(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】アクティブインバーター蓄電装置、及びアクティブインバーターシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20220909BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220909BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20220909BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220909BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220909BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02J7/34 J
H02J7/02 J
H02J7/00 302C
H02J9/06 110
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2018002266
(22)【出願日】2018-01-11
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】518103271
【氏名又は名称】株式会社アルファー・Ai
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】元丸 俊満
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/148054(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/020645(WO,A1)
【文献】特開2001-186663(JP,A)
【文献】特開2017-158264(JP,A)
【文献】特開2016-073028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 9/00-11/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力が供給されている宅内配電網の宅内のL1-N間及びL2-N間に配設された宅内コンセントに接続されるアクティブインバーター蓄電装置と、前記アクティブインバーター蓄電装置よりも上流に設置され、電力の逆潮流と前記アクティブインバーター蓄電装置の充放電を管理制御する単相三線式の配電方式下において稼動する管理装置と、からなるアクティブインバーターシステムであって、
前記管理装置は、商用電力のL1-N間、L2-N間及びL1-L2間の電力を検知して監視する電力監視部と、当該3系統の電力を制御する管理電力制御部と、宅内及び外部との通信を行う管理通信部と、で構成したアクティブインバーター蓄電装置を備えたアクティブインバーターシステムにおいて、
前記電力監視部は、前記宅内コンセントに接続された前記アクティブインバーター蓄電装置の放電容量情報と電池残量情報、及び前記宅内コンセントに接続された家電製品の負荷器機の負荷容量情報を前記管理通信部を介して取得するよう構成してなり、
前記管理装置は、L1-N間またはL2-N間の何れか一方のみに電力が供給されている前記宅内配電網において、前記電力監視部が取得する前記アクティブインバーター蓄電装置の前記放電容量情報と前記電池残量情報に基づいて前記管理電力制御部により放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置を算出すると共に、前記管理通信部を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始時間または/及び予め前記管理電力制御部に設定された放電の開始時間に、前記管理通信部を介して放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置に無線通信により前記電力監視部が作成した
前記L1-N間の電力の位相または/及びL2-N間の電力の位相、もしくはL1-N間とL2-N間との電力の位相を示すゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置から前記宅内配電網への放電を同時に開始させ、しかも、前記管理通信部を介して取得した前記ピークシフト情報に基づく放電の終了時間または/及び予め前記管理電力制御部に設定された放電の終了時間に、放電中の前記アクティブインバーター蓄電装置に放電の停止情報を送信することで前記アクティブインバーター蓄電装置から宅内配電網への電力の供給を停止するよう構成したことを特徴とするアクティブインバーターシステム。
【請求項2】
前記電力監視部は、電力の位相を検出して電力の位相を示すゼロクロス点情報を作成する管理側ゼロクロス回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のアクティブインバーターシステム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記商用電力が供給されている前記宅内配電網において、前記電力監視部が取得する前記アクティブインバーター蓄電装置の前記放電容量情報と前記電池残量情報に基づいて前記管理電力制御部により放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置を算出すると共に、前記管理通信部を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始・終了時間または/及び予め前記管理電力制御部に設定された放電の開始・終了時間に、前記管理通信部を介して放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置に送信することで放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置から前記宅内配電網への放電を開始・終了させるよう構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のアクティブインバーターシステム。
【請求項4】
前記電力監視部は、停電を検知して前記管理電力制御部に通知すると共に、前記管理電力制御部は、前記商用電力の前記3系統への電力の供給を遮断し、前記管理通信部から前記アクティブイ
ンバーター蓄電装置に放電の停止情報を送信することで宅内配電網への電力の供給を停止するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のアクティブインバーターシステム。
【請求項5】
前記管理装置は、電力の供給が停止している宅内配電網に電力の供給を開始させるために、前記電力監視部が取得する前記アクティブインバーター蓄電装置の前記放電容量情報と前記電池残量情報に基づいて前記管理電力制御部により放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置を算出すると共に、前記管理通信部を介して放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置に無線通信により放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置から前記宅内配電網への放電を同時に開始させるよう構成したことを特徴とする請求項1乃4の何れか1項に記載のアクティブインバーターシステム。
【請求項6】
前記電力監視部は、復電を検知して前記管理電力制御部に通知すると共に、前記管理電力制御部は、前記管理通信部を介して放電中の前記アクティブインバーター蓄電装置に放電の停止情報を送信することで宅内配電網への電力の供給を停止した後、前記商用電力の前記3系統への電力の供給を開始するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のアクティブインバーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅内配電網に設置される蓄電装置、及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの急速な普及に伴いネットワーク関連機器の開発は日進月歩の勢いであり、インターネットとの親和性が高く気軽に扱える電化製品の市場投入により、一般家庭においても高度なネットワーク環境を構築しやすい状況が整いつつある。
【0003】
また、日常生活を豊かにする電化製品は、AI(Artificial Intelligence)技術等の更なる高度な技術を融合させ付加価値の高い製品として益々需要が高まっており、より快適な生活のためにIoT(Internet of Things)への期待も伴い電気の需要も高くなっている。
【0004】
他方、環境問題よりも経済発展に注力した新興国や発展途上国を中心としたCO2排出量の増加に伴う地球温暖化の懸念や、世界的な気象変動による大規模災害の発生等、商用電力を供給する電気事業者だけでは解決できない安定的な電力の供給を阻害する要因も増加している。
【0005】
需要者においても快適な生活を永続的に維持できるよう地球環境への関心が高まっており、商用電力の安定供給に寄与すべく省エネルギーを実践したり、商用電力の供給が停止するような不測の事態が発生しても従来の生活スタイルを最低限でも維持したいという意識が行動として顕在化しつつある。
【0006】
このような状況下では、電気を効率よく使用したり発電するための技術開発も急速に進んでおり、例えば、HEMS(Home Energy Management System)のような機器により宅内の電気使用量を抑制したり、太陽光発電装置により商用電力の消費を抑制する動きが一般家庭においても活発となっている。
【0007】
また、蓄電池を用いて停電時の補助電力とする技術は古くから提案されているものの、蓄電池の性能や価格面、大がかりな工事の必要性等の問題から一般に普及する程度の実用性が乏しかったところ、例えば、特許文献1に係る技術が開示されている。
【0008】
本技術によれば、宅内配電網に充放電可能な蓄電装置を設置し、停電時の宅内給電や変動する電気使用量に応じたピークシフト処理を行なうもので、宅内コンセントに接続された蓄電装置の充放電を、配電盤の上流側に配設された逆潮監視装置により制御することで、停電時でも宅内配電網に電力を供給でき、ピークシフト処理も可能とする電力制御システムとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
確かに特許文献1に記載の技術によれば、逆潮監視装置を設置し蓄電装置を宅内コンセントに接続すれば電力制御システムを容易に構築でき、また、ピークシフトの際には蓄電池からの放電によりピークカットを実現でき、しかも、蓄電池を停電時の補助電源として容易に利用できる点で優れている。
【0011】
しかしながら、本技術を一般家庭で主流となっている単相三線式の配電方式に適用したとすると、電力の位相を同期させやすいL1-N間またはL2-N間の各々の100V系統しか対応できず、エアコンや電気調理器等で使用されるL1-L2間の200V系統への電力の供給が不可能であることから単相三線式の配電方式に完全対応できないという問題を有している。
【0012】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、単相三線式の配電方式下において、宅内コンセントに着脱自在で宅内配電網から充電し、宅内配電網に放電可能とするアクティブインバーター蓄電装置、及びアクティブインバーター蓄電装置を備えたアクティブインバーターシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上のような目的を達成するために、本発明は以下の技術を提供する。
【0019】
請求項1に係る発明では、商用電力が供給されている宅内配電網の宅内のL1-N間及びL2-N間に配設された宅内コンセントに接続されるアクティブインバーター蓄電装置と、前記アクティブインバーター蓄電装置よりも上流に設置され、電力の逆潮流と前記アクティブインバーター蓄電装置の充放電を管理制御する単相三線式の配電方式下において稼動する管理装置と、からなるアクティブインバーターシステムであって、
前記管理装置は、商用電力のL1-N間、L2-N間及びL1-L2間の電力を検知して監視する電力監視部と、当該3系統の電力を制御する管理電力制御部と、宅内及び外部との通信を行う管理通信部と、で構成したアクティブインバーター蓄電装置を備えたアクティブインバーターシステムにおいて、
前記電力監視部は、前記宅内コンセントに接続された前記アクティブインバーター蓄電装置の放電容量情報と電池残量情報、及び前記宅内コンセントに接続された家電製品の負荷器機の負荷容量情報を前記管理通信部を介して取得するよう構成してなり、
前記管理装置は、L1-N間またはL2-N間の何れか一方のみに電力が供給されている前記宅内配電網において、前記電力監視部が取得する前記アクティブインバーター蓄電装置の前記放電容量情報と前記電池残量情報に基づいて前記管理電力制御部により放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置を算出すると共に、前記管理通信部を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始時間または/及び予め前記管理電力制御部に設定された放電の開始時間に、前記管理通信部を介して放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置に無線通信により前記電力監視部が作成した前記L1-N間の電力の位相または/及びL2-N間の電力の位相、もしくはL1-N間とL2-N間との電力の位相を示すゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置から前記宅内配電網への放電を同時に開始させ、しかも、前記管理通信部を介して取得した前記ピークシフト情報に基づく放電の終了時間または/及び予め前記管理電力制御部に設定された放電の終了時間に、放電中の前記アクティブインバーター蓄電装置に放電の停止情報を送信することで前記アクティブインバーター蓄電装置から宅内配電網への電力の供給を停止するよう構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項2に係る発明では、前記電力監視部は、電力の位相を検出して電力の位相を示すゼロクロス点情報を作成する管理側ゼロクロス回路を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項3に係る発明では、前記管理装置は、前記商用電力が供給されている前記宅内配電網において、前記電力監視部が取得する前記アクティブインバーター蓄電装置の前記放電容量情報と前記電池残量情報に基づいて前記管理電力制御部により放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置を算出すると共に、前記管理通信部を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始・終了時間または/及び予め前記管理電力制御部に設定された放電の開始・終了時間に、前記管理通信部を介して放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置に送信することで放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置から前記宅内配電網への放電を開始・終了させるよう構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項4に係る発明では、前記電力監視部は、停電を検知して前記管理電力制御部に通知すると共に、前記管理電力制御部は、前記商用電力の前記3系統への電力の供給を遮断し、前記管理通信部から前記アクティブインバータ蓄電装置に放電の停止情報を送信することで宅内配線網への電力の供給を停止するように構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項5に係る発明では、放電可能な前記アクティブインバーター蓄電装置から前記宅内配電網への放電を同時に開始させるよう構成したことを特徴とする
【0025】
請求項6に係る発明では、前記電力監視部は、復電を検知して前記管理電力制御部に通知すると共に、前記管理電力制御部は、前記管理通信部を介して放電中の前記アクティブインバーター蓄電装置に放電の停止情報を送信することで宅内配電網への電力の供給を停止した後、前記商用電力の前記3系統への電力の供給を開始するよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明によれば、少なくとも、電力が流れていない電力系統の異なるL1-N間またはL2-N間に設置された放電に最適なアクティブインバーター蓄電装置に対して無線通信によりゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を電力線搬送通信等に比してタイムロスなく瞬時に伝えることができるので、L1-N間またはL2-N間の何れか一方に既に流れている電力に対して電力が流れていなかった電力系統に位相ずれなく同期させ放電することが可能となり、L1-L2間に高品質の200V電力を給電することができる。
【0032】
請求項2の発明によれば、電力監視部は、電力の位相を検出して電力の位相を示すゼロクロス点情報を作成する管理側ゼロクロス回路を備えたことより、停電時に、管理電力制御部から管理通信部を介して宅内配電網の各電力系統に設置された各アクティブインバーター蓄電装置にゼロクロス点情報を送信することで各電力系統の電力の位相を同期させることができる。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、放電に最適なアクティブインバーター蓄電装置を稼動させることができるので、商用電力の消費を効率よく抑制することができる。
【0035】
請求項4記載の発明によれば、電力監視部は、停電を検知して管理電力制御部に通知すると共に、管理電力制御部は、商用電力の3系統への電力の供給を遮断し、管理通信部からアクティブインバーター蓄電装置に放電の停止情報を送信することで宅内配電網への電力の供給を停止するよう構成したことより、停電時の逆潮流を防止することができる。
【0036】
請求項5は記載の発明によれば、電力系統の異なるL1-N間とL2-N間に設置された放電に最適なアクティブインバーター蓄電装置に対して放電の開始情報を電力線搬送通信等に比してタイムロスなく瞬時に伝えることができるので、L1-N間とL2-N間で同期する位相ずれのない放電を行うことが可能となり、L1-L2間に高品質の200V電力を給電することができる。
【0037】
請求項6記載の発明によれば、宅内配電網への電力の供給を停止した後、商用電力の3系統への電力の供給を開始するよう構成したことより、復電時の逆潮流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本実施形態に係るアクティブインバーターシステムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】本実施形態に係るアクティブインバーター蓄電装置の説明図である。
【
図3】アクティブインバーター蓄電装置の一側面を示す説明図である。
【
図4】アクティブインバーター蓄電装置の一側面を示す他の説明図である。
【
図5】アクティブインバーター蓄電装置の独立モード時のフローを示す説明図である。
【
図6】アクティブインバーター蓄電装置の独立モード時のフローを示す他の説明図である。
【
図8】管理装置からアクティブインバーター蓄電装置への放電指示に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施形態に係るアクティブインバーター蓄電装置の要旨は、単相三線式の配電方式下において、宅内コンセントに着脱自在で宅内配電網から充電し、宅内配電網に放電可能とするアクティブインバーター蓄電装置であって、蓄電池と、交流電力と直流電力とを相互に変換するアクティブインバーターと、外部器機と通信を行う蓄電池通信部と、アクティブインバーター蓄電装置の動作を制御する蓄電池制御部と、を備えたことを特徴とする。すなわち、単相三線式の配電方式下において、宅内配電網への蓄電池の設置を宅内コンセントに接続するだけで実現できるアクティブインバーター蓄電装置の提供を図ろうとするものである。
【0040】
また、本発明の実施形態に係るアクティブインバーターシステムの要旨は、宅内のL1-N間及びL2-N間に配設された宅内コンセントに接続されるアクティブインバーター蓄電装置と、アクティブインバーター蓄電装置よりも上流に設置され、電力の逆潮流と前記アクティブインバーター蓄電装置の充放電を管理制御する単相三線式の配電方式下において稼動する管理装置と、からなるアクティブインバーターシステムであって、管理装置は、商用電力のL1-N間、L2-N間及びL1-L2間の電力を検知して監視する電力監視部と、当該3系統の電力を制御する管理電力制御部と、宅内及び外部との通信を行う管理通信部と、で構成したことを特徴とする。すなわち、ピークシフトのアクションや、停電時・復電時の充放電をアクティブインバーター蓄電池に実行させることができ、しかも、放電時の逆潮流を監視し防止することができるアクティブインバーターシステムの提供を図ろうとするものである。
【0041】
本発明に係るアクティブインバーター蓄電装置1、及びアクティブインバーターシステムAは、単相三線式の配電方式下で使用されるものであり、
図1に示すように、外部から宅内に引き込まれる商用電力Vは配電盤HでメインブレーカMBからL1-N間、L2-N間のサブブレーカSB1~SB3を介して宅内に100Vが送電され、L1-L2間のサブブレーカSB4を介して宅内に200Vが送電される。
【0042】
L1-N間、L2-N間の各電力系統は宅内の複数の所定箇所まで延在し、照明器具W1~W3を点灯させたり、端部に宅内コンセントE1,E2を備え、アクティブインバーター蓄電装置1a,1bが有するプラグPa,Pbを宅内コンセントE1,E2に接続することでアクティブインバーター蓄電装置1a,1bが宅内配電網Tに設置される。
【0043】
なお、L1-N間、L2-N間の各電力系統の宅内コンセントE1,E2には、負荷器機F1,F2としてのTVやPC等の100Vの電化製品のプラグG1,G2も接続される。
【0044】
また、L1-L2間の電力系統も宅内の複数の所定箇所まで延在し、端部に連設した宅内コンセントJには、負荷器機Dとしてのエアコンや電気調理器具等の200Vの電化製品のプラグQが接続される。なお、プラグQを用いず宅内配電網Tに直接接続してもよい。
【0045】
このように、本発明に係るアクティブインバーター蓄電装置1は、L1-N間、L2-N間の電力系統に設置され、これら2系統に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1からの放電によりL1-L2間の電力系統に高品質な200Vの電力を供給しようとするものである。
【0046】
また、配電盤HのメインブレーカMBと各サブブレーカSB1~SB4は中継配線Cにより管理装置50と接続され、管理装置50は無線通信やPLC通信等の有線通信により各アクティブインバーター蓄電装置1a,1bと通信を行うことができる。
【0047】
なお、管理装置50は、HEMS(Home Energy Management System)との連携や管理装置50自体にHEMSを組み込むことが望ましい。
【0048】
このように、本発明に係るアクティブインバーターシステムAは、アクティブインバーター蓄電装置1と管理装置50により構成され、以下に説明する各状況に応じて各アクティブインバーター蓄電装置1に充放電のアクションを実行させようとするものである。
【0049】
以下、本発明に係るアクティブインバーター蓄電装置1、及びアクティブインバーターシステムAの実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0050】
[アクティブインバーター蓄電装置の実施形態]
本発明の実施形態に係るアクティブインバーター蓄電装置1は、
図1、
図2に示すように、単相三線式の配電方式下において、宅内コンセントEに着脱自在で宅内配電網Tから充電し、宅内配電網Tに放電可能とするアクティブインバーター蓄電装置1であって、蓄電池5と、交流電力と直流電力とを相互に変換するアクティブインバーター4と、外部器機と通信を行う蓄電池通信部9と、アクティブインバーター蓄電装置1の動作を制御する蓄電池制御部8とで構成している。
【0051】
また、アクティブインバーター蓄電装置1は、L1-N間の電力の位相または/及びL2-N間の電力の位相、もしくはL1-N間とL2-N間との電力の位相を同期させるための蓄電側ゼロクロス回路7を有する2系統同期・非同期部6を備えている。
【0052】
更に、2系統同期・非同期部6は、電力の位相を示すゼロクロス点情報を取得するとゼロクロス点情報に基づく位相により電力を放電するよう構成している。
【0053】
なお、ゼロクロス点情報とは、後述する蓄電側ゼロクロス回路7により検出された所定の位相と周波数からなる情報、または、予め記憶された情報であり、ゼロクロス点情報を取得することで所定の位相と周波数からなる交流電力を放電することができるものである。
【0054】
具体的には、アクティブインバーター蓄電装置1は箱型に形成されており、アクティブインバーター蓄電装置1の側面には、
図3に示すように、電源スイッチ11、放電確認ランプ12、通電確認ランプ13が配設されている。電源スイッチ11はアクティブインバーター蓄電装置1本体の電源をON/OFFするものであり、放電確認ランプ12は自身のアクティブインバーター蓄電装置1が放電している際に点灯するLED照明であり、通電確認ランプ13は宅内コンセントEにアクティブインバーター蓄電装置1のプラグPを接続した際、接続した電力系統に既に電力が供給されていれば点灯するLED照明である。
【0055】
なお、これら電源スイッチ11、放電確認ランプ12、通電確認ランプ13の詳細な構成については説明を省略する。
【0056】
また、
図2に示すように、宅内コンセントEと着脱自在のプラグPを有するアクティブインバーター蓄電装置1の内部には、制御スイッチ部3、アクティブインバーター4、蓄電池5、2系統同期・非同期部6、蓄電池制御部8、蓄電池通信部9を備えている。
【0057】
制御スイッチ部3は、蓄電池制御部8からの指示により宅内配電網Tへの充放電を切り替えるものであり、アクティブインバーター4は、宅内配電網Tから入力された交流電力を蓄電池5に充電可能な直流電力に変換すると共に、蓄電池5から出力された直流電力を交流電力に変換するものである。
【0058】
また、蓄電池5は、直流電力を充放電可能とする、例えばリチウムイオン蓄電池や鉛蓄電池等であり、蓄電池通信部9は、宅内配電網Tを構成する配線を通信線としたPLC(Power Line Communication:電力線搬送通信)や専用ケーブルを用いた有線LAN(Wired Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi等の無線LAN(Wireless Local Area Network)等による無線通信により外部器機としての別途のアクティブインバーター蓄電装置1や後述する管理装置50と通信を行うものである。
【0059】
蓄電池制御部8は、蓄電池通信部9を介して受信した情報に基づき、制御スイッチ部3の切り替えや、アクティブインバーター4への動作制御、蓄電池5の充放電制御を行うと共に、制御スイッチ部3の切り替え状況や、アクティブインバーター4の動作状況、蓄電池5の充放電情報や放電容量情報、電池残量情報等を取得して蓄電池通信部9を介して外部器機としての別途のアクティブインバーター蓄電装置1や後述する管理装置50に送信するものである。
【0060】
このように構成することで、アクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電や宅内配電網Tからの充電を可能としている。
【0061】
また、2系統同期・非同期部6は、L1-N間の電力の位相または/及びL2-N間の電力の位相、もしくはL1-N間とL2-N間との電力の位相を同期させて放電させるものである。
【0062】
また、2系統同期・非同期部6は、蓄電側ゼロクロス回路7を有しており、宅内配電網Tに既に交流電力が流れていた場合は、その交流電力の位相と周波数を蓄電側ゼロクロス回路7により検出すると共に、アクティブインバーター4を介して放出される交流電力を、検出された位相と周波数に整え制御スイッチ部3から宅内配電網Tに出力するものである。
【0063】
更に、2系統同期・非同期部6は、停電時のように宅内配電網Tに交流電力が流れていない場合においても高品質の電力を放電するために所定の位相と周波数からなるゼロクロス点情報を予め有しており、ゼロクロス点情報に基づいた電力に整えてから宅内配電網Tに非同期で放電する。
【0064】
ゼロクロス点情報は、交流電力の位相と周波数を蓄電側ゼロクロス回路7により検出される度に生成され、上書きされて記憶される。すなわち、ゼロクロス点情報は常に最新の電力の位相と周波数の状態からなる情報となるが、上書きされない別途のゼロクロス点情報を有していてもよい。
【0065】
なお、本実施形態ではアクティブインバーター4と2系統同期・非同期部6を分けて説明しているが、これらの機能を統合させ1つのモジュールとしてもよい。
【0066】
また、2系統同期・非同期部6は、制御スイッチ部3の開閉に関わらず、常に宅内配電網Tに流れる電力の位相と周波数を監視している。
【0067】
また、蓄電側ゼロクロス回路7は、ゼロクロス点情報を蓄電池制御部8から蓄電池通信部9を介して他のアクティブインバーター蓄電装置1や管理装置50に送信可能に構成している。
【0068】
更に、2系統同期・非同期部6は、ゼロクロス点情報を取得するとゼロクロス点情報に基づく位相により電力を放電するよう構成しているので、他のアクティブインバーター蓄電装置1や管理装置50からゼロクロス点情報を取得するとゼロクロス点情報に基づく放電を行うことができ、L1-N間の電力の位相または/及びL2-N間の電力の位相、もしくはL1-N間とL2-N間との電力の位相を容易に同期させて放電させることができる。
【0069】
ここで、本実施形態に係るアクティブインバーター蓄電装置1は、後述する管理装置50が存在しなくても単独で稼動できるよう、
図4、
図5に示すように独立モード16と連携モード17を切り替え自在とする独立/連携モードスイッチ15を構成することもでき、負荷器機Fを接続するための非常用コンセント14を備えることもできる。
【0070】
この場合、独立モード16(S100:YES)では、アクティブインバーター蓄電装置1単独での稼動の他、他のアクティブインバーター蓄電装置1間での通信を伴う稼動も可能である。
【0071】
また、連携モード17(S100:NO、S101)は、管理装置50の指示の下で動作するアクティブインバーターシステムAの稼動の際に有効となるモードであり、これについては後述する。
【0072】
独立モード16(S100:YES)について具体的には、
図5に示すように、宅内配電網Tに既に交流電力が流れていた場合(S102:YES)、アクティブインバーター蓄電装置1をL1-N間やL2-N間の宅内コンセントE1,E2に接続すれば、流れている交流電力を検知して通電確認ランプ13が点灯(S103)し自動的にアクティブインバーター蓄電装置1への充電が開始され(S104)、交流電力が流れていなければ(S102:NO)、特段の動作はない。
【0073】
従って、管理装置50とは無関係に予めアクティブインバーター蓄電装置1を充電しておくことができるので、停電時においても充電されたアクティブインバーター蓄電装置1の非常用コンセント14に負荷器機F1,F2である電化製品を接続して使用することが可能となる。
【0074】
更に、独立モード16では、このようなアクティブインバーター蓄電装置1単独での稼動以外に、他のアクティブインバーター蓄電装置1間との通信により、L1-N間やL2-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1から放電される電力の位相と同期させることができる。
【0075】
しかも、蓄電池通信部9は、アクティブインバーター蓄電装置1が外部器機としての別途のアクティブインバーター蓄電装置1に自身が放電する電力のゼロクロス点情報を無線通信により送受信可能とすることで、配線を通信線としたPLCや専用配線による有線LANに比して可及的にゼロクロス点情報を送受信することができる。
【0076】
例えば、放電中のL2-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1bからゼロクロス点情報を送信し、放電していないL1-N間に設置された別途のアクティブインバーター蓄電装置1aがこのゼロクロス点情報を受信してL2-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1bと同様の位相と周波数により放電することで、L1-N間とL2-N間で電力を同期させることができ、しかも、L1-L2間に高品質の200Vの電力を供給することができる。
【0077】
具体的には、
図4に示すように、アクティブインバーター蓄電装置1は独立モード16でのみ有効な充電/放電スイッチ18を備え、
図6に示すような動作を可能とする。
【0078】
まず、アクティブインバーター蓄電装置1の独立/連携モードスイッチ15を独立モード16に切り替え(S100:YES)、更に、充電/放電スイッチ18を放電側20に切り替える(S200:YES)。なお、充電側19の場合(S200:NO)は、上述のように宅内配電網Tに既に交流電力が流れていれば(S102:YES)通電確認ランプ13が点灯(S103)し自動的に蓄電池5への充電が開始され(S104)、交流電力が流れていなければ(S102:NO)、特段の動作はない。
【0079】
放電側20に切り替える(S200:YES)と、既にL1-N間に電力が供給されていれば(S201:YES)、通電確認ランプ13が点灯(S202)し上述の通り2系統同期・非同期部6により供給電力に同期させて放電する(S203)と共に放電確認ランプ12が点灯(S204)してゼロクロス点情報を無線通信により所定間隔で送信し続ける(S205)。
【0080】
また、L1-N間に電力が供給されていなければ(S201:NO)通電確認ランプ13は点灯せず(S206)、ゼロクロス点情報を無線通信により所定時間だけ送受信する(S207)。
【0081】
更に、L1-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1aが所定時間内にゼロクロス点情報を受信した場合(S208:YES)、すなわち、L2-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1bが放電しており、それに伴うゼロクロス点情報を受信した場合は、受信したゼロクロス点情報に基づく電力の位相でL1-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電池1aからの放電を開始(S209)し、同時に放電確認ランプ12が点灯する(S210)と共にゼロクロス点情報を無線通信により所定間隔で送信し続ける(S211)。
【0082】
また、L1-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1aが所定時間内にゼロクロス点情報を受信しなかった場合(S208:NO)、すなわち、L2-N間に放電しているアクティブインバーター蓄電装置1が存在しない場合は、L1-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1a自身が有するゼロクロス点情報に基づいて放電を開始(S212)し、同時に放電確認ランプ12が点灯(S213)すると共にゼロクロス点情報を無線通信により所定間隔で送信し続ける(S214)。
【0083】
このようにしてL1-N間の電力の位相はL2-N間の電力の位相と同期させた状態で放電させることができる。
【0084】
また、ゼロクロス点情報の送受信については、例えば、
図4及び
図6中のカッコ内(S300)に示すように、上述した独立モード16でのみ有効な充電/放電スイッチ18と共に放電側20に切り替えた際に有効な受信釦24からなる同期スイッチ23を備えることもできる。
【0085】
これは、上述した独立モード16の構成において、ゼロクロス点情報の無線通信による送受信を別途の受信釦24の押下により実施しようとするものである。
【0086】
このように構成することで、宅内配電網Tに設置されたアクティブインバーター蓄電装置1が備える充電/放電スイッチ18を放電側20に切り替えるだけ、または、更に受信釦24を押下することで、他のアクティブインバーター蓄電装置1間との無線通信により、L1-N間やL2-N間に設置されたアクティブインバーター蓄電装置1から放電される電力の位相を正確に同期させることができ、従って、L1-L2間に高品質の200Vの電力を供給することも容易となる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るアクティブインバーター蓄電装置1は、単相三線式の配電方式下において、宅内コンセントEに着脱自在で宅内配電網Tから充電し、宅内配電網Tに放電可能とするアクティブインバーター蓄電装置1であって、蓄電池5と、交流電力と直流電力とを相互に変換するアクティブインバーター4と、外部器機と通信を行う蓄電池通信部9と、アクティブインバーター蓄電装置1の動作を制御する蓄電池制御部8と、を備えたことより、宅内配電網Tへの蓄電装置1の設置を宅内コンセントEに接続するだけで実現できるため、大掛かりな工事を行うことなくアクティブインバーター蓄電装置1を導入することができる。
【0088】
また、L1-N間の電力の位相または/及びL2-N間の電力の位相、もしくはL1-N間とL2-N間との電力の位相を同期させるための蓄電側ゼロクロス回路7を有する2系統同期・非同期部6を備えたことより、単相三線の全ての電力系統に流れる電力の位相に同期させて放電させたり非同期で放電させることができるので、宅内配電網Tへの商用電力Vの通電有無に関わらず宅内配電網Tに100Vと200Vの放電を行うことができる。
【0089】
また、2系統同期・非同期部6は、電力の位相を示すゼロクロス点情報を取得するとゼロクロス点情報に基づく位相により電力を放電するよう構成したことより、放電する電力の位相を既に流れている電力の位相と容易に同期させることができる。
【0090】
更に、蓄電池通信部9は、アクティブインバーター蓄電装置1が外部器機としての別途のアクティブインバーター蓄電装置1に自身が放電する電力のゼロクロス点情報を無線通信により送受信可能に構成したことより、PLCに比してタイムロスなく瞬時に伝えることができるので、停電時に、放電を行なっているL1-N間に接続されたアクティブインバーター蓄電装置1のゼロクロス点情報を、電力系統の異なる停止中のL2-N間に接続されたアクティブインバーター蓄電装置1も共有して位相ずれなく同期させ放電でき、L1-L2間に高品質の200V電力を給電することができる。
【0091】
次に、本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAについて図面を参照しながら説明する。
【0092】
[アクティブインバーターシステムの実施形態]
本発明の実施形態に係るアクティブインバーターシステムAは、
図1、
図7に示すように、宅内のL1-N間及びL2-N間に配設された宅内コンセントEに接続される上述したアクティブインバーター蓄電装置1と、アクティブインバーター蓄電装置1よりも上流に設置され、電力の逆潮流とアクティブインバーター蓄電装置1の充放電を管理制御する単相三線式の配電方式下において稼動する管理装置50と、からなるアクティブインバーターシステムAであって、管理装置50は、商用電力VのL1-N間、L2-N間及びL1-L2間の電力を検知して監視する電力監視部52と、当該3系統の電力を制御する管理電力制御部54と、宅内及び外部との通信を行う管理通信部55と、で構成している。
【0093】
また、電力監視部52は、宅内コンセントEに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報、及び宅内コンセントEに接続された家電製品等の負荷器機Fの負荷容量情報を管理通信部55を介して取得するよう構成している。
【0094】
ここで、管理装置50が宅内コンセントEに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fを認識する方法について例示する。
【0095】
まず、アクティブインバーター蓄電装置1には、個体識別情報として各々異なる蓄電池IDを有しており電力監視部52に記憶されている。また、蓄電池IDは管理装置50から送信される蓄電池ID要求の信号を受け取ると蓄電池通信部9から管理装置50に蓄電池IDを送信する。
【0096】
また、管理装置50とアクティブインバーター蓄電装置1との通信は、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi等の無線LANによる無線通信により行うことができると共に、PLCや有線LANによる通信も可能である。
【0097】
負荷器機Fは、例えば、エコ-ネットライト(ECHONET Lite)等の規格に準拠したものであれば、当初より当該規格に準じた負荷IDを有しているため、管理装置50から送信される負荷ID要求の信号を受け取ると負荷器機Fから管理装置50に負荷IDが送信される。
【0098】
また、負荷器機F自体が当該規格に準拠したものでなくても、負荷器機FのプラグGと宅内コンセントEとの間に、当該規格に準拠したアダプターを介在させることで上述同様に扱うことができる。
【0099】
また、例えば、特許第5555918号に記載のように、負荷器機FのプラグG自体に負荷IDを記憶するICタグを備え、宅内コンセントEにタグリーダを備えた構成であってもよい。
【0100】
なお、アクティブインバーター蓄電装置1が上述した規格等に準拠したものであったり、アダプターを介在させたり、特許文献に記載の方法を採用したり等してもよい。
【0101】
また、上述した蓄電池IDや負荷IDに関する技術は例示であり、アクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機FがMACアドレスを有する機器であればこれをIDとして用いることができる等、本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。
【0102】
このように、管理装置50は、宅内コンセントEに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fを個別に認識することができるので、各々の機器の情報をIDと紐付けされた状態で取得したり、各々の機器を個別に制御することが可能となる。
【0103】
次に、本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAについて具体的に詳述する。
【0104】
図1、
図7に示すように、管理装置50は、配電盤Hに内設したメインブレーカMBとサブブレーカSB1~SB4に中継配線Cを介して接続されており、電力監視部52は、商用電力VのL1-N間、L2-N間及びL1-L2間の電力を検知するものである。
【0105】
更に、電力監視部52は、アクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報、及び負荷器機Fの負荷容量情報を管理通信部55を介して取得することができる。
【0106】
また、管理電力制御部54は、L1-N間、L2-N間及びL1-L2間の3系統の電力を制御するものであり、管理通信部55は、宅内及び外部との通信を有線又は無線により行うものである。
【0107】
具体的には、電力監視部52は、管理電力制御部54の指示の下で宅内配電網Tに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fに対して管理通信部55を介して所定間隔でID要求信号を送信し、ID要求信号を受信したアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fは、蓄電池IDや負荷IDを管理装置50に向けて送信する。
【0108】
管理装置50は、管理通信部55を介して取得した蓄電池IDや負荷IDを電力監視部で記憶することで、宅内配電網Tに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fを認識する。
【0109】
すなわち、管理装置50は所定間隔で常にID要求信号を送信し、そのつど蓄電池IDや負荷IDを受信することでアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fが宅内配電網Tに接続されていることを把握する。
【0110】
従って、管理装置50が認識していたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fが宅内配電網Tから外されると、外されたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fから蓄電池IDや負荷IDが送信されないため、外された機器を把握することができる。
【0111】
この場合、電力監視部52に記憶されていた宅内配電網Tから外された機器の蓄電池IDや負荷IDは消去される。
【0112】
また、電力監視部52は、管理電力制御部54の指示の下で宅内配電網Tに接続され蓄電池IDが明らかなアクティブインバーター蓄電装置1に対して管理通信部55を介して所定間隔で放電容量情報や電池残量情報等の蓄電池情報要求信号を送信し、蓄電池情報要求信号を受信したアクティブインバーター蓄電装置1は、放電容量情報や電池残量情報等を管理装置50に向けて送信する。
【0113】
また、電力監視部52は、管理電力制御部54の指示の下で宅内配電網Tに接続され負荷IDが明らかな負荷器機Fに対して管理通信部55を介して所定間隔で負荷容量情報要求信号を送信し、負荷容量情報要求信号を受信した負荷器機Fは、負荷容量情報を管理装置50に向けて送信する。
【0114】
管理装置50は、管理通信部55を介して取得した蓄電池IDと紐付けされた放電容量情報や電池残量情報、負荷IDと紐付けされた負荷容量情報を電力監視部52で記憶することで、宅内配電網Tに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fの状況や特性を認識する。
【0115】
すなわち、管理装置50は所定間隔で常に蓄電池情報要求信号と負荷容量情報要求信号を送信し、そのつど放電容量情報や電池残量情報、負荷容量情報を受信することでアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fの最新の状況や特性を把握することができる。
【0116】
なお、管理装置50が認識していたアクティブインバーター蓄電装置1や負荷器機Fが宅内配電網Tから外されると、電力監視部52の記憶から消去される蓄電池IDや負荷IDと共に放電容量情報や電池残量情報、負荷容量情報も同時に消去される。
【0117】
また、本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAを構成する管理装置50の電力監視部52は、電力の位相を検出して電力の位相を示すゼロクロス点情報を作成する管理側ゼロクロス回路53を備えている。
【0118】
具体的には、管理側ゼロクロス回路53は、電力監視部52により検出したL1-N間、L2-N間の電力の位相と周波数を基に上述したアクティブインバーター蓄電装置1と同様のゼロクロス点情報を生成するものである。
【0119】
また、ゼロクロス点情報は、上書きされ常に最新の電力の位相と周波数の状態からなる情報となるが、上書きされない別途のゼロクロス点情報を有していてもよい。
【0120】
また、管理装置50は、商用電力Vが供給されている宅内配電網Tにおいて、電力監視部52が取得するアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報に基づいて管理電力制御部54により放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出すると共に、管理通信部55を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始・終了時間または/及び予め管理電力制御部54に設定された放電の開始・終了時間に、管理通信部55を介して放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電を開始・終了させるよう構成している。
【0121】
ここで、ピークシフト情報とは、例えば、電気を供給している電気事業者が提供するものであり、同じ供給元から電気の供給を受けている需要者が同じ時間帯に多くの電気を使用すると需要に対して供給が厳しくなるため、このような時間帯では電気料金が割高に設定され、特に工場や企業等が稼働している平日の昼間の時間帯が対象となる。
【0122】
他方、工場や企業等の稼働が少ない夜間や休日では供給に対して需要が少ないため電気が余ることから、このような時間帯では電気料金が割安に設定される。
【0123】
本実施形態ではピークシフト情報は電気料金が割高に設定される時間帯の情報を示し、本情報は、例えば、電気事業者のWEBページ等から取得することができ、管理通信部55によりインターネット等の通信ネットワークNを介してピークシフト情報を取得する。
【0124】
また、ピークシフト情報以外に、予め管理電力制御部54にアクティブインバーター蓄電装置1の充放電を行う時間帯を記憶させておくこともできるので、生活パターンに応じた細かい制御を行うことができる。
【0125】
従って、例えば、電気料金が割安な夜間や休日に充電された放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を、ピークシフト情報に基づいて電気料金が割高な昼間の時間帯に宅内配電網Tに放電して家電製品等の負荷器機Fを使用すれば電気料金を低廉に抑えることができる。
【0126】
具体的には、アクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報は、有線通信または無線通信により管理通信部55を介して電力監視部52が取得して最新の情報に更新すると共に、これら情報は管理電力制御部54により演算処理される。
【0127】
管理電力制御部54は、放電を予定する時間内にできるだけ長く放電するために電池残量情報を参照したり、放電容量情報と、電力監視部52が別途取得する負荷容量情報を参照しながら逆潮流が発生する可能性も加味した上で放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出する。
【0128】
また、管理通信部55は、通信ネットワークNを介して電気事業者が提供するピークシフト情報を取得すると共に管理電力制御部54に当該情報を送信し、管理電力制御部54は、算出された放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に放電を行う時間を示して管理通信部55から対象のアクティブインバーター蓄電装置1に有線通信または無線通信により送信する。
【0129】
蓄電池通信部9により放電の開始・終了時間を受信した対象のアクティブインバーター蓄電装置1は、蓄電池制御部8から所定の時間に放電を開始し終了するよう制御スイッチ部3等を制御する。
【0130】
なお、宅内配電網Tには既に商用電力Vが供給されているため、2系統同期・非同期部6により、商用電力Vの位相と周波数を蓄電側ゼロクロス回路7により検出し、検出された位相と周波数に整えて同期させ、制御スイッチ部3から宅内配電網Tに電力が出力される。
【0131】
また、選択されなかった放電させないアクティブインバーター蓄電装置1は充電を行うことになる。
【0132】
このように、本実施形態では
図8に示す放電概要70に従ってアクティブインバーター蓄電装置1からの放電やアクティブインバーター蓄電装置1への充電が行われる。
【0133】
なお、管理装置50には、内部時計を有することが望ましく、各アクティブインバーター蓄電装置1との通信時に各アクティブインバーター蓄電装置1が有する内部時計の値を管理装置50の値と合わせておけば、管理装置50が有する内部時計に基づいて放電を開始させることも可能となり、以下の実施形態でも同様の構成を含むことができる。
【0134】
また、本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAを構成する管理装置50は、L1-N間またはL2-N間の何れか一方のみに電力が供給されている宅内配電網Tにおいて、電力監視部52が取得するアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報に基づいて管理電力制御部54により放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出すると共に、管理通信部55を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始時間または/及び予め管理電力制御部54に設定された放電の開始時間に、管理通信部55を介して放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に無線通信により電力監視部52が作成したゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電を同時に開始させ、しかも、管理通信部55を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の終了時間または/及び予め管理電力制御部54に設定された放電の終了時間に、放電中のアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することでアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの電力の供給を停止するよう構成している。
【0135】
なお、本実施形態において宅内配電網TのL1-N間またはL2-N間の何れか一方のみに電力が供給されている状況とは、商用電力Vの供給が停止した後述する停電時に何れかの電力系統のアクティブインバーター蓄電装置1が稼動していることが想定される。
【0136】
例えば、L1-N間のアクティブインバーター蓄電装置1aは稼動しており、L2-N間のアクティブインバーター蓄電装置1bが稼動していなければ、L2-N間だけでなく200Vが必要なL1-L2間にも電力が供給されていないため、L2-N間とL1-L2間に接続された負荷器機F2,Dを使用することはできない。
【0137】
なお、以下の説明では、L1-N間のアクティブインバーター蓄電装置1aは稼動しており、L2-N間のアクティブインバーター蓄電装置1bが稼動していない状況でL2-N間のアクティブインバーター蓄電装置1bに放電の開始と終了を動作させる例を示して説明する。
【0138】
また、放電容量情報と電池残量情報の取得方法や放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1の算出方法、ピークシフト情報の取得方法については上述の説明と同様のため割愛し、異なる点についてのみ説明する。
【0139】
まず、放電の開始時間と終了時間はピークシフト情報が示す時間帯であるか、予め管理電力制御部54に記憶させた時間帯が適用され、放電の開始情報とは、ゼロクロス点情報とゼロクロス点情報に基づいて放電を行うことを指示する情報であり、当該情報は管理通信部55から無線通信により対象のアクティブインバーター蓄電装置1bに一斉に送信される。
【0140】
ゼロクロス点情報は、電力監視部52により取得した放電中のL1-N間の電力の位相と周波数からなる情報であり、L2-N間でゼロクロス点情報に基づいて放電が行われればL1-N間とL2-N間で電力の位相を同期させることができる。
【0141】
従って、放電の開始時間に放電の開始情報を無線通信により受信した対象のアクティブインバーター蓄電装置1bは、ゼロクロス点情報に基づいて可及的に放電を開始する。なお、L2-N間に対象となる放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1が複数存在した場合、放電の開始情報を受信した全てのアクティブインバーター蓄電装置1はゼロクロス点情報に基づいて同時に放電を開始する。
【0142】
このように、放電の開始情報を無線通信により送受信することで有線通信の場合に比して瞬時に情報のやり取りを行うことができるため、取得したL1-N間のゼロクロス点情報を遅滞なくL2-N間での放電に寄与させることができ、L2-N間にもL1-N間の電力と同期した電力が放電され、L1-L2間には高品質な200Vの交流電力を供給することができる。
【0143】
また、放電の終了時間になると管理通信部55からL2-N間に接続されたアクティブインバーター蓄電装置1bに放電の終了情報が送信され、対象のアクティブインバーター蓄電装置1は放電を停止する。
【0144】
なお、放電の終了情報とは、単に対象のアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止を指示する情報であり、当該情報の送受信については有線通信であっても無線通信であっても構わない。
【0145】
このように、本実施形態では
図8に示す放電概要71に従って無線通信によりアクティブインバーター蓄電装置1からの放電が行われる。
【0146】
次に、本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAの停電~復電までの構成について説明を行う。
【0147】
本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAを構成する電力監視部52は、停電を検知して管理電力制御部54に通知すると共に、管理電力制御部54は、商用電力Vの3系統への電力の供給を遮断し、管理通信部55からアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することで宅内配電網Tへの電力の供給を停止するよう構成している。
【0148】
具体的には、商用電力Vを監視している電力監視部52は、停電により商用電力Vから宅内配電網Tへの電力の供給が停止したことを検知し、停電したことを管理電力制御部54に送信すると共に、管理電力制御部54は、管理通信部55を介して少なくともL1-N間、L2-N間、L1-L2間の各サブブレーカSB1~SB4を遮断する。
【0149】
以後、復電するまで各サブブレーカSB1~SB4は遮断され、外部から宅内配電網Tへの意図しない電力の供給や、宅内配電網Tからの逆潮流の防止を図る。なお、管理電力制御部54によりメインブレーカMBを遮断するよう構成してもよい。
【0150】
また、管理電力制御部54は管理通信部55を介して宅内配電網Tに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することでアクティブインバーター蓄電装置1からの放電を停止させる。
【0151】
なお、管理通信部55から送信される各サブブレーカSB1~SB4の遮断とアクティブインバーター蓄電装置1への放電の停止情報の送信は有線通信であっても無線通信であっても構わない。
【0152】
このように、停電時にアクティブインバーター蓄電装置1を停止させるのは、宅内配電網Tからの逆潮流の防止と、宅内配電網Tの電力をゼロとしてフラットな状態で再びアクティブインバーター蓄電装置1からの放電を開始させるためである。
【0153】
また、電力の供給の無い停電時に上述のような動作を可能としているのは、
図7に示すように管理装置50が有するバックアップ蓄電池56による。
【0154】
また、各サブブレーカSB1~SB4の遮断とアクティブインバーター蓄電装置1への放電の停止を電力監視部52により確認することで以下のようにして停電中の宅内配電網Tにアクティブインバーター蓄電装置1から放電が開始される。
【0155】
本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAを構成する管理装置50は、電力の供給が停止している宅内配電網Tに電力の供給を開始させるために、電力監視部52が取得するアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報に基づいて管理電力制御部54により放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出すると共に、管理通信部55を介して放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に無線通信により放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電を同時に開始させるよう構成している。
【0156】
なお、以下の説明では、L1-N間とL2-N間に少なくとも各1台の放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1a,1bが接続されている状況でL1-N間とL2-N間のアクティブインバーター蓄電装置1a,1bに放電を開始させる例を示して説明する。
【0157】
また、放電容量情報と電池残量情報の取得方法や放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1の算出方法については上述の説明と同様のため割愛し、異なる点についてのみ説明する。
【0158】
まず、管理電力制御部54により算出された放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1a,1bに対して管理通信部55から無線通信により放電の開始情報が一斉に送信される。なお、ここでは放電の開始情報とは、単に対象のアクティブインバーター蓄電装置1に放電を行うことを指示する情報である。
【0159】
放電の開始情報を無線通信により受信した対象のアクティブインバーター蓄電装置1a,1bは、可及的に放電を開始する。なお、L1-N間やL2-N間に対象となる放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1が複数存在した場合、放電の開始情報を受信した全てのアクティブインバーター蓄電装置1は同時に放電を開始する。
【0160】
なお、放電の開始情報を受信したアクティブインバーター蓄電装置1から放電される電力は、各アクティブインバーター蓄電装置1が備える同様のゼロクロス点情報に基づいて放電されるよう構成することが望ましい。
【0161】
このように、放電の開始情報を無線通信により送受信することで有線通信の場合に比して瞬時に情報のやり取りを行うことができるため、取得した放電の開始情報を遅滞なくL1-N間とL2-N間での放電に寄与させることができ、L1-N間とL2-N間には互いに電力の位相が同期した状態で放電され、停電時であってもL1-L2間には高品質な200Vの交流電力を供給することができる。
【0162】
また、放電の開始情報は、上述のように電力監視部52が作成したゼロクロス点情報を含むものであってもよい。
【0163】
この場合、放電の開始情報を無線通信により受信した対象のアクティブインバーター蓄電装置1は、ゼロクロス点情報に基づいて可及的に放電を開始する。
【0164】
このように、管理装置50で一元化されたゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を無線通信により送受信することで有線通信の場合に比して瞬時に情報のやり取りを行うことができ、L1-N間とL2-N間には互いに電力の位相が同期した状態で放電され、停電時であってもL1-L2間には高品質な200Vの交流電力を供給することができる。
【0165】
すなわち、本実施形態では
図8に示す放電概要72に従って無線通信によりアクティブインバーター蓄電装置1からの放電が行われる。
【0166】
また、アクティブインバーター蓄電装置1の放電中に商用電力Vが復電した場合は、以下のようにして復電が実行される。
【0167】
本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAを構成する電力監視部52は、復電を検知して管理電力制御部54に通知すると共に、管理電力制御部54は、管理通信部55を介して放電中のアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することで宅内配電網Tへの電力の供給を停止した後、商用電力Vの3系統への電力の供給を開始するよう構成している。
【0168】
具体的には、管理電力制御部54は管理通信部55を介して宅内配電網Tに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することで、放電中のアクティブインバーター蓄電装置1からの放電を停止させる。
【0169】
なお、管理電力制御部54によりメインブレーカMBを遮断するよう構成していた場合はメインブレーカMBも接続する。
【0170】
また、商用電力Vを監視している電力監視部52は、復電により商用電力Vからの宅内配電網Tへの電力の供給が開始されたことを検知し、復電したことを管理電力制御部54に送信すると共に、管理電力制御部54は、管理通信部55を介して、遮断されていたL1-N間、L2-N間、L1-L2間の各サブブレーカSB1~SB4を接続する。
【0171】
なお、管理通信部55から送信される各サブブレーカSB1~SB4の接続とアクティブインバーター蓄電装置1への放電の停止情報の送信は有線通信であっても無線通信であっても構わない。
【0172】
このように、復電時にアクティブインバーター蓄電装置1を停止させるのは、宅内配電網Tからの逆潮流の防止を図るためである。
【0173】
以上説明したように、本実施形態に係るアクティブインバーターシステムAは、宅内のL1-N間及びL2-N間に配設された宅内コンセントEに接続されるアクティブインバーター蓄電装置1と、アクティブインバーター蓄電装置1よりも上流に設置され、電力の逆潮流とアクティブインバーター蓄電装置1の充放電を管理制御する単相三線式の配電方式下において稼動する管理装置50と、からなるアクティブインバーターシステムAであって、管理装置50は、商用電力VのL1-N間、L2-N間及びL1-L2間の電力を検知して監視する電力監視部52と、当該3系統の電力を制御する管理電力制御部54と、宅内及び外部との通信を行う管理通信部55と、で構成したことより、ピークシフトのアクションや、停電時・復電時の充放電をアクティブインバーター蓄電装置1に実行させることができ、しかも、放電時の逆潮流を監視して防止することができる。
【0174】
また、電力監視部52は、宅内コンセントEに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報、及び宅内コンセントEに接続された家電製品等の負荷器機Fの負荷容量情報を管理通信部55を介して取得するよう構成したことより、宅内配電網Tに接続されたアクティブインバーター蓄電装置1と負荷器機Fの情報を管理装置50が認識できるので、ピークシフトや停電時・復電時に負荷器機Fとのバランスを考慮した最適なアクティブインバーター蓄電装置1を選択して稼動させることができる。
【0175】
また、電力監視部52は、電力の位相を検出して電力の位相を示すゼロクロス点情報を作成する管理側ゼロクロス回路53を備えたことより、停電時に、管理電力制御部54から管理通信部55を介して宅内配電網Tの各電力系統に設置された各アクティブインバーター蓄電装置1にゼロクロス点情報を送信することで各電力系統の電力の位相を同期させることができる。
【0176】
また、管理装置50は、商用電力Vが供給されている宅内配電網Tにおいて、電力監視部52が取得するアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報に基づいて管理電力制御部54により放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出すると共に、管理通信部55を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始・終了時間または/及び予め管理電力制御部54に設定された放電の開始・終了時間に、管理通信部55を介して放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電を開始・終了させるよう構成したことより、放電に最適なアクティブインバーター蓄電装置1を稼動させることができるので、商用電力Vの消費を効率よく抑制することができる。
【0177】
また、L1-N間またはL2-N間の何れか一方のみに電力が供給されている宅内配電網Tにおいて、電力監視部52が取得するアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報に基づいて管理電力制御部54により放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出すると共に、管理通信部55を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の開始時間または/及び予め管理電力制御部54に設定された放電の開始時間に、管理通信部55を介して放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に無線通信により電力監視部52が作成したゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電を同時に開始させ、しかも、管理通信部55を介して取得したピークシフト情報に基づく放電の終了時間または/及び予め管理電力制御部54に設定された放電の終了時間に、放電中のアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することでアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの電力の供給を停止するよう構成したことより、少なくとも、電力が流れていない電力系統の異なるL1-N間またはL2-N間に設置された放電に最適なアクティブインバーター蓄電装置1に対して無線通信によりゼロクロス点情報を含む放電の開始情報を電力線搬送通信等に比してタイムロスなく瞬時に伝えることができるので、L1-N間またはL2-N間の何れか一方に既に流れている電力に対して電力が流れていなかった電力系統に位相ずれなく同期させ放電することが可能となり、L1-L2間に高品質の200V電力を給電することができる。
【0178】
また、電力監視部52は、停電を検知して管理電力制御部54に通知すると共に、管理電力制御部54は、商用電力Vの3系統への電力の供給を遮断し、管理通信部55からアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することで宅内配電網Tへの電力の供給を停止するよう構成したことより、停電時の逆潮流を防止することができる。
【0179】
また、管理装置50は、電力の供給が停止している宅内配電網Tに電力の供給を開始させるために、電力監視部52が取得するアクティブインバーター蓄電装置1の放電容量情報と電池残量情報に基づいて管理電力制御部54により放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1を算出すると共に、管理通信部55を介して放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1に無線通信により放電の開始情報を一斉に送信することで放電可能なアクティブインバーター蓄電装置1から宅内配電網Tへの放電を同時に開始させるよう構成したことより、電力系統の異なるL1-N間とL2-N間に設置された放電に最適なアクティブインバーター蓄電装置1に対して放電の開始情報を電力線搬送通信等に比してタイムロスなく瞬時に伝えることができるので、L1-N間とL2-N間で同期する位相ずれのない放電を行うことが可能となり、L1-L2間に高品質の200V電力を給電することができる。
【0180】
更に、電力監視部52は、復電を検知して管理電力制御部54に通知すると共に、管理電力制御部54は、管理通信部55を介して放電中のアクティブインバーター蓄電装置1に放電の停止情報を送信することで宅内配電網Tへの電力の供給を停止した後、商用電力Vの3系統への電力の供給を開始するよう構成したことより、復電時の逆潮流を防止することができる。
【0181】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0182】
A アクティブインバーターシステム
E 宅内コンセント
F 負荷器機
T 宅内配電網
1 アクティブインバーター蓄電装置
4 アクティブインバーター
5 蓄電池
6 2系統同期・非同期部
7 蓄電側ゼロクロス回路
8 蓄電池制御部
9 蓄電池通信部
50 管理装置
52 電力監視部
53 管理側ゼロクロス回路
54 管理電力制御部
55 管理通信部