(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A01K85/00 B
(21)【出願番号】P 2022097008
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2022-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310022442
【氏名又は名称】鈴木 斉
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 斉
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0053680(US,A1)
【文献】特開2003-125675(JP,A)
【文献】特表2017-518773(JP,A)
【文献】特開平9-37681(JP,A)
【文献】特開2017-189130(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00-85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小魚を模した本体
であって、水中で前記本体のみを疑似餌として全体より小さく見せるために着色された本体と、
前記本体の上に
連設された透明なヘッドと、を有し、
前記ヘッドは、
前記本体を遠くに飛ばす重さを持たせるとともに前記ヘッドのみを水面より上に浮かせ
るために、前記本体から上方にテーパ状に拡がり途中から上端に向かってテーパ状に先細らせた形状で内部を中空にした、
ことを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記本体は、中間部が膨らんだ内部が中空の樹脂製であり、内部に錘を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記ヘッドは、全体の5~30%の長さである、
ことを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項4】
前記ヘッドは、水面を移動時に泡を発生させるためのカップを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りをする際に疑似餌として釣り糸の先端に取り付けるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣りには、生き餌を使用する場合もあるが、疑似餌を使用するルアーフィッシングもある。ルアーは、木材、金属、プラスチック製などがあり、小魚に似せた形状のものもある。釣り人は、例えば、ルアーに生きた小魚のような動きをさせて、大きな魚が食い付くように、釣り竿を操作する。
【0003】
特許文献1に記載されているように、弱った小魚や抱卵などで本来の動きが出来なくなった魚に模したルアーも開示されている。特許文献2に記載されているように、水面に浮上させたり、水中における任意の層にとどまらせておいたり、沈下する速度を調整することができるルアーも開示されている。特許文献3に記載されているように、水面又は水中に浮かせて小魚が逃げまどうような姿を演出し、またキャスティング時の飛距離を長く出せるようにしたルアーも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-006199号公報
【文献】特許第6666658号公報
【文献】実用新案登録第3091818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のルアーは、活きの良い小魚を好む魚を狙う場合には適さない。特許文献1~3に記載のルアーは、魚に似せた形状をしているが、釣る魚が好む大きさでなければ食い付こうとしない。釣る魚によって釣り糸の太さを調整するが、釣り糸が太いとルアーを遠くに飛ばすために重量が必要になる。ルアーを重くしても水面付近に浮かせるには、例えば、ルアーの空洞を大きくする。ルアーのサイズが大きくなると、魚によっては食い付かない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、ルアーのサイズが大きくなっても水中の魚からは小さく見せることで、魚の食い付きを良くするルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明であるルアーは、小魚を模した本体と、前記本体の上に小魚の一部に見えない形状で連設したヘッドと、を有し、前記ヘッドは、水面より上に浮かせ、前記本体は、水中で疑似餌として全体より小さく見せる、ことを特徴とする。
【0008】
前記ルアーは、前記本体を着色し、前記ヘッドを透明にする、ことを特徴とする。
【0009】
前記ルアーにおいて、前記ヘッドは、内部を中空にし、前記本体から上方にテーパ状に拡げる、ことを特徴とする。
【0010】
前記ルアーにおいて、前記本体は、中間部が膨らんだ内部が中空の樹脂製であり、内部に錘を有する、ことを特徴とする。
【0011】
前記ルアーにおいて、前記ヘッドは、全体の5~30%の長さである、ことを特徴とする。
【0012】
前記ルアーにおいて、前記ヘッドは、水面を移動時に泡を発生させるためのカップを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、釣り糸を太くしてもルアーを飛ばすために、ルアーのサイズが大きくなったとしても、水面に浮いたルアーを水中の魚からは小さく見せることで、魚の食い付きを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明であるルアーを水面に浮かせた状態を示す図である。
【
図3】本発明であるルアーの使用状況を示す図である。
【
図4】本発明であるルアーの使用状況を示す図である。
【
図5】本発明であるルアーの使用状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0016】
まず、本発明であるルアーの構造について説明する。
図1は、ルアーの側面図である。
図2は、ルアーを水面に浮かせた状態を示す図である。
図1に示すように、ルアー100は、小魚を模した本体200と、本体200の上に小魚の一部に見えない形状で連設したヘッド300と、を有し、ヘッド300は、水面600より上に浮かせ、本体200は、水中で疑似餌として全体より小さく見せる。
【0017】
ルアー100は、魚釣りで使用する疑似餌であり、釣り竿500から延びた釣り糸510の先端に取り付けられる。釣り竿500からルアー100を投げるキャスティング時に釣り糸510がリールから繰り出され、リールで釣り糸510を巻き取ることで、ルアー100の釣り針に掛かった魚610を釣り上げる。
【0018】
ルアー100は、主にプラスチック(樹脂)で成形され、水面に浮くタイプのトップウォータールアーが使用される。大きく開いた口で水しぶきや音を出すポッパータイプや、細長い棒状で小刻みに暴れるように動くペンシルタイプ等がある。
【0019】
本体200は、上端の口部210、中間の胴部220、及び下端の尾部230を有する。口部210は、小魚の口の位置に相当し、上側にヘッド300が連設される。胴部220は、小魚の胴体の位置に相当し、口部210から徐々に膨らんで中間に至り、そこから徐々に先細りして尾部230に至る。尾部230は、小魚の尾の位置に相当し、先細ることで、キャスティング時の空気の抵抗を軽減すると共に、着水時の水の抵抗も軽減する。なお、胴部220と尾部230には、例えば、小魚のヒレ(腹ヒレや尾ヒレ等)に相当する位置に、釣り針を付けるための針取付部240を有する。
【0020】
本体200は、内部を中空にすることで浮きやすくし、内部に錘400を入れることで、水面600が口部210に来るように、浮く位置を調整する。また、錘400が上下にスライド可能な重心移動式にしても良い。ルアー100を投げるときは、遠心力により錘400が尾部230側に移動して飛距離が出るようになり、ルアー100が着水した後は、錘400が胴部220側に移動してルアー100を斜めに浮かせたり、ルアー100を移動させる時に動きの変化を出させたりする。
【0021】
ヘッド300は、下側の首部310、及び上側の頭部320を有する。首部310は、本体200の上に連設され、やや先細った口部210から逆にテーパ状の拡がることで、ヘッド300を水面600より上に浮かせやすくする。頭部320は、首部310から逆にテーパ状に先細ることで、ルアー100を引くときに水の抵抗を軽減する。また、上端面をカップ状に少し窪ませることで、ルアー100を引いたときに泡が発生するようにしても良い。なお、頭部320の上端面には、釣り糸510を結び付けるための糸取付部330を有する。
【0022】
図2に示すように、ヘッド300は、内部を中空にする等して水面600より上に出るようにする。口部210と首部310の境界に水面600が来るのが好ましい。ヘッド300のみを水面600より上に浮かせ、本体200を水中に入れることで、魚610には本体200のみ餌として認識させる。さらに、ヘッド300を小魚の一部に見えない形状にすることで、本体200のみを小さな餌に見せる。
【0023】
ルアー100の全体よりも疑似餌を小さく見せ、釣ろうとする魚610の食い付きを良くする。本体200を小魚に似せた形状にしたり、小魚の絵を描くなど着色したりし、ヘッド300を透明など目立たない形状や色にすることで、ルアー100の移動時でも疑似餌の小ささを強調しても良い。
【0024】
なお、ヘッド300は、ルアー100の全体の5~30%程度が好ましい。30%より大きくすると、ヘッド300を水面600から出して浮かせるためのバランスが悪くなる。ルアー100の全長は、180~250mmくらいが好ましいが、例えば、215mm(重さは約90g)としたとき、本体200の長さを185mm、ヘッド300の長さを30mmとすれば良い。
【0025】
図3~5は、ルアーの使用状況を示す図である。
図3に示すように、リール付き釣り竿500の釣り糸510の先端にルアー100を取り付け、釣り竿500を後方から前方(飛ばす方向)に振って遠心力によりルアー100を投げる。釣り糸510がルアー100に引かれてリールから繰り出され、釣り竿500の先端から延びていく。
【0026】
釣る魚610の大きさ等により釣り糸510の太さを変えるが、釣り糸510が太くなると釣り竿500に取り付けてあるガイド(リング)に擦れる摩擦抵抗が強くなり、ルアー100にも抵抗の影響を無くす程度の重さを持たせないと釣り糸510を引っ張ることができず、遠くまで飛ばすことができない。ルアー100の尾部230に錘400があると遠くまで飛ばしやすくなる。
【0027】
図4に示すように、ルアー100が水面600に着水すると、ルアー100が水面に縦又は若干斜めに浮く。尾部230を細くすることで、あまり水面600を波立たせずに静かに沈み、浮力によりヘッド300が水面600の上に出る。頭部320も細くすれば、静かに浮いてくる。
【0028】
ルアー100を重くすると水中に沈みやすくなるので、内部を中空にして浮力を大きくしようとすると、ルアー100のサイズも大きくなりやすい。そのため、ヘッド300を本体200より太くして浮きやすくし、また、本体200内の錘400で浮く位置を調整する。
【0029】
図5に示すように、リールで釣り糸510を巻き取り、ルアー100を水面600付近に沿って移動させる。ヘッド300がカップ状のポッパータイプであれば、進行方向にスプラッシュ(水しぶき)が上がり、釣る魚610を誘いやすくなる。また、棒状のペンシルタイプであれば、錘400の位置を調整することで小刻みに暴れて、魚610の関心を惹きやすくなる。なお、ヘッド300に別途、金属等のカップを取り付けて、水面600を移動する際に泡を発生させても良い。
【0030】
ルアー100の全体サイズが大きいと、魚610の気を引いても食い付かない場合がある。そのため、水面600より上のヘッド300を透明にし、水面600より下の本体200を小魚に似せて小さく見せることにより、魚610が好む大きさの小魚と認識すれば餌に掛かりやすくなる。
【0031】
本発明によれば、釣り糸を太くしてもルアーを飛ばすために、ルアーのサイズが大きくなったとしても、水面に浮いたルアーを水中の魚からは小さく見せることで、魚の食い付きを良くすることができる。
【0032】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、ヘッドと本体が形状的に分かれていなくても、色分けによりルアーの実寸よりも小さく見せるようにしても良い。
【符号の説明】
【0033】
100:ルアー
200:本体
210:口部
220:胴部
230:尾部
240:針取付部
300:ヘッド
310:首部
320:頭部
330:糸取付部
400:錘
500:釣り竿
510:釣り糸
600:水面
610:魚
【要約】
【課題】ルアーのサイズが大きくなっても水中の魚からは小さく見せることで、魚の食い付きを良くするルアーを提供する。
【解決手段】本発明であるルアーは、小魚を模した本体と、前記本体の上に小魚の一部に見えない形状で連設したヘッドと、を有し、前記ヘッドは、水面より上に浮かせ、前記本体は、水中で疑似餌として全体より小さく見せる。前記ルアーは、前記本体を着色し、前記ヘッドを透明にする。前記ルアーにおいて、前記ヘッドは、前記本体からテーパ状に拡がる首部と、前記首部から先細る頭部を有する。前記ルアーにおいて、前記本体は、中間部が膨らんだ内部が中空の樹脂製であり、内部に錘を有する。前記ルアーにおいて、前記ヘッドは、全体の5~30%の長さである。前記ルアーにおいて、前記ヘッドは、水面を移動時に泡を発生させるためのカップを有する。
【選択図】
図1