(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】装飾層用パネルからガス及び蒸気を取り除く方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20220909BHJP
B29C 43/02 20060101ALI20220909BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C43/02
B29C43/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017086832
(22)【出願日】2017-04-26
【審査請求日】2020-04-23
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シアオシー
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド, ジョン
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540293(JP,A)
【文献】特開昭62-164513(JP,A)
【文献】特開平09-309121(JP,A)
【文献】特開2000-343632(JP,A)
【文献】特開2014-095034(JP,A)
【文献】米国特許第03434411(US,A)
【文献】特開2008-183779(JP,A)
【文献】特開2005-212485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
B32B 5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル(404)の第1の表面に係合するホットプレス(400;500)の第1のプレスプレート(300)を備える装置であって、
前記ホットプレス(400)が前記パネル(404)の樹脂を硬化するため、前記第1のプレスプレート(300)を介して前記パネル(404)に熱を加え、前記パネル(404)に結合される装飾層(602)に、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが圧力を及ぼすのを抑止して、前記パネル(404)から前記装飾層(602)の一部が剥離するのを抑止するため、前記第1のプレスプレート(300)の第1の部分(302)が、前記パネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くための透過性材料からなり、
前記透過性材料が水蒸気の通過を可能にし、液状の樹脂の通過を抑止し、
前記第1のプレスプレート(300)が前記パネル(404)に係合するとき、前記透過性材料が前記パネル(404)に接触するように、前記第1の部分(302)が前記第1のプレスプレート(300)の外表面(318)上に配置され、
前記第1のプレスプレート(300)がさらに、水蒸気及び液状の樹脂が通過するのを抑止する低透過性材料からなる第2の部分(304)を含み、前記第1の部分(302)と前記第2の部分(304)が前記第1のプレスプレート(300)の外表面(318)を形成し、
前記第2の部分(304)は、前記外表面(318)に沿って延在する1つまたは複数の換気チャネル(306、308)を画定し、前記第1の部分(302)は前記換気チャネル(306、308)内に配置され、前記換気チャネル(306、308)は前記第1のプレスプレート(300)の外側エッジまで延在し、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネル(404)から出ることを可能にする、装置。
【請求項2】
水分を捕捉し、前記パネル(404)に結合される前記装飾層(602)にガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが圧力を及ぼすのをさらに抑止するため、前記第1のプレスプレート(300)に塗布される水分吸収材料(604)の被覆をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部分(302)と前記第2の部分(304)によって形成される前記外表面(318)が平坦になるように、前記第1の部分(302)は前記換気チャネル(306、308)を満たし、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネル(404)から換気するため、前記第1の部分(302)の前記透過性材料は、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記換気チャネル(306、308)内に配置された前記第1の部分(302)を通過できるようにし、前記第1のプレスプレート(300)が前記パネル(404)の前記第1の表面(410)上に突起(702、704)を形成するのを抑止するため、前記外表面(318)は平坦である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のプレスプレート(300)の前記外表面(318)上に形成された前記換気チャネル(306、308)が、前記パネル(404)の前記第1の表面(410)上に突起(702、704)を形成できるようにするため、前記第1の部分(302)は前記換気チャネル(306、308)を部分的に満たす、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のプレスプレート(300)の前記第1の部分(302)は、
前記パネル(404)の前記第1の表面に係合する液耐性層(802)と、
前記パネル(404)に係合する前記液耐性層(802)に係合する透過性層(804)とを含み、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネル(404)から取り除くことができるように、前記透過性層(804)と前記液耐性層(802)は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが通過できるようにし、前記パネル(404)の液状樹脂が前記透過性材料を通過するのを阻止する前記液耐性層(802)は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが前記透過性層(804)を透過するのを前記液状の樹脂が抑止するのを阻止する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記液耐性層(802)は2軸延伸のポリテトラフルオロエチレンからなり、前記透過性層(804)は多孔性金属材料、多孔性セラミック材料または連続気泡ポリマーフォームのうちの少なくとも1つからなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記パネル(404)から前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つをさらに取り除くため、前記第1の表面(410)の反対側の前記パネル(404)の第2の表面(506)に係合する前記ホットプレス(500)の第2のプレスプレート(502)をさらに含み、前記第2のプレスプレート(502)が第1のプレスプレート(300)と同じ構成を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ホットプレス(400;500)の第1のプレスプレート(300)をパネル(404)の第1の表面(410)に接触させることであって
、第1の部分(302)が前記第1のプレスプレート(300)の外表面(318)上に配置され、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを通過させることができる透過性材料からなり、前記透過性材料が水蒸気の通過を可能にし、液状の樹脂の通過を抑止し、前記第1のプレスプレート(300)がさらに、水蒸気及び液状の樹脂が通過するのを抑止する低透過性材料からなる第2の部分(304)を含み、前記第1の部分(302)と前記第2の部分(304)が前記第1のプレスプレート(300)の外表面(318)を形成する、接触させることと、
前記パネル(404)の樹脂を硬化させるため、前記第1のプレスプレート(300)を介して、前記パネル(404)に熱を加えることと、
前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネル(404)に結合される装飾層(602)に圧力を及ぼすのを抑止して、前記パネル(404)から前記装飾層(602)の一部が剥離するのを抑止するため、前記第1のプレスプレート(300)の透過性材料を介して前記パネル(404)からガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くことと
を含み、
前記透過性材料を介して、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネル(404)から取り除くことは、前記透過性材料を通して前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを換気することを含み、前記透過性材料は前記第1のプレスプレート(300)の外表面(318)によって画定される1つまたは複数の換気チャネル(306、308)内に配置され、前記換気チャネル(306、308)は前記第1のプレスプレート(300)の外側エッジ(320)まで延在し、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルから出ることを可能にする、
方法。
【請求項9】
前記ホットプレス(400;500)の前記第1のプレスプレート(300)を前記パネル(404)の前記第1の表面(410)に接触させることにより、前記パネル(404)に係合する前記第1のプレスプレート(300)は、前記第1のプレスプレート(300)の前記透過性材料を介して、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネル(404)から取り除くことができる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネル(404)から取り除くことをさらに可能にするため、前記パネル(404)に真空を適用することをさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のプレスプレート(300)の前記換気チャネル(306、308)が前記第1の表面(410)に係合するとき、前記パネル(404)の前記第1の表面(410)に突起(702、704)を形成することをさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のプレスプレート(300)が前記パネル(404)に結合される前記装飾層(602)の美的特性に影響を及ぼすのを抑止するため、前記パネル(404)の前記第1の表面(410)に形成される前記突起(702、704)を取り除くことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に係る方法における、前記第1のプレスプレート(300)を前記パネル(404)に接触させることが、
第1の液耐性層(802)を前記パネル(404)の前記第1の表面(410)に接触させることと、
前記パネル(404)に接触する前記第1の液耐性層(802)に透過性層(804)を接触させることとを含み、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネル(404)から取り除かれるように、前記透過性層(804)と前記第1の液耐性層(802)は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが通過できるようにし、前記パネル(404)の液状樹脂が前記透過性材料を通過するのを阻止する前記第1の液耐性層(802)は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが前記透過性層(804)を通過するのを前記液状の樹脂が抑止することを阻止する、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記パネル(404)から前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除き、前記透過性層(804)、前記第1の液耐性層(802)、及び前記パネル(404)を分離することと、
前記第1の液耐性層(802)を第2の液耐性層で置き換えることと、
第2のパネルに前記第2の液耐性層を接触させることと、
前記第2のパネルに接触する前記第2の液耐性層に前記透過性層(804)を接触させることと、
前記第2のパネルを形成するため、前記第2のパネルに熱を加えることと、
前記第2の液耐性層と前記透過性層を介して、前記第2のパネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くことと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2のプレスプレート(502)の一部が透過性材料からなる、前記ホットプレス(500)の前記第2のプレスプレート(502)を前記第1の表面(410)と向かい合う前記パネル(404)の第2の表面(506)に接触させることと、
前記パネル(404)から前記装飾層(602)の前記一部が剥離することを抑止するように、前記第2のプレスプレート(502)の前記透過性材料を介して、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネル(404)からさらに取り除くため、前記第2のプレスプレート(502)を介して前記パネル(404)に熱を加えることと
をさらに含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して装飾層に関し、具体的には、装飾層用パネルからガス及び蒸気を取り除く方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送手段(例えば航空機、バス、列車、トラクタートレーラー、船舶など)、ビルディング、及び/または他の構造物(例えば広告用掲示板)は、公衆が視覚可能な表面を含む。これらの表面はしばしば、美観、識別、及び/または広告の目的のための、装飾的画像を含む。例えば、航空機の表面のうちのあるものは、その航空機に関連する航空会社を識別させる装飾的画像を含んでいる。ある例では、装飾的画像は、輸送手段、ビルディング、及び/または他の構造物の表面に結合された化粧板上に形成されている。化粧板と表面の間にガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)のポケットが形成され得、それによって、化粧板の隣接する部分に気泡が生じ得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施例では、装置は、パネルの第1の表面に係合するホットプレスの第1のプレスプレートを含む。ホットプレスとは、第1のプレスプレートを介してパネルに熱を加えて、パネルの樹脂を硬化することである。パネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除き、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つがパネルに結合される装飾層に圧力を及ぼすのを抑止し、パネルから装飾層の一部が剥離するのを抑止するため、第1のプレスプレートの第1の部分は透過性材料からなる。
【0004】
別の実施例では、装置は硬化のための手段及び、硬化のための手段に係合するための手段を含む。係合するための手段とは、パネルの表面に係合することである。硬化のための手段は、係合するための手段を介してパネルに熱を加え、パネルの樹脂を硬化することである。装置は、係合するための手段のガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除く手段を含む。ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くための手段は、パネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除き、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つがパネルに結合される装飾のための手段に圧力を及ぼすのを抑止し、パネルから装飾のための手段の一部が剥離するのを抑止する。
【0005】
別の実施例では、方法は、ホットプレスの第1のプレスプレートをパネルの第1の表面に接触させることを含む。第1のプレスプレートの一部は、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを通すことができる透過性材料からなる。本方法は、パネルの樹脂を硬化させるため、第1のプレスプレートを介してパネルに熱を加えることを含む。本方法は、第1のプレスプレートの透過性材料を介してパネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除き、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つがパネルに結合される装飾層に圧力を及ぼすのを抑止し、パネルから装飾層の一部が剥離するのを抑止することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2A】既知の装飾層及び既知のパネルの一部の断面を示す。
【
図2B】
図2Aの既知の装飾層及び既知のパネルの一部の分解図である。
【
図3】本書に開示の教示による例示のプレスプレートを示す。
【
図4】本書の教示による
図3のプレスプレートを有する例示のホットプレスを示す。
【
図5】本書の教示による
図3のプレスプレートと別の例示のプレスプレートを有する別の例示のホットプレスを示す。
【
図6】
図3のプレスプレートによって形成されたパネルの例示の表面を示す。
【
図7】
図3のプレスプレートによって形成されたパネルの別の例示の表面を示す。
【
図8】本書の教示による例示の液耐性層及び例示の透過性層を有する別の例示のプレスプレートを示す。
【
図9】本書の教示による
図8の液耐性層及び透過性層を有する別の例示のホットプレスを示す。
【
図10】本書の教示による
図4、
図5及び/または
図9のホットプレスを介してパネルが形成される際に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く例示の方法を表わすフロー図である。
【
図11】本書の教示による
図4及び/または
図5のホットプレスを介してパネルを形成する間に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く例示の方法を表わすフロー図である。
【
図12】本書の教示による
図9のホットプレスを介してパネルを形成する間に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く例示の方法を表わすフロー図である。
【0007】
図面は原寸に比例しない。代わりに、複数の層及び部位を明確にするため、図中の各層の厚さは拡大されている場合がある。図面及び添付の記載の全体を通して、可能な箇所にはすべて、同一のまたは類似の部分を指すために同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
公共の空間にある表面(例えば広告用掲示板、ビルディングの壁、輸送手段のパネルなど)は、しばしば、美観、情報、及び/または広告の目的のための装飾的画像を含む。例えば、既知の航空機及び/または他の輸送手段(例えばバス、列車、トラクタートレーラー、船舶など)は、しばしばその表面に識別及び/または広告の目的のための装飾的画像を含む。ある実施例では、航空機の内装の可視表面は、その航空機に関連する各航空会社を識別させる装飾的画像を含んでいる。
【0009】
ある既知の装飾的画像は、対応する表面に結合された装飾層(例えば化粧板)上に形成されている。例えば、装飾層は、接着層を介して航空機のパネルに結合されている。ある例では、装飾層または化粧板の一部は、結合されている表面から剥離し得る。例えば、化粧板と表面の間にガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)のポケットが形成され得、それによって、化粧板の隣接する部分に気泡が生じ得る。化粧板と表面とがこうして剥離することは、美観目的にとって望ましくない(例えば、化粧板に気泡が発生することは、美観上、魅力的でない)ことであり得、及び/または、時間の経過に伴って化粧板の損傷や表面からのさらなる剥離(例えば、層間剥離)を生じさせ得る。
【0010】
ある例では、化粧板が最初に表面に結合されるときに、ガス及び/または蒸気のポケットが、化粧板とパネル表面(例えば、荷物入れやライニング、調度品などの表面といった、航空機のコンパートメントの内装面)の間に捕捉される。即ち剥離は、当初、化粧板が表面に結合されたときに、化粧板が表面と同一平面上に置かれていないことに起因する。
【0011】
他の例では、化粧板と表面の間の剥離を生じさせるガス及び蒸気のポケットは、ガス及び/または蒸気がパネルの材料から漏出し、化粧板とパネルの間に捕捉される(例えば、気泡が形成される)結果として形成される。化粧板が航空機のパネルに結合されるとき、パネルのコア層(例えばハニカムコア、発泡コアなど)からガス及び蒸気が放出され得、続いて化粧板とパネル表面の間に捕捉され得る。例えば、ガス及び/または蒸気は、パネルのコア層とパネルの外部環境との間に圧力差及び/または温度差があるときに、パネルのコア層から漏出し及び/または放出され得る。例えば、ガス及び/または蒸気は、コア層のより近くの圧力が化粧板のより近くの圧力よりも大きいときに、コア層から化粧板に向かって移動し得る。化粧板がほぼ不浸透性及び/または無孔性の材料からできていて、コア層内のガス及び/または蒸気が化粧板を通り抜けることが抑止及び/または阻止される結果として、ガス及び/または蒸気は、化粧板とパネルの間に捕捉される。捕捉されたガス及び/または蒸気によって、化粧板とパネルとの間に内圧が作り出されて化粧板及び/または表面に力が集中して加えられ、それによって化粧板のパネル表面から(例えば航空機コンパートメント内の内装面などから)の剥離が生じる。さらに、または代わりに、化粧板とパネルとの間に捕捉されるガス及び/または蒸気は、パネル及び/または化粧板の構成要素間の(例えばパネルのコア層と補強層の間、補強層と化粧板に結合された接着剤の間などの)相互作用(例えば、化学反応、物理反応など)にも起因し得る。
【0012】
パネルは装飾層がパネルに結合する前に形成されるので、ガス及び/または蒸気が、パネルに結合された装飾層の一部のパネルからの剥離を生じさせるのを抑止及び/または阻止するため、本書で開示される例示の方法及び装置は、パネルからガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)を取り除くことを含む。パネルの形成中にガス及び/または蒸気を取り除くことによって、装飾層がパネルに結合されるときには、例示の方法及び装置は、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)がパネル(例えば、パネルのコア層)から放出されるのを抑止及び/または阻止する。この結果、例示の方法及び装置は、ガス及び/または蒸気が装飾層とパネル表面との間に捕捉されるのを抑止及び/または阻止し、さらに、装飾層の一部に圧力及び/又は力を及ぼす内圧を、パネルの装飾層とパネルの外側樹脂層との間に作り出すことを、抑止及び/または阻止する。このように、パネルは装飾層がパネルから剥離するのを抑止及び/または阻止するように(例えば、装飾層に気泡が発生するのを抑止及び/または阻止するように)形成されるため、例示の方法及び装置はパネルからガス及び/または蒸気を取り除く。
【0013】
本書に開示の実施例では、パネルを形成するため(例えば、パネルの層を接着するパネルの樹脂を硬化するため)第1のプレスプレートを介して、ホットプレスが熱及び/または圧力をパネルに加えることを可能にするため、ホットプレスは、パネルの第1の表面に係合することになる第1のプレスプレートを含む。第1のプレスプレートの第1の部分は、ガス及び/または蒸気を通すことができ、樹脂層の硬化していない液状の樹脂が通過するのを抑止及び/または阻止する透過性材料からなる。ある実施例では、第1のプレスプレートのすべて及び/または実質的にすべてが第1の部分の透過性材料からなるように、第1のプレスプレートは第1の部分によって形成される。第1の部分の透過性材料は、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)をパネルから取り除くことができ、ガス及び/または蒸気が、パネルに連結される装飾層に対して圧力を及ぼすことを抑止及び/または阻止し、それによって、装飾層の一部がパネルから剥離することを抑止及び/または阻止する(例えば、装飾層に気泡が発生することを抑止及び/または阻止する)。
【0014】
ある実施例では、第1のプレスプレートがパネルに係合するとき、第1のプレスプレートの透過性材料がパネルに接触できるようにするため、第1のプレスプレートの第1の部分は第1のプレスプレートの外表面上に配置される。この結果、ホットプレスはパネルを形成するため、ガス及び/または蒸気は第1の部分を介してパネルから取り除かれ得る。第1のプレスプレートは、水蒸気及び液状の樹脂が通過するのを阻止する低透過性材料からなる第2の部分を含み得る。こうした実施例では、透過性材料の第1の部分及び低透過性材料の第2の部分は、第1のプレスプレートの外表面を形成する。他の例では、第2の部分は、水蒸気及び液状の樹脂を通すことができる透過性材料からなる。こうした実施例では、透過性材料からなる第1の部分及び透過性材料からなる第2の部分は第1のプレスプレートの外表面を形成する。
【0015】
ある実施例では、第1のプレスプレートの第2の部分は、第1のプレスプレートの外表面に沿って延在する1つまたは複数の換気チャネルを画定し、第1のプレスプレートの第1の部分は、第2の部分によって画定される換気チャネル内に配置される。ガス及び/または蒸気をパネルから取り除くため、換気チャネルは第1のプレスプレートの外側エッジまで延在して、ガス及び/または蒸気がパネルから出ることを可能にしている。こうしたいくつかの例では、第1の部分と第2の部分によって形成される第1のプレスプレートの外表面が平坦になるように、透過性材料からなる第1の部分は、換気チャネルを満たす。ガス及び/または蒸気をパネルから換気するため、第1の部分の透過性材料は、ガス及び/または蒸気が換気チャネル内に配置された第1の部分を通過できるようにし、第1のプレスプレートの換気チャネルがパネルの第1の表面上に対応する突起を形成するのを抑止及び/または阻止するため、第1のプレスプレートの外表面は平坦になっている。他の例では、プレスプレートの外表面によって画定される換気チャネルが、パネルの第1の表面上に対応する突起を形成できるようにするため、透過性材料からなる第1の部分は、換気チャネルを部分的に満たす。第1のプレスプレートがパネルに結合される装飾層の美的特性に影響を及ぼすのを抑止及び/または阻止するため、突起はその後取り除かれることがある。
【0016】
他の例では、第1のプレスプレートの第1の部分は、第1のプレスプレートの第2の部分によって画定される外表面に沿って延在する突起を画定する。プレスプレートの外表面に沿って画定された突起が、パネルの第1の表面上に対応するチャネルを形成できるようにするため、第1のプレスプレートの第1の部分は透過性材料からなる。装飾層がパネルに結合されているとき、チャネルはさらに装飾層から蒸気及び/またはガスを換気しうる。
【0017】
別の態様では、第1のプレスプレートの第1の部分は、パネルの第1の表面に係合する液耐性層(例えば、第1の液耐性層)、及びパネルに係合する液耐性層に係合する透過性材料からなる透過性層を含む。例えば、液耐性層は2軸延伸のポリテトラフルオロエチレン(例えば、ゴアテックス(登録商標))からなり、透過性層は多孔性材料(例えば、多孔性金属(例えば、アルミニウム)材料、多孔性セラミック材料、連続気泡ポリマーフォームなど)からなる。透過性層及び液耐性層により、パネルのガス及び/または蒸気を通すことが可能で、ガス及び/または蒸気をパネルから換気させることができる。さらに、パネルに係合する液耐性層はガス透過性(例えば、通気性)があり、パネルのガス及び/または蒸気を通すことができ、液耐性層はパネルの硬化していない液状の樹脂が透過性材料を通過するのを阻止する。例えば、液耐性層は、ガス分子を通すことができるほど十分に大きく、液体分子の通過を抑止及び/または阻止する十分に小さな孔を含む。したがって、液耐性材料は、ガス及び/または蒸気が透過性層を通ってパネルから換気されるのを阻止及び/または禁止しうる透過性材料の空隙率を、液状の樹脂が低下させるのを抑止及び/または阻止する。こうしたいくつかの例では、透過性層、第1の液耐性層、及びパネルは、パネルの形成時及び/または、パネルからガス及び/または蒸気を取り除くときに分離される。第2のパネルを形成するため、及び/または第2のパネルからガス及び/または蒸気を取り除くため、第1の液耐性層は第2の液耐性層と交換され、第2の液耐性層は第2のパネルに接触し、透過性層は第2のパネルに接触する第2の液耐性層に接触する。その結果、第2のパネルを形成するために、また、第2の液耐性層と透過性層を介して第2のパネルからガス及び/または蒸気を取り除くために、熱及び/または圧力が加えられる。
【0018】
さらに、ある実施例では、ホットプレスは第1の表面の反対側のパネルの第2の表面に係合する第2のプレスプレートを含み、パネルからガス及び/または蒸気をさらに取り除く。さもなければ、パネルから装飾層の一部の剥離が引き起こされる。ある実施例では、パネルからガス及び/または蒸気を取り除くため、ホットプレスに真空が適用される。さらに、または代わりに、水分吸収材料(例えば、シリカゲルなどの水分捕捉剤)の被覆は、ガス及び/または蒸気が装飾層に圧力を及ぼすのをさらに抑止及び/または阻止するように、パネルから放出されるガス及び/または蒸気を捕捉及び/又は吸収するため第1のプレスプレートに塗布され、これによってさらに、パネルから装飾層の一部が剥離するのを抑止及び/または阻止する。
【0019】
本書で使用する場合、「結合する」「結合された」及び「結合している」という用語は、直接または間接に、1つの物体を別の物体に(例えば、1つの層を別の層に)取り付けることを意味する。例えば、第1の物体の表面が、第2の物体の表面に対して、両者の間にいかなる他の物体も介在しない状態で接している場合、第1の物体は第2の物体に直接的に取り付けられており、したがって結合されている。第1の物体が第2の物体に直接接触していないが、代わりに第1の物体と第2の物体の間に位置する中間物体(例えば層)を介して第2の物体に固着されている場合、第1の物体は第2の物体に間接的に取り付けられており、したがって結合されている。
【0020】
ここで図面を見ると、
図1は、胴体104から横方向外向きに延びる翼102(例えば右翼と左翼)を含む、例示の航空機100を示す。示された実施例の翼102のそれぞれは、パイロン108を介して航空機のエンジン106を支持する。示された実施例の胴体104内には、コンパートメント110(例えば貨物室、客室、操縦室など)が配置されている。翼102と胴体104は、航空機100の外表面112を画定する。
【0021】
本書で開示される例示の装飾層及び例示のパネルを検討する前に、
図2A及び
図2Bに関連して、既知のパネル202及び既知の装飾層204の簡潔な記載が提供される。具体的には、
図2Aは既知の装飾層204及び既知のパネル202の一部の断面図であり、
図2Bは、既知の装飾層204及び既知のパネル202の一部の分解図である。
【0022】
図2A及び
図2Bに示すように、既知のパネル202は、コア層206及び、コア層206に結合された補強層208を含む。補強層208の第1の表面210は、コア層206に係合し、反対側の第2の表面212は、パネル202の表面214を画定する。既知のパネル202の補強層208は、部分的に多孔性及び/または浸透性である材料(例えば樹脂、繊維強化材料など)からなっていてよく、それによって、ガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)の一部は、補強層208を通り抜け得る。さらに、(
図2A及び
図2Bに示す既知のパネル202の一部には示されていないが、)別の補強層が、補強層208とは反対側のコア層206の別の表面と係合しており、補強層208、コア層206、及びもう1つの反対側の補強層とで、サンドイッチ構造の複合材が形成される。
【0023】
さらに、既知の装飾層204は、既知のパネル202上に表示される装飾的特徴(例えば色、パターン、ロゴ、テキストなど)を含む。
図2Aに示すように、装飾層204は、パネル202の表面214に結合されており、それによって装飾層204の装飾的特徴をパネル202上に表示することを可能にしている。例えば、装飾層204は、補強層208の第2の表面212に接着的に結合されている。
【0024】
ある例では、パネル202のコア層206内に、ガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)が捕捉されている(例えば、パネル202のサンドイッチ構造の複合材の、補強層208と反対側の補強層との間に捕捉されている)。コア層206とパネル202の外部環境との間で圧力差及び/温度差が生じているとき(例えばコア層206のより近くの圧力が装飾層204のより近くの圧力よりも大きいとき)、ガス及び/または蒸気が、パネル202のコア層206から漏出し、及び/または放出される。他の例では、パネル202のガス及び/または蒸気は、コア層206の材料(例えば、ハニカムコア、発泡コア、樹脂、繊維補強材料など)及び/または装飾層204(例えば、化粧板、接着層など)の材料間の相互作用(例えば、化学反応、物理反応など)にも起因し得る。
【0025】
パネル202に結合された装飾層204がほぼ不浸透性及び/または無孔性の材料からなるため、コア層206から放出された蒸気及び/またはガスは補強層208を通り抜け、装飾層204とパネル202の表面214との間で捕捉される。捕捉された蒸気及び/またはガスは内圧を作り出し、この内圧によって、装飾層204及び/またはパネル202の表面214の隣接する部分に集中して力が加えられる。例えば、加えられた力によって装飾層204の一部がパネル202の表面214から離れるように押され、それによって装飾層204のこの部分が、パネル202から剥離する。言い換えれば、既知のパネル202の蒸気及び/またはガスは、既知の装飾層204内に気泡を形成し得、この気泡は美観的に魅力的でない可能性があり、及び/または装飾層204を損傷し得る。
【0026】
図3は本書に開示の教示による例示のプレスプレート300を示す。以下でさらに詳細に説明されるように、プレスプレート300はパネル(例えば、
図4~
図7のパネル404)に係合して、パネルを形成するため熱及び/または圧力を加える。さらに、
図3に示されているように、プレスプレート300は、第1の部分302の中に配置される1つまたは複数の換気チャネル306(例えば、第1の換気チャネル)と1つまたは複数の換気チャネル308(例えば、第2の換気チャネル)を画定する、第1の部分302と第2の部分304を含む。パネルは、ガス及び/または蒸気が、パネルに結合される装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)の一部を剥離するのを抑止及び/または阻止するように形成されているため、換気チャネル306、308及び第1の部分302により、プレスプレート300はパネルからガス及び/または蒸気を取り除き、ガス及び/または蒸気がパネルのハニカムコアのセル内に蓄積する及び/または捕捉されるのを阻止することができる。ある実施例では、プレスプレート300の第1の部分302及び/または第2の部分304は、積層造形(例えば、3D印刷)によって形成される。
【0027】
たとえば、プレスプレート300の第2の部分304は、水蒸気及び液状の樹脂が第2の部分304を通過するのを抑止及び/または阻止する低透過性材料(例えば、スチールなどの実質的に非多孔質の金属)からなる。ある実施例では、第2の部分304の低透過性材料は、プレスプレート300がパネルに係合するとき、パネル(例えば、
図4~
図7のパネル404)由来の水蒸気及びパネルの液状の樹脂(例えば、パネル404の硬化していない液状の樹脂)が第2の部分304を通過するのを抑止及び/または阻止する。別の態様では、プレスプレート300の第2の部分304は、水蒸気及び/または液状の樹脂が通過できるように、透過性及び/または多孔性の材料(例えば、多孔性金属材料(例えば、多孔性アルミニウム、多孔性セラミック材料、連続気泡ポリマーフォームなど)からなりうる。
図3に示すように、第2の部分304によって画定される各換気チャネル306は、方向310(例えば、第1の方向)に延在し、その結果、他の換気チャネル306の各々とほぼ平行になる。例えば、換気チャネル306は、約0.125インチ(3.175ミリメートル)から2インチ(50.8ミリメートル)までの距離312で、等間隔に離間されている。他の実施例では、換気チャネル306は、互いに等間隔ではなく離間され得る。さらに、第2の部分304によって画定される各換気チャネル308は方向314(例えば、第2の方向)に延在し、その結果、他の換気チャネル308の各々とほぼ平行になっている。例えば、換気チャネル308は、約0.125インチ(3.175ミリメートル)から2インチ(50.8ミリメートル)までの距離316で、等間隔に離間されている。換気チャネル306間の距離312及び/または換気チャネル308間の距離316は、グリッド324の換気チャネル306、308の表面積を増大させ、プレスプレート300の外表面318の構造を損なうことなく、換気チャネル306、308を通って換気されるガス及び/または蒸気の量を増大させる。
【0028】
プレスプレート300の第1の部分302は、透過性及び/または多孔性の材料(例えば、多孔性金属材料(例えば、多孔性アルミニウム、多孔性セラミック材料、連続気泡ポリマーフォームなど))からなる。示された実施例では、第1の部分302は、第2の部分304によって画定される換気チャネル306、308内に配置される。第1の部分302及び第2の部分304は、ホットプレス(例えば、
図4及び
図5のホットプレス400)がパネルを形成できるように、パネル(例えば、
図4~
図7のパネル404)に係合するプレスプレート300の外表面318を画定する。ある実施例では、第1の部分302と第2の部分304によって形成される外表面318がほぼ平坦になるように、第1の部分302は換気チャネル306、308を満たす。他の例では、換気チャネル306、308の一部が第1の部分302の透過性材料で満たされていない状態で残るように、第1の部分302は換気チャネル306、308を部分的に満たす。
【0029】
換気チャネル306、308及び換気チャネル306、308内に配置された第1の部分302の透過性材料により、ガス及び/または蒸気(例えば、
図4~
図7のパネル404に由来する水蒸気)は換気チャネル306、308を通過することができる。例えば、プレスプレート300の外側エッジ320まで延在する換気チャネル306とプレスプレート300の外側エッジ322まで延在する換気チャネル308により、換気チャネル306、308及び換気チャネル306、308内に配置された第1の部分302は、パネルに由来するガス及び/または蒸気を装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)から排気することができる。第1の部分302の透過性材料は、液状の樹脂(例えば、パネル404の液状の樹脂)が第1の部分302を通過するのを抑止及び/または阻止し、液状の樹脂が第1の部分302の空隙率を低下させるのを抑止及び/または阻止する。こうした実施例では、第1の部分302の透過性材料は、ガス及び/または蒸気が換気チャネル306、308を通ってパネルから換気されるのを液状の樹脂が抑止及び/または禁止することを、抑止及び/または阻止する。さらに、示された実施例では、換気チャネル306は換気チャネル308と交差してグリッド324を形成する。例えば、換気チャネル306、308の一方が部分的にまたは完全に閉塞している場合でも、ガス及び/または蒸気が換気チャネル306、308のもう一方を通過可能であることによって、グリッド324の換気チャネル306、308は交差して、換気チャネル306、308がパネルから換気することができるガス及び/または蒸気の量を増やす。示された実施例では、換気チャネル306、308は互いにほぼ直交している。他の実施例では、換気チャネル306、308は互いに対して実質的に非直交で(例えば、約30度、45度、60度で交差する)あるか、交差しない。例えば、ガス及び/または蒸気をプレスプレート300の外側エッジ320、322の一部に向かって及び/または外側エッジ320、322から離れるように配向するため、換気チャネル306、308は、実質的に垂直でない角度で交差しうる。
【0030】
別の態様では、プレスプレート300は、第2の部分304によって画定される外表面318に沿って延在する突起を含む第1の部分302を含む。プレスプレート300の外側エッジ320、322まで延在する第1の部分302の突起により、第1の部分302の突起はパネルに由来するガス及び/または蒸気を装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)から排気することができる。さらに、他の例では、プレスプレート300は第2の部分304を含まない。こうした実施例では、換気チャネル306、308及び/または突起、外表面318及び/またはプレスプレート300の他のすべての部分が第1の部分302の透過性材料からなるように、第1の部分302はプレスプレート300を形成する。
【0031】
図4は、本書に教示による、プレスプレート300を有する例示のホットプレス400、及び例示のベースプレート402を示している。パネル404を形成するため、ホットプレス400は例示のパネル404に熱及び/圧力を加える。示された実施例では、ホットプレス400が、パネル404に結合される装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)の一部がパネル404から剥離するのを抑止及び/または阻止するパネル404を形成するため、プレスプレート300の換気チャネル306、308及び第1の部分302(
図3)は、パネル404からガス及び/または蒸気を取り除く。ある実施例では、ホットプレス400のプレスプレート300及び/またはベースプレート402は、積層造形(例えば、3D印刷)によって形成される。
【0032】
示された実施例では、パネル404は、コア層406、補強層408、及び補強層408に対向する別の補強層409を(例えば、サンドイッチ構造複合材料を形成するために)含む。例えば、向かい合う補強層408、409は、パネル404のコア層406内にガス及び/または蒸気を捕捉する。コア層406は、例えばハニカムコア、発泡コア、及び/またはその組み合わせからなる。こうした実施例のうちのあるものでは、コア層406は、ハニカムコア及びハニカムコアの開口部を満たす発泡材料を含む。コア層406の材料は軽量で、コア層406の構造(例えば、ハニカムパターン)は、パネル404に曲げ強度(例えば曲げ剛性)をもたらす。さらに、コア層406は、パネル404や、さらにはパネル404が形成する表面(例えば、
図1の航空機100の外表面、及び/または、
図1の航空機100のコンパートメント110内に位置する、荷物入れ(例えば、収容棚)の表面、ライニング(例えば、側壁、天井など)、調度品(例えば、モニュメント、クローゼット、クルー休憩室、洗面所)など)の構造に、大きな重量を加えることなく、パネル404に曲げ強度をもたらす。
【0033】
例示のパネル404の各補強層408、409は、例えば、ファイバーグラス、グラファイトクロス、合成繊維(例えば、アラミド繊維)、天然繊維(例えば、木材、亜麻、セルロース、ジュート、大麻、藁、スイッチグラス、ケナフ、綿、コイア、竹など)、これらの組合せ、及び/または、(例えば、パネル404に圧縮強度を与えることによって)コア層406を補強する任意の他の材料からなる、繊維補強層を含む。さらに、各補強層408、409は、例えば、フェノール樹脂からなる樹脂(例えば、外側樹脂層)を含む。ある実施例では、補強層408及び/または補強層409は、繊維補強層があらかじめ樹脂(例えば、樹脂層の樹脂)に含浸されている、含浸済みの層(即ち、プリプレグ)である。含浸済みの樹脂は、補強層408及び/または補強層409を形成すると、部分的に硬化する。
【0034】
パネル404を形成するため、ホットプレス400は補強層408、409の樹脂を硬化し、コア層406と各補強層408、409の隣接する繊維補強層とを接着及び/または結合する。パネル404の樹脂を硬化するため、ホットプレス400のプレスプレート300は、パネル404の表面410(例えば、第1の表面)に係合する。例えば、プレスプレート300の外表面318は、パネル404の表面410に係合し、ホットプレス400のベースプレート402は、パネル404に係合するプレスプレート300に係合する。ベースプレート402は、パネル404の樹脂を硬化して、その結果、パネル404を硬化するため、プレスプレート300を介してパネル404に熱及び/または圧力(例えば、約25psi(172.4kPa)から30psi(206.8kPa))を加える。例えば、別のプレート(例えば、油圧プレート)は、ベースプレート402が反対側の補強層408に圧力を加えることができるように、補強層409に係合する。ある実施例では、パネル404の樹脂をさらに硬化するため及び/または硬化を促進するため、ホットプレス400及び/またはパネル404に真空が適用される。
【0035】
ある実施例では、パネル404のコア層406内に(例えば、向かい合う補強層480、409の間に)、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)が最初に捕捉されている。パネル404のコア層406と外部環境との間に圧力差(例えば、コア層406に近い圧力が装飾層に近い圧力よりも大きいとき)及び/または温度差があるときには、捕捉された水蒸気はコア層406から漏出及び/または放出される。さらに、または代わりに、パネル404の異なる材料間での相互作用(例えば、化学反応、物理反応など)の結果として、水蒸気がパネル404から放出される。さらに、ある例では、補強層408は部分的に透過性及び/または多孔性で、その結果、装飾層がパネル404の表面410に結合されているときには、水蒸気はコア層406から放出され、通過して装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)まで到達することができる。
【0036】
ガス及び/または蒸気が、パネル404から装飾層の一部を剥離させるのを抑止及び/または阻止するため、ホットプレス400がパネル404を形成している間に、パネル404からガス及び/または蒸気を換気することによって、プレスプレート300の換気チャネル306、308及び第1の部分302はパネル404からガス及び/または蒸気を取り除く。例えば、ホットプレス400はプレスプレート300を介して、パネル404に熱及び/または圧力を加えるため、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)はパネル404から放出され、パネル404の表面410に係合するプレスプレートの外表面318上に画定される換気チャネル306、308に入る。ガス及び/または蒸気は、換気チャネル306、308及び/または換気チャネル306、308内に配置されるプレスプレート300の第1の部分302を通過する。換気チャネル306、308はプレスプレート300のエッジ320、322(
図3)まで延在するため、パネルか形成されるように、換気チャネル306、308はガス及び/または蒸気をパネル404から換気する。ある実施例では、プレスプレート300を介してパネル404からのガス及び/または蒸気の除去をさらに可能にする及び/または促進するため、ホットプレス400及び/またはパネル404に真空が適用される。装飾層がパネル404の表面410に結合される前に、パネル404からガス及び/または蒸気を取り除くことによって、例示のホットプレス400のプレスプレート300は、装飾層の一部がパネル404から剥離するのを抑止及び/または阻止する(例えば、プレスプレート300はガス及び/または蒸気を取り除き、装飾層602にその後気泡が発生することを抑止及び/または阻止する)。
【0037】
図5は、プレスプレート300、並びに本書の教示により、パネル404からガス及び/または蒸気を取り除く別の例示のプレスプレート502を有する、別の例示のホットプレス500を示す。
【0038】
図5のプレスプレート300、ベースプレート402、及びパネル404(例えば、コア層406及び補強層408、409)は、
図3及び
図4で同じ参照番号を有する構成要素とほぼ同様か同一である。これらの構成要素は
図3及び
図4に関連して上記で詳細に説明されており、以下ではさらに詳細に説明されることはない。さらに、
図5のプレスプレート502及びベースプレート504は、
図3及び
図4の例示のプレスプレート300、並びに
図4のベースプレート402とそれぞれほぼ同様か同一である。プレスプレート300及びベースプレート402は、
図3及び
図4に関連して詳細に説明されているため、
図5のプレスプレート502及びベースプレート504は以下でさらに詳細に説明されることはない。
【0039】
示された実施例では、ホットプレス500は、プレスプレート300(例えば、第1のプレスプレート)、ベースプレート402(例えば、第1のベースプレート)、プレスプレート502(例えば、第2のプレスプレート)、及びベースプレート504(例えば、第2のベースプレート)を含む。プレスプレート300の外表面318及びベースプレート402は、パネル404を形成するため、及び/または、パネル404からガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)を取り除くため、パネル404の表面410(例えば、第1の表面)に熱及び/または圧力を加える。
図5に示すように、プレスプレート502はパネル404(例えば、パネル404の第1の表面に対向する第2の表面)の別の表面506(例えば、第2の表面)に係合し、ベースプレート504はプレスプレート502に係合する。ベースプレート504は、プレスプレート502を介してパネル404の表面506に熱及び/または圧力を加え、パネル404の形成及び/またはパネル404からのガス及び/または蒸気の除去を推進及び/または促進する。したがって、パネル404からガス及び/または蒸気を取り除くことによって、ホットプレス500のベースプレート504及びプレスプレート502はさらに、装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)の一部がパネル404から剥離するのを抑止及び/または阻止する(例えば、プレスプレート502はガス及び/または蒸気を取り除き、装飾層にその後気泡が発生することを抑止及び/または阻止する)。
【0040】
図6は、ホットプレス400(
図4)及び/またはホットプレス500(
図5)によって形成されるパネル404の例示の表面600を示す。示された実施例では、装飾層602はパネル404の表面600に結合される。
図6のパネル404(例えば、例示のコア層406及び例示の補強層408、409)は、
図4で同じ参照番号を有する構成要素とほぼ同様か同一である。
【0041】
示された実施例のパネル404の表面600は、プレスプレート300(
図3)の外表面318によって形成される。例えば、プレスプレート300がパネル404に係合するとき、表面600はプレスプレート300によって形成され、ホットプレス400及び/またはホットプレス500はパネル404に熱及び/または圧力を加えることができる。パネル404の樹脂(例えば、外側樹脂層)を硬化するため、プレスプレート300の外表面318はパネル404の表面600に接触するため、パネル404の表面600は、プレスプレート300の外表面318のパターンを実質的に反転したパターンを有する。例えば、
図6の平坦な表面600は、プレスプレート300の平坦な外表面318によって形成される。ある実施例では、パネル404の表面600は平坦で、表面600がパネル404に結合される装飾層602の美的特性に影響を及ぼすのを抑止及び/または阻止する。さらに、または代わりに、パネル404の表面600は平坦で、ガス及び/または蒸気がパネル404と装飾層602との間に捕捉されるのを抑止及び/または阻止し、これによってさらに、装飾層602の一部がパネル404から剥離するのを抑止及び/または阻止する。ある実施例では、水分吸収材料(例えば、シリカゲルなどの水分捕捉剤)の被覆604は、プレスプレート300(例えば、換気チャネル306、308)の外表面318に塗布され、パネル404から放出されるガス及び/または蒸気を捕捉及び/または吸収し、装飾層602の一部がパネル404から剥離するのをさらに抑止及び/または阻止する。
【0042】
図7は、ホットプレス400(
図4)及び/またはホットプレス500(
図5)によって形成される、パネル404の別の例示の表面700を示している。示された実施例では、装飾層602はパネル404の表面700に結合される。
【0043】
図7のパネル404(例えば、コア層406と補強層408、409)は、
図4の同じ参照番号を有する構成要素とほぼ同様か同一で、
図7の装飾層602及び被覆604は、
図6の同じ参照番号を有する構成要素とほぼ同様か同一である。
【0044】
示された実施例のパネル404の表面700は、プレスプレート300(
図3)の外表面318によって形成される。例えば、パネル404の補強層408、409の樹脂(例えば、外側樹脂層)は硬化しているため、プレスプレート300の外表面318はパネル404の表面700に係合する。その結果、パネル404の表面700は、プレスプレート300の外表面318のパターンを実質的に反転したパターンを有する。ある実施例では、プレスプレート300の外表面318上に延在する換気チャネル306、308(
図3)は、換気チャネル306、308の一部が第1の部分302によって満たされずに残るように、プレスプレート300の第1の部分302(
図3)によって部分的に満たされる。
図7に示されているように、プレスプレート300の換気チャネル306、308は、パネル404の表面700上に対応する突起702、704を形成する。突起702、704は、パネル404に結合される装飾層602の美的特性に影響しうる。ある実施例では、美的特性が影響を受けるのを抑止及び/または阻止するため、さらに/或いは、ガス及び/または蒸気がパネル404と装飾層602との間に捕捉されるのを抑止及び/または阻止するため、表面700がほぼ平坦になるように、二次的な製造プロセス(例えば、研磨)によって、突起702、704はパネル404の表面700から取り除かれる。
【0045】
第1の部分302がプレスプレート300の外表面318に沿って延在する突起を画定する他の例では、突起はパネル404の表面700にチャネルを形成する。ガス及び/または蒸気がパネル404の表面700と装飾層602との間に捕捉されるのをさらに抑止及び/または阻止するため、装飾層602がパネル404に結合されるときには、チャネルによって、ガス及び/または蒸気は装飾層602から排気され得る。さらに、チャネルは、パネル404に連結された装飾層602の美的特性に影響を及ぼし得る。こうした実施例では、表面700がほぼ平坦になるように、二次的な製造プロセス(例えば、研磨)によって、チャネルはパネル404の表面700から取り除かれ得る。
【0046】
図8は、本書の教示による、例示の液耐性層802と例示のパネル806の例示の透過性層804を示す。以下でされに詳細に説明されるように、液耐性層802と透過性層804を含むプレスプレート806は、ホットプレス(例えば、
図9のホットプレス900)がパネル(例えば、
図4~
図7のパネル404)を形成し、パネルが形成される際にパネルからガス及び/または蒸気を取り除くことができるように、透過性材料からなるプレスプレート806の一部(例えば、第1の部分)を形成する。
図6及び
図7の装飾層602)の一部がパネルから剥離するのを抑止及び/または阻止するため、プレスプレート806はパネルからガス及び/または蒸気を取り除く。示された実施例では、透過性層804は、多孔性金属材料(例えば、多孔性アルミニウム)、多孔性セラミック材料、連続気泡ポリマーフォーム及び/または、パネルを形成するためホットプレスによって加えられる熱及び/または圧力に耐え、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)を透過性層804に通すことができる他の任意の材料からなる。液耐性層802は、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)は液耐性層802を通過させ、樹脂(例えば、パネル404の未硬化で液状の樹脂)が液耐性層802を通過するのを抑止及びまたは阻止するように、例えば、2軸延伸のポリテトラフルオロエチレン(例えば、テフロン、ゴアテックス(登録商標))及び/または他の任意の材料からなる
【0047】
図9は、本書の教示による、液耐性層802と透過性層804を有する別の例示のホットプレス900を示している。ホットプレス900は、パネル404を形成するため熱及び/または圧力を加える。示された実施例では、パネル404に結合される装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)の一部がパネル404から剥離するのを抑止及び/または阻止するように、ホットプレス400がパネル404に接触するため、ホットプレス900はパネル404からガス及び/または蒸気を取り除く。
図9の例示のベースプレート402及び例示のパネル404(例えば、例示のコア層406及び例示の補強層408、409)は、
図4及び
図5で同じ参照番号を有する構成要素とほぼ同様か同一である。
【0048】
パネル404を形成するため、示された実施例のホットプレス900は補強層408、409の樹脂を硬化し、コア層406と補強層408、409の繊維補強層とを接着及び/または結合する。パネル404の樹脂を硬化するため、例示のホットプレート900のプレスプレート806は、パネル404の表面410(例えば、第1の表面)に係合する。例えば、液耐性層802の表面902(例えば、第2の表面)は、パネル404の表面410に係合及び/または接触し、透過性層804の表面904(例えば、第3の表面)は、表面902に向かい合う液耐性層802の表面906(例えば、第4の表面)に係合及び/または接触し、ベースプレート402は、液耐性層802の透過性層804に係合及び/または接触する。ベースプレート402は、透過性層804と液耐性層802を介して熱及び/または圧力を加え、パネル404の樹脂を硬化することによってパネル404を形成する。例えば、別のプレート(例えば、油圧プレート)は、ベースプレート402が反対側の補強層408に圧力を加えることができるように、補強層409に係合する。
【0049】
ホットプレス900がパネル404を形成しているため、透過性層804と液耐性層802により、ガス及び/または蒸気はパネル404から取り除かれる。例えば、ホットプレス900はパネル404に熱及び/または圧力を与えるため、ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)はパネル404から放出され、透過性層804と液耐性層802を通過し、パネル404から換気される。ある実施例では、樹脂の硬化及び/またはパネル404からのガス及び/または蒸気の除去をさらに可能にする及び/または促進するため、ホットプレス900及び/またはパネル404に真空が適用される。装飾層がパネル404の表面410に結合する前に、パネル404からガス及び/または蒸気を取り除くことによって、例示のホットプレス400の透過性層804と液耐性層802は、装飾層(例えば、
図6及び
図7の装飾層602)の一部がパネル404から剥離するのを抑止及び/または阻止する(例えば、ホットプレス900はガス及び/または蒸気を取り除き、装飾層602に気泡が発生することを抑止及び/または阻止する)。
【0050】
さらに、液耐性層802は液状の樹脂が通過するのを抑止及び/または阻止する材料からなるため、液耐性層802は、パネル404が形成される際にパネル404から放出される液状の樹脂を収集及び/または捕捉しうる。したがって、液耐性層802は、樹脂が透過性層804に到達するのを抑止及び/または阻止し、これによって、樹脂が透過性層804の空隙率を低下させるのを抑止及び/または阻止する。これができないと、透過性層804がガス及び/または蒸気をパネル404から排気するのを妨げる。その結果、パネル404の形成に利用される透過性層804は、パネル404が形成された後、別のパネル(例えば、パネル404とほぼ同様または同一のパネル)の形成に利用されうる。例えば、パネル404の形成中に樹脂を収集した液耐性層802は、別の液耐性層(例えば、液耐性層802とほぼ同様または同一の液耐性層)と交換されうる。したがって、例示のホットプレス900ベース層402と透過性層804は、複数のパネルを形成するため、繰り返し利用されうる。
【0051】
例示のパネルは本書の教示により形成されるため、
図10は、例示のパネルからガス及び/または蒸気を取り除く例示の方法1000を表わすフロー図である。例示の方法1000は
図10に示すフロー図に参照して説明されているが、パネルが形成される際に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除くための他の多くの方法が代わりに用いられ得る。例えば、ブロックの実行順は変更されてよく、及び/または記載されているブロックの幾つかは、変更、除外、及び/または組み合わされてよい。
【0052】
パネルが形成される際に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く方法1000は、
図4のホットプレス400、
図4~
図5及び
図9のパネル404、
図5のホットプレス500及び/または
図9のホットプレス900に関連して説明されている。さらに、方法1000が
図4のホットプレス400、
図4~
図7及び
図9のパネル404、
図5のホットプレス500、及び/または
図9のホットプレス900に言及し得ることから、
図4~
図7及び
図9で特定されており、以下で記載する構成要素の機能とほぼ同様または同一の機能を有する構成要素を、再度詳細に記載することはしない。代わりに、類似の構造に対しては同一の参照番号が使用される。
【0053】
本書に開示の例示の方法1000は、ブロック1002で、ホットプレス(例えば、
図4のホットプレス400、
図5のホットプレス500、
図9のホットプレス900)のプレスプレート(例えば、
図3~
図5のプレスプレート300、
図5のプレスプレート502、
図8~
図9のプレスプレート806)をパネル(例えば、
図4~
図7及び
図9のパネル404)の表面(例えば、
図4~
図5及び
図9の表面410、
図6の表面600、
図7の表面700)に接触させることによって、開始される。ブロック1004では、例示の方法1000は、パネルの別の表面に別のプレスプレートを貼り付けるかどうかを判定することを含む。別のプレスプレート(例えば、
図5のプレス502)と別の表面(例えば、
図5の表面506)が特定された場合には、他のプレスプレート及びパネルの他の表面に対して、ブロック1002が反復される。他のプレスプレート及びパネルの表面が特定されなくなるまで、ブロック1002、1004は反復される。
【0054】
ブロック1006では、パネルを形成するため、ホットプレスはプレスプレートを介してパネルに熱及び/または圧力を加える。例えば、パネルを形成するため、ホットプレスは約25psi(172.4kPa)から30psi(206.8kPa)までの圧力を加える。さらに、ブロック1008で、ホットプレスによってパネルが形成される際に、プレスプレートはパネルから(例えば、
図4~
図7及び
図9のパネル404のコア層406から)ガス及び/または蒸気を取り除く。ある実施例では、プレスプレート(例えば、
図3~
図5のプレスプレート300)は、1つまたは複数の換気チャネル(例えば、
図3の換気チャネル306、308)、換気チャネル内に配置された透過性材料(例えば、
図3のプレスプレート300の第1の部分302)、及び/または透過性材料からなる突起を介して、パネルからガス及び/または蒸気を換気することによって、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く。他の実施例では、プレスプレート(例えば、
図8及び
図9のプレスプレート806)は、液耐性層(例えば、
図8及び
図9の液耐性層802)及び透過性層(例えば、
図8及び
図9の透過性層804)を介して、ガス及び/または蒸気をパネルから換気することによって、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く。
【0055】
ブロック1010では、例示の方法1000は、パネルの形成中に真空が適用されているかどうかを判定することを含む。真空が適用されることになっている場合、例示の方法1000は、パネルからガス及び/または蒸気をさらに取り除くため、及び/または、ガス及び/または蒸気の除去を促進するため、ホットプレス及び/またはパネルに真空を(例えば、ホットプレスがパネルに熱及び/または圧力を加える際に)適用することを含む(ブロック1012)。
【0056】
図11は、本書の教示による例示のホットプレスによって例示のパネルを形成する間に、例示のパネルからガス及び/または蒸気を取り除く例示の方法1100を表わすフロー図である。例示の方法1100は
図11に示すフロー図を参照して説明されているが、ホットプレスによってパネルを形成する間に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除くための他の多くの方法が代わりに用いられ得る。例えば、ブロックの実行順は変更されてよく、及び/または記載されているブロックの幾つかは、変更、除外、及び/または組み合わされてよい。
【0057】
ホットプレスによってパネルを形成する間に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く方法は、
図3~
図5のプレスプレート300、
図4のホットプレス400、
図4~
図7の例示のパネル404及び/または
図5のホットプレス500に関連して説明される。さらに、方法1100が
図3~
図5のプレスプレート300、
図4のホットプレス400、
図4~
図7のパネル404、及び/または
図5のホットプレス500に言及し得ることから、
図3~
図7で特定されており、以下で記載する構成要素の機能とほぼ同様または同一の機能を有する構成要素を、再度詳細に記載することはしない。代わりに、類似の構造に対しては同一の参照番号が使用される。
【0058】
本書に開示の例示の方法1100は、ブロック1102で、ホットプレス(例えば、
図4のホットプレス400、
図5のホットプレス500)のプレスプレート(例えば、
図3~
図5のプレスプレート300、
図5のプレスプレート502)をパネル(例えば、
図4~
図7のパネル404)の表面(例えば、
図4の表面410、
図6の表面600、
図7の表面700)に接触させることによって、開始される。ブロック1104では、パネルを形成するため、ホットプレスはプレスプレートを介してパネルに熱及び/または圧力を加える。さらに、ブロック1106で、ホットプレスによってパネルが形成される際に、プレスプレートはパネルからガス及び/または蒸気を取り除く。例えば、プレスプレートは、1つまたは複数の換気チャネル(例えば、
図3の換気チャネル306、308)、換気チャネル内に配置された透過性材料(例えば、
図3のプレスプレート300の第1の部分302)、及び/または透過性材料からなる突起を介して、パネルからガス及び/または蒸気を換気することによって、パネルからガス及び/または蒸気を取り除く。
【0059】
ブロック1108では、例示の方法1100は、パネルの形成中に真空が適用されているかどうかを判定することを含む。真空が適用されることになっている場合、例示の方法1100は、パネルからガス及び/または蒸気をさらに取り除くため、かつ/または、ガス及び/または蒸気の除去を促進するため、ホットプレス及び/またはパネルに真空を適用することを含む(ブロック1012)。
【0060】
真空を適用すると、或いは真空を適用すべきでないと判定すると、例示の方法1100は、パネルの形成中にプレスプレートがパネルに突起(例えば、
図7の突起702、704)またはチャネルを形成したかどうかを特定する(ブロック1112).パネルに突起が形成されていない場合には、例示の方法1100は終了する。パネル(例えば、
図7のパネル404の表面700)上に突起またはチャネルが形成されると、例示の方法はパネル上に突起やチャネルを保持するかどうかを判定する(ブロック1114)。突起を保持すべき場合には、例示の方法1100は終了する。突起やチャネルが保持すべきでない場合には、例示の方法1100が終了すると、突起やチャネルは、二次的な製造プロセス(例えば、研磨、切断など)によってパネルから取り除かれる(ブロック1116)。
【0061】
図12は、本書の教示による例示のホットプレスによって例示のパネルを形成する間に、例示のパネルからガス及び/または蒸気を取り除く別の例示の方法を表わすフロー図である。例示の方法1200は
図12に示すフロー図を参照して説明されているが、ホットプレスによってパネルを形成する間に、パネルからガス及び/または蒸気を取り除くための他の多くの方法が代わりに用いられ得る。例えば、ブロックの実行順は変更されてよく、及び/または記載されているブロックの幾つかは、変更、除外、及び/または組み合わされてよい。
【0062】
図8及び
図9のプレスプレート806、
図9のホットプレス900及び/または
図9のパネル404に関連して、ホットプレスによるパネルの形成中にパネルからガス及び/または蒸気を取り除く方法1200が説明される。さらに、方法1200が
図8及び
図9のプレスプレート806、
図9のホットプレス900及び/または
図9のパネル404に言及し得ることから、
図8及び
図9で特定されており、以下で記載する構成要素の機能とほぼ同様または同一の機能を有する構成要素を、再度詳細に記載することはしない。代わりに、類似の構造に対しては同一の参照番号が使用される。
【0063】
本書に開示の例示の方法1200は、ブロック1202で、プレスプレート(例えば、
図8及び
図9のプレスプレート806)の液耐性層(例えば、
図8及び
図9の液耐性層802)をパネル(例えば、
図9のパネル404)の表面(例えば、
図9の表面410)に接触させることによって、開始される。例えば、液耐性層の表面(例えば、表面902)はパネルの表面に係合する。ブロック1204では、プレスプレートの透過性層(例えば、
図8及び
図9の透過性層804)は、パネルに接触している液耐性層に接触する。例えば、透過性層の表面(例えば、
図9の表面906)は、液耐性層の別の表面(例えば、
図9の表面904)に係合する。さらに、ブロック1206で、ホットプレス(例えば、
図9のホットプレス900)のベースプレート(例えば、
図9のベースプレート402)は、液耐性層に接触している透過性層に接触する。
【0064】
ブロック1208では、パネルを形成するため、ホットプレスはプレスプレートの透過性層と液耐性層を介して、熱及び/または圧力をパネルに加える。ガス及び/または蒸気(例えば、水蒸気)は、パネルが形成される際に、プレスプレートの透過性層と液耐性層を介して、パネルから取り除かれる(ブロック1210)。さらに、例示の方法1200は、パネルの形成中に真空を適用すべきかどうかを判定することを含む(ブロック1212)。真空を適用すべき場合には、例示の方法1200は、パネルからガス及び/または蒸気をさらに取り除くため、かつ/または、ガス及び/または蒸気の除去を促進するため、ホットプレス及び/またはパネルに真空を適用することを含む(ブロック1214).
【0065】
パネルを形成し、パネルからガス及び/または蒸気を取り除くと、ベースプレート、透過性層、及びホットプレスとパネルの液耐性層は分離される(ブロック1216)。ブロック1218では、例示の方法1200は、別のパネル(例えば、
図9のパネル404とほぼ同様または同一のパネル)を形成すべきかどうかを判定することを含む。別のパネルがある場合には、パネルを形成するために利用された液耐性層は、別の液耐性層(例えば、
図8及び
図9の液耐性層とほぼ同様または同一の液耐性層802)と交換される。その後、他のパネルを形成するため、ブロック1202、1204、1206、1208、1210、1212、1214、1216が反復される。形成すべきとみなされるパネルがなくなるまで、ブロック1202、1204、1206、1208、1210、1212、1214、1216、1218、1220は反復される。
【0066】
さらに、本開示は下記の条項による実施例を含む。
【0067】
条項1.パネルの第1の表面に係合するホットプレスの第1のプレスプレートを備える装置であって、前記ホットプレスは前記パネルの樹脂を硬化するため、前記第1のプレスプレートを介して前記パネルに熱を加え、前記パネルに結合される装飾層に、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが圧力を及ぼすのを抑止して、前記パネルから前記装飾層の一部が剥離するのを抑止するため、前記第1のプレスプレートの第1の部分は、前記パネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くための透過性材料からなる、装置。
【0068】
条項2.前記透過性材料は水蒸気の通過を可能にし、液状の樹脂の通過を抑止する、条項1に記載の装置。
【0069】
条項3.前記パネルに結合される前記装飾層に前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが圧力を及ぼすのをさらに抑止するため、水分を捕捉する前記第1のプレスプレートに塗布される水分吸収材料の被覆をさらに含む、条項1又は2に記載の装置。
【0070】
条項4.前記第1のプレスプレートが前記パネルに係合するとき、前記透過性材料が前記パネルに接触できるようにするため、前記第1の部分は前記第1のプレスプレートの外表面上に配置される、条項1に記載の装置。
【0071】
条項5.前記第1のプレスプレートはさらに、水蒸気及び液状の樹脂が通過するのを抑止する低透過性材料からなる第2の部分を含み、前記第1の部分と前記第2の部分は前記第1のプレスプレートの前記外表面を形成する、条項4に記載の装置。
【0072】
条項6.前記第2の部分は、前記外表面に沿って延在する1つまたは複数の換気チャネルを画定し、前記第1の部分は前記換気チャネル内に配置され、前記換気チャネルは前記第1のプレスプレートの外側エッジまで延在し、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルから出ることを可能にする、条項5に記載の装置。
【0073】
条項7.前記第1の部分と前記第2の部分によって形成される前記外表面が平坦になるように、前記第1の部分は前記換気チャネルを満たし、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネルから換気するため、前記第1の部分の前記透過性材料は、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記換気チャネル内に配置された前記第1の部分を通過できるようにし、前記第1のプレスプレートが前記パネルの第1の表面上に突起を形成するのを抑止するため、前記外表面は平坦である、条項6に記載の装置。
【0074】
条項8.前記第1のプレスプレートの前記外表面上に形成された前記換気チャネルが、前記パネルの前記第1の表面上に突起を形成できるようにするため、前記第1の部分は前記換気チャネルを部分的に満たす、条項6に記載の装置。
【0075】
条項9.前記第1のプレスプレートの前記第1の部分は、前記パネルの前記第1の表面に係合する液耐性層と、前記パネルに係合する前記液耐性層に係合する透過性層とを含み、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルから取り除くことができるように、前記透過性層と前記液耐性層は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが通過できるようにし、前記パネルの液状樹脂が前記透過性材料を通過するのを阻止する前記液耐性層は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが前記透過性層を通過するのを前記液状の樹脂が抑止するのを阻止する、条項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【0076】
条項10.前記液耐性層は2軸延伸のポリテトラフルオロエチレンからなり、前記透過性層は多孔性金属材料、多孔性セラミック材料または連続気泡ポリマーフォームのうちの少なくとも1つからなる、条項9に記載の装置。
【0077】
条項11.前記パネルから前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つをさらに取り除くため、前記第1の表面の反対側の前記パネルの第2の表面に係合する前記ホットプレスの第2のプレスプレートをさらに含む、条項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【0078】
条項12.硬化のための手段と、硬化のための前記手段に係合するための手段であって、係合するための前記手段は、パネルの表面に係合し、硬化のための前記手段は、前記パネルの樹脂を硬化するため、係合するための前記手段を介して、前記パネルに熱を加える手段と、係合のためのガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くための手段であって、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くための前記手段は、前記パネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除き、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルに結合される装飾のための手段に圧力を及ぼすのを抑止し、前記パネルから装飾のための前記手段の一部が剥離するのを抑止する手段と、を含む装置。
【0079】
条項13.ホットプレスの第1のプレスプレートをパネルの第1の表面に接触させることであって、前記第1のプレスプレートの一部は、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを通過させることができる透過性材料からなる、接触させることと、前記パネルの樹脂を硬化させるため、前記第1のプレスプレートを介して、前記パネルに熱を加えることと、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルに結合される装飾層に圧力を及ぼすのを抑止して、前記パネルから前記装飾層の一部が剥離するのを抑止するため、前記第1のプレスプレートの透過性材料を介して前記パネルからガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くことと、を含む方法。
【0080】
条項14.前記ホットプレスの前記第1のプレスプレートを前記パネルの第1の表面に接触させることにより、前記パネルに係合する前記第1のプレスプレートは、前記第1のプレスプレートの前記透過性材料を介して、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネルから取り除くことができる、条項13に記載の方法。
【0081】
条項15.前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネルから取り除くことをさらに可能にするため、前記パネルに真空を適用することをさらに含む、条項13または14に記載の方法。
【0082】
条項16.前記透過性材料を介して、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネルから取り除くことは、前記透過性材料を通して前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを換気することを含み、前記透過性材料は前記第1のプレスプレートの外表面によって画定される1つまたは複数の換気チャネル内に配置され、前記換気チャネルは前記第1のプレスプレートの外側エッジまで延在し、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルから出ることを可能にする、条項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
条項17.前記第1のプレスプレートの前記換気チャネルが前記第1の表面に係合するとき、前記パネルの前記第1の表面に突起を形成することをさらに含む、条項16に記載の方法。
【0084】
条項18.前記第1のプレスプレートが前記パネルに結合される前記装飾層の美的特性に影響を及ぼすのを抑止するため、前記パネルの前記第1の表面に形成される前記突起を取り除くことをさらに含む、条項17に記載の方法。
【0085】
条項19.前記第1のプレスプレートを前記パネルに接触させることは、第1の液耐性層を前記パネルの前記第1の表面に接触させることと、前記パネルに接触する前記第1の液耐性層に透過性層を接触させることとを含み、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つが前記パネルから取り除かれるように、前記透過性層と前記第1の液耐性層は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが通過できるようにし、前記パネルの液状樹脂が前記透過性材料を通過するのを阻止する前記第1の液耐性層は、前記ガス又は蒸気のうちの少なくとも1つが前記透過性層を通過するのを前記液状の樹脂が抑止することを阻止する、条項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
条項20.前記パネルから前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くことによって、前記透過性層、前記液耐性層、及び前記パネルを分離することと、前記第1の液耐性層を第2の液耐性層で置き換えることと、第2のパネルに前記第2の液耐性層を接触させることと、前記第2のパネルに接触する前記第2の液耐性層に前記透過性層を接触させることと、前記第2のパネルを形成するため、前記第2のパネルに熱を加えることと、前記第2の液耐性層と前記透過性層を介して、前記第2のパネルからがガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを取り除くこととをさらに含む、条項19に記載の方法。
【0087】
条項21.前記第2のプレスプレートの一部が透過性材料からなる、前記ホットプレスの第2のプレスプレートを前記第1の表面と向かい合う前記パネルの第2の表面に接触させることと、前記パネルから前記装飾層の前記一部の剥離を抑止するように、前記第2のプレスプレートの前記透過性材料を介して、前記ガスまたは蒸気のうちの少なくとも1つを前記パネルからさらに取り除くため、第2のプレスプレートを介して前記パネルに熱を加えることとをさらに含む、条項13に記載の方法。
【0088】
本書では特定の例示的な方法及び装置が記載されてきたが、本特許出願の範囲はこれらに限定されるものではない。反対に、本特許出願は、本特許出願の、文言的に修正された特許請求の範囲内、または均等論による特許請求の範囲内に公正に当てはまる、すべての方法、装置、及び製品を包含する。