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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】振動発生装置および振動発生方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20220909BHJP
   B60N 2/90 20180101ALN20220909BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
B60N2/90
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018198147
(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2020065592
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】野口 和男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-1285(JP,A)
【文献】特開2017-134688(JP,A)
【文献】特開2007-304705(JP,A)
【文献】特開2017-95017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00-74
B60N 2/00-90
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急度として、車両状況に基づく緊急度と、時間情報に基づく緊急度と、総合的な緊急度とが設けられ、緊急度毎に複数のレベルが設定される振動発生装置であって、
ユーザに対して報知を行うために振動を発生する振動発生手段と、
前記ユーザへの警告情報を、警告情報出力手段より取得する警告情報取得手段と、
該警告情報取得手段より取得された前記警告情報に基づいて、前記車両状況に基づく緊急度のレベルを決定する車両状況緊急度決定手段と、
前記警告情報取得手段が前記警告情報を継続して取得している時間を計測し、計測された前記時間が長くなるにつれて前記レベルが高くなるようにして、前記時間情報に基づく緊急度のレベルを決定する時間緊急度決定手段と、
前記車両状況緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルと、前記時間緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルとのうち最も高いレベルを前記総合的な緊急度のレベルに決定する総合緊急度決定手段と、
該総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルに基づいて、前記振動発生手段で前記振動を発生させるための警報信号を生成し、該警報信号を前記振動発生手段に出力する警報信号生成手段とを有し、
該警報信号生成手段は、前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる警報信号を生成し、前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号を生成し、
前記振動発生手段は、前記警報信号生成手段で生成された前記警報信号の信号レベル変化に応じて前記振動を発生すること
を特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
前記振動発生手段の温度を検出する第1温度検出手段を有し、
前記総合緊急度決定手段は、前記第1温度検出手段により検出された前記温度が、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性のある温度を超える場合に、前記車両状況緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定すること
を特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記警報信号生成手段により生成された前記警報信号の増幅処理を行うと共に、増幅処理された前記警報信号を前記振動発生手段に出力する信号増幅手段と、
該信号増幅手段の温度を検出する第2温度検出手段とを有し、
前記総合緊急度決定手段は、前記第2温度検出手段により検出された前記温度に基づいて、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性があると判断される場合に、前記車両状況緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定すること
を特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項4】
前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号は、単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に比べて、信号の最大振幅が大きいこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の振動発生装置。
【請求項5】
前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号は、単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に比べて、信号の周波数帯域が相対的に低いこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の振動発生装置。
【請求項6】
前記単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号に基づいて前記振動発生手段で発生される前記振動の単位時間当たりの振動発生時間は、前記単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に基づいて前記振動発生手段で発生される前記振動の単位時間当たりの振動発生時間よりも、長いこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の振動発生装置。
【請求項7】
前記警報信号生成手段は、
前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、
前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、
前記振動発生手段は、前記警報信号生成手段より取得した前記電圧信号の電圧変化に応じてモータを駆動させて前記振動を発生すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の振動発生装置。
【請求項8】
緊急度として、車両状況に基づく緊急度と、時間情報に基づく緊急度と、総合的な緊急度とが設けられ、緊急度毎に複数のレベルが設定され、ユーザに対して報知を行うために振動を発生する振動発生装置の振動発生方法であって、
警告情報取得手段が、前記ユーザへの警告情報を、警告情報出力手段より取得する警告情報取得ステップと、
該警告情報取得ステップにおいて取得された前記警告情報に基づいて、車両状況緊急度決定手段が、前記車両状況に基づく緊急度のレベルを決定する車両状況緊急度決定ステップと、
前記警告情報取得手段が前記警告情報を継続して取得している時間を計測し、計測された前記時間が長くなるにつれて前記レベルが高くなるようにして、時間緊急度決定手段が、前記時間情報に基づく緊急度のレベルを決定する時間緊急度決定ステップと、
前記車両状況緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルと、前記時間緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルとのうち、総合緊急度決定手段が、最も高いレベルを前記総合的な緊急度のレベルに決定する総合緊急度決定ステップと、
該総合緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルに基づいて、警報信号生成手段が、前記振動を発生させるための警報信号を生成する警報信号生成ステップと、
前記警報信号生成ステップにおいて生成された前記警報信号の信号レベル変化に応じて、振動発生手段が前記振動を発生する振動発生ステップとを有し、
前記警報信号生成ステップにおいて、前記警報信号生成手段は、
前記総合緊急度決定ステップにより決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる警報信号を生成し、
前記総合緊急度決定ステップにより決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号を生成すること
を特徴とする振動発生方法。
【請求項9】
第1温度検出手段が、前記振動発生手段の温度を検出する第1温度検出ステップを有し、
前記総合緊急度決定ステップにおいて、前記総合緊急度決定手段は、前記第1温度検出ステップにおいて検出された前記温度が、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性のある温度を超える場合に、前記車両状況緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定すること
を特徴とする請求項8に記載の振動発生方法。
【請求項10】
信号増幅手段が、前記警報信号生成ステップにおいて生成された前記警報信号の増幅処理を行うと共に、増幅処理された前記警報信号を前記振動発生手段に出力する信号増幅ステップと、
第2温度検出手段が、前記信号増幅手段の温度を検出する第2温度検出ステップとを有し、
前記総合緊急度決定ステップにおいて、前記総合緊急度決定手段は、前記第2温度検出ステップにおいて検出された前記温度に基づいて、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性があると判断した場合に、前記車両状況緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定すること
を特徴とする請求項8に記載の振動発生方法。
【請求項11】
前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号は、単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に比べて、信号の最大振幅が大きいこと
を特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の振動発生方法。
【請求項12】
前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号は、単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に比べて、信号の周波数帯域が相対的に低いこと
を特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の振動発生方法。
【請求項13】
前記振動発生ステップにおいて、
前記単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号に基づいて前記振動発生手段で発生される前記振動の単位時間当たりの振動発生時間は、前記単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に基づいて前記振動発生手段で発生される前記振動の単位時間当たりの振動発生時間よりも、長いこと
を特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の振動発生方法。
【請求項14】
前記警報信号生成ステップにおいて、前記警報信号生成手段は、
前記総合緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生ステップで前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、
前記総合緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生ステップで前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、
前記振動発生ステップにおいて前記振動発生手段は、前記警報信号生成手段より取得した前記電圧信号の電圧変化に応じてモータを駆動させて前記振動を発生すること
を特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の振動発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動発生装置および振動発生方法に関する。より詳細には、ユーザに対して報知を行うために振動を発生する振動発生手段を有する振動発生装置および振動発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用シートの座面部に振動体を設置し、振動体より発生される振動によって、シートの着座者(ユーザ)に警報を行う車両警報装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。振動体は、座面部のクッション材とシート表皮との間に設置される。着座者は、シート表面を介して振動体に接するため、振動体の振動を効果的に体感することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-120015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、座面部のクッション材とシート表皮との間に振動体を設置する場合には、取り付けレイアウト等に制約が生じやすいため、振動体を小型化することが望まれていた。また、座り心地等を考慮して、振動体をできるだけ小型化することが望まれていた。
【0005】
振動体を小型化すると、耐熱性能、つまり、振動体が熱の発生に左右されずに正常な振動を発生することが可能な温度の限界値が低くなるという問題があった。また、振動体より発生する熱量は、振動体が小さくなるほど高くなる傾向があった。
【0006】
従って、振動体の耐熱性能が低くなると、発生可能な振動レベルの最大値も低くなってしまい、着座者に対して十分な報知を行うこと(振動を体感させること)が難しくなってしまうという問題があった。また、着座者に対して十分な報知を行うために、振動レベルを上昇させると、振動に伴って発生する熱によって、振動体が破損してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、振動の発生に伴う振動体の温度上昇を抑制しつつ、ユーザに対して十分な報知を行うことが可能な振動発生装置および振動発生方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る振動発生装置は、緊急度として、車両状況に基づく緊急度と、時間情報に基づく緊急度と、総合的な緊急度とが設けられ、緊急度毎に複数のレベルが設定される振動発生装置であって、ユーザに対して報知を行うために振動を発生する振動発生手段と、前記ユーザへの警告情報を、警告情報出力手段より取得する警告情報取得手段と、該警告情報取得手段より取得された前記警告情報に基づいて、前記車両状況に基づく緊急度のレベルを決定する車両状況緊急度決定手段と、前記警告情報取得手段が前記警告情報を継続して取得している時間を計測し、計測された前記時間が長くなるにつれて前記レベルが高くなるようにして、前記時間情報に基づく緊急度のレベルを決定する時間緊急度決定手段と、前記車両状況緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルと、前記時間緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルとのうち、最も高いレベルを前記総合的な緊急度のレベルに決定する総合緊急度決定手段と、該総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルに基づいて、前記振動発生手段で前記振動を発生させるための警報信号を生成し、該警報信号を前記振動発生手段に出力する警報信号生成手段とを有し、該警報信号生成手段は、前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる警報信号を生成し、前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号を生成し、前記振動発生手段は、前記警報信号生成手段で生成された前記警報信号の信号レベル変化に応じて前記振動を発生することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る振動発生方法は、緊急度として、車両状況に基づく緊急度と、時間情報に基づく緊急度と、総合的な緊急度とが設けられ、緊急度毎に複数のレベルが設定され、ユーザに対して報知を行うために振動を発生する振動発生装置の振動発生方法であって、警告情報取得手段が、前記ユーザへの警告情報を、警告情報出力手段より取得する警告情報取得ステップと、該警告情報取得ステップにおいて取得された前記警告情報に基づいて、車両状況緊急度決定手段が、前記車両状況に基づく緊急度のレベルを決定する車両状況緊急度決定ステップと、前記警告情報取得手段が前記警告情報を継続して取得している時間を計測し、計測された前記時間が長くなるにつれて前記レベルが高くなるようにして、時間緊急度決定手段が、前記時間情報に基づく緊急度のレベルを決定する時間緊急度決定ステップと、前記車両状況緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルと、前記時間緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルとのうち、最も高いレベルを前記総合的な緊急度のレベルに決定する総合緊急度決定ステップと、該総合緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルに基づいて、警報信号生成手段が、前記振動を発生させるための警報信号を生成する警報信号生成ステップと、前記警報信号生成ステップにおいて生成された前記警報信号の信号レベル変化に応じて、振動発生手段が前記振動を発生する振動発生ステップとを有し、前記警報信号生成ステップにおいて、前記警報信号生成手段は、前記総合緊急度決定ステップにより決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる警報信号を生成し、前記総合緊急度決定ステップにより決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号を生成することを特徴とする。
【0010】
なお、警告情報出力手段とは、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance System:ADAS)や、ドライバーモニタシステム(Driver Monitor System:DMS)等の名称で、既に実用化されている装置を意味する。また、本発明に係る振動発生装置および振動発生方法では、振動発生手段で発生する振動に、聴覚で認識することが可能な振動、つまり、「音」も含まれる。
【0011】
また、本発明に係る「緊急度毎に設定される複数のレベル」として、緊急度毎に、例えば、「小」「中」「大」等の複数の異なるレベルが設定されており、レベルは高いレベル(例えば、レベル「大」)から、低いレベル(レベル「小」)までランクがつけられている。
【0012】
本発明に係る振動発生装置および振動発生方法では、ユーザへの警告情報(例えば、ユーザに注意を促す必要があると判断された内容)に基づいて、車両状況に基づく緊急度のレベルを決定するだけでなく、警告情報を継続して取得している時間の長さに基づいて、時間情報に基づく緊急度のレベルを決定し、それぞれの緊急度のレベルのうち最も高いレベルを総合的な緊急度のレベルに決定する。そして、決定された総合的な緊急度のレベルに応じて警報信号が生成され、生成された警報信号に基づいて、ユーザに報知を行うための振動を、振動発生装置で発生させる。
【0013】
ここで、警報信号生成手段は、総合的な緊急度のレベルが複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、振動発生手段で振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる警報信号を生成する。総合的な緊急度のレベルが複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合とは、ユーザに注意を促す必要があると判断された程度が比較的軽い状態であって、且つ、注意を促す必要があると判断されてからの時間経過が短い場合などが、一例として該当し得る。
【0014】
このように総合的な緊急度のレベルが複数のレベルの中で相対的に低い場合には、単位時間当たりの消費電力が比較的多くなる警報信号を用いて振動を発生させることにより、ユーザによる振動の認識性を高めることができる。さらに、振動が発生してからの時間経過も短い場合には、振動発生手段の温度があまり上昇していない可能性が高い。このため、単位時間当たりの消費電力が比較的多くなる警報信号を用いて振動を発生させても、振動発生手段による著しい温度上昇を招く可能性が低い。
【0015】
一方で、警報信号生成手段は、総合的な緊急度のレベルが複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、振動を発生するときの単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号を生成する。総合的な緊急度のレベルが複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合とは、ユーザに注意を促す必要があると判断された程度が比較的重い状態であって、且つ、注意を促す必要があると判断されてからの時間経過が比較的長い場合などが、一例として該当し得る。
【0016】
このように総合的な緊急度のレベルが複数のレベルの中で相対的に高い場合には、単位時間当たりの消費電力が比較的少なくなる警報信号を用いて振動を発生させることにより、ユーザに対して振動による報知を継続しつつ、振動の継続発生に伴う振動発生手段の温度上昇を効果的に抑制することができる。従って、振動発生手段に不具合が発生してしまう状況を回避することが可能になる。
【0017】
また、振動発生手段を小型化すると、振動の発生に伴って温度上昇し易くなる傾向がある。しかしながら、単位時間当たりの消費電力が比較的少なくなる警報信号を用いて振動発生手段で振動を発生させることにより、振動発生手段の温度上昇を効果的に抑制することができ、振動発生手段の小型化を図ることが容易になる。
【0018】
また、上述した振動発生装置は、前記振動発生手段の温度を検出する第1温度検出手段を有し、前記総合緊急度決定手段は、前記第1温度検出手段により検出された前記温度が、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性のある温度を超える場合に、前記車両状況緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定するものであってもよい。
【0019】
また、上述した振動発生方法において、第1温度検出手段が、前記振動発生手段の温度を検出する第1温度検出ステップを有し、前記総合緊急度決定ステップにおいて、前記総合緊急度決定手段は、前記第1温度検出ステップにおいて検出された前記温度が、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性のある温度を超える場合に、前記車両状況緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定するものであってもよい。
【0020】
本発明に係る振動発生装置および振動発生方法では、第1温度検出手段で検出された振動発生手段の温度が、振動発生手段に不具合を発生させる可能性のある温度を超える場合に、総合的な緊急度のレベルを、緊急度毎に設定される複数のレベルの中で最も高いレベルに決定する。総合的な緊急度のレベルが最も高いレベルに該当する場合、警報信号生成手段は、振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号を生成する。このような単位時間当たりの消費電力が少なくなる警報信号に基づいて、振動発生手段で振動が発生されるため、振動発生に伴う振動発生手段の温度上昇を効果的に抑制することができ、振動発生手段に不具合が発生してしまう状況を回避することが可能になる。
【0021】
特に、第1温度検出手段で振動発生手段の温度を検出するので、検出された温度が、振動発生手段に不具合を発生させる可能性のある温度を超えるか否かについて、迅速かつ詳細に検出することが可能になる。
【0022】
また、上述した振動発生装置は、前記警報信号生成手段により生成された前記警報信号の増幅処理を行うと共に、増幅処理された前記警報信号を前記振動発生手段に出力する信号増幅手段と、該信号増幅手段の温度を検出する第2温度検出手段とを有し、前記総合緊急度決定手段は、前記第2温度検出手段により検出された前記温度に基づいて、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性があると判断される場合に、前記車両状況緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定するものであってもよい。
【0023】
また、上述した振動発生方法は、信号増幅手段が、前記警報信号生成ステップにおいて生成された前記警報信号の増幅処理を行うと共に、増幅処理された前記警報信号を前記振動発生手段に出力する信号増幅ステップと、第2温度検出手段が、前記信号増幅手段の温度を検出する第2温度検出ステップとを有し、前記総合緊急度決定ステップにおいて、前記総合緊急度決定手段は、前記第2温度検出ステップにおいて検出された前記温度に基づいて、前記振動発生手段に不具合を発生させる可能性があると判断した場合に、前記車両状況緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルや、前記時間緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルに拘わらず、前記複数のレベルの中で最も高いレベルを、前記総合的な緊急度のレベルに決定するものであってもよい。
【0024】
振動をユーザに体感させるためには、例えば、ユーザに接触する車両用シートの部位等に振動発生手段を設置する必要がある。このため、振動発生手段の温度を検出するための温度検出手段も振動発生手段の設置位置の近傍に設置する必要が生じる。また、検出した温度情報を総合緊急度決定手段に伝達するための配線等が必要になってしまう。一方で、信号増幅手段は、警報信号生成手段に対応して設けられることが多く、車両用シート等に設ける必要がない。
【0025】
本発明に係る振動発生装置および振動発生方法では、警報信号の増幅処理を行う信号増幅手段の温度を、第2温度検出手段で検出して、総合緊急度決定手段に出力する。このため、検出した温度情報を総合緊急度決定手段に伝達するための配線等を簡易に行うことができると共に、第2温度検出手段の設置個数を少なくすることができる。また、振動発生手段の近傍に第2温度検出手段を設ける必要がないので、設置負担の低減を図ることが可能になる。
【0026】
また、上述した振動発生装置および振動発生方法において、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号は、単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に比べて、信号の最大振幅が大きいものであってもよい。
【0027】
さらに、上述した振動発生装置および振動発生方法において、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号は、単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に比べて、信号の周波数帯域が相対的に低いものであってもよい。
【0028】
また、上述した振動発生装置および振動発生方法において、前記単位時間当たりの消費電力が多くなる前記警報信号に基づいて前記振動発生手段で発生される前記振動の単位時間当たりの振動発生時間は、前記単位時間当たりの消費電力が少なくなる前記警報信号に基づいて前記振動発生手段で発生される前記振動の単位時間当たりの振動発生時間よりも、長いものであってもよい。
【0029】
さらに、上述した振動発生装置において、前記警報信号生成手段は、前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、前記総合緊急度決定手段により決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生手段で前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、前記振動発生手段は、前記警報信号生成手段より取得した前記電圧信号の電圧変化に応じてモータを駆動させて前記振動を発生するものであってもよい。
【0030】
また、上述した振動発生方法の前記警報信号生成ステップにおいて、前記警報信号生成手段は、前記総合緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に低いレベルに該当する場合に、前記振動発生ステップで前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が多くなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、前記総合緊急度決定ステップにおいて決定された前記緊急度のレベルが、前記複数のレベルの中で相対的に高いレベルに該当する場合に、前記振動発生ステップで前記振動を発生するときに単位時間当たりの消費電力が少なくなるように電圧値を変化させた電圧信号を生成し、該電圧信号を前記振動発生手段に出力し、前記振動発生ステップにおいて前記振動発生手段は、前記警報信号生成手段より取得した前記電圧信号の電圧変化に応じてモータを駆動させて前記振動を発生するものであってもよい。
【0031】
振動発生手段として様々な構成のものを用いることができる。例えば、エキサイタのように、磁界に対して電流を流すことにより力を発生させて、電気信号(警報信号)を物理振動に変えるものを用いることが可能である。また、警報信号を電流の流れではなく電圧値の変化(電圧信号)として捉えて、偏心モータや、エキサイタや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等のように、電圧信号の電圧変化に応じてモータを駆動させることにより振動を発生させる構成を用いることも可能である。
【0032】
本発明に係る振動発生装置および振動発生方法では、振動発生手段として電圧信号の電圧変化に応じてモータを駆動させることにより振動を発生させる構成を採用し、総合的な緊急度のレベルに応じて電圧信号の電圧値を変化させる。このように電圧値を変化させることより、総合的な緊急度のレベルが相対的に低い場合に、振動発生手段で振動を発生するときの単位時間当たりの消費電力を多くすることができる。このため、比較的大きな振動を振動発生手段から発生させることができ、ユーザによる振動の認識性を高めることが可能になる。
【0033】
さらに、総合的な緊急度のレベルが相対的に低い場合には、振動発生手段で温度があまり上昇していない可能性が高いため、振動発生により生じる単位時間当たりの消費電力が多い場合であっても、振動発生手段による著しい温度上昇を招く危険性が低い。
【0034】
一方で、電圧値を変化させることより、総合的な緊急度のレベルが相対的に高い場合に、振動発生手段で振動を発生するときの単位時間当たりの消費電力を少なくすることができるので、ユーザに対して振動による報知を継続しつつ、振動発生手段の振動の継続発生に伴う温度上昇を効果的に抑制することができる。従って、振動発生手段に不具合が発生してしまう状況を回避することが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る振動発生装置および振動発生方法は、総合的な緊急度が相対的に低いレベルに該当する場合に、単位時間当たりの消費電力が比較的多くなる警報信号を用いて振動発生手段で振動を発生させる。このため、比較的大きな振動を発生させることができ、ユーザによる振動の認識性を高めることができる。さらに、振動が発生してからの時間経過も短い場合には、振動発生手段で温度があまり上昇していない可能性が高い。従って、単位時間当たりの消費電力が比較的多くなる警報信号を用いて振動を発生させても、振動発生手段による著しい温度上昇を招く危険性が低い。
【0036】
また、総合的な緊急度が相対的に高いレベルに該当する場合には、単位時間当たりの消費電力が比較的少なくなる警報信号を用いて振動を発生させることにより、ユーザに対して振動による報知を継続しつつ、振動発生手段の振動の継続発生に伴う温度上昇を効果的に抑制することができる。このため、振動発生手段に不具合が発生してしまう状況を回避することが可能になる。
【0037】
さらに、単位時間当たりの消費電力が比較的少なくなる警報信号を用いて振動を発生させることにより、振動発生手段の温度上昇を効果的に抑制することができるため、振動発生手段の小型化を図ることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施の形態1に係る振動発生装置の概略構成を示したブロック図である。
図2】実施の形態1に係るエキサイタが設けられたシートを示した斜視図である。
図3】(a)は、実施の形態1に係る制御部が、緊急度のレベルを決定するために参照する緊急度決定テーブルの一例を示し、(b)は、緊急度情報に基づいて信号選択部で選択する振動ソースの関係を示したテーブル情報を示し、(c)は、タイマー時間と振動子の温度との関係を一例として示したグラフである。
図4】縦軸を振幅とし、横軸で時間軸として示した振動ソースの波形を示した図であって、(a)は振動ソース1の波形を示し、(b)は振動ソース2の波形を示し、(c)は振動ソース3の波形を示している。
図5】(a)(b)(c)は、図4(a)(b)(c)に示す振動ソースと異なる波形の振動ソース1~3を示した図である。
図6】(a)は、図4(a)(b)(c)および図5(a)(b)(c)に示す振動ソースと異なる波形の振動ソース1~3を示した図であり、(b)は(a)に示した波形の周波数を連続的に変化させた振動ソース1~3を示した図である。
図7】実施の形態1に係る制御部による緊急度のレベルの決定処理を示したフローチャートである。
図8】実施の形態2に係る振動発生装置の概略構成を示したブロック図である。
図9】(a)は、実施の形態2に係る制御部が、緊急度のレベルを決定するために参照する緊急度決定テーブルの一例を示し、(b)は、振動を継続して発生させた時間(再生時間)と振動子の温度との関係を一例として示したグラフである。
図10】実施の形態2に係る制御部による緊急度のレベルの決定処理を示したフローチャートである。
図11】実施の形態3に係る振動発生装置の概略構成を示したブロック図である。
図12】実施の形態4に係る振動発生装置の概略構成を示したブロック図である。
図13】縦軸を電圧値とし、横軸で時間軸として示した振動ソースの波形を示した図であって、(a)は振動ソース1の波形を示し、(b)は振動ソース2の波形を示し、(c)は振動ソース3の波形を示している。
図14】(a)および(b)は、他の振動発生装置の概略構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る振動発生装置の一例を示し、図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る振動発生装置の概略構成を示したブロック図である。振動発生装置1aは、車両に設置されており、運転者(ユーザ)に振動を体感させることにより報知を行う。振動発生装置1aは、図1に示すように、振動制御ユニット100aと、複数の振動子(振動発生手段)200とを有している。
【0041】
[振動子]
振動子200は、図2に示すように、車両用のシート300(例えば、運転席)に取り付けられている。実施の形態1に係る振動子200では、一例として、シート300の背もたれ部301の左右上部に1つずつ、座面部302の左右前部に1つずつの合計4つの振動子が設けられている。
【0042】
なお、シート300に着座した運転者に対して振動を体感させることができれば、振動子200の構成は特に限定されない。例えば、振動子200として、偏心モータや、エキサイタや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等を用いることができる。
【0043】
実施の形態1では、振動子200としてエキサイタを用いる場合について説明する。エキサイタ200は、振動制御ユニット100aより受信した警報信号に基づいて、振動あるいは音を出力する出力手段である。一般的なエキサイタで振動を発生させる場合、振動の周波数が聴覚で認識可能な高域周波数のときには、振動が音として認識され、聴覚で認識できない低域周波数のときには、振動として認識される。このため、実施の形態1において、エキサイタから振動を発生させる場合、「振動」という文言には、基本的に聴覚で認識することが可能な振動、つまり、「音」も含まれものとする。図2を示したように、シート300には、4つのエキサイタ200a,200b,200c,200dが設けられている。
【0044】
[振動制御ユニット]
振動制御ユニット100aは、制御部10a(警告情報取得手段、車両状況緊急度決定手段、時間緊急度決定手段、総合緊急度決定手段)と、メモリ20と、信号選択部(警報信号生成手段)30と、信号生成部(警報信号生成手段)40と、増幅部(信号増幅手段)50とを有している。また、振動制御ユニット100aには、外部制御装置(警告情報出力手段)400が接続されている。
【0045】
[外部制御装置]
外部制御装置400は、先進運転支援システム(ADAS)や、ドライバーモニタシステム(DMS)等の名称で、既に実用化されている装置である。外部制御装置400は、周辺車両や障害物・人と自車両との距離に関する情報(接近距離情報)や、自車両が車線から逸脱した量(距離)に関する情報(逸脱距離情報)や、運転者の眠気等に関する運転者状態情報等の「車両の状況等」に関する情報(警告情報:運転者に注意を促す必要があると判断された内容を示す情報)を検出する。
【0046】
具体的に、外部制御装置400は、レーダー波を前方又は後方に照射して反射波を測定することにより、障害物等と自車両との距離を検出する。また、外部制御装置400は、車両前方や車両後方の映像を撮影して画像解析することにより、自車両が車線から逸脱した量(距離)を検出する。さらに、外部制御装置400は、運転者の顔の角度やまばたきの頻度(時間の間隔)や、ステアリングのセンター位置のふらつきによって、運転者の眠気等に関す状態を検討する。外部制御装置400は、自動車内部用の多重化電気配線用途に用いられるCAN(Controller Area Network)等を用いて、制御部10aに接続される。
【0047】
[制御部]
制御部10aは、一般的なCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)によって構成される。制御部10aは、タイマー70を備えている。タイマー70による計時処理は、CPUが備えるパルス数の一般的なカウンタ機能により実現される。制御部10aは、タイマー70を用いることによって、所定のタイミングからの時間経過を計測する処理を行う。制御部10aは、外部制御装置400で検出された「車両の状況等」に関する情報および、タイマー70に基づいて計測された経過時間に基づいて、運転者に対する警告の「緊急度のレベル」を決定して、決定された緊急度のレベルの情報(緊急度情報)を信号選択部30へ出力する。
【0048】
図3(a)は、制御部10aが緊急度のレベルを決定するために参照する緊急度決定テーブルの一例を示した図である。制御部10aは、図3(a)に示す緊急度決定テーブルを予め内部データとして保持しており、必要に応じて緊急度決定テーブルを参照して、緊急度のレベルを決定する。
【0049】
制御部10aは、外部制御装置400から周辺車両や障害物・人と自車両との距離に関する情報(接近距離情報)を取得した場合、取得した距離に応じて、接近距離情報に基づく緊急度のレベルを決定する。図3(a)に示した「小」「中」「大」は、緊急度毎に設定されるレベルの一例を示している。例えば、判断基準となる距離として距離L1,L2およびL3を予め設定し、L3>L2>L1とする。制御部10aは、外部制御装置400から取得した距離xが、L3≧x>L2に該当する場合に、接近距離情報に基づく緊急度のレベルを「小」に決定する。同様にして、制御部10aは、外部制御装置400から取得した距離xが、L2≧x>L1に該当する場合に、接近距離情報に基づく緊急度のレベルを「中」に決定し、取得した距離xが、L1≧x(xがL1以下)に該当する場合に、接近距離情報に基づく緊急度のレベルを「大」に決定する。
【0050】
なお、実施の形態1に係る外部制御装置400は、周辺車両や障害物・人と自車両との距離xがx>L3の場合に、制御部10aに対して接近距離情報を出力しない。従って、制御部10aが外部制御装置400から接近距離情報を取得する場合は、取得した距離xが少なくともL3以下(L3≧x)の場合である。制御部10aは、外部制御装置400から接近距離情報を取得しない場合、接近距離情報に基づく緊急度のレベルの決定を行わない。
【0051】
また、制御部10aは、自車両が車線から逸脱した量(距離)に関する情報(逸脱距離情報)を、外部制御装置400から取得した場合、取得した逸脱量に応じて、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルを決定する(図3(a)参照)。例えば、判断基準となる逸脱量(距離)として、逸脱量M1,M2およびM3を予め設定し、M1<M2<M3とする。制御部10aは、外部制御装置400から取得した逸脱量yが、M1<y≦M2に該当する場合に、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルを「小」に決定する。同様にして、制御部10aは、外部制御装置400から取得した逸脱量yが、M2<y≦M3に該当する場合に、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルを「中」に決定し、取得した逸脱量yが、M3<y(yがM3より大きい)に該当する場合に、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルを「大」に決定する。
【0052】
なお、実施の形態1に係る外部制御装置400は、自車両が車線から逸脱した量yがy≦M1の場合に、制御部10aに対して逸脱距離情報を出力しない。従って、制御部10aが外部制御装置400から逸脱距離情報を取得する場合は、取得した逸脱量yが少なくともM1より大きくなる(y>M1)。制御部10aは、外部制御装置400から逸脱距離情報を取得しない場合、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルの決定を行わない。
【0053】
さらに、制御部10aは、外部制御装置400から運転者の眠気等に関する運転者状態情報を取得した場合、取得した運転者状態情報の内容に応じて、運転者状態情報に基づく緊急度のレベルを決定する。例えば、外部制御装置400において検出する運転者状態情報の内容として、予め「漫然状態」と、「軽度の眠気」状態と、「重度の眠気」状態との3つの運転者状態を設定する。制御部10aは、外部制御装置400から取得した運転者状態情報の内容が、「漫然状態」に該当する場合に、運転者状態情報に基づく緊急度のレベルを「小」に決定する。同様にして、制御部10aは、外部制御装置400から取得した運転者状態情報の内容が、「軽度の眠気」状態に該当する場合に、運転者状態情報に基づく緊急度のレベルを「中」に決定し、取得した運転者状態情報の内容が、「重度の眠気」状態に該当する場合に、運転者状態情報に基づく緊急度のレベルを「大」に決定する。
【0054】
なお、実施の形態1に係る外部制御装置400は、運転者状態情報が、「漫然状態」、「軽度の眠気」状態あるいは「重度の眠気」状態のいずれにも該当しない場合、制御部10aに対して運転者状態情報を出力しない。従って、制御部10aが外部制御装置400から運転者状態情報を取得する場合は、取得した運転者状態情報が少なくとも、「漫然状態」、「軽度の眠気」状態あるいは「重度の眠気」状態のいずれかに該当することになる。制御部10aは、外部制御装置400から運転者状態情報を取得しない場合、運転者状態情報に基づく緊急度のレベルの決定を行わない。
【0055】
また、制御部10aは、外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報(接近距離情報、逸脱距離情報または運転者状態情報)を取得し続けている場合に、取得し始めてからの時間を、タイマー70を用いて計測する。そして、制御部10aは、タイマー70により計測される時間(タイマー時間と称する)に応じて、タイマー時間に基づく緊急度の決定を行う。(図3(a)参照)。なお、タイマー時間は、時間tで表す。
【0056】
例えば、判断基準となるタイマー時間として、時間ta1と時間tb1とを予め設定し、ta1<tb1とする。時間ta1と時間tb1との時間は、実験等によって、振動子200で振動を発生させ続けた場合における稼動時間と上昇温度との関係を測定することによって決定される。図3(c)は、実験等によって予め測定された振動子200の稼動時間と上昇温度との関係を示した一例である。図3(c)において、縦軸の温度Tは、振動子200の温度を示し、横軸の時間tは、タイマー時間tを示している。
【0057】
タイマー時間tと振動子200の稼動時間との関係は必ずしも一致するものではない。しかしながら、制御部10aが外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得すると、後述するように、制御部10aから緊急度情報が信号選択部30へ出力され、緊急度情報に基づいて信号選択部30で決定された警報信号のデータ(以下、振動ソースと称する)が信号生成部40へ出力され、振動ソースに基づいて信号生成部40で生成された警報信号が増幅部50で増幅処理されて、振動子200で警報振動が出力(発生)される。制御部10aが「車両の状況等」に関する情報を取得してから、振動子200で警報振動が出力(発生)されるまでの時間差(タイムラグ)は極僅かなものであり、振動子200の稼動時間に関する温度上昇の影響を考慮すると、タイマー時間を稼動時間と判断しても問題ない。このため、実施の形態1では、図3(c)に示すように、タイマー時間による時間経過と振動子200の温度上昇との関係を実験等により求めたデータを用いている。
【0058】
図3(c)において、温度Tのリミットは、振動子200が破損する温度(あるいは破損する可能性が高い温度)である。温度Tの閾値として、リミットを超えない温度を2つ決定する。上述した緊急度のレベルが「小」「中」「大」の3つであるため、「小」と「中」との境界になる温度TA℃と、「中」と「大」との境界になる温度TB℃との2つの値が決定される。緊急度のレベル数に応じて、設定される閾値の数が決定される。
【0059】
図3(c)に示すように、タイマー時間tの増加に伴って、温度Tは緩やかなカーブを描きながら上昇する。タイマー時間ta1およびtb1は、実験等により得られたグラフのデータに基づいて決定される。図3(c)では、温度TA℃に対応するタイマー時間としてta1が設定され、温度TB℃に対応するタイマー時間としてtb1が設定されている。具体的には実験等によって、振動子200の温度TA℃が70℃の時のタイマー時間ta1として、3秒が求められ、振動子200の温度TB℃が120℃の時のタイマー時間ta2として、10秒が求められる。
【0060】
制御部10aは、タイマー70により計測されたタイマー時間tが、ta1時間以下の場合に、タイマー時間に基づく緊急度のレベルを「小」に決定する(図3(a)参照)。同様にして、制御部10aは、タイマー70により計測されたタイマー時間tが、ta1<t≦tb1の場合に、タイマー時間に基づく緊急度のレベルを「中」に決定し、タイマー時間tが、tb1<tの場合に、タイマー時間に基づく緊急度のレベルを「大」に決定する。
【0061】
そして、制御部10aは、求められた複数の緊急度(少なくとも、接近距離情報に基づく緊急度と、逸脱距離情報に基づく緊急度と、運転者状態情報に基づく緊急度との少なくとも1つと、タイマー時間に基づく緊急度)のうち、最も高いレベルを求めて、最も高いレベルを、総合的な緊急度のレベルに決定する。
【0062】
図3(a)において反転表示された緊急度を一例として説明する。図3(a)において、接近距離情報に基づく緊急度のレベルでは「小」が反転表示されている。これは、制御部10aにより接近距離情報に基づく緊急度のレベルが「小」に決定されたことを示している。同様にして、図3(a)において、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルでは「中」が反転表示され、運転者状態情報に基づく緊急度のレベルでは「小」が反転表示され、タイマー時間に基づく緊急度のレベルでは「小」が反転表示されている。制御部10aは、図3(a)において反転表示される緊急度のレベルの中で(比較した緊急度のレベルの中で)、最も高い緊急度のレベルとして、逸脱距離情報に基づく「中」のレベルを抽出し、この「中」のレベルを、総合的な緊急度のレベルとして決定する。
【0063】
なお、図3(a)に示した一例では、接近距離情報に基づく緊急度と、逸脱距離情報に基づく緊急度と、運転者状態情報に基づく緊急度との全てで、「小」「中」「大」の中のいずれかの緊急度のレベルが反転表示されている。しかしながら、既に説明したように、制御部10aは、外部制御装置400から接近距離情報や、逸脱距離情報や、運転者状態情報を取得しない場合があり、取得しない場合には緊急度のレベルの決定を行わない。このため、緊急度のレベルの決定が行われていない項目に関しては、総合的な緊急度のレベルの決定に影響を与えないことになる。また、全ての項目で緊急度のレベルの決定が行われなかった場合、制御部10aは、総合的な緊急度のレベルの決定は行わない。
【0064】
制御部10aにおいて決定された総合的な緊急度のレベルは、緊急度情報として信号選択部30へ出力される。
【0065】
[信号選択部、メモリ]
信号選択部30は、制御部10aから取得した緊急度情報に基づいて、メモリ20から警報信号用の振動ソースを選択して、信号生成部40へ出力する。振動ソースとは、信号生成部40において警報信号を生成するために用いられるデータである。具体的には、振幅の値を、電圧Vを用いて示し、電圧Vの時間的変化をデータ化することにより、時間的変化を伴う波形信号データを示したものである。メモリ20は、緊急度に応じて分類される複数の振動ソースを記録する。
【0066】
信号選択部30は、制御部10aから緊急度情報を取得すると、例えば、図3(b)に示すようなテーブル情報を参照することによって、振動ソースの決定を行う。図3(b)に示すテーブル情報は、信号選択部30の内部に記録するものであってもよく、またメモリ20に記録させておいて、必要に応じて信号選択部30が読み出すものであってもよい。
【0067】
制御部10aから信号選択部30へ出力される緊急度情報は、「小」「中」「大」のうちのいずれかの情報である。緊急度情報として「小」を取得した場合、信号選択部30は、図3(b)に示す緊急度のレベル「小」に対応する「3」の振動ソース(振動ソース3)を、メモリ20から読み出して、振動ソース3を信号生成部40へ出力する。振動ソース3は、振動ソースに基づいて生成される警報信号によって振動子200で振動を発生させた場合に、単位時間当たりの消費電力が最も多くなるデータである。
【0068】
また、緊急度情報として「中」を取得した場合、信号選択部30は、図3(b)に示す緊急度「中」に対応する「2」の振動ソース(振動ソース2)を、メモリ20から読み出して、振動ソース2を信号生成部40へ出力する。振動ソース2は、振動子200において振動を発生させた場合に、単位時間当たりの消費電力が中くらいになるデータである。さらに、緊急度情報として「大」を取得した場合、信号選択部30は、図3(b)に示す緊急度「大」に対応する「1」の振動ソース(振動ソース1)を、メモリ20から読み出して、振動ソース1を信号生成部40へ出力する。振動ソース1は、振動子200において振動を発生させた場合に、単位時間当たりの消費電力が少ないデータである。
【0069】
図4(a)~(c)は、振動ソース1~振動ソース3を示した図である。図4(a)~(c)において、縦軸は振動ソースに基づいて生成される警報信号の振幅を示し、横軸は時間を示している。図4(a)~(c)に示す警報信号の最大振幅は、全て同じに設定されている。図4(a)~(c)に示すように、振動ソースは、振動が発生(再生)する時間を示すtm1と、振動が停止する時間tm2との繰り返しによって構成されており、tm1とtm2との長さの違いによって、振動の発生パターンが変化する。一般的に、振動子200において振動が発生する場合には、振動子200が稼働するので温度上昇を生じることになる。一方で、振動子200において振動が停止する場合には、振動子200が稼働しないので、温度上昇を抑えることができる。
【0070】
図4(a)に示す振動ソース1と、図4(b)に示す振動ソース2とを比較すると、振動が停止する時間tm2の長さは、振動ソース1も振動ソース2も同じ長さであるが、振動が発生する時間tm1は、振動ソース2の方が振動ソース1よりも長い。このため、振動ソース1と振動ソース2とを比較すると、振動ソース2の方が振動ソース1よりも単位時間当たりの振動発生時間が長くなり、単位時間当たりの消費電力が多くなるため、振動子200の温度上昇を招きやすい。同様に、図4(b)に示す振動ソース2と、図4(c)に示す振動ソース3とを比較すると、振動が停止する時間tm2の長さは、振動ソース2も振動ソース3も同じ長さであるが、振動が発生する時間tm1は、振動ソース3の方が振動ソース2よりも長い。振動ソース2と振動ソース3とを比較すると、振動ソース3の方が振動ソース2よりも単位時間当たりの振動発生時間が長くなり、単位時間当たりの消費電力が多くなるため、振動ソース3により振動を発生する振動子200の方が温度上昇を招きやすい。このように、単位時間当たりの振動発生時間を調整することによって、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。
【0071】
なお、図4(a)~(c)では、振動が停止する時間tm2が振動ソース1,2,3において同じ場合に、振動が発生する時間tm1の長さを変化させる構成について説明した。しかしながら、振動が発生する時間tm1の長さを、振動ソース1,2,3において同じに設定し、振動が停止する時間tm2を変化させる場合であっても、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。また、振動が発生する時間tm1の長さに対する振動が停止する時間tm2の長さの割合を変化させる場合にも、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。また、時間tm1および時間tm2の一方の時間を固定時間にして他方を変動させるだけでなく、両方を変動させることも可能である。
【0072】
また、振動子200において振動が発生する場合に、振動子200の振動による温度上昇は、振動の周波数によって異なる傾向がある。例えば、振動子200で発生する振動の周波数範囲が低い周波数である場合に比べて、高い周波数である場合の方が、振動子200における単位時間当たりの消費電力が抑制されると共に、振動子200の温度上昇が抑制される。
【0073】
このため、図5(a)~(c)に示すように、振動ソース1では、振動発生時間tm1の全ての時間において高い周波数の振動に設定し、振動ソース2では、振動発生時間tm1の約半分の時間を低い周波数の振動とし、残りの時間を高い周波数の振動に設定し、振動ソース3では、振動発生時間tm1の全ての時間において低い周波数の振動に設定してもよい。このように、振動ソースの周波数を振動発生時間毎に変化させることも可能であり、周波数を振動発生時間毎に変化させることによって、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。
【0074】
なお、振動子200としてエキサイタ200a~200dが用いられている場合に、振動ソースの周波数を高い周波数に設定すると、エキサイタ200a~200dより出力される信号は、単なる振動ではなく、聴覚で認識される「音」として出力される場合がある。このように振動ソースに基づく警報信号が振動ではなく音として出力される場合には、あえて運転者に注意を行う内容の音声等(例えば、「注意してください!」等の音声)を出力させることにより、単音(例えば、BEEP音等)がエキサイタ200a~200dから出力される場合よりも、運転者による警報の認識度を高めることができる。音声を目的として振動ソースの周波数を設定する場合には、200Hz~20kHzの周波数範囲で周波数値を設定することが望ましい。さらに、振動を目的として振動ソースの周波数を設定する場合には、20Hz~200Hzの周波数範囲で周波数値を設定することが望ましい。
【0075】
また、図4(a)~(c)では、警報信号の最大振幅が、全て同じに設定されていたが、最大振幅の値が大きい値まで許容される場合には、最大振幅の値が小さい値に制限される場合に比べて、単位時間当たりの消費電力も多くなる。このため、図6(a)に示すように、振動ソース1,振動ソース2および振動ソース3の振動発生時間tm1と振動停止時間tm2とが同じであっても、それぞれの最大振幅の値(振幅幅)を変化させることによって、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。
【0076】
また、図4(a)~(c)および図6(a)では、所定周波数からなるサイン波形によって振動ソースが構成される場合について説明したが、振動ソースを構成する波形は、必ずしも所定周波数のサイン波形には限定されず、異なる波形を用いてもよい。例えば、振動ソースの波形を、周波数を連続的に変化させた(スイープさせた)サイン波形にすることも可能である。振動ソースの波形をスイープさせた波形(このようにスイープさせた波形の信号をスイープ信号と称する)にした場合には、スイープしている間の最大振幅値を一定値に設定し、かつ、振動発生時間tm1における開始周波数と終了周波数とを常に同じ周波数に規定することにより、振動ソースの消費電力の変化を、図4(a)~(c)および図6(a)と同様に考えることができる。
【0077】
図6(b)は、図6(a)に示した振動ソース1,振動ソース2および振動ソース3の波形を、周波数を連続的に変化させたサイン波形に置き換えたものを一例として示している。図6(b)に示すように、周波数を連続的に変化させたサイン波形を振動ソースに用いつつ、図6(a)のように振動ソース毎の最大振幅値を変化させることによって、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。
【0078】
また、同様にして、図4(a)~(c)に示した振動ソース1,2,3のサイン波形を、周波数を連続的に変化させたサイン波形に変更してもよい。図4(a)~(c)に示した振動ソース1~3では、振動発生時間tm1における開始周波数と終了周波数とを常に同じ周波数に規定することにより、振動が発生する時間tm1の長さの変化によって、振動子200における単位時間当たりの消費電力を制御することができ、振動子200の温度上昇を振動ソースの違いによって調整することが可能になる。
【0079】
メモリ20には、緊急度に応じた振動ソースが複数記録されており、信号選択部30からの読み出しに応じて振動ソースを信号選択部30に出力する。信号選択部30は、制御部10aより取得した緊急度情報に基づいてメモリ20から読み出した振動ソースを信号生成部40へ出力する。
【0080】
[信号生成部、増幅部]
信号生成部40は、信号選択部30より受信した振動ソースに基づいて警報信号を生成する(警報信号生成ステップ)。具体的には、信号生成部40は、振動ソースに基づいて、警報信号の基礎となる波形信号(例えば、上述したサイン波形の信号)に対して、イコライザ調整やゲイン調整を行うことによって、振動ソースに対応する警報信号を生成する。信号生成部40は、生成した警報信号を、増幅部50へ出力する。増幅部50では、信号生成部40より取得した警報信号に対して増幅処理を行った後、エキサイタ200a~200d(振動子200)へ出力する。
【0081】
エキサイタ200a~200dでは、受信した警報信号に基づいて、警報振動(警報音を含む)を出力する(振動発生ステップ)。なお、図1では、信号生成部40から増幅部50へ出力された警報信号が、増幅部50において4つに分割されてエキサイタ200a~200dのそれぞれに出力される状況がブロック図で示されている。このブロック図では、信号生成部40より出力された1つの警報信号が増幅部50で増幅されると共に4つのエキサイタ200a~200dへ一斉に出力されて、エキサイタ200a~200dで同時に警報振動が発生されることになる。
【0082】
しかしながら、図2を示して説明したように、エキサイタ200a~200dの設置位置は、シート300の背もたれ部301の左右位置および座面部302の左右位置であるため、振動発生位置を変化させることによって、警報振動(警報音を含む)に対する運転者の識別性を高めることも可能である。振動発生位置を変化させる場合には、信号生成部40においてエキサイタ200a~200dのそれぞれの設置位置に応じて、4つの警報信号を別々に出力し、それぞれの信号出力毎に増幅部50が信号の増幅処理を行って、調整対象となるエキサイタに対して警報信号を出力する(警報信号生成ステップ)。このように、信号生成部40で、エキサイタ200a~200d毎に警報信号の出力先を調整することにより、シート300におけるエキサイタの設置毎に、警報振動(警報音)を出力することが可能になる(振動発生ステップ)。
【0083】
[制御部による総合的な緊急度の決定処理]
次に、制御部10aによる総合的な緊急度のレベルの決定処理について説明する。図7は、制御部10aにおける緊急度のレベルの決定処理を示したフローチャートである。制御部10aは、外部制御装置400により出力される「車両の状況等」に関する情報を取得する処理を実行する(S.01:警告情報取得ステップ)。詳細には、外部制御装置400によって制御部10aへ出力され得る、接近距離情報、逸脱距離情報あるいは運転者状態情報のいずれか1つ以上の情報を、制御部10aで取得する処理を行う。そして、制御部10aは、S.01の処理において、外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得できたか否かの判断を行う(S.02)。
【0084】
外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得できなかった場合、つまり、外部制御装置400から制御部10aに対して、接近距離情報、逸脱距離情報あるいは運転者状態情報のいずれの情報も出力されていない場合(S.02においてNoの場合)、制御部10aは、タイマー70の動作の有無に拘わらず、確認的にタイマー70のリセット処理を行うことにより、タイマー70による計時処理を終了させて(S.03)、総合的な緊急度のレベルを決定する処理を終了する。
【0085】
なお、総合的な緊急度のレベルを決定する処理を終了した場合、制御部10aは所定時間毎に、総合的な緊急度のレベルを決定する処理を繰り返し実行する。繰り返し処理を実行することにより、外部制御装置400から制御部10aに対して「車両の状況等」に関する情報が出力された場合に、タイムラグを生じることなく、制御部10aで「車両の状況等」に関する情報を迅速かつ継続的に取得することができる。
【0086】
一方で、外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得できた場合、つまり、接近距離情報、逸脱距離情報あるいは運転者状態情報のいずれかの情報を取得した場合(S.02においてYesの場合)、制御部10aは、タイマー70による計時処理が開始されているか否かの判断を行う(S.04)。タイマー70による計時処理が行われていない場合(S.04においてNoの場合)、制御部10aは、タイマー70を動作させて、タイマー70による計時処理を開始させる(S.05)。
【0087】
タイマー70による計時処理が開始されていた場合(S.04においてYesの場合)、あるいは、タイマー70による計時処理を開始させた場合(S.05)に、制御部10aは、タイマー70の計時処理により計測されたタイマー時間の読み出しを行う(S.06)。そして、制御部10aは、外部制御装置400より取得した「車両の状況等」に関する情報と、タイマー70により計測されたタイマー時間とに基づいて、総合的な緊急度のレベルを決定する(S.07~S.09)。
【0088】
詳細には、図3(b)を示して説明したように、制御部10aは、外部制御装置400から取得した、接近距離情報、逸脱距離情報、運転者状態情報(「車両の状況等」に関する情報)に基づいて、それぞれの緊急度のレベルを決定する(S.07:車両状況緊急度決定ステップ)。また、制御部10aは、タイマー70より取得した(読み出した)タイマー時間に基づいて、タイマー時間に基づく緊急度のレベルを決定する(S.08:時間緊急度決定ステップ)。そして、制御部10aは、求められた複数の緊急度(少なくとも、接近距離情報に基づく緊急度と、逸脱距離情報に基づく緊急度と、運転者状態情報に基づく緊急度との少なくとも1つと、タイマー時間に基づく緊急度)のレベルのうち、最も高いレベルを求めて、最も高いレベルを、総合的な緊急度のレベルとして決定する(S.09:総合緊急度決定ステップ)。
【0089】
総合的な緊急度のレベルを決定した後、制御部10aは、決定された総合的な緊急度のレベルを、緊急度情報として信号選択部30へ出力する(S.10)。その後、制御部10aは、繰り返し処理をS.01へ移行して、上述した処理を繰り返し実行する。
【0090】
このように、外部制御装置400より取得した接近距離情報、逸脱距離情報、運転者状態情報に基づいて、制御部10aがそれぞれの情報に対する緊急度のレベルを決定し、さらに、タイマー時間に基づく緊急度のレベルを決定した後に、最も高いレベルに基づいて総合的な緊急度のレベルを決定する。これにより、運転者に対して警報を行うべき状態を、総合的な緊急度のレベルによって、リアルタイムに判断することができる。
【0091】
さらに、総合的な緊急度のレベル「小」「中」「大」に応じて単位時間当たりの消費電力が異なる振動ソースを選択して、振動子200から出力することにより、振動子200の温度上昇を効率的に抑制することが可能になる。
【0092】
具体的に説明すると、例えば、総合的な緊急度のレベルが「小」の場合であって、緊急度のレベル「小」の状態を改善させる操作(例えば、前方車両との車間距離を広くする操作や、走行車両を走行車線の中心に移動する操作)を運転者が行わず、悪化させる操作(警報を増大させるような操作を行う場合等)を行うと、緊急度のレベルが「小」から「中」へと移行する。さらに、緊急度のレベル「中」の状態を改善させる操作を運転者が行わず、悪化させる操作を行うと、緊急度のレベルが「中」から「大」へと移行する。
【0093】
一般的に運転者は、警報振動を認識した場合に、緊急度のレベルを低減させる(改善させる)操作を行うことが予想されるため、緊急度のレベル「小」に基づく警報振動の発生は、振動発生時間が短い傾向がある。このため、図3(b)に示すように、制御部10aが緊急度のレベル「小」に対する警報振動の振動ソースとして、信号選択部30で単位時間当たりの消費電力が多い振動ソースを選択しても、振動子200で警報振動を発生させる時間が短い可能性が高く、振動子200の著しい温度上昇を招くおそれも低い。
【0094】
一方で、緊急度のレベル「中」による警報振動は、緊急度のレベル「小」の警報振動が発生した状態で緊急度のレベルを改善させる(低減させる)操作が行われずに、さらに緊急度のレベルを悪化させる(高める)状態に車両の状況が変化した場合を示している。また、緊急度のレベル「大」による警報振動は、緊急度のレベル「小」の警報振動が発生した状態で緊急度のレベルを改善させる(低減させる)操作が行われずに、緊急度のレベルが「中」に移行し、さらに、緊急度のレベルを改善させる(低減させる)操作が行われずに、緊急度のレベルが「大」に移行した場合を示している。
【0095】
このように、緊急度のレベル「中」に基づく警報振動が発生する状況は、緊急度のレベル「小」の警報振動の発生が継続された上で、緊急度のレベルが「中」の状態に移行して、振動子200が振動を継続して発生する状態を示している。また、緊急度のレベル「大」の警報振動が発生する状況は、緊急度のレベル「小」で警報振動の発生が継続され、さらに、緊急度のレベル「中」の状態に移行して、警報振動の発生が継続された上で、最終的に、緊急度のレベルが「大」の状態に移行して、振動子200が振動を継続して発生した状態を示している。このように、継続的に長い時間、振動子200で振動を発生させると、振動子200の温度上昇を招いてしまい、振動子200に不具合が生じるおそれが生じる。
【0096】
このため、緊急度のレベル「中」の警報振動を振動子200から発生する場合には、緊急度のレベル「小」の警報振動よりも単位時間当たりの消費電力が少ない警報振動を発生させることによって、緊急度のレベル「小」の警報振動を発生する場合よりも、振動子200の温度上昇を抑制しながら、継続的に警報振動を発生させることが可能になる。また、緊急度「大」の警報振動を振動子200から発生する場合には、緊急度のレベル「小」および「中」の警報振動よりも単位時間当たりの消費電力が少ない警報振動を発生させることによって、緊急度のレベル「小」および「中」の警報振動を発生する場合よりも、振動子200の温度上昇を抑制しながら、継続的に警報振動を発生させることが可能になる。このように、実施の形態1に係る振動発生装置1aを用いることによって運転者に対して警報振動による報知を継続的に行いつつ、振動子200における温度上昇を効果的に抑制することができ、十分な報知を継続して行いつつ、振動子200の不具合の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【0097】
また、制御部10aは、総合的な緊急度のレベルを決定する場合に、「車両の状況等」に関する情報に基づく緊急度のレベルだけでなく、タイマー時間に関する緊急度のレベルをも考慮して、緊急度のレベルを決定する。例えば、逸脱距離情報に基づく緊急度のレベルが「小」の場合であって、緊急度のレベル「小」に基づく警報振動が、エキサイタ200a~200dより出力(発生)している場合に、運転者が警報振動に気づくと、緊急度のレベルを低減させる動作が一般的に行われる。しかしながら、運転者が警報振動に気づかない場合や、警報振動を認識しつつ緊急度のレベルを低減させる動作を行わない場合や、運転者が緊急度のレベルを低減させる動作を行おうとしても行うことができない状況等の場合には、緊急度のレベル「小」に基づく警報振動が継続的に出力(発生)され続ける状況になる。
【0098】
このように、緊急度のレベルが「小」であっても、緊急度のレベル「小」に該当する状況が改善されず、緊急度のレベル「小」の警報振動が継続して発生すると、単位時間当たりの消費電力が多い振動が継続されることになり、エキサイタ200a~200dの温度上昇を招いて、不具合を生じさせる可能性が高くなる。このため、実施の形態1に係る振動発生装置1aでは、「車両の状況等」に関する情報に基づく緊急度のレベルが「小」であるか、「中」であるか、「大」であるかに関わらず、「車両の状況等」に関する情報を取得してから情報を取得し続けた状態の時間をタイマー時間として計測する。そして、制御部10aは、「車両の状況等」に関する情報を取得し続けている時間、つまりタイマー時間が長くなるに従って、総合的な緊急度のレベルを「小」から「中」へ、あるいは「中」から「大」へ移行する。このように、「車両の状況等」に関する情報に基づく緊急度のレベルだけで総合的な緊急度のレベルを決定するのではなく、タイマー時間の経過時間をも考慮して総合的な緊急度のレベルを決定することによって、警報振動が長時間発生し続けることによるエキサイタ200a~200dの温度上昇を抑制し、エキサイタ200a~200dの不具合の発生を未然に防止することが可能になる。
【0099】
さらに、実施の形態1に係る振動発生装置1aでは、振動子200としてエキサイタ200a~200dを用いているため、警報振動だけでなく警報音(警報音声)を出力(発生)することができる。エキサイタ200a~200dから、警報振動ではなく警報音を出力することによって、エキサイタ200a~200dの温度上昇を効果的に抑制することができるので、振動子200として警報振動しか出力できない偏心モータや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等に比べて、温度上昇に伴う不具合の発生を低減することが可能になる。
【0100】
また、エキサイタ200a~200dから、警報振動を出力する場合には、シート300に着座した運転者しか振動による警報に気づかない可能性がある。しかしながら、エキサイタ200a~200dから警報音(警報音声)を出力する場合には、シート300に着座していない他の搭乗者に対しても聴覚的な手段により警報を行うことができるので、他の搭乗者が警報状態(緊急度のレベルが高い状態)を認識することが可能になる。このため、例えば、運転者が警報振動に気づかない場合や、警報振動を認識しつつ緊急度のレベルを低減させる動作を行わない場合等であっても、他の搭乗者が運転者に対して緊急度を低減させる動作を行うように促すことができる。このように、他の搭乗者による運転者への指摘によって、緊急度が高い状況を回避するように車両状態を改善させることが可能になり、結果として安全性を高めることが可能になる。
【0101】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る振動発生装置について説明する。実施の形態1に係る振動発生装置1aでは、実験等によって振動子200が振動を発生させ続けた場合の稼動時間と上昇温度との関係を予め測定していた(図3(c)参照)。そして、振動発生装置1aでは、振動子200の温度上昇に対応するタイマー時間を予め想定し、予め想定されるタイマー時間毎(例えば、図3(c)の時間ta1や時間tb1)に、緊急度のレベルを「小」から「中」、「中」から「大」へと変化させる構成を採用していた(図3(a)参照)。
【0102】
実施の形態2に係る振動発生装置1bでは、実施の形態1に係る振動発生装置1aとは異なり、振動子200が振動を発生させ続けた場合の稼動時間と上昇温度との関係を、実験等によって予め測定することは行わない。実施の形態2に係る振動発生装置1bでは、振動子200(200a~200b)の温度測定を行う温度検出素子500(500a~500d:第1温度検出手段)を設けると共に、振動制御ユニット100bに、温度検出素子500で測定された温度の検出を行う温度検出部60が設けられる点で、実施の形態1に係る振動発生装置1aと相違する。
【0103】
[振動発生装置]
図8は、振動発生装置1bの概略構成を示したブロック図である。図8において、実施の形態2に係る振動発生装置1bでは、実施の形態1の振動発生装置1aと同じ処理を行う機能ブロックに対して図1と同じ符号を附すと共に、該当する機能ブロックに対する詳細な説明を省略する。
【0104】
[温度検出素子]
温度検出素子500は、振動子200の温度を検出する。温度検出素子500の一例として、熱電対を用いることができる。熱電対は、測定対象物に金属端子を接触させることにより、測定対象物の温度状態を電圧値(熱起電力)によって測定することができる。図2に示すように、複数の振動子200a~200dがシート300の各部にそれぞれ設置される場合には、振動子200a~200dの近傍に複数の温度検出素子500a~500dがそれぞれ設けられる。温度検出素子500(500a~500d)で検出された電圧値情報は、温度検出部60へ出力される。
【0105】
[温度検出部]
温度検出部60は、温度検出素子500から取得した電圧値情報に基づいて、振動子200の温度検出を行う。温度検出部60には、複数の温度検出素子500(500a~500d)から電圧値情報が送られてくる。ここで、それぞれの温度検出素子500a~500dで検出された電圧値は、必ずしも同じ値にはならない。例えば、振動子200a~200dおよび温度検出素子500a~500dが設置されるシート300の部位によって、温度上昇を招きやすい位置や招きにくい位置等が存在する。また、それぞれの振動子200a~200dが同じ時間だけ警報振動を発生しても、全ての振動子200a~200dの温度が同じ上昇温度になるとは限らない。
【0106】
温度検出部60では、温度検出素子500a~500dより取得した電圧値情報より、それぞれの振動子200a~200dの温度を検出し、検出した温度のうち最も高い温度を抽出して、制御部10bへ出力する。最も高い温度を示す振動子200は、そのまま振動を発生させ続けると振動子200a~200dの中で最も早く不具合を生じる可能性が高い。検出した温度のうち最も高い温度を抽出して、制御部10bへ出力することにより、複数の振動子200a~200dのうちで最も不具合を発生しそうな振動子200を基準として温度上昇を抑制することが可能になる。このようにして温度上昇の抑制を行うことによって、振動子200a~200dの全てを検査対象にしつつ、不具合の発生を効果的に防止することができる。なお、温度検出部60は、制御部10bに対して振動子200の温度情報を継続的に出力する。温度検出部60が温度情報を継続的に出力することにより、制御部10bは、振動子200の温度状態をリアルタイムに判断することができる。
【0107】
[制御部]
制御部10bは、実施の形態1に係る制御部10aと同様に、外部制御装置400から取得した「車両の状況等」に関する情報(接近距離情報、逸脱距離情報あるいは運転者状態情報の少なくとも1つ)と、タイマー時間とに基づいて、総合的な緊急度のレベルを決定する。さらに、制御部10bは、温度検出部60より取得した振動子200の温度情報に基づいて、決定された総合的な緊急度のレベルの修正処理を行う。
【0108】
図9(a)は、制御部10bが緊急度のレベルを決定するために参照する緊急度決定テーブルの一例を示した図である。図9(a)に示す緊急度決定テーブルは、図3(a)と同様に、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報、タイマー時間に基づいて、制御部10bで総合的な緊急度のレベルを決定する場合に用いられる。
【0109】
ただし、既に説明したように、実施の形態2に係るタイマー時間の時間ta2と時間tb2とは、振動子200の稼動時間(タイマー時間に該当)と上昇温度との関係を予め測定して求めたものではない。しかしながら、振動子200が警報振動を継続して発生させると振動子200の温度上昇を招くことも容易に想像できるため、予め温度上昇と稼働時間との関係を測定しない場合であっても、所定時間毎に緊急度のレベルを変更することにより、温度上昇の抑制と不具合の発生防止を効果的に行うことができる。
【0110】
制御部10bは、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報、タイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルを、振動子200の温度情報に基づいて修正する処理を行う(図9(a)参照)。図9(b)は、振動子200が継続的に警報振動を発生させた場合における振動の再生時間tと、振動子200の温度Tとの関係を示した図である。
【0111】
図9(b)における温度T℃のリミットは、振動子200が破損する温度(あるいは破損する可能性が高い温度)である。温度Tの閾値として、リミットを超えない温度であるが、そのまま振動子200の温度が上昇すると不具合を生ずる可能性の高い温度をTC℃とする。なお、温度TC℃は、図3(c)の温度TB℃と共通する温度であってもよい。制御部10bは、振動子200の温度TがTC℃以下の場合には、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報、タイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルを修正しない。しかしながら、制御部10bは、振動子200の温度TがTC℃よりも高い温度である場合に、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報、タイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルが「小」「中」「大」のいずれであっても、総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する処理を行う。
【0112】
実施の形態1において説明したのと同様に、制御部10bで総合的な緊急度のレベルとして「大」のレベルが決定され、緊急度のレベル「大」の緊急度情報が信号選択部30へ出力されると、信号選択部30において単位時間当たりの消費電力が最も少ない振動ソース1が決定され、信号生成部40で単位時間当たりの消費電力が最も少ない警報信号が生成されるため、振動子200で警報信号を発生させる場合に生ずる温度上昇を抑制することができる。温度検出素子500によって測定された温度がTC℃より高い場合、制御部10bは、振動子200の温度状態が不具合を発生する可能性が高い状態であると判断する。振動子200の温度が高い場合(TC℃より高い場合)には、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報、タイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルが「小」「中」「大」のいずれであっても、早急に振動子200における単位時間当たりの消費電力を低減させる必要がある。従って、制御部10bは、振動子200の温度がTC℃よりも高い温度である場合、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報およびタイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルが「小」「中」「大」のいずれの場合であっても、総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する処理を行う。
【0113】
図10は、制御部10bにおける緊急度のレベルの決定処理を示したフローチャートである。制御部10bは、外部制御装置400により出力される「車両の状況等」に関する情報を取得する処理を実行する(S.21)。そして、制御部10bは、S.21の処理において、外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得できたか否かの判断を行う(S.22)。外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得できなかった場合、つまり、外部制御装置400から制御部10bに対して、接近距離情報、逸脱距離情報あるいは運転者状態情報のいずれの情報も出力されていない場合(S.22においてNoの場合)、制御部10bは、タイマー70の動作の有無に拘わらず、確認的にタイマー70のリセット処理を行うことにより、タイマー70による計時処理を終了させて(S.23)、総合的な緊急度のレベルを決定する処理を終了する。
【0114】
外部制御装置400から「車両の状況等」に関する情報を取得できた場合、つまり、接近距離情報、逸脱距離情報あるいは運転者状態情報のいずれかの情報を取得した場合(S.22においてYesの場合)、制御部10bは、タイマー70による計時処理が開始されているか否かの判断を行う(S.24)。タイマー70による計時処理が行われていない場合(S.24においてNoの場合)、制御部10bは、タイマー70を動作させて、タイマー70による計時処理を開始させる(S.25)。
【0115】
タイマー70による計時処理が開始されていた場合(S.24においてYesの場合)、あるいは、タイマー70による計時処理を開始させた場合(S.25)に、制御部10bは、タイマー70の計時処理により計測されたタイマー時間の読み出しを行う(S.26)。その後、制御部10bは、外部制御装置400から取得した、接近距離情報、逸脱距離情報、運転者状態情報(「車両の状況等」に関する情報)に基づいて、それぞれの緊急度のレベルを決定する(S.27)。また、制御部10bは、タイマー70より取得した(読み出した)タイマー時間に基づいて、タイマー時間に基づく緊急度のレベルを決定する(S.28)。そして、制御部10bは、求められた複数の緊急度(少なくとも、接近距離情報に基づく緊急度と、逸脱距離情報に基づく緊急度と、運転者状態情報に基づく緊急度との少なくとも1つと、タイマー時間に基づく緊急度)のレベルの中で、最も高いレベルを求めて、最も高いレベルを、総合的な緊急度のレベルにして決定する(S.29)。
【0116】
総合的な緊急度のレベルを決定した後、制御部10bは、温度検出部60から、振動子200の温度情報を取得し(S.30)、温度情報がTC℃より高い温度か否かの判断を行う(S.31)。温度情報がTC℃より高い温度の場合(S.31においてYesの場合)、制御部10bは、総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する(S.32)。温度情報がTC℃以下の温度の場合(S.31においてNoの場合)、制御部10bは、総合的な緊急度のレベルの修正を行わない。その後(S.32の処理を行った後、あるいはS.31においてNoの場合)、制御部10bは、総合的な緊急度のレベルを示す緊急度情報を、信号選択部30へ出力する(S.33)。そして、制御部10bは、繰り返し処理をS.21へ移行して、上述した処理を繰り返し実行する。
【0117】
このように、実施の形態2に係る振動発生装置1bでは、振動子200の温度TがTC℃よりも高い温度である場合に、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報およびタイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルが「小」「中」「大」のいずれであるかに関わらず、制御部10bが総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する。振動子200の温度TがTC℃よりも高い温度である場合に総合的な緊急度のレベルを「大」に修正することによって、信号選択部30において単位時間当たりの消費電力が最も少ない振動ソース1が選択され、信号生成部40で単位時間当たりの消費電力が最も少ない警報信号が生成される。このため、警報信号に基づいて振動子200で警報振動を出力する場合の温度上昇を、迅速かつ効果的に抑制することができ、温度上昇に伴う振動子200の不具合発生を防止することができる。
【0118】
なお、上述したS.31の処理において、制御部10bは、温度情報がTC℃より高い温度の場合(S.31においてYesの場合)に総合的な緊急度のレベルを「大」に修正し(S.32)、温度情報がTC℃以下の温度の場合(S.31においてNoの場合)に、総合的な緊急度のレベルの修正を行わない場合について説明した。しかしながら、制御部10bによる総合的な緊急度のレベルの決定処理は、温度検出部60より取得した温度情報に基づいて、振動子200の温度上昇を効果的に抑制することが可能であれば、この処理方法に限定されない。例えば、温度情報がTC℃以下の温度の場合(S.31においてNoの場合)に、制御部10bが総合的な緊急度のレベルを低減させる(例えば「大」を「中」に変更させる)処理を追加することも可能である。
【0119】
例えば、「車両の状況等」に関する情報に基づいて緊急度のレベルが「大」と判断される場合であっても、また、タイマー時間に基づいて緊急度のレベルが「大」と判断される場合であっても、振動子200の温度状態が、破損する温度(あるいは破損する可能性が高い温度)であるリミットよりも低い温度であって、さらに、振動子200が不具合を生ずる可能性の高い温度TC℃よりも低い温度である場合には、単位時間当たりの消費電力の低い振動ソースに基づいて、振動子200で警報振動を出力する必要はない。警報振動により運転者に警報を認識させるためには、単位時間当たりの消費電力が多い振動ソースに基づいて警報振動を発生させる方が好ましい。
【0120】
このため、温度情報がTC℃以下の温度の場合(S.31においてNoの場合)に、制御部10bが総合的な緊急度のレベルを低減させる(例えば「大」を「中」に変更させる、または「中」を「小」に変更させる)処理を追加することにより、振動子200で不具合が発生しない状況において、効果的な警報振動を振動子200で発生させることができる。
【0121】
また、図3(b)に示したように、振動子200の温度情報の閾値として、例えば、TA℃およびTB℃を設定してもよい(TA<TB)。温度情報がTA℃以下の場合に、制御部10bが、「車両の状況等」に関する情報およびタイマー情報に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルを「小」に修正し、温度情報がTA℃よりも高くTB℃以下の場合に、制御部10bが総合的な緊急度のレベルを「中」に修正し、温度情報がTB℃より高い場合に、制御部10bが総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する構成としてもよい。このように振動子200の温度状態に基づいて、総合的な緊急度のレベルを修正することにより、振動子200の温度状態に適した消費電力の振動ソースを選択することができる。これにより、温度上昇による振動子200の不具合発生を防止しつつ、運転者の認識度の高い警報振動を振動子200で効果的に発生させることが可能になる。
【0122】
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3に係る振動発生装置1cの概略構成を示したブロック図である。実施の形態3に係る振動発生装置1cは、温度検出素子(第2温度検出手段)500で振動子200の温度を測定するのではなく、増幅部50の温度を測定する点で、実施の形態2に係る振動発生装置1bと相違する。信号生成部40で生成された警報信号に基づいて、振動子200で警報振動を発生する場合、警報振動の発生に伴って上昇する振動子200の温度変化は、警報信号の信号出力を増幅するための増幅部50の温度変化に対応する傾向がある。温度検出素子500は、増幅部50の温度を測定して温度検出部60へ出力し、温度検出部60は、増幅部50の温度情報を制御部10cへ出力する。
【0123】
制御部10cは、実施の形態2において説明した緊急度決定テーブル(図9(a)参照)に基づいて総合的な緊急度のレベルの決定を行う。総合的な緊急度のレベルを決定する場合、制御部10cは、「車両の状況等」に関する情報およびタイマー情報に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルを、増幅部50の温度情報に基づいて修正する。このように振動子200の温度情報ではなく増幅部50の温度情報に基づいて総合的な緊急度のレベルの修正を行う場合であっても、実施の形態2の振動発生装置1bと同様に、振動子200の温度上昇を効果的に抑制することができ、温度上昇に伴う振動子200の不具合発生を防止することができる。
【0124】
また、温度検出素子500を振動子200ではなく、増幅部50に設けることによって、温度検出素子500の設置負担の軽減を図ることができる。例えば、図2に示すように、振動子200(200a~200d)はシート300の4カ所に設けられているため、温度検出素子500で振動子200の温度を測定する場合には、振動子200a~200dの設置位置に対応させて温度検出素子500を複数設置する必要が生じ、さらにそれぞれの温度検出素子500から温度検出部60へ温度情報を出力するための配線等を行う必要が生じる。
【0125】
しかしながら、温度検出素子500で増幅部50の温度を測定する場合には、振動制御ユニット100cの内部に設置される増幅部50に対して、温度検出素子500を1つ設置すればよい。このため、温度検出素子500の設置個数を低減することができる共に、温度検出素子500から温度検出部60への配線設置の負担軽減を図ることが可能になる。
【0126】
なお、増幅部50の温度情報に基づいて、制御部10cで総合的な緊急度のレベルの修正を行う温度の閾値は、実施の形態2で用いられる振動子200の温度情報の閾値とは異なる値になる。上述したように、振動子200の温度変化と増幅部50の温度変化とは対応する傾向があるが、絶対的な温度の値は、振動子200と増幅部50とで異なる可能性があるためである。従って、振動子200で警報振動を継続的に発生させた場合における振動子200の温度変化と増幅部50の温度変化とを、予め実験等によって対応づけて測定することが望ましい。振動子200の温度変化と増幅部50の温度変化とを対応づけて測定しておくことにより、総合的な緊急度のレベルの修正を行うべき温度(例えば、実施の形態2において振動子200がTC℃となる温度。図9(b)参照)を、増幅部50の温度を用いて予め決定することができる。この温度に基づいて、総合的な緊急度のレベルの修正を行うことによって、振動子200の温度上昇をより正確に抑制して不具合の発生を防止することが可能になる。
【0127】
[実施の形態4]
図12は、実施の形態4に係る振動発生装置1dの概略構成を示したブロック図である。実施の形態4に係る振動発生装置1dのブロック図は、実施の形態1に係る振動発生装置1aのブロック図に設けられた信号選択部30および信号生成部40の代わりに、電圧出力部80が設けられる点で相違する。また、実施の形態1~3に係る振動発生装置1a,1b,1cでは、振動子200としてエキサイタが設けられる場合について説明したが、実施の形態4に係る振動発生装置1dでは、エキサイタは用いずに、偏心モータや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等を用いる点で相違する。エキサイタは、低域音を中心とした音あるいは振動を発生させることが可能な装置である。エキサイタは一般的なスピーカーと同様に、磁界に対して電流を流すことにより力を発生させて、電気信号(警報信号)を物理振動に変えることを特徴とする。しかしながら、シート300で警報振動を発生させる場合に、電気信号(警報振動)を生成して磁界に流さなくても、モータ等の回転量を電圧値の変化によって制御することも可能である。このように、電圧値の変化(電圧信号の電圧変化)によって振動を発生させる振動子201(201a~201d)の一例として、偏心モータや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等を用いることができる。
【0128】
振動子201における振動の制御を、電圧値の制御によって行う場合には、信号生成部40のように、警報信号を生成する必要はない。電圧出力部80は、制御部10dから緊急度情報を取得した後に、図3(b)に示したテーブル情報に基づいて、メモリ20から緊急度情報に対応する振動ソースを取得する。そして、電圧出力部80は、取得した振動ソースに対応する電圧信号を増幅部50に対して出力する。
【0129】
図13(a)(b)(c)は、メモリ20に記録される振動ソースを示しており、より詳細には、振動ソースに基づいて生成される電圧信号の電圧値の変化を示した図である。図13(a)~(c)において、縦軸は振動ソースに基づいて出力される電圧値を示し、横軸は時間を示している。一般的に、電力と熱量との関係は、熱量(J)=電力(W)×時間である。電力は、電圧(V)×電流(A)であって、電流値(A)は電圧が印加される対象の抵抗等により求められる。実施の形態4で用いられる振動子201は、偏心モータや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等であるため、抵抗等が大きく変化するものではない。従って、振動子201において発生する温度上昇(熱量)は、電圧(V)と時間との積に比例することになる。
【0130】
図13(a)(b)(c)のそれぞれの振動ソース1~3を比較すると、全ての振動ソース1~3の電圧値の上限は、全てVaである。また、電圧値が継続して0となる時間tm2は、振動ソース1~3で同じである。しかしながら、振動ソース1~3において電圧値Vaが継続して出力される時間tm1は、振動ソース3が最も長く、振動ソース2が次に長く、振動ソース3は最も短い。上述したように、熱量は、電圧と時間との積に比例するため、振動ソース3が最も単位時間当たりの消費電力が多く、振動ソース2が2番目に単位時間当たりの消費電力が多く、振動ソース1が最も単位時間当たりの消費電力が少なくなる。
【0131】
電圧出力部80は、制御部10dから緊急度情報を取得すると、図3(b)に示したテーブル情報に基づいて振動ソースを選択し、メモリ20から該当する振動ソースを読み出す。具体的には、緊急度情報が「小」である場合、電圧出力部80は、図13(c)に示した振動ソース3を選択してメモリ20から読み出す。緊急度情報が「中」である場合、電圧出力部80は、図13(b)に示した振動ソース2を選択してメモリ20から読み出す。緊急度情報が「大」である場合、電圧出力部80は、図13(a)に示した振動ソース1を選択してメモリ20から読み出す。
【0132】
その後、電圧出力部80は、メモリ20より読み出した振動ソースに基づいて、所定時間だけ増幅部50に対して電圧Vaの電圧値出力を行い、また、振動ソースに基づいて所定時間だけ増幅部50に対して0Vの電圧値出力を行う。電圧出力部80より出力された電圧信号の電圧変化によって、振動子201では、モータの回転状態が制御されることになる。制御部10dが、車両の状況等に関する情報およびタイマー時間に基づいて、総合的な緊急度のレベルを決定する。決定された緊急度のレベルに応じて電圧値Vaの継続的な出力時間等を調整することにより、振動子201の温度上昇を抑制することができ、振動子201の不具合の発生を防止することが可能になる。
【0133】
実施の形態4では、実施の形態1に係る振動発生装置1aに設けられた信号選択部30および信号生成部40の代わりに電圧出力部80を設けると共に、偏心モータや、圧電素子や、リニアアクチュエータ等のように、電圧信号の電圧変化に応じて警報振動の発生が制御される振動子201が設けられる振動発生装置1dについて説明した。しかしながら、信号選択部30および信号生成部40の代わりに電圧出力部80を設けると共に、電圧信号の電圧変化に応じて警報振動の発生が制御される振動子201が設けられる振動発生装置は、実施の形態4に示した構成には限定されない。
【0134】
例えば、図14(a)に示した振動発生装置1eは、実施の形態2に係る振動発生装置1b(図8参照)を構成する信号選択部30および信号生成部40の代わりに電圧出力部80を設けると共に、電圧信号の電圧変化に応じて警報振動の発生が制御される振動子201が設けられる振動発生装置の一例を示している。図14(a)に示す振動発生装置1eにおいても、実施の形態2に係る振動発生装置1bと同様に、温度検出素子500および温度検出部60を用いて、振動子201の温度状態をリアルタイムに測定・検出することができ、振動子201の温度上昇を確実に検出することが可能になる。
【0135】
また、図14(a)に示した振動発生装置1eでは、実施の形態2に係る振動発生装置1bと同様に、振動子201の温度Tが予め設定された閾値(例えば、TC℃)よりも高い温度である場合に、制御部10eが、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報およびタイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルが「小」「中」「大」のいずれであるかに関わらず、総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する。振動子201の温度TがTC℃よりも高い温度である場合に総合的な緊急度のレベルを「大」に修正することにより、電圧出力部80において単位時間当たりの消費電力が最も少ない振動ソース1が選択され、振動ソースに基づいて電圧信号の出力が行われて、振動子201において警報振動が出力される。振動子201で出力される警報振動は、単位時間当たりの消費電力が最も少ない振動ソースに基づく振動であるため、振動子201における温度上昇を迅速かつ効果的に抑制することができ、温度上昇に伴う振動子201の不具合発生を防止することができる。
【0136】
また、図14(b)に示した振動発生装置1fは、実施の形態3に係る振動発生装置1c(図11参照)を構成する信号選択部30および信号生成部40の代わりに電圧出力部80を設けると共に、電圧信号の電圧変化に応じて警報振動の発生が制御される振動子201が設けられる振動発生装置の一例を示している。図14(b)に示す振動発生装置1fにおいても、実施の形態3に係る振動発生装置1cと同様に、温度検出素子500が増幅部50の温度状態を測定するために振動制御ユニット100fの内部に設けられる。このため、温度検出素子500を増幅部50に対応づけて1つだけ設置すればよく、複数の振動子200,201に応じて複数個の温度検出素子500が必要となる振動発生装置1b,1eに比べて、温度検出素子500の設置個数を低減することができる。また、実施の形態3に係る振動発生装置1cと同様に、温度検出素子500から温度検出部60への配線設置の負担軽減を図ることが可能になる。
【0137】
また、図14(b)に示した振動発生装置1fでは、実施の形態3に係る振動発生装置1cと同様に、接近距離情報x、逸脱距離情報y、運転者状態情報およびタイマー時間に基づいて決定された総合的な緊急度のレベルが「小」「中」「大」のいずれであるかに拘わらず、温度検出素子500で測定された温度の値が閾値よりも高い場合に、制御部10fが、総合的な緊急度のレベルを「大」に修正する。緊急度のレベル「大」に基づいて振動子201で発生される警報振動は、単位時間当たりの消費電力が最も少ない振動ソースに基づく振動であるため、振動子201における温度上昇を迅速かつ効果的に抑制することができ、温度上昇に伴う振動子201の不具合発生を防止することが可能になる。
【0138】
以上、本発明に係る振動発生装置および振動発生方法について、実施の形態1~実施の形態4に示した振動発生装置1a,1b,1c,1d,1e,1fを示して説明を行ったが、本発明に係る振動発生装置および振動発生方法は、これらの構成には限定されない。本発明に係る振動発生装置および振動発生方法では、外部制御装置より取得される警告情報に基づいて決定される緊急度のレベルを、タイマー時間を考慮して決定する構成であればよく、また、振動子の温度状態を考慮して緊急度のレベルを修正し、振動子の温度上昇を抑えることが可能な構成であれば、具体的な構成は特に限定されない。
【0139】
例えば、実施の形態1~4に係る振動発生装置1a~1fでは、図2に示すように、振動子200,201をシート300に設置する場合について説明したが、振動子200,201の設置箇所はシート300に限定されない。振動子200,201の振動により運転者に報知を行うことが可能であれば、例えば、ハンドルやアームレスト等に振動子200,201を設置することも可能である。また、実施の形態1~4に係る振動発生装置1a~1fでは、振動子200,201が4個設けられる場合について説明したが、振動子200,201の設置個数は4個には限定されず、1~3個、または5個以上であってもよい。
【0140】
振動子200,201の設置位置や設置個数が異なる場合であっても、振動子200,201の温度上昇を考慮して振動ソースを決定し、決定された振動ソースに基づいて単位時間当たりの消費電力の異なる警報振動を、振動子から出力させることにより、振動子の不具合発生を防止することができ、温度上昇に伴う機能失陥を回避することが可能になる。また、振動子の温度上昇を抑制し、不具合発生を防止することができるので、振動子の小型化および低コスト化を実現することが容易になる。
【符号の説明】
【0141】
1a,1b,1c,1d,1e,1f …振動発生装置
10a,10b,10c,10d,10e,10f …制御部(警告情報取得手段、車両状況緊急度決定手段、時間緊急度決定手段、総合緊急度決定手段)
20 …メモリ
30 …信号選択部(警報信号生成手段)
40 …信号生成部(警報信号生成手段)
50 …増幅部(信号増幅手段)
60 …温度検出部(第1温度検出手段, 第2温度検出手段)
70 …タイマー
80 …電圧出力部
100a,100b,100c,100d,100e,100f …振動制御ユニット
200,200a,200b,200c,200d …エキサイタ(振動子、振動発生手段)
201,201a,201b,201c,201d …振動子(振動発生手段)
300 …シート
301 …背もたれ部
302 …座面部
400 …外部制御装置(警告情報出力手段)
500,500a,500b,500c,500d …温度検出素子(第1温度検出手段, 第2温度検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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