己補充型磁性流体シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学シーリングの分野に関し、特に磁性流体自己補充型磁性流体シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールすることは、機械工学の分野における重要な技術手段の1つであり、シールは主にシール媒体の漏れを防止するために使用され、磁性流体シールは、漏れを完全に無くすことができる非接触式シールであり、一部のハイエンド産業ではかけがえのない役割を果たしている。
【0003】
関連技術では、磁性流体シール装置において、磁性流体の注入は1回にのみであり、回転速度が高くて圧力差が大きい運転状態では、磁性流体膜の破裂によって磁性流体が失われ、磁性流体が失われるとシール能力が低下し、磁性流体シール装置の分解及び組立が困難であるため、一旦使用し始めると、磁性流体を補充しにくくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術における少なくとも1つの技術的課題をある程度解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の実施例は、磁性流体を補充しやすく、構造がシンプルな磁性流体自己補充型磁性流体シール装置を提供する。
【0006】
本発明の実施例に係る磁性流体自己補充型磁性流体シール装置は、チャンバを有する筐体と、前記チャンバ内に回転可能に設けられ、その少なくとも一端が前記チャンバ内から突出する軸と、前記軸に外嵌され且つ前記チャンバ内に位置する軸スリーブであって、前記軸スリーブの内周面及び前記軸の外周面の少なくとも一方に取付溝が設けられ、前記軸スリーブには、その径方向に沿って前記軸スリーブを貫通する第1の貫通穴が設けられ、前記第1の貫通穴が流体入口及び流体出口を有し、前記流体入口が前記取付溝に連通する軸スリーブと、前記取付溝内に設けられ、その内部に磁性流体が充填されている多孔質媒体と、前記軸スリーブに外嵌され、前記軸の径方向において前記流体出口に対向しているシールユニットと、を含む。
【0007】
本発明の実施例に係る磁性流体自己補充型磁性流体シール装置は、磁性流体が充填されている多孔質媒体を取付溝内に設置することにより、シールユニット内の磁性流体が漏れたり不足したりする時、多孔質媒体内の磁性流体をシールユニットに自動的に補充することができ、シールユニットのシール性能を確保することができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記軸スリーブの一端及び前記軸の一端の少なくとも一方には、その軸方向に沿って延在する第2の貫通穴が設けられ、前記第2の貫通穴の一端は前記取付溝に連通し、前記磁性流体自己補充型磁性流体シール装置は前記第2の貫通穴の他端に嵌合されて前記多孔質媒体内の磁性流体を前記シールユニット内に吹き込むための吸気アセンブリをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記吸気アセンブリは、その少なくとも一部が第2の貫通穴内に挿設され且つ前記第2の貫通穴の長さ方向に沿って移動可能なピストンロッドを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記多孔質媒体の外周面が前記取付溝の内周面に接着されることにより、前記多孔質媒体は前記軸スリーブと同期して回転する。
【0011】
いくつかの実施例では、前記シールユニットは、少なくとも2つのポールピースと、永久磁石とを含み、少なくとも2つの前記ポールピースは、前記軸スリーブに外嵌され且つ前記軸スリーブの軸方向に離間して設けられ、前記ポールピースの内周面及び前記軸スリーブの外周面は、前記軸スリーブの径方向に離間して設けられ、前記軸スリーブと前記ポールピースとの間に磁性流体が充填されており、前記永久磁石は、前記軸スリーブに外嵌され且つ隣接する前記ポールピースの間に設けられる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1の貫通穴の前記流体出口は、前記ポールピースの内周面に対向している。
【0013】
いくつかの実施例では、前記多孔質媒体は、前記ポールピースに対向している。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第1の貫通穴の内径は、0.1mm~0.2mmである。
【0015】
いくつかの実施例では、前記磁性流体自己補充型磁性流体シール装置は、前記軸スリーブ及び前記軸を一体に取り付ける留め具をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記磁性流体自己補充型磁性流体シール装置は、前記軸スリーブと前記軸との間に設けられる第1のシール部材をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係る磁性流体自己補充型磁性流体シール装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例は図面に示されている。以下、図面を参照して説明された実施例は例示的なものであり、本発明を説明することを目的とし、本発明を限定するものとして理解してはならない。
【0019】
以下、
図1~2を参照しながら、本発明の実施例に係る磁性流体自己補充型磁性流体シール装置を説明する。
【0020】
図1~2に示すように、本発明の実施例に係る磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は、筐体1、軸2、軸スリーブ3、多孔質媒体4及びシールユニット5を含む。
【0021】
筐体1はチャンバを有する。具体的には、
図1に示すように、筐体1の左端にはフランジ部を有し、フランジ部に複数のねじ穴が設けられ、フランジ部は、密閉室(例えば反応釜又は反応槽)外部のフランジとの接続に適しており、且つフランジ部は密閉室に隣接して配置される。
【0022】
軸2はチャンバ内に回転可能に設けられ、軸2の少なくとも一端はチャンバ内から突出する。具体的には、
図1に示すように、軸2は左右方向に沿って延在し、軸2の左右両端のそれぞれは筐体1から突出しており、軸2の左端が筐体1から突出しているため、軸2は密閉室内に突出して、密閉室内の媒体を撹拌する。
【0023】
軸スリーブ3は軸2に外嵌され且つチャンバ内に位置し、軸スリーブ3の内周面及び軸2の外周面の少なくとも一方に取付溝33が設けられ、軸スリーブ3には、その径方向に沿って軸スリーブ3を貫通する第1の貫通穴31が設けられ、第1の貫通穴31は流体入口311及び流体出口312を有し、流体入口311は取付溝33に連通する。具体的には、前記軸スリーブ3の内周面には、軸スリーブ3の軸方向に延在する取付溝33が設けられ、取付溝33の内周面には、軸スリーブ3を貫通する第1の貫通穴31が設けられ、第1の貫通穴31は流体入口311及び流体出口312を有し、流体入口311は取付溝33に連通する。
【0024】
多孔質媒体4は取付溝33内に設けられ、多孔質媒体4内に磁性流体が充填されている。
【0025】
シールユニット5は軸スリーブ3に外嵌され、且つシールユニット5と流体出口312とは軸2の径方向において対向している。これにより、多孔質媒体4内の磁性流体は、第1の貫通穴31を通ってシールユニット5に補充される。
【0026】
本発明の実施例に係る磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100では、多孔質媒体4が取付溝33内に設けられ、多孔質媒体4内に磁性流体が充填されており、シールユニット5は軸スリーブ3に外嵌され、シールユニット5と流体出口312とは軸2の径方向において対向している。これにより、シールユニット5内の磁性流体が失なわれた時、軸2の回転により多孔質媒体4が回転させられるため、多孔質媒体内の磁性流体は、遠心力によってシールユニット5内に入り、シールユニット5に自動的に補充され、シールユニット5内の十分な磁性流体が確保され、シールユニット5の耐圧能力が向上さし、シールユニット5のシール性能が確保され、シールユニット5の耐用年数が延びる。
【0027】
なお、多孔質媒体4は、互いに貫通した穴で網目構造を構成する材料からなり、磁性流体は多孔質媒体4の穴を通って多孔質媒体4の内部に浸入することができ、多孔質媒体4はスポンジなどの媒体であってもよい。
【0028】
いくつかの実施例では、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は吸気アセンブリをさらに含み、軸スリーブ3の一端及び軸2の一端の少なくとも一方には、その軸方向に沿って延在する第2の貫通穴32が設けられ、第2の貫通穴32の一端は取付溝33に連通し、第2の貫通穴32の他端は吸気アセンブリに嵌合される。これにより、多孔質媒体4内の磁性流体をシールユニット5内に吹き込み、シールユニット5に磁性流体を補充することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、吸気アセンブリはピストンロッド6を含み、ピストンロッド6の少なくとも一部は第2の貫通穴32内に挿設され、ピストンロッド6は第2の貫通穴32に対して第2の貫通穴32の長さ方向(
図1に示す左右方向)に移動することができる。具体的には、
図1に示すように、軸スリーブ3の左端に第2の貫通穴32が設けられ、第2の貫通穴32の右端は取付溝33に連通し、ピストンロッド6の右端は第2の貫通穴32内に延びており、シールユニット5内の磁性流体が不足する時、ピストンロッド6を押せば、多孔質媒体4内の磁性流体が第1の貫通穴31を通ってシールユニット5に補充される。
【0030】
なお、第2の貫通穴32は軸スリーブ3の右端又は軸2の右端に設けられてもよく、ピストンロッド6はマイクロブロア、エアバッグなどに置き換えられてもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、多孔質媒体4の外周面を取付溝33の内周面に接着させることにより、多孔質媒体4が軸スリーブ3と同期して回転することができる。これにより、シールユニット5内の磁性流体が不足する時、多孔質媒体4内の磁性流体は軸2とともに回転するため、磁性流体が遠心力によってシールユニット5内に振り落とされれて、シールユニット5に補充される。
【0032】
いくつかの実施例では、シールユニット5は、少なくとも2つのポールピース51及び永久磁石52を含む。
【0033】
少なくとも2つのポールピース51は、軸スリーブ3に外嵌され且つ軸スリーブ3の軸方向に離間して設置され、ポールピース51の内周面と軸スリーブ3の外周面とは軸スリーブ3の径方向に離間して設置され、軸スリーブ3とポールピース51との間に磁性流体が充填されている。永久磁石52は軸スリーブ3に外嵌され、永久磁石52は隣接するポールピース51の間に設けられる。これにより、永久磁石、ポールピース51及び軸スリーブ3によって閉磁路が構成され、永久磁石52によってポールピース51と軸スリーブ3との間に強弱の不均一な磁場が発生し、磁性流体が極歯と軸スリーブ3との間に吸着されて、磁性流体が隙間内に充填され、耐圧能力が発生してシールという目的が達成される。
【0034】
いくつかの実施例では、第1の貫通穴31の流体出口312はポールピース51の内周面に対向する。具体的には、第1の貫通穴31は複数であり、複数の第1の貫通穴31は軸スリーブ3の周方向に均等に配置され、第1の貫通穴31の流体出口312はポールピース51の内周面に対向し、磁性流体がポールピース51と軸スリーブ3との間に充填されているため、磁性流体をポールピース51と軸スリーブ3との間の隙間に加えることができ、磁性流体の浪費を回避することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、多孔質媒体4はポールピース51に対向している。これにより、第1の貫通穴31の長さを減少させることで、多孔質媒体4内の磁性流体が密閉の隙間内に流れ込んでシールユニット5に補充されることを容易にするとともに、第1の貫通穴31が長すぎて第1の貫通穴31内に残される磁性流体が多すぎることを防止し、多孔質媒体4内の磁性流体の利用率を向上させる。
【0036】
いくつかの実施例では、第1の貫通穴31の内径は0.1mm~0.2mmである。そのため、シールユニット5のシール効果に影響を与えることなく、第1の貫通穴31を通って磁性流体を軸スリーブ3とポールピース51との間の密閉の隙間内に流れ込ませることができ、シールユニット5のシール性能を確保することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は、軸スリーブ3及び軸2を一体に締め付ける留め具(図示せず)をさらに含む。具体的には、軸スリーブ3と軸2とをすきまばめとすることにより、軸スリーブ3を軸2に取り付ける。留め具はねじであり、ねじにより軸スリーブ3及び軸2が一体に固定され、軸スリーブ3の脱着が容易になる。
【0038】
いくつかの実施例では、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は第1のシール部材7をさらに含み、第1のシール部材7は軸スリーブ3と軸2との間に設けられる。具体的には、軸スリーブ3の内周面に環状溝が設けられ、第1のシール部材7の外周面は環状溝内に取り付けられ、第1のシール部材7の内周面は軸2の外周面に密着され、これにより、磁性流体シール装置のシール性能を確保する。
【0039】
なお、第1のシール部材7は2つであり、2つの第1のシール部材7は取付溝33の左右両側に設けられる。これにより、多孔質媒体4内の磁性流体の漏れを防止する。
【0040】
いくつかの実施例では、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は第2のシール部材8をさらに含み、ポールピース51の外周面に環状溝が設けられ、第2のシール部材8は環状溝に嵌合され、第2のシール部材8の外周面は筐体1の内周面に密着される。これにより、ポールピース51と筐体1との間からのガスの漏れを防止し、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100のシール性能をさらに確保する。
【0041】
いくつかの実施例では、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は磁気スペーサリング9をさらに含み、磁気スペーサリング9はチャンバに設けられ且つ軸2を取り囲んでいる、磁気スペーサリング9の内周面と軸2の外周面とは離間しており、磁気スペーサリング9はシールユニット5の左右両側に設けられる。具体的には、
図1に示すように、磁気スペーサリング9は第1の磁気スペーサリング91及び第2の磁気スペーサリング92を含み、第1の磁気スペーサリング91の外周面は筐体1の内周面に密着され、第2の磁気スペーサリング92の外周面は筐体1の内周面に密着され、第1の磁気スペーサリング91はシールユニット5の左側に設けられ、第2の磁気スペーサリング92はシールユニット5の右側に設けられ、第1の磁気スペーサリング91及び第2の磁気スペーサリング92により、永久磁石52によって発生された磁力線が複数のポールピース51の両端から漏れることを防止することができ、シールユニット5のシール性能をさらに向上させることができる。
【0042】
いくつかの実施例では、磁性流体自己補充型磁性流体シール装置100は第1の軸受10及び第2の軸受101をさらに含み、第1の軸受10及び第2の軸受101は筐体1内に設けられ且つ軸2に取り付けられる。これにより、第1の軸受10及び第2の軸受101により、軸2は筐体1内をスムーズに回転することができる。
【0043】
選択可能に、第1の軸受10及び第2の軸受101は両方とも転がり軸受である。
【0044】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を便利かつ簡潔に説明するためのものに過ぎず、指定された装置又は部品が必ず特定の方位にあり、特定の方位で構造及び操作されることを指示又は暗示するものではないので、本発明を限定するものと理解してはいけないことを理解されたい。
【0045】
また、「第1」、「第2」という用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、相対的重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を暗黙的に指示するものとして理解してはいけない。そこで、「第1」、「第2」によって限定されている特徴は1つ又はより多くの当該特徴を明示的または暗示的に含むことができる。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、2つまたは3つなど、2つ以上のことを意味する。
【0046】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、「取り付け」、「つながる」、「接続」、「固定」などの用語は広義で理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になっていてもよく、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよいし、互いに通信可能であってもよく、直接接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、特に明示的に限定されない限り、2つの要素の内部の連通または2つの要素の互いの作用関係であってもよい。当業者にとっては、上記用語の本発明における具体的な意味は具体的な状況に基づいて理解できる。
【0047】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1と第2の特徴が直接接触していてもよいし、第1と第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」および「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあることであってもよく、或いは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことのみを示している。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」および「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下または斜め下にあることであってもよいし、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より小さいことのみを示している。
【0048】
本発明において、「一実施例」、「一部の実施例」、「例」、「具体的な例」、或いは「一部の例」などの用語は、当該実施例或いは例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料或いは特性が、本発明の少なくとも1つの実施例或いは例に含まれることを指す。本明細書において、上記用語に対する例的な説明は、必ずしも同じ実施例或いは例を示すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料或いは特性は、いずれか1つ或いは複数の実施例又は例において適切に結合することができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は本明細書で説明された異なる実施例または例及び異なる実施形態または例の特徴を、結合及び組み合わせることができる。
【0049】
以上に本発明の実施例を示して説明したが、上記実施例は例示するものであり、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明の範囲内で上記実施例に対して変化、修正、置き換え及び変形を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0050】
100 磁性流体自己補充型磁性流体シール装置
1 筐体
2 軸
3 軸スリーブ
31 第1の貫通穴
311 流体入口
312 流体出口
32 第2の貫通穴
33 取付溝
4 多孔質媒体
5 シールユニット
51 ポールピース
52 永久磁石
6 ピストンロッド
7 第1のシール部材
8 第2のシール部材
9 磁気スペーサリング
91 第1の磁気スペーサリング
92 第2の磁気スペーサリング
10 第1の軸受
101 第2の軸受
【要約】 (修正有)
【課題】構造がシンプルで、使用しやすく、磁性流体を自動的に補充できるなどの利点を有する磁性流体自己補充型磁性流体シール装置を提供する。
【解決手段】筐体(1)、軸(2)、軸スリーブ(3)、多孔質媒体(4)及びシールユニット(5)を含み、軸の一端はチャンバ内から突出し、軸スリーブは軸に外嵌され且つチャンバ内に位置し、軸スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に取付溝(33)が設けられ、軸スリーブには、その径方向に沿って軸スリーブを貫通する第1の貫通穴が設けられ、第1の貫通穴は流体入口及び流体出口を有し、流体入口は取付溝に連通し、多孔質媒体は取付溝内に設けられ、多孔質媒体内に磁性流体が充填されており、シールユニットは軸スリーブに外嵌され、シールユニットと流体出口とは軸の径方向において対向してた磁性流体自己補充型磁性流体シール装置を提供する。
【選択図】
図1