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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】釣竿及び竿体
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A01K87/00 630A
A01K87/00 610Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018177096
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020043839
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一真
(72)【発明者】
【氏名】岩田 壮司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 剛
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 晃
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-345365(JP,A)
【文献】特開2003-339279(JP,A)
【文献】特開平10-210891(JP,A)
【文献】特開2011-200192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00-87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実状の竿体を備えた釣竿であって、
前記竿体は、
前記竿体の全長の長さを有し、強化繊維が前記竿体の中心線の方向に沿っている繊維強化樹脂製のソリッド体と、
前記ソリッド体の外側全長に形成された筒状の主層とを備え、
前記ソリッド体は、後側に向けて所定のテーパ率で拡径する前部と、前記前部のテーパ率よりも小さいテーパ率で後側に向けて拡径する又は径一定である後部とを有し、
前記主層は、複数のシート状のプリプレグがそれぞれ別々に巻回されて形成された複数のプリプレグ層を有し、
前記複数のプリプレグ層の各前端部は、外側のプリプレグ層ほど前側に位置し、前記複数のプリプレグ層のうち最も外側に位置する最外のプリプレグ層は、前記竿体の全長に亘って形成されており、
前記最外のプリプレグ層は、強化繊維が前記竿体の中心線の方向に沿っている第一シートと強化繊維の織布からなる第二シートとが貼り合わせられた積層シートが、第一シートが外側となるようにして巻回されたものである、釣竿。
【請求項2】
前記複数のプリプレグ層のうち最も内側に位置する最内のプリプレグ層の前端部は、前記ソリッド体の前部と後部との境界部の近傍に位置する、請求項記載の釣竿。
【請求項3】
前記複数のプリプレグ層のうち前記最外のプリプレグ層よりも内側に位置するプリプレグ層の強化繊維は、前記竿体の中心線の方向に沿っている請求項1又は2記載の釣竿。
【請求項4】
前記第二シートの強化繊維は、前記竿体の中心線の方向と前記竿体の周方向に沿っている請求項1乃至3の何れかに記載の釣竿。
【請求項5】
前端部に穂先部を有し、後端部に雄側ジョイント部を有する中実状の第一竿体と、前端部に前記雄側ジョイント部が着脱自在に挿入される雌側ジョイント部を有し、後端部に竿尻部を有する中空状の第二竿体とを備え、
前記第一竿体は、
前記第一竿体の全長の長さを有し、強化繊維が前記第一竿体の中心線の方向に沿っている繊維強化樹脂製のソリッド体と、
前記ソリッド体の外側全長に形成された筒状の主層とを備え、
前記ソリッド体は、後側に向けて所定のテーパ率で拡径する前部と、前記前部のテーパ率よりも小さいテーパ率で後側に向けて拡径する又は径一定である後部とを有し、
前記主層は、複数のシート状のプリプレグがそれぞれ別々に巻回されて形成された複数のプリプレグ層を有し、
前記複数のプリプレグ層の各前端部は、外側のプリプレグ層ほど前側に位置し、前記複数のプリプレグ層のうち最も外側に位置する最外のプリプレグ層は、前記第一竿体の全長に亘って形成されており、
前記最外のプリプレグ層は、強化繊維が前記第一竿体の中心線の方向に沿っている第一シートと強化繊維の織布からなる第二シートとが貼り合わせられた積層シートが、第一シートが外側となるようにして巻回されたものである、釣竿。
【請求項6】
前記第一竿体の外周面に釣糸ガイドが装着され前記第二竿体の外周面には、リールシートが装着されている、請求項5記載の釣竿。
【請求項7】
中実状の竿体であって、
前記竿体の全長の長さを有し、強化繊維が前記竿体の中心線の方向に沿っている繊維強化樹脂製のソリッド体と、
前記ソリッド体の外側全長に形成された筒状の主層とを備え、
前記ソリッド体は、後側に向けて所定のテーパ率で拡径する前部と、前記前部のテーパ率よりも小さいテーパ率で後側に向けて拡径する又は径一定である後部とを有し、
前記主層は、複数のシート状のプリプレグがそれぞれ別々に巻回されて形成された複数のプリプレグ層を有し、
前記複数のプリプレグ層の各前端部は、外側のプリプレグ層ほど前側に位置し、前記複数のプリプレグ層のうち最も外側に位置する最外のプリプレグ層は、前記竿体の全長に亘って形成されており、
前記最外のプリプレグ層は、強化繊維が前記竿体の中心線の方向に沿っている第一シートと強化繊維の織布からなる第二シートとが貼り合わせられた積層シートが、第一シートが外側となるようにして巻回されたものである、釣竿の竿体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中実状の竿体を備えた釣竿と竿体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の釣竿は、ソリッド体の外側にプリプレグが巻回されている。プリプレグの強化繊維はソリッド体の中心線の方向に沿った、いわゆる縦方向繊維である。この縦方向繊維は、曲げ強度に対して有効である。一方、縦方向繊維同士の間は樹脂であるため、縦方向繊維同士の間に亀裂が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-136869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、亀裂の発生を抑制できる釣竿と竿体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る釣竿は、中実状の竿体を備え、該竿体のブランクは、ブランクの全長の長さを有するソリッド体と、ソリッド体の外側に形成されたプリプレグからなる筒状の主層とを備え、主層は、強化繊維が竿体の中心線の方向に沿っているプリプレグから主層の全長に亘って形成された縦繊維プリプレグ層と、強化繊維の織布からなるプリプレグから主層の全長に亘って形成された織布プリプレグ層とを有している。
【0006】
竿体の中心線の方向に沿った強化繊維を縦方向繊維と称する。上記釣竿の中実状の竿体のブランクの主層は、縦方向繊維のプリプレグからなる縦繊維プリプレグ層と強化繊維の織布のプリプレグからなる織布プリプレグ層とを有している。縦繊維プリプレグ層と織布プリプレグ層は何れも主層の全長に亘って形成されている。主層の全長に亘って形成された縦繊維プリプレグ層によって曲げ強度を確保することができる。そして、主層の全長に亘って形成された織布プリプレグ層によって縦方向繊維同士の間の亀裂の発生を抑制することができる。
【0007】
特に、縦繊維プリプレグ層と織布プリプレグ層は、強化繊維が竿体の中心線の方向に沿っている第一シートと、強化繊維の織布からなる第二シートとが貼り合わせられた積層シートにより形成されていることが好ましい。このような積層シートを用いることにより、強化繊維の織布からなるプリプレグを容易に主層の全長に亘って巻回することができる。また、積層シートを用いることにより、織布プリプレグ層を縦繊維プリプレグ層に隣接させることができる。そのため、縦繊維プリプレグ層における亀裂の発生を、隣接する織布プリプレグ層によって抑制することができる。尚、積層シートが部分的あるいは全長に亘って一巻き(1プライ)を越えて巻回されていると、縦繊維プリプレグ層における亀裂の発生をより一層抑制することができ、亀裂の内側への進行も抑制できる。
【0008】
更に、積層シートから形成されたプリプレグ層は、主層の最外のプリプレグ層であり、主層は、積層シートから形成されたプリプレグ層の内側に、主層の全長よりも短いプリプレグから形成された一又は複数のプリプレグ層を有していることが好ましい。竿体が曲がった際に主層の外周面において発生しやすい亀裂を、最外のプリプレグ層における織布プリプレグ層によって効果的に抑制できる。また、積層シートからなるプリプレグ層の内側に、主層の全長よりも短いプリプレグからなる一又は複数のプリプレグ層を有していることにより、ソリッド体が過剰に太くなることを防止できてブランクを軽量化できる。
【0009】
更に、主層の全長よりも短いプリプレグから形成された一又は複数のプリプレグ層の強化繊維は、竿体の中心線の方向に沿っていることが好ましい。主層の全長よりも短い縦繊維プリプレグから形成された一又は複数の縦繊維プリプレグ層と、主層の全長に亘って形成された縦繊維プリプレグ層とによって、竿体のブランクの曲げ強度を容易に確保することができる。そして、織布プリプレグ層によって縦方向繊維同士の間の亀裂の発生を抑制できる。
【0010】
更に、ソリッド体は、後側に向けて所定のテーパ率で拡径する前部と、該前部のテーパ率よりも小さいテーパ率で後側に向けて拡径する又は径一定である後部とを有し、主層は、ソリッド体の全長に亘って形成されており、主層は、縦繊維プリプレグ層及び織布プリプレグ層の内側に、主層の全長よりも短いプリプレグから形成された複数のプリプレグ層を有し、該複数のプリプレグ層の後端部はそれぞれソリッド体の後端部に位置し、且つ、複数のプリプレグ層の前端部は外側のプリプレグ層ほど前側に位置していることが好ましい。ソリッド体の後部のテーパ率を前部のテーパ率よりも小さくすることによって、ソリッド体を軽量化することができる。そして、主層によって竿体の調子を設定でき、特に、竿体の後部の調子を主層によって容易に設定できる。また、縦繊維プリプレグ層及び織布プリプレグ層の内側に、主層の全長よりも短いプリプレグをソリッド体の主として後部に巻回することで、ブランクの後部におけるテーパ率を徐々に前部のテーパ率に近づけていくことができる。そのため、縦繊維プリプレグ層を形成するためのプリプレグと織布プリプレグ層を形成するためのプリプレグを綺麗に巻回できる。
【0011】
また、織布の強化繊維は、竿体の中心線の方向と竿体の周方向に沿っていることが好ましく、縦方向繊維による亀裂の発生を効果的に抑制できる。
【0012】
また、本発明に係る釣竿は、前端部に穂先部を有し、後端部に雄側ジョイント部を有する中実状の第一竿体と、前端部に第一竿体の雄側ジョイント部が着脱自在に挿入される雌側ジョイント部を有し、後端部に竿尻部を有する中空状の第二竿体とを備え、第一竿体のブランクは、ブランクの全長の長さを有するソリッド体と、ソリッド体の外側に形成されたプリプレグからなる筒状の主層とを備え、主層は、強化繊維が竿体の中心線の方向に沿っているプリプレグから主層の全長に亘って形成された縦繊維プリプレグ層と、強化繊維の織布からなるプリプレグから主層の全長に亘って形成された織布プリプレグ層とを有している。
【0013】
該構成の釣竿は、前側の第一竿体と後側の第二竿体という二つの竿体から構成されている。そして前側の第一竿体を中実状とすることで粘りのある調子を出すことができ、また、後側の第二竿体を中空状とすることで、釣竿が重くなり過ぎることを防止できて軽量化することができる。
【0014】
また、第一竿体は、釣竿の全ての釣糸ガイドを備え、第二竿体は、リールシートを備えていることが好ましい。第一竿体によって手元付近まで粘りのある調子を出すことができ、ワンピースロッドに近い調子を出すことができる。しかも、リールシートを備えた第二竿体は中空状とすることで、釣竿を軽量化できる。更に、第一竿体が全ての釣糸ガイドを備えているので、例えば、第二竿体に他の仕様の第一竿体を取り付けて使用することもできる。即ち、第一竿体と第二竿体を適宜組み合わせて使用することができる。
【0015】
また、本発明に係る釣竿の竿体は、中実状の竿体であって、竿体のブランクは、ブランクの全長の長さを有するソリッド体と、ソリッド体の外側に形成されたプリプレグからなる筒状の主層とを備え、主層は、強化繊維が竿体の中心線の方向に沿っているプリプレグから主層の全長に亘って形成された縦繊維プリプレグ層と、強化繊維の織布からなるプリプレグから主層の全長に亘って形成された織布プリプレグ層とを有している。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、主層の全長に亘る縦繊維プリプレグ層によって曲げ強度を確保でき、主層の全長に亘る織布プリプレグ層によって縦方向繊維間の亀裂の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における釣竿の分離状態を示す正面図。
図2】同釣竿の連結状態を示す正面図。
図3】同釣竿の第一竿体のブランクを示す正面図。
図4】同ブランクを示す要部斜視図。
図5】同ブランクの製造工程を示す正面図。
図6】本発明の他の実施形態における釣竿の第一竿体のブランクを示す要部斜視図。
図7】本発明の他の実施形態における釣竿の第一竿体のブランクの製造工程を示す正面図。
図8】本発明の他の実施形態における釣竿を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る釣竿及び竿体について図1図5を参酌しつつ説明する。本実施形態における釣竿は、図示しないリールを装着して使用する釣竿である。リールは両軸リールや片軸リールであってもよいし、スピニングリールであってもよいが、本実施形態では両軸リールを取り付けて使用するのに適したものである。両軸リールは、通常、使用状態において釣竿の上側に位置する。釣竿は、複数の釣糸ガイド3を備えている。釣糸ガイド3は、ブランクの外側に位置する、いわゆる外ガイド式のものである。釣糸ガイド3は、両軸リールを使用する場合、通常、使用状態において釣竿の上側に位置する。尚、釣糸ガイド3は、本実施形態では全てブランクに接着固定された固定ガイドであるが、ブランクに対して摺動可能であって所定位置に摩擦抵抗により固定される遊動ガイド(移動ガイド)を含んでいてもよい。釣竿は、種々の対象魚、用途に使用できるが、特には船釣りに適している。
【0019】
図1及び図2に本実施形態の釣竿の全体を示している。釣竿の構成は任意であって、ワンピースロッドや振出竿であってもよいが、本実施形態では二本継ぎの構成である。本実施形態の釣竿は、釣竿の前部を構成する第一竿体1と、釣竿の後部を構成する第二竿体2という二つの竿体から構成されている。図1は第一竿体1と第二竿体2とを分離した状態を示しており、図2は第一竿体1と第二竿体2を互いに連結、継ぎ合わせた状態を示している。
【0020】
第一竿体1は中実状であり、第二竿体2は中空状である。第一竿体1は、中実状のブランク10を備えており、第二竿体2は中空状のブランク20を備えている。第一竿体1は、釣竿の全長のうちの大部分の長さを占めていて、釣竿の主要部を構成している。第一竿体1は釣竿の全長のうち少なくとも半分を越える長さを有している。即ち、第一竿体1は第二竿体2よりも長い。第一竿体1は、前端部に釣竿の穂先部を有し、後端部には第二竿体2と継ぎ合わせるための雄側ジョイント部11を有している。第二竿体2は、前端部に第一竿体1と継ぎ合わせるための雌側ジョイント部21を有し、後端部には釣竿の竿尻部を有している。第二竿体2の雌側ジョイント部21には第一竿体1の雄側ジョイント部11が着脱自在に挿入される。第一竿体1と第二竿体2との間の継ぎ方式は並継ぎである。従って、雄側ジョイント部11の外周面と雌側ジョイント部21の内周面との間の摩擦抵抗によって第一竿体1は第二竿体2の前側に継ぎ合わせられる。但し、継ぎ方式は種々であってよい。
【0021】
第一竿体1は、釣竿の全ての釣糸ガイド3を備えている。従って、第二竿体2は釣糸ガイド3を備えていない。第二竿体2は、その前端部近傍にリールシート4を備えている。このリールシート4に両軸リールが取り付けられる。リールシート4の構成は任意であるが、本実施形態では下面にトリガ5を有している。リールシート4は筒状であって第二竿体2のブランク20の外側に直接あるいは筒状のスペーサを介して接着固定されている。また、リールシート4は、前側に移動フード6とそれを移動させるためのナット7とを備えている、いわゆるフロントロック構造のリールシート4である。図1のような分離状態において、ナット7と移動フード6を第二竿体2の前端部から前側に取り外すことができる。
【0022】
第二竿体2は、リールシート4の後側にグリップ部22,23を備えている。グリップ部22,23は例えば発泡EVAやコルク等のグリップ素材から構成されていて、ブランク20の外側に接着固定されている。グリップ部22,23は前後二箇所に設けられていて、前側の第一グリップ部22と後側の第二グリップ部23とを有している。第一グリップ部22はリールシート4の直後に位置する。第二グリップ部23は第一グリップ部22から後側に離れて位置し、第二竿体2の後端部に位置する。尚、グリップ部22,23は一つのみであってもよい。第二竿体2の雌側ジョイント部21はブランク20の前端部所定長さ領域により構成されている。雌側ジョイント部21はその大部分がリールシート4の内側に位置している。従って、リールシート4の内側において第一竿体1は第二竿体2に継ぎ合わせられる。第二竿体2のブランク20は、マンドレルにプリプレグを巻回することによって形成される。
【0023】
図3に第一竿体1のブランク10の全体を示しており、図4にはそのブランク10の部分的な斜視図を示しており、図5にはブランク10の構成及びその製造工程の概略を示している。図4のように、ブランク10は、ソリッド体30と、ソリッド体30の外側を覆う筒状の主層31と、該主層31の外側に形成された外層としてのクロステープ層32と、二点鎖線で示すようにクロステープ層32の外側に形成された塗装層34とを備えている。
【0024】
<ソリッド体30>
ソリッド体30は、繊維強化樹脂製であって、その強化繊維としては例えばガラス繊維やカーボン繊維が使用され、好ましくはカーボン繊維である。ソリッド体30の強化繊維は、ソリッド体30の中心線の方向に沿っていて、いわゆる縦方向繊維である。ソリッド体30は、本実施形態では、図5のように、前端部から後端部に向けて徐々に大径となるテーパ形状であって、そのテーパ率は例えば2/1000~5/1000程度である。ソリッド体30のテーパ率は全長に亘って一定であるが、一定でなくてもよい。ソリッド体30は、ブランク10の全長に対応した長さを有している。
【0025】
<主層31>
主層31は、筒状であってソリッド体30の全長に亘って形成されている。従って、主層31は、ブランク10の全長に亘って形成されている。ソリッド体30の全長が主層31によって覆われており、主層31の前端部はソリッド体30の前端部30aに位置し、主層31の後端部はソリッド体30の後端部30bに位置している。主層31の厚さは、前端部から後端部にかけて徐々に厚くなっている。主層31は、プリプレグ41,42,43から形成されている。主層31は、主層31の全長に亘って即ちブランク10の全長に亘って、強化繊維が縦方向繊維である縦繊維層を有している。縦繊維層は、強化繊維が縦方向繊維である複数の縦繊維プリプレグから形成された複数の縦繊維プリプレグ層により構成されている。
【0026】
主層31の後端部におけるプリプレグ41,42,43の総プライ数(全体の巻き数)は、主層31の前端部におけるプリプレグ41,42,43の総プライ数よりも多い。主層31の前端部におけるプリプレグ41,42,43の総プライ数は例えば1プライ(一巻き)であり、主層31の後端部におけるプリプレグ41,42,43の総プライ数は2プライ以上であって、例えば2プライ~6プライである。
【0027】
具体的には、図5のように、主層31は、三枚のシート状のプリプレグ41,42,43から構成されている。尚、図5ではプリプレグ41,42,43を簡略化して三角形状として図示しているが、各前端部41a,42a,43aは、先鋭ではなく所定幅を有していることが好ましい。プリプレグ41,42,43の前端部41a,42a,43aは、それぞれ1プライできる程度の幅寸法(周方向寸法)を有している。複数のプリプレグ41,42,43は、それぞれ一枚ずつ別々に巻回される。従って、主層31は、複数のプリプレグ41,42,43がそれぞれ別々に巻回されて形成された複数のプリプレグ層を有している。主層31を構成するプリプレグ41,42,43の枚数やサイズ、形状、配置等は任意であるが、本実施形態では、三枚のプリプレグ41,42,43から主層31が構成されている。
【0028】
主層31を構成するプリプレグ41,42,43は、内側のものほどソリッド体30の中心線の方向の長さが短く、外側のものほどソリッド体30の中心線の方向の長さが長くなっていて前側に延びている。主層31は、最も内側に位置する第一プリプレグ41から形成された第一プリプレグ層と、第一プリプレグ層の外側に位置し、第二プリプレグ42から形成された第二プリプレグ層と、第二プリプレグ層の外側に位置し、第三プリプレグ43から形成された第三プリプレグ層とにより構成されている。第三プリプレグ層は主層31の最外のプリプレグ層である。
【0029】
各プリプレグ41,42,43の後端部41b,42b,43bは互いに揃えられていてソリッド体30の後端部30bに位置している。各プリプレグ41,42,43の前端部41a,42a,43aは、外側のものほど前側に位置している。第一プリプレグ41の長さは最も短く、第二プリプレグ42は第一プリプレグ41よりも長く、第三プリプレグ43は第二プリプレグ42よりも長い。第三プリプレグ43はソリッド体30の全長に対応した長さを有している。第二プリプレグ42の前端部42aは第一プリプレグ41の前端部41aよりも前側に位置する。第三プリプレグ43の前端部43aは、第二プリプレグ42の前端部42aよりも前側に位置すると共に、ソリッド体30の前端部30aに位置する。このように主層31の最外のプリプレグ層である第三プリプレグ層の後端部はソリッド体30の後端部30bに位置し、その前端部はソリッド体30の前端部30aに位置している。
【0030】
第一プリプレグ41及び第二プリプレグ42の強化繊維は、例えばカーボン繊維であって、縦方向繊維である。従って、第一プリプレグ41と第二プリプレグ42は、何れも縦繊維プリプレグであり、第一プリプレグ41から形成された第一プリプレグ層と第二プリプレグ42から形成された第二プリプレグ層は、何れも縦繊維プリプレグ層である。
【0031】
第三プリプレグ43は、第一シート51と第二シート52が積層された積層シートである。第一シート51と第二シート52は同一形状である。第一シート51の強化繊維は縦方向繊維であり、第一シート51は、縦繊維プリプレグである。第一シート51の強化繊維は、好ましくはカーボン繊維である。第二シート52の強化繊維は織布からなり、第二シート52は、織布プリプレグである。織布は、第一竿体1の中心線の方向に沿った縦方向繊維と、第一竿体1の周方向に沿った横方向繊維とが互いに縦横織られたものである。織布の強化繊維は好ましくはガラス繊維である。積層シートである第三プリプレグ43は、第一シート51が外側となるように巻回されてもよいし、第二シート52が外側となるように巻回されてもよいが、本実施形態では、第一シート51が外側となるように巻回されている。従って、主層31の外周面、即ち主層31の最表面は、全体に亘って第三プリプレグ43の第一シート51から形成され、主層31の最表面は全長に亘って縦繊維プリプレグ層35により構成されている。積層シートである第三プリプレグ43から形成された第三プリプレグ層は、第一シート51から形成された縦繊維プリプレグ層35(図4参照)と第二シート52から形成された織布プリプレグ層36(図6参照)とが積層された構成である。また、主層31のうち第二シート52を除く部分の強化繊維は全て縦方向繊維であって好ましくは全てカーボン繊維である。従って、主層31のうち、第二シート52から形成された織布プリプレグ層36を除く部分は、全て縦方向繊維が強化繊維とされた縦繊維プリプレグから形成された縦繊維プリプレグ層である。本実施形態では、第一プリプレグ層と、第二プリプレグ層と、第三プリプレグ層のうちの縦繊維プリプレグ層35により、主層31の縦繊維層が構成されている。
【0032】
尚、各プリプレグ41,42,43の巻き数は任意であるが、一巻き(1プライ)以上が好ましく、一巻きを越える巻き数であることが好ましく、二巻き(2プライ)や三巻き(3プライ)であってよい。全長のうち少なくとも後部が一巻きを越える巻き数であることが好ましい。プリプレグ41,42,43の前端部41a,42a,43aにおける巻き数はそれぞれ1プライ以上であって、プリプレグ41,42,43の後端部41b,42b,43bにおける巻き数はそれぞれ前端部41a,42a,43aにおける巻き数と同じかそれよりも多く、それぞれ2プライ以上としてよい。従って、三枚のプリプレグ41,42,43から構成される本実施形態では、主層31の後端部におけるトータルの巻き数は、3プライ以上であって、特に6プライ以上であることが好ましい。
【0033】
<クロステープ層32>
クロステープ層32は、主層31の外周面の全長に亘って形成されている。クロステープ層32は、主層31をソリッド体30に押し付け、主層31の外周面の縦方向繊維を内側に押し付ける。クロステープ層32はブランク10の全長に亘って形成されている。クロステープ層32は、図4に拡大斜視図を示しているように、第一及び第二のテープ状のプリプレグ61,62がそれぞれ間隔をあけながら螺旋状に巻回されると共に互いに交差するように巻回されて形成されている。
【0034】
第一のテープ状のプリプレグ61は重なり合うことなく間隔をあけながらソリッド体30の外周面に螺旋状に巻回されている。第一のテープ状のプリプレグ61のピッチは任意であり、隣り合う第一のテープ状のプリプレグ61同士の間隔は任意であるが、例えば、隣り合う第一のテープ状のプリプレグ61同士の間隔は第一のテープ状のプリプレグ61の幅よりも大きい。
【0035】
第二のテープ状のプリプレグ62は、第一のテープ状のプリプレグ61の外側に巻回されている。第一のテープ状のプリプレグ61と第二のテープ状のプリプレグ62は、ソリッド体30の中心線の方向に対するリード角が互いに逆向きである。第一のテープ状のプリプレグ61と第二のテープ状のプリプレグ62は、合わせてX状となる。それぞれのリード角は、ソリッド体30の中心線に対して例えば45度である。図4のように、主層31の強化繊維の織布の交差方向とクロステープ層32の交差方向は互いに異なっており、互いに傾斜した関係にある。第二のテープ状のプリプレグ62のピッチは第一のテープ状のプリプレグ61のピッチと略同じである。第一及び第二のテープ状のプリプレグ61,62は、その強化繊維がそれぞれのプリプレグ61,62の長手方向に沿っていて途切れることなく連続している。強化繊維は例えばカーボン繊維である。
【0036】
尚、強化繊維同士の間には合成樹脂が含浸されている。従って、ソリッド体30や主層31、クロステープ層32には強化繊維の他に合成樹脂も存在している。含浸された合成樹脂の種類は種々であってよいが、ソリッド体30の合成樹脂とプリプレグ41,42,43の合成樹脂とは互いに異なるものであってよい。プリプレグ41,42,43の合成樹脂と第一及び第二のテープ状のプリプレグ61,62の合成樹脂は互いに同じものとすることができる。ソリッド体30の合成樹脂は例えば不飽和ポリエステル樹脂とすることができる。プリプレグ41,42,43の合成樹脂や第一及び第二のテープ状のプリプレグ61,62の合成樹脂は例えばエポキシ樹脂とすることができる。
【0037】
<雄側ジョイント部11>
雄側ジョイント部11は、ブランク10の後端部所定長さ領域により構成されている。雄側ジョイント部11の長さは任意であり、例えば数十mm程度である。ブランク10の後端部所定長さ領域には補助プリプレグ70が巻回されて補助層33が形成されている。補助プリプレグ70はクロステープ層32の外側に巻回されており、補助層33はクロステープ層32の外側を覆っている。補助プリプレグ70の幅は雄側ジョイント部11の長さに対応している。従って、補助層33は、ブランク10の全長のうち雄側ジョイント部11のみに形成されている。ブランク10の全長のうち補助プリプレグ70が巻回された領域から雄側ジョイント部11が形成されている。補助層33の外周面を研磨して所定の外径とすることで、雄側ジョイント部11の外周面が形成されていて、雄側ジョイント部11が雌側ジョイント部21にしっかりと挿入固定できる。尚、補助層33の表面からクロステープ層32が一部露出していてもよい。
【0038】
<塗装層34>
塗装層34はブランク10の外周面の全体に形成されることが好ましいが、一部のみに形成されていてもよい。雄側ジョイント部11を除く全領域に塗装層34を形成してもよい。クロステープ層32の上に塗装層34を設けることによってブランク10の表面を滑らかにすることができる。尚、塗装層34は省略してもよい。
【0039】
以上のように構成された釣竿にあっては、前側の中実状の第一竿体1と後側の中空状の第二竿体2という二つの竿体から構成されている。前側の第一竿体1が中実状であるため、粘りのある調子を出すことができる。また、後側の第二竿体2が中空状であるため、釣竿が重くなり過ぎることを防止でき、粘りのある釣竿でありながらも軽量化することができる。
【0040】
特に、第一竿体1が釣竿の主要部を構成していてその第一竿体1には釣竿の全ての釣糸ガイド3が設けられているので、バット部あるいはその近傍まで粘りのある調子を容易に出すことができる。いわゆるワンピースロッドに近い調子を出すことができる。更に、第一竿体1が全ての釣糸ガイド3を備えているので、例えば、第二竿体2に他の仕様の第一竿体1を取り付けて使用することもできる。即ち、第一竿体1と第二竿体2を適宜組み合わせて使用することができる。しかも、リールシート4や第一グリップ部22、第二グリップ部23を備えた第二竿体2は中空状であるので、ワンピースロッドに比して釣竿を軽量化できる。第二竿体2の雌側ジョイント部21は筒状のリールシート4の内側に位置しているので、第一竿体1の雄側ジョイント部11から第二竿体2の雌側ジョイント部21及びリールシート4を介して手に振動が伝達される。また、リールシート4を持つ手の直ぐ前側の位置まで第一竿体1が延びているので、手元付近まで大きく曲がる調子を出すこともできる。
【0041】
また、釣竿の主要部、即ち釣竿の半分を越える長さを有する第一竿体1においては、ソリッド体30の外側全長に主層31が形成されているので、主層31によって曲げ強度を確保することができ、ソリッド体30を細くできて軽量化できる。特に、ソリッド体30の強化繊維が縦方向繊維であって、更に、主層31の強化繊維は織布を除いて全て縦方向繊維であるので、第一竿体1のブランク10の曲げ強度を容易に確保することができる。また、ソリッド体30の強化繊維と主層31の織布を除いた強化繊維を何れもカーボン繊維とすることで、粘りながらも張りのある調子を出すことができる。
【0042】
更に、第一プリプレグ41の前端部41aよりも第二プリプレグ42の前端部42aが前側に位置し、第二プリプレグ42の前端部42aよりも第三プリプレグ43の前端部43aが前側に位置しているので、第一竿体1が大きく曲がった際において、第一プリプレグ層の前端部の剥離が第二プリプレグ層によって防止され、第二プリプレグ層の前端部の剥離が第三プリプレグ層によって防止される。そして、このように外側のプリプレグほど前側に長く形成することで、ソリッド体30のテーパ率を大きくすることなく、第一竿体1の中間部から後端部にかけての曲げ強度を容易に確保することができる。
【0043】
そして、主層31の最外のプリプレグ層である第三プリプレグ層がソリッド体30の全長を覆っているので、ソリッド体30の露出が防止され、主層31の前端部におけるソリッド体30からの剥離も防止できる。更に、主層31がソリッド体30の全長を覆っていることによって、スムーズなベンディングカーブが得られる。特に、第三プリプレグ層の縦繊維プリプレグ層35がソリッド体30の全長を覆っているので、スムーズなベンディングカーブが得られ、ブランク10の曲げ強度を確保できる。また、主層31の縦繊維層が全長に亘って形成されていて、縦繊維層の後端部における巻き数が前端部の巻き数よりも多くて2プライ以上であるので、ソリッド体30を細くできて軽量化でき、しかも、必要な曲げ強度を確保できる。複数の縦繊維プリプレグが独立して巻回されて形成された複数の縦繊維プリプレグ層により主層31の縦繊維層が構成されているので、主層31の後端部における縦繊維層の巻き数を多い巻き数とすることが容易であり、主層31によって強度を容易に確保できて軽量化できる。但し、主層31の縦繊維層が一枚の縦繊維プリプレグから形成されてもよい。
【0044】
第一竿体1において、織布プリプレグ層36が包帯のように主層31の全長に亘って形成されているので、主層31の縦方向繊維同士の間の亀裂を抑制できる。主層31の最外層である第三プリプレグ層に織布プリプレグ層36が形成されているので、第一竿体1が曲がった際に外周面近傍で発生しやすい亀裂を織布プリプレグ層36によって効果的に抑制できる。特に、織布の強化繊維は、第一竿体1の中心線の方向と第一竿体1の周方向に沿っているので、縦方向繊維間の亀裂の発生を効果的に抑制できる。そして、クロステープ層32が縦繊維プリプレグ層35と織布プリプレグ層36を全長に亘って強く内側に押さえ付けるので、織布プリプレグ層36による亀裂発生抑制効果が高まる。
【0045】
また、積層シートである第三プリプレグ43を巻回することで縦繊維プリプレグ層35と織布プリプレグ層36とが形成されているので、強化繊維の織布を容易に主層の全長に亘って巻回することができる。また、積層シートを用いることにより、織布プリプレグ層36を縦繊維プリプレグ層35に隣接させることができ、縦繊維プリプレグ層35における亀裂の発生を、隣接する織布プリプレグ層36によって抑制することができる。しかも、積層シートの少なくとも後部が一巻きを越えて巻回されていて巻き数が2プライ以上であると、二層以上の織布プリプレグ層36が亀裂の内側への進行を抑制する。
【0046】
更に、主層31の外側にはクロステープ層32が全長に亘って形成されているので、第一竿体1の捻れ強度も確保することができる。そして、雄側ジョイント部11には、クロステープ層32の外側に補助層33が設けられているので、補助層33を研磨することで雄側ジョイント部11の外周面の寸法を容易に調整することができる。そのため、クロステープ層32を第一竿体1の後端部まで形成していても、雄側ジョイント部11を雌側ジョイント部21にしっかりと挿入固定できる。
【0047】
尚、本実施形態では第一シート51が外側となるようにして第三プリプレグ43が巻回されていたが、図6のように第二シート52が外側となるように第三プリプレグ43が巻回されていてもよい。この場合、主層31の外周面、即ち最表面は全体に亘って第二シート52から形成され、主層31の外周面は織布プリプレグ層36により構成される。主層31の外周面を織布プリプレグ層36とすると、その内側の縦繊維プリプレグ層35が織布プリプレグ層36によって覆われることになり、縦方向繊維の外部への露出が防止される。
【0048】
また、上記実施形態では、ソリッド体30のテーパ率が全長に亘って一定であったが、ソリッド体30のテーパ率が変化する構成であってもよい。例えば、図7のように、ソリッド体30が、後側に向けて所定のテーパ率で拡径する前部80と、径一定である後部81とを備えていてもよい。ソリッド体30の後部81を径一定のストレート形状とすることでソリッド体30を軽量化することができ、第一竿体1をより一層軽量化できる。そして、主層31によってブランク10の後部のテーパ率を調整でき、第一竿体1の調子、特に第一竿体1の後部の調子を容易に設定することができる。
【0049】
図7の構成では、主層31は、第一プリプレグ41から形成された第一プリプレグ層、第二プリプレグ42から形成された第二プリプレグ層、第三プリプレグ43から形成された第三プリプレグ層、及び、第四プリプレグ44から形成された第四プリプレグ層により構成されている。第一プリプレグ41、第二プリプレグ42及び第三プリプレグ43が縦繊維プリプレグであって、第一プリプレグ層、第二プリプレグ層及び第三プリプレグ層が縦繊維プリプレグ層である。第四プリプレグ44が積層シートであり、第四プリプレグ層が主層31の最外のプリプレグ層となる。第四プリプレグ層は、第一シート51から形成された縦繊維プリプレグ層と第二シート52から形成された織布プリプレグ層の積層構造である。この実施形態では、第一プリプレグ層、第二プリプレグ層、第三プリプレグ層、及び、第四プリプレグ層の縦繊維プリプレグ層により、主層31の縦繊維層が構成されている。
【0050】
第四プリプレグ層はソリッド体30の全長に亘る長さを有している。第一プリプレグ41の前端部41aは、ソリッド体30の前部80と後部81との境界部82近傍に位置していて、詳細には、境界部82よりも若干後側に位置している。第二プリプレグ42の前端部42aは、境界部82よりも前側に位置している。第三プリプレグ43の前端部43aは第二プリプレグ42の前端部42aよりも前側に位置している。このように最内のプリプレグである第一プリプレグ41の前端部41aが境界部82近傍に位置し、その外側の第二プリプレグ42の前端部42aが境界部82よりも前側に位置することで、第一竿体1のブランク10の後部81を容易にテーパ形状とすることができる。また、外側のプリプレグほど長くて前端部が前側に位置することにより、ブランク10の後部のテーパ率を徐々に前部のテーパ率に近づけていくことができて、第四プリプレグ44を綺麗に巻回することができる。尚、ソリッド体30の後部81はストレート形状でなくてもよく、ソリッド体30の後部81が、前部80のテーパ率よりも小さいテーパ率で後側に向けて拡径するテーパ形状であってもよい。
【0051】
尚、最外のプリプレグ層における縦繊維プリプレグ層と織布プリプレグ層を積層シートから形成したが、主層31の全長に亘る縦繊維プリプレグ層及び織布プリプレグ層をそれぞれ別々に単層のプリプレグから形成してもよい。その場合、主層31の全長に亘る縦繊維プリプレグ層と織布プリプレグ層は互いに隣接していることが好ましい。
【0052】
また、上記実施形態では、第一竿体1の雄側ジョイント部11をブランク10の後端部所定長さ領域により構成していたが、図8のように、第一竿体1の雄側ジョイント部11をブランク10の後端部に装着したフェルール90により構成してもよい。図8は、雄側ジョイント部11をフェルール90とした構成の一例を示している。第一竿体1のブランク10の後端部所定長さ領域にはフェルール90が装着されている。フェルール90は前端開口後端閉口の筒状であって、ブランク10の外側に装着固定されている。フェルール90の後端部が第一竿体1の後端部となる。フェルール90の前部の外側には連結用のナット91が設けられている。連結用のナット91の前側にはグリップ部92が装着されている。第一竿体1を第二竿体2に連結する際には、フェルール90を第二竿体2の雌側ジョイント部21に挿入し、雌側ジョイント部21の内部に設けられた図示しない係合ピンにフェルール90の係合溝90aを係合させる。そして、連結用のナット91を第二竿体2の前端部の雄ネジ部93に螺合させることで第一竿体1を第二竿体2に接近させて固定する。尚、第二竿体2の前端部の雄ネジ部93は例えばリールシート4に形成してよい。
【0053】
尚、上記実施形態では第一竿体1に釣竿の全ての釣糸ガイド3が設けられていて、第二竿体2には釣糸ガイド3が備えられていないが、例えば、第二竿体2に釣糸ガイド3が一つあるいは複数設けられていてもよい。また、第一竿体1と第二竿体2が略同じ長さであってもよい。三本継ぎ以上の継ぎ数であってもよい。
【0054】
また、主層31がソリッド体30の全長に亘って形成されていたが、ソリッド体30の前端部30aや後端部30bに主層31が形成されていなくてもよい。ソリッド体30の全長のうち、雄側ジョイント部11には主層31を形成せずに雄側ジョイント部11を除いた残りの長さ分に主層31を形成してもよい。クロステープ層32も主層31の外周面全長に設けられていなくてもよい。例えば雄側ジョイント部11にはクロステープ層32が形成されていない構成であってもよく、雄側ジョイント部11を除く主層31の全長にクロステープ層32を形成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 第一竿体
2 第二竿体
3 釣糸ガイド
4 リールシート
5 トリガ
6 移動フード
7 ナット
10 第一竿体のブランク
11 雄側ジョイント部
20 第二竿体のブランク
21 雌側ジョイント部
22 第一グリップ部
23 第二グリップ部
30 ソリッド体
30a 前端部
30b 後端部
31 主層
32 クロステープ層
33 補助層
34 塗装層
35 縦繊維プリプレグ層
36 織布プリプレグ層
41 第一プリプレグ
41a 前端部
41b 後端部
42 第二プリプレグ
42a 前端部
42b 後端部
43 第三プリプレグ
43a 前端部
43b 後端部
44 第四プリプレグ
44a 前端部
44b 後端部
51 第一シート
52 第二シート
61 第一のテープ状のプリプレグ
62 第二のテープ状のプリプレグ
70 補助プリプレグ
80 ソリッド体の前部
81 ソリッド体の後部
82 境界部
90 フェルール
90a 係合溝
91 連結用のナット
92 グリップ部
93 雄ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8